JP3721873B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コモンレール式ディーゼルエンジン等に適用される燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コモンレール式ディーゼルエンジンにおいては、特に始動から暖機までの間の白煙と騒音を防止する観点から、パイロット噴射とメイン噴射とによる二段階噴射を行っているものがある。
【0003】
従来、パイロット噴射量は図7に示すPQマップに従って決めるようにしていた。このマップでは横軸に水温TW(℃)、縦軸にパイロット噴射量PQをとっている。マップ中の線図は後述するようにエンジン運転状態に応じて時々刻々と変化する。実線aはある瞬間のものだが、エンジン運転状態によっては破線bのようになることもある。
【0004】
マップ内が二つの設定水温LTW、HTW(LTW<HTW)によって三領域に仕切られる。TW≦LTWの領域を低温エリア、TW≧HTWの領域を高温エリア、LTW<TW<HTWの領域を中間エリアと称す。低温エリアではパイロット噴射量PQが水温によらず一定値LLPQとなり、高温エリアでも同様にパイロット噴射量PQが水温によらず一定値HHPQとなる。なおLLPQ>HHPQである。中間エリアではこれらLLPQ、HHPQを二点補間した値となり、線図は図示の如き直線となる。
【0005】
LLPQとHHPQとの値はエンジン回転速度NEと総噴射量Qとに基づきマップから算出される。図中の添字(NE,Q)はこのことを意味する。それ故、LLPQとHHPQとがエンジン運転状態によって変化し、その結果マップ中の線図が時々刻々と変化するのである。
【0006】
図8にパイロット噴射量の算出フローを示す。まずステップ401でエンジン回転速度NE、総噴射量Q及び水温TWを検出又は計算し、ステップ402でLLPQとHHPQとを算出する。これにより図7のPQマップが確定するから、次のステップ403で水温TWを基にPQマップからパイロット噴射量PQを算出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常エンジンでは低大気温時の白煙が問題となる。この対策として燃料噴射タイミングを進角する方法が考えられるが、これだと騒音レベルが悪化する。よって低大気温時に白煙と騒音とを一定レベル以内に抑えるにはパイロット噴射が非常に有効な手段となってくる。
【0008】
しかし、上述のように従来はパイロット噴射量の決定に大気温は全く考慮されていなかった。従ってパイロット噴射制御としては十分なものといえず、白煙と騒音とを一定レベル以内に抑えるのは難しかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン運転状態に基づいて所定のパイロット噴射とメイン噴射とを実行するエンジンの燃料噴射制御装置において、パイロット噴射量を大気温に基づき補正するパイロット噴射量補正手段を設け、該パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が高温側の第一所定値以上のとき補正を実行しないように構成したものである。
【0010】
本発明は、エンジン運転状態に基づいて所定のパイロット噴射とメイン噴射とを実行するエンジンの燃料噴射制御装置において、パイロット噴射量を大気温に基づき補正するパイロット噴射量補正手段を設け、該パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が低温側の第二所定値以下のとき補正を実行しないように構成したものである。
【0011】
これによれば大気温に応じたパイロット噴射量とすることができ、最適且つ十分なパイロット噴射制御を行える。
【0012】
ここで、上記パイロット噴射量補正手段が、大気温が所定値以下のとき上記パイロット噴射量を増量補正するものであるのが好ましい。
【0013】
また、上記パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が低温側の第二所定値未満のとき補正を実行しないものであるのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
図6は本発明が適用されるコモンレール式直噴ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置を示す。エンジンの各気筒毎にインジェクタ1が設けられ、各インジェクタ1には高圧管2を通じ、コモンレール3に貯留されたコモンレール圧(数10〜数100MPa)の高圧燃料が常時供給されている。コモンレール3への燃料圧送は主に高圧ポンプ4によって行われる。即ち、燃料タンク5の常圧程度の燃料が燃料フィルタ6を通じてフィードポンプ7に吸引され、これにより燃料がフィード管8を通じて高圧ポンプ4に送られる。ここで燃料が高圧に加圧され、高圧管9を通じてコモンレール3に送られる。
【0016】
燃料噴射制御を総括的に司る電子制御ユニット(以下ECUという)10が設けられ、これはエンジンの運転状態(回転速度、負荷等)に応じて所定の駆動パルスをインジェクタ1の電磁ソレノイド11に送り、インジェクタ1を開閉制御する。電磁ソレノイド11がONされると燃料噴射が実行され、電磁ソレノイド11がOFF されると燃料噴射が停止される。噴射停止時にはインジェクタ1内のリーク燃料がリーク管12を通じて燃料タンク5に戻される。
【0017】
またECU10はエンジン運転状態に応じてコモンレール圧をフィードバック制御する。即ち、コモンレール3にコモンレール圧センサ13が設けられ、この圧力値に基づきECU10が高圧ポンプ4の出口圧を制御する。このとき余剰の燃料が戻り管14を通じて燃料タンク5に戻される。コモンレール圧はそのまま噴射圧力となる。
【0018】
ECU10は、エンジン回転速度センサ15の出力からエンジン回転速度NEを読取り、アクセル開度センサ16の出力からアクセル開度ACを読取り、大気温センサ17の出力から大気温TAを読取り、水温センサ18の出力からエンジン冷却水の水温(冷却水温)TWを読取るようになっている。この他にもECU10は図示しない各種センサ類から各種情報を読取るようになっている。
【0019】
本装置ではエンジン運転状態に基づいて所定のパイロット噴射とメイン噴射、つまり二段階噴射を実行するようになっている。これはパイロット噴射による火種を基にメイン噴射による主燃焼を実行させるもので、白煙と騒音との両立等を図り得るものである。
【0020】
図5はかかる二段階噴射の具体的態様を現わす。パイロット噴射量がPQ、メイン噴射量がMQで示される。これらの合計PQ+MQが総噴射量Qである。パイロット噴射量PQとメイン噴射量MQとはインジェクタ通電期間ΔPT、ΔMTに置き換えられ、各噴射量の制御は実際には各通電期間の制御によってなされる。パイロット噴射の開始時期がPTI、メイン噴射の開始時期がMTIである。パイロット噴射とメイン噴射との間には所定の無噴射期間、即ちパイロットインターバルが存在する。ここでのパイロットインターバルはパイロット噴射終了からメイン噴射開始までの期間PINTで定義される。各時期、期間の単位はクランク角(°CA)で、ECU2はエンジン回転速度センサ7から得られた回転パルス(クランク角)を基準に各時期等の到来を判断する。ここでは遅角方向(クランク角増大方向)を正とする。
【0021】
次に、本装置における燃料噴射制御、特にパイロット噴射制御について説明する。
【0022】
従来同様、パイロット噴射量は図1に示すPQマップに従って決められる。マップの横軸は水温TW(℃)、縦軸はパイロット噴射量PQである。マップ内が二つ設定水温LTW、HTW(LTW<HTW)によって三領域に仕切られ、TW≦LTWの領域を低温エリア、TW≧HTWの領域を高温エリア、LTW<TW<HTWの領域を中間エリアと称す。
【0023】
本装置では、大気温が所定値以下のとき、パイロット噴射量をベース量に対し増量補正するようになっている。マップ中の実線cはパイロット噴射量のベース量(以下「ベースパイロット噴射量」という)を、破線dは補正後のパイロット噴射量を示す。
【0024】
ベースパイロット噴射量(実線c)に関し、これは低温エリア及び高温エリアにおいて水温によらず一定値LLPQ、HHPQとなる。なおLLPQ>HHPQである。中間エリアではこれらLLPQ、HHPQを二点補間した値となる。ただしここでの線図は後述の関数PQ1で規定され、図示の如き曲線とするのが好ましい。
【0025】
LLPQとHHPQとの値はエンジン回転速度NEと総噴射量Qとに基づき所定のマップ(図示せず)に従って算出される。図中の添字(NE,Q)はこのことを意味する。それ故、LLPQとHHPQとがエンジン運転状態によって変化し、その結果マップ中の線図c,dが時々刻々と変化する。この点は従来と同様である。なお総噴射量Qは、エンジン回転速度NEとアクセル開度ACとの値に基づき所定のマップ(図示せず)に従って予め算出されることとなる。
【0026】
関数PQ1は任意に設定できるが、ここでは次式のようなN次関数(Nは自然数)としている。
【0027】
PQ1(TW,(NE,Q)) =CN ・TWN +CN-1 ・TWN-1 +…+C1 ・TW+C0
CN ,CN-1 ,…C1 ,C0 は、TW=LTWのときPQ1=LLPQ、TW=HTWのときPQ1=HHPQを満たすような任意の定数である。PQ1はエンジン回転速度NEと総噴射量Qとにより、水温TWに関するN次式の形で決定される。図中の添字(TW,(NE,Q)) はこのことを意味する。ここではN≧2とし、線図を曲線としている。なおN=1とすることもでき、こうなると線図は従来同様の直線となる。
【0028】
一方、補正後パイロット噴射量(破線d)に関し、これは低温エリアではベースパイロット噴射量と同様、水温によらない一定値LLPQをとる。中間エリア及び高温エリアではベースパイロット噴射量に対し以下のような差異がみられる。
【0029】
即ち、高温エリアにおいて二つの設定水温HHTW,SHTW(HTW<HHTW<SHTW)が設けられ、水温TWがHTW≦TW≦HHTWのとき補正後パイロット噴射量は一定値LHPQ(>HHPQ)をとる。このLHPQもエンジン回転速度NEと総噴射量Qとに基づき所定のマップ(図示せず)に従って算出され、図中には添字(NE,Q)を付してある。
【0030】
中間エリアでは補正後パイロット噴射量がLLPQとLHPQとを二点補間した値となる。この値はPQ1同様のN次関数PQ2で求められ、線図もPQ1同様曲線とするのが好ましい。図中に添字(TW,(NE,Q)) を付する。PQ2で与えられる補正後噴射量はPQ1で与えられるベース量より大きい値となる。
【0031】
この中間エリアでは、補正後パイロット噴射量とベースパイロット噴射量との差、つまり補正量が水温の上昇につれ次第に大きくなっていく。そして水温HTWで最大(LHPQ−HHPQ)となる。
【0032】
高温エリアにおいて、HHTW<TW<SHTWの領域では、補正後パイロット噴射量がLHPQとHHPQとを二点補間した値となる。この値はPQ1,PQ2同様のN次関数PQ3で求められ、線図もPQ1,PQ2同様曲線とするのが好ましい。図中に添字(TW,(NE,Q)) を付する。PQ3で与えられる補正後噴射量はベース量HHPQより大きい値となる。
【0033】
この領域では、補正後パイロット噴射量とベースパイロット噴射量との差つまり補正量が、水温の上昇につれ次第に小さくなり、水温SHTWで0となる。
【0034】
そしてこれに続くSHTW≦TWの領域では、補正後パイロット噴射量がベースパイロット噴射量HHPQと等しくなり、補正量は0を維持する。
【0035】
このように、TW≦LTW及びSHTW≦TWの領域では補正量は0であり、補正は行われない。これらSHTW、LTWが本発明の「高温側の第一所定値」、「低温側の第二所定値」に相当する。
【0036】
ここで、低温エリアは主に低温始動が行われるエリアで、低温始動性、白煙、騒音といった要求がある。そこでこれらの要求を全て満足し得るようにLLPQが定められている。一方高温エリアはエンジン暖機後となるエリアで、始動性等よりもむしろ排ガス適合を優先させる必要がある。そこでこれを満足し得るようHHPQ、LHPQ、PQ3が定められている。中間エリアはエンジン暖機途中となるエリアで、主に白煙と騒音のバランスが重要となる。そこでこの要求を満足できるようPQ1、PQ2が定められている。
【0037】
次に、大気温補正の実行可否の判定方法を示す。これはECU10により図3に示す判定フローに従って行われる。
【0038】
ECU10はまずステップ201で大気温TAを読込む。そしてステップ202でこの大気温TAを所定値LTAと比較する。
【0039】
TA≦LTAのとき、ステップ203に進んでこの状態がTPFG1(秒)以上継続したか否かを判断する。継続したならステップ204に進んで大気温補正判定フラグPFGを1とする。継続しなければステップ206に進んで大気温補正判定フラグPFGを0とする。
【0040】
ステップ202でTA>LTAのとき、ステップ205に進んでこの状態がTPFG2(秒)以上継続したか否かを判断する。継続したならステップ206に進んで大気温補正判定フラグPFGを0とする。継続しなければステップ204に進んで大気温補正判定フラグPFGを1とする。
【0041】
大気温補正判定フラグPFGが1なら大気温補正を実行し、大気温補正判定フラグPFGが0なら大気温補正を行わない。このフローではいわゆるヒステリシスを設け、フラグの切替条件(TA≦LTA又はTA>LTA)が成立しても、その状態が所定時間継続しなければフラグを切替えないこととした。これにより制御の安定性が保たれる。なおフラグPFGの初期値は0である。
【0042】
こうして大気温補正の実行可否が判断されたら、次に図2に示す噴射量決定フローに従い、パイロット噴射量PQ及びメイン噴射量MQを決定する。このフローはECU10により各制御サイクル毎に繰り返し実行される。
【0043】
ECU10は、まずステップ101でエンジン回転速度NE、アクセル開度AC、大気温TA及び水温TWを読み込む。そしてステップ102でエンジン回転速度NEとアクセル開度ACとから所定のマップに従い総噴射量Qを算出する。次にステップ103でエンジン回転速度NEと総噴射量Qとから所定のマップに従いLLPQ,LHPQ,HHPQを算出する。次にステップ104でエンジン回転速度NEと総噴射量Qとから関数PQ1,PQ2,PQ3を決定する。これによりPQマップが確定するから、パイロット噴射量PQは当該マップを用いて以下のように算出することができる。
【0044】
即ち、まずステップ105に進んで水温TWを設定水温LTWと比較する。TW≦LTWならステップ115に進んでPQ=LLPQとする。TW>LTWならステップ106に進み、水温TWを設定水温SHTWと比較する。TW≧SHTWならステップ114に進んでPQ=HHPQとする。TW<SHTWならステップ107に進み、大気温補正判定フラグPFGが0か否かを判断する。
【0045】
PFG=0のとき、即ち大気温補正しないと判断したときは、ステップ113に進み、関数PQ1と水温TWとからパイロット噴射量PQを計算する。
【0046】
PFG=1のとき、即ち大気温補正すると判断したときは、ステップ108に進み、水温TWがLTW<TW<HTWの範囲内にあるか否かを判断する。その範囲内にあればステップ112に進み、関数PQ2と水温TWとからパイロット噴射量PQを計算する。範囲内になければステップ109に進み、水温TWがHHTW<TW<SHTWの範囲内にあるか否かを判断する。その範囲内にあればステップ111に進み、関数PQ3と水温TWとからパイロット噴射量PQを計算する。範囲内になければステップ110に進み、PQ=LHPQとする。
【0047】
こうしてパイロット噴射量PQが算出されたら、メイン噴射量MQを式MQ=Q−PQに従って計算する。こうしてパイロット噴射量PQとメイン噴射量MQとが決定されたら本フローを終了する。なお、こうして決定されたパイロット噴射量PQとメイン噴射量MQとは直ちにインジェクタ通電時間ΔPT、ΔMTに置き換えられる。
【0048】
次に、燃料噴射時期即ちパイロット噴射時期PTI及びメイン噴射時期MTIの決定方法について説明する。この決定はECU10により図4に示す噴射時期決定フローに従って各制御サイクル毎に繰り返し行われる。
【0049】
ECU10は、まずステップ301でエンジン回転速度NE、総噴射量Q及びパイロット噴射量PQを読み込む。そしてステップ302でエンジン回転速度NEと総噴射量Qとから所定のマップに従いメイン噴射時期MTIを算出する。次にステップ303でエンジン回転速度NEと総噴射量Qとから所定のマップに従いパイロットインターバルPINTを算出する。
【0050】
この後、ステップ304ではパイロット噴射量PQに応じたパイロットインターバルPINTの補正を行う。即ち、パイロット噴射量PQが多い程パイロットインターバルPINTを大きくする補正を行う。そしてステップ305に進み、パイロット噴射時期PTIを次式により決定する。
【0051】
PTI=MTI−PINT−ΔPT
こうして、最終的な噴射時期PTI、MTIとインジェクタ通電時間ΔPT、ΔMTとが決まったら、これら噴射時期の到来と同時に対応する通電時間だけインジェクタ1の電磁ソレノイド11をONする。これにより現在のエンジン運転状態に即した所望の二段階噴射が実現される。
【0052】
このように、本装置においてはパイロット噴射量PQを大気温TAに基づき補正するので、大気温TAに応じた最適パイロット噴射量とすることができ、最適且つ十分なパイロット噴射制御を実現できる。そして白煙と騒音とを常に一定レベル以内に抑えることが可能となる。
【0053】
特に本装置では、大気温TAが所定値LTA以下となる低大気温時に、所定の水温域(LTW<TW<SHTW)で、パイロット噴射量PQをベース量に対し増量補正している。これにより着火及び燃焼が容易となり、白煙と騒音とを両立できる。逆に、その水温域でも、大気温TAが所定値LTAより大きい高大気温時には、必要最小限のベース量を噴射し、過剰の燃料噴射を防止して燃費の抑制を図っている。
【0054】
さらに、水温TWがSHTW以上のときは、大気温TAに拘らず補正を実行しない。この理由はオーバーヒートを防ぐためである。
【0055】
また、水温TWがLTW以下のときにも大気温TAに拘らず補正を実行しない。この水温領域(低温エリア)では始動性、白煙、騒音を満足し得るような最適パイロット噴射量LLPQが既に別マップで与えられており、これをさらに大気温補正(増量)してしまうと、パイロット燃焼が過大となり、騒音が増大するからである。
【0056】
上記PQ1、PQ2、PQ3は二次関数以上とするのが好ましい。こうすると従来のような一次関数に比べ、パイロット噴射量PQを水温TWに応じてきめ細かく設定できるようになるからである。
【0057】
本装置では、パイロット噴射量PQが多い程パイロットインターバルPINTを大きくする補正を行っている。これはパイロット噴射量PQが多い程、着火遅れ及び燃焼期間が増大するので、その分早めに燃料噴射開始する必要があるからである。
【0058】
上記の説明から分かるように、本実施形態ではECU10が本発明のパイロット噴射量補正手段を構成している。
【0059】
以上、本発明の実施の形態は上述のものに限られず他にも様々なものが考えられる。例えば、過渡判定を行うようにすることで過渡時のパイロット噴射大気温補正が可能となる。大気温は吸気温を代用してもよい。補正量の増大・減少の態様は本実施形態以外のものが可能であり、補正量の切替水温も本実施形態のようなLTW、HTW、HHTW,SHTWに限られない。所定の場合にはベース量に対し減量補正する態様であってもよい。本発明はコモンレール式ディーゼルエンジン以外にも各種エンジンに適用できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば以下の如き優れた効果が発揮される。
【0061】
(1) 大気温を考慮した最適パイロット噴射制御を実現できる。
【0062】
(2) 低大気温時に騒音と白煙とを一定レベル以内に抑えられる。
【0063】
(3) 燃費の過度の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パイロット噴射量算出用マップである。
【図2】燃料噴射量決定用フローチャートである。
【図3】大気温補正判定用フローチャートである。
【図4】燃料噴射時期決定用フローチャートである。
【図5】パイロット噴射とメイン噴射の態様を示すタイムチャートである。
【図6】コモンレール式燃料噴射装置の構成図である。
【図7】従来のパイロット噴射量算出用マップである。
【図8】従来のパイロット噴射量決定用フローチャートである。
【符号の説明】
1 インジェクタ
3 コモンレール
4 高圧ポンプ
10 電子制御ユニット
13 コモンレール圧センサ
15 エンジン回転速度センサ
16 アクセル開度センサ
17 大気温センサ
18 水温センサ
LTA 大気温の所定値
LTW、SHTW 設定水温
MQ メイン噴射量
MTI メイン噴射時期
NE エンジン回転速度
PINT パイロットインターバル
PQ パイロット噴射量
PTI パイロット噴射時期
Q 総噴射量
TA 大気温
TW 水温
Claims (4)
- エンジン運転状態に基づいて所定のパイロット噴射とメイン噴射とを実行するエンジンの燃料噴射制御装置において、パイロット噴射量を大気温に基づき補正するパイロット噴射量補正手段を設け、
該パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が高温側の第一所定値以上のとき補正を実行しないように構成したことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - エンジン運転状態に基づいて所定のパイロット噴射とメイン噴射とを実行するエンジンの燃料噴射制御装置において、パイロット噴射量を大気温に基づき補正するパイロット噴射量補正手段を設け、
該パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が低温側の第二所定値以下のとき補正を実行しないように構成したことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 上記パイロット噴射量補正手段が、大気温が所定値以下のとき上記パイロット噴射量を増量補正するものである請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
- 上記パイロット噴射量補正手段が、冷却水温が低温側の第二所定値以下のとき補正を実行しないものである請求項1記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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