JP3719736B2 - ピラゾロン類の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬、医薬、その他合成化学用の中間原料として有用なピラゾロン誘導体の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ピラゾロンまたは1−置換−3−ピラゾロン類を得る方法としては、次に示すような方法が知られている。
(1)α−またはα,β−エステル置換アセチレンとヒドラジン化合物またはヒドラゾン化合物を反応させる方法(CA 75:110227,CA 81:13426)。
(2)β−ケト酸エステルとヒドラジン化合物を反応させる方法(CA 105:42788,薬学誌 60 45−(1940))。
(3)β−クロロ乳酸エステルとヒドラジンを反応させる方法(Chem Ber 27 407−(1894))。
(4)3−(N−フェニルヒドラジノ)プロピオニトリルをアルコール性アルカリで処理する方法(例 Boll Sci Fac Chim Ind Bolongna 11 78−(1953))。
(5)相当するピラゾリドン誘導体を酸化などの処理をする方法(ChemBer 29 519(1896))。
(6)相当するピラゾロンのカルボン酸塩を脱炭酸する方法(Chem Ber 40 1021−(1907))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)〜(4)の方法では、一般に原料入手が困難であったり、原料が高価につくという欠点を有している。また、上記(5)〜(6)の方法では、原料合成のために環化反応工程を必要とし、実質的に工程が長くなるという欠点を有する。
【0004】
かように、ピラゾロン誘導体を合成する従来の技術は、原料が調達困難である、原料が高価である、あるいは操作が煩雑である等の何れかの欠点を有しており、工業的製造法としては未だ不満足のものであった。
【0005】
本発明は、調達と取り扱いが容易な汎用原料から、ピラゾロンまたは1−置換−3−ピラゾロン類を安価に且つ容易に製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、2,3−ジクロロカルボン酸エステル類、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類、2−クロロアクリル酸エステル類または2−クロロアクリル酸アミド類と、ヒドラジンまたはモノ置換ヒドラジン類を反応させることによりピラゾロンまたは1−置換−3−ピラゾロン類が容易に生成することを見出し本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)
【化5】
式中、R1 及びR2 の各々は水素原子、アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、Zは−OR3 基(R3 は低級アルキル基を示す)または−NR4 R5 基(R4 及びR5 の各々は水素原子またはアルキル基を示す)
で表わされる2,3−ジハロカルボン酸誘導体または下記一般式(2)
【0008】
【化6】
CHR1’=CX−CO−Z (2)
式中、R1’は水素原子またはアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、Zは− OR3基(R3は低級アルキル基を示す)または−NR4R5基(R4及びR5の各 々は水素原子またはアルキル基を示す)
で表される2ーハロアクリル酸誘導体と、下記一般式(3)
【0009】
【化7】
式中、Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基またはアラルキル基を示す、
で表わされるヒドラジン誘導体とを反応させることを特徴とする一般式(4)
【0010】
【化8】
式中、R、R1、R1’およびR2は夫々前述した意味を有する、
で表されるピラゾロン誘導体を製造する方法であって、
前記式(1)で表される2,3−ジハロカルボン酸誘導体または前記式(2)で表される2−ハロアクリル酸誘導体の1モルに対して前記式(3)で表されるヒドラジン誘導体0.5〜6モルを使用し、溶媒の存在下に反応させることを特徴とするピラゾロン誘導体の製造方法が提供される。
【0011】
【作用】
本発明の製造法における反応は、下記反応式(5)、
【化9】
または反応式(6)
【0012】
【化10】
で表されるとおり、2,3−ジハロカルボン酸誘導体または2−ハロアクリル酸誘導体とヒドラジン誘導体との縮合環化であり、これによりピラゾロン誘導体が生成する。
この縮合に際して、脱ハロゲン化水素と、エステルの場合脱アルコール、アミドの場合脱アミンが生じる。
また、2,3−ジハロカルボン酸誘導体では、分子内脱ハロゲン化水素による二重結合も生起する。
【0013】
この縮合環化反応は、脱ハロゲン化水素剤としてアルカリの存在下で容易に進行し、目的物の収率は、後述する実施例に示す通り、一部を除き、80モル%或いはそれ以上にも達する。また、生成物の融点も文献値とほぼ一致しており、純度も高いという利点を有する。かくして、本発明によれば、以下に述べる安価な汎用原料から有用なピラゾロンまたは1−置換−3−ピラゾロン類が容易に製造可能である。
【0014】
即ち、本発明の原料である2,3−ジクロロカルボン酸エステル類は、農薬原料として一般に取引され調達の容易なα,β−不飽和カルボン酸エステル類に塩素を付加すれば、高収率で合成可能である。例えば、アクリル酸メチルの四塩化炭素溶液中に0〜50℃で塩素ガスを吹き込んだ後、生成液を蒸留すれば70〜90%の収率で、しかも高純度の目的物2,3−ジクロロプロピオン酸メチルが製造可能である。
【0015】
また、本発明の原料、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類は、化学工業原料として一般に取引され調達の容易なα,β−不飽和カルボニトリル類に塩素を付加し、次いで水和すれば合成可能である。例えば、アクリロニトリルに塩素を付加し、加水分解すれば2,3−ジクロロプロピオン酸アミドが製造可能である(CA 92:75870)。
【0016】
本発明の原料、2−クロロアクリル酸エステル類は、2,3−ジクロロカルボン酸エステル類をアルカリ塩で処理する等の方法で製造出来ることが知られている(CA 16942(’59),USP 2476528 1945,USP
2870193 1957)。
【0017】
本発明の原料、2−クロロアクリル酸アミド類は、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類をアルカリ塩で処理する等の方法で製造出来ることが知られている(CA 102:78346,CA 103:71015,CA 76:58820)。
【0018】
【発明の好適態様】
本発明で原料として用いる2,3−ジハロカルボン酸誘導体は、前記一般式(1)で表され、式中、R1 及びR2 の各々は水素原子、アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル等の炭素数4以下の低級アルキル基が好適である。フェニル基は、未置換でも或いは反応に無関係な置換基を有していてもよく、置換基としては、上記の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。Xはハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、塩素原子が好適である。以下には、塩素原子の場合について専ら説明するが、勿論これに限定されない。Zは−OR3 基(R3 は低級アルキル基を示す)または−NR4 R5 基(R4 及びR5 の各々は水素原子またはアルキル基を示す)であり、それぞれエステルまたはアミドに対応する。
【0019】
本発明の原料2,3−ジクロロカルボン酸エステル類は一般的には、α,β−不飽和カルボン酸エステル類の塩素付加により製造されるが、勿論これに限定されるものではなく、それ自体公知の種々の方法で製造されたものが使用可能である。またその純度は高いほど望ましいが、合成過程での副生物、溶媒などを含んだものであってもよい。
【0020】
2,3−ジクロロカルボン酸エステル類の具体例を一部挙げると、2,3−ジクロロプロピオン酸メチル、2,3−ジクロロプロピオン酸エチル、2,3−ジクロロプロピオン酸プロピル、2,3−ジクロロプロピオン酸イソプロピル、2,3−ジクロロプロピオン酸ブチル、2,3−ジクロロプロピオン酸イソブチル、2,3−ジクロロプロピオン酸ターシャリーブチル、2,3−ジクロロ酪酸メチル、2,3−ジクロロ酪酸エチル、2,3−ジクロロイソ酪酸メチル、2,3−ジクロロイソ酪酸エチル、2,3−ジクロロ−3−フェニルプロピオン酸メチル及び2,3−ジクロロ−3−フェニルプロピオン酸エチルなどである。
【0021】
本発明の原料2,3−ジクロロカルボン酸アミド類は一般的には、α,β−不飽和カルボニトリル類の塩素付加物を水和すれば製造可能であるが勿論これに限定されるものではなく、それ自体公知の種々の方法で製造されたものが使用可能である。またその純度は高いほど望ましいが、合成過程での副生物、溶媒などを含んだものであってもよい。
【0022】
2,3−ジクロロカルボン酸アミド類の具体例を一部挙げると、2,3−ジクロロプロピオン酸アミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−メチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジメチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−エチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジエチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−プロピルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジプロピルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−イソプロピルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジイソプロピルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ブチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジブチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−イソブチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ジイソブチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−ターシャリーブチルアミド、2,3−ジクロロプロピオン酸−N−メチルエチルアミド、2,3−ジクロロ−3−メチル−プロピオン酸アミド類及び2,3−ジクロロ−3−フェニルプロピオン酸アミド類である。
【0023】
本発明の原料2−クロロアクリル酸エステル類は、2,3−ジクロロカルボン酸エステル類をアルカリ塩で処理する等の方法で製造出来ることが知られているが、勿論これに限定されるものではなくそれ自体公知の種々の方法で製造されたものが使用可能である。また、その純度は高いほど望ましいが、合成過程での副生成物、溶媒などを含んだものであってもよい。
【0024】
2−クロロアクリル酸エステル類の代表的な化合物は、2−クロロアクリル酸メチルである。
【0025】
本発明の原料2−クロロアクリル酸アミド類は、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類をアルカリ塩で処理する等の方法で製造出来ることが知られているが、勿論これに限定されるものではなくそれ自体公知の種々の方法で製造されたものが使用可能である。また、その純度は高いほど望ましいが、合成過程での副生成物、溶媒などを含んだものであってもよい。
【0026】
2−クロロアクリル酸アミド類の代表的な化合物は、2−クロロアクリル酸アミドである。
【0027】
本発明で使用するヒドラジン誘導体は、前記一般式(3)で表される。式中、Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基またはアラルキル基であり、アリール基としては、具体的にフェニル、トリル基等が、アラルキル基としては、具体的に、ベンジル、フェネチルなどの基が挙げられる。
【0028】
ヒドラジンは、一般的には、その水和物であるヒドラジンヒドラートであるが、中和等により容易にヒドラジンを再生する無機酸との塩、有機酸との塩あるいはそれらの水溶液であってもよい。
一方、モノ置換ヒドラジン類は実質的には純品が望ましいが、無機酸との塩、有機酸との塩あるいはそれらの水溶液であってもよい。
【0029】
本発明で使用するヒドラジンまたはモノ置換ヒドラジン類の使用量は、もう一方の原料である2,3−ジクロロカルボン酸エステル類、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類、2−クロロアクリル酸エステル類または2−クロロアクリル酸アミド類1モルに対して0.5乃至6モルである。
【0030】
本発明で反応を促進するための脱塩化水素剤として使用するアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、3級アミン(例えばトリメチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等)等である。
また、原料であるヒドラジン、モノ置換ヒドラジン類自体も脱塩化水素剤として作用する。
【0031】
本発明の製造法は、適当な溶媒の存在下で実施する。
溶媒としては、水、アルコール、エーテル、芳香族炭化水素、あるいはそれらの混合溶媒が好適であるが、その他原料と反応しない溶媒なら使用可能である。好適な溶媒の代表例は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等である。
【0032】
本発明における反応温度は、通常−10℃乃至溶媒の還流温度までの広い範囲で実施することが出来るが、0乃至50℃の範囲から選ぶのが好ましい。
また、反応 時間は、0.1乃至40時間であるが、上記0乃至50℃で反応を実施した場合は、1乃至6時間が適切である。
【0033】
本発明における反応圧力は、大気圧下、減圧下または加圧下の何れでも実施可能であるが、工業的には大気圧下で実施するのが有利である。
【0034】
本発明の方法は、回分式、半回分式または流通式のいずれの方法によっても実施可能であり、特に限定されるものではない。
【0035】
例えば、▲1▼一方の原料である2,3−ジクロロカルボン酸エステル類、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類、2−クロロアクリル酸エステル類または2−クロロアクリル酸アミド類の溶液に、他方の原料であるヒドラジンまたはモノ置換ヒドラジン類を、常温で滴下後、適宜昇温する方法、▲2▼一方の原料であるヒドラジンまたはモノ置換ヒドラジン類に、他方の原料である2,3−ジクロロカルボン酸エステル類、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類、2−クロロアクリル酸エステル類または2−クロロアクリル酸アミド類を、常温で滴下後、適宜昇温する方法、▲3▼一方の原料である2,3−ジクロロカルボン酸エステル類、2,3−ジクロロカルボン酸アミド類、2−クロロアクリル酸エステル類または2−クロロアクリル酸アミド類と、他方の原料であるヒドラジンまたはモノ置換ヒドラジン類を所定温度で同時に滴下する方法等が挙げられる。
【0036】
本発明による反応生成物から目的のピラゾロン類を取り出す方法は、一般的な分離操作、例えば、蒸留、抽出、再結晶などの操作を単独または組み合わせて適用すればよく、特に一つの方法に限定されるものではない。
【0037】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
ピラゾロンの合成
2,3−ジクロロプロピオン酸アミド10.0g(67mmol)、テトラヒドロフラン100gを200mL四つ口フラスコに仕込み、水浴下15℃で撹拌しながら、水加ヒドラジン10.1g(202mmol)を20分で滴下した。続いて、50℃に昇温し、1時間撹拌の後、反応終了とした。反応液を濃縮乾固して得た生成物にテトラヒドロフラン100gを加えて室温下に撹拌した。不溶物を濾過分離除去した生成物のテトラヒドロフラン溶液をガスクロで分析した結果、ピラゾロンが5.3g含まれていた。2,3−ジクロロプロピオン酸アミド基準のピラゾロン収率は、94モル%であった。上記生成物のテトラヒドロフラン溶液を再度濃縮乾固し、水で再結晶し、ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、162〜164℃であった(文献値165℃)。
【0039】
[実施例2]
1−メチル−3−ピラゾロンの合成
モノメチルヒドラジン20.0g(98%,430mmol)、メタノール80gを200mL四つ口フラスコに仕込み、水浴下15℃で撹拌しながら、2,3−ジクロロプロピオン酸メチル22.5g(99%,142mmol)を30分で滴下した。続いて、50℃に昇温し、1時間撹拌の後、反応終了とした。反応液を濃縮乾固して得た生成物にテトラヒドロフラン136gを加えて室温下に撹拌した。不溶物を濾過分離除去した生成物のテトラヒドロフラン溶液をガスクロで分析した結果、1−メチル−3−ピラゾロンが12.9g含まれていた。2,3−ジクロロプロピオン酸メチル基準の1−メチル−3−ピラゾロン収率は、92モル%であった。上記生成物のテトラヒドロフラン溶液を再度濃縮乾固して得た生成物を、水、ついでアセトニトリルで再結晶し、1−メチル−3−ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、126〜128℃であった(文献値127〜128℃)。
【0040】
[実施例3]
1−イソプロピル−3−ピラゾロンの合成
モノイソプロピルヒドラジン18.6g(95%,238mmol)、テトラヒドロフラン90gを200mL四つ口フラスコに仕込み、水浴下で撹拌しながら、2,3−ジクロロプロピオン酸メチル12.6g(99%,79mmol)を6分で滴下した。続いて、50℃に昇温し、1時間撹拌の後、反応終了とした。冷却した反応液の不溶物を濾過分離した。これをガスクロで分析した結果、2,3−ジクロロプロピオン酸メチル基準の1−イソプロピル−3−ピラゾロン収率は、62モル%であった。上記反応液を濃縮乾固し、アセトニトリルで再結晶し、1−イソプロピル−3−ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、131〜132℃であった(文献値131〜132℃)。
【0041】
[実施例4]
1−ブチル−3−ピラゾロンの合成
実施例3と同様に、モノブチルヒドラジン28.2g(98%,303mmol)、2,3−ジクロロプロピオン酸メチル16.4g(97%,101mmol)を反応させた。反応液を濃縮乾固して得た油状生成物に水150gを加えて室温下撹拌した。生成した粗結晶を濾過、乾燥し、粗結晶11.8gを取得した。これを、ガスクロで分析した結果、1−ブチル−3−ピラゾロンが11.6g含まれていた。2,3−ジクロロプロピオン酸メチル基準の1−ブチル−3−ピラゾロン収率は、82モル%であった。
粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、1−ブチル−3−ピラゾロンの白色結晶を 取得した。融点は、57〜59℃であった。
【0042】
[実施例5]
1−メチル−5−フェニル−3−ピラゾロンの合成
2,3−ジクロロ−3−フェニルプロピオン酸メチル20.0g(99%,85mmol)、テトラヒドロフラン200gを300mL四つ口フラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら、モノメチルヒドラジン17.2g(98%,366mmol)を10分で滴下した。続いて、50℃まで昇温し、3時間撹拌の後、反応終了とした。反応液を濃縮乾固して得た生成物に、水440gを加えて室温下撹拌した。生成した粗結晶を濾過、乾燥した。これをガスクロで分析した結果、2,3−ジクロロ−3−フェニルプロピオン酸メチル基準の1−メチル−5−フェニル−3−ピラゾロン収率は、62モル%であった。粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、1−メチル−5−フェニル−3−ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、164〜165℃であった(文献値160〜165℃)。
【0043】
[実施例6]
2−クロロアクリル酸メチルの合成
2,3−ジクロロプロピオン酸メチル15.7g(99%,100mmol)、テトラヒドロフラン50gを200mL四つ口フラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら、トリエチルアミン10.1g(100mmol)を40分で滴下した。続いて、室温下、4時間撹拌の後、反応終了とした。生成した沈殿物を濾過除去した後、反応液を減圧下に溶媒を留去した。続いて、減圧単蒸留により50mmHg、45乃至60℃の留分とし、2−クロロアクリル酸メチル11.2gを得た。2,3−ジクロロプロピオン酸メチル基準の2−クロロアクリル酸メチル収率は90モル%で、ガスクロによる純度は97%であった。
【0044】
1−エチル−3−ピラゾロンの合成
合成2−クロロアクリル酸メチル3.7g(30mmol)、テトラヒドロフラン19gを50mL四つ口フラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら、モノエチルヒドラジン3.9g(92%,60mmol)を60分で滴下した。続いて、室温下、3時間撹拌の後、反応終了とした。反応液は2層分離し、上層液をガスクロで分析した結果、1−エチル−3−ピラゾロンが2.9g含まれていた。2−クロロアクリル酸エチル基準の1−エチル−3−ピラゾロン収率は、86モル%であった。上記の上層液を濃縮乾固し、水で再結晶し、1−エチル−3−ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、94〜95℃であった(文献値92〜94℃)。
【0045】
[実施例7]
2−クロロアクリル酸アミドの合成
2,3−ジクロロプロピオン酸アミド14.2g(100mmol)、テトラヒドロフラン200gを500mL四つ口フラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら、トリエチルアミン10.1g(100mmol)を30分で滴下した。続いて、40℃に昇温し、20時間撹拌の後、反応終了とした。生成した沈殿物を濾過除去し、2−クロロアクリル酸アミド溶液を得た。
【0046】
1−エチル−3−ピラゾロンの合成
合成2−クロロアクリル酸アミド溶液を500mL四つ口フラスコに仕込み、室温で撹拌しながら、モノエチルヒドラジン13.0g(92%,200mmol)を30分で滴下した。続いて、40℃に昇温し、4時間撹拌の後、反応終了とした。反応溶液をガスクロで分析した結果、1−エチル−3−ピラゾロンが9.0g含まれていた。出発原料の2,3−ジクロロプロピオン酸アミド基準の1−エチル−3−ピラゾロン収率は、80モル%であった。反応液を濃縮乾固して得た生成物を水で再結晶し、1−エチル−3−ピラゾロンの白色結晶を取得した。融点は、92〜93℃であった(文献値92〜94℃)。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、農薬、医薬、化学合成用中間原料として有用なピラゾロンまたは1−置換−3−ピラゾロン類が、汎用の工業原料から容易かつ安価に製造可能となる。
Claims (5)
- 下記一般式(1)
で表される2,3−ジハロカルボン酸誘導体、または、下記一般式(2)
で表される2ーハロアクリル酸誘導体と、下記一般式(3)
で表されるヒドラジン誘導体とを反応させ、一般式(4)
で表されるピラゾロン誘導体を製造する方法であって、
前記式(1)で表される2,3−ジハロカルボン酸誘導体または前記式(2)で表される2−ハロアクリル酸誘導体の1モルに対して前記式(3)で表されるヒドラジン誘導体0.5〜6モルを使用し、溶媒の存在下に反応させることを特徴とするピラゾロン誘導体の製造方法。 - 2,3−ジハロカルボン酸誘導体が2,3−ジクロロカルボン酸エステルである請求項1記載の製造方法。
- 2,3−ジハロカルボン酸誘導体が2,3−ジクロロカルボン酸アミドである請求項1記載の製造方法。
- 2−ハロアクリル酸誘導体が2−クロロアクリル酸エステルである請求項1記載の製造方法。
- 2−ハロアクリル酸誘導体が2−クロロアクリル酸アミドである請求項1記載の製造方法。
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WO2015166862A1 (ja) * | 2014-04-30 | 2015-11-05 | 日本カーバイド工業株式会社 | ビスピラゾール化合物を製造する方法 |
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1995
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