JP3722591B2 - 研磨装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨技術、特に、化学的機械研磨(Chemical Mechahical Polishing)技術に関し、例えば、パターニングされた半導体ウエハ(以下、ウエハという。)のパターニング側主面を化学的機械研磨するのに利用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、パターニングされたウエハ(以下、パターン付きウエハという。)のパターニング側主面の凹凸を化学的機械研磨方法によって平坦化する半導体装置の製造方法が提案されている。パターン付きウエハのパターニング側主面の凹凸を化学的機械研磨方法によって平坦化する技術は、パターン付きウエハを研磨工具に擦り付けて研磨するため、ウエハのパターン側主面の凹凸を迅速かつ正確に平坦化することができる。
【0003】
この平坦化に使用される化学的機械研磨方法を実行する化学的機械研磨装置は、円盤形状に形成されて回転する回転テーブルの上に貼着された研磨工具と、パターン付きウエハを保持した状態で自転するヘッドと、微細な砥粒を純水等によって懸濁(suspension)させたスラリーと呼ばれる研磨液を研磨工具に供給するスラリー供給装置とを備えており、研磨工具の研磨面にスラリーを滴下した後に、自転するヘッドによって保持したパターン付きウエハの被研磨面を回転する研磨工具の研磨面に押し当てて化学的機械研磨するように構成されている。
【0004】
ところが、この化学的機械研磨方法においては、スラリーに含まれる砥粒同士の凝集物および研磨中にウエハが破砕することによって生ずる破片や塵埃等の異物が研磨工具の研磨面に多数存在し、これら異物はスラリーのかけ流し程度では研磨面から完全に除去することができずに研磨面に残留することが起こる。そして、研磨面に残留した異物によってパターン付きウエハの被研磨面が損傷されることにより、下地のパターンがダメージを受けるため、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができない。
【0005】
この化学的機械研磨方法の問題点を解決する手段として、特開平8−294861号公報には次のような研磨装置が提案されている。すなわち、この研磨装置は、研磨工具におけるパターン付きウエハの擦り付け領域の回転方向後方側に研磨加工中に研磨面から研磨廃液を除去する液排出機構を備えており、一度研磨に使用したスラリー廃液が液排出機構によって強制的に排出されるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した研磨装置においては、粒径が数μm以上の比較的大きな異物や研磨工具に研磨クロスの代わりに固定砥粒を使用した場合に発生する砥石のチッピングによる異物の除去は充分に除去することができないため、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができないという問題点があることが、本発明者によって明らかにされた。
【0007】
また、スラリーには粒径が数十μmからサブμmまでのシリコン酸化物や酸化セリウム等の微細な砥粒が使用されているため、スラリーはきわめて高価な材料になる。他面、スラリーはかけ流されるため、殆どのスラリーは化学的機械研磨に寄与することがなく排出されてしまう。したがって、きわめて高価なスラリーがかけ流されて研磨に寄与することなく強制的に排出されてしまうと、研磨装置のランニングコストが上昇してしまい、パターン付きウエハの平坦化工程のコストひいては半導体装置の製造方法全体のコストが上昇してしまう。
【0008】
本発明の目的は、コストの上昇を抑制しつつ信頼性のある加工を安定的に実施することができる研磨技術を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、次の通りである。
【0011】
すなわち、固定砥粒を有し回転する研磨工具の研磨材面にワークの被研磨面を押接させて研磨する研磨装置において、
前記研磨工具における前記ワークが前記研磨工具に押接される位置の回転方向後方側にクリーニング装置を備え、該クリーニング装置は、
前記研磨工具の研磨材面に洗浄水を噴出する噴出口を有する洗浄水供給手段と、
該洗浄水供給手段により供給された前記洗浄水を乱流状態にさせる洗浄部と、
前記乱流状態の洗浄水に随伴して浮遊した前記研磨工具の研磨材面における凝集物や異物を真空吸引して回収する吸引手段とを備え
前記洗浄部と前記研磨工具の研磨材面とが形成する空間は前記洗浄水を噴出する噴出口よりも狭いことを特徴とする。
【0012】
前記した手段によれば、研磨によって発生した凝集物や異物をクリーニング装置によって完全に除去することができるため、これら凝集物や異物によるワークの被研磨面の損傷の発生を防止することができ、その結果、その損傷による下地パターンのダメージの発生を未然に防止することができる。つまり、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態である研磨装置を示しており、(a)は斜視図、(b)は主要部の拡大断面図である。図2は図1(a)の展開図である。図3は各主要部を示しており、(a)はヘッドの正面断面図、(b)はスラリー供給装置を示す正面断面図である。図4以降は本発明の一実施形態である研磨方法を説明する各説明図である。
【0014】
本実施形態において、本発明に係る研磨装置は、半導体装置の製造方法で使用されるパターン付きウエハ研磨装置(以下、研磨装置という。)として構成されている。ここで、半導体装置の製造方法の対象であって研磨装置10のワークである図4に示されているパターン付きウエハ(以下、ワークという。)1について簡単に説明する。
【0015】
図4に示されているワーク1は外周の一部にオリエンテーションフラット(以下、オリフラという。)3が直線形状に切設されたウエハ(以下、サブストレートという。)2を備えている。サブストレート2のパターニング側主面(以下、表側面という。)における表層領域には半導体素子の一例であるメモリーMが作り込まれているとともに、表面上には金属膜の一例である配線層膜から形成された配線4および絶縁膜の一例である層間絶縁膜5がそれぞれ被着されている。そして、配線4は厚さを有する線分によって形成されているため、その上に被着された層間絶縁膜5の表側面には凹凸部6が下層の配線4の凹凸に倣って形成されている。そこで、本実施形態においては、この層間絶縁膜5の表側面部の一部を研磨装置10によって化学的機械研磨して除去することにより、層間絶縁膜5が平坦化される。したがって、層間絶縁膜5の表側面は研磨装置10によって研磨される被研磨面7を形成することになる。
【0016】
図1〜3を用いて研磨装置10を詳細に説明する。本実施形態に係る研磨装置10は研磨工具11およびヘッド20を備えている。図3(a)に示されているように、研磨工具11はワーク1の直径よりも充分に大きい半径を有する円盤形状に形成されたベースプレート12を備えており、ベースプレート12は水平面内において回転自在に支持されている。ベースプレート12の下面の中心には垂直方向に配された回転軸13が固定されており、ベースプレート12は回転軸13によって回転駆動されるように構成されている。ベースプレート12の上面には研磨クロス(布)14が全体にわたって均一に貼着されている。研磨クロス14は表面上にポア構造を有する合成樹脂のクロス(布)にコロイダルシリカ等の微細な砥粒が抱え込まれた研磨材であり、表側面によって研磨材面15が形成されている。研磨クロス14による研磨作業に際しては、スラリーが用いられることにより、機械的な研磨(ポリシング)に加えてそのポリシング効果を高めるメカノケミカルポリシング(mechanochemical polishing)が実施される状態になる。
【0017】
ヘッド20はワーク1の直径よりも若干大きい直径を有する円盤形状に形成された本体21を備えており、本体21の下面には円形で一定深さの保持穴22が同心円に配されて没設されている。保持穴22の大きさはワーク1の大きさよりも若干大きめに形成されている。保持穴22の中心には通気口23が開設されており、通気口23には真空ポンプや空圧ポンプ(図示せず)に接続される供給路24が接続されている。保持穴22内には保持穴22の内径と略等しい外径を有する円盤形状のバッキングパッド25が、同心に配されて接着材層(図示せず)によって接着されている。バッキングパッド25はポリ・ウレタンの発泡体によって形成されており、発泡体の多孔質かつ多孔群によってワーク1と接する面に柔軟性の高い層が全体にわたって均一に構成されている。
【0018】
本体21の下面における外周辺部には円形リング形状のガイドリング26が当接されており、ガイドリング26は複数本のボルト27により本体21に締結されている。ガイドリング26はワーク1の被研磨面7の硬度よりも充分に低い硬度を有する樹脂が使用されて、外径が本体21の外径と等しく内径が保持穴22の内径と略等しい円形リング形状に形成されている。ガイドリング26はワーク1をその被研磨面7を下端から下方に露出させた状態で、研磨作業中にワーク1が外側に飛び出すのを阻止しつつ保持する。バッキングパッド25はガイドリング26の中空部内に嵌入されている。なお、28は多孔質板である。
【0019】
ヘッド20は通気口23を中心にして水平面内において回転自在に支承されている。ヘッド20は回転駆動装置(図示せず)によって回転駆動される。ヘッド20は研磨工具11が設備されたステーションとワーク1が1枚ずつ払い出されるローディングステーション(図示せず)との間を移送装置(図示せず)によって往復移動される。ヘッド20は研磨作業に際して極僅かに下降される。
【0020】
図1および2に示されているように、ヘッド20の研磨工具11の上面における回転方向後方位置には、ブラッシング装置30が垂直方向下向きに設備されている。ブラッシング装置30はワーク1の直径よりも若干大きめの直径を有する円盤形状に形成されたベースプレート31を備えており、ベースプレート31は水平面内において回転自在に支持されている。ベースプレート31の上面の中心には垂直方向上向きに配された回転軸32が固定されており、ベースプレート31は回転軸32によって回転駆動されるように構成されている。ベースプレート31の下面には刷毛33が全体にわたって均一に植え込まれている。
【0021】
ブラッシング装置30の研磨工具11の上面における回転方向後方位置には、クリーニング装置40が垂直方向下向きに設備されている。このクリーニング装置40はワーク1の直径よりも若干大きめの直径を有する円盤形状に形成されたベース41を備えており、ベース41は研磨工具11の上面の定められた位置に水平に固定されている。ベース41の下面には研磨工具を洗浄するための洗浄凹部42が没設されており、洗浄凹部42はベース41の下面と研磨工具11の上面との間に高さが低く平面面積の広い狭い空間を形成するように設定されている。洗浄凹部42の径方向(以下、左右方向とする。)の両端部には、洗浄水供給路43が接続された噴出口44および吸引路45が接続された吸引口46がそれぞれ開設されている。洗浄水供給路43は水源やポンプ等からなる洗浄水供給装置(図示せず)に接続されており、加圧された純水を洗浄水47として噴出口44から噴出させるように構成されている。吸引路45はバキュームポンプ等からなるバキューム装置(図示せず)に接続されており、噴出口44から噴出された洗浄水47と共に被洗浄物48を吸引するように構成されている。
【0022】
吸引路45には吸引路45を通過する粒子の個数を計測する粒子計測装置49が設備されており、粒子計測装置49は計測結果をコントローラ(図示せず)に送信するようになっいる。コントローラは計測データに基づいて後述するようにクリーニング装置およびスラリー供給装置を自動制御するとともに、メンテナンスの時期の判断や損傷の発生等のトラブルを予知するように構成されている。
【0023】
ベース41の下面には弗素樹脂等の低摩擦シート50が貼着されており、万一、クリーニング装置40が研磨工具11と接触しても、この低摩擦シート50によって研磨工具11へのダメージが減少されるようになっている。
【0024】
クリーニング装置40の研磨工具11の上面における回転方向後方位置には、砥粒51を研磨工具11に供給するための砥粒供給装置52が設備されている。砥粒供給装置52は砥粒51が保持されたテープ53を繰り出す繰り出しローラ54を備えており、繰り出しローラ54から繰り出されたテープ53の一主面は押接ローラ55によって研磨工具11の上面に押接されることにより砥粒51を研磨工具11の上面に転移されるようになっている。砥粒51が研磨工具11の上面に転移されたテープ53は巻き取りローラ56に巻き取られるように構成されている。砥粒51としてはコロイダルシリカや酸化セシウムの粒子が使用される。粒径はコロイダルシリカの場合には20nm〜50nmであり、酸化セリウムの場合には0.5μm〜数μmである。また、テープ53の砥粒51の保持は粘着剤や静電気等を利用して、研磨工具11への転移が迅速かつ確実に実行されるように構成することができる。
【0025】
砥粒供給装置52の研磨工具11の上面における回転方向後方位置には、純水供給装置60が研磨工具11の上面に純水61を供給するように構成されている。本実施形態においては、これら砥粒供給装置52および純水供給装置60によって、砥粒51が純水61に懸濁されたスラリー62を研磨工具11の研磨材面15に供給するスラリー供給装置63が構成されている。
【0026】
本発明の一実施形態である化学的機械研磨装置の作用を多層配線が形成される場合を例にして、図5を参照して説明する。
【0027】
図5(a)に示されているように、サブストレート2の表側面には多層配線における第1絶縁膜5aが形成される。続いて、第1絶縁膜5aの上には第1配線4aが金属被膜被着処理やリソグラフィー処理およびエッチング処理によってパターニングされる。なお、第1配線4aにはポリシリコンやポリサイド等によって形成されるワード線等も含まれる。
【0028】
次いで、図5(b)に示されているように、ウエハ2の第1絶縁膜5aの上にはSiO2 やSi3 4 等によって形成された第2絶縁膜5bが、CVD法等によって被着される。第2絶縁膜5bは第1配線4aを被覆する。第2絶縁膜5bの表面側には第1配線4aの厚み分に相当する凸部が形成されるため、被研磨面7には不特定多数の凹凸部6が形成された状態になる。この状態のウエハがワーク1として、本実施形態に係る研磨装置10に供給される。
【0029】
一方、研磨装置10において、研磨工具11の回転軸13による回転が安定すると、砥粒供給装置52の押接ローラ55が研磨工具11の上面に押接することにより、テープ53が保持した砥粒51を研磨工具11の研磨材面15に転移させる。砥粒51は研磨工具11の研磨材面15に全体にわたって均一に貼着される。
【0030】
同時に、純水61が研磨工具11の研磨材面15における砥粒51が貼着された領域に純水供給装置60によって均一に撒布される。この砥粒51および純水61の供給によって、研磨工具11の上面には異物の無い砥粒51による新鮮なスラリー62を全体にわたって均一に保持した研磨材面15が形成されるため、研磨レートが安定でワーク1の被研磨面を損傷させることがない化学的機械研磨を実施することができる研磨材面15が形成された状態になる。
【0031】
研磨装置10に供給されたワーク1は、図4(a)に示されているように被研磨面7側を下向きに配された状態でヘッド20のガイドリング26内に挿入される。ワーク1がガイドリング26内に挿入されると、負圧供給路24を通じて負圧が通気口23に供給される。負圧はバッキングパッド25を通じて、ワーク1の被研磨面7と反対側の主面(以下、裏側面という。)8に印加されるため、ワーク1はヘッド20に真空吸着される。ワーク1を真空吸着したヘッド20は移送装置によって研磨工具11の真上に移送された後に下降されて、ワーク1の被研磨面7が研磨クロス14の研磨材面15に押接される。
【0032】
ヘッド20の下降に伴って、ワーク1はバッキングパッド25を介してヘッド本体21によって垂直方向に押し付けられるため、ワーク1の被研磨面7は研磨クロス14の研磨材面15にヘッド本体21による機械的な力によって押し付けられた状態で、研磨材面15に擦られる。また、加工均一性を向上させるために、ワーク1の裏面側に加圧空気を供給してもよい。同時に、スラリー62が研磨材面15に供給されているため、機械的な研磨(ポリシング)に加えてそのポリシング効果を高められた化学的機械研磨が実施される。ワーク1が研磨材面15にヘッド20による機械的な力によって付勢された状態で、被研磨面7は研磨材面15およびスラリー62によって化学的機械研磨されるため、被研磨面7の研磨材面15による研磨量は全体にわたって均一になる。
【0033】
そして、被研磨面7を構成する第2絶縁膜5bの表面部は全体にわたって均等に研磨されるため、図5(c)に示されているように、凹凸部6が全体にわたって除去されるとともに、全体にわたって均一な厚さを呈する第2絶縁膜5bが形成され、きわめて良好な平坦化が実現される。化学的機械研磨において、ワーク1の被研磨面7である第2絶縁膜5bに形成された凹凸部6の凸部は先に除去されて行き、第2絶縁膜5bの表面は次第に平坦化されて行く。この際、被研磨面7は全体にわたって均一に研磨されるため、第2絶縁膜5bの被研磨面7に位置する厚さは全体にわたって均一に減少される。そして、第2絶縁膜5bは全体にわたって均一に被着されていたのであるから、研磨量が全体にわたって均一であるならば、その研磨後の第2絶縁膜5bの被研磨面7に位置する厚さは全体にわたって均一になる。したがって、研磨装置10による研磨量を第2絶縁膜5bの研磨前の厚さ、第1配線4aの厚さおよび凹凸部6の関係によって適度に設定することにより、第1配線4aを研磨することなく第2絶縁膜5bを平坦化することができる。
【0034】
以上の化学的機械研磨に伴って、スラリー中の砥粒51の凝集によって発生した凝集物や、研磨中に発生した切屑、ウエハが破砕することによって発生した破片や塵埃等の異物が研磨工具11の研磨材面15に残留する。残留した凝集物や異物は化学的機械研磨中にワーク1の被研磨面7を損傷させる原因になる。そして、図4(b)に示されているように、ワーク1の被研磨面7が損傷されると、絶縁層がショートしたり、下地パターンである第1配線4aがダメージを受け、抵抗値が低下したり断線したりする。。つまり、凝集物や異物が研磨工具11の研磨材面15に残留すると、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができない。
【0035】
そこで、本実施形態においては、ヘッド20の研磨工具11において回転方向後方位置にブラッシング装置30およびクリーニング装置40を順次配備することにより、凝集物や異物を全て除去するように構成している。すなわち、ブラッシング装置30において、研磨工具11の研磨材面15が刷毛33によってブラッシングされることにより、研磨材面15に食い込んだ凝集物や異物は掻き出される。
【0036】
クリーニング装置40において、洗浄水供給路43から供給された洗浄水47は噴出口44から洗浄凹部42の狭い空間に噴出される。他方、洗浄凹部42は吸引路45から吸引口46に加わる負圧によって吸引されているため、洗浄凹部42の空間に噴出された洗浄水47は洗浄凹部42の全体を流れた後に、吸引口46に全て回収される。洗浄凹部42に噴出された洗浄水47は狭い空間に噴出されるため、層流にならずに乱流状態になる。したがって、研磨工具11の研磨材面15においてブラッシング装置30によって掻き出された凝集物や異物は、乱流状態となった洗浄水47によってきわめて効果的に研磨材面15から巻き上げられて浮遊した状態になる。研磨材面15から剥離されて浮遊した凝集物や異物の被洗浄物48は、乱流状態になった洗浄水47に随伴して吸引口46に全て回収される。
【0037】
以上のようにして、本実施形態によれば、化学的機械研磨によって発生した凝集物や異物はヘッド20の回転方向後方位置に配置されたブラッシング装置30およびクリーニング装置40によって完全に除去されるため、これら凝集物や異物によるワーク1の被研磨面7の損傷の発生を防止することができ、その損傷による第1配線4aのダメージの発生を未然に防止することができる。
【0038】
ここで、クリーニング装置40による研磨工具11の研磨材面15の洗浄が強力に実行されると、研磨材面15に供給されたスラリー62も除去されてしまう状態になる。そこで、本実施形態において、クリーニング装置40の回転方向後方位置に配備された砥粒供給装置52および純水供給装置60によって、前述したように、砥粒51および純水61が順次供給されることにより、新鮮なスラリー62が研磨工具11の研磨材面15に新たに供給される。
【0039】
この際、クリーニング装置40の吸引路45に装備された粒子計測装置49によって計測された吸引路45を通過する粒子の計測データに基づいて、クリーニング装置40による研磨工具11の研磨材面15の洗浄状況と砥粒供給装置52および純水供給装置60によるスラリー62の供給状況との関係がモニタリングされることにより、クリーニング装置40、砥粒供給装置52および純水供給装置60の運転状況が最適に自動制御される。また、粒子の計測データに基づいてメンテナンスの時期の判断やワークの損傷の発生等のトラブルが予知されることになる。
【0040】
この場合、粒子計測装置49の計測データについて標準的に状態を予め標準値として記憶しておき、その標準値からのシフト状態をモニタリングすることにより、運転状況を自動制御することができる。標準的な状態とは、化学的機械研磨が適正に実施されている時の排出粒子の粒径分布や濃度(粒子個数)等の数値データであり、シフト状態とは、例えば、粒径分布の平均値が10%毎に変動した時の化学的機械研磨状態である。そして、このような各状態を予め学習してある割合に達した時点でシーケンス制御することができる。また、ある時点に達した時点でアラームを鳴らす等の手段によって警告を発するようにシーケンスをプログラミングしてもよい。
【0041】
設定した研磨量の化学的機械研磨が終了した状態で、ワーク1の被研磨面7である第2絶縁膜5bの表面は、図5(c)に示されているようにきわめて高精度に平坦化され、かつ、第1配線4aの真上には第2絶縁膜5bが予め設定された層厚をもって残された状態になっている。
【0042】
この状態のワーク1は研磨装置10からアンローディング装置によってウエハカセットに収納され、後続の洗浄工程を経た後、ホール形成工程に送られる。ホール形成工程において、ワーク1の第2絶縁膜5bにおける所定の第1配線4aの真上にはスルーホール4cが図5(d)に示されているように開設される。
【0043】
続いて、第2配線形成工程において、第2絶縁膜5bの上には第2配線4bが金属被膜被着処理やリソグラフィー処理およびエッチング処理によって、図5(e)に示されているようにパターニングされる。この際、第2絶縁膜5bの表面は高精度に平坦化されているため、第2配線4bはきわめて高精度にパターニングされる。第2配線4bのパターニングに際して、第2絶縁膜5bの上に被着される金属被膜の一部が第2絶縁膜5bに開設されたスルーホール4cに充填する。スルーホール4cに充填した金属部によりスルーホール導体4dが形成される。パターニングされた第2配線4bの所定部分は第1配線4aにスルーホール導体4dによって電気的に接続された状態になる。
【0044】
以降、前記した絶縁膜形成工程、平坦化工程、ホール形成工程および配線形成工程が繰り返されることにより、図4(b)に示されている多層配線が形成される。この際、先の工程で形成された層の絶縁膜および配線が次の工程で下層の絶縁膜および下層の配線に相当することになる。なお、ホールはスルーホールに限らず、コンタクトホールの場合も含む。また、ホールは第1層の配線を第2層の配線に接続させるに限らず、第1層の配線を第3層や第4層の配線に接続させる場合もある。
【0045】
前記実施形態によれば次の効果が得られる。
▲1▼ ヘッド20の化学的機械研磨が実行される研磨工具における回転方向後方側にブラッシング装置およびクリーニング装置を順次設備することにより、化学的機械研磨によって発生した凝集物や異物をブラッシング装置およびクリーニング装置によって完全に除去することができるため、これら凝集物や異物によるワークの被研磨面の損傷の発生を防止することができ、その結果、その損傷による下地パターンのダメージの発生を未然に防止することができる。
【0046】
▲2▼ 前記▲1▼により、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができる。
【0047】
▲3▼ クリーニング装置の上手側にブラッシング装置を配備することにより、研磨工具の研磨材面をブラッシング装置の刷毛によってブラッシングして、研磨材面に食い込んだ凝集物や異物を事前に掻き出すことができるため、凝集物や異物をクリーニング装置によって確実に除去することができる。
【0048】
▲4▼ クリーニング装置において、洗浄水を狭い洗浄凹部に噴出させるとともに、洗浄凹部を吸引することにより、研磨工具の研磨材面の凝集物や異物を乱流状態となった洗浄水によってきわめて効果的に研磨材面から巻き上げて浮遊させることができるため、凝集物や異物の被洗浄物を乱流状態になった洗浄水に随伴させて吸引口において全て回収して除去することができる。
【0049】
▲5▼ クリーニング装置によってスラリーを回収することにより、スラリーを再使用することができるため、きわめて高価なスラリーの浪費を低減することができ、コストを低減することができる。
【0050】
▲6▼ クリーニング装置の回転方向後方位置に砥粒供給装置および純水供給装置を配備することにより、砥粒供給装置および純水供給装置によって砥粒および純水を供給することができるため、新鮮なスラリーを研磨工具の研磨材面に常に新たに形成させることができ、前記▲2▼の効果をより一層高めることができる。
【0051】
▲7▼ クリーニング装置の吸引路に粒子計測装置を装備することにより、粒子計測装置によって計測された吸引路を通過する粒子の計測データに基づいて、クリーニング装置による研磨工具の研磨材面の洗浄状況と砥粒供給装置および純水供給装置によるスラリーの供給状況との関係がモニタリングすることができるため、クリーニング装置、砥粒供給装置および純水供給装置の運転状況を最適に自動制御することができ、また、粒子の計測データに基づいてメンテナンスの時期の判断やワークの損傷の発生等のトラブルを予知することができる。
【0052】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、研磨工具の研磨材面は研磨クロスによって形成するに限らず、硬質の研磨パッドによって形成してもよいし、研磨クロスまたは研磨パッドの代わりに砥粒を固定した研磨工具の表面によって形成してよい。砥粒を固定した研磨工具の場合には、チッピングによって発生した大きな異物による損傷を防止することができ、また、砥粒供給装置および純水供給装置を省略することができる。
【0054】
スラリーの供給は砥粒供給装置およひ純水供給装置によって実行するように構成するに限らず、スラリーをスプレー装置によって研磨工具の研磨材面に撒布するように構成してもよい。
【0055】
ブラッシング装置とクリーニング装置とは別体に構成するに限らず、一体的に構成してもよく、一体に構成した場合にはスペースを節約することができる。
【0056】
クリーニング装置の洗浄水としては、純水を使用するに限らず、界面活性剤を混合した水溶液を使用してもよい。界面活性剤を混合した水溶液を使用した場合には、凝集した砥粒を分散させることができるため、洗浄効率を高めることができる。
【0057】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0058】
化学的機械研磨が実行される研磨工具におけるヘッドの回転方向後方側にクリーニング装置を設備することにより、化学的機械研磨によって発生した凝集物や異物をクリーニング装置によって完全に除去することができるため、これら凝集物や異物によるワークの被研磨面の損傷の発生を防止することができ、その結果、その損傷による下地パターンのダメージの発生を未然に防止することができる。つまり、信頼性のある化学的機械研磨を安定的に実施することができる。
【0059】
また、高価なスラリーをクリーニング装置によって回収することにより、再使用することができるため、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である研磨装置を示しており、(a)は斜視図、(b)はクリーニング装置の拡大断面図である。
【図2】図1(a)の展開図である。
【図3】各主要部を示しており、(a)はヘッドの正面断面図、(b)はスラリー供給装置を示す正面断面図である。
【図4】ワークを示しており、(a)は平面図、(b)は拡大部分断面図である。
【図5】化学的機械研磨の半導体装置の製造方法への使用方法を説明するための各拡大部分断面図を示しており、(a)は第1配線形成工程、(b)は第2絶縁膜形成工程、(c)は平坦化工程、(d)はホール形成工程、(e)は第2配線形成工程を示している。
【符号の説明】
1…ワーク(半導体ウエハ)、2…サブストレート(ウエハ)、3…オリエンテーションフラット(オリフラ)、4…配線、4a…第1配線、4b…第2配線、4c…スルーホール、4d…スルーホール導体、5…層間絶縁膜(絶縁膜)、5a…第1絶縁膜、5b…第2絶縁膜、6…凹凸部、7…被研磨面、8…裏側面、10…研磨装置、11…研磨工具、12…ベースプレート、13…回転軸、14…研磨クロス、15…研磨材面、20…ヘッド、21…ヘッド本体、22…保持穴、23…通気口、24…負圧供給路、25…バッキングパッド、26…ガイドリング、27…ボルト、28…多孔質板、30…ブラッシング装置、31…ベースプレート、32…回転軸、33…刷毛、40…クリーニング装置、41…ベース、42…洗浄凹部、43…洗浄水供給路、44…噴出口、45…吸引路、46…吸引口、47…洗浄水、48…被洗浄物、49…粒子計測装置、50…低摩擦シート、51…砥粒、52…砥粒供給装置、53…テープ、54…繰り出しローラ、55…押接ローラ、56…巻き取りローラ、60…純水供給装置、61…純水、62…スラリー、63…スラリー供給装置。

Claims (6)

  1. 固定砥粒を有し回転する研磨工具の研磨材面にワークの被研磨面を押接させて研磨する研磨装置において、
    前記研磨工具における前記ワークが前記研磨工具に押接される位置の回転方向後方側にクリーニング装置を備え、該クリーニング装置は、
    前記研磨工具の研磨材面に洗浄水を噴出する噴出口を有する洗浄水供給手段と、
    該洗浄水供給手段により供給された前記洗浄水を乱流状態にさせる洗浄部と、
    前記乱流状態の洗浄水に随伴して浮遊した前記研磨工具の研磨材面における凝集物や異物を真空吸引して回収する吸引手段とを備え
    前記洗浄部と前記研磨工具の研磨材面とが形成する空間は前記洗浄水を噴出する噴出口よりも狭いことを特徴とする研磨装置。
  2. 前記洗浄水として純水が使用されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記洗浄水として界面活性剤を混合された水溶液が使用されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置
  4. 前記クリーニング装置の上手側に、前記研磨工具の研磨材面を刷毛によって機械的にブラッシングするブラッシング装置が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置
  5. 前記クリーニング装置の下手側に、前記研磨工具の研磨材面にスラリーを供給するスラリー供給装置が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  6. 前記スラリー供給装置が、砥粒を前記研磨材面に供給する砥粒供給装置と前記研磨材面に溶液を供給する溶液供給装置とを備えていることを特徴とする請求項に記載の研磨装置。
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