JP3720592B2 - 浴室ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は浴室ユニットに関し、詳しくは給湯器からの湯を一時的に貯溜し保温しておいて浴室内の吐水部に供給する貯湯タンクの設置構造に特徴を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
浴室内の水栓等吐水部への湯の供給は、従来、給湯器で湯を沸かしてこれを給湯用の配管を通じて送ることにより行っていた。
ところでかかる給湯器は浴室の吐水部から遠く離れた場所、一般にはキッチンの外に設置されているのが通例で、そのため浴室の吐水部から湯を出そうとしたときに、先ず長い配管内で冷却された冷たい水が出てしまう。
【0003】
しかも給湯器が着火して湯を沸かし上げるまでには時間がかかり、この間にも吐水部から冷たい水が流出し続ける。
従って使用者は吐水部から湯が出るまで長い間待たなければならず、この間に苛立ちを感じるとともに、その間に吐水部から吐水された冷水は使用者が求めていない水であってそのまま捨てられることとなり、多量の死に水となってしまう。
この問題は単に浴室内吐水のみならず、洗面化粧台その他の吐水部から湯を出す際に共通して生ずる問題である。
【0004】
このようなことから、給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクを吐水部近くに設けておき、吐水部を吐水操作したときに、その貯湯タンク内の湯を供給することで即時に吐水部から湯を出すようになした即時給湯装置が提案されている。
しかしながら浴室にあってはこの貯湯タンクを設ける場合にその配設箇所,配設構造が問題となる。
【0005】
貯湯タンク内部には通例保温のための電気ヒータが設けられており、従って漏電を嫌う浴室においてその貯湯タンクをどのようにして設けるかが問題となるのであり、また貯湯タンクはできるだけ浴室内の水栓等吐水部に近い位置に設けることが望ましいが、一般に浴室内にはそのようなスペースは確保されておらず、従ってその貯湯タンクをどこに置くかといったことも大きな問題となる。
【0006】
このようなことから、従来、貯湯タンクを浴室ユニットの天井裏に配設することが提案されている(特開平7−275151)。
図12はその一例を示したものである。
同図において200は浴室内に設置された浴槽であり、202は浴室内水栓であって、吐水管204又はシャワーヘッド206から水,湯ないしそれらの混合水を吐水するようになっている。
【0007】
208は給湯器からの湯を一時的に貯溜する貯湯タンクで、換気装置210などとともに浴室ユニットの天井裏に配設されている。
この貯湯タンク208には、給湯器からの湯を貯湯タンク208に供給するための給湯用の配管212が接続されており、更にこの貯湯タンク208からは同タンク208内に貯溜した湯を水栓202へと導くための配管214が延び出していて、その配管214が水栓202に接続されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのように貯湯タンク208を天井裏に配設した場合、貯湯タンク208から水栓202、即ち浴室内の吐水部までの配管長さが長くなり、吐水部から湯を出そうとしたときに先ず長い配管214内部で冷却した冷たい水が出てきてしまうといった問題がある外、本来必要のない天井裏にまで長い配管を不自然に立上げ施工しならばならないといった問題があり、また天井裏には各種の機器が設置されることが多く、従って天井裏における貯湯タンク208の配設スペースを確保するのも困難であるといった問題がある。
【0009】
一方貯湯タンクを浴室内に設ければ上記のような問題は解決できるものの、前述したように貯湯タンク内には電気部品(電気ヒータ)が内蔵されており、従ってこの場合には浴室内への漏電の問題が発生する。
そこでこの場合には安全のために絶縁トランスを設けることが必須となるが、このような絶縁トランスを設けると必然的にコストが高くなるとともに施工性が悪くなり、更にこの場合においても絶縁トランスの設置場所が問題となる。
またこのように浴室内に貯湯タンクを配置すると、その貯湯タンクを構成する各機器が腐食等で傷み易いといった問題もある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の発明はこのような課題を解決するためになされたものである。
而して請求項1の浴室ユニットは、給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクを浴室の床下又は壁裏に配設し、該貯湯タンクに対して給湯器からの湯を供給する配管及び浴室内の吐水部に該貯湯タンクの湯を導く配管を該貯湯タンクに接続するとともに、該浴室の床又は壁にタンク用開口部と該タンク用開口部を水密に閉鎖する脱着可能な、該床又は壁の一部を成す蓋とを設けて、該開口部近くに前記貯湯タンクを配設し、且つ該貯湯タンクと前記浴室内の配管とを前記蓋の部分で互いに接続したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の浴室ユニットは、浴室の床,壁等の室構成材にタンク用開口部と、該開口部を水密に閉鎖する脱着可能な、該室構成材の一部を成す蓋とを設け、浴室外且つ該開口部近くに給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクを配設し、該貯湯タンクに対して給湯器からの湯を供給する配管を接続するとともに、浴室内の吐水部に対して該貯湯タンクからの湯を導く配管を該貯湯タンクに接続するようになし、且つ該貯湯タンクへの給湯用の配管は一旦浴室内に入り込ませた上で前記蓋を貫通して前記貯湯タンクに到るようになしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の浴室ユニットは、請求項2において、前記給湯用の配管を浴室内で分離した上、該分離部を互いに接続するようになしたことを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】
上記のように請求項1の浴室ユニットは、貯湯タンクを浴室の床下又は壁裏に配設し、その貯湯タンクに対して配管を接続するようになしたもので、この請求項1の浴室ユニットの場合、貯湯タンクを浴室内水栓等の吐水部に可及的に近い位置に配設することができ、従って浴室内の吐水部から湯を出そうとしたときにタイムラグを可及的に少なくし得て、湯を速やかに吐水部から出すことができる。
従って使用者は吐水部から湯が出てくるまで長い間待つ必要がなくなる。
また湯が出て来るまでの間冷水が吐水部から出てしまうことによって、その冷水が死に水となって捨てられてしまうといった問題も解決できる。
【0014】
更に入浴中に何度かシャワーを使用するが、その毎に起る冷水サンドイッチ現象や2箇所以上に同時出湯した際に起る温度変化を、貯湯タンクによって混合緩和することで解消することができる。
【0015】
またこの請求項1の浴室ユニットの場合、図12に示す従来の浴室ユニットのように長い配管を天井裏にまで立上げ施工しなくても良く、また天井裏の煩雑な場所に貯湯タンク配設のためのスペースを確保するといったことも必要でなくなる。
【0016】
更にまたこの浴室ユニットでは、貯湯タンクを浴室外に配設しているために漏電防止のための絶縁トランスを必要とせず、従ってその絶縁トランスのためにコストがかかるといったこともないし、また天井裏等に絶縁トランス設置のためのスペースを確保する必要もない。
また絶縁トランスを設けなくても良いので施工性も良好となる。
更にまた、貯湯タンクを浴室内に設置した場合のように機器が腐食等で傷むといった問題も生じない。
【0017】
この請求項1のものは、床又は壁にタンク用開口部とその開口部を水密に閉鎖する脱着可能な蓋を設け、そしてその開口部近く且つ浴室外に貯湯タンクを配設してこれと配管とを接続するようになしており、この浴室ユニットにあっては、上記タンク用開口部を通じて貯湯タンクのメンテナンス作業を容易になすことができる。
【0018】
この請求項1の浴室ユニットにおいて、上記脱着可能な蓋は、これを透明ないし半透明の樹脂材にて構成することが望ましい。
このようにすれば一般にヒータを内蔵する貯湯タンクの配設箇所に万一何らかの異常が発生した場合、蓋を外すことなく室内側から貯湯タンクないし周辺部をその透明ないし半透明の蓋を通して確認(視認)することができる。
【0019】
この請求項1のものにおいてはまた、貯湯タンクと浴室内の配管とを上記蓋の部分で互いに接続するようになしており、このようにしておけば、その蓋の部分で接続を外すことによって容易に蓋を取り外し、貯湯タンクのメンテナンス作業を行うことができる。
尚この場合において、浴室内の配管と貯湯タンクとは電気的絶縁材から成る継手を介して接続するようになすことができる。このようにしておけば浴室内への漏電を確実に防止できる。
【0020】
請求項2のものは、給湯用の配管を浴室外から一旦浴室内に入り込ませた上で、上記蓋を貫通して貯湯タンクに到るようになしたもので、このようにしておけば、浴室内の部分で給湯用の配管を分離・接続するようになすことができ(請求項3)、而してこのようにした場合、浴室の内側からその接続部を外すことができ、そしてその接続部を外すことによって床下の配管を触ることなく貯湯タンクを給湯用の配管本体と切り離した上で蓋を取り外し、貯湯タンクのメンテナンス作業を行うことができる。
【0021】
加えてこのようにしておけば、万一接続部で漏水が生じた場合にもその漏水は浴室の床上、一般には防水パン上に受けられるため、その漏水が建築側の床に漏れてしまうといったことを防止できる。
尚この場合において、給湯用の配管を蓋の部分で分離且つ接続するようになすことができる。
このようにしておけば、浴室の床の一部を構成する蓋に対して配管を固定状態且つ配管と床(蓋)との間を容易にシールすることができる。
【0022】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は浴室内部を示したもので、図中10は防水パン、12は壁パネルであり、それら防水パン10,壁パネル12によって浴室の床と壁とが構成されている。
防水パン10は、洗い場14と浴槽載置部16とを有するもので、その浴槽載置部16の上面に浴槽18が載置されている。
ここで浴槽18は、周壁部20の上端に水平な手摺部22が一体に形成されている。そしてこの手摺部22の、浴槽18における足元側の部分に浴槽水栓(吐水部)24が設けられている。
【0023】
防水パン10の洗い場14側には、これとは別体をなすカウンター26が壁パネル12に接するようにして設けられている。そしてそのカウンター26の前面に洗い場水栓(吐水部)28が設けられている。
【0024】
更にその上部においてシャワーヘッド34が設けられており、そのシャワーヘッド34がシャワーホース36を介して洗い場水栓28に接続されている。
尚、37は防水パン10に設けられた排水口である。
【0025】
防水パン10には、図3及び図5に示しているように洗い場14と浴槽載置部16との境界部に沿って水切用の突条39が設けられている。
更に防水パン10における浴槽載置部16の洗い場14側の端部且つ浴槽18の足元側端部、つまり浴槽水栓24側の端部であって浴槽18における周壁部20の外側に位置する部分には、三角筒状の立上り部40が設けられていてその上面にタンク用開口部42が形成され、そのタンク用開口部42がハット状且つ三角形状の脱着可能な蓋44にてパッキン46を介し水密に閉鎖されている。
【0026】
ここでハット状の蓋44は浴室の床の一部をなすもので、この例では蓋44は透明ないし半透明の樹脂材にて構成されている。
この点については以下の各実施例についても同様である。
【0027】
48は給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクであって、内部に保温のための電気ヒータが設けられている。
本例において、この貯湯タンク48は、上記立上り部40及び蓋44にて囲まれた空間内に且つ図4に示しているようにその上部が開口部42から一部上向きに突き出す状態で配設されている。
そしてその貯湯タンク48の下部に、貯湯タンク48に対して湯を送るためのつなぎ用配管50が接続されている。
【0028】
図5において、52は貯湯タンク48内の湯を上記水栓24,28へと導くための浴室内の配管であって、その下端部が電気的絶縁材から成る継手54を介して貯湯タンク48に対し、蓋44の部分で接続されている。
【0029】
56は浴室内に設けられた水用の配管であって、その下端部が同じく電気的絶縁材から成る継手54を介し蓋44の部分において水供給用のつなぎ用配管58に接続されている。
ここで配管50,52及び56,58は、継手54により互いに接続されるとともに蓋44に対して水密に固定状態とされている。
【0030】
防水パン10における浴槽載置部16には、また、図2及び図3に示しているように洗い場14側の端部且つ浴槽18の頭部側の端部、即ち上記タンク用開口部42とは反対側の端部であって浴槽周壁部20の外側に位置する部分に、上記立上り部40と同様の形状の立上り部60が設けられていて、その上面に配管用開口部62が形成されており、その配管用開口部62が、板状且つ平面三角形状の脱着可能な蓋64によりパッキン46を介し水密に閉鎖されている。
この蓋64もまた、浴室の床の一部を構成するものである。
【0031】
この配管用開口部62の下側には、水供給用の1次側の元配管66及び湯供給用の1次側の元配管68の各端部が位置させられており、それらの各端部が、上記つなぎ用配管58及び50の各端部と接続されている。
尚上記つなぎ用配管50,58は、図3に示しているように防水パン10における浴槽載置部16の下側を浴槽18の長手方向に延びている。
【0032】
この配管用開口部62は、配管同士の接続及びその接続部のメンテナンス作業をするためのものであって、このような配管用開口部62を形成しておくことによって、配管接続作業ないし接続部のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0033】
尚、浴槽載置部16の洗い場14側の端部に設けられた一対の立上り部40,60及びタンク用開口部42,配管用開口部62は、それぞれ浴槽のエプロン70の裏側にあって、そのエプロン70により通常時は隠蔽された状態にある(図1参照)。
【0034】
本例では、上記説明から明らかなように給湯用の元配管68及びつなぎ用配管50が、全体として貯湯タンク48に対し給湯器からの湯を供給する配管72を構成している。
また元配管66及びつなぎ用配管58が浴室外における給水用の配管73を構成している。
【0035】
図4に示しているように貯湯タンク48の上部、詳しくは貯湯タンク48の上端より一定距離下がった部位からは水抜管110がカバー44を貫通して室内側に延び出しており、そして室内においてその水抜管110の端部に水抜栓112が設けられている。
【0036】
本例においてこの水抜栓112は、水抜管110の端部に形成された雄ねじ管部110aと、有底円筒形状をなし内周面の雌ねじ部において雄ねじ管部110aに螺合され、シール材114を介して雄ねじ管部110aの開口を閉鎖するキャップ116とで構成されている。
【0037】
以上のような本例の浴室ユニットによれば、貯湯タンク48を浴室内の浴槽水栓24,洗い場水栓28等の吐水部に可及的に近い位置に配設することができ、従って浴室内吐水部から湯を出そうとしたときにタイムラグを可及的に少なくし得て、湯を速やかに吐水部から出すことができる。
従って使用者は吐水部から湯が出てくるまで長い間待つ必要がなくなる。
また湯が出て来るまでの間冷水が吐水部から出てしまうことによって、その冷水が死に水となって捨てられてしまうといった問題も解決できる。
【0038】
またこの浴室ユニットの場合、図12に示す従来の浴室ユニットのように長い配管を天井裏にまで立上げ施工しなくても良く、また天井裏の煩雑な場所に貯湯タンク配設のためのスペースを確保するといったことも必要でなくなる。
【0039】
更にまた、この浴室ユニットでは貯湯タンク48を浴室外に配設しているため、漏電防止のための絶縁トランスを必要とせず、従ってその絶縁トランスのためにコストがかかるといったこともないし、天井裏等に絶縁トランス設置のためのスペースを確保する必要もなく、また絶縁トランスを設けなくても良いので施工性も良好となる。
更にまた貯湯タンク48を浴室内に設置した場合のように機器が腐食等で傷むといった問題も生じない。
【0040】
また本例の浴室ユニットによれば、床にタンク用開口部42とその開口部42を水密に閉鎖する脱着可能な蓋44を設け、そしてその開口部42近く且つ浴室外に貯湯タンク48を配設して配管接続するようにしているため、上記タンク用開口部42を通じて貯湯タンク48のメンテナンス作業を容易になすことができる。
【0041】
また本例によれば、貯湯タンク48と浴室内の配管52とを上記蓋44の部分で互いに接続するようにしているため、その蓋44の部分で接続を外すことによって容易に蓋44を取り外し、貯湯タンク48のメンテナンス作業を行うことができる。
更に浴室内の配管52と貯湯タンク48とは電気的絶縁材から成る継手54を介して接続しているため、浴室内への漏電も確実に防止できる。
【0042】
本例の浴室ユニットによれば、上記タンク用開口部42を、浴槽載置部16の洗い場14側の端部且つ浴槽18の足元側の端部であって浴槽18の周壁部20外側に位置する部分に設けて、その開口部42近くに貯湯タンク48を配設していることから、浴槽水栓24に可及的に近い位置に貯湯タンク48を配設でき、しかも洗い場水栓28に対しても近い位置に貯湯タンク48を位置させることができる。
【0043】
更に浴室ユニットにおいて生じるデッドスペースを貯湯タンク48の配設空間として、或いは貯湯タンク48のメンテナンスのための作業空間として効果的に活用することができるし、浴槽エプロン70を取り外すことによって洗い場14側から容易にタンク用開口部42を通じ、貯湯タンク48のメンテナンス作業を行うことができる。
【0044】
また本例では上記タンク用開口部42とは別途に配管用開口部62を設け、そこにおいて1次側の元配管68,66とつなぎ用配管50,58とを接続可能としているため、浴室ユニットの施工に際して予め貯湯タンク48及び配管50,52,58,56を浴室の床に組付状態としておくことができ、その後において配管用開口部62を通じての接続作業により貯湯タンク48と元配管68及び浴室内の配管56と元配管66とを接続状態とすることができる。
【0045】
そして本例によれば、貯湯タンク48から延び出した配管50及び配管58の、元配管68,66との接続部位を予め厳密に位置出ししておかなくても良く、多少の位置誤差があっても配管用開口部62を通じて容易にそれらを接続作業することができ、貯湯タンク48の設置に際しての作業性を良好となすことができる。
【0046】
またその配管用開口部62は、浴槽載置部16における洗い場14側の端部且つ上記タンク用開口部42とは反対側の浴槽頭部側の端部であって浴槽18の周壁部20の外側に位置する部分に設けてあるため、浴室ユニットにおけるデッドスペース部分を配管接続のための作業空間として、或いは接続部のメンテナンスのための作業空間として有効に活用することができる。
また本例によれば、浴槽エプロン70を取り外すことによって洗い場14側から配管用開口部62を通じて配管接続或いは配管接続部分のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0047】
また本例の浴室ユニットでは、タンク用開口部42,配管用開口部62ともに浴室床の立上り部40,60の上面に形成しているため、それらの開口部42,62からの漏水をより防止することができる。
【0048】
その他本例の浴室ユニットは、蓋44が透明ないし半透明の樹脂材にて構成されているため、ヒータを内蔵する貯湯タンク48の配設箇所に万一何らからの異常が発生した場合、蓋44を外すことなく室内側から貯湯タンク48ないし周辺部を、その蓋44を通して確認(視認)できる利点があり、更にまた本例では、貯湯タンク48内の水を抜くための水抜管110及び水抜栓112が設けられていることから、例えば長期間貯湯タンク48を使用しないような場合において、水抜栓112を開けて貯湯タンク48内の水の一部を抜いておくことにより、貯湯タンク48のヒータの電源をオフ状態としておいても、貯湯タンク48がその内部の水の凍結によって破損することがない利点を有する。
【0049】
図6は本発明の他の実施例を示したものである。
この例では、(B)に示しているように給湯用の配管50が一旦蓋44を貫通して浴室内に入り込み、そして浴室内でタンク入口管74とバイパス管76とに分岐している。タンク入口管74は蓋44を再び貫通して浴室外に出ており、そして蓋の下側において貯湯タンク48の下部に接続されている。
貯湯タンク48の上部からは出口管78が延び出しており、その出口管78が蓋44を貫通して浴室内部で上記バイパス管76と一体化し、配管52へとつながっている。
【0050】
ここでタンク入口管74は、貯湯タンク48に対して給湯器からの湯を供給するための配管72の一部を構成している。そしてその配管72が、本例では浴室内部において、具体的には蓋44の部分で分離されており、且つその分離部で互いに継手54により接続されている。
本例ではまた、出口管78も蓋44の部分で分離され且つ分離部が互いに継手54により接続されている。
【0051】
この例の場合、給湯器から送られてきた湯は浴室内において一旦タンク入口管74とバイパス管76に分流する。そしてタンク入口管74側に流入した湯は貯湯タンク48内部へと入り込み、これとともに貯湯タンク48内部に蓄えられている湯が出口管78から押し出される。そしてその出口管78から押し出された湯が、バイパス管76からの流れと合流して配管52内部に流れ込み、浴室内部の水栓24,28へと送られる。
【0052】
本例では、給湯器の着火後に未だ沸き上がらない水が給湯用の配管72を通じて送られてきた場合にも、吐水初期から貯湯タンク48内部の温かいお湯を浴室内部の水栓24,28から吐出させることができるとともに、給湯用の配管72を通じて送られてきた、未だ冷たい水が全部貯湯タンク48内部に流れ込まず、一部がバイパス管76を通じて貯湯タンク48からの湯と合流し、浴室内の水栓24,28へと送られる。
【0053】
従って比較的小容量の貯湯タンク48内部の湯が効率的に使用され、短い時間でその内部の湯が全部押し出されてしまうといったことがない。このためお湯切れを起こさず、効率的にその内部の湯を利用することができる。また貯湯タンク48内の湯を効率良く利用できることから貯湯タンク48のタンク容量を小さくすることができ、貯湯タンク48の浴室ユニットへの施工がそれだけ容易になる。
【0054】
上記のように本例では、給湯用配管72を浴室外から一旦浴室内に入り込ませた上で上記蓋44を貫通して貯湯タンク48に到るようにし且つこれを浴室内において、具体的には蓋44の部分で分離してその分離部を互いに接続するようにしているため、浴室の内側でその接続部を外すことができ、そしてその接続部を外すことによって床下の配管を触ることなく貯湯タンク48を給湯用配管72と切り離して蓋44を取り外し、貯湯タンク48のメンテナンス作業を行うことができる。
【0055】
また万一接続部で漏水が生じた場合にもその漏水を浴室の床上、具体的には防水パン10上に受けることができ、従って漏水が建築側の床に漏れてしまうといったことを防止できる。
【0056】
図7は図6に示す実施例の他の形態例を示したものである。
図6の実施例の場合、給湯用の配管72を蓋44を貫通して浴室内部に入り込ませ、その浴室内部でタンク入口管74とバイパス管76とに分岐させるようにしているが、図7の例では(B)に示しているように給湯用の配管72を、蓋44の外側の部分で浴室内部に入り込ませ、そして浴室内でタンク入口管74とバイパス管76とに分岐させた上、そのタンク入口管74を蓋44を貫通して下側に延び出させ、貯湯タンク48の下部に接続するようにしている。
【0057】
尚、出口管78が蓋44を貫通して浴室内部に入り込み、そこでバイパス管76と一体化して配管52につながっている点は図6に示す実施例と同様である。
この図7に示す実施例においても図6に示す実施例と同様の効果を奏することができる。
【0058】
図8は更に他の実施例を示したもので、この例では給湯用の配管72の貯湯タンク48に続く部分をフレキシブル管80にて構成している。
尚この場合において、フレキシブル管80はつなぎ用配管50の全体若しくはその一部を成すものである。
この実施例においても図6及び図7に示す実施例と同様に貯湯タンク48内部の湯を効率的に利用でき、従って貯湯タンク48を小型化できる利点を有する。
更にこの実施例の場合、タンク用開口部42を通じて貯湯タンク48を浴室内部に取り出し、浴室内においてそのメンテナンス作業を行うことが可能であり、同メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0059】
図9は本発明の他の実施例を示したものである。
同図において、26は防水パン10とは別体且つその防水パン10の上に設けられたカウンターで、天板82と前板84を有している。
この例では、貯湯タンク48がカウンター26の内部空間を利用して浴室の壁裏に配設されている。
詳しくは、浴室の壁を構成する壁パネル12のカウンター天板82の下側の位置にタンク用開口部42が形成されていて、そのタンク用開口部42が脱着可能な蓋44によって水密に閉鎖されている。
【0060】
本例においてもこの蓋44は浴室の壁の一部を成すものである。そしてその壁の一部を成す蓋44の外側において貯湯タンク48が配設され、その貯湯タンク48に対して給湯用の配管72が接続されている。
【0061】
尚この例の場合、図9(B)に示しているように、水抜管110が貯湯タンク48の底部に続くつなぎ用配管50から直接蓋44を貫通して室内側に延び出し、そして室内において水抜栓112が水抜管110の端部に設けられている。
【0062】
ここで本例では貯湯タンク48を壁裏に配設するようにしているが、カウンター26の下側空間において防水パン10に同様のタンク用開口部42を設けてこれを蓋44にて閉鎖するようにし、そしてその浴室の床を構成する蓋44の下側に貯湯タンク48を配設するようになすといったことも可能である。
【0063】
この実施例の浴室ユニットの場合においても、浴室ユニットにおけるカウンター26下のデッドスペースを貯湯タンク48の配設空間として有効に活用することができ、そのカウンター26に設けた点検口等を通じて貯湯タンク48のメンテナンス作業を行うことができる。
【0064】
図10は本発明の更に他の実施例を示したものである。
この例では防水パン86が、浴室の床と浴室の壁の一部、具体的にはその壁の下部を構成する形状とされており、そしてその防水パン86にカウンター88が一体に形成されている。
【0065】
カウンター88は、天板90と前面壁92とを有しており、その前面壁92にタンク用開口部42とこれを水密に閉鎖する脱着可能な蓋94とが設けられている。
そしてそのタンク用開口部42近くにおいてカウンター88の内部空間に、即ち浴室外に貯湯タンク48が配設されている。
【0066】
本例では、図10に示しているように水栓(吐水部)95が浴槽水栓と洗い場水栓を兼ねており、その水栓95に対して貯湯タンク48の湯と配管73を通じて送られてきた水とが供給されるようになっている。
【0067】
尚本例の場合、図10(B)に示しているように貯湯タンク48の下部から水抜管110が延び出し、そして蓋94の裏側、つまり室外側において水抜栓112が水抜管110の端部に設けられている。
本例の場合、蓋94を容易に脱着することができ、かかる蓋94を外すことによって水抜栓112を室内側から簡単に操作することができる。
【0068】
この実施例においても、浴室ユニットにおけるデッドスペースを有効に活用して貯湯タンク48を配設することができる。
またカウンター88に設けたタンク用開口部42を通じて貯湯タンク48のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0069】
次に本発明の更に他の実施例を図11に基づいて説明する。
同図において93は防水パンで、この例の防水パン93は浴室の床と浴室の壁の下部とを構成するものとされている。
この防水パン93は、また、浴槽18及びエプロン70と一体に形成されており、更にまた浴槽18の上縁面から洗い場14側に延び出すようにして腰掛部97が防水パン93に一体に形成されている。
この腰掛部97は、足腰の弱い老人などが洗い場14から浴槽18に体を移すとき或いはその逆に体を移すときに、一旦腰を掛けて体を移す移乗スペースとなる部分である。
【0070】
本例では、この腰掛部97の前面壁96にタンク用開口部42とこれを水密に閉鎖する脱着可能な蓋94とが設けられており、そしてそのタンク用開口部42の裏側において貯湯タンク48が配設されている。
本例において腰掛部97は浴室の内外を仕切る部分となっており、従って本例において貯湯タンク48は浴室外に配設されている。
尚図11において、98,100はそれぞれ吐水部としての浴槽水栓,洗い場水栓である。
【0071】
この実施例の浴室ユニットにおいても、浴室ユニットにおけるデッドスペースを有効に活用して貯湯タンク48を配設することができ、また腰掛部97の前面壁96に設けたタンク用開口部42を通じて貯湯タンク48のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0072】
以上本発明の実施例を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上記第一の実施例では防水パンの一部を上向きに立ち上げ、その立上げ部の上面にタンク用開口部を設けているが、場合によってそのような立上げ部を設けることなく、防水パンの浴槽載置部に直接タンク用開口部を設けて、そのタンク用開口部を深さの深いハット形の蓋にて水密に閉鎖するようにし、そしてその蓋の下側に且つハット形の蓋の内部に全体若しくは一部が収まるようにして貯湯タンクを配設するといったことも可能である。
或いはまた防水パンの浴槽載置部に立上げ部を設けることなく直接配管用開口部を設け、これをハット形或いは板状の蓋にて水密に閉鎖するようになすといったことも可能である。
【0073】
その他本発明は様々な形態の浴室ユニットに対して適用することが可能であるなど、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である浴室ユニットの内部を示す図である。
【図2】 図1の防水パンの平面図及び断面図である。
【図3】 図1の貯湯タンクの配設部及び配管用開口部の周辺を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図4】 図1の貯湯タンク及び周辺部を部分的に拡大して示す断面図である。
【図5】 同じ実施例の貯湯タンク配設部とその周辺部を分解して示す図である。
【図6】 本発明の他の実施例の浴室ユニットの要部を拡大して示す図である。
【図7】 本発明の更に他の実施例の要部を示す図である。
【図8】 本発明の更に他の実施例の要部を示す図である。
【図9】 本発明の更に他の実施例の浴室ユニットとその要部を示す図である。
【図10】 本発明の更に他の実施例の浴室ユニットとその要部を示す図である。
【図11】 本発明の更に他の実施例の浴室ユニットの要部を示す図である。
【図12】 従来の浴室ユニットの一例を示す図である。
【符号の説明】
10,86,93 防水パン
12 壁パネル
14 洗い場
16 浴槽載置部
18 浴槽
20 周壁部
24,98 浴槽水栓(吐水部)
26,88 カウンター
28,100 洗い場水栓(吐水部)
40,60 立上り部
42 タンク用開口部
44,64,94 蓋
48 貯湯タンク
50,58 つなぎ用配管
52,56,72,73 配管
54 継手
62 配管用開口部
66,68 元配管
70 エプロン
80 フレキシブル管
95 水栓(吐水部)
97 腰掛部
110 水抜管
112 水抜栓
Claims (3)
- 給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクを浴室の床下又は壁裏に配設し、該貯湯タンクに対して給湯器からの湯を供給する配管及び浴室内の吐水部に該貯湯タンクの湯を導く配管を該貯湯タンクに接続するとともに、該浴室の床又は壁にタンク用開口部と該タンク用開口部を水密に閉鎖する脱着可能な、該床又は壁の一部を成す蓋とを設けて、該開口部近くに前記貯湯タンクを配設し、且つ該貯湯タンクと前記浴室内の配管とを前記蓋の部分で互いに接続したことを特徴とする浴室ユニット。
- 浴室の床,壁等の室構成材にタンク用開口部と、該開口部を水密に閉鎖する脱着可能な、該室構成材の一部を成す蓋とを設け、浴室外且つ該開口部近くに給湯器から送られた湯を一時的に貯溜する貯湯タンクを配設し、該貯湯タンクに対して給湯器からの湯を供給する配管を接続するとともに、浴室内の吐水部に対して該貯湯タンクからの湯を導く配管を該貯湯タンクに接続するようになし、且つ該貯湯タンクへの給湯用の配管は一旦浴室内に入り込ませた上で前記蓋を貫通して前記貯湯タンクに到るようになしたことを特徴とする浴室ユニット。
- 請求項2において、前記給湯用の配管を浴室内で分離した上、該分離部を互いに接続するようになしたことを特徴とする浴室ユニット。
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