JP3721065B2 - ベルト加工用スリーブの背面研磨方法及び研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝動用ベルトなどのベルトに加工するためのスリーブの背面を研磨する方法及び研磨する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯付きベルトやVベルト等の伝動用ベルトを製造するにあたっては、円筒状の成形型の外周に補強布や補強コード及び未加硫のゴムシートを巻付け、これを加熱・加圧して加硫することによって、円筒状のスリーブを作製し、そしてこの円筒状のスリーブを輪切り状に細く切断加工することによって行なうのが一般的である。
【0003】
上記のように加硫成形して得られる円筒状のスリーブは、厚みが不均一になっており、このスリーブを切断加工して得られるベルトはそのベルト長手方向において厚み寸法公差が大きくなる。そしてこのようにベルトの厚み寸法公差が大きいと、走行時のベルト共振に伴う異音発生などの問題が生じるおそれがある。
【0004】
上記のように円筒状に成形されるスリーブの厚みが不均一になる要因は、成形型の外周に巻き付けセットする未加硫ゴムシートの厚みの不均一、加熱加硫時にゴムが流動する際に重力が影響することによる厚みの不均一などが考えられる。また成形型の外周に未加硫ゴムシートを巻き付ける際に、未加硫ゴムシートの両端を付き合わせてショイントするが、加硫成形した後のスリーブにはこのジョイント部にゴムが盛り上がって局所的にうねった凸部が形成され、この凸部が放置されてベルトの背面に残ると、走行時の異音発生が特に発生し易くなる。
【0005】
そこでこのようなスリーブの厚みの不均一をならすと共に凸部を除去し、ベルトの厚み公差を小さくするために、スリーブの背面を研磨することが行なわれている。すなわち、例えば特開平11−333690号公報にみられるように、スリーブを駆動及び従動の2本のロール間に掛け渡して架装し、ロールによってスリーブを回転走行させながら、ロールの外周に巻き架けた部分においてスリーブの外周面に研磨砥石を当接させることによって、スリーブの外周面、つまりスリーブの背面を研磨するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
研磨砥石はダイヤモンド砥粒などの砥粒を電着して形成されており、面としてスリーブの外周面に当接され、一度に広い面積で研磨を行なうことができる。
【0007】
しかしこの反面、上記のジョイント部のようなゴムが局所的に盛り上がった凸部を研磨砥石で研磨する場合、研磨砥石の圧力でゴムの凸部が周辺部へ圧縮変形されて逃げ、研磨砥石による研磨を逃れる現象が生じ易い。従って、研磨によってスリーブの厚みを均一にならす平滑化は可能であるが、局所的な凸部の除去は不充分であり、ベルトの厚み公差を小さくする効果を高く得ることはできないものであった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スリーブの背面に存在する局所的な凸部を確実に除去した状態で、スリーブの厚みを均一にならす研磨を行なうことができるベルト加工用スリーブの背面研磨方法および背面研磨装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るベルト加工用スリーブの背面研磨方法は、ベルトに加工されるゴム製のスリーブ1をロール2に架装して回転走行させ、外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物からなる固定された切削刃物3を、ロール2の外周に巻き架けた部分においてスリーブ1の外周面に当接させながらロール2と平行に移動させることによってスリーブ1の外周面を切削し、次いで切削刃物3で切削したスリーブ1の外周面に研磨砥石4を当接させながら切削刃物3と同方向に移動させことによってスリーブ1の外周面を研磨することを特徴とするものである。
【0010】
また請求項2の発明は、研磨砥石4として、粗い粒子の砥粒からなる粗砥石4aと、細かい粒子の砥粒からなる仕上げ砥石4bとを用い、スリーブ1の外周面を粗砥石4aで粗研磨した後に仕上げ砥石4bで仕上げ研磨することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3の発明は、切削刃物3として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃5を形成したディスク状刃物を用い、ロール2の外周に巻き架けられた部分でのスリーブ1の円筒状の外周面と切削刃物3の刃先5との接点pにおいて、この接点pを通るスリーブ1の外周面の母線rのうち接点pより切削刃物3の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物3の上記接点pを通る接線sが、スリーブ1の走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点pを通るスリーブ1の外周面の接線qのうち接点pよりスリーブ1の走行方向側の部分に対して上記接点pを通る切削刃物3の法線tが、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物3を配置して切削を行なうことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項4に係るベルト加工用スリーブの背面研磨装置は、ベルトに加工されるゴム製のスリーブ1を架装して回転走行させるロール2と、ロール2の外周に巻き架けた部分においてスリーブ1の外周面に当接され、ロール2と平行に移動されることによってスリーブ1の外周面を切削する切削刃物3と、切削刃物3で切削されたスリーブ1の外周面に当接され、切削刃物3と同方向に移動されることによってスリーブ1の外周面を研磨する研磨砥石4とを具備して成り、切削刃物3は外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成した固定されたディスク状刃物からなることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項5の発明は、研磨砥石4として、粗い粒子の砥粒で形成され、切削刃物3による切削の後にスリーブ1の外周面を粗研磨する粗砥石4aと、細かい粒子の砥粒で形成され、粗砥石4aによる粗研磨の後にスリーブ1の外周面を仕上げ研磨する仕上げ砥石4bとを具備して成ることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項6の発明は、切削刃物3として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃5を形成したディスク状刃物を用い、ロール2の外周に巻き架けられた部分でのスリーブ1の円筒状の外周面と切削刃物3の刃先との接点pにおいて、この接点pを通るスリーブ1の外周面の母線rのうち接点pより切削刃物3の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物3の上記接点pを通る接線sが、スリーブ1の走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点pを通るスリーブ1の外周面の接線qのうち接点pよりスリーブ1の走行方向側の部分に対して上記接点pを通る切削刃物3の法線tが、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物3を配置して成ることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は本発明に係る研磨装置の一例を示すものであり、少なくとも1軸のロール2を配設してスリーブ1を架装できるようにしてある。図の例では、駆動ロール2aと従動ロール2bからなる一対のロール2を平行に配置して2軸構成にしてある。駆動ロール2aはモータ等によって回転駆動されるものであり、また従動ロール2bは駆動ロール2aに近接離間する方向に位置移動できるようにしてあって、駆動ロール2aと従動ロール2bの間に懸架したスリーブ1の張力を調整できるようにしてある。
【0017】
図1において10は駆動ロール2aの近傍に配置される研磨台であり、この研磨台10は駆動ロール2aの回転軸と平行に往復移動されるようになっており、また研磨台10は駆動ロール2aに近接離間する方向にも移動されるようになっている。研磨台10の上には一対のモータ11,12が固定してあり、各モータ11,12の出力軸11a,12aにはそれぞれ研磨砥石4が取り付けてある。研磨砥石4は全体の形状が扁平な円柱状であって、その外周面にダイヤモンド砥粒などの砥粒を電着して形成してあり、研磨砥石4は円柱の中心を出力軸11a,12aに取り付けるようにしてある。各モータ11,12はその出力軸11a,12aが駆動ロール2aの回転軸と平行になるように配置してあり、研磨砥石4の回転面が駆動ロール2aの回転軸と直交するようにしてある。
【0018】
この一対の研磨砥石4としては、粗い粒子の砥粒を電着して形成した粗砥石4aと、細かい粒子の砥粒を電着して形成した仕上げ砥石4bとを用いるものである。粗砥石4aは粒径が40〜80メッシュの砥粒から形成したものを用いるのが好ましく、仕上げ砥石4bは粒径が120〜200メッシュの砥粒から形成したものを用いるのが好ましい。粗砥石4aは研磨台10の送り方向(図1(a)のイ矢印方向)の前側のモータ11に、仕上げ砥石4bは後側のモータ12にそれぞれ取り付けるようにしてある。
【0019】
さらに研磨台10上には、粗砥石4aよりも送り方向側の前方位置において切削刃物3が取り付けてある。図1の実施の形態では、モータ11のケーシング駆動ロール2a側の側面に、ホルダー18で切削刃物3を固定することによって、切削刃物3の取り付けを行なうようにしてある。この切削刃物3としては例えば図3に示すような薄い円板の外周の全周に円形に刃5を設けて形成されるディスク状刃物を用いるようにしてある。このディスク状刃物にあって、刃5は全周に形成されていてもよいが、切削に必要な箇所に円形の一部をなすように形成されていればよい。このディスク状刃物として形成される切削刃物3において、外周の刃5は角度θ1,θ2で二段階にシノギ(鎬)13を設けて形成してある。
【0020】
上記のようにして研磨台10にその送り方向において前から順に切削刃物3、粗砥石4a、仕上げ砥石4bを配置して設け、これを駆動ロール2aの近傍に配置することによって、研磨装置が形成されるものである。研磨台10は初期状態では、駆動ロール2aに対向しない側方位置に配置してある。
【0021】
そしてスリーブ1の背面を研磨するにあたっては、まず駆動ロール2aと従動ロール2bの間にスリーブ1を架け渡して架装する。スリーブ1は例えば、外周に軸方向と平行に多数の歯部成形溝を多数設けて形成される円筒状の成形型の外周に、まず帆布などの補強布を巻き付け、補強布の上から成形型の外周に補強コードをスパイラル状に巻き付けた後、さらにこの上から成形型の外周に未加硫のゴムシートを巻付け、これを加熱・加圧して加硫することによって、図4(a)に示すように作製されるものである。そしてこの円筒状に作製されるスリーブ1を輪切り状に細く切断加工することによって、図4(b)に示すような伝動用のベルトBを得ることができるものである。図4(b)において14はベルトBの内周側に所定ピッチで形成される歯部、15は補強布、16はベルト長手方向に複数本埋設された補強コード、17はベルト背部を形成するゴム層である。
【0022】
次に、モータ11,12を作動させて研磨砥石4を回転駆動させる。ここで図1(b)に示すように、研磨砥石4とスリーブ1の相対向する面が逆方向に移動するように、研磨砥石4はスリーブ1の走行方向に対してリバース方向に回転駆動するようにしてある。そして研磨台10を図1(a)のロ矢印のように駆動ロール2aに近接させる方向に送る制御を行ない、研磨台10上の切削刃物3の先端及び研磨砥石4a,4bの外周の研磨面が駆動ロール2aの外周に巻き架けたスリーブ1の外周表面に当接可能な位置まで移動させる。この後、研磨台10を図1(a)のイ矢印のように駆動ロール2aの軸方向と平行な方向に送る制御を行なう。
【0023】
このように研磨台10をイ矢印方向に送ると、まず切削刃物3の先端が駆動ロール2aの外周に巻き架けたスリーブ1の外周表面に当接し、スリーブ1の外周表面が切削される。スリーブ1の背面には成形型に未加硫ゴムシートを巻き付けて加硫する際に両端を突き合わせた箇所において局所的な凸部が形成されているが、このような局所的な凸部は切削刃物3によって切削されて除去される。切削刃物3はその刃先が点(あるいは線)でスリーブ1の外周に接して凸となった部分を切削するので、局部的な凸部が弾性を有するゴムで形成されていても、確実に切削することができ、スリーブ1の背面の凸部を切削除去することができるものである。このとき図1(b)に示すように、切削刃物3の下方位置において吸引筒19を配置してあり、切削刃物3による切削で発生する切削屑を吸引筒19で吸引することによって、切削屑が飛散しないようにしてある。
【0024】
さらに研磨台10を図1(a)のイ矢印方向に送ることによって、スリーブ1の背面は一方の側端から他方の側端方向へと切削刃物3で切削処理されるが、次に粗砥石4aの外周面がスリーブ1の外周表面に当接して、切削刃物3で切削された部分においてスリーブ1の外周表面が粗砥石4aで研磨される。粗砥石4aによって、スリーブ1の外周表面を粗研磨し、スリーブ1の厚みの不均一をならすことができる。
【0025】
そしてさらに研磨台10を図1(a)のイ矢印方向に送ることによって、次に仕上げ砥石4bの外周面がスリーブ1の外周表面に当接し、スリーブ1の外周表面が仕上げ砥石4bで仕上げ研磨され、スリーブ1の外周表面を平滑面に仕上げることができる。このように研磨台10を図1(a)のイ矢印方向に片道で往移動させることによって、スリーブ1の外周表面、すなわちスリーブの背面は一方の側端から他方の側端方向へと切削、粗研磨、仕上げ研磨の順に研磨処理することができるものであり、研磨処理が終了すれば、研磨台10をロ矢印と反対方向へ戻す制御をして駆動ロール2aから離すと共に、研磨台10をイ矢印と反対方向へ戻す制御をして復帰移動させ、初期の位置に研磨台10を戻す。この後に、駆動ロール2aと従動ロール2bから背面を研磨処理したスリーブ1を取り外して、背面を未処理のスリーブ1と交換し、上記の操作を繰り返してスリーブ1の背面の研磨を行なうものである。
【0026】
上記のように、スリーブ1の背面を研磨砥石4で研磨するに先だって、スリーブ1の背面を切削刃物3で切削することによって、スリーブ1の背面の局部的な凸部を切削刃物3で切削除去することができ、スリーブ1の厚みの不均一を小さくすることができるものであり、このスリーブ1を加工して得られるベルトBの厚み公差を小さくすることができるものである。
【0027】
ここで、切削刃物3として図3のように外周に少なくとも円形の一部をなすように刃5を形成したディスク状刃物を用いる場合、切削刃物3の取付角度を図2のように設定して配置するのが好ましい。すなわち、円形に形成される切削刃物3の刃5は、駆動ロール2aの外周に巻き架けられて半円筒状となった部分でのスリーブ1の外周面と接点pで接している。スリーブ1の円筒状の外周面にはこの接点pを通る接線qと母線(駆動ロール2aの回転軸と平行なスリーブ1の外周面上の直線)rとが仮想される。また切削刃物3の外周の円形の刃5にはこの接点pを通る接線sと法線t(接点pと円形の刃5の中心とを結ぶ線)とが仮想される。そして接点pを通る切削刃物3の外周の刃5の接線sが、スリーブ1の外周面の母線rのうち接点pより切削刃物3の送り方向(イ矢印方向)と反対側の部分に対して、スリーブ1の走行方向(ハ矢印方向)の側に40〜50°の角度θ3で傾斜して交差し、且つ接点pを通る切削刃物3の外周の刃5の法線tが、接点pを通るスリーブ1の外周面の接線qのうち接点pよりスリーブ1の走行方向(ハ矢印方向)の側の部分に対して、15〜25°の角度θ4で交差するように、切削刃物3を傾斜させた取付角度で配置するのが好ましい。このような角度θ3,θ4に取付角度を設定して切削刃物3を配置することによって、過切削や切削不足なく、最適な状態で切削刃物3による切削を行なうことができるものである。角度θ3が40°未満の場合や角度θ4が15°未満の場合には、過切削が生じるおそれがあり、角度θ3が50°を超える場合や角度θ4が25°を超える場合には、切削不足が生じるおそれがある。また、角度θ3がスリーブ1の走行方向(ハ矢印方向)と反対側に形成されたり、角度θ4が接線qのうち切削刃物3の刃先の当接点よりスリーブ1の走行方向(ハ矢印方向)と反対側の部分との間に形成されたりするように、切削刃物3が図2の場合と逆の向きに傾斜して配置されると、切削刃物3で切削された切削屑がスリーブ1の外周表面に残って巻き付くおそれがある。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0029】
(実施例)
図1の装置において、駆動ロール2aとしてロール面長1470mm、直径135mmのもの、従動ロール2bとしてロール面長1250mm、直径170mmのものを用い、駆動ロール2aを600rpmで回転駆動するようにした。また切削刃物3として図3のような、直径50mm、厚み1mm、刃5のシノギ13の角度θ1=20°、θ2=12°の寸法に設定した超微粒子超硬刃のディスク状刃物を用い、これを図2のように角度θ3=45°、θ4=20°の取付角度で配置した。さらに粗砥石4aとして40メッシュのダイヤモンド砥粒から作製した直径255mm、砥石幅32mmのもの、仕上げ砥石4bとして200メッシュのダイヤモンド砥粒から作製した直径255mm、砥石幅32mmのものを用い、それぞれ1780rpmで回転駆動するようにした。
【0030】
そしてスリーブ1として、歯数163、歯形S8M、最終製品幅27.4mm、ベルト長1304mmの歯付ベルトBを40本取るための、幅1100mmのものを用い、これを駆動ロール2aと従動ロール2bの間に架装し、研磨台10のイ矢印方向への送り速度を2.5mm/秒に設定して、切削刃物3、粗砥石4a、仕上げ砥石4bの順で、スリーブ1の背面である外周面の研磨を行なった。
【0031】
上記のように背面研磨を行なったスリーブ1について、280箇所の厚みを測定した。ここで、厚みTは、図4(b)のように歯部14間の歯溝部20での厚みを意味する。測定結果は、平均値2.27mm、最大値2.32mm、最小値2.23mmであり、最大値と最小値の差R=0.09mm、標準偏差√(V)=0.022mmであった。
【0032】
また、この背面研磨したスリーブ1を輪切りに切断することによって歯付ベルトBを40本作製し、この40本の歯付ベルトBについてベルト一周内での7箇所の厚みを測定した。そして40本の各歯付ベルトBにおいて、厚みの最大値と最小値の差Rを求めたところ、最大のR=0.04mm、最小のR=0.01mm、40本の歯付ベルトBの平均のR=0.03mmであった。
【0033】
(比較例)
切削刃物3を用いず、粗砥石4a、仕上げ砥石4bだけを用いるようにした他は、実施例と同様にしてスリーブ1の背面である外周面の研磨を行なった。
【0034】
このように背面研磨を行なったスリーブ1について、280箇所の厚みを測定した。測定結果は、平均値2.29mm、最大値2.46mm、最小値2.18mmであり、最大値と最小値の差R=0.28mm、標準偏差√(V)=0.056mmであった。
【0035】
また、この背面研磨したスリーブ1を輪切りに切断して歯付ベルトBを40本作製し、この40本の歯付ベルトBについてベルト一周内での7箇所の厚みを測定した。そして40本の各歯付ベルトBにおいて、厚みの最大値と最小値の差Rを求めたところ、最大のR=0.21mm、最小のR=0.06mm、40本の歯付ベルトBの平均のR=0.13mmであった。
【0036】
上記の実施例及び比較例の結果にみられるように、実施例のものは厚みのばらつきが小さく、スリーブ1の厚みが均一になっていることが確認される。尚、図5(a)に実施例における1本のベルトBの一周内での7箇所の厚みの測定結果を、図5(b)に比較例における1本のベルトBの一周内での7箇所の厚みの測定結果をそれぞれ示す。
【0037】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るベルト加工用スリーブの背面研磨方法は、ベルトに加工されるスリーブをロールに架装して回転走行させ、ロールの外周に巻き架けた部分においてスリーブの外周面に切削刃物を当接させながらロールと平行に移動させることによってスリーブの外周面を切削し、次いで切削刃物で切削したスリーブの外周面に研磨砥石を当接させながら切削刃物と同方向に移動させることによってスリーブの外周面を研磨するようにしたので、スリーブの背面を研磨砥石で研磨するに先だって、スリーブの背面を切削刃物で切削して局部的な凸部を確実に除去することができるものであり、スリーブの厚みを均一にならす研磨を精度高く行なうことができるものである。特に、外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物からなる固定された切削刃物を用いるので、切削刃物はその刃先が点(あるいは線)でスリーブの外周に接して凸となった部分を切削し、局部的な凸部が弾性を有するゴムで形成されていても、確実に切削することができ、スリーブの背面の凸部を切削除去することができるものである。
【0038】
また請求項2の発明は、研磨砥石として、粗い粒子の砥粒からなる粗砥石と、細かい粒子の砥粒からなる仕上げ砥石とを用い、スリーブの外周面を粗砥石で粗研磨した後に仕上げ砥石で仕上げ研磨するようにしたので、粗砥石による粗研磨でスリーブの厚みの不均一をならすことができると共に、砥石による仕上げ研磨で表面を平滑に仕上げることができ、スリーブの厚みを均一にならす研磨を精度高く行なうことができるものである。
【0039】
また請求項3の発明は、切削刃物として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物を用い、ロールの外周に巻き架けられた部分でのスリーブの円筒状の外周面と切削刃物の刃先との接点において、この接点を通るスリーブの外周面の母線のうち接点より切削刃物の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物の上記接点を通る接線が、スリーブの走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点を通るスリーブの外周面の接線のうち接点よりスリーブの走行方向側の部分に対して上記接点を通る切削刃物の法線が、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物を配置して切削を行なうようにしたので、過切削や切削不足なく、最適な状態で切削刃物による切削を行なうことができるものである。
【0040】
本発明の請求項4に係るベルト加工用スリーブの背面研磨装置は、ベルトに加工されるスリーブを架装して回転走行させるロールと、ロールの外周に巻き架けた部分においてスリーブの外周面に当接され、ロールと平行に移動されることによってスリーブの外周面を切削する切削刃物と、切削刃物で切削されたスリーブの外周面に当接され、切削刃物と同方向に移動されることによってスリーブの外周面を研磨する研磨砥石とを具備するので、スリーブの背面を研磨砥石で研磨するに先だって、スリーブの背面を切削刃物で切削して局部的な凸部を確実に除去することができるものであり、スリーブの厚みを均一にならす研磨を精度高く行なうことができるものである。特に、切削刃物として、外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成した固定されたディスク状刃物を用いるので、切削刃物はその刃先が点(あるいは線)でスリーブの外周に接して凸となった部分を切削し、局部的な凸部が弾性を有するゴムで形成されていても、確実に切削することができ、スリーブの背面の凸部を切削除去することができるものである。
【0041】
また請求項5の発明は、研磨砥石として、粗い粒子の砥粒で形成され、切削刃物による切削の後にスリーブの外周面を粗研磨する粗砥石と、細かい粒子の砥粒で形成され、粗砥石による粗研磨の後にスリーブの外周面を仕上げ研磨する仕上げ砥石とを具備するので、粗砥石による粗研磨でスリーブの厚みの不均一をならすことができると共に、砥石による仕上げ研磨で表面を平滑に仕上げることができ、スリーブの厚みを均一にならす研磨を精度高く行なうことができるものである。
【0042】
また請求項6の発明は、切削刃物として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物を用い、ロールの外周に巻き架けられた部分でのスリーブの円筒状の外周面と切削刃物の刃先との接点において、この接点を通るスリーブの外周面の母線のうち接点より切削刃物の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物の上記接点を通る接線が、スリーブの走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点を通るスリーブの外周面の接線のうち接点よりスリーブの走行方向側の部分に対して上記接点を通る切削刃物の法線が、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物を配置してあるので、過切削や切削不足なく、最適な状態で切削刃物による切削を行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】同上の切削刃物の取付角度を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図3】同上の切削刃物を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図4】(a)はスリーブの一例を示す斜視図、(b)はベルトの一例を示す拡大した一部の斜視図である。
【図5】(a)は実施例においてベルトの一周内の7箇所の厚みを測定した結果を示すグラフ、(b)は比較例においてベルトの一周内の7箇所の厚みを測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スリーブ
2 ロール
3 切削刃物
4 研磨砥石
4a 粗砥石
4b 仕上げ砥石
5 刃
Claims (6)
- ベルトに加工されるスリーブをロールに架装して回転走行させ、外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物からなる固定された切削刃物を、ロールの外周に巻き架けた部分においてスリーブの外周面に当接させながらロールと平行に移動させることによってスリーブの外周面を切削し、次いで切削刃物で切削したスリーブの外周面に研磨砥石を当接させながら切削刃物と同方向に移動させることによってスリーブの外周面を研磨することを特徴とするベルト加工用スリーブの背面研磨方法。
- 研磨砥石として、粗い粒子の砥粒からなる粗砥石と、細かい粒子の砥粒からなる仕上げ砥石とを用い、スリーブの外周面を粗砥石で粗研磨した後に仕上げ砥石で仕上げ研磨することを特徴とする請求項1に記載のベルト加工用スリーブの背面研磨方法。
- 切削刃物として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物を用い、ロールの外周に巻き架けられた部分でのスリーブの円筒状の外周面と切削刃物の刃先との接点において、この接点を通るスリーブの外周面の母線のうち接点より切削刃物の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物の上記接点を通る接線が、スリーブの走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点を通るスリーブの外周面の接線のうち接点よりスリーブの走行方向側の部分に対して上記接点を通る切削刃物の法線が、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物を配置して切削を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト加工用スリーブの背面研磨方法。
- ベルトに加工されるスリーブを架装して回転走行させるロールと、ロールの外周に巻き架けた部分においてスリーブの外周面に当接され、ロールと平行に移動されることによってスリーブの外周面を切削する切削刃物と、切削刃物で切削されたスリーブの外周面に当接され、切削刃物と同方向に移動されることによってスリーブの外周面を研磨する研磨砥石とを具備して成り、切削刃物は外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成した固定されたディスク状刃物からなることを特徴とするベルト加工用スリーブの背面研磨装置。
- 研磨砥石として、粗い粒子の砥粒で形成され、切削刃物による切削の後にスリーブの外周面を粗研磨する粗砥石と、細かい粒子の砥粒で形成され、粗砥石による粗研磨の後にスリーブの外周面を仕上げ研磨する仕上げ砥石とを具備して成ることを特徴とする請求項4に記載のベルト加工用スリーブの背面研磨装置。
- 切削刃物として外周に少なくとも円形の一部をなすように刃を形成したディスク状刃物を用い、ロールの外周に巻き架けられた部分でのスリーブの円筒状の外周面と切削刃物の刃先との接点において、この接点を通るスリーブの外周面の母線のうち接点より切削刃物の送り方向と反対側の部分に対して切削刃物の上記接点を通る接線が、スリーブの走行方向側に40〜50°の角度で傾斜して交差し、且つ上記接点を通るスリーブの外周面の接線のうち接点よりスリーブの走行方向側の部分に対して上記接点を通る切削刃物の法線が、15〜25°の角度で傾斜して交差するように、切削刃物を配置して成ることを特徴とする請求項4又は5に記載のベルト加工用スリーブの背面研磨装置。
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