JP3722158B2 - 複合電子部品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、積層体内部に形成されたインダクタ部及びキャパシタ部を含む複合の電子部品から構成される面実装用の複合電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の複合電子部品について、T型フィルタの回路を構成する素子を例にして、図12乃至図14に基づいて説明する。
【0003】
図12において、T型フィルタ素子である複合電子部品1は、インダクタ部2a,2b及びそれらの間に位置するキャパシタ部3から構成されている。そして、複合電子部品1の外部には、上面に二つのインダクタ部2a,2bのインダクタ用電極の一端とキャパシタ部3のキャパシタ用電極の一端を電気的に接続するための接続用電極4、下面にキャパシタ部3のキャパシタ用電極の他端と電気的に接続されたアースライン用電極5、及び、複合電子部品1の両端面にインダクタ部2a,2bのインダクタ用電極の他端とそれぞれ電気的に接続された信号ライン用電極6a,6bが形成されている。
【0004】
この複合電子部品1の焼成前の分解斜視図を図13に示す。複合電子部品1はインダクタ用シート7(7a〜7f及び7g〜7l)からなるインダクタ部2a,2b及びキャパシタ用シート8(8a〜8f)からなるキャパシタ部3を一体に構成した構造である。
【0005】
インダクタ用シート7は、フェライト等からなる、所望の組成原料及び添加剤を調合、混合、仮焼した後、ボールミル等で湿式粉砕し、バインダなどを混合してスラリー調整した後、ドクターブレード法又はシート引上げ法等により得たシートをカットして得られる。
【0006】
インダクタ用シート7b,7j及び7d,7hには、インダクタ用電極10及び外部接続用のインダクタ用電極11a,11bが形成されている。インダクタ用電極10の一端にはスルーホール(図示せず)が形成され、インダクタ用電極10の他端はそれぞれ外部接続用のインダクタ用電極11a,11bの一端に接続されている。また、インダクタ用シート7c及び7iには、インダクタ用電極10が形成され,その一端にはスルーホール(図示せず)が形成されている。これらのスルーホールを介して、各々のインダクタ用電極10は、電気的に接続され、インダクタ用シート7a〜7f及び7g〜7lがそれぞれ一体となってインダクタ部2a,2bを構成する。
【0007】
キャパシタ用シート8は、高誘電率のセラミックからなる、所望の組成原料及び添加剤を調合、混合、仮焼した後、ボールミル等で湿式粉砕し、バインダなどを混合してスラリー調整した後、ドクターブレード法又はシート引上げ法等により得たシートをカットして得られる。
【0008】
キャパシタ用シート8b〜8dには、キャパシタ用電極12a,12b,12cが形成されている。このキャパシタ用電極12a,12b,12cはキャパシタ用シート8c,8dを介して対向して設けられ、そして、キャパシタ用シート8b〜8dの両端面に交互に導出されている。したがって、キャパシタ用シート8a〜8fが一体となってキャパシタ部3を構成する。
【0009】
インダクタ用シート7fとキャパシタ用シート8aの間、及び、インダクタ用シート7gとキャパシタ用シート8fの間には、それぞれ焼成後の密着状態を良くするために、インダクタ用並びにキャパシタ用材料を混合して成形する混合シートからなる中間層9,9を設けている。
【0010】
上述の各積層用シート7,8,9を図13の順に積層(積層方向X)して圧着した後、焼成することにより焼結体(図示せず)を得、その焼結体の外部に以下に説明するそれぞれの電極を形成することにより、複合電子部品1が得られる。
【0011】
焼結体の上面に接続用電極4が形成され、この接続用電極4を介してインダクタ用電極11b,11b及びキャパシタ用電極12a,12cとが電気的に一体に接続される。また、焼結体の下面に、積層方向Xに対して平行にアースライン用電極5が形成され、アースライン用電極5はキャパシタ用電極12bと電気的に接続される。そして、信号ライン用電極6a,6bは、アースライン用電極5に対して平行な焼結体の端面、すなわち、インダクタ部2a,2b及びキャパシタ部3に跨がる端面に形成され、インダクタ用電極11a,11aとそれぞれ電気的に接続される。したがって、積層方向Xに対して平行なアースライン用電極5は、インダクタ部2の表面に跨がって形成されることになる。
【0012】
上述の複合電子部品1の等価回路は、図14に示すように、二つのインダクタ部を直列に接続し、その接続部にキャパシタ部の一端を接続したT型のフィルタになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる構成の複合電子部品1において、キャパシタ部3の外部接続用のキャパシタ用電極12bに接続されたアースライン用電極5は、積層方向Xに対して平行に形成されているため、内部にインダクタ用電極10が形成されたインダクタ用シート7b〜7d,7h〜7jの外表面に形成される。このため、アースライン用電極5とインダクタ用電極10との間に、浮遊容量が発生して高周波特性を劣化させたり、また、電圧がかかり絶縁抵抗が劣化するという問題点を有していた。
【0014】
本発明の目的は、上述の問題点を解消すべくなされたもので、アースライン用電極とインダクタ用電極との間で浮遊容量を持たず、性能に優れ且つ信頼性が高い、すなわち、高周波特性がよく、絶縁抵抗が大きい面実装用の複合電子部品を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、フェライトを含む材料からなり、インダクタ用電極が形成されたインダクタ用シートと、高誘電率の材料からなり、キャパシタ用電極が形成されたキャパシタ用シートとが積層され、焼成されてなる六面体の積層体の内部に、前記インダクタ用シートからなり、二つのインダクタを有するインダクタ部と、前記キャパシタ用シートからなり、二つのキャパシタを有するキャパシタ部とが構成された複合電子部品において、前記インダクタ部と前記キャパシタ部とが前記積層体内で個々に区画されて形成され、前記積層体の積層方向に対して平行な側面に三つの信号ライン用電極が形成され、該信号ライン用電極はインダクタ部を構成する区画の側面およびキャパシタ部を構成する区画の側面の両側面にまたがるように形成され、前記インダクタ部の二つのインダクタの一端が直列に接続され、この接続点および前記二つのインダクタの各他端は前記信号ライン用電極にそれぞれ電気的に接続され、前記キャパシタ部の二つのキャパシタのうち、一方のキャパシタの一端は前記二つのインダクタの他端のいずれか一方に電気的に接続され、他方のキャパシタの一端は前記二つインダクタの接続点に電気的に接続され、前記二つのキャパシタの他端にそれぞれ電気的に接続されたアースライン用電極が、前記積層体の積層方向に対して平行な面上であって、前記インダクタ部を構成する区画の側面を除き、かつ前記キャパシタ部を構成する区画の側面を含む面上に形成され、前記インダクタ部および前記キャパシタ部が所望のLC回路を構成したことを特徴とする。
【0020】
また、フェライトを含む材料からなり、インダクタ用電極が形成されたインダクタ用シートと、高誘電率の材料からなり、キャパシタ用電極が形成されたキャパシタ用シートとが積層され、焼成されてなる六面体の積層体の内部に、前記インダクタ用シートからなるインダクタ部と、前記キャパシタ用シートからなるキャパシタ部とが構成された複合電子部品において、前記インダクタ部と前記キャパシタ部とが前記積層体内で個々に区画されて形成され、前記積層体の積層方向に対して平行な1組の対向する面にそれぞれ信号ライン用電極が形成され、該信号ライン用電極はインダクタ部を構成する区画の端面および前記キャパシタ部を構成する区画の端面の両端面にまたがるように形成され、前記インダクタ部のインダクタ用電極の両端部はそれぞれ前記信号ライン用電極に電気的に接続され、前記キャパシタ部のキャパシタ用電極の一端が前記信号ライン用電極のいずれか一方に電気的に接続され、前記キャパシタ部のキャパシタ用電極の他端に電気的に接続されたアースライン用電極が、前記積層体の積層方向に対して平行な、前記信号ライン用電極が形成された面と異なる1組の対向する面上であって、前記インダクタ部を構成する区画の端面を除き、かつ前記キャパシタ部を構成する区画の端面を含む面上に形成され、前記インダクタ部及び前記キャパシタ部がLC回路を構成したことを特徴とする。
【0021】
そして、前記アースライン用電極は、前記六面体のキャパシタ部が形成された区画の外部表面全体に形成されていないことを特徴とする。
【0022】
そして、前記信号ライン用電極はスパッタリング膜からなることを特徴とする。
【0023】
また、前記信号ライン用電極はAg,Ag(第一層)−モネル(第二層),Ag(第一層)−モネル(第二層)−NiCr合金(第三層)のいずれか一つからなることを特徴とする。
【0024】
【作用】
本発明では、上述のように構成したことにより、アースライン用電極は、キャパシタ部の表面に形成されるが、インダクタ部の表面には形成されない。したがって、インダクタ部内部のインダクタ用電極とアースライン用電極との間に浮遊容量が発生しなくなる。また、インダクタ用電極とアースライン用電極との間の絶縁抵抗を大きくすることができるものである。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の第1実施例を従来例と同様にT型フィルタ回路を構成する素子を例にして、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
図1において、T型フィルタ素子を構成する複合電子部品21は、インダクタ部2a,2b及びそれらの間に位置するキャパシタ部3から構成されている。そして、複合電子部品21の外部には、上面に、二つのインダクタ部2a,2bのインダクタ用電極の一端とキャパシタ部3のキャパシタ用電極の一端を電気的に接続するための接続用電極24、下面に、キャパシタ部3のキャパシタ用電極の他端と電気的に接続されるアースライン用電極25、及び、複合電子部品21の両端面に、インダクタ部2a,2bのインダクタ用電極の他端とそれぞれ電気的に接続される信号ライン用電極26a,26bが形成されている。
【0027】
この複合電子部品21の焼成前の分解斜視図を図2に示す。図2は図13のキャパシタ用シート8cに代わってキャパシタ用シート8gが用いられることを除いて従来例と同様であり、同様部分についての詳細な説明を省略する。
【0028】
キャパシタ用シート8gは、キャパシタ用シート8cと同様に形成され、キャパシタ用電極22bは、図2に示すように、アースライン用電極25に沿う形の逆T字状に形成されている。
【0029】
従来例と同様に、積層用シート7,8,9を積層(積層方向X)して圧着した後、焼成することにより焼結体(図示せず)を得て、その焼結体に以下に説明する電極を形成することにより、複合電子部品21が得られる。
【0030】
焼結体の上面に接続用電極24が形成され、この接続用電極24を介してインダクタ用電極11b,11b及びキャパシタ用電極12a,12cとが電気的に一体に接続される。また、焼結体の下面に、積層方向Xに対して直角方向にアースライン用電極25が形成され、アースライン用電極25はキャパシタ用電極22bと電気的に接続される。そして、信号ライン用電極26a,26bは、アースライン用電極25に対して平行な焼結体の端面、すなわち、インダクタ部2a,2bの端面に形成され、インダクタ用電極11a,11aとそれぞれ電気的に接続される。したがって、積層方向Xに対して直角方向に形成されたアースライン用電極25は、インダクタ部2の表面に形成されない。
【0031】
本発明の第1実施例による複合電子部品21の等価回路は、従来例で示した図14と同様に、二つのインダクタ部を直列に接続し、その接続部にキャパシタ部の一端を接続したT型のフィルタになる。
【0032】
尚、キャパシタ用シート8gに代わって従来例のキャパシタ用シート8cを用いることも可能である。
【0033】
次に、本発明の第2実施例をLC回路を例にして、図3乃至図5を参照して説明する。
図3において、複合電子部品31は、二つのインダクタを有するインダクタ部32及び二つのキャパシタを有するキャパシタ部33から構成される。そして、複合電子部品31の外部には、一側面上に形成された第1の信号ライン用電極34と、一組の対向する側面上に第2,第3の信号ライン用電極35,36及びダミー電極37,37と、他の側面上に第1,第2のアースライン用電極38,39が形成されている。
【0034】
この複合電子部品31の焼成前の分解斜視図を図4に示す。複合電子部品31は、キャパシタ用シート40(40a〜40g)からなるキャパシタ部32及びインダクタ用シート41(41a〜41f)からなるインダクタ部33を一体に構成した構造である。そして、キャパシタ用シート40及びインダクタ用シート41は、各シート上の電極形状を除いて前述の従来例と同様にして形成される。
【0035】
キャパシタ部32を構成するキャパシタ用シート40a〜40gの内、キャパシタ用シート40eにはキャパシタ用電極42a,42bが形成され、キャパシタ用シート40fにはキャパシタ用電極42c,42dが形成される。このキャパシタ用電極42aと42c、及び、42bと42dはキャパシタ用シート40fを介してそれぞれ対向して設けられており、それぞれのキャパシタ用電極42a〜42dには外部接続用電極42e〜42fが形成され、キャパシタ用シート40e,40fの3方の端面に導出されている。したがって、キャパシタ部33はキャパシタ用シート40a〜40gが一体となって独立した二つのキャパシタを有する。
【0036】
インダクタ部を構成するインダクタ用シート41a〜41fの内、インダクタ用シート41a〜41cには、インダクタ用電極43a〜43f及び外部接続用電極43g〜43iが形成され、インダクタ用シート41a,41cの3方の端面に導出される。インダクタ用電極43a,43bの一端同志は電気的に接続されて外部接続用のインダクタ用電極43gの一端に接続される。インダクタ用シート41bには、インダクタ用電極43c,43dの一端に位置してスルーホール(図示せず)が形成され、インダクタ用電極43a,43bの他端とそれぞれスルーホールを介して電気的に接続される。インダクタ用シート41cにはインダクタ用電極43e,43fの一端に位置してスルーホール(図示せず)が形成され、インダクタ用電極43c,43dの他端とそれぞれスルーホールを介して電気的に接続される。そして、インダクタ用電極43e,43fの他端はそれぞれ外部接続用電極43h,43iの一端に接続される。このような、インダクタ用シート43a〜43fを一体にすることにより構成されるインダクタ部32は、各々のインダクタ用電極43a,43c,43e、及び、インダクタ用電極43b,43d,43fが、各々のスルーホールを介して電気的に接続されて構成される二つのインダクタを有し、この二つのインダクタは直列に接続されている。
【0037】
キャパシタ用シート40gとインダクタ用シート41aの間には、焼成後の密着状態を良くするために、インダクタ用並びにキャパシタ用材料を混合して成形する混合シートからなる中間層9,9を設けている。
【0038】
上述の各積層用シート40,41,9を図4の順に積層して圧着した後、焼成することにより焼結体(図示せず)が得られる。その焼結体の外部に以下に説明するそれぞれの電極を形成することにより、複合電子部品31が得られる。
【0039】
焼結体の一側面に少なくとも下面まで第1の信号ライン用電極34が形成され、二つのインダクタの一端の外部接続用電極43gと一方のキャパシタの外部接続用電極42gとに電気的に接続される。焼結体の相対する側面に少なくとも下面まで第2,第3の信号ライン用電極35,36が形成され、第2の信号ライン用電極35は、一方のインダクタの他端の外部接続用電極43hと電気的に接続され、第3の信号ライン用電極36は、他方のインダクタの他端の外部接続用電極43iと他方のキャパシタの外部接続用電極42hとに電気的に接続される。
【0040】
また、焼結体の他の側面のキャパシタ部33の端面にアースライン用電極38,39が形成され、アースライン用電極38,39はキャパシタを形成するキャパシタ用電極42a〜42dの一端になる外部接続用電極42e,42fにそれぞれ電気的に接続される。
【0041】
尚、ダミー電極37は、焼結体の相対する側面に少なくとも下面まで形成され、焼結体内部に形成されている外部接続用電極42e〜42h,43g〜43iの全ての電極と電気的に接続されることなく、複合電子部品31を回路基板に半田付けする際、第1〜3の信号ライン用電極34〜35、及び、アースライン用電極38,39に対応して、半田付け強度等のバランスをとるために必要に応じて設けられるものである。
【0042】
かかる構成の複合電子部品31は、積層面に対して直交する対向2面に信号ライン用電極34〜36、及び、アースライン用電極38,39が形成され、アースライン用電極38,39は、インダクタ部32の表面に跨がって形成されない。
【0043】
上述の複合電子部品31の等価回路は、図5に示すように、二つのインダクタの一端同志を接続して直列に接続し、その接続部に一方のキャパシタの一端を接続し、一方のインダクタの他端に他方のキャパシタの一端を接続したLC複合回路になる
尚、本発明は上述した第2の実施例の回路構成に限定されるものでなく、キャパシタ部に形成されるキャパシタ及びインダクタ部に形成されるインダクタの回路構成は種々の組み合わせが可能である。また、信号ライン用電極及びアースライン用電極は、前述の回路構成に応じて焼成体の側面に形成されるものであるが、その配置については、実施例に限定されるものでなく、アースライン用電極がキャパシタ部の端面部に止まっていればよい。
【0044】
次に、本発明の第3実施例について、図6を参照して説明する。
図6において、複合電子部品51は、積層体上部の区画にインダクタ部52が形成され、積層体下部の区画にキャパシタ部53が形成されて構成されている。そして、複合電子部品51の外部の一方の両端面に、インダクタ部52及びキャパシタ部53の区画を跨がって信号ライン用電極54a,54bが形成され、キャパシタ部53を構成する区画の、信号ライン用電極54a,54bが形成された面と異なる対向する他方の両端面に、アースライン用電極55a,55bが形成されている。このアースライン用電極55a,55bは、その一部がキャパシタ部53の区画の下面に跨がることがあるが、下面全体に及ぶものでない。
【0045】
この複合電子部品51の焼成前の分解斜視図を図7に示す。複合電子部品51はインダクタ用シート7(7g〜7l)からなるインダクタ部52及びキャパシタ用シート56(56a〜56f)からなるキャパシタ部53を一体に構成した構造である。
【0046】
インダクタ部52は、前述の従来例と同様のインダクタ用シート7g〜7lから構成されている。
【0047】
キャパシタ部53は、前述の従来例のキャパシタ用シート8と同様に、高誘電率のセラミックからなるシートをカットしたキャパシタ用シート56の表面に、キャパシタ用電極を形成し、積層することにより得られる。
【0048】
キャパシタ用シート56b〜56dには、キャパシタ用電極57a,57b,57cがキャパシタ用シート56c,56dを介して対向して設けられる。そして、キャパシタ用電極57a,57cは、インダクタ用電極10の外部接続用電極パターン11b,11aの位置に対応するキャパシタ用シート56b,56dの一方の両端面に交互に導出され、キャパシタ用電極57bは、キャパシタ用シート56cの他方の両端面に導出される。したがって、キャパシタ用シート57a〜57fは、キャパシタ用シート56c,56dを介してキャパシタ用電極57a,57b、及び、キャパシタ用電極57c,57bが二つのキャパシタを形成し、キャパシタ部53を構成する。
【0049】
インダクタ用シート7gとキャパシタ用シート56fの間には、それぞれ焼成後の密着状態を良くするために、インダクタ用並びにキャパシタ用材料を混合して成形する混合シートからなる中間層9,9を設けている。
【0050】
上述の各積層用シート7,9,56を図7の順に積層して圧着した後、焼成することによりインダクタ部52を構成する区画とキャパシタ部53を構成する区画とからなる焼結体(図示せず)を得る。その焼結体の外部に以下に説明するそれぞれの電極を形成することにより、複合電子部品51が得られる。
【0051】
焼結体の、インダクタ部52の外部接続用電極パターン11a,11bが導出されている両端面に、信号ライン用電極54a,54bを形成する。この信号ライン用電極54a,54bは、例えば、焼結体の両端面全体に形成され、インダクタ部52のインダクタ用電極の両端(外部接続用電極パターン11a,11b)及びキャパシタ部53の二つのキャパシタ用電極のそれぞれの一端(キャパシタ用電極57c,57a)とそれぞれ電気的に接続される。また、アースライン用電極55a,55bは、信号ライン用電極54a,54bが形成された面とは異なる、キャパシタ部53を形成する区画の対向する一対の端面又は端面からキャパシタ部53の区画の下面の一部に跨がって形成される。但し、アースライン用電極55a,55bは、キャパシタ部53の区画の下面全体に跨がって形成しないため、外見上分離している。このアースライン用電極55a,55bは、キャパシタ部53のキャパシタ用電極の他端(キャパシタ用電極57b)と電気的に接続されている。
【0052】
したがって、信号ライン用電極54a,54bは、インダクタ用シート7及びキャパシタ用シート56の積層面に対して直角な面に形成され、アースライン用電極55a,55bは、インダクタ部52の表面に跨がらない。
【0053】
上述の複合電子部品51の等価回路は、図8に示すように、インダクタ部52の両端面に形成された信号ライン用電極54a,54bと、インダクタ用電極(外部接続用電極11a,11b)及びキャパシタ部53を構成している二つのキャパシタのそれぞれの一端(キャパシタ用電極57c,57a)とが電気的に接続され、二つのキャパシタのそれぞれの他端(キャパシタ用電極57b)がアースライン用電極55a,55bに電気的に接続されたものである。
【0054】
次に、本発明の第4実施例をLC回路を例にして、図9を参照して説明する。
図9において、複合電子部品61は、積層体上部の区画にインダクタ部62が形成され、積層体下部の区画にキャパシタ部63がが形成されて構成されている。そして、複合電子部品61の外部の一方の両端面に、インダクタ部62及びキャパシタ部63の区画を跨がって信号ライン用電極64a,64bが形成され、キャパシタ部63を構成する区画の、信号ライン用電極64a,64bが形成された面と異なる、対向する他方の両端面に、アースライン用電極65a,65bが形成されている。このアースライン用電極65a,65bは、その一部がキャパシタ部63の区画の下面に跨がることがあるが、下面全体に及ぶものでない。
【0055】
この複合電子部品61の焼成前の分解斜視図を図10に示す。複合電子部品61はインダクタ用シート7(7g〜7l)からなるインダクタ部62及びキャパシタ用シート66(66a〜66f)からなるキャパシタ部63を一体に構成した構造である。
【0056】
インダクタ部62は、前述の従来例と同様のインダクタ用シート7g〜7lから構成されている。
【0057】
キャパシタ部63は、前述の第3実施例におけるキャパシタ用電極57a又は57cのいずれか一方のキャパシタ用電極を除いて(図10では図7のキャパシタ用電極57cが存在しない)、キャパシタ部53と同様である。したがって、キャパシタ用シート66a〜66fは、キャパシタ用シート66cを介して対向して設けらたキャパシタ用電極67a,67bが一つのキャパシタを形成して、キャパシタ部63を構成している。
【0058】
上述の各積層用シート7,9,66を図10の順に積層して圧着した後、焼成することにより、インダクタ部62を構成する区画と、キャパシタ部63を構成する区画とからなる焼結体(図示せず)を得る。その焼結体の外部に前述の第3実施例と同様に信号ライン用電極64a,64b及びアースライン用電極65a,65bを形成することにより、複合電子部品61が得られる。
【0059】
信号ライン用電極64a,64bは、例えば、焼結体の両端面前体に形成され、インダクタ部62のインダクタ用電極の両端(外部接続用電極パターン11a,11b)及びキャパシタ部63のキャパシタ用電極の一端(キャパシタ用電極67a)と電気的に接続される。また、アースライン用電極65a,65bは、信号ライン用電極64a,64bが形成された面とは異なる、キャパシタ部63を構成する区画の対向する一対の端面又は端面からキャパシタ部63の区画の下面の一部に跨がって形成されている。但し、アースライン用電極65a,65bは、キャパシタ部63の区画の下面全体に跨がって形成しないため、外見上分離している。このアースライン用電極65a,65bは、キャパシタ部63のキャパシタ用電極の他端(キャパシタ用電極67b)と電気的に接続されている。
【0060】
したがって、信号ライン用電極64a,64bは、インダクタ用シート7及びキャパシタ用シート66の積層面に対して直角な面に形成され、アースライン用電極65a,65bは、インダクタ部62の表面に跨がらない。
【0061】
上述の複合電子部品61の等価回路は、図11に示すように、インダクタ部62の両端面に形成された信号ライン用電極64a,64bと、インダクタ用電極の両端(外部接続用電極11a,11b)をそれぞれ電気的に接続し、信号ライン用電極64a,64bのいずれか一方の信号ライン用電極とキャパシタ部63を構成しているキャパシタの一端(キャパシタ用電極67a)とが電気的に接続され、キャパシタの他端(キャパシタ用電極67b)がアースライン用電極65a,65bに電気的に接続されたものである。
【0062】
尚、本発明による複合電子部品の構成要素であるインダクタ用シート7はフェライト系に限定するものでなく誘電体からなるものでも可能である。そして、この場合、中間層としてのシート9,9はなくてもよい。
【0063】
また、インダクタ用シート7の枚数、及び、キャパシタ用シート8,56,66の枚数は、本実施例の枚数に限定するものではなく、所望の特性定数値に合わせて増減することができる。
【0064】
そして、中間層のシート9はインダクタ用材料並びにキャパシタ用材料を混合した混合シートに限定するものでなく、インダクタ部2a,2b,52,62及びキャパシタ部3,53,63をそれぞれ個別に焼成しておき、それらを、例えばエポキシ系からなる接着剤で接合してもよい。また、接着剤の代わりに、ガラス等を用いて融着して接合してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による複合電子部品では、アースライン用電極をキャパシタ部の表面に形成して、インダクタ部の表面に形成されないようにしたため、インダクタ部内部のインダクタ用電極とアースライン用電極との間に浮遊容量が発生しなくなり、また、インダクタ用電極とアースライン用電極との間の絶縁抵抗を大きくすることができた。したがって、高周波特性がよく、絶縁抵抗が大きくなり、性能及び信頼性が増した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合電子部品の第1実施例の斜視図である。
【図2】図1の焼成前の好ましい分解斜視図である。
【図3】本発明に係る複合電子部品の第2実施例の斜視図である。
【図4】図3の焼成前の分解斜視図である。
【図5】図3の等価回路図である。
【図6】本発明に係る複合電子部品の第3実施例の斜視図である。
【図7】図6の焼成前の分解斜視図である。
【図8】図6の等価回路図である。
【図9】本発明に係る複合電子部品の第4実施例の斜視図である。
【図10】図9の焼成前の分解斜視図である。
【図11】図9の等価回路図である。
【図12】従来のT型フィルタ素子の斜視図である。
【図13】図1及び図12の焼成前の分解斜視図である。
【図14】図1及び図12の等価回路図である。
【符号の説明】
2a,2b インダクタ部
3 キャパシタ部
10,11a,11b インダクタ用電極
12a,12c,22b キャパシタ用電極
21 複合電子部品
25 アースライン用電極
26a,26b 信号ライン用電極
X 積層方向
Claims (5)
- フェライトを含む材料からなり、インダクタ用電極が形成されたインダクタ用シートと、高誘電率の材料からなり、キャパシタ用電極が形成されたキャパシタ用シートとが積層され、焼成されてなる六面体の積層体の内部に、前記インダクタ用シートからなり、二つのインダクタを有するインダクタ部と、前記キャパシタ用シートからなり、二つのキャパシタを有するキャパシタ部とが構成された複合電子部品において、
前記インダクタ部と前記キャパシタ部とが前記積層体内で個々に区画されて形成され、
前記積層体の積層方向に対して平行な側面に三つの信号ライン用電極が形成され、該信号ライン用電極はインダクタ部を構成する区画の側面およびキャパシタ部を構成する区画の側面の両側面にまたがるように形成され、
前記インダクタ部の二つのインダクタの一端が直列に接続され、この接続点および前記二つのインダクタの各他端は前記信号ライン用電極にそれぞれ電気的に接続され、
前記キャパシタ部の二つのキャパシタのうち、一方のキャパシタの一端は前記二つのインダクタの他端のいずれか一方に電気的に接続され、他方のキャパシタの一端は前記二つインダクタの接続点に電気的に接続され、
前記二つのキャパシタの他端にそれぞれ電気的に接続されたアースライン用電極が、前記積層体の積層方向に対して平行な面上であって、前記インダクタ部を構成する区画の側面を除き、かつ前記キャパシタ部を構成する区画の側面を含む面上に形成され、前記インダクタ部および前記キャパシタ部が所望のLC回路を構成したことを特徴とする複合電子部品。 - フェライトを含む材料からなり、インダクタ用電極が形成されたインダクタ用シートと、高誘電率の材料からなり、キャパシタ用電極が形成されたキャパシタ用シートとが積層され、焼成されてなる六面体の積層体の内部に、前記インダクタ用シートからなるインダクタ部と、前記キャパシタ用シートからなるキャパシタ部とが構成された複合電子部品において、
前記インダクタ部と前記キャパシタ部とが前記積層体内で個々に区画されて形成され、
前記積層体の積層方向に対して平行な1組の対向する面にそれぞれ信号ライン用電極が形成され、該信号ライン用電極はインダクタ部を構成する区画の端面および前記キャパシタ部を構成する区画の端面の両端面にまたがるように形成され、
前記インダクタ部のインダクタ用電極の両端部はそれぞれ前記信号ライン用電極に電気的に接続され、
前記キャパシタ部のキャパシタ用電極の一端が前記信号ライン用電極のいずれか一方に電気的に接続され、
前記キャパシタ部のキャパシタ用電極の他端に電気的に接続されたアースライン用電極が、前記積層体の積層方向に対して平行な、前記信号ライン用電極が形成された面と異なる1組の対向する面上であって、前記インダクタ部を構成する区画の端面を除き、かつ前記キャパシタ部を構成する区画の端面を含む面上に形成され、前記インダクタ部及び前記キャパシタ部がLC回路を構成したことを特徴とする複合電子部品。 - 前記アースライン用電極は、前記六面体のキャパシタ部が形成された区画の外部表面全体に形成されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の複合電子部品。
- 前記信号ライン用電極はスパッタリング膜からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複合電子部品。
- 前記信号ライン用電極はAg,Ag(第一層)−モネル(第二層),Ag(第一層)−モネル(第二層)−NiCr合金(第三層)のいずれか一つからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合電子部品。
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