JP3722530B2 - 含フッ素ビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素ビニルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレンは耐薬品性、耐熱性、表面特性、電気特性等の優れた物性を有している半面、加工性等に問題点を有している。それ故、種々のコモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体が製造されている。こういった共重合体のうち、側鎖にアルコキシル基を有する樹脂が溶融特性の優れたフッ素樹脂として知られており、例えば、特開平2−276808号公報には広いモノマー組成で製造できる樹脂として、テトラフルオロエチレンと含フッ素ビニルエーテルとの共重合体が提案されている。該共重合体に用いられる含フッ素ビニルエーテルは、対応するアルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンとの反応によって製造されることが知られている(米国特許2917548号明細書)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
米国特許2917548号明細書によれば、アルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンとの反応は、80〜110℃といった比較的高い反応温度、及び21kg/cm2程度といった比較的高い反応圧力が採用されているにもかかわらず、目的物である含フッ素ビニルエーテルの収率は高々40%程度と低い。また、反応におけるアルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンの量比については特に説明されておらず、また、その実施例における該量比もアルコキシド化合物に対するテトラフルオロエチレンの配合量が2倍モル以下の低濃度となるような条件で仕込まれて反応が遂行されている。
【0004】
しかして、本発明者らがこの反応を試みたところ、目的物である含フッ素ビニルエーテルの収率が低い原因はテトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物との反応において、テトラフルオロエチレン1モルに対して、アルコキシド化合物が2および3モル反応して得られる多付加体が副生成物として生成しているためであることが明かとなった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、副生成物を低減し、高収率で含フッ素ビニルエーテルを得ることができる改良された製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンとの反応について鋭意研究を重ねた結果、特定の条件下で反応させることにより、アルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンから高収率で含フッ素ビニルエーテルを製造する方法を見いだし、本発明の完成するに到った。
【0007】
即ち、本発明は、テトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物とを溶媒中で反応させて含フッ素ビニルエーテルを製造する方法において、実質的な反応開始から反応終了までを、該溶媒中にテトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対して3倍モル以上存在する状態で反応を行うことを特徴とする含フッ素ビニルエーテルの製造方法である。
【0008】
本発明において、原料の一方はアルコキシド化合物である。このアルコキシド化合物は、公知のものが特に制限されることなく使用できるが、特に本発明において好適に採用されるアルコキシド化合物としては下記一般式(1)
RfCH2OM (1)
(但し、Rfはハロゲン化炭化水素基であり、Mはアルカリ金属である。)
で示されるアルコキシド化合物が挙げられる。そしてさらに、上記一般式(1)で示されるアルコキシド化合物は、Rfのハロゲン化炭化水素基が下記一般式(2)
−CaHbFcXd (2)
(但し、Xはハロゲン原子であり、a及びcは1以上の整数であり、b及びdは0以上の整数であり、且つb+c+d≦2a+1となる関係を満足する。)で示されるフッ素化炭化水素基であるものが好ましい。また、前記一般式(1)中、Mで示されるアルカリ金属はNa、K、Cs等が好適に採用される。さらに、Xのハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子等が好適に採用される。
【0009】
上記した通り前記一般式(1)中、Rfはハロゲン化炭化水素基であればよいが、本発明においては、ハロゲン化炭化水素基は前記一般式(2)で示させるフッ素化炭化水素基が好適である。上記式中のaは1以上の整数であればよいが、原料のアルコールの入手の容易さから、aは1〜10の整数であることが好ましい。上記式中cは1以上の整数であればよく、b及びdはそれぞれ0以上の整数であればよく、b+c+d≦2a+1となる関係を有する。
【0010】
本発明においてさらに好適に用いられるアルコキシド化合物を具体的に例示すると、CF3CH2ONa、CF3CF2CH2ONa、CF3(CF2)2CH2ONa、
CF3(CF2)3CH2ONa、CF3(CF2)4CH2ONa、
CF3(CF2)5CH2ONa、CF3(CF2)6CH2ONa、
HCF2CF2CH2ONa、ClCF2CF2CH2ONa
を挙げることができる。
【0011】
前記一般式(1)で示されるアルコキシド化合物は、市販品をそのまま用いてもよいし、下記一般式(3)
RfCH2OH (3)
(但し、Rfは、前記一般式(1)と同じである。)
で示されるアルコールとアルカリ金属、またはアルカリ金属水素化物との反応によって得たものを用いてもよい。
【0012】
上記のようにアルコールとアルカリ金属またはアルカリ金属水素化物とを反応させてアルコキシド化合物を製造する場合は、本発明の反応に先だって同一の反応系中でアルコキシド化合物を製造しておき、そのまま本発明を実施してもなんら差し支えない。
【0013】
本発明において製造される含フッ素ビニルエーテルは一方の原料であるテトラフルオロエチレンのフッ素原子の1個がもう一方の原料であるアルコキシド化合物のアルコキシ基で置換された構造となる。原料として前記一般式(1)で示されるアルコキシド化合物を用いた場合、本発明の方法によって製造される含フッ素ビニルエーテルは下記一般式(4)
RfCH2OCF=CF2 (4)
(但し、Rfは、前記一般式(1)と同じである。)
で示される含フッ素ビニルエーテルである。
【0014】
本発明においては、一般に反応には溶媒が使用される。用いられる溶媒は、本発明の反応に関して実質的に不活性である化合物であれば特に制限はない。反応系内の水分の存在は、前記一般式(1)で示されるアルコキシド化合物の分解を起こすのみならず、副生成物の増加を招くために目的物の収率低下を引き起こす恐れがある。従って、溶媒は予め脱水、乾燥しておくことが好ましい。本発明において好適に採用される溶媒を例示すると、ジエチルエーテル、グライム類等の直鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;更にはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物を挙げることができ、このうち特にジオキサン、テトラヒドロフランを好適に用いることができる。
【0015】
本発明におけるテトラフルオロエチレンの反応圧力は特に限定されるものではないが、あまり高圧の場合、装置的にかなり高価となる欠点が生じてくる。したがってテトラフルオロエチレンの圧力は1〜30kg/cm2−Gが実際的であり、特に好ましくは、反応速度等を考慮すると5〜20kg/cm2−Gである。また、テトラフルオロエチレンは、反応の極初期に反応器中に封じ込み、反応中には供給しない方法を採用することもでき、また、反応中に連続的、または、間欠的に供給することもできる。
【0016】
次に、反応温度は特に制限されるものではなく、反応速度に応じて反応温度を選べば良いが、一般には0〜120℃の範囲であり、特に20〜80℃の範囲であることが好適である。
【0017】
本発明において、テトラフルオロエチレンに比較的高い圧力をかけた場合にその重合反応が起こる恐れがあるが、このような場合には重合を防止するために重合禁止剤を反応系に添加することが好ましい。重合禁止剤は反応に先だって反応器に入れておいても良いし、導入するテトラフルオロエチレンに同伴させて導入しても良い。用いられる重合禁止剤は実質的にテトラフルオロエチレンの重合を防止するための化合物であればなんら制限なく採用できる。本発明において用いられる重合禁止剤を例示すると、リモネン、ピネン、シメン、テルピネン等を挙げることができる。
【0018】
本発明の最大の特徴は、上記反応において、実質的な反応開始から反応終了までを、テトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対して特定の量比以上存在する状態で反応を行う点にある。即ち、本発明においては、テトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対しを3倍モル以上存在する状態で反応を行えば良く、さらに好適には5倍モル以上存在する状態で反応を行うことによって、さらに副生成物の低減ができ、高収率で含フッ素ビニルエーテルを得ることができる。これに対し、テトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物の量比がこの値より小さい場合は、目的生成物である含フッ素ビニルエーテルの収率が大きく低下し、テトラフルオロエチレン1モルに対して、アルコキシド化合物が2および3モル反応して得られる多付加体が副生成物として多量に生成するため好ましくない。
【0019】
なお、テトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物との量比を上記特定値とするのは、実質的な反応開始から反応終了までの間であれば良く、本発明では、収率に大きな影響を与えず本発明の効果を十分に発揮できる短期間であれば、該量比が一時的に上記値を下回る場合も許容される。即ち、本発明には、反応開始から反応終了までの完全な全期間を上記条件で反応を実施する場合の他、反応開始直後や途中サンプリングする際等において、一時的に前記量比が3倍モルより小さくなる場合も包含される。具体的には、反応開始から反応終了までの間の95%以上、更に好適には全反応時間の98%以上をテトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対して3倍モル以上存在する状態として反応を行うのが良好である。
【0020】
ここで、本発明においてテトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物の混合方法は特に制限はされないが、その方法を例示するならば、反応容器中に予めアルコキシド化合物を溶媒に溶かしておき、これにテトラフルオロエチレンを短時間に導入する方法を採用することもでき、また、予め、テトラフルオロエチレンおよびアルコキシド化合物を別々に溶媒に溶解させておき、これを連続して接触させ混合することもできる。
【0021】
また、反応開始から反応終了までの間、テトラフルオロエチレンをアルコキシド化合物に対して3倍モル以上存在させる方法としては、テトラフルオロエチレンの圧力を上げることにより、テトラフルオロエチレンの存在量を増やす方法を採用することもでき、また、アルコキシド化合物の溶媒中の濃度を下げることによりテトラフルオロエチレンのアルコキシド化合物に対する量比を増やすこともできる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、実質的な反応開始から反応終了までを、テトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対して3倍モル以上存在する状態で反応を行うことによって、副生成物を低減することができ、高収率で含フッ素ビニルエーテルを得ることができる。
【0023】
【実施例】
本発明を更に詳細に説明するために以下実施例を示すが、本発明はこれら実施例によってなんら制限をうけるものではない。
【0024】
実施例1
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH2.3gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン288.8gを入れ攪拌を開始した。これに2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール11.2g、1,4-ジオキサン11.5g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0025】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で20kg/cm2−Gまで導入した。その後も反応器の圧力が20kg/cm2−Gになるようにテトラフルオロエチレンを供給しつつ反応を行った。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約53gとなるので、反応の極初期からテトラフルオロエチレンのこのアルコキシド化合物に対するモル比は7以上になる。
【0026】
20分後、テトラフルオロエチレンの吸収が止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCF3CF2CH2OCF=CF2を15.6g得た。収率は原料のアルコール基準で91%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液のGC分析から5%であった。
【0027】
比較例1
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH13.6gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン150.0gを入れ攪拌を開始した。これに2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール67.5g、1,4-ジオキサン70.0g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0028】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で20kg/cm2−Gまで導入した。その後も反応器の圧力が20kg/cm2−Gになるようにテトラフルオロエチレンを供給しつつ反応を行った。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約39gとなるので、この条件では反応のほぼ70%の間、このテトラフルオロエチレンのアルコキシド化合物に対するモル比が3以下になる。
【0029】
40分後、テトラフルオロエチレンの吸収が止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCF3CF2CH2OCF=CF2を46.6g得た。収率は原料のアルコール基準で45%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液のGC分析から17%であった。
【0030】
実施例2
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH2.1gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン144.2gを入れ攪拌を開始した。これに2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール10.2g、1,4-ジオキサン10.3g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0031】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で20kg/cm2−Gまで導入した。その後も反応器の圧力が20kg/cm2−Gになるようにテトラフルオロエチレンを供給しつつ反応を行った。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約27gとなるので、反応の極初期からテトラフルオロエチレンのこのアルコキシド化合物に対するモル比は4以上になる。
【0032】
20分後、テトラフルオロエチレンの吸収が止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCF3CF2CH2OCF=CF2を13.1g得た。収率は原料のアルコール基準で84%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液のGC分析から8%であった。
【0033】
実施例3
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH1.8gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン366.1gを入れ攪拌を開始した。これに1,1-ジヒドロパーフルオロペンタノール14.3g、1,4-ジオキサン15.2g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0034】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で10kg/cm2−Gまで導入した。その後も反応器の圧力が10kg/cm2−Gになるようにテトラフルオロエチレンを供給しつつ反応を行った。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約29gとなるので、反応の極初期からテトラフルオロエチレンのこのアルコキシド化合物に対するモル比は5以上になる。
【0035】
20分後、テトラフルオロエチレンの吸収が止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCF3(CF2)3CH2OCF=CF2を16.4g得た。収率は原料のアルコール基準で87%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液中のGC分析から6%であった。
【0036】
実施例4
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH2.0gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン382.1gを入れ攪拌を開始した。これに1,1-ジヒドロパーフルオロオクタノール25.5g、1,4-ジオキサン27.2g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0037】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で20kg/cm2−Gまで導入した。その後も反応器の圧力が20kg/cm2−Gになるようにテトラフルオロエチレンを供給しつつ反応を行った。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約72gとなるので、反応の極初期からテトラフルオロエチレンのこのアルコキシド化合物に対するモル比は11以上になる。
【0038】
20分後、テトラフルオロエチレンの吸収が止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCF3(CF2)6CH2OCF=CF2を28.5g得た。収率は原料のアルコール基準で93%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液中のGC分析から4%であった。
【0039】
実施例5
容量500mlのステンレス製の反応容器に、NaH2.0gを入れた後、窒素置換し、1,4-ジオキサン320.3gを入れ攪拌を開始した。これに2,2,3,3-テトラフルオロ-3-クロロプロパノール10.5g、1,4-ジオキサン12.3g、リモネン2gを含む混合溶液を反応器の温度が上昇しないように氷浴で冷却しながら徐々に滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続けた後、再び、生成した水素を追い出すために反応器を窒素置換した。
【0040】
次に、反応器を60℃まで加熱し、テトラフルオロエチレンを反応器へ約20秒程度で15kg/cm2−Gまで導入し、その後はテトラフルオロエチレンの供給をしないで反応を行った。20分後、テトラフルオロエチレンの吸収が約13kg/cm2−Gで止まったところで脱圧し、反応器を加熱して蒸留によりCClF2CF2CH2OCF=CF2を13.4g得た。この時、テトラフルオロエチレンの溶媒中の溶解量は約40gから約32gと消費されるが、これからテトラフルオロエチレンのこのアルコキシド化合物に対するモル比を算出したところ、実質的な全反応期間を通して6以上になっている。収率は原料のアルコール基準で86%であった。また、多付加体の収率は蒸留の母液中のGC分析から7%であった。
【0041】
実施例6
2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノールの替わりに2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールを用い、テトラフルオロエチレンとの反応を30℃で行ったほかは実施例1と同様にしてHCF2CF2CH2OCF=CF2を得た。
【0042】
このとき反応の極初期のアルコキシド化合物に対するテトラフルオロエチレンのモル比は6であり、ビニルエーテルの収率は89%であり、多付加体の収率は5%であった。
【0043】
実施例7
リモネンを0.5wt%含有させた3.5wt%ナトリウム-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシド/1,4-ジオキサン溶液2kgと18wt%テトラフルオロエチレン/1,4-ジオキサン溶液2kgとをそれぞれ同量ずつ温度60℃、圧力20kg/cm2−Gに保持したステンレス製反応器の一方の端から導入し、平均滞在時間が5分となるよう反応器の他方の端から排出した。なお、この反応におけるアルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンの反応器への導入比は、モル比で1:8.8であった。反応容器から出てきた反応溶液を蒸留塔に捕集し、蒸留によりCF3CF2CH2OCF=CF2を94.5g得た。
【0044】
収率は原料のアルコール基準で88%であった。また、多付加体の量は蒸留の母液のGC分析から5%であった。
【0045】
実施例8
アルコキシド化合物としてナトリウム-2,2,2-トリフルオロエトキシドを用い、アルコキシド化合物とテトラフルオロエチレンの反応器への導入比をモル比で1:7.2とし、反応圧力を18kg/cm2−Gとした他は実施例7と同様に反応をおこなった。
【0046】
その結果、生成物であるCF3CH2OCF=CF2の収率は90%であり、多付加体の収率は5%であった。
Claims (1)
- テトラフルオロエチレンとアルコキシド化合物とを溶媒中で反応させて含フッ素ビニルエーテルを製造する方法において、実質的な反応開始から反応終了までを、該溶媒中にテトラフルオロエチレンがアルコキシド化合物に対して3倍モル以上存在する状態で反応を行うことを特徴とする含フッ素ビニルエーテルの製造方法。
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