JP3723887B2 - 磁気軸受スピンドル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気軸受スピンドル装置、さらに詳しくは、スピンドルが複数組の磁気軸受により非接触支持される磁気軸受スピンドル装置に関し、とくに工作機械用に好適な磁気軸受スピンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械用の磁気軸受スピンドル装置として、スピンドルが複数組の磁気軸受、たとえば、1組のアキシアル磁気軸受と2組のラジアル磁気軸受により非接触支持されるものが知られている。この磁気軸受スピンドル装置では、スピンドルの先端部に工具が装着され、一般には、加工内容によって工具を異なる種類のものに交換できるようになっている。また、磁気軸受スピンドル装置には、スピンドルの固有振動数などによって定まる回転数範囲があり、これを工作機械に使用する場合、従来は、加工能率を高めるために、上記回転数範囲内において工具自体の強度の面などから許される最も高い回転数でスピンドルを回転させるのが一般的であった。
【0003】
ところで、上記のような磁気軸受スピンドル装置では、スピンドルの剛性は回転数によって変わり、また、スピンドルの回転数と剛性との関係(以下「剛性特性」という)は、工具の有無あるいは工具の種類によって変わる。これは、スピンドルに工具が装着されている状態と装着されていない状態とで、あるいは工具の種類で、スピンドル全体の重量(スピンドルと工具を合わせた重量)や固有振動数などが変わるためである。
【0004】
上記のようにスピンドルの剛性は回転数によって変わるため、最も剛性の高い回転数あるいはある程度以上の剛性が得られる回転数でスピンドルを回転させるのが望ましい。ところが、従来は、実際に工具を装着したときのスピンドルの剛性を考慮して最適な回転数を選定することはなく、上記のように工具自体の強度の面などから可能な最高の回転数で回転させるようになっているので、必ずしも剛性の面から最適である回転数で回転させることができず、またその回転数で剛性が充分であるとは限らず、場合によっては、剛性不足による加工能力の低下を招くことがあった。
【0005】
工作機械用以外の磁気軸受スピンドルにおいても、スピンドルの剛性を考慮しなければならないような場合には、同様の問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1の発明は、使用状態における実際のスピンドルの剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定し、かつ最も剛性の高い回転数を選定することができる磁気軸受スピンドル装置を提供することを目的とする。
【0007】
請求項2の発明は、使用状態における実際のスピンドルの剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定し、かつある程度以上の剛性を有する回転数の中で最も高い回転数を選定することができる磁気軸受スピンドル装置を提供することを目的とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の目的に加えて、剛性特性測定および最適回転数選定のための構成の付加が少なくてすむ磁気軸受スピンドル装置を提供することを目的とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明の目的に加えて、スピンドルの先端部に装着された工具の部分における剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定することができる磁気軸受スピンドル装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1の発明は、異なる種類の工具が装着されるスピンドルが、複数組の磁気軸受により非接触支持される磁気軸受スピンドル装置において、使用状態における上記スピンドルの回転数と剛性との関係を求める剛性特性測定手段、および上記剛性特性測定手段の測定結果から最適回転数を選定する最適回転数選定手段を備えており、前記剛性特性測定手段が、所定の回転数範囲内において前記スピンドルの回転数を段階的に変え、各回転数において剛性測定手段により前記スピンドルの剛性を測定し、各工具についての回転数と剛性の関係を記憶するものであり、前記最適回転数選定手段が、記憶されている回転数と剛性の関係に基づいて、前記回転数範囲内において最も剛性の高い回転数を最適回転数に選定するものであることを特徴とするものである。
【0015】
この明細書において、スピンドルの剛性とは、ラジアル方向の荷重に対するスピンドルの変位抵抗(変位しにくさ)をいうものとする。また、スピンドルの任意の位置における剛性をスピンドルの剛性とすることができる。
【0016】
たとえば、各磁気軸受は、スピンドルを磁気吸引する複数の電磁石を備えている。また、磁気軸受スピンドル装置は、スピンドルの位置を検出するための位置センサ、適当な磁気軸受制御装置などを備えている。磁気軸受制御装置は、位置センサの出力に基づいて磁気軸受の電磁石に供給する励磁電流を制御し、これにより、スピンドルが所定位置に保持される。
【0017】
磁気軸受制御装置としては、マイクロコンピュータあるいはディジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal Processor)などを用いたディジタル式のものを使用することができる。ディジタル信号処理プロセッサとは、ディジタル信号を入力してディジタル信号を出力し、ソフトウェアプログラムが可能で、高速実時間処理が可能な専用ハードウェアを指す。なお、以下、これを「DSP」と略すことにする。
【0018】
請求項1の発明によれば、使用状態における実際のスピンドルの剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定することができ、かつ、所定の回転数範囲内で最も剛性の高い回転数を選定して、その回転数でスピンドルを回転させることができる。しかも、剛性特性測定手段において、剛性特性測定時に、各工具についての回転数と剛性の関係が記憶されるので、剛性特性測定および最適回転数選定が終了した後に、最適回転数選定を行う回転数範囲を変えたような場合でも、剛性特性測定は行わずに、上記の記憶された各工具についての回転数と剛性の関係に基づいて、最適回転数選定を行うことができる。
【0019】
請求項2の発明は、異なる種類の工具が装着されるスピンドルが、複数組の磁気軸受により非接触支持される磁気軸受スピンドル装置において、使用状態における上記スピンドルの回転数と剛性との関係を求める剛性特性測定手段、および上記剛性特性測定手段の測定結果から最適回転数を選定する最適回転数選定手段を備えており、前記剛性特性測定手段が、所定の回転数範囲内において前記スピンドルの回転数を段階的に変え、各回転数において剛性測定手段により前記スピンドルの剛性を測定し、各工具についての回転数と剛性の関係を記憶するものであり、前記最適回転数選定手段が、記憶されている回転数と剛性の関係に基づいて、前記回転数範囲内にあって剛性が所定値以上である回転数の中で最も高い回転数を最適回転数に選定するものであることを特徴とするものである。
【0020】
請求項2の発明によれば、使用状態における実際のスピンドルの剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定することができ、かつ、ある程度以上の剛性を有する範囲内で最も高い回転数を選定して、その回転数でスピンドルを回転させることができ、したがって、剛性を確保するために回転数が不必要に低くなるようなことがない。しかも、剛性特性測定手段において、剛性特性測定時に、各工具についての回転数と剛性の関係が記憶されるので、剛性特性測定および最適回転数選定が終了した後に、最適回転数選定を行う回転数範囲を変えたような場合でも、剛性特性測定は行わずに、上記の記憶された各工具についての回転数と剛性の関係に基づいて、最適回転数選定を行うことができる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記剛性特性測定手段が、前記スピンドルを所定の回転数で回転させた状態で、前記磁気軸受の電磁石に供給する励磁電流を制御することにより前記スピンドルを所定のラジアル方向に加振して、前記ラジアル方向の前記スピンドルの変位を測定し、前記変位から前記スピンドルの剛性値を演算するものであることを特徴とするものである。
【0022】
この場合、剛性特性測定手段は、磁気軸受制御装置に設けられる。その場合の磁気軸受制御装置としては、DSPを用いたディジタル式のものがとくに好適である。
【0023】
スピンドルのラジアル方向の変位は、磁気軸受スピンドル装置に元来備わっているラジアル位置センサによって測定することができる。また、磁気軸受に元来備わっている電磁石の励磁電流を制御することによりスピンドルを加振することができる。そして、剛性特性測定のためにスピンドルの回転数を変える手段、電磁石の励磁電流を制御する手段、ラジアル位置センサの出力に基づいてスピンドルのラジアル方向の変位を測定する手段、この変位からスピンドルの剛性値を演算する手段、および剛性特性から最適回転数を選定する手段を磁気軸受制御装置にプログラムとして付加するだけでよく、剛性特性測定および最適回転数選定のための機械的構成を付加する必要が全くない。
【0029】
請求項3の発明によれば、剛性特性測定および最適回転数選定のための機械的構成を付加する必要が全くなく、剛性特性測定および最適回転数選定のための構成の付加が少なくてすむ。
【0030】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記スピンドルの先端部に工具が装着され、前記磁気軸受が少なくとも2組のラジアル磁気軸受を含み、前記剛性特性測定手段が、前記スピンドルを所定の回転数で回転させた状態で、前記ラジアル磁気軸受の電磁石に供給する励磁電流を制御することにより前記スピンドルを所定のラジアル方向に加振して、前記各ラジアル磁気軸受の位置における前記ラジアル方向の前記スピンドルの変位を測定し、前記変位から前記スピンドルの前記工具の先端における剛性値を演算するものであることを特徴とするものである。
【0031】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の場合と同様、剛性特性測定および最適回転数選定のための機械的構成を付加する必要が全くなく、剛性特性測定および最適回転数選定のための構成の付加が少なくてすむ。また、スピンドルの先端部に装着された工具の部分における剛性特性を測定して、剛性の面から最適な回転数を選定することができ、その最適回転数でスピンドルを回転させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0037】
図1には、マシニングセンタなどの工作機械に用いられる磁気軸受スピンドル装置(1) 、ならびに工作機械の加工制御手段としての数値制御装置(以下、「NC装置」と略す。)(2) および自動工具交換手段としての自動工具交換装置(3) が概略的に示されている。
【0038】
スピンドル装置(1) は、ケーシング(4) 内に垂直に配置されたスピンドル(5) を備えている。ケーシング(4) 内には、また、スピンドル(5) を非接触支持するための1組のアキシアル磁気軸受(6) および上下2組のラジアル磁気軸受(7)(8)、スピンドル(5) のアキシアル方向の変位を検出するための1個のアキシアル位置センサ(9) 、スピンドル(5) のラジアル方向の変位を検出するための上下2組のラジアル位置センサ(10)(11)、ならびにスピンドル(5) を高速回転させる回転駆動手段としての高周波モータ(12)が設けられている。通常、アキシアル磁気軸受(6) は1対の電磁石(6a)から、各ラジアル磁気軸受(7)(8)はそれぞれ4個の電磁石(7a)(8a)から構成されている。以下の説明において、互いに直交する2つのラジアル方向の軸をX軸およびY軸、これらと直交するアキシアル方向の軸をZ軸とする。図1には、ラジアル磁気軸受(7)(8)の電磁石(7a)(8a)およびラジアル位置センサ(10)(11)については、X軸方向のものだけが図示されている。なお、これら磁気軸受(6)(7)(8) 、位置センサ(9)(10)(11) については、公知のものであるから、詳細な説明は省略する。
【0039】
アキシアル位置センサ(9) およびラジアル位置センサ(10)(11)はセンサ駆動回路(13)によって駆動され、センサ駆動回路(13)は、各位置センサ(9)(10)(11) の出力に基づいて、スピンドル(5) のアキシアル方向(Z軸方向)、2つのラジアル方向(X軸方向およびY軸方向)の変位を検出する。センサ駆動回路(13)からのアナログ位置検出信号は、A/Dコンバータ(14)によりディジタル位置検出信号に変換されて、磁気軸受制御手段としての磁気軸受制御装置(15)に入力する。磁気軸受制御装置(15)は、上記のディジタル位置検出信号すなわちスピンドル(5) のアキシアル方向およびラジアル方向の変位に基づいて各磁気軸受(6)(7)(8) の電磁石(6a)(7a)(8a)に供給する励磁電流の大きさを制御するためのものであり、DSPより構成されている。磁気軸受制御装置(15)からのディジタル制御信号はD/Aコンバータ(16)によりアナログ制御信号に変換され、このアナログ制御信号に基づいて、パワーアンプ(17)から各電磁石(6a)(7a)(8a)に励磁電流が供給され、その結果、スピンドル(5) が電磁石(6a)(7a)(8a)により吸引されてアキシアル方向およびラジアル方向の所定位置に非接触支持される。
【0040】
スピンドル(5) の下端に工具(18)が装着され、自動工具交換装置(3) により、NC装置(2) からの工具番号指令に基づいて、工具(18)が他の種類のものと自動的に交換されるようになっている。なお、自動工具交換装置(3) については、公知のものであるから、その具体的な構成の図示および説明は省略する。NC装置(2) からの工具番号指令は、磁気軸受制御装置(15)にも入力する。
【0041】
NC装置(2) は、ケーシング(4) すなわちスピンドル(5) の位置、移動方向および移動速度などを制御し、これにより、工具(18)の切込み量および送り速度が制御される。また、NC装置(2) は、スピンドル(5) すなわち工具(18)を回転させるためのスピンドル回転指令を磁気軸受制御装置(15)に出力する。
【0042】
磁気軸受制御装置(15)には、スピンドル(5) の剛性を測定するための剛性測定手段、この剛性測定手段を用いて回転数と剛性との関係(剛性特性)を求めるための剛性特性測定手段、および剛性特性測定手段の測定結果から最適な回転数を選定するための最適回転数選定手段が設けられている。すなわち、磁気軸受制御装置(15)を構成するDSPに、剛性特性測定手段および最適回転数選定手段を構成するソフトウェアプログラムが格納されている。次に、図2のフローチャートを参照して、スピンドル(5) の剛性特性の測定および最適回転数の選定の1例について説明する。
【0043】
図2において、まず、剛性特性測定のためのスピンドル(5) の下限回転数と上限回転数が設定される(ステップ1)。この下限回転数と上限回転数には、たとえば、スピンドル装置(1) によって決まる使用可能な最大回転数範囲の下限値と上限値をそれぞれ設定することができる。また、上記の最大回転数範囲内において、工具(18)によって決まる使用可能な回転数範囲の下限値と上限値をそれぞれ下限回転数および上限回転数として設定することもできる。次に、下限回転数を剛性特性測定のための回転数指令値にセットし(ステップ2)、モータ(12)を起動してスピンドル(5) の回転を開始する。そして、スピンドル(5) の回転数が回転数指令値に保持されるように、回転数を制御する(ステップ4)。
【0044】
スピンドル(5) の回転数が回転数指令値に保持されたならば、そのときの回転数と同じ周波数で、スピンドル(5) を1つのラジアル方向(この例ではX軸方向)に加振する(ステップ5)。これは、次のように、2組のラジアル磁気軸受(7)(8)のX軸方向の1対の電磁石(7a)(8a)に供給する励磁電流を制御することにより行われる。1対の電磁石(7a)(8a)の励磁電流は、互いに等しい一定の定常電流にスピンドル(5) のX軸方向の位置によって制御される制御電流が加わったものであり、加振を行うときには、そのときの回転数と同じ周波数で振幅が互いに等しく位相が180度異なった正弦波状の制御電流が各組の1対の電磁石(7a)(8a)に供給される。このとき、スピンドル(5) に対してX軸方向の同じ側にある上下の電磁石(7a)(8a)について、制御電流の方向および大きさが常に互いに等しくなるように、制御電流が制御される。一方、ラジアル磁気軸受(7)(8)のY軸方向の電磁石およびアキシアル磁気軸受(6) の電磁石(6a)には、一定の定常電流と、スピンドル(5) をY軸方向およびZ軸方向の一定の中立位置に保持するための制御電流とが供給される。これにより、上下の磁気軸受(7)(8)の部分において、正弦波状に変化するとともに上下で方向および大きさが常に互いに等しいX軸方向の荷重が加えられ、スピンドル(5) がX軸方向に加振される。このようにスピンドル(5) が加振されている間に、X軸方向のラジアル位置センサ(10)(11)とセンサ駆動回路(13)の出力に基づいて、上下のラジアル磁気軸受(7)(8)の位置におけるスピンドル(5) のX軸方向の変位が測定される(ステップ6)。
【0045】
変位の測定が終了すると、これに基づいて、工具(18)の先端におけるスピンドル(5) のX軸方向の剛性値Rが演算される(ステップ7)。この演算は、図3に示すような原理に基づき、次の式を用いて行われる。
【0046】
R=(R1 ・L1 +R2 ・L2 )/L
上記の式および図3において、Lはスピンドル(5) 全体(スピンドルと工具を合わせたもの)の重心(G) から工具(18) の先端までのZ軸方向の距離、L1 は重心(G) から上部ラジアル磁気軸受(7) までのZ軸方向の距離、L2 は重心(G) から下部ラジアル磁気軸受(8) までのZ軸方向の距離である。工具(18)の先端の位置および上下のラジアル磁気軸受(7)(8)の位置は一定であるから、重心(G) の位置がわかれば、L、L1 およびL2 がわかる。工具(18)が変われば、その重さも変わるので、重心(G) の位置も変わる。重心(G) の位置は、たとえば、スピンドル(5) を磁気軸受(6)(7)(8) で非接触支持したときの各磁気軸受磁気軸受(6)(7)(8) の電磁石(6a)(7a)(8a)の励磁電流などから推定することができる。したがって、工具(18)が交換されたときに、上記のように重心(G) の位置を推定し、それからL、L1 およびL2 を求めることができる。あるいは、工具(18)が決まると、重心(G) の位置を計算などによって求めることができるので、工具番号と工具の種類との関係が不変である場合は、各工具(18)を装着したときのL、L1 およびL2 を磁気軸受制御装置(15)に入力して記憶しておくようにすることもできる。R1 は、上部ラジアル磁気軸受(7) の位置における剛性値であり、磁気軸受(7) の位置においてスピンドル(5) に加えたX軸方向の荷重とこの位置におけるスピンドル(5) のX軸方向の変位の測定値との比として求めらる。R2 は、下部ラジアル磁気軸受(8) の位置における剛性値であり、R1 と同様にして求められる。
【0047】
剛性値の演算が終了すると、そのときのスピンドル(5) の回転数と剛性値が記憶される(ステップ8)。そして、そのときの回転数指令値が上限回転数以上であるかどうかが調べられ(ステップ9)、上限回転数以上でなければ、ステップ10に進んで、回転数指令値を所定値だけ増加させ、ステップ4に戻る。回転数指令値が上限回転数以上になるまで、ステップ10、ステップ4〜9が繰返され、上限回転数以上になった時点で、ステップ9からステップ11に進む。
【0048】
このようにしてステップ11に進んだときには、下限回転数と上限回転数との間の複数の回転数について、スピンドル(5) を加振したときの変位の測定および剛性値の演算が終了し、各回転数における剛性値が記憶されている。ステップ11では、この回転数と剛性値との関係に基づいて、最適回転数が選定され、処理を終了する。処理を終了したときには、剛性特性および最適回転数が工具番号とともに磁気軸受制御装置(15)に記憶されている。最適回転数は、たとえば、下限回転数と上限回転数の間で最も剛性値の高い回転数に設定することもできるし、あるいは下限回転数と上限回転数の間にあって剛性値が所定値以上である回転数の中で最も高い回転数に設定することもできる。前者の例が図4に、後者の例が図5にそれぞれ示されている。図4および図5は、番号1および2の2種類の工具についての剛性測定結果すなわち回転数(横軸)と剛性値(縦軸)との関係を表わすグラフであり、NL は下限回転数、NU は上限回転数である。また、Aは番号1の工具、Bは番号2の工具の場合の測定結果をそれぞれ示している。図4の場合、各工具について、下限回転数NL と上限回転数NU の間で最も剛性値の高い回転数NA 、NB がそれぞれ最適回転数となる。図5の場合、RO は最適回転数選定の基準となる剛性値であり、各工具について、下限回転数NL と上限回転数NU の間にあって剛性値がRO 以上である回転数の中で最もの高い回転数NA 、NB がそれぞれ最適回転数となる。
【0049】
上記のフローチャートにおいて、ステップ4〜8の部分が剛性測定手段を構成し、これを含むステップ1〜10の部分が剛性特性測定手段を構成し、ステップ11の部分が最適回転数選定手段を構成している
一般の工作機械では、工具番号と工具の種類との関係が不変である場合が多い。そのような場合、上記の剛性特性測定および最適回転数選定は、各工具について、その工具による加工を行う前の任意の時点において1回だけ行えばよい。そして、各工具について選定された最適回転数は、その工具による加工が行われるときのスピンドル(5) の回転数の制御のために使用される。すなわち、磁気軸受制御装置(15)は、NC装置(2) からスピンドル回転指令を受けたときに、そのときの工具番号指令に対応する工具について記憶している最適回転数でスピンドル(5) が回転するようにモータ(12)を制御する。
【0050】
剛性特性測定および最適回転数選定が終了した後であっても、必要に応じ、加工時の任意の時点において、同一工具について、前と異なる回転数範囲における最適回転数選定を行うことができるようにすることもできる。この最適回転数選定は、たとえば、NC装置(2) から新しい回転数範囲(最初より狭い範囲)を指定して指令することにより行われる。このときには、その工具についての剛性特性が磁気軸受制御装置(15)に記憶されているので、剛性特性測定は行わずに、新しい回転数範囲について、最適回転数選定だけを前記同様に行うことができる。
【0051】
各工具についての最適回転数選定は、同一工具についての剛性特性測定が終了した後でなければ実行できないが、剛性特性測定および最適回転数選定のタイミング、ならびにこれらの結果に基づく加工時のスピンドル(5) の回転数の制御の仕方については、上記以外に様々な態様が考えられる。
【0052】
上記の例では、磁気軸受制御装置(15)に記憶された最適回転数に基づいて回転数の制御が行われているが、NC装置(2) に最適回転数を記憶し、これを磁気軸受制御装置(15)に出力して回転数の制御を行うようにしてもよい。
【0053】
図2のフローチャートのうち、ステップ1〜10の剛性特性測定に相当する部分を磁気軸受制御装置(15)で行い、ステップ11の最適回転数選定に相当する部分をNC装置(2) で行うようにしてもよい。また、ステップ4〜8の剛性測定に相当する部分だけを磁気軸受制御装置(15)で行い、残りの部分をNC装置(2) で行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施形態を示す磁気軸受スピンドル装置の概略構成図である。
【図2】図2は、剛性特性測定および最適回転数選定の1例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、剛性値演算の原理を示す説明図である。
【図4】図4は、剛性特性と最適回転数選定の1例を示すグラフである。
【図5】図5は、剛性特性と最適回転数選定の他の1例を示すグラフである。
【符号の説明】
(1) 磁気軸受スピンドル装置
(5) スピンドル
(6) アキシアル磁気軸受
(6a) 電磁石
(7)(8) ラジアル磁気軸受
(7a)(8a) 電磁石
(9) アキシアル位置センサ
(10)(11) ラジアル位置センサ
(12) 高周波モータ
(15) 磁気軸受制御装置
Claims (4)
- 異なる種類の工具が装着されるスピンドルが、複数組の磁気軸受により非接触支持される磁気軸受スピンドル装置において、使用状態における上記スピンドルの回転数と剛性との関係を求める剛性特性測定手段、および上記剛性特性測定手段の測定結果から最適回転数を選定する最適回転数選定手段を備えており、前記剛性特性測定手段が、所定の回転数範囲内において前記スピンドルの回転数を段階的に変え、各回転数において剛性測定手段により前記スピンドルの剛性を測定し、各工具についての回転数と剛性の関係を記憶するものであり、前記最適回転数選定手段が、記憶されている回転数と剛性の関係に基づいて、前記回転数範囲内において最も剛性の高い回転数を最適回転数に選定するものであることを特徴とする磁気軸受スピンドル装置。
- 異なる種類の工具が装着されるスピンドルが、複数組の磁気軸受により非接触支持される磁気軸受スピンドル装置において、使用状態における上記スピンドルの回転数と剛性との関係を求める剛性特性測定手段、および上記剛性特性測定手段の測定結果から最適回転数を選定する最適回転数選定手段を備えており、前記剛性特性測定手段が、所定の回転数範囲内において前記スピンドルの回転数を段階的に変え、各回転数において剛性測定手段により前記スピンドルの剛性を測定し、各工具についての回転数と剛性の関係を記憶するものであり、前記最適回転数選定手段が、記憶されている回転数と剛性の関係に基づいて、前記回転数範囲内にあって剛性が所定値以上である回転数の中で最も高い回転数を最適回転数に選定するものであることを特徴とする磁気軸受スピンドル装置。
- 前記剛性特性測定手段が、前記スピンドルを所定の回転数で回転させた状態で、前記磁気軸受の電磁石に供給する励磁電流を制御することにより前記スピンドルを所定のラジアル方向に加振して、前記ラジアル方向の前記スピンドルの変位を測定し、前記変位から前記スピンドルの剛性値を演算するものであることを特徴とする請求項1または2の磁気軸受スピンドル装置。
- 前記スピンドルの先端部に工具が装着され、前記磁気軸受が少なくとも2組のラジアル磁気軸受を含み、前記剛性特性測定手段が、前記スピンドルを所定の回転数で回転させた状態で、前記ラジアル磁気軸受の電磁石に供給する励磁電流を制御することにより前記スピンドルを所定のラジアル方向に加振して、前記各ラジアル磁気軸受の位置における前記ラジアル方向の前記スピンドルの変位を測定し、前記変位から前記スピンドルの前記工具の先端における剛性値を演算するものであることを特徴とする請求項1または2の磁気軸受スピンドル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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