JP2001138196A - 研磨工具の製造方法、研磨加工方法、研磨工具及び光学素子またはその金型 - Google Patents

研磨工具の製造方法、研磨加工方法、研磨工具及び光学素子またはその金型

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JP2001138196A
JP2001138196A JP32188199A JP32188199A JP2001138196A JP 2001138196 A JP2001138196 A JP 2001138196A JP 32188199 A JP32188199 A JP 32188199A JP 32188199 A JP32188199 A JP 32188199A JP 2001138196 A JP2001138196 A JP 2001138196A
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polishing
polishing tool
tool
resin
unnecessary area
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JP32188199A
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English (en)
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Hidetoshi Sakae
英利 寒河江
Kenichi Ichikawa
憲一 市川
Hiroyuki Endo
弘之 遠藤
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は曲面形状の光学素子またはその金型を
光学部品として使用可能な鏡面に仕上げる研磨工具の製
造方法、研磨工具及び光学素子またはその金型を提供す
る。 【解決手段】被加工物を研磨加工する研磨工具1の研磨
工具部2を、木材の粉砕された紛状部材と、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のいずれかを主成分
とする熱硬化性樹脂と、を混練して加熱圧縮した材料を
素材として成形し、研磨工具部2の材料を、木材の紛状
部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で10%以
上のものとしている。研磨工具部2を、その断面が円弧
状のタイヤ形状に形成されており、当該円弧形状の中心
部に軸であるシャンク3が接合されている。したがっ
て、研磨工具1を、被ツルーイング性に優れ、工具表面
を精密なものとすることができ、また、吸水性を有し、
加工中のうきあがりを防止して、適度な硬度と塑性を有
して砥粒の食いつきの良好なものとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨工具の製造方
法、研磨加工方法、研磨工具及び光学素子またはその金
型に関し、詳細には、曲面形状の光学素子またはその金
型を光学部品として使用可能な鏡面に仕上げる研磨工具
の製造方法、研磨加工方法、研磨工具及び光学素子また
はその金型に関する。
【0002】
【従来の技術】回転研磨工具によって自由曲面や非球面
光学素子を研磨する方法は、加工面に対する工具軸の姿
勢によって大きく2つに分けることができる。
【0003】1つの方式は、図12に示すように、被加
工面100に対する法線と工具101の回転軸を一致さ
せる方式であり(特開昭61−265257号公報等参
照)、法線一致型研磨方式といえる方式である。
【0004】もう一つの方式は、被加工面100の法線
に対して、工具101の回転軸を任意の傾きを持たせて
加工する方式であり(特開平2−131851号公報、
特開平4−129658号公報等参照)、傾斜型研磨方
式といえる方式である。
【0005】そして、自由曲面の仕上げ研磨において
は、法線一致型研磨方式の方が表面粗さやうねりの加工
精度に優れているため、多用されている。
【0006】ところが、構造的に工具接触面が大きくな
ってしまうため、金型加工においては、特開昭62−2
46467号公報に記載されているように、被加工面の
外側に疑似金型(ヤトイ)が必要であるが、疑似金型
は、本来のレンズ型とほとんど同一の工程を経て製作さ
れるため、型製作の総加工時間を大きく増大させる要因
となっている。
【0007】一方、傾斜型研磨の場合、理論上は接触領
域を限りなく小さくすることが可能で、接触面が被加工
面の光学的不要域に収まるほど充分小さくなると、ヤト
イ無し研磨も可能となり、型加工工程の能率を飛躍的に
向上させることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、傾斜型
研磨の場合、回転フレや工具表面粗さといった工具側の
精度が転写しやすいため、光学素子を仕上げるために
は、工具精度を厳密に管理することが課題となってく
る。
【0009】そこで、本出願人が光学素子を仕上げるた
めの傾斜型研磨の工具に求められる仕様を調査したとこ
ろ、以下の3点が判明した。
【0010】まず、第1に、被ツルーイング性に優れて
いること。すなわち、上述のように、傾斜型研磨におい
ては、工具状態が敏感に加工面に転写されるため、工具
の表面粗さとフレを十分に小さくする必要があり、実験
によると、ウレタン系工具の場合、フレは8μm以下に
抑えることが必要であった。
【0011】第2に、吸水性を有すること。すなわち、
無発泡のウレタン球などを用いて傾斜型研磨を行うと、
数100g程度の加重では、加工面と工具の間に加工液
の膜が生じやすく、浮き上がってしまう。例えば、車が
雨の日にタイヤと濡れた路面との間に生じた膜でスリッ
プするのと同様であり、工具回転数とも相関がある。こ
のような浮き上がりが生じると加工能率はほとんどゼロ
になる。この現象を抑制するためには、傾斜型研磨工具
の素材に吸水性を持たせることが有効であり、細管のよ
うな連続気泡を内在させる等の方法で吸水性を持たせる
ことができる。
【0012】第3に、砥粒を把持しやすいこと。すなわ
ち、多孔質な表面であればかなり砥粒は把持されるが、
砥粒はムラなく均質にかつ密に把持されることが理想で
あり、空孔のない部位にでも砥粒の打ち込みまたは食い
込みが容易であることが望ましい。
【0013】ところが、金型の加工テストを行ったとこ
ろ、以下の弱点が判明した。
【0014】まず、第1に、木目の部分で硬度差を生じ
ており、タタキのような機械振動が発生しない場合に
も、工具回転周期の一致したうねりを生じるという問題
があった。これは、材料としての異方性が大きいことに
起因する。
【0015】第2に、オイルエージングした木材を使用
しても、ラップ液で膨張し、工具フレに経時的な変化が
生じ、摩耗と塑性変形が顕著で、比較的短時間の加工に
おいても、接触幅が変動しやすいという問題があった。
【0016】そこで、請求項1記載の発明は、被加工物
を研磨加工する研磨工具の研磨工具部を、木材の粉砕さ
れた紛状部材と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂
のいずれかを主成分とする熱硬化性樹脂と、を混練して
加熱圧縮した材料を素材として成形することにより、被
ツルーイング性に優れ、工具表面を精密なものとするこ
とができるとともに、吸水性を有し、加工中のうきあが
りを防止して、適度な硬度と塑性を有して砥粒の食いつ
きの良好なものとし、さらに、材料異方性を極めて小さ
くして、適度な弾性変形特性を有するものとし、加工性
能を向上させて、加工能率の向上と表面粗さやうねりと
いった加工精度の向上とを両立させることのできる研磨
工具の製造方法を提供することを目的としている。
【0017】請求項2記載の発明は、研磨工具部の材料
を、木材の紛状部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重
量比で10%以上のものとすることにより、研磨性能の
安定性を確保し、加工能率のより一層の向上と表面粗さ
やうねりといった加工精度のより一層の向上を両立させ
ることのできる研磨工具の製造方法を提供することを目
的としている。
【0018】請求項3記載の発明は、研磨工具部を、そ
の断面が円弧状のタイヤ形状に形成されており、当該円
弧形状の中心部に軸が接合されているものとすることに
より、研磨素材としての性能をより一層適切に発揮させ
るとともに、工具接触面を小さくして、光学素子または
その金型を研磨する際に光学的不要域を十分小さくし、
ヤトイなし研摩で研磨加工による削り残し段差または研
磨工具の切り返しによる段差を光学的な不要域内に納め
る状態で研磨することのできる研磨工具の製造方法を提
供することを目的としている。
【0019】請求項4記載の発明は、その断面が所定の
曲率半径を有する円弧状のタイヤ形状の研磨工具部を有
する研磨工具を所定の軸を中心として回転させて、連続
した1つの面内に光学的な有効域と不要域を有する光学
素子またはその金型を研磨加工する際に、研磨加工によ
る削り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差を
光学的な不要域内に納める状態で研磨することにより、
ヤトイなしで金型の研磨仕上げを行うことができ、ヤト
イ製作の作業を削減して、金型製作工程の効率を大幅に
向上することのできる研磨加工方法を提供することを目
的としている。
【0020】請求項5記載の発明は、研磨工具部の曲率
半径を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の
切り返しによる段差が光学的な不要域内に納まる大きさ
とすることにより、光学素子設計において研磨のための
加工しろとしての制約をなくし、光学素子の設計の自由
度を広げることのできる研磨加工方法を提供することを
目的としている。
【0021】請求項6記載の発明は、光学的な不要域の
幅を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切
り返しによる段差が、当該光学的な不要域内に収まる幅
に設定することにより、加工面の形状によって工具側曲
率の調整を行った場合でも、予め設定された光学的不要
域に研磨による欠陥幅が収まらない場合が生じて、光学
素子自体のコンパクト性が損なわれるおそれがある場合
にも、欠陥幅を基準に光学的不要域を設定して、ヤトイ
なし研磨を行うことができ、部品コストを低減すること
のできる研磨加工方法を提供することを目的としてい
る。
【0022】請求項7記載の発明は、小径の研磨工具部
を所定の軸を中心として回転させて被加工物を研磨加工
する研磨工具の研磨工具部を、木材の粉砕された紛状部
材と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂のいずれか
を主成分とする熱硬化性樹脂と、が混練されて加熱圧縮
された材料を素材として成形されたものとすることによ
り、被ツルーイング性に優れ、工具表面を精密なものと
することができるとともに、吸水性を有し、加工中のう
きあがりを防止して、適度な硬度と塑性を有して砥粒の
食いつきの良好なものとし、さらに、材料異方性を極め
て小さくして、適度な弾性変形特性を有するものとし、
加工性能を向上させて、加工能率の向上と表面粗さやう
ねりといった加工精度の向上とを両立させることのでき
る研磨工具を提供することを目的としている。
【0023】請求項8記載の発明は、研磨工具部の材料
を、木材の紛状部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重
量比で10%以上ものとすることにより、研磨性能の安
定性を確保し、加工能率のより一層の向上と表面粗さや
うねりといった加工精度のより一層の向上を両立させる
ことのできる研磨工具を提供することを目的としてい
る。
【0024】請求項9記載の発明は、研磨工具部を、そ
の断面が円弧状のタイヤ形状に形成されており、当該円
弧形状の中心部に軸が接合されているものとすることに
より、研磨素材としての性能をより一層適切に発揮させ
るとともに、工具接触面を小さくして、光学素子または
その金型を研磨する際に光学的不要域を十分小さくし、
ヤトイなし研摩で研磨加工による削り残し段差または研
磨工具の切り返しによる段差を光学的な不要域内に納め
る状態で研磨することのできる研磨工具を提供すること
を目的としている。
【0025】請求項10記載の発明は、その断面が所定
の曲率半径を有する円弧状のタイヤ形状の研磨工具部を
有する研磨工具が所定の軸を中心として回転されて、連
続した1つの面内に光学的な有効域と不要域が研磨され
る際に、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の
切り返しによる段差が、光学的な不要域内に納まる状態
で研磨されていることにより、ヤトイなしで金型の研磨
仕上げを行うことができ、ヤトイ製作の作業を削減し
て、金型製作工程の効率を大幅に向上することのできる
光学素子またはその金型を提供することを目的としてい
る。
【0026】請求項11記載の発明は、光学的な不要域
の幅を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の
切り返しによる段差が当該光学的な不要域内に収まる幅
に設定することにより、加工面の形状によって工具側曲
率の調整を行った場合でも、予め設定された光学的不要
域に研磨による欠陥幅が収まらない場合が生じて、光学
素子自体のコンパクト性が損なわれるおそれがある場合
にも、欠陥幅を基準に光学的不要域を設定して、ヤトイ
なし研磨を行うことができ、部品コストを低減すること
のできる光学素子またはその金型を提供することを目的
としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の研
磨工具の製造方法は、小径の研磨工具部を所定の軸を中
心として回転させて被加工物を研磨加工する研磨工具の
製造方法において、前記研磨工具部は、木材の粉砕され
た紛状部材と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂の
いずれかを主成分とする熱硬化性樹脂と、を混練して加
熱圧縮した材料を素材として成形されていることによ
り、上記目的を達成している。
【0028】上記構成によれば、被加工物を研磨加工す
る研磨工具の研磨工具部を、木材の粉砕された紛状部材
と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを
主成分とする熱硬化性樹脂と、を混練して加熱圧縮した
材料を素材として成形しているので、被ツルーイング性
に優れ、工具表面を精密なものとすることができるとと
もに、吸水性を有し、加工中のうきあがりを防止して、
適度な硬度と塑性を有して砥粒の食いつきの良好なもの
とすることができ、さらに、材料異方性を極めて小さく
して、適度な弾性変形特性を有するものとすることがで
き、加工性能を向上させて、加工能率の向上と表面粗さ
やうねりといった加工精度の向上とを両立させることが
できる。
【0029】この場合、例えば、請求項2に記載するよ
うに、前記研磨工具部の前記材料は、前記木材の紛状部
材の前記熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で10%
以上であってもよい。
【0030】上記構成によれば、研磨工具部の材料を、
木材の紛状部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比
で10%以上のものとしているので、研磨性能の安定性
を確保することができ、加工能率のより一層の向上と表
面粗さやうねりといった加工精度のより一層の向上を両
立させることができる。
【0031】また、例えば、請求項3に記載するよう
に、前記研磨工具部は、その断面が円弧状のタイヤ形状
に形成されており、当該円弧形状の中心部に前記軸が接
合されていてもよい。
【0032】上記構成によれば、研磨工具部を、その断
面が円弧状のタイヤ形状に形成されており、当該円弧形
状の中心部に軸が接合されているものとしているので、
研磨素材としての性能をより一層適切に発揮させること
ができるとともに、工具接触面を小さくして、光学素子
またはその金型を研磨する際に光学的不要域を十分小さ
くすることができ、ヤトイなし研摩で研磨加工による削
り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差を光学
的な不要域内に納める状態で研磨することができる。
【0033】請求項4記載の発明の研磨加工方法は、そ
の断面が所定の曲率半径を有する円弧状のタイヤ形状の
研磨工具部を有する研磨工具を所定の軸を中心として回
転させて、連続した1つの面内に光学的な有効域と不要
域を有する光学素子またはその金型を研磨加工する研磨
加工方法であって、前記研磨加工による削り残し段差ま
たは前記研磨工具の切り返しによる段差を、前記光学的
な不要域内に納める状態で研磨することにより、上記目
的を達成している。
【0034】上記構成によれば、その断面が所定の曲率
半径を有する円弧状のタイヤ形状の研磨工具部を有する
研磨工具を所定の軸を中心として回転させて、連続した
1つの面内に光学的な有効域と不要域を有する光学素子
またはその金型を研磨加工する際に、研磨加工による削
り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差を光学
的な不要域内に納める状態で研磨しているので、ヤトイ
なしで金型の研磨仕上げを行うことができ、ヤトイ製作
の作業を削減して、金型製作工程の効率を大幅に向上す
ることができる。
【0035】この場合、例えば、請求項5に記載するよ
うに、前記研磨工具部の前記曲率半径は、前記研磨加工
による削り残し段差または前記研磨工具の切り返しによ
る段差が前記光学的な不要域内に納まる大きさであって
もよい。
【0036】上記構成によれば、研磨工具部の曲率半径
を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切り
返しによる段差が光学的な不要域内に納まる大きさとし
ているので、光学素子設計において研磨のための加工し
ろとしての制約をなくすことができ、光学素子の設計の
自由度を広げることができる。
【0037】また、例えば、請求項6に記載するよう
に、前記光学的な不要域の幅は、前記研磨加工による削
り残し段差または前記研磨工具の切り返しによる段差
が、当該光学的な不要域内に収まる幅であってもよい。
【0038】上記構成によれば、光学的な不要域の幅
を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切り
返しによる段差が、当該光学的な不要域内に収まる幅に
設定しているので、加工面の形状によって工具側曲率の
調整を行った場合でも、予め設定された光学的不要域に
研磨による欠陥幅が収まらない場合が生じて、光学素子
自体のコンパクト性が損なわれるおそれがある場合に
も、欠陥幅を基準に光学的不要域を設定して、ヤトイな
し研磨を行うことができ、部品コストを低減することが
できる。
【0039】請求項7記載の発明の研磨工具は、小径の
研磨工具部を所定の軸を中心として回転させて被加工物
を研磨加工する研磨工具において、前記研磨工具部は、
木材の粉砕された紛状部材と、ウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポ
リイミド樹脂のいずれかを主成分とする熱硬化性樹脂
と、が混練されて加熱圧縮された材料を素材として成形
されていることにより、上記目的を達成している。
【0040】上記構成によれば、小径の研磨工具部を所
定の軸を中心として回転させて被加工物を研磨加工する
研磨工具の研磨工具部を、木材の粉砕された紛状部材
と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを
主成分とする熱硬化性樹脂と、が混練されて加熱圧縮さ
れた材料を素材として成形されたものとしているので、
被ツルーイング性に優れ、工具表面を精密なものとする
ことができるとともに、吸水性を有し、加工中のうきあ
がりを防止して、適度な硬度と塑性を有して砥粒の食い
つきの良好なものとすることができ、さらに、材料異方
性を極めて小さくして、適度な弾性変形特性を有するも
のとすることができ、加工性能を向上させて、加工能率
の向上と表面粗さやうねりといった加工精度の向上とを
両立させることができる。
【0041】この場合、例えば、請求項8に記載するよ
うに、前記研磨工具部の前記材料は、前記木材の紛状部
材の前記熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で10%
以上であってもよい。
【0042】上記構成によれば、研磨工具部の材料を、
木材の紛状部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比
で10%以上ものとしているので、研磨性能の安定性を
確保することができ、加工能率のより一層の向上と表面
粗さやうねりといった加工精度のより一層の向上を両立
させることができる。
【0043】また、例えば、請求項9に記載するよう
に、前記研磨工具部は、その断面が円弧状のタイヤ形状
に形成されており、当該円弧形状の中心部に前記軸が接
合されていてもよい。
【0044】上記構成によれば、研磨工具部を、その断
面が円弧状のタイヤ形状に形成されており、当該円弧形
状の中心部に軸が接合されているものとしているので、
研磨素材としての性能をより一層適切に発揮させること
がでいるとともに、工具接触面を小さくして、光学素子
またはその金型を研磨する際に光学的不要域を十分小さ
くすることができ、ヤトイなし研摩で研磨加工による削
り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差を光学
的な不要域内に納める状態で研磨することができる。
【0045】請求項10記載の発明の光学素子またはそ
の金型は、その断面が所定の曲率半径を有する円弧状の
タイヤ形状の研磨工具部を有する研磨工具が所定の軸を
中心として回転されて、連続した1つの面内に光学的な
有効域と不要域が研磨される光学素子またはその金型で
あって、前記研磨加工による削り残し段差または前記研
磨工具の切り返しによる段差が、前記光学的な不要域内
に納まる状態で研磨されていることにより、上記目的を
達成している。
【0046】上記構成によれば、その断面が所定の曲率
半径を有する円弧状のタイヤ形状の研磨工具部を有する
研磨工具が所定の軸を中心として回転されて、連続した
1つの面内に光学的な有効域と不要域が研磨される際
に、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切り
返しによる段差が、光学的な不要域内に納まる状態で研
磨されているので、ヤトイなしで金型の研磨仕上げを行
うことができ、ヤトイ製作の作業を削減して、金型製作
工程の効率を大幅に向上することができる。
【0047】この場合、例えば、請求項11に記載する
ように、前記光学的な不要域の幅は、前記研磨加工によ
る削り残し段差または前記研磨工具の切り返しによる段
差が当該光学的な不要域内に収まる幅であってもよい。
【0048】上記構成によれば、光学的な不要域の幅
を、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切り
返しによる段差が当該光学的な不要域内に収まる幅に設
定しているので、加工面の形状によって工具側曲率の調
整を行った場合でも、予め設定された光学的不要域に研
磨による欠陥幅が収まらない場合が生じて、光学素子自
体のコンパクト性が損なわれるおそれがある場合にも、
欠陥幅を基準に光学的不要域を設定して、ヤトイなし研
磨を行うことができ、部品コストを低減することができ
る。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0050】図1〜図11は、本発明の研磨工具の製造
方法、研磨加工方法、研磨工具及び光学素子またはその
金型の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の
研磨工具の製造方法、研磨加工方法、研磨工具及び光学
素子またはその金型の一実施の形態を適用した研磨工具
1の正面断面図である。
【0051】図1において、研磨工具1は、研磨工具部
2とシャンク3を備えており、光学素子の金型の研磨に
用いられる。
【0052】研磨工具部2は、所定幅を有した円盤形状
に形成されており、シャンク3は、研磨工具部2の中心
に固定されている。
【0053】研磨工具部2は、木材を紛状に粉砕して、
熱硬化性樹脂を結合材として、熱間圧縮成型で成型する
ことで形成されており、弾性変形域の増大と耐摩耗性を
向上させている。研磨工具部2の素材としての木材は、
本実施の形態では、檜材を用いており、平均粒径を1m
m以下に粉砕した粉体を使用している。このように紛状
にすることで、木材の木目等に起因する異方性をなくす
ことができ、また、平均粒径を1mm以下としているの
は、上記結合材との混練工程で、さらに粉砕されるため
であり、研磨工具部2としては、さらに微細粉となって
いる。上記結合材としては、弾性変形に優れているポロ
ウレタン樹脂を用いているが、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂等
であってもよい。
【0054】〈実験例〉吸水性による加工性能を評価す
るために、木粉と結合材の混合比を変化させて2種類の
研磨工具部11(図4参照)を、上記同様に形成し、シ
ャンク12を取り付けて研磨工具10とした。
【0055】この2種類の研磨工具部11は、木粉の含
有量を重量比で20%と6%とし、成形後の素材をカッ
ターナイフで切断して、その表面を光学顕微鏡で観察し
たところ、図2のような結果であった。すなわち、木粉
の含有量が重量比で20%のものは、図2(a)に示す
ように、100μm近い孔が多数存在するのに対して、
木粉の含有量が重量比で6%のものは、図2(b)に示
すように、気泡が10μm以下と微小で、その専有面積
も小さい。したがって、木粉を20%含有する場合の研
磨工具部11の組織は、図3(a)のように模式的に描
くことができ、また、6%含有する場合の研磨工具11
の組織は、図3(b)のように模式的に描くことができ
る。
【0056】そして、これら2種類の研磨工具部11
に、水と機械油をスポイトで滴下したところ、木粉の含
有量が重量比で20%のものは、水と機械油を直ちに吸
収したが、木粉の含有量が重量比で6%のものは、水も
機械油も吸収せず、液滴として表面に残った。
【0057】次に、これらの2種類の研磨工具部11を
用いて、図4に示すように、図1と同様の研磨工具10
を作製した。なお、図4において、研磨工具10は、研
磨工具材要部11にシャンク12が取り付けられたもの
である。
【0058】この研磨工具10を回転駆動させて、被加
工物13に溝14を加工形成した。被加工物13として
は、金型用ステンレス鋼(STAVAX ウッデホルン
製)を用い、砥粒としては、1μm粒径のダイヤモンド
ペーストを用いた。この溝加工は、研磨加重を付与した
状態で研磨工具10を回転させ、送り速度100mm/
minで10往復させて行った。
【0059】このようにして、2種類の研磨工具10で
同様の溝形成加工を行い、図4の横断面である図5及び
図4の縦断面である図6に示すような、溝14を形成し
た。
【0060】この形成された溝14の深さと溝14内の
表面粗さを測定したところ、以下に示すような結果を得
た。なお、溝14の深さ(溝深さ)は、図6の欠陥領域
Wfを除いた領域で測定し、この溝深さを加工能率の指
標とした。
【0061】
【表1】
【0062】上記表から分かるように、木粉の含有量が
重量比で20%のものは、木粉の含有量が重量比で6%
のものよりも、加工能率(溝深さ)と表面粗さのいずれ
においても優れており、木粉の含有量が重量比で6%で
は、木粉の含有率が不十分であることが判明した。した
がって、木粉の含有率は、使用する木材や圧縮材の使用
等によっても変化するが、吸水性能を確保するには、少
なくとも重量比で8%以上、好ましくは、10%以上で
あることが好適である。
【0063】次に、図1に示した研磨工具1を用いて光
学素子の金型を研磨する研磨方法について説明する。
【0064】光学素子の金型の研磨においては、上記実
施例で示したような往復動作で研磨すると、図6に示し
たように、研磨工具10の折り返し点で研磨工具10の
送り速度が落ちるため、被加工物13の当該研磨工具1
0の折り返し部分が他の部分よりも深くえぐられ、図6
に欠陥領域Wfで示す欠陥(研磨工具10の切り返しに
よる段差)が発生する。
【0065】そこで、光学素子の金型の研磨において
は、図7及び図8に示すジグザク方向、あるいは、図9
に示す三角方向に研磨工具1を移動させるツールパス方
式で研磨を行うが、このような方式を用いても、図10
に欠陥領域Wfで示すように、被加工物20の研磨工具
1の方向が変化する点で、他の部分よりも深くえぐら
れ、欠陥(段差)が発生する。
【0066】なお、図7において、矢印は、研磨工具1
による研磨方向を示しており、図8で、21は、研磨工
具1により研磨された加工溝を示している。また、図9
において、矢印は、研磨工具1による研磨方向を示して
おり、22は、研磨工具1を回転駆動するモータであ
る。さらに、図10及び後述する図11において、20
aは、被加工物20の研磨前の光学面であり、20b
は、被加工物20の研磨後の光学面である。
【0067】また、図7及び図8、あるいは、図9に示
した研磨工具1の往復方向と直交する方向に徐々に加工
を進めるツールパス方式であっても、加工開始付近と加
工終了付近の数往復部分の加工において、図11に欠陥
領域Wpで示す加工不完全な欠陥領域(研磨工具による
削り残し段差)が発生する。この欠陥領域Wpは、研磨
工具1が被加工物20に点接触ではなく、特定の幅を持
って接触するために、その接触幅分だけ研磨工具1がピ
ック方向(図11の長手方向)に抜けきれないために発
生する。
【0068】そのため、従来においては、ヤトイを用い
て、欠陥領域Wfや欠陥領域Wpを光学表面に残さない
ようにしているが、ヤトイを製作する作業が増え、生産
性及びコストの点で改良の必要があった。
【0069】一方、樹脂レンズやミラーの場合、その光
学面は1つの面内で光学的有効域とその外側の光学的不
要域を設定して設計製作される。これは、樹脂を成形し
て光学面を形成する際、光学面の輪郭稜線まで精度確保
するのが困難なためである。例えば、図7で、二点差線
で示す区分線Lの内側が、光学有効域であり、区分線L
の外側が、不要域である。なお、図7では、不要域の幅
が、長手方向で、Xと表示されており、短手方向で、Y
と表示されている。この不要域の幅は、光学素子の用
途、形状及び大きさによって、その大きさが異なるが、
通常、0.2mm〜3mmの範囲で設定される。
【0070】そこで、本実施の形態では、研磨する研磨
工具1で決定される上記図10の欠陥領域Wfと図11
の欠陥領域Wpを予め求めておき、研磨対象の光学素子
の金型に対して図7に示した光学的不要領域の幅X、Y
が、次式(1)を満たすように、研磨工具1の調整、あ
るいは、光学素子の形状を設定する。
【0071】 X≧Wp Y≧Wf・・・(1) このようにすると、ヤトイを用いることなく、研磨加工
による削り残し段差または研磨工具1の切り返しによる
段差である欠陥領域Wfや欠陥領域Wpを光学的な不要
域内に納める状態で研磨することができる。
【0072】すなわち、欠陥領域Wf、Wpは、研磨工
具1の被加工物20との接触面積に相関があり、この接
触面積を減らすことで、欠陥領域Wf、Wpを小さくす
ることができる。
【0073】例えば、R10の球面の研磨工具部2を備
えた研磨工具1を用いて、ツールパス方式で、R100
の凹シリンダ面を深さ3μmで研磨を行ったところ、欠
陥領域Wf=0.6mm、欠陥領域Wp=0.4mmと
することができた。
【0074】すなわち、研磨工具1の研磨工具部2の曲
率半径を小さくすればするほど、欠陥領域Wf、Wpを
小さくすることができる。
【0075】そこで、形成する金型で成型する光学素子
の設計上許容される欠陥領域Wf、Wpと研磨工具1の
研磨工具部2の形状を、上記式(1)を満たすように設
定することで、目的とする光学素子の金型を、ヤトイを
用いることなく、安価にかつ容易に研磨加工することが
できる。
【0076】このように、本実施の形態によれば、被加
工物20を研磨加工する研磨工具1の研磨工具部2を、
木材の粉砕された紛状部材と、ウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂のいずれかを主成分とする熱硬化
性樹脂と、を混練して加熱圧縮した材料を素材として成
形している。
【0077】したがって、研磨工具1を、被ツルーイン
グ性に優れ、工具表面を精密なものとすることができる
とともに、吸水性を有し、加工中のうきあがりを防止し
て、適度な硬度と塑性を有して砥粒の食いつきの良好な
ものとすることができ、さらに、材料異方性を極めて小
さくして、適度な弾性変形特性を有するものとすること
ができ、加工性能を向上させて、加工能率の向上と表面
粗さやうねりといった加工精度の向上とを両立させるこ
とができる。
【0078】また、研磨工具部2の材料を、木材の紛状
部材の熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で10%以
上のものとしている。
【0079】したがって、研磨性能の安定性を確保する
ことができ、加工能率のより一層の向上と表面粗さやう
ねりといった加工精度のより一層の向上を両立させるこ
とができる。
【0080】さらに、研磨工具部2を、その断面が円弧
状のタイヤ形状に形成されており、当該円弧形状の中心
部に軸であるシャンク3が接合されているものとしてい
る。
【0081】したがって、研磨素材としての性能をより
一層適切に発揮させることができるとともに、工具接触
面を小さくして、光学素子またはその金型を研磨する際
に光学的不要域を十分小さくすることができ、ヤトイな
し研摩で研磨加工による削り残し段差または研磨工具1
の切り返しによる段差を光学的な不要域内に納める状態
で研磨することができる。
【0082】また、研磨工具1を用いた研磨において、
その断面が所定の曲率半径を有する円弧状のタイヤ形状
の研磨工具部2を有する研磨工具1を所定の軸(シャン
ク3)を中心として回転させて、連続した1つの面内に
光学的な有効域と不要域を有する光学素子またはその金
型を研磨加工する際に、研磨加工による削り残し段差で
ある欠陥領域Wpまたは研磨工具1の切り返しによる段
差である欠陥領域Wfを光学的な不要域内に納める状態
で研磨している。
【0083】したがって、ヤトイなしで金型の研磨仕上
げを行うことができ、ヤトイ製作の作業を削減して、金
型製作工程の効率を大幅に向上することができる。
【0084】さらに、研磨工具部2の曲率半径を、研磨
加工による削り残し段差または研磨工具1の切り返しに
よる段差である欠陥Wf、Wpが光学的な不要域X、Y
内に納まる大きさとしている。
【0085】したがって、光学素子設計において研磨の
ための加工しろとしての制約をなくすことができ、光学
素子の設計の自由度を広げることができる。
【0086】また、光学的な不要域の幅X、Yを、研磨
加工による削り残し段差または研磨工具1の切り返しに
よる段差である欠陥Wf、Wpが、当該光学的な不要域
X、Y内に収まる幅に設定している。
【0087】したがって、加工面の形状によって工具側
曲率の調整を行った場合でも、予め設定された光学的不
要域X、Yに研磨による欠陥領域Wf、Wpが収まらな
い場合が生じて、光学素子自体のコンパクト性が損なわ
れるおそれがある場合にも、欠陥領域Wf、Wpを基準
に光学的不要域を設定して、ヤトイなし研磨を行うこと
ができ、部品コストを低減することができる。
【0088】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0089】例えば、上記実施の形態においては、研磨
工具1を用いて、傾斜型研磨方法で研磨する場合につい
て説明したが、他の研磨工具を用いても同様の研磨方法
で対応することができ、また、法線一致型研磨方法で研
磨する場合にも、上記(1)式の関係を満たすように設
定することで、同様に適用することができる。
【0090】
【発明の効果】請求項1記載の発明の研磨工具の製造方
法によれば、被加工物を研磨加工する研磨工具の研磨工
具部を、木材の粉砕された紛状部材と、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS
樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを主成分とする熱硬化
性樹脂と、を混練して加熱圧縮した材料を素材として成
形しているので、被ツルーイング性に優れ、工具表面を
精密なものとすることができるとともに、吸水性を有
し、加工中のうきあがりを防止して、適度な硬度と塑性
を有して砥粒の食いつきの良好なものとすることがで
き、さらに、材料異方性を極めて小さくして、適度な弾
性変形特性を有するものとすることができ、加工性能を
向上させて、加工能率の向上と表面粗さやうねりといっ
た加工精度の向上とを両立させることができる。
【0091】請求項2記載の発明の研磨工具の製造方法
によれば、研磨工具部の材料を、木材の紛状部材の熱硬
化性樹脂に対する比率が、重量比で10%以上のものと
しているので、研磨性能の安定性を確保することがで
き、加工能率のより一層の向上と表面粗さやうねりとい
った加工精度のより一層の向上を両立させることができ
る。
【0092】請求項3記載の発明の研磨工具の製造方法
によれば、研磨工具部を、その断面が円弧状のタイヤ形
状に形成されており、当該円弧形状の中心部に軸が接合
されているものとしているので、研磨素材としての性能
をより一層適切に発揮させることができるとともに、工
具接触面を小さくして、光学素子またはその金型を研磨
する際に光学的不要域を十分小さくすることができ、ヤ
トイなし研摩で研磨加工による削り残し段差または研磨
工具の切り返しによる段差を光学的な不要域内に納める
状態で研磨することができる。
【0093】請求項4記載の発明の研磨加工方法によれ
ば、その断面が所定の曲率半径を有する円弧状のタイヤ
形状の研磨工具部を有する研磨工具を所定の軸を中心と
して回転させて、連続した1つの面内に光学的な有効域
と不要域を有する光学素子またはその金型を研磨加工す
る際に、研磨加工による削り残し段差または研磨工具の
切り返しによる段差を光学的な不要域内に納める状態で
研磨しているので、ヤトイなしで金型の研磨仕上げを行
うことができ、ヤトイ製作の作業を削減して、金型製作
工程の効率を大幅に向上することができる。
【0094】請求項5記載の発明の研磨加工方法によれ
ば、研磨工具部の曲率半径を、研磨加工による削り残し
段差または研磨工具の切り返しによる段差が光学的な不
要域内に納まる大きさとしているので、光学素子設計に
おいて研磨のための加工しろとしての制約をなくすこと
ができ、光学素子の設計の自由度を広げることができ
る。
【0095】請求項6記載の発明の研磨加工方法によれ
ば、光学的な不要域の幅を、研磨加工による削り残し段
差または研磨工具の切り返しによる段差が、当該光学的
な不要域内に収まる幅に設定しているので、加工面の形
状によって工具側曲率の調整を行った場合でも、予め設
定された光学的不要域に研磨による欠陥幅が収まらない
場合が生じて、光学素子自体のコンパクト性が損なわれ
るおそれがある場合にも、欠陥幅を基準に光学的不要域
を設定して、ヤトイなし研磨を行うことができ、部品コ
ストを低減することができる。
【0096】請求項7記載の発明の研磨工具によれば、
小径の研磨工具部を所定の軸を中心として回転させて被
加工物を研磨加工する研磨工具の研磨工具部を、木材の
粉砕された紛状部材と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミ
ド樹脂のいずれかを主成分とする熱硬化性樹脂と、が混
練されて加熱圧縮された材料を素材として成形されたも
のとしているので、被ツルーイング性に優れ、工具表面
を精密なものとすることができるとともに、吸水性を有
し、加工中のうきあがりを防止して、適度な硬度と塑性
を有して砥粒の食いつきの良好なものとすることがで
き、さらに、材料異方性を極めて小さくして、適度な弾
性変形特性を有するものとすることができ、加工性能を
向上させて、加工能率の向上と表面粗さやうねりといっ
た加工精度の向上とを両立させることができる。
【0097】請求項8記載の発明の研磨工具によれば、
研磨工具部の材料を、木材の紛状部材の熱硬化性樹脂に
対する比率が、重量比で10%以上ものとしているの
で、研磨性能の安定性を確保することができ、加工能率
のより一層の向上と表面粗さやうねりといった加工精度
のより一層の向上を両立させることができる。
【0098】請求項9記載の発明の研磨工具によれば、
研磨工具部を、その断面が円弧状のタイヤ形状に形成さ
れており、当該円弧形状の中心部に軸が接合されている
ものとしているので、研磨素材としての性能をより一層
適切に発揮させることがでいるとともに、工具接触面を
小さくして、光学素子またはその金型を研磨する際に光
学的不要域を十分小さくすることができ、ヤトイなし研
摩で研磨加工による削り残し段差または研磨工具の切り
返しによる段差を光学的な不要域内に納める状態で研磨
することができる。
【0099】請求項10記載の発明の光学素子またはそ
の金型によれば、その断面が所定の曲率半径を有する円
弧状のタイヤ形状の研磨工具部を有する研磨工具が所定
の軸を中心として回転されて、連続した1つの面内に光
学的な有効域と不要域が研磨される際に、研磨加工によ
る削り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差
が、光学的な不要域内に納まる状態で研磨されているの
で、ヤトイなしで金型の研磨仕上げを行うことができ、
ヤトイ製作の作業を削減して、金型製作工程の効率を大
幅に向上することができる。
【0100】請求項11記載の発明の光学素子またはそ
の金型によれば、光学的な不要域の幅を、研磨加工によ
る削り残し段差または研磨工具の切り返しによる段差が
当該光学的な不要域内に収まる幅に設定しているので、
加工面の形状によって工具側曲率の調整を行った場合で
も、予め設定された光学的不要域に研磨による欠陥幅が
収まらない場合が生じて、光学素子自体のコンパクト性
が損なわれるおそれがある場合にも、欠陥幅を基準に光
学的不要域を設定して、ヤトイなし研磨を行うことがで
き、部品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨工具の製造方法、研磨加工方法、
研磨工具及び光学素子またはその金型の一実施の形態を
適用した研磨工具の正面断面図。
【図2】図1の研磨工具の研磨工具部の材料として木粉
の含有量が重量比で20%のものを使用した場合(a)
と6%のものを使用した場合の切断面を光学顕微鏡で観
察した図。
【図3】図1の研磨工具の研磨工具部の材料として木粉
の含有量が重量比で6%のものを使用した場合(a)と
6%のものを使用した場合の切断面の模式図。
【図4】図1の研磨工具の研磨工具部として、木粉の含
有量が重量比で20%のものと木粉の含有量が重量比で
6%のものの研磨性能を検査するために被加工物を研磨
している状態の平面図。
【図5】図4の研磨された被加工物の横断面図。
【図6】図4の研磨された被加工物の縦断面図。
【図7】図1の研磨工具によりジグザグ方向のツールパ
ス方式で被加工物を研磨している状態の平面図。
【図8】図7の研磨工具で被加工物を研磨している状態
の正面図。
【図9】図1の研磨工具により三角方向のツールパス方
式で被加工物を研磨している状態の斜視図。
【図10】図1の研磨工具で研磨された被加工物の研磨
工具の折り返し部分で他の部分よりも深くえぐられ状態
を示す正面断面図。
【図11】図1の研磨工具で研磨された被加工物の加工
開始付近と加工終了付近の数往復部分で加工不完全な状
態を示す正面断面図。
【図12】従来の研磨工具で法線一致型研磨方式により
研磨を行っている状態の断面図。
【符号の説明】
1 研磨工具 2 研磨工具部 3 シャンク 10 研磨工具 11 研磨工具部 12 シャンク 13 被加工物 14 溝 20 被加工物 20a 研磨前の光学面 20b 研磨後の光学面 21 加工溝 22 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C049 AA02 AA09 AA11 CA03 CB01 CB03 CB05 CB07 3C063 AA02 AB02 BA02 BC03 BD01 BD04 EE02 EE09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小径の研磨工具部を所定の軸を中心として
    回転させて被加工物を研磨加工する研磨工具の製造方法
    において、前記研磨工具部は、木材の粉砕された紛状部
    材と、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
    メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂のいずれか
    を主成分とする熱硬化性樹脂と、を混練して加熱圧縮し
    た材料を素材として成形されていることを特徴とする研
    磨工具の製造方法。
  2. 【請求項2】前記研磨工具部の前記材料は、前記木材の
    紛状部材の前記熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で
    10%以上であることを特徴とする請求項1記載の研磨
    工具の製造方法。
  3. 【請求項3】前記研磨工具部は、その断面が円弧状のタ
    イヤ形状に形成されており、当該円弧形状の中心部に前
    記軸が接合されていることを特徴とする請求項1または
    請求項2記載の研磨工具の製造方法。
  4. 【請求項4】その断面が所定の曲率半径を有する円弧状
    のタイヤ形状の研磨工具部を有する研磨工具を所定の軸
    を中心として回転させて、連続した1つの面内に光学的
    な有効域と不要域を有する光学素子またはその金型を研
    磨加工する研磨加工方法であって、前記研磨加工による
    削り残し段差または前記研磨工具の切り返しによる段差
    を、前記光学的な不要域内に納める状態で研磨すること
    を特徴とする研磨加工方法。
  5. 【請求項5】前記研磨工具部の前記曲率半径は、前記研
    磨加工による削り残し段差または前記研磨工具の切り返
    しによる段差が前記光学的な不要域内に納まる大きさで
    あることを特徴とする請求項4記載の研磨加工方法。
  6. 【請求項6】前記光学的な不要域の幅は、前記研磨加工
    による削り残し段差または前記研磨工具の切り返しによ
    る段差が、当該光学的な不要域内に収まる幅であること
    を特徴とする請求項4記載の研磨加工方法。
  7. 【請求項7】小径の研磨工具部を所定の軸を中心として
    回転させて被加工物を研磨加工する研磨工具において、
    前記研磨工具部は、木材の粉砕された紛状部材と、ウレ
    タン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
    脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかを主成分と
    する熱硬化性樹脂と、が混練されて加熱圧縮された材料
    を素材として成形されていることを特徴とする研磨工
    具。
  8. 【請求項8】前記研磨工具部の前記材料は、前記木材の
    紛状部材の前記熱硬化性樹脂に対する比率が、重量比で
    10%以上であることを特徴とする請求項7記載の研磨
    工具。
  9. 【請求項9】前記研磨工具部は、その断面が円弧状のタ
    イヤ形状に形成されており、当該円弧形状の中心部に前
    記軸が接合されていることを特徴とする請求項7または
    請求項8記載の研磨工具。
  10. 【請求項10】その断面が所定の曲率半径を有する円弧
    状のタイヤ形状の研磨工具部を有する研磨工具が所定の
    軸を中心として回転されて、連続した1つの面内に光学
    的な有効域と不要域が研磨される光学素子またはその金
    型であって、前記研磨加工による削り残し段差または前
    記研磨工具の切り返しによる段差が、前記光学的な不要
    域内に納まる状態で研磨されていることを特徴とする光
    学素子またはその金型。
  11. 【請求項11】前記光学的な不要域の幅は、前記研磨加
    工による削り残し段差または前記研磨工具の切り返しに
    よる段差が当該光学的な不要域内に収まる幅であること
    を特徴とする請求項10記載の光学素子またはその金
    型。
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