JP3722673B2 - 通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間ダイバーシチ方式を使用した通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の時間ダイバーシチ方式を用いた通信システムの装置構成の概念図である。時間ダイバーシチ方式とは、例えばヘリコプター搭載の衛星通信装置が衛星に向けて上方に電波を送出する際に、ヘリコプターの回転翼によって電波が瞬断される場合など、周期的に生じる伝送データの損失に対応するための方式である。
【0003】
すなわち、データ伝送を行う場合、ある時間長を持ったデータフレームを設定しデータを送信する(ノーマルデータ)。そして、一定数のフレーム送信後に一度送信したノーマルデータと同じデータを再度送信し(遅延データ)、受信側でノーマルデータと遅延データを比較して欠損していない方のデータを選択する。ここで、瞬断による欠損は周期的に起こる場合を想定しているため、ノーマルデータと遅延データの両方が欠損しないようにするためには、瞬断されている時間に合わせたフレーム長を設定する必要がある。
【0004】
図7において21aおよび21bは、異なる遅延時間を持った移動局である。22は地上局である。23aは地上局22内の移動局11aの遅延時間に対応した従来の通信装置、23bは移動局21bの遅延時間に対応した従来の通信装置である。従来例では、遅延時間の異なる複数の移動局と地上局とが通信する場合、移動局の遅延時間に対応した通信装置を設置しなければならなかった。
【0005】
図8aは時間タイバーシチ方式の送受信タイミングである。24aは瞬断により欠損を受けていないデータフレームであり、24bは瞬断による欠損を受けたデータフレームである。25は周期的に発生する瞬断である。周期的に発生する瞬断25によって欠損を受けたデータフレーム24bが生じる。そのため送出したノーマルデータと数フレーム遅らせて同じデータ(遅延データ)を送出し、受信側はノーマルデータと遅延データとを比較し、データの選択時に欠損を受けていないデータフレーム24aを選択する。図では遅延を1フレームとした場合にノーマルデータまたは遅延データのどちらかは必ず欠損なしに伝送が成功する例である。
【0006】
図8bは遅延を2フレームとした場合に伝送が成功する例である。データの遅延を何フレームとするか、およびデータフレームの長さは、瞬断の長さによって決定する。
【0007】
図8aおよび8bでは、説明の簡便さから瞬断の発生とデータフレームの開始時が同時になっているが、実際には同時である必要はなく、データの発信および受信はどのタイミングで行うことができる。
【0008】
図9は従来の地上局および移動局の装置構成を表すブロック図である。4dはアンテナである。5dは移動局からの無線信号を受信するための受信機である。26aは受信したノーマルデータを遅延データと比較するために遅延させる遅延回路である。26bは送信データ遅延させる遅延回路である。7dはノーマルデータと遅延データとを比較し、正常に受信できているデータを選択するデータ選択部である。8dは選択したデータを中間周波数に復調する復調部である。11dはノーマルデータと遅延データを交互に送信する遅延処理を行う遅延処理部である。12dは無線周波数に変調し、空間に向けてデータ送信を行う送信部である。
【0009】
26aおよび26bの遅延回路は同じ一定の遅延時間が設定される。そして、複数の遅延時間を持った複数の移動局に対し、図9のような構成を持つ通信装置がそれぞれ一つずつ必要であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の技術の時間ダイバーシチ方式を使用した通信装置では、送信側(移動局)と受信側(地上局)が、同じ遅延時間の設定を行っている必要があり、遅延時間が異なる移動局と通信する場合は、各遅延時間にあった時間ダイバーシチ方式の通信装置が地上局に必要となる問題があった。
【0011】
また、あらかじめ地上局にて複数の異なる遅延時間を、1台の通信装置にて切替えられるようにした場合も、地上局側にてあらかじめ遅延時間の設定を変更してから通信を開始する必要があり、移動局側から送信を開始できない問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信システムは、異なる遅延時間を持った複数の移動局と、前記移動局と時間ダイバーシチ方式を使用して通信を行う1つの地上局からなり、通信を開始する際に前記移動局から前記地上局に初期同期フレームを送信する通信システムにおいて、
前記初期同期フレームは予め定めた前記移動局の識別番号を含むものであり、前記識別番号に基づいて、前記地上局が予め記憶している複数の移動局の遅延時間情報から当該移動局の遅延時間を選択して設定するものである。
【0013】
また、通信システムは、異なる遅延時間を持った複数の移動局と1つの地上局からなるものである。
【0015】
また、初期同期フレームは、遅延時間情報を有し、当該遅延時間情報を送信することにより、前記地上局が前記移動局の遅延時間を設定するものである。
【0016】
地上局は、初期同期フレームが有する移動局識別情報から移動局を識別する移動局識別部と、前記識別の結果からあらかじめ設定された遅延時間の中からを選択する遅延時間設定部とを具備するものである。
【0017】
地上局は、前記初期同期フレームが有する遅延時間情報から自局の遅延時間を設定する遅延時間設定部を具備するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の形態1に係る通信システムの概念図を示す。1aおよび1bは地上局2と時間ダイバーシチ方式で通信を行う異なる遅延時間を持った移動局である。3は移動局1aまたは1bから地上局2に対して発信する際、最初に連続送信する初期同期フレーム3である。
【0019】
例えば、移動局1aから通信を開始する場合、通信開始時に初期同期フレーム3を地上局2に送信し、地上局2にて移動局1aに対応した遅延時間を設定する。そして、設定完了の信号を移動局1aに返送し、時間ダイバーシチ方式による通信を開始する。
【0020】
図2は本発明の実施の形態1の通信方式に係る地上局2の装置構成を表すブロック図である。図において4a、5a、6a、6b、7a、8a、11a、12aはそれぞれ従来例の図10の4d、5d、26d、26e、7d、8d、11d、12dと機能は同じである。6aは遅延データと比較するためにノーマルデータに遅延を与える受信用の遅延部であり、移動局に対応した遅延時間を設定する。6bは送信側の遅延回路であり、動作は受信用の遅延部と同じである。9は通信待ち受け時に移動局側から初期同期フレームが送信された場合に、初期同期フレーム上の移動局情報から移動局を識別する移動局識別部である。10は移動局識別部9で特定した移動局に対応した遅延時間を選択する遅延時間選択部であり、選択結果に基づいて遅延部6aおよび6bの遅延時間を設定する。
【0021】
図3は本発明の実施の形態1の通信方式に係る移動局1の装置構成を表すブロック図である。図において4b、5b、6c、6d、7b、8b、11b、12bは地上局2の図2における4a、5a、6a、6b、7a、8a、11a、12aと同じ機能を持つ。13は受信判別部であり、地上局からの初期同期フレームに対する応答信号を識別する。14は送信データ選択部であり、送信開始時に初期同期フレームを出力し、地上局の遅延時間設定完了を待って送信データを遅延処理部11bおよび遅延部6dに出力する。
【0022】
図4に移動局送信の際の初期同期フレーム3の構成を示す。フレーム構成はスタート識別子15、移動体番号16、ストップ識別子17の順番にデータを並べ1フレームを構成する。通信開始時に上記のフレーム構成を持った初期同期フレーム3を連続発信し、地上局2からの応答信号が返ってくるまで発信しつづける。
【0023】
次に、動作について説明する。例えば、移動局1aから通信を開始する場合、図3の送信データ選択部14によって初期同期フレーム3の送信が選択され遅延処理部11bおよび遅延部6dに出力される。遅延処理部11bからは送信機12bへと初期同期フレーム3が連続送信され、受信判別部13で地上局2の遅延時間設定完了の返信を受信するまで継続する。送信機12bからアンテナによって空中に無線信号を送信する。
【0024】
移動局1aの初期同期フレーム3を受信した地上局2では、図2のアンテナ4aを介して受信機5aにて初期同期フレーム3を受信する。受信機5aからデータ選択部7aに入力される。その際、初期状態では遅延部6aは遅延時間を設定しておらず受信機5aからの入力はそのままデータ選択部7aに出力する。データ選択部7aでは正常に受信された初期同期フレーム3を復調部8aに出力し、さらに復調部8aにて中間周波数に変換した初期同期フレーム3を移動局識別部9に入力する。移動局識別部9では、初期同期フレーム3内の移動体番号から移動局1aを特定し、その結果を遅延時間選択部10に出力する。遅延時間選択部10では、移動局1aに対応した遅延時間をあらかじめ設定された遅延時間情報の中から選択する。その結果を遅延部6aおよび6bに出力することによって、遅延部6aおよび6bの遅延時間を設定する。
【0025】
遅延部6aおよび6bの遅延時間の設定が完了したら、地上局2から移動局1aに対して応答信号を返信する。
【0026】
移動局1aが地上局2からの応答信号を受信すると、図3の受信機5b、データ選択部7b、復調部8bを介して、受信判別部13に入力される。受信判別部13にて地上局2の遅延時間設定完了を認識し、送信データ選択部14に設定完了の信号を送る。こうして送信データ選択部14では初期同期フレーム3の送信をやめ、送信データを送信することによって通信を行う。通信開始後の動作は従来の時間ダイバーシチ方式による通信と同じである。
【0027】
送信するデータ長は、時間ダイバーシチ方式の遅延時間により決める。対象とする複数の移動局の遅延時間の中で、最小の遅延時間に合わせて初期同期フレーム3のデータ長を決め、このデータ長の中に機体の識別データを載せて連続して送信する。受信側では、連続送信されたデータから、瞬断によりつぶれていないデータを検出し、そのデータから移動局の識別ができる。
【0028】
以上の例では、移動局側から通信を開始する場合についてであったが、地上局側から通信を開始する場合は、地上局2にて例えば移動局1aに対応した遅延時間を設定し、ただちに通信を開始すれば良い。
【0029】
実施の形態2.
図5に本発明の実施の形態2の通信システムに係る地上局2の装置構成図を示すブロック図を示す。実施の形態1と異なる点は、初期同期フレームにて送る情報が移動局情報ではなく、遅延時間の情報そのものを送信する点が異なる。遅延時間情報自体を送ることによって、例えば新しい移動局が当該通信システム内に増設された場合に、それに伴って新しい移動局情報および遅延時間情報を地上局2に設定する必要が無く、実施の形態1に比べて移動局の増設に対応しやすいという利点がある。
【0030】
図5において、4c、5c、6e、6f、7c、8c、11c、12cは実施の形態1の図2の4a、5a、6a 、6b、7a、8a、11a、12aとそれぞれ機能が同じである。18は初期同期フレーム3内の遅延時間情報を検出する遅延時間検出部である。上記したように移動局側は通信開始時に初期同期フレーム3にて遅延時間情報自体を送り、地上局2は遅延時間検出部18によって遅延時間を検出し遅延部6eおよび6fの遅延時間を決定する。それ以外の動作および移動局の装置構成等は実施の形態1と同じである。
【0031】
図6に初期同期フレーム3の構成を示す。スタート識別子15およびストップ識別子17は実施の形態1の図4と同じである。19は遅延時間情報である。実施の形態1では移動局番号16を親局に通知することによって、親局が遅延時間を選択したが、本実施の形態2では移動体番号16のかわりに遅延時間情報19を送ることによって、親局は遅延時間を認識し遅延部に設定するだけでよく、新たな移動局が通信システム内に増設されても直ちに対応できる衛星通信システムを得る。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、複数の遅延時間をもつ時間ダイバーシチ方式の複数の移動局において、移動局からの通信開始時に初期同期フレームを用い、移動局番号を送信することによって、1つの地上局にて遅延時間を切替えることにより、あらかじめ地上局側の遅延時間を設定しておく必要の無い衛星通信システムを得る。
【0033】
また、上記初期同期フレームにて遅延時間情報自体を送信することにより、新しい移動局が通信システム内に増設されても即時に対応可能な通信システムを得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る通信システムの概念図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る通信システムの地上局の装置構成を表すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る通信システムの移動局の装置構成を表すブロック図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係る通信システムの初期同期フレームのフレーム構成を表す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係る通信システムの地上局の装置構成を表すブロック図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係る通信システムの初期同期フレームのフレーム構成を表す図である。
【図7】 従来の時間ダイバーシチ方式を用いた通信システムの概念図である。
【図8】 従来の時間ダイバーシチ方式を用いた通信システムの遅延を1フレームとした場合の送信データおよび瞬断発生の関係を表す図である。
【図9】 従来の時間ダイバーシチ方式を用いた通信システムの遅延を2フレームとした場合の送信データおよび瞬断発生の関係を表す図である。
【図10】 従来の時間ダイバーシチ方式を用いた通信システムの地上局の装置構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 移動局、 2 地上局 3 初期同期フレーム、
4 アンテナ、 5 受信機、 6 遅延部、 7 データ選択部、
8 復調部、 9 移動局識別部、 10 遅延時間選択部、
11 遅延処理部、 12 送信機、 13 受信判別部、
14 送信データ選択部 15 スタート識別子、
16 移動体番号、 17 ストップ識別子、
18 遅延時間検出部、 19 遅延時間情報、
21 従来の移動局、 22 従来の地上局、
23 従来の通信装置、 24 欠損を受けていないデータフレーム、
25 欠損を受けたデータフレーム、 26 従来の遅延部。
Claims (4)
- 異なる遅延時間を持った複数の移動局と、前記移動局と時間ダイバーシチ方式を使用して通信を行う1つの地上局からなり、通信を開始する際に前記移動局から前記地上局に初期同期フレームを送信する通信システムにおいて、
前記初期同期フレームは予め定めた前記移動局の識別番号を含むものであり、前記識別番号に基づいて、前記地上局が予め記憶している複数の移動局の遅延時間情報から当該移動局の遅延時間を選択して設定することを特徴とする通信システム。 - 前記地上局は、前記移動局識別番号から前記移動局を識別する移動局識別部と、前記識別の結果からあらかじめ記憶している遅延時間の中から自局の遅延時間を設定する遅延時間設定部とを具備することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
- 異なる遅延時間を持った複数の移動局と、前記移動局と時間ダイバーシチ方式を使用して通信を行う1つの地上局からなり、通信を開始する際に前記移動局から前記地上局に初期同期フレームを送信する通信システムにおいて、
前記初期同期フレームは、前記移動局の遅延時間そのものを示す情報を有し、該情報を送信することにより、前記地上局が自局の遅延時間を前記移動局の遅延時間に合わせて設定することを特徴とする通信システム。 - 前記地上局は、前記初期同期フレームが有する遅延時間そのものを示す情報から自局の遅延時間を設定する遅延時間検出部を具備することを特徴とする請求項3記載の通信システム。
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