しかしながら、潜熱回収用熱交換器を備えた燃焼装置においては、該潜熱回収用熱交換器で発生する酸性のドレン(凝縮水の水滴)を回収し、中和して、燃焼装置のケース外部に排出しなければならないが、例えばマンション等の集合住宅等では、浴室30の外壁39がベランダ等の共有部分に面していることが多く、液状のドレンを燃焼装置のケースの下部側に流出させてベランダ等に流出させると、利用者は非常に不快な思いをすることになる。また、前記壁穴22に燃焼装置を配置するためには、燃焼装置の大きさが限られてしまい、燃焼装置内にドレン中和器を設けることは難しい。
そこで、例えば図15の鎖線に示すように、ドレンを中和するためのドレン中和器3を浴室30内に配置し、給湯器17から流出するドレンを、ドレン中和器3を介して、浴室30の排水口(浴室排水口15)に導くことが考えられる。
しかしながら、ドレン中和器3を浴室壁面にねじ等により固定すると、ねじ等を誤って防水パンに打ってしまった場合に、防水パンから水漏れが生じるおそれがある。また、給湯器17等の燃焼装置で発生したドレンをドレン中和器3に的確に導くためには、ドレン中和器3のドレン導入口を燃焼装置のドレン排出口よりも下側に設けなくてはならないために、ドレン中和器3の取り付け位置にも制約がある。
特に、浴槽26の近傍位置には、浴槽26への注湯や浴槽湯水の追い焚きのために浴槽26に接続される管路やシャワー用の管路などが配置されるために、給湯器17が配置される壁穴22の近傍位置にドレン中和器3を配置できないことがあり、このような場合には、ドレン中和器3を燃焼装置から離れた位置に設けなくてはならないために、その取り付けの位置決めが非常に難しい。また、ドレン中和器3を燃焼装置から離れた位置に設ける場合には、ドレンを燃焼装置からドレン中和器3に導くための、ドレンホース等の接続路の配置や長さの設定も特に難しくなるといった問題も生じる。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、燃焼装置の近傍位置にドレン中和器を設けることが困難であっても、的確な位置に、容易にドレン中和器を固定することができるドレン中和器の固定構造とその固定構造を用いた浴室構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明のドレン中和器の固定構造は、ケース内にバーナの排気潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器が設けられている燃焼装置の前記ケースの前面に、前記潜熱回収用熱交換器で発生するドレンを中和するドレン中和器の取り付け部材が設けられ、該取り付け部材はL字形状を呈して該L字形状の基端側は前記ケースの下部側の位置において該ケースの前面に沿って左右方向に配設されて固定され、前記L字形状の先端側はケース前面よりも前方側に突出して配設されており、この突出部位に前記ドレン中和器が固定されている構成をもって課題を解決する手段としている。
また、第2の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第1の発明の構成に加え、ドレン中和器の取り付け部材は、L字形状の基端側に設けられて燃焼装置のケース前面に固定されるケース側固定板と、前記L字形状の先端側に設けられた先端側板部材とが回動自在に固定されていることを特徴とする。
さらに、第3の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第1の発明の構成に加え、前記ドレン中和器の取り付け部材は、燃焼装置のケース前面に固定されるケース側固定板と、該ケース側固定板に対してL字形状の基端側がスライド自在に固定されるスライド部材とを有して形成されていることを特徴とする。
さらに、第4の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第2または第3の発明の構成に加え、前記ケース側固定板は、燃焼装置のケース前面に該ケース前面と左右方向にスライド自在に固定されていることを特徴とする。
さらに、第5の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、前記ドレン中和器には該ドレン中和器をドレン中和器の取り付け部材に係止する係止部を備えたドレン固定板が固定され、該ドレン固定板の前記係止部を前記取り付け部材に係止した状態で前記ドレン中和器が取り付け部材に固定されていることを特徴とする。
さらに、第6の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第1乃至第5のいずれか一つの発明の構成に加え、前記突出部位の突出先端部には該突出先端部から先にドレン中和器が移動することを防止するストッパが設けられていることを特徴とする。
さらに、第7の発明のドレン中和器の固定構造は、前記位第1乃至第6のいずれか一つの構成に加え、前記突出部位の下方側に伸延されて該突出部位を浴室床面に支持する支持部材が設けられており、該支持部材の前記浴室床面に当接する下端部には前記支持部材が浴室床面上で滑ることを防止する滑り防止部材が設けられていることを特徴とする。
さらに、第8の発明のドレン中和器の固定構造は、前記第1乃至第7のいずれか一つの発明の構成に加え、前記ドレン中和器の底面と該ドレン中和器の配設部の床面との間に、該ドレン中和器を底面側から支持するドレン中和器支持部材が設けられていることを特徴とする。
さらに、第9の発明の浴室構造は、浴室壁に壁穴が形成され、該壁穴に燃焼装置が設置されて該燃焼装置のケース前面側は浴室内に露出させて配置され、前記ケース前面側を塞ぐ態様で浴槽が該ケース前面に近接して浴室の角部に配置されており、前記第1乃至第8のいずれか一つの発明のドレン中和器の固定構造により前記燃焼装置に固定されたドレン中和器が前記浴槽の前記ケース前面に対向する面に隣り合う面と浴室壁面とにより形成されるデッドスペースに配置されていることを特徴とする。
本発明のドレン中和器の固定構造によれば、燃焼装置のケースの前面にドレン中和器を取り付けるためのL字形状の取り付け部材が設けられ、該L字形状の基端側が、前記ケースの下部側の位置において、該ケースの前面に沿って左右方向に配設されて固定され、前記L字形状の先端側はケース前面よりも前方側に突出し、この突出部位に前記ドレン中和器が固定されているので、例えば浴室内において、浴槽に接続される管路等が燃焼装置の近傍位置に設けられるといったことにより、燃焼装置の近傍位置にドレン中和器を設けることが困難であっても、前記L字形状先端側の的確な位置に、容易にドレン中和器を固定することができる。
また、本発明のドレン中和器の固定構造によれば、取り付け部材を介してドレン中和器を燃焼装置に固定するので、ドレン中和器を浴室壁に取り付ける場合と異なり、ドレン中和器の取り付け位置決めが容易であり、かつ、防水パンに誤ってねじを打ってしまって水漏れを生じさせるといった問題を防止することができ、ドレンホース等の配置も容易に行える。
また、本発明のドレン中和器の固定構造において、ドレン中和器の取り付け部材は、L字形状の基端側に設けられて燃焼装置のケース前面に固定されるケース側固定板と、前記L字形状の先端側に設けられた先端側板部材とが回動自在に固定されている構成によれば、例えば、取り付け部材を燃焼機器に取り付ける前の状態においては、ケース側固定板と先端側板部材とを折りたたんだ(重ねた)状態としておき、取り付け部材を燃焼機器に取り付けるときに、ケース側固定板と先端側板部材を相対的に回動させて、互いの成す角度を90度または90度程度にすることにより、取り付け部材をL字形状にして取り付けることができる。
このようにすると、取り付け部材の取り扱いが便利であり、取り付け部材の収納や出荷等におけるスペースの削減、コストカットが容易にでき、かつ、取り付け部材の燃焼機器への取り付けも容易になるというメリットがある。
さらに、本発明のドレン中和器の固定構造において、ドレン中和器の取り付け部材は、燃焼装置のケース前面に固定されるケース側固定板と、該ケース側固定板に対してL字形状の基端側がスライド自在に固定されるスライド部材とを有して形成されているものにおいては、ケース側固定板に対してL字形状の基端側をスライド移動させることにより、前記左右方向の位置を調節することができる。したがって、ドレン中和器を、的確な位置に固定する操作を行いやすくすることができる。
さらに、本発明のドレン中和器の固定構造において、ケース側固定板は、燃焼装置のケース前面に該ケース前面と左右方向にスライド自在に固定されているものにおいては、ケース側固定板をケース前面に対して左右方向にスライド移動させることにより、前記左右方向の位置を調節することができる。したがって、ドレン中和器を、的確な位置に固定する操作をより行いやすくすることができる。
さらに、本発明のドレン中和器の固定構造において、ドレン中和器には該ドレン中和器を取り付け部材に係止する係止部を備えたドレン固定板が固定され、該ドレン固定板の前記係止部を前記取り付け部材に係止した状態で前記ドレン中和器が取り付け部材に固定されているものにおいては、中和器固定板の係止部を取り付け部材に係止した状態で、ドレン中和器を取り付け部材に固定することにより、より一層容易に、かつ、的確にドレン中和器を燃焼装置に固定することができる。
さらに、本発明のドレン中和器の固定構造において、突出部位の突出先端部には該突出先端部から先にドレン中和器が移動することを防止するストッパが設けられているものにおいては、ドレン中和器が突出部位の先に移動することをストッパにより防止することによって、ドレン中和器の固定作業を行い易くでき、ドレン中和器を適切に固定できる。
なお、発明のドレン中和器の固定構造において、ドレン中和器の固定位置が燃焼装置から離れている場合等には、取り付け部材のL字形状先端側にドレン中和器の自重がかかることにより、取り付け部材や該取り付け部材の燃焼装置への取り付け部に大きめの力が加わりやすい。
それに対し、本発明のドレン中和器の固定構造において、突出部位の下方側に伸延されて該突出部位を浴室床面に支持する支持部材が設けられており、該支持部材の前記浴室床面に当接する下端部には滑り防止部材が設けられているものにおいては、滑り防止部材を設けることにより、支持部材を浴室床面に安定的に配設することができるので、ドレン中和器の重さが突出部位にかかっても、支持部材により適切に支持することができる。したがって、取り付け部材の燃焼装置への取り付け部に、ドレン中和器の重さによりかかる負担を減らすことができる。なお、滑り防止部材に弾性部材を使用すれば、浴室床面の微妙な高さのばらつきを吸収することができ、振動などによるがたつきも防止できるため、浴室床面等を傷つけにくくなり、支持部材の位置が固定しやすくなる。
また、ドレン中和器を底面側から支持するドレン中和器支持部材が設けられているものにおいても、同様に、取り付け部材のL字形状先端側にドレン中和器の自重がかかることを抑制でき、同様の効果を奏することができる。
したがって、これらの支持部材やドレン中和器支持部材を設けた構成によれば、取り付け部材や該取り付け部材の燃焼装置への取り付け部に大きめの力が加わることを抑制でき、ドレン中和器の固定構造の信頼性を高めることができる。
さらに、本発明の浴室構造によれば、本発明のドレン中和器の固定構造を適用することにより、ドレン中和器を、燃焼装置のケース前面に対向する浴槽の面に隣り合う浴槽の面と、浴室壁面とにより形成されるデッドスペースに配置できるので、燃焼装置のケース前面に対向する浴槽の面の付近に配管等が形成されていて、燃焼装置の近傍位置にドレン中和器を設けることができない状態の浴室においても、ドレン中和器を適切に配置でき、浴室の壁穴に潜熱回収用熱交換器付きの燃焼装置を配置して、燃焼装置による燃焼効率の良好な燃焼とドレンの適切な中和および排出とを両立できる。
また、本発明の浴室構造は、本発明のドレン中和器の固定構造を用いることにより、浴室壁面にドレン中和器をねじ等により固定する必要がないために、ねじ等を誤って防水パンに打ってしまって、防水パンから水漏れが生じるといったおそれはなく、ドレン中和器を容易に、かつ、的確に燃焼装置に固定でき、さらに、燃焼装置で発生したドレンをドレン中和器に導くための、ドレンホース等の接続や配置も容易に、かつ、的確に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態例の説明において、これまでの説明に示した例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。
図1には、本発明に係るドレン中和器の固定構造の第1実施形態例の構成が模式的に示されている。同図に示すように、給湯器17のケース40の前面のフロントパネル21には、給湯器17のケース40内に設けられた潜熱回収用熱交換器(図1には、図示せず)で発生するドレンを中和するドレン中和器3の取り付け部材36が設けられている。
該取り付け部材36は金属製であり、L字形状を呈し、浴室30の内壁面31に沿って配置されている。このL字形状の基端側は、前記ケース40の下部側の位置において、該ケース40のフロントパネル21に沿って左右方向に配設されて固定され、前記L字形状の先端側はケース40のフロントパネル21よりも前方側に突出して配設されており、この突出部位にドレン中和器3が固定されている。
取り付け部材36は、ケース側固定板24とスライド部材56とを有している。ケース側固定板24は、取り付け部材36のL字形状の基端側に設けられており、長穴57を有している。ケース側固定板24は、長穴57を介して給湯器17のケース40のフロントパネル21に螺合されるねじ59によって、フロントパネル21に、左右方向にスライド自在に固定される。また、スライド部材56は、長穴58を有している。スライド部材56は、長穴58を介してケース側固定板24に螺合されるねじ60によって、L字形状の基端側がケース側固定板24に対してスライド自在に固定される。
図2(a)に示すように、ドレン中和器3には、該ドレン中和器3を取り付け部材36に係止する係止部45を備えた中和器固定板46が固定され、中和器固定板46の係止部45を前記取り付け部材36のスライド部材56の先端側に係止した状態で、ねじ55によって、図1に示したように、スライド部材56の先端側に固定されている。スライド部材56には、ストッパ53が形成され、ドレン中和器3は、ストッパ53により前方向の移動が防止されている。
また、浴室30の床面72側には、ドレン中和器3を底面側から支持するドレン中和器支持部材61が設けられている。本実施形態例において、ドレン中和器支持部材61は、ドレン中和器3への取付部62とボルト63とを有している。取付部62をドレン中和器3に取り付け、ボルト63を調節し、取付部62から下方に突出するボルト63の下端までの長さをドレン中和器3の底面と該ドレン中和器3の配設部の床面との間隔に合うように調節することによって、ドレン中和器3をボルト63で底面側から支持するように構成されている。なお、取付部62は中和器取り付け板46と一体化されていてもよく、また、ボルト63の代わりに、長穴でスライドできるような板を設けてビス止めしてもよく、ドレン中和器支持部材61の構成は適宜設定されるものである。
また、給湯器17の下側には、ゴム製のドレンホース47が、樹脂製のLコネクタ48を介して、給湯器17とドレン中和器3とに接続されて設けられている。なお、Lコネクタ48は、金属製としてもよい。このドレンホース47とLコネクタ48は、給湯器17で発生するドレンを、ドレン管44からドレン中和器3に導くものである。給湯器17とドレンホース47との接続部と、ドレンホース47とLコネクタ48との接続部と、ドレンホース47とドレン中和器3との接続部には、それぞれ、金属製のホースクリップ51が設けられている。
本実施形態例は、図15に示した例と同様に、浴室壁としての外壁39に形成された壁穴22に、燃焼装置としての給湯器17を設置しており、図1に示したように、ケース40の前面とフロントパネル21を浴室30内に露出させて配置している。なお、図1においては、給湯器17の外観全体の斜視図を示しているが、実際には、給湯器17は、ケース40の前面とフロントパネル21のみが浴室30内に露出しており、給湯器17の側面は浴室30からは見えない設置構成と成している。
また、図3、図4に示すように、フロントパネル21側を塞ぐ態様で、浴槽26が、フロントパネル21に近接して浴室30の角部に配置されており、図3に示すように、給湯器17に固定されたドレン中和器3が、浴槽26のフロントパネル21に対向する面に隣り合う面と浴室壁面31とにより形成されるデッドスペースCに配置されている。
本実施形態例において、ドレン中和器3を給湯器17に固定する作業は、例えば以下のようにして行われる。すなわち、予めドレン中和器3に中和器固定板46を固定しておき、給湯器17のフロントパネル21には、取り付け部材36のケース側固定板24を、左右方向の位置調整をして、ねじ59で固定し、このケース側固定板24とスライド部材56との左右方向の位置調整をして、ねじ60で固定する。その後、中和器固定板46を取り付け部材36の先端側に係止部45を係止して引っかけ、ねじ55で中和器固定板46を取り付け部材36の先端側に固定することにより、ドレン中和器3を給湯器17に固定する。また、その後、ドレンホース47の接続を行う。
なお、本発明において、適用される給湯器17やドレン中和器3の構成は特に限定されるものではなく適宜設定されるものであるが、例えばドレン中和器3は、ポリプロピレン等の樹脂により形成され、酸性のドレンを中和するための中和剤が収容されたドレン貯留室14を有し、ドレン貯留室14の一方側の側部がわには、ドレン貯留室14にドレンを導入するドレン導入部12が、他方側の側部がわには、ドレン貯留室14を通ったドレンを外部に排水するドレン排出部13が設けられている。ドレン導入部12に前記ドレンホース47が接続されており、ドレン排出部13は、例えば適宜の接続手段を介して浴室排水口に導かれる。
また、本実施形態例では、図4に示すような構成の給湯器17を適用しており、以下、この給湯器17の構成を、その配管構成を省略した図4の模式図に基づいて説明する。この給湯器17は、横方向の長さが縦方向に長さよりも大きく形成されており、器具ケース40内には燃焼室20が設けられている。燃焼室20内には、バーナ1と、バーナ1の上側に配置されてバーナ1の燃焼ガス中の顕熱を回収するメインの熱交換器(一次熱交換器)4と、このメインの熱交換器4よりも前記燃焼ガスの流れの下流側に位置をずらして並設配置された潜熱回収用熱交換器(二次熱交換器)6とが設けられている。潜熱回収用熱交換器6は、燃焼ガスの顕熱および潜熱を回収する。
また、バーナ1の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン5が設けられており、前記バーナ1にはバーナ1に燃料を供給するガス管(図示せず)が接続されている。この給湯器17は、燃焼ファン5の回転によって外部より吸気する空気を、図の矢印に示すように、送風室25を介してバーナ1に送り、この空気と、前記ガス管を通って供給されるガスとによってバーナ燃焼を行う。このバーナ燃焼により生じた燃焼ガスは、燃焼ファン5の回転によって、燃焼室20から排気口8側に送って排気される。
また、水供給源からの水が潜熱回収用熱交換器6に導かれ、この水が、潜熱回収用熱交換器6とメインの熱交換器4を順に通して加熱され、メインの熱交換器4の出口側に接続された給湯管(図示せず)を通して浴室30内のシャワー41の出湯口や台所等に導かれて給湯される。また、給湯管に浴槽26への注湯通路を接続することにより、浴槽26への自動湯張りが可能となり、追い焚き回路を設けることにより、浴槽湯水の追い焚きも可能となる。なお、バーナ1の燃焼と、燃焼ファン5の回転は、予め与えられたシーケンスプログラムにしたがって制御されるものであり、前記給湯や自動湯張り、追い焚き等の各動作については、周知であるので、その説明は省略する。
前記潜熱回収用熱交換器6による燃焼ガスの潜熱回収は、水蒸気を含んだ燃焼ガスを飽和温度以下の低温伝熱面に接触させて燃焼ガス中の水蒸気を凝縮させることにより行われる。すなわち、水蒸気が凝縮する際に発生する凝縮潜熱を回収するものであり、通常は、燃焼ガスとして給湯器17等の燃焼系の外に排出されてしまう燃焼ガスの水蒸気の持つエンタルピーを回収するものである。
このように、潜熱回収用熱交換器6を備えた給湯器においては、バーナ1の燃焼による燃焼ガスが潜熱回収用熱交換器6を通るときに、潜熱回収用熱交換器6内の水管を通る水が、燃焼ガス中の水蒸気の保有潜熱を奪い、さらに、その水がメインの熱交換器4を通るときに、バーナ1の燃焼火力でもって加熱されて設定温度の湯が作り出される。
そのため、潜熱回収用熱交換器6を設けることにより、熱効率を向上させることができる。なお、潜熱回収用熱交換器6で発生するドレン(凝縮水の水滴)は、例えば受け皿43にたまり、ドレン管44を介して器具ケース40の外部に排出され、ドレンホース47等を介してドレン中和器3に導入される。
本実施形態例は以上のように構成されており、給湯器17のフロントパネル21に対向する浴槽26の面の付近に配管等が形成されていて、ドレン中和器3を給湯器17の近傍位置に設けることができなくても、ドレン中和器3を、フロントパネル21に対向する浴槽26の面に隣り合う面側(図3の内壁面31a側)に適切に配置でき、給湯器17による燃焼効率の良好な燃焼とドレンの適切な中和および排出とを両立できる。
また、本実施形態例では、ドレン中和器3を、取り付け部材36を介して給湯器17に固定しているので、ドレン中和器3を浴室壁面に取り付ける場合と異なり、ドレン中和器3の取り付けの位置決めが容易であり、防水パンに誤ってねじを打ってしまって水漏れを生じさせるといった問題も防止することができ、ドレンホース47の配置も容易に行え、ドレン中和器3を適切に固定することができる。
次に、本発明に係るドレン中和器の固定構造の第2実施形態例について説明する。なお、第2実施形態例の説明において、前記第1実施形態例と同一名称部分には、同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。図5には、第2実施形態例のドレン中和器の固定構造が模式的な斜視図により示されており、図6には、この第2実施形態例において、ドレン中和器3とドレンホース47を外した状態の図が示されている。
これらの図に示されるように、第2実施形態例は、前記第1実施形態例と同様に、給湯器17のケース40の前面のフロントパネル21に、ドレン中和器3の取り付け部材36を設けており、取り付け部材36は金属製でL字形状を呈し、浴室30の内壁面31に沿って配置されているが、第2実施形態例では、取り付け部材36のL字形状の基端側と先端側とが、いずれも直線状の金属板36a,37aを有して形成されている。
金属板36aは、給湯器17のフロントパネル21に固定されるケース側固定板であり、L字形状の基端側に設けられている。また、金属板37aは、前記L字形状の先端側に設けられた先端側板部材であり、金属板37aの基端側が、金属板36aの先端側に回動自在に固定されている。金属板37aはフロントパネル21より前方に突出した突出部位と成し、この突出部位にドレン中和器3が固定されている。
図7に示すように、金属板37aは、基端側にL字形状部位を有しており、金属板36aの先端側が、金属板37aの基端側のL字形状部位に挟まれる態様で配置されている。金属板36aは、ねじ穴66,67に螺合されたねじ75により、金属板37aに固定されている。
また、第2実施形態例では、第1実施形態例に設けたドレン中和器支持部材61を設ける代わりに、金属製の支持部材80を取り付け部材36の先端側に固定配置している。支持部材80は、取り付け部材36の金属板37a(突出部位)から下方側に伸延されて金属板37aを浴室床面72に支持するものである。支持部材80は、金属板37aの先端部に形成された支持部材固定部71に固定されており、支持部材80の浴室床面72に当接する下端部には、ゴム製の滑り防止部材81が設けられている。
本実施形態例において、滑り防止部材81は、ゴム製の弾性部材により形成されており、このように、滑り防止部材81に弾性部材を使用すれば、浴室床面72の微妙な高さのばらつきを吸収することができ、振動などによるがたつきも防止できるため、浴室床面72等を傷つけにくくなり、支持部材80の位置が固定しやすくなるので好ましい。また、滑り防止部材61は、耐水性や可塑性の溶出しにくい材料が好ましい。なお、滑り防止部材81は、ゴム以外でも、弾性プラスチックでもよく、また、弾性部材でなくてもよい。
前記支持部材80の背板部80aには、長手方向(上下方向)に伸設されたスリット69が形成されており、このスリット69にねじ73が挿入された状態で、ねじ73がねじ穴65に螺合している。このことによって、支持部材80における金属板37aよりも下方側に伸延される部分の長さを自在に調節した状態で、支持部材80が支持部材固定部71に固定されている。
また、図8に示すように、ドレン中和器3には、該ドレン中和器3を取り付け部材36の金属板37aに係止する係止部45を備えた中和器固定板46が、固定部27でねじ55により固定されている。ドレン中和器3は、中和器固定板46の係止部45を金属板37aに係止した状態で、図5に示したように、ねじ54によって金属板37aに固定されている。金属板37aの先端側には、図6、図7に示すように、ストッパ53が形成され、ドレン中和器3は、ストッパ53により前方向の移動が防止されている。
なお、第2実施形態例において、ドレン中和器3は、図8、図9に示すように形成されており、ドレン導入部12から導入されるドレンを、ドレン貯留室14内に設けられた中和剤によって中和して、この中和されたドレンをドレン排出部13から排出する。ドレン導入部12には、浴室壁31の角部に対応させる曲がり部を有するドレンホース47の一端側が接続されている。ドレンホース47と給湯器17との接続形態は、第1実施形態例と同様である。
第2実施形態例は、以上のように構成されており、第2実施形態例も、前記第1実施形態例と同様の効果を奏することができる。
図10(c)には、前記第2実施形態例のドレン中和器の固定構造の変形例における取り付け部材36の構成が平面図により示されている。同図に示す取り付け部材36は、第2実施形態例に適用した取り付け部材36と同様に、金属板36a,37aを有して構成されているが、金属板37aの基端側のL字形状部位に、ねじ穴66の代わりに、クランク状のスリット70を形成している。
この例は、金属板37aにクランク状のスリット70を形成することにより、以下のようなメリットがある。つまり、取り付け部材36を給湯器17等の燃焼装置に取り付ける前には、図10(a)に示すように、取り付け部材36を折りたたんだ状態(金属板36aと金属板37aとを重ねて配置した状態)とし、取り付け部材36を給湯器17等に取り付ける場合には、図10(b)、図10(c)に順に示すように、取り付け部材36を開いていくことにより、取り付け部材36の組み立てを容易に行うことができる。
つまり、図10(a)に示すように、スリット70のAの位置に螺合しているねじ75を緩め、図10(b)に示すように、ねじ75の位置がスリット70のBの位置になるように、金属板36aをスライド移動していき、スリット70のBの位置のねじ75を支点として金属板36aを回転させる。そして、図10(b)の破線Lに示すように、金属板37aと金属板36aとの成す角度が90度になるようにしてから、図10(c)に示すように、ねじ75の位置がスリット70のCの位置になるように、金属板36aを移動させて、この位置でねじ75を締め直し、金属板36aと金属板37aとを固定する。
なお、引っ越し等による燃焼装置の移動等に伴い、取り付け部材36を燃焼装置から取り外して収納する際には、前記の手順と逆の手順により、図10(a)に示すようにして収納することができる。
また、図10に示す構成の取り付け部材36は、例えば図10(b)の実線の位置のように、金属板36a,37aの成す角度を90度未満とした状態で、金属板36a,37aを互いに固定することもできる。さらに、図10(d)に示すように、ねじ75の位置がスリット70のDの位置になるように、金属板36aをスライド移動させて、このねじ75を支点として金属板36aを回転させると、金属板36a,37aの成す角度を90度よりも大きな角度とした状態で、金属板36a,37aを互いに固定することもできる。
なお、金属板36a,37aの成す角度を、90度未満、または90度よりも大きく、180度未満の角度とした状態で金属板36a,37aを互いに固定する時には、例えば、図10(b)の破線に示すような固定板83を設ける等、その固定状態を維持するための構成を設けるとよい。
また、図10の例において、クランク状の溝70を形成する代わりに、別途、回転軸を設定して、ビス穴の幅で円弧を描くような溝を一つ以上形成してもよい。さらに、ドレン取り付け部材36は、複数の曲がり部分を有する構成として、L字形状の角度を適宜形成できるようにしてもよい。
さらに、図11(a)、(b)には、取り付け部材36を、2つの金属板36a,37aを有する構成とする別の例が示されている。なお、これらの例は、蝶番77を介して、金属板36a,37aを接続する例であり、図11(a)、(b)において、金属板36a,37aは、蝶番77近傍のみ示している。また、これらの図において、金属板36a,37aの成す角度は、いずれも90度と成しているが、金属板36a,37aの成す角度は、自在に変形可能と成している。
図11(a)に示す例は、金属板36aと金属板37aとの成す角度を維持するために、直線状の固定板83を設けた例である。固定板83の一端側をねじ78により金属板36aに固定し、また、固定板83の他端側には、固定板83の長手方向に伸びるスリット84を形成し、スリット84を介して、固定板83をねじ79により金属板37に固定している。この構成においては、スリット84を介してねじ79による固定を行うことにより、金属板36aと金属板37aとの成す角度を自在に変えることができる。
また、図11(b)に示す例は、金属板36aと金属板37aとの成す角度を維持するために、L字形状に曲げて形成した固定板83を設けた例である。この固定板83の曲がり部の角度を適宜設定し、その角度に対応させて、金属板36aと金属板37aとの成す角度を形成し、固定板83を、ねじ78,79により、それぞれ、金属板36a,37aに固定することにより、金属板36aと金属板37aとの成す角度を自在に設定した状態で、固定することができる。
なお、本発明は前記各実施形態例に限定されることはなく、様々な態様を採り得る。例えば、前記各実施形態例では、ドレン中和器3に中和器固定板46を予め固定し、中和器固定板46を取り付け部材36の先端側に係止部45を係止して引っかけてドレン中和器3を取り付け部材36に固定したが、ドレン中和器3の取り付け部材36への固定構造は特に限定されるものではなく、例えば中和器固定板46を設けずに、ドレン中和器3を直接、取り付け部材36に固定してもよい。
また、前記各実施形態例における取り付け部材36に設けたストッパ53は省略することもできる。
さらに、前記実施形態例では、取り付け部材36や中和器固定板46や支持部材80は金属製としたが、取り付け部材36や中和器固定板46や支持部材80は、金属以外の樹脂等により形成してもよく、その形状も適宜設定されるものである。
さらに、前記第1実施形態例では、取り付け部材36は、ケース側固定板24とスライド部材56とを有する構成とし、前記第2実施形態例では、取り付け部材36は、金属板36a,37aを有する構成としたが、取り付け部材36はL字形状を呈する1つの部材により形成してもよい。この場合、L字形状の基端側を、燃焼装置のケース40のフロントパネル21に、該フロントパネル21と左右方向にスライド自在に固定してもよいし、互いに長さの異なる複数の取り付け部材36を用意しておき、燃焼装置やドレン中和器3の配設場所に応じて適宜の取り付け部材36を設けてドレン中和器3を固定してもよい。
さらに、前記各実施形態例では、ドレン中和器3の取り付け部材36のL字形状先端側を、給湯器17の左側(向かって右側)の位置において前方に突出させるようにしたが、その逆に、L字形状先端側を、給湯器17の右側(向かって左側)の位置において前方に突出させるようにしてもよい。例えば、図12には、前記第2実施形態例と同様の構成において、L字形状先端側を、給湯器17の右側の位置において前方に突出させたものである。このように、L字形状の先端側を左右どちらの方向から前方側に突出させるかに応じ、ドレン中和器3の構成や、その取り付け構成を適宜設定すればよい。
さらに、前記第1実施形態例では、ドレン中和器支持部材61は、ドレン中和器3の端部側に設けた取付部62とボルト63とを設けて形成したが、ドレン中和器支持部材61は、例えばドレン中和器3の取り付け部材36のL次形状の先端側の厚みよりも内側に(図2(b)に示す、図1のB矢視図における、破線Aよりも左側に)はみ出さないようにボルト63を設けて形成すればよい。つまり、ボルト63を、ドレン中和器3の略中央部(ドレンが入っているときの重心の略中央部)から下側に突出させて設けてもよいし、中和器固定板46や取り付け部材36に設けてもよいし、重心を挟んで2箇所以上の箇所に設けてもよい。
さらに、前記第1実施形態例では、ドレン中和器支持部材61を設けたが、ドレン中和器支持部材61は省略することができる。この場合、例えば、前記第2実施形態例のように、取り付け部材36に、支持部材80を設けてもよい。
さらに、前記第2実施形態例のように、支持部材80を設ける場合に、その下端に設ける滑り防止部材81は、図13に示すように、支持部材80に対して斜めに傾けて設ける態様としてもよい。このような配置態様は、同図に示すように、浴室30の壁部の下端側が大きく斜めに傾いて形成されている場合には、ドレン中和器3の固定構造を、ドレン中和器3をより安定して固定できる構造とすることができる。
さらに、前記第2実施形態例では、金属板37aの先端部に、下方側に伸延された支持部材80を設けたが、ドレン中和器3の取り付け位置によっては、支持部材80を、はみ出し伸設部位37の先端部ではなく、はみ出し伸設部位37の途中部に設けてもよい。
また、前記第2実施形態例および、図12に示した構成において、支持部材80を設けたが、支持部材80をドレン中和器3に直接取り付けてもよいし、ドレン中和器3に取り付け部材36を内包して一体成型する態様としてもよい。また、支持部材80を設けずに、前記第1実施形態例のように、ドレン中和器支持部材61を設けてもよいし、これらの支持部材をいずれも設けない態様とすることもできる。
さらに、本発明の浴室構造は、例えば図14の(a)〜(d)にそれぞれ示されるAまたはBの位置に給湯器17等の燃焼装置を配置して、そのケース前面側を塞ぐ態様で、浴槽26をケース前面に近接させて浴室30の角部に配置し、燃焼装置に固定されたドレン中和器3を浴槽26のケース前面に対向する面に隣り合う面と浴室壁面31とにより形成されるデッドスペースに配置して形成されるものである。例えば図14(a)のAに燃焼装置を配置した場合は、図のC1またはC2で示す位置にドレン中和器3が配置され、図14(b)〜(d)においても同様に、ドレン中和器3が適宜のデッドスペースに適切に配置される。
さらに、前記実施形態例では、図2や図8に示したようなドレン中和器3を、図4に示したような給湯器17に固定する例を述べたが、本発明のドレン中和器の固定構造を適用するドレン中和器や、そのドレン中和器を固定する燃焼装置は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
例えば燃焼装置は、風呂釜や、給湯器と風呂釜の両方の機能を備えた複合給湯器等、潜熱回収用熱交換器を備えて、ドレンを発生する適宜の燃焼装置を適用することができ、その燃焼方式も石油燃焼式でもよく、様々な燃焼装置にドレン中和器3を接続してドレン中和器の固定構造を形成することができる。