JP3719801B2 - 電子部品封止用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導率に優れ、外部から侵入する水分を防止する固体撮像素子等の窓付き電子部品封止用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トランジスター、IC、コンデンサー、ダイオード等の電子部品を、樹脂組成物を用いてトランスファー成形により封止する方法は、低コスト、大量生産に適するため幅広く実用化され、従来、金属やセラミックで封止されていたものが樹脂組成物封止に置き変わってきている。又、最近、マルチメディアが進む中で、映像や画像をパソコンに取り込み、遠隔地へ瞬時に送信する必要が出てきており、小型軽量で低コストの固体撮像素子が必要となってきた。従来、固体撮像素子としては、セラミックのケースに搭載しガラスの窓を接着したものが高性能ではあるが、高価であるという欠点があった。そこで、低コスト化のために樹脂組成物で成形したケースに素子を搭載し、ガラスやアクリル樹脂の窓を付ける方法が採用されているが、セラミックに比べ、寸法精度が悪かったり、熱伝導率が低いために素子に熱がこもり暗時欠陥を引き起こしたり、外部から侵入する水分が、硬化した樹脂内を浸透していき、やがてケース内で凝結し特性劣化を引き起こしていた。一般に、水分の侵入防止のためには、シリカ等の吸湿性の低い無機充填材を樹脂組成物に高充填する手段がとられるが、本用途には不十分で、長期間の間に水分が硬化した樹脂内を拡散していき、内部の素子に到達していた。そこで硬化した樹脂内で水分の拡散を防ぐため、水分を固定化する吸水性ポリマー等の吸湿剤が検討されているが、有機系の充填材を用いると膨潤が発生し、製品の寸法安定性や外観に問題が出ていた。又、樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が低いと、素子から発生する熱が固体撮像パッケージ内にこもるために、暗時欠陥が生じることがわかってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、寸法安定性、及び外部から侵入する水分を遮断する特性を飛躍的に高め、且つ熱伝導率を高めた電子部品封止用樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ビフェニル型エポキシ化合物、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、及び(E)表面積が600m/g以上、細孔容積が0.5ml/g以下、含水量が2重量%以下のシリカゲルを必須成分とし、全無機充填材中に結晶シリカ粉末を20重量%以上含み、且つ無機充填材とシリカゲルの合計重量が全樹脂組成物中65〜90重量%であることを特徴とする電子部品封止用樹脂組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言う。例えば、ビフェニル型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、及びトリアジン核含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0006】
本発明に用いるフェノール樹脂硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物等が挙げられ、特に、フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂が好ましい。又、これらのフェノール樹脂硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂のエポキシ基数と、フェノール樹脂硬化剤のフェノール性水酸基数とを合わせるように配合することが好ましい。
【0007】
本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用されているものを広く使用できる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ジメチルベンジルアミン、2−メチルイミダゾール等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0008】
本発明に用いる無機充填材としては、一般に封止材料に使用されているものを広く使用でき、例えば、溶融破砕シリカ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ等が挙げられる。これらの中では、熱伝導率の高い結晶シリカが好ましい。この結晶シリカ粉末を全無機充填材中に20重量%以上含むことが望ましい。20重量%未満だと、熱伝導率が30×10-4cal/cm・sec・℃未満になり、暗示欠陥を引き起こすので好ましくない。
【0009】
本発明に用いるシリカゲルは、粒子内に直径5〜300オングストローム程度の空孔が無数にあり、水分を吸着保持できるもので、好ましくは、表面積が600m2/g以上、細孔容積が0.5ml/g以下で、且つシリカゲル中の含水量が2重量%以下のものが望ましい。表面積が600m/g未満、且つ細孔容積が0.5ml/gを越えると、相対湿度60%以下において、吸水能力が低下する。又、含水量が2重量%を越えると、硬化性が低下すると共に吸水能力が低下する。
無機充填材とシリカゲルの合計重量としては、全樹脂組成物中に65〜90重量%が好ましい。65重量%未満だと、寸法安定性が劣り、90重量%を越えると、流動性が低下し成形不良を生じる。
シリカゲルの添加量としては、全樹脂組成物中に1〜30重量%が好ましい。1重量%未満だと、吸水能力が低く、30重量%を越えると、防湿性より浸透性が高くなるため、水分防止効果が低くなり、更に流動特性、硬化特性が低下して成形不良を引き起こす。
本発明のシリカゲルの表面積、細孔容積の測定方法はマイクロメディティクス社・製ASAP2405により測定する。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じてシランカップリング剤、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、ヘキサブロムベンゼン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤、シリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えがない。
又、本発明の樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤を、ミキサー等を用いて充分に均一に混合した後、熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明する。配合量の単位は重量部である。
実施例1 ビフェニル型エポキシ化合物(油化シェルエポキシ(株)・製、YX4000H、エポキシ当量195、融点110℃)
9.46重量部
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点83℃)
5.49重量部
破砕結晶シリカ粉末(龍森(株)・製、平均粒径23μm、最大粒径150μm)
20.00重量部
球状溶融シリカ粉末(電気化学工業(株)・製、平均粒径20μm、最大粒径75μm)
54.00重量部
2−メチルイミダゾール 0.15重量部
シリカゲルA(東洋化学工業(株)・製、表面積774m/g、細孔容積0.36ml/g、含水量1.0重量%、含水量の測定はJIS−O701に準ずる)
6.00重量部
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.60重量部
臭素化エポキシ樹脂 1.00重量部
三酸化アンチモン 2.50重量部
カーボンブラック 0.30重量部
カルナバワックス 0.50重量部
をミキサーを用いて常温で混合し、70〜100℃で二軸ロールを用いて混練し、冷却後粉砕して樹脂組成物を得た。これをタブレット化し、低圧トランスファ−成形機を用いて175℃、70kg/cm2、硬化時間2分で成形し、175℃、8時間のポストキュアを行い、各テストピースを得、以下に示す方法で評価した。結果を表1に示す。
【0012】
評価方法
流動性:EMMI− −66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2 、硬化時間2分で、スパイラルフローを測定し、流動性の良好なものを○、悪いものを×と判定した。
熱伝導率:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、70kg/cm2、硬化時間2分で、直径50mm×厚さ50mmに成形し、175℃、8時間のポストキュアを行った後、プローブ型熱伝導率測定機(京都電子(株)・製、QTM−D3)を用いて常温で測定し、30×10-4cal/cm・sec・℃以上のものを○、30×10-4cal/cm・sec・℃未満のものを×と判定した。
吸湿率:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、70kg/cm2、硬化時間2分で、直径50mm×厚さ3mmに成形し、175℃、8時間のポストキュアを行い、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽中で336時間処理後、デシケータ中で室温まで冷却後、重量増加率を測定した。
水分トラップ性:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、70kg/cm2、硬化時間2分で、直径50mm×厚さ1mmの成形板を成形し、175℃、8時間のポストキュアを行った後、五酸化燐を入れた凹型のガラス容器の上部に、接着剤を用いて蓋として取り付け密閉し、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽中に100及び300時間放置後、内部の五酸化燐の重量増加率を測定し、0.1重量%未満のものを○、0.1重量%以上のものを×と判定した。
寸法安定性:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、70kg/cm2、硬化時間2分で、直径50mm×厚さ3mmに成形し、175℃、8時間のポストキュアを行った後、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽中で336時間処理し、処理前後の表面を50倍の顕微鏡で目視観察し、処理前後の成形表面に差が無ければ○、表面にふくれ等の凹凸が生じた場合は×と判定した。
【0013】
実施例2,3、比較例1〜6
表1及び表2の配合に従って、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1及び表2に示す。実施例3、比較例1,4のDBUは、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を表す。比較例に用いたシリカゲルB、シリカゲルCの特性を表3に示す。
【表1】
Figure 0003719801
【0014】
【表2】
Figure 0003719801
【0015】
【表3】
Figure 0003719801
【0016】
【発明の効果】
本発明に従うと、熱伝導率が高く、寸法安定性に優れ、外部からの水分の侵入を防ぐ、固体撮像素子等の窓付き電子部品を得ることができる。

Claims (1)

  1. (A)ビフェニル型エポキシ化合物、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、及び(E)表面積が600m/g以上、細孔容積が0.5ml/g以下、含水量が2重量%以下のシリカゲルを必須成分とし、全無機充填材中に結晶シリカ粉末を20重量%以上含み、且つ無機充填材とシリカゲルの合計重量が全樹脂組成物中65〜90重量%であることを特徴とする電子部品封止用樹脂組成物。
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