JP3722661B2 - ワイパ用リンクコンロッドの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイパモータの動力をピボット軸に伝えるのに利用されるワイパ用リンクコンロッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイパモータの動力をピボット軸に伝えるワイパ用リンクコンロッドとしては、コンロッド本体の端部にリテーナがアウトサートモールドにより一体成形されているものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したワイパ用リンクコンロッドでは、コンロッド本体の端部に備えられた板部に、孔が設けられ、この孔のまわりに、アウトサートされるリテーナのがたつきを防ぐとともにリテーナを位置決めするための凹溝がプレス加工により設けられていた。そして、凹溝が板部の上面と下面との対称位置にそれぞれ配置されていた。そのため、凹溝をプレス加工により成形するに際し、凹溝を成形する潰し部分の材料が潰し部分以外や孔に逃げ、その結果、孔に歪みが生じて板部の寸法精度が狂ったり、凹溝が上面、下面のうちの一方にしか成形されなかったりするという問題点があった。また、プレス加工を行うプレス金型の凹溝を成形するための突起部分がプレス金型の上部側と下部側とで対向して配置されるため、プレス金型の寿命が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0004】
【発明の目的】
この発明に係わるワイパ用リンクコンロッドは、リテーナを成形する部分での寸法精度を向上させることができるとともに、プレス金型の寿命を長く保つことができるワイパ用リンクコンロッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法では、長寸状かつ断面円形のパイプ状に形成されたコンロッド本体の端部を潰すことにより板状の上面と下面からなるに板部を形成し、前記板部に貫通する丸孔であるリテーナ位置決め孔を形成するとともに、前記リテーナ位置決め孔と同心の円弧状で断面V字状の複数の上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝とを前記板部の上面および下面に形成し、前記板部に、前記リテーナ位置決め孔を囲み、前記上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝に成形用樹脂圧入してアウトサートモールドによりリテーナを形成するワイパ用リンクコンロッドであって、前記コンロッドの板部の上面に形成された上面側リテーナ固着用溝と下面に形成された下面側リテーナ固着用溝とを互い違いに配置し、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝のそれぞれの両端部を前記板部の厚さ方向に開いて傾斜して形成して、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝が形成された部位における前記板部の肉厚を均一に形成することを特徴としている。
【0007】
この発明の請求項2に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法では、長寸状かつ断面円形のパイプ状に形成されたコンロッド本体の両端部を潰すことにより板状の上面と下面からなるに一対の板部を形成し、前記板部のそれぞれに貫通する丸孔であるリテーナ位置決め孔を形成するとともに、前記リテーナ位置決め孔と同心の円弧状で断面V字状の複数の上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝とを前記板部の上面および下面に形成し、前記一対の板部に、前記リテーナ位置決め孔を囲み、前記上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝に成形用樹脂圧入してアウトサートモールドによりリテーナを形成するワイパ用リンクコンロッドであって、前記コンロッド本体の板部の上面に形成された上面側リテーナ固着用溝と下面に形成された下面側リテーナ固着用溝とを互い違いに配置し、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝のそれぞれの両端部を前記板部の厚さ方向に開いて傾斜して形成して、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝が形成された部位における前記板部の肉厚を均一に形成することを特徴としている。
【0008】
【発明の作用】
この発明の請求項1、2に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法において、板部の孔のまわりに形成された溝は、孔を囲んで板部の一方の面と他方の面とに互い違いにそれぞれ複数形成される。そして、それらの溝内に成形用樹脂が圧入されながら、溝内に圧入された成形樹脂と一体に、孔が形成された板部にリテーナが成形される。それ故、板部は、周断面での肉厚が均一になって、寸法精度に狂いを生ずることがない。また、溝を成形するためのプレス金型の突起部分が上部側と下部側とで対向して配置されないので、プレス金型の寿命が低下しない。
【0009】
【実施例】
図1ないし図9には、この発明に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法の一実施例が示されている。
【0010】
この発明の一実施例で製造されるワイパ用リンクコンロッド(以下、リンクコンロッドと称す。)1は、主として、コンロッド本体1a、第1の板部1b、第1のリテーナ2、第2の板部1c、第2のリテーナ3から構成されている。
【0011】
コンロッド本体1aは、リンクコンロッド1の中央部に配置されている。コントロッド本体1aは、断面形状が円形のパイプ状にされている。コンロッド本体1aの一端側には、第1の板部1bが形成されている。コンロッド本体1aの他端側には、第2の板部1cが形成されている。第1、第2の板部1b、1cは、いずれも同一の形状にされているため、ここでは、第2の板部1cについての説明は省略し、第1の板部1bについてのみ説明する。
【0012】
第1の板部1bは、コンロッド本体1aの一端部を潰し加工することによって、平面状に形成されている。この第1の板部1bのほぼ中央には、リテーナ位置決め孔1dが形成されている。リテーナ位置決め孔1dは、第1の板部1bの上面1b1から下面1b2まで貫通した丸孔にされている。そして、リテーナ位置決め孔1dのまわりに上面側リテーナ固着用溝1e、下面側リテーナ固着用溝1fがそれぞれ配置されている。
【0013】
上面側リテーナ固着用溝1eは、第1の板部1bの上面1b1に配置されている。上面側リテーナ固着用溝1eは、リテーナ位置決め孔1dの内縁部から外周側にわずかに離れた位置で、リテーナ位置決め孔1dの円周方向に、上面側固着用溝非形成部1gを介して8個所に形成されている。
【0014】
上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれは、図4に示されるように、円弧状のV溝状にされている。上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれは、上面側固着用溝非形成部1gがもつb度の間隔角度を介してリテーナ位置決め孔1dの円周方向にa度の形成角度をもつ。そして、上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれは、図6に示されるように、リテーナ位置決め孔1dの径方向に幅寸法L1にされている。また、上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれは、図7に示されるように、両端部が第1の板部1bの厚さ方向に対してc度の傾斜角度をもって、開いて傾斜しており、第1の板部1bの上面1b1から深さ寸法L2をもって形成されている。
【0015】
上面側リテーナ固着用溝1e、上面側固着用溝非形成部1gのそれぞれは、図4に示されるように、第1の板部1bの上面1b1上に配置されている。上面側リテーナ固着用溝1e、上面側固着用溝非形成部1gのそれぞれは、コンロッド本体1aの長さ方向にリテーナ位置決め孔1dの中心を通る中心線C1に対し間隔角度b度の半分(b度/2)の位置Sを基点として、形成角度a度の上面側リテーナ固着用溝1e、間隔角度b度の上面側固着用溝非形成部1gの順に繰り返し順次配置されている。
【0016】
上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれは、リテーナ位置決め孔1dのまわりに第1のリテーナ2がアウトサート成形される際に、第1の板部1bの上面1b1側で成形用樹脂が圧入されることによって第1のリテーナ2の第1の板部1bに対する固着強度を増大する機能をもつ。
【0017】
下面側リテーナ固着用溝1fは、第1の板部1bの下面1b2に配置されている。下面側リテーナ固着用溝1fは、リテーナ位置決め孔1dの内縁部から外周側にわずかに離れた位置で、リテーナ位置決め孔1dの円周方向に、下面側固着用溝非形成部1hを介して8個所に形成されている。
【0018】
下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、第1の板部1bの下面1b2、上面1b1で、上面側固着用溝非形成部1gのそれぞれに一対に配置されている。それ故、上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれが、第1の板部1bの上面1b1、下面1b2で、下面側固着用溝非形成部1hのそれぞれに一対に配置されている。
【0019】
下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、図4に示した上面側リテーナ固着用溝1eと同様にして、円弧状のV溝状にして、下面側固着用溝非形成部1hがもつb度の間隔角度を介してリテーナ位置決め孔1dの円周方向にa度の形成角度をもつ。下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、図6と同様にして、リテーナ位置決め孔1dの径方向に幅寸法L1にされている。また、下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、図7に示されるように、両端部が第1の板部1bの厚さ方向に対してc度の傾斜角度をもって、開いて傾斜しており、第1の板部1bの下面1b2から深さ寸法L2をもって形成されている。
【0020】
下面側リテーナ固着用溝1f、下面側固着用溝非形成部1hのそれぞれは、図5に示されるように、第1の板部1bの下面1b2上で、コンロッド本体1aの長さ方向にリテーナ位置決め孔1dの中心を通る中心線C1に対し形成角度a度の半分(a度/2)の位置Tを基点として、間隔角度b度の下面側固着用溝非形成部1h、形成角度a度の下面側リテーナ固着用溝1fの順に繰り返し順次配置されている。それ故、下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、上面側リテーナ固着用溝1eのそれぞれに対して位相差をもって配置されるから、それぞれの下面側リテーナ固着用溝1fとそれぞれの上面側リテーナ固着用溝1eとは、第1の板部1bの厚さ方向に対向して配置されない。
【0021】
下面側リテーナ固着用溝1fのそれぞれは、リテーナ位置決め孔1dのまわりに第1のリテーナ2がアウトサート成形される際に、第1の板部1bの下面1b2側で成形用樹脂が圧入されることによって第1のリテーナ2の第1の板部1bに対する固着強度を増大する機能をもつ。
【0022】
第1の板部1bでは、上面1b1にそれぞれ形成された上面側リテーナ固着用溝1eが下面1b2にそれぞれ形成された下面側リテーナ固着用溝1fに対し位相差をもって配置されているので、図7に示されるように、両者が周断面で互い違いに配置されている。
【0023】
第1の板部1b、上面側リテーナ固着用溝1e、下面側リテーナ固着用溝1fがそれぞれプレス加工により形成されるに際し、第1の板部1bの周断面の肉厚が周方向に均一になっている。それ故、上面側、下面側リテーナ固着用溝1e、1fがそれぞれ形成される潰し部分の材料が潰し部分以外やリテーナ位置決め孔1dに逃げることがない。その結果、従来のもののように、リテーナ位置決め孔1dに歪みが生ずることがなくなり、第1の板部1bの寸法精度が狂ったり、上面側、下面側リテーナ固着用溝1e、1fが上面1b1、下面1b2のうちの一方にしか成形されないことがない。
【0024】
さらに、上面側、下面側リテーナ固着用溝1e、1fをプレス成形するためのプレス金型の突起部分が、第1の板部1bの上面1b1側に配置されるプレス金型の上部側と、第1の板部1bの下面1b2側に配置されるプレス金型の下部側とで対向して配置されないため、当該プレス金型の上部側と下部側とで突起のそれぞれに大きなストレスがかからないので、プレス金型の寿命が低下するおそれがない。
【0025】
そして、第1の板部1bに、第1のリテーナ2がアウトサート成形されている。第1のリテーナ2は、図8に示されるように、リテーナ位置決め孔1d、第1の板部1bの上面1b1、第1の板部1bの下面1b2を介して第1の板部1bに一体成形される。
【0026】
第1のリテーナ2には、図8に示されるように、略椀形のリテーナ本体2aの内側に、凹状の球面にされた嵌合部2bが形成されている。この嵌合部2bの外側には、リテーナ位置決め孔1dの内縁部に固着されたリテーナ位置決め孔固着部2cが形成されている。また、第1のリテーナ2には、第1の板部1bの下面1b2側に、それぞれの下面側リテーナ固着用溝1f内に突出した下面側固着部2dが形成されている。そして、第1のリテーナ2には、第1の板部1bの上面1b1側に、下面側固着部2dと互い違いに配置されてそれぞれの上面側リテーナ固着用溝1e内に突出した上面側固着部2eが形成されている。
【0027】
第1のリテーナ2が第1の板部1bにアウトサート成形されるに際し、第1の板部1bの上面側リテーナ固着用溝1e、第1の板部1bの下面側リテーナ固着用溝1fにより、第1の板部1bに対する固着強度が増大されているから、第1のリテーナ2が第1の板部1bに強固に固着成形される。このとき、上面側固着部2e、下面側固着部2dが第1の板部1bの厚さ方向に一致して配置されないから、樹脂の収縮が起こらずに、ゆがむことなく成形される。また、第1の板部1bでの周断面の肉厚が周方向に均一になることによって、リテーナ位置決め孔1dに歪みが生じないから、寸法精度に狂いのない第1の板部1bに対して第1のリテーナ2が成形される。そのため、コンロッド本体1aがもつ幾何学的中心に対して位置ずれすることなく第1のリテーナ2が配置される。
【0028】
第2の板部1cにも、上述した第1のリテーナ2と同様にして第2のリテーナ3がアウトサート成形されている。
【0029】
このような構造をなすリンクコンロッド1は、図9に示されるワイパリンク装置20に用いられる。このワイパリンク装置20には、モータアーム5、リンクコンロッド1、第1のピボットアーム6、第1のピボット軸7、ワイパフレーム8、リンクコンロッド1と同様に構成された第2のリンクコンロッド9、第2のピボットアーム10、第2のピボット軸11がそれぞれ備えられている。ワイパフレーム8にはワイパモータ12が固定されている。
【0030】
リンクコンロッド1の第1のボールリテーナ2の嵌合部2bには、図8に示される第1のボールピン4が球面対偶を介して結合されている。第1のボールピン4は、モータアーム5の先端部に固定されている。第1のボールピン4は、モータアーム5の基端部がワイパモータ12に備えられた出力軸12aにねじ止められている。
【0031】
ワイパモータ12は、3個のブラシをもつ2スピードの直流モータである。ワイパモータ12は、ブラシのそれぞれがワイパ制御回路に電気的に接続される。ワイパモータ12は、ワイパ制御回路より低速側のブラシに電源の電流が供給されると、図示しないアーマチュアが低速で回転することによって出力軸12aが低速で回転するため、モータアーム5を低速で回転させる。これとは異なり、ワイパモータ12は、ワイパ制御回路より高速側のブラシに電源の電流が供給されると、アーマチュアが高速で回転することによって出力軸12aが高速で回転するため、モータアーム5を高速で回転させる。
【0032】
リンクコンロッド1の第2のボールリテーナ3には、第2のボールピン13が球面対偶を介して結合されている。第2のボールピン13は、第1のピボットアーム6の先端部の表面上に固定されている。この第1のピボットアーム6の基端部は、第1のピボット軸7に固定されている。第1のピボット軸7は、ワイパフレーム8の一端部側に回転可能に支持されている。第1のピボット軸7には、車体パネルの外側に突出した部分に図示しないワイパアームがねじ止めされる。ワイパアームにはワイパブレードが装着される。
【0033】
また、第1のピボットアーム6の先端部の裏面上には、第3のボールピン14が固定されている。この第3のボールピン14は、第2のリンクコンロッド9の一端部にアウトサート成形された第3のリテーナ15に球面対偶を介して結合されている。そして、第2のリンクコンロッド9の他端部には、アウトサート成形された第4のリテーナ16が備えられている。この第4のリテーナ16に、第4のボールピン17が球面対偶を介して結合されている。
【0034】
第4のボールピン17は、第2のピボットアーム10の先端部に固定されている。第2のピボットアーム10の基端部は、第2のピボット軸11に固定されている。第2のピボット軸11は、ワイパフレーム8の他端部側に回転可能に支持されている。この第2のピボット軸11には、車体パネルの外側に突出した部分に図示しないワイパアームがねじ止めされる。ワイパアームにはワイパブレードが装着される。
【0035】
ワイパフレーム8の一端部、他端部には、車体側固定部8a、8bがそれぞれ形成されている。ワイパモータ12にも車体側固定部12bが形成されている。
【0036】
ワイパリンク装置20は、ワイパフレーム8の車体側固定部8a、8b、ワイパモータ12の車体側固定部12bがダッシュアッパパネル等の車体パネルにそれぞれねじ止められ、ワイパモータ12がワイパ制御回路に電気的に接続されて車両に搭載される。
【0037】
ワイパ制御回路よりワイパモータ12の低速側のブラシに電源の電流が供給されて出力軸12aが低速で回転することによって、モータアーム5が低速で回転すると、モータアーム5が低速で回転することにより、リンクコンロッド1を介して第1のピボットアーム6が往復で回動する。第1のピボットアーム6が往復で回動することにより、第2のリンクコンロッド9を介して第2のピボットアーム10が往復で回動する。そして、第1のピボットアーム6の往復回動により第1のピボット軸7が往復で回動するとともに、第2のピボットアーム10の往復回動により第2のピボット軸11が往復で回動することにより、それぞれのワイパアームを介してそれぞれのワイパブレードが低速で払拭面を繰り返し拭う。
【0038】
上記に反して、ワイパ制御回路よりワイパモータ12の高速側のブラシに電源の電流が供給されて出力軸12aが高速で回転することによって、モータアーム5が高速で回転すると、モータアーム5が高速で回転することにより、リンクコンロッド1を介して第1のピボットアーム6が往復で回動し、第1のピボットアーム6が往復で回動することにより、第2のリンクコンロッド9を介して第2のピボットアーム10が往復で回動する。そして、第1のピボットアーム6の往復回動により、第1のピボット軸7が往復で回動するとともに、第2のピボットアーム10の往復回動により、第2のピボット軸11が往復で回動し、それぞれのワイパアームを介してそれぞれのワイパブレードが高速で払拭面を繰り返し拭う。
【0039】
上述したように、リンクコンロッド1は、上面側リテーナ固着用溝1e、下面側リテーナ固着用溝1fにより、第1の板部1bの周断面の肉厚が周方向に均一になることによって、リテーナ位置決め孔1dに歪みが生ずることがないから、第1の板部1bの寸法精度が狂ったり、上面側、下面側リテーナ固着用溝1e、1fが上面1b1、下面1b2のうちの一方にしか成形されないことがない。また、プレス加工を行うプレス金型の上面側、下面側リテーナ固着用溝1e、1fを成形するための突起部分がプレス金型の上部側と下部側とで対向して配置されないから、プレス金型の上部側と下部側とで突起のそれぞれに大きなストレスがかからず、その結果、プレス金型の寿命が低下することがない。なお、図示はしないが、第2のリンクコンロッド9にもリンクコンロッド1と同様にして、第1の板部、第2の板部、リテーナ位置決め孔、上面側リテーナ固着用溝、下面側リテーナ固着用溝がそれぞれ形成されている。
【0040】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1、2に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法によれば、コンロッドの板部の上面に形成された上面側リテーナ固着用溝と下面 に形成された下面側リテーナ固着用溝とを互い違いに配置し、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝のそれぞれの両端部を板部の厚さ方向に開いて傾斜して形成して、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝が形成された部位における前記板部の肉厚を均一に形成される。そして、それらの溝内に成形用樹脂が圧入されながら、溝内に圧入された成形樹脂と一体に、孔が形成された板部にリテーナが成形される。それ故、板部は、周断面での肉厚が均一になって、寸法精度に狂いを生ずることがない。また、溝を成形するためのプレス金型の突起部分が上部側と下部側とで対向して配置されないので、プレス金型の寿命が低下しない。よって、リテーナを成形する部分での寸法精度を向上させることができるとともに、プレス金型の寿命を長く保つことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるワイパ用リンクコンロッドの製造方法の一実施例により製造されたワイパ用リンクコンロッドの正面図である。
【図2】図1に示したワイパ用リンクコンロッドの底面図である。
【図3】図1に示したワイパ用リンクコンロッドにおいてのリテーナを成形する前の正面図である。
【図4】図3に示したワイパ用リンクコンロッドの平面図である。
【図5】図3に示したワイパ用リンクコンロッドの底面図である。
【図6】図3に示したワイパ用リンクコンロッドにおいての板部の部分的拡大図である。
【図7】図6に示した板部の(A−A)線断面図である。
【図8】図1に示したワイパ用リンクコンロッドの縦断面図である。
【図9】図1に示したワイパ用リンクコンロッドが用いられるワイパリンク装置の外観図である。
【符号の説明】
1 (ワイパ用リンクコンロッド)リンクロッド
1a (筒状部)コンロッド本体
1b (板部)第1の板部
1d (孔)リテーナ位置決め孔
1e (溝)上面側リテーナ固着用溝
1f (溝)下面側リテーナ固着用溝
2 (リテーナ)第1のリテーナ

Claims (2)

  1. ワイパ用リンクコンロッドの製造方法であって、長寸状かつ断面円形のパイプ状に形成されたコンロッド本体の端部を潰すことにより板状の上面と下面からなるに板部を形成し、前記板部に貫通する丸孔であるリテーナ位置決め孔を形成するとともに、前記リテーナ位置決め孔と同心の円弧状で断面V字状の複数の上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝とを前記板部の上面および下面に形成し、前記板部に、前記リテーナ位置決め孔を囲み、前記上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝に成形用樹脂圧入してアウトサートモールドによりリテーナを形成するワイパ用リンクコンロッドであって、前記コンロッドの板部の上面に形成された上面側リテーナ固着用溝と下面に形成された下面側リテーナ固着用溝とを互い違いに配置し、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝のそれぞれの両端部を前記板部の厚さ方向に開いて傾斜して形成して、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝が形成された部位における前記板部の肉厚を均一に形成することを特徴とするワイパ用リンクコンロッドの製造方法。
  2. ワイパ用リンクコンロッドの製造方法であって、長寸状かつ断面円形のパイプ状に形成されたコンロッド本体の両端部を潰すことにより板状の上面と下面からなるに一対の板部を形成し、前記板部のそれぞれに貫通する丸孔であるリテーナ位置決め孔を形成するとともに、前記リテーナ位置決め孔と同心の円弧状で断面V字状の複数の上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝とを前記板部の上面および下面に形成し、前記一対の板部に、前記リテーナ位置決め孔を囲み、前記上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝に成形用樹脂圧入してアウトサートモールドによりリテーナを形成するワイパ用リンクコンロッドであって、前記コンロッド本体の板部の上面に形成された上面側リテーナ固着用溝と下面に形成された下面側リテーナ固着用溝とを互い違いに配置し、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝のそれぞれの両端部を前記板部の厚さ方向に開いて傾斜して形成して、上面側リテーナ固着用溝と下面側リテーナ固着用溝が形成された部位における前記板部の肉厚を均一に形成することを特徴とするワイパ用リンクコンロッドの製造方法。
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