JP3720388B2 - イソチアゾロン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、2−(アルキルチオ)ベンズアミド類を原料とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法に関する。このイソチアゾロン誘導体は、抗菌剤、抗かび剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法としては、下記の方法などが知られている。
【0003】
(A)Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183-7(1982)
【0004】
【化5】
【0005】
この方法は、2−(メチルチオ)ベンズクロライドから2−(メチルチオ)ベンズアミドを製造し、このものを過ヨウ素酸を用いて酸化させて2−(メチルスルフィニル)ベンズアミドを製造し、さらにこれを塩化チオニルによって環化させて、目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンを得る方法である。
【0006】
(B)Ger. Offen. 3500577, (1986)
【0007】
【化6】
【0008】
この方法は、チオサリチル酸を出発原料とし、最後は苛性ソーダを用いて環化させ、目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンを得る方法と考えられる。
【0009】
(C)J. Org. Chem. 40(14), 2029-32(1975)
【0010】
【化7】
【0011】
この方法は、チオサリチル酸を出発原料とし、最後は強塩基を用いて環化させ、目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンを得る方法である。
【0012】
(D)US 4105431(1978)
【0013】
【化8】
【0014】
この方法は、3,3’−ジチオジプロピオンアミドを塩化スルフリルを用いて環化させ、目的とする5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロンを得る方法である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの公知の方法には次のような欠点がある。
(A)の方法は、目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンを得るためには、2−(メチルチオ)ベンズアミドを酸化させ、それによって得られる2−(メチルスルフィニル)ベンズアミドを塩化チオニルによって環化させるという2段階の反応工程を要する。またこの方法は、取扱い上危険性が高く、かつ高価な過ヨウ素酸を用いる必要がある。
(B)の方法は、高価なチオサリチル酸を用い、しかも反応工程数が多いと考えられ、また環化には強塩基を必要とするため、工業的に満足できる方法ではない。
(C)の方法もまた、高価なチオサリチル酸を原料として用いており、しかも反応工程数が多く、また環化には強塩基を必要とするため、工業的に満足できる方法ではない。
(D)の方法は、収率が極めて低く、工業的な方法とはいえない。
【0016】
以上のように、公知のいずれの方法によっても2−(アルキルチオ)ベンズアミド類から1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造する、あるいは3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類から3−イソチアゾロン類を製造する工業的に満足できる製造方法はなかった。
従って、本発明の目的は、抗菌剤、抗かび剤等として重要なイソチアゾロン誘導体を、従来よりも短い工程で、しかも高価で取扱い上危険性の高い物質を使用することなく安全なプロセスにより、高い収率で得ることができる製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、2−(アルキルチオ)ベンズアミド類から工業的に有利に1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造する方法、および3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類から3−イソチアゾロン類を製造する方法を提供すべく鋭意検討した。その結果、環化反応にハロゲンを用いることにより、下記のように直接目的物が得られるとともに、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】
(式中、R1 、R2 、R3 およびXは、一般式(I)〜(IV)におけるものとそれぞれ同意義を表す。)
【0021】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアミド類とハロゲンとを反応させることを特徴とする一般式(II)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法、
【0022】
【化11】
【0023】
(式中、R1 は水素原子、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
【0024】
【化12】
【0025】
(式中、R1 およびR3 は一般式(I)におけるR1 およびR3 とそれぞれ同意義を表す。)
(2) ハロゲンが塩素または臭素である前記(1)記載の製造方法、
(3) 一般式(I)の化合物が2−(メチルチオ)ベンズアミドである前記(1)または(2)記載の製造方法、
(4) 一般式(I)の化合物がN−アリール−2−(メチルチオ)ベンズアミドである前記(1)または(2)記載の製造方法、並びに
(5) 一般式(I)の化合物がN−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミドである前記(4)記載の製造方法
に関する。
【0030】
すなわち、本発明の製造方法は、2−(アルキルチオ)ベンズアミド類を原料とする第1の態様と、3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類を原料とする第2の態様に大別される。以下、両者を分けて詳細に説明する。
【0031】
本発明の第1の態様は、一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアミド類とハロゲンとを反応させることを特徴とする一般式(II)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法である。
【0032】
【化15】
【0033】
(式中、R1 は水素原子、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
【0034】
【化16】
【0035】
(式中、R1 およびR3 は一般式(I)におけるR1 およびR3 とそれぞれ同意義を表す。)
【0036】
本発明の製造方法の特徴は、工業的に容易に入手できる2−(アルキルチオ)ベンズアミド類を原料として用い、従来はアルキルスルフィニルベンズアミドを経由して2つの反応工程を要していたところを、1つの反応工程だけで環化させ、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を直接に製造できるところにある。さらにもう1つの特徴は、取扱い上危険性が高く、かつ高価な物質を使用することなく、比較的温和な条件で安全に1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造できるところにある。
【0037】
上記一般式(I)および(II)において、R1 およびR3 はそれぞれ同意義を表し、R1 は具体的には、水素原子、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
R1 で表されるアルキル基を例示すると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル等を挙げることができる。R1 で表されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。R1 で表されるアリール基を例示すると、フェニル、4−トルイル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、1−ナフチル等を挙げることができる。R1 で表されるアラルキル基を例示すると、ベンジル、フェネチル等を挙げることができる。
これらのうち、R1 の好ましい例としては、水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、フェニル、4−トルイル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、1−ナフチル、ベンジルが挙げられる。
【0038】
また、一般式(I)におけるR2 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R2 で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルを挙げることができる。
これらのうち、R2 の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチルが挙げられる。
【0039】
また、一般式(I)、(II)におけるR3 は、具体的には、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。R3 で表されるアルキル基を例示すると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。R3 で表されるアルコキシ基を例示すると、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等を挙げることができる。R3 で表されるカルボキシル基のエステルを例示すると、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等を挙げることができる。R3 で表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素等を挙げることができる。
これらのうち、R3 の好ましい例としては、水素原子、n−ブチル、メトキシ、ニトロ基、塩素原子が挙げられる。
【0040】
本発明の一般式(I)で表される、原料の2−(アルキルチオ)ベンズアミド類としては、特に限定されるものではなく、例えば次のものを例示することができる。
2−(メチルチオ)ベンズアミド、
2−(tert−ブチルチオ)ベンズアミド、
N−エチル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−エチル−2−(エチルチオ)ベンズアミド、
N−イソプロピル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−(tert−ブチル)−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−ヘキシル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−オクチル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−デシル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−ドデシル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−シクロヘキシル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−(4−トルイル)−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−(4−メトキシフェニル)−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−(4−クロロフェニル)−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−(1−ナフチル)−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−ベンジル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−ベンジル−2−(プロピルチオ)ベンズアミド、
N−ベンジル−2−(ブチルチオ)ベンズアミド。
N−フェニル−3−メチル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−メチル−5−ブチル−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−ブチル−4−メトキシ−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
N−フェニル−2−メチルチオ−3−ニトロベンズアミド、
4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
4−カルボキシ−2−(メチルチオ)ベンズアミド、
4−メトキシカルボニル−2−(メチルチオ)ベンズアミド。
【0041】
なお、一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアミド類は、いかなる方法によって得られたものを用いてもよいが、中でも本発明者等が先に出願した特願平5−319179号「アルキルスルフィニルベンズアミド類の製造方法」の明細書に開示された方法によると、より有利に得ることができる。
【0042】
本発明の一般式(I) で表される2−(アルキルチオ)ベンズアミド類から1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得る工程に用いられるハロゲンとしては、塩素、臭素、よう素等が使用可能であるが、なかでも経済的見地から塩素または臭素が好ましく用いられ、特に塩素が好ましく用いられる。
【0043】
ハロゲンの使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアミド類に対して通常0.8〜3.0倍モルの範囲、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲である。ハロゲンをこの範囲未満で用いると、未反応の2−(アルキルチオ)ベンズアミド類が多くなる傾向があり、一方、この範囲を超えて用いると副反応が起こり収率が低下する傾向があるためそれぞれ好ましくない。
【0044】
ハロゲンを反応させて1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得る工程に用いる反応溶媒としては、反応に対し不活性な溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的に例示すると、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはクロロベンゼン、トルエン、シクロヘキサンが用いられる。
溶媒の使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアミド類に対して、通常1〜30重量倍である。
【0045】
反応温度は、通常0〜150℃の範囲、好ましくは20〜120℃の範囲である。反応温度がこの範囲を超えると副反応が問題となり、一方この範囲未満だと反応速度が実用上遅すぎるのでそれぞれ好ましくない。反応時間は、反応温度、反応溶媒種により異なるため一概にはいえないが、通常1〜40時間の範囲である。
【0046】
このようにして得られる反応混合物から、目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を単離精製する方法としては、常法通り、該1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が液体の場合は減圧蒸留により、固体の場合は、そのまま晶析させるか、または抽出して再結晶させる等により行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
このようにして得られる目的の化合物である一般式(II)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の具体例としては、次のようなものが例示される。
1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−エチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−イソプロピル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(tert−ブチル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−オクチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−デシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ドデシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(4−トルイル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(4−メトキシフェニル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(4−クロロフェニル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(1−ナフチル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ベンジル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
7−メチル−2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
5−ブチル−2−メチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ブチル−6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
7−ニトロ−2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−クロロ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−カルボキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−メトキシカルボニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン。
【0048】
本発明の第2の態様は、一般式(III)で表わされる3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類とハロゲンとを反応させることを特徴とする一般式(IV)で表わされる3−イソチアゾロン類の製造方法である。
【0049】
【化17】
【0050】
(式中、R1 は水素原子、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
【0051】
【化18】
【0052】
(式中、R1 は一般式 (III)におけるR1 と同意義を表わし、Xはハロゲン原子を表わす。)
【0053】
本発明による3−イソチアゾロン類の製造方法の特徴は、従来は、3,3’−ジチオジプロピオンアミドを原料として用いて3−イソチアゾロン類を得ていたところを、3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類を原料として用いることにより容易に収率良く製造できるところにある。
【0054】
上記、一般式(III)および(IV)におけるR1 は同意義を表し、R1 は具体的には、水素原子、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。
【0055】
R1 で表されるアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル等を挙げることができる。R1 で表されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。R1 で表されるアリール基を例示すると、フェニル、4−トルイル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、1−ナフチル等を挙げることができる。R1 で表されるアラルキル基を例示すると、ベンジル、フェネチル等を挙げることができる。
これらのうち、R1 の好ましい例としては、メチル、n−オクチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0056】
また、一般式(III)におけるR2 は炭素数1〜4のアルキル基を表わす。
R2 で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。
これらのうち、R2 の好ましい例としては、メチル、tert−ブチルが挙げられる。
【0057】
また、一般式(IV)におけるXは、塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン原子を表す。
【0058】
本発明の一般式(III)で表される、原料の3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類としては、特に限定されるものではなく、例えば次のものを例示することができる。
3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
3−(tert−ブチルチオ)プロピオンアミド、
3−(プロピルチオ)プロピオンアミド、
N−メチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−エチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−プロピル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−ブチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−ヘキシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−オクチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−デシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−ドデシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−シクロヘキシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−フェニル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−(4−トルイル)−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−(4−メトキシフェニル)−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−(4−クロロフェニル)−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−(1−ナフチル)−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−ベンジル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド、
N−ベンジル−3−(エチルチオ)プロピオンアミド。
【0059】
なお、一般式 (III)で表わされる3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類は、いかなる方法によって得られたものを用いてもよいが、例えば市販のものを用いたり、アクリル酸メチルとメチルメルカプタンとを反応させた後、アミンと反応させる方法等により得ることができる。
【0060】
本発明の、3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類から3−イソチアゾロン類を製造する工程に用いられるハロゲンとしては、塩素、臭素、よう素等が使用可能であるが、なかでも、経済的見地から塩素または臭素が好ましく用いられ、特に塩素が好ましく用いられる。
【0061】
ハロゲンの使用量は、3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類に対して、通常3.5〜6.0倍モル、好ましくは、4.0〜5.0倍モルの範囲である。
ハロゲンを、この範囲未満で用いると、未反応の3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類が多くなる傾向があり、一方、この範囲を超えて用いると、副反応が起こり収率が低下する傾向があるためそれぞれ好ましくない。
【0062】
ハロゲンを反応させて、3−イソチアゾロン類を得る工程に用いる反応溶媒としては、反応に対し不活性な溶媒であるならば特に限定されるものではない。具体的に例示すると、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはクロロベンゼン、トルエン、シクロヘキサンが用いられる。
溶媒の使用量は、3−(アルキルチオ)プロピオンアミド類に対し、通常1〜30倍重量である。
【0063】
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは20〜80℃の範囲である。反応温度がこの範囲を超えると副反応が問題となる傾向があり、一方、この範囲未満だと反応速度が実用上遅すぎる傾向があり好ましくない。
反応時間は、反応温度、反応溶媒種により異なり、一概にはいえないが、通常1〜30時間の範囲である。
【0064】
このようにして得られる反応混合物から、目的とする3−イソチアゾロン類を単離精製する方法としては、常法通り、該3−イソチアゾロン類が液体の場合は減圧蒸留により、固体の場合はそのまま晶析させるか、または抽出して再結晶させる等により行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
このようにして得られる、目的の化合物である一般式(IV)で表される3−イソチアゾロン類の具体例としては、次のようなものが例示される。
4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−プロピル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジブロモ−2−プロピル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−ヘキシル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジブロモ−2−オクチル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−ドデシル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−フェニル−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−(4−トルイル)−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−(1−ナフチル)−3−イソチアゾロン、
4,5−ジクロロ−2−(ベンジル)−3−イソチアゾロン。
【0066】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、目的物が得られたか否かの確認は、核磁気共鳴法(1H−NMR)あるいは質量分析法により行った。
【0067】
実施例1
2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成
攪拌機、温度計、及び冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、N−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミド48.6g(0.2モル)、モノクロロベンゼン100gを仕込み、攪拌しながら塩素18.5g(0.26モル)を40〜50℃で添加したのち、70〜80℃に加熱し、1時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をモノクロロベンゼンで洗浄後、乾燥させると2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン44.5g(融点140〜141℃)を得た。原料としたN−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミドに対する収率は98%であった。
【0068】
実施例2
1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成(1)
攪拌機、温度計、及び冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、2−(メチルチオ)ベンズアミド33.4g(0.2モル)、モノクロロベンゼン150gを仕込み、攪拌しながら塩素18.5g(0.26モル)を40〜50℃で添加したのち、70〜80℃に加熱し、1時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をモノクロロベンゼンで洗浄後乾燥させ、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン29.3g(融点157〜158℃)を得た。原料とした2−(メチルチオ)ベンズアミドに対する収率は97%であった。
【0069】
実施例3
1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成(2)
実施例2における塩素を、臭素41.5g(0.26モル)に変える以外は実施例2と同様にして、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン29.0gを得た。
原料とした2−(メチルチオ)ベンズアミドに対する収率は96%であった。
【0070】
実施例4〜16
1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の合成
原料を、表1〜3に示す2−(アルキルチオ)ベンズアミド類に変える以外は実施例1と同様にして、相当する1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得た。相当する1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が液体の場合は減圧蒸留により取得した。
【0071】
実施例17
4,5−ジブロモ−2−オクチル−3−イソチアゾロンの合成(1)
攪拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、N−オクチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド46.2g(0.2モル)、モノクロロベンゼン100gを仕込み、攪拌下、臭素129.4g(0.81モル)を40〜50℃で添加し、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、反応液のモノクロロベンゼンを留去し、ヘキサンを用いて再結晶することにより、4,5−ジブロモ−2−オクチル−3−イソチアゾロン46.7gを得た。
原料としたN−オクチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミドに対する収率は63%であった。
【0072】
実施例18
4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−イソチアゾロンの合成(2)
攪拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、N−オクチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド46.2g(0.2モル)、モノクロロベンゼン100gを仕込み、攪拌下、塩素58.2g(0.82モル)を40〜50℃で吹き込み、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、反応液のモノクロロベンゼンを留去し、ヘキサンを用いて再結晶することにより、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−イソチアゾロン33.9g(融点45〜46℃)を得た。
原料としたN−オクチル−3−(メチルチオ)プロピオンアミドに対する収率は60%であった。
【0073】
実施例19
4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロンの合成
攪拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、N−シクロヘキシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミド40.2g(0.2モル)、モノクロロベンゼン100gを仕込み、攪拌下、塩素58.2g(0.82モル)を40〜50℃で吹き込み、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、反応液のモノクロロベンゼンを留去し、その後晶析させることにより、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロン32.8g(融点114〜116℃)を得た。
原料としたN−シクロヘキシル−3−(メチルチオ)プロピオンアミドに対する収率は65%であった。
【0074】
全実施例の結果を一括して表1〜4に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、抗菌剤、抗かび剤等として重要なイソチアゾロン誘導体、すなわち2−フェニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンあるいは1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン等に例示される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類、または4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−イソチアゾロン、あるいは4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロンに例示される3−イソチアゾロン類が従来よりも短い工程で、しかも高価で取扱い上危険性の高い物質を使用することなく安全なプロセスにより、高い収率で得られる。
Claims (5)
- ハロゲンが塩素または臭素である請求項1記載の製造方法。
- 一般式(I)の化合物が2−(メチルチオ)ベンズアミドである請求項1または2記載の製造方法。
- 一般式(I)の化合物がN−アリール−2−(メチルチオ)ベンズアミドである請求項1または2記載の製造方法。
- 一般式(I)の化合物がN−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミドである請求項4記載の製造方法。
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JP15147694A JP3720388B2 (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | イソチアゾロン誘導体の製造方法 |
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JPH07330745A JPH07330745A (ja) | 1995-12-19 |
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