JP3719535B2 - 内燃機関の触媒劣化検出装置 - Google Patents

内燃機関の触媒劣化検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に設けられ、排気ガスを浄化する触媒の劣化を検出する触媒劣化検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の劣化検出装置として、機関の排気通路の触媒の下流側に設けた酸素濃度センサの出力の応じて機関に供給する混合気の空燃比をフィードバック制御し、その時の酸素濃度センサ出力の反転周期を触媒劣化判定パラメータとして用いて触媒の酸素蓄積能力を検出し、劣化判定を行うものが、既に本出願人により提案されている(特開平6−212955号公報、特願平6−308229号)。
【0003】
また、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタに貯蔵し、適宜機関の吸気系に放出する蒸発燃料排出抑止装置も従来より広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蒸発燃料の吸気系へのパージの影響が大きい場合には、混合気の空燃比はリッチ側に偏るため、触媒の下流側に設けられた酸素濃度センサ出力の反転周期から触媒の酸素ストレージ能力を正確に判定することが困難となり、劣化判定を正確に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明はこの点に着目してなされてものであり、吸気系にパージされる蒸発燃料の影響によって混合気の空燃比がリッチ側に偏ることに起因する、酸素濃度センサ出力に基づいた触媒劣化判定パラメータによる触媒劣化の誤検知を防止し、正確な劣化判定を行うことができる触媒劣化検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸気系に放出するパージ手段を備えた内燃機関の排気系に設けられ、排気ガスの浄化を行う触媒手段と、該触媒手段の下流側に設けられ、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段の出力に応じて空燃比制御量を演算する空燃比制御量演算手段と、該空燃比制御量に基づいて前記機関に供給する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、該空燃比制御手段による空燃比の制御時の前記酸素濃度検出手段の出力に基づいた触媒劣化判定パラメータにより前記触媒手段の劣化を検出する触媒劣化検出手段と、該検出した酸素濃度に基づいて空燃比補正係数(KO2)を求める空燃比補正係数算出手段と、該空燃比補正係数の増減に基づいて前記蒸発燃料の濃度(KEVAP)を算出する蒸発燃料濃度算出手段(S161,S164)とを備えた内燃機関の触媒劣化検出装置であって、前記パージ手段によって吸気系に放出する蒸発燃料の濃度が濃いときは、前記触媒手段の劣化検出を禁止する劣化検出禁止手段を有することを特徴とする触媒劣化検出装置を提供する。
【0007】
さらに、前記蒸発燃料濃度算出手段は、前記空燃比補正係数が増加しているとき(S162でYES)は、前記蒸発燃料の濃度を減少させ(S164)、前記空燃比補正係数が減少しているとき(S151でYES)は、前記蒸発燃料の濃度を増加させる(S161)ことが望ましい。
また、前記蒸発燃料濃度算出手段は、前記空燃比補正係数が所定範囲内(FKO2EVH〜FKO2EVL)にあるか、若しくは、該所定範囲に向けて変化しているとき(S162でNO,S151でNO)は、前記蒸発燃料の濃度を変化させない(S163)ことが望ましい。
【0008】
本発明によれば、前記パージ手段によって吸気系に放出する蒸発燃料の濃度が濃いときは、前記触媒手段の劣化検出を禁止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の一形態に係る触媒劣化検出装置が組込まれた内燃機関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の全体構成図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されている。スロットル弁3にはスロットル弁開度(θTH)センサ4が連結されており、当該スロットル弁3の開度に応じた電気信号を出力してエンジン制御用電子コントロールユニット(以下「ECU」という)5に供給する。
【0011】
燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁3との間かつ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射の開弁時間が制御される。
【0012】
一方、スロットル弁3の直ぐ下流には吸気管内絶対圧(PBA)センサ7が設けられており、この絶対圧センサ7により電気信号に変換された絶対圧信号は前記ECU5に供給される。また、その下流には吸気温(TA)センサ8が取付けられており、吸気温TAを検出して対応する電気信号を出力してECU5に供給する。
【0013】
エンジン1の本体に装着されたエンジン水温(TW)センサ9はサーミスタ等から成り、エンジン水温(冷却水温)TWを検出して対応する温度信号を出力してECU5に供給する。
【0014】
エンジン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲には、エンジン回転数(NE)センサ10及び気筒判別(CYL)センサ11が取り付けられている。エンジン回転数センサ10は、エンジン1の各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置で(4気筒エンジンではクランク角180゜毎に)TDC信号パルスを出力し、気筒判別センサ11は、特定の気筒の所定クランク角度位置で気筒判別信号パルスを出力するものであり、これらの各信号パルスはECU5に供給される。
【0015】
排気管12には排気ガスを浄化する三元触媒(以下触媒という)16が設けられ、触媒16の上流位置には、酸素濃度検出手段としての上流側O2センサ14が装着されているとともに、触媒16の下流位置にも酸素濃度検出手段としての下流側O2センサ15が装着され、それぞれ排気ガス中の酸素濃度を検出してその検出値に応じた電気信号(PVO2,SVO2)がECU5に供給される。また触媒Cにはその温度を検出する触媒温度(TCAT)センサ13が装着され、検出された触媒温度TCATに対応する電気信号がECUに供給される。
【0016】
ECU5にはさらに、エンジン1が搭載された車両の速度Vを検出する車速センサ17、大気圧(PA)センサ18が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU5に供給される。
【0017】
吸気管2には、通路19を介して燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタ(図示せず)が接続されており、通路19の途中にパージ制御弁20が配設されている。パージ制御弁20は、ECU5に接続されており、ECU5によりその開閉が制御される。パージ制御弁20は、エンジン1の所定運転状態において開弁され、キャニスタに貯蔵された蒸発燃料を吸気管2に供給する。
【0018】
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路5a、中央演算処理回路(以下「CPU」という)5b、CPU5bで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶手段5c、前記燃料噴射弁6に駆動信号を供給する出力回路5d等から構成される。
【0019】
CPU5bは、上述の各種エンジンパラメータ信号に基づいて、後述するように、空燃比フィードバック制御領域や空燃比フィードバック制御を行わない複数の特定運転領域(以下「オープンループ制御領域」という)の種々のエンジン運転状態を判別するとともに、該判別されたエンジン運転状態に応じて、次式(1)に基づき、前記TDC信号パルスに同期する燃料噴射弁6の燃料噴射時間TOUTを演算する。
【0020】
TOUT=Ti×KO2×KEVAP×K1+K2…(1)
ここに、Tiは燃料噴射弁5の基本燃料噴射時間であり、エンジン回転数NE及び吸気管内絶対圧PBAに応じて決定される。
【0021】
KO2は空燃比補正係数であり、空燃比フィードバック制御時、O2センサ14,15により検出された排気ガス中の酸素濃度に応じて求められ、さらにオープンループ制御領域では各運転領域に応じた値に設定される。
【0022】
KEVAPは、パージによる蒸発燃料の影響を補償するためのエバポ補正係数であり、パージを行わないときは1.0に設定され、パージ実行時は0〜1.0の間の値に設定される。このエバポ補正係数KEVAPの値が小さいほど、パージの影響が大きいことを示す。
【0023】
K1及びK2は夫々各種エンジンパラメータ信号に応じて演算される他の補正係数および補正変数であり、エンジン運転状態に応じた燃費特性、エンジン加速特性等の諸特性の最適化が図れるような所定値に決定される。
【0024】
CPU5bは上述のようにして求めた燃料噴射時間TOUTに基づいて燃料噴射弁6を開弁させる駆動信号を出力回路5dを介して燃料噴射弁6に供給するとともに、エンジン運転状態に応じたパージ制御弁20の開閉制御を行う。
【0025】
次に、触媒16の劣化検出(劣化モニタ)について説明する。
【0026】
この触媒16の劣化モニタを行う場合のフィードバック制御は下流側O2センサ15の出力SVO2のみに基づいて行われる。そして出力SVO2が所定の基準電圧SVREFに対してリーン側からリッチ側へ反転した時点から所定時間TRD経過後の時点で、補正係数KO2を理論空燃比に対してリッチ側からリーン側にスキップさせるためのリーン側スペシャルP項PLSPを発生させ、この時点から出力SVO2がリッチ側からリーン側へ反転する時点までの遅れ時間TLが検出される。また、出力SVO2が基準値SVREFに対してリッチ側からリーン側へ反転した時点から所定時間TLD経過後の時点で、補正係数KO2を理論空燃比に対してリーン側からリッチ側にスキップさせるためのリッチ側スペシャルP項PRSPを発生させ、この時点から出力SVO2がリーン側からリッチ側へ反転する時点までの遅れ時間TRが検出される。そして、これらの遅れ時間TL,TRを劣化判定パラメータとして用いて触媒16の劣化が判定される。
【0027】
次に図2及び図3のフローチャートに基づいて触媒劣化モニタ処理の全体構成を説明する。本処理はタイマにより所定時間(例えば10msec)毎にCPU5bで実行される。
【0028】
先ずステップS1では、図4の処理で設定され、劣化モニタ許可を「1」で示す劣化モニタ許可フラグFCATCHKが「1」か否かを判別し、FCATCHK=1であるときは、吸気管内絶対圧PBAの変化量DPBA4(=今回値PBA(n)−前回値PBA(n−1))の絶対値が、所定変化量DPBCATMより小さいか否かを判別し(ステップS2)、|DPBA4|<DPBCATMであって吸気管内絶対圧PBAの変動が小さいときは、単位時間当たりの燃料供給量TFの平均値TFAVEが所定上限値TFMAXより大きいか否か、すなわち高回転高負荷運転状態か否かを判別する(ステップS3)。
【0029】
ここで、単位時間当たりの燃料供給量TF及びその平均値TFAVEは下記式により算出する。
【0030】
TF=TOUT×NE/A
TFAVE(n)=α×TF+(1−α)×TFAVE(n−1)
Aは定数(例えば2の12乗)、αは0から1の間の値に設定されるなまし係数である。
【0031】
ステップS1又はS2の答が否定(NO)のとき又はステップS3の答が肯定(YES)のとき、すなわち劣化モニタ条件不成立のとき、吸気管内絶対圧PBAの変動が大きいとき又は単位時間当たりの燃料供給量が大きい高回転高負荷運転状態のときは、劣化モニタを実行しない。すなわちステップS7に進み、下流側O2センサ15の出力SVO2の変化が小さいことを「1」で示すホールドフラグFSVO2HLDを「0」に設定し、さらに強制パージカット(パージ制御弁20の閉弁)すべきことを「1」で示すパージカットフラグFCATPGを「0」とし(ステップS9)、ダウンカウントタイマtmCATMに所定のモニタ開始遅延時間TCATMをセットしてスタートさせ(ステップS12)、劣化モニタ実行中であることを「1」で示すモニタ実行フラグFCATMを「0」に設定して(図3,ステップS14)、本処理を終了する。なお、ホールドフラグFSVO2HLDの設定は、後述する図6の処理で行われる。
【0032】
ステップS3によりエンジンの単位時間当たりの燃料供給量が大きい高回転高負荷運転状態のときは劣化モニタを実行しないようにしたのは、高回転高負荷運転状態のときは、触媒16の酸素ストレージ時間が短くなり、劣化した触媒と同様の酸素ストレージ特性を示すので、正常な触媒を劣化したと誤判定するおそれがあるからである。
【0033】
前記ステップS3の答が肯定(YES)、すなわちTFAVE<TFMAXであって、高回転高負荷運転状態でないときは、モニタ実行フラグFCATMが「1」であるか否かを判別する(ステップS4)。最初はFCATM=0であるので、直ちにステップS6に進み、後述するステップS16でFCATM=1とされると、モニタ実行中の吸気管内絶対圧PBAの最大値PBCTMAXと最小値PBCTMINの差が、所定値DPBCATGより小さいか否かを判別し(ステップS5)、PBCTMAX−PBCTMIN<DPBCATGであるときは、ステップS6に進む。
【0034】
なお、最大値PBCMAX及び最小値PBCMINは、劣化モニタを実行していないときに、それぞれ00(16進)及びFF(16進)に初期設定をしておき(図5、ステップS49)、TDC信号パルスの発生毎に実行される処理で、劣化モニタ実行中において(FCATM=1のとき)、検出した吸気管内絶対圧PBAが最大値PBCMAXより高いときは、そのときのPBA値で最大値PBCMAXを更新する一方、検出した吸気管内絶対圧PBAが最小値PBCMINより低いときは、そのときのPBA値で最小値PBCMINを更新することにより算出する。
【0035】
ステップS4、S5により劣化モニタ実行中における吸気管内絶対圧PBAの変動が大きいときは劣化モニタを実行しないようにしたので、負荷変動が大きいときに下流側O2センサ出力SVO2の反転周期が不安定になることに起因する誤判定を防止することができる。
【0036】
ステップS6では、ホールドフラグFSVO2HLDが「0」か否かを判別する。最初はFSVO2HLD=0であるので、ステップS8に進み、後述するステップS17の処理でFSVO2HLD=1とされたとき、すなわち下流側O2センサ出力SVO2の変化が小さいと判定されたときは、前記ステップS7に進み、劣化モニタは実行しない。
【0037】
ステップS6により下流側O2センサ出力SVO2の変化が小さいときは劣化モニタを実行しないようにしたので、特に触媒が新品である場合に、出力SVO2が基準値SVREF近傍に停滞し、正確な酸素ストレージ時間の検出ができないことに起因する誤判定を防止することができる。
【0038】
ステップS8では、空燃比フィードバック制御領域であることを「1」で示すフィードバック制御フラグFO2FBが「1」か否かを判別し、FO2FB=0であるときは、前記ステップS9に進み、FO2FB=1であるときは、パージカットフラグFCATFGを「1」に設定して強制パージカットとする(ステップS10)。次いで、エバポ補正係数KEVAPが1.0であるか否かを判別し(ステップS11)、KEVAP<1.0であるときは、パージの影響が大きく正確な劣化判定ができないので、前記ステップS12に進み、劣化モニタは行わない。
【0039】
これにより、パージの影響により下流側O2センサ出力SVO2がリッチ側に偏り、触媒の酸素ストレージ能力を正確に判断できないことに起因する誤判定を防止することができる。
【0040】
一方、KEVAP=1.0であるときは、前記ステップS12でスタートしたタイマtmCATMの値が0か否かを判別する。最初はtmCATM>0であるので、前記ステップS14に進み、所定遅延時間TCATM経過してtmCATM=0となると、図3のステップS15以下のステップで劣化判定を行う。
【0041】
先ずステップS15では、下流側O2センサ出力SVO2に基づく劣化モニタ中の空燃比補正係数CATKO2の算出処理(図5に詳細を示す)を実行する。この補正係数CATKO2は、前記式(1)のKO2に代えて燃料噴射時間TOUTの算出に使用する。
【0042】
次いで、モニタ実行フラグFCATMを「1」に設定し(ステップS16)、遅れ時間TL,TRの算出処理(図6)を実行し(ステップS17)、遅れ時間TRの算出回数を示すリッチ側TRカウンタNTRの値が所定値NTRCより小さいか否かを判別する(ステップS18)。最初はNTR<NTRCであるので、ステップS19の劣化判定処理A(図8)を実行し、次いで触媒16が正常である旨の判定が確定したことを「1」で示す正常判定フラグFOK67が「1」であるか否かを判別する(ステップS20)。そして、FOK67=0であって正常判定が確定していないときは、直ちに本処理を終了し、FOK67=1であって正常判定が確定したときは、劣化モニタフラグFCATMを「0」に設定して(ステップS22)、本処理を終了する。
【0043】
ステップS18でNTR=NTRCとなると、ステップS21に進んで劣化判定処理B(図9)を実行し、前記ステップS22に進む。
【0044】
図4は劣化モニタ許可フラグFCATCHKの設定処理のフローチャートであり、本処理は他の優先度の高い処理が実行されていないバックグラウンドにおいて実行される。
【0045】
先ずステップS31では、吸気温TAが所定上下限値TACATH(例えば100℃)、TACATL(例えば−0.2℃)の範囲内にあるか否か、エンジン水温TWが所定上下限値TWCATH(例えば100℃)、TWCATL(例えば80℃)の範囲内にあるか否か、車速Vが所定上下限値VCATH(例えば80km/h)、VCATL(例えば32km/h)の範囲内にあるか否か、エンジン回転数NEが所定上下限値NECATH(例えば3200rpm)、NECATL(例えば2800rpm)の範囲内にあるか否か、及び吸気管内絶対圧PBAが所定上下限値PBCATH(例えば510mmHg)、PBCATL(例えば410mmHg)の範囲内にあるか否かを判別し、これらの運転パラメータの何れかが所定上下限値の範囲外のときは、劣化モニタ実行許可フラグFCATCHKを「0」に設定し(ステップS37)、劣化モニタ実行不可とする。
【0046】
一方、判定した運転パラメータがすべて所定上下限値の範囲内にあるときは、さらに触媒16の温度TCATが所定範囲(例えば350℃〜800℃)内にあることを「1」で示す触媒温度フラグFTCATが「1」か否かを判別する(ステップS32)。このフラグFTCATの設定は、触媒温度センサ13の検出値TCATを用いて行うが、エンジン運転状態に応じて推定した温度値を用いてもよい。そして、FTCAT=0であって触媒温度TCATが所定範囲外のときは、前記ステップS37に進み、劣化モニタ実行不可とする。これにより、触媒温度が低いことに起因して酸素ストレージ能力が低下し正常な触媒を劣化していると誤判定することを防止することができる。
【0047】
ステップS32でFTCAT=1であって、触媒温度TCATが所定範囲内にあるときは、エバポ補正係数KEVAPの学習値KEVAPREFが所定値KEVAPCAT(例えば0.781)より大きいか否かを判別する(ステップS33)。
【0048】
学習値KEVAPREFは、エンジンがアイドル状態にあるときに算出するアイドル用学習値KEVAPREF1と、アイドル状態以外にあるとき算出するオフアイドル用学習値KEVAPREF0とがあり、これらの学習値は対応するエンジン運転状態において、下記式(2)により算出する。
【0049】
KEVAPREFi(n)=CEVREFi×KEVAP/B+(B−CEVREFi)×KEVAPREFi(n−1)…(2)
ここで、i=0又は1、Bは例えば2の16乗に設定される定数、CEVREFiは1〜Bの間の値に設定されるなまし係数である。
【0050】
ステップS33でKEVAPREF≦KEVAPCATが成立し、パージの影響が大きいときには、前記ステップS37に進み、劣化モニタ実行不可とする。これにより、パージの影響で下流側O2センサ出力SVO2がリッチ側に偏り、触媒の酸素ストレージ能力を正確の判断できないことに起因する誤判定を防止することができる。
【0051】
ステップS33でKEVAPREF>KEVAPCATが成立し、パージの影響が小さいときは、当該車両がクルーズ状態にあることを「1」で示すクルーズフラグFCRSが「1」か否かを判別する(ステップS34)。クルーズフラグFCRSは、例えば車速Vの変動が0.8km/sec以下の状態が所定時間(例えば2秒)継続したとき「1」に設定される。
【0052】
ステップS34で車両がクルーズ状態にないときは、前記ステップS37に進み、劣化モニタ実行不可とする。これにより、大きな負荷変動による下流側O2センサ出力SVO2の不安定化に起因する誤判定を防止することができる。
【0053】
また、ステップS34の答が肯定(YES)、すなわち車両がクルーズ状態にあるときは、空燃比補正係数KO2が所定上限値又は下限値に所定時間以上貼り付いていること(KO2リミット貼り付き状態)を「1」で示す貼り付きフラグFKO2LMTが「0」か否かを判別し(ステップS35)、FKO2LMT=1であってKO2リミット貼り付き状態のときは、前記ステップS37に進み、劣化モニタ実行不可とする。
【0054】
そして、ステップS31〜S35の答がすべて肯定(YES)のときは、劣化モニタ実行許可フラグFCATCHKを「1」に設定して(ステップS36)、本処理を終了する。
【0055】
図5は、図3のステップS15におけるCATKO2算出処理のフローチャートである。また、図7は下流側O2センサ出力SVO2、各種フラグ等の推移を示す図であり、この図も併せて参照する。
【0056】
先ずステップS41では、下流側O2センサ出力SVO2が基準値SVREFより低いか否かを判別し、SVO2<SVREFであるときは、第1リッチフラグFAFR1を「0」に、またSVO2≧SVREFであるときは、同フラグFAFR1を「1」に設定する(ステップS42、S43)。続くステップS44では、第1リッチフラグFAFR1が反転したか否かを判別し、反転していなければ直ちにステップS48に進む一方、反転したときは、第1リッチフラグFAFR1が「0」か否かを判別する(ステップS45)。そして、FAFR1=0であって下流側O2センサ出力SVO2がリッチ側からリーン側へ反転したときは(図7、時刻t1,t5,t9)、ダウンカウントディレイタイマTDLYRにリーン側所定時間TLDをセットしてスタートさせ(ステップS46)、逆にFAFR1=1であってリーン側からリッチ側へ反転したときは(図7、t3,t7,t11)、リッチ側所定時間TRDをセットしてスタートさせ(ステップS47)、ステップS48に進む。
【0057】
ステップS48では、モニタ実行フラグFCATMが「1」か否かを判別する。モニタ実行開始当初はFCATM=0である(FCATMを「1」に設定するのはCATKO2算出処理の実行後である)ため、ステップS49に進んで各種タイマ、カウンタ、フラグ等の初期設定を行う(ステップS49)。すなわち、ディレイタイマTDLYR、遅れ時間TL,TR計測用のアップカウントタイマTSTRG、遅れ時間TL,TRの計測回数をカウントするカウンタNTL,NTR、及び遅れ時間の積算値TLSUM,TRSUMをすべて「0」に設定し、第2リッチフラグFAFR2を第1リッチフラグFAFR1と同一とし、劣化モニタ時用空燃比補正係数CATKO2を空燃比補正係数KO2に設定し、吸気管内絶対圧PBAの最大値PBCTMAXを00(16進)に、また最小値PBCTMINをFF(16進)にそれぞれ設定する。
【0058】
続くステップS58では、第2リッチフラグFAFR2が「1」か否かを判別し、FAFR2=0であるときは(図7、t2〜t4,t6〜t8)、補正係数CATKO2の直前値にスペシャルI項ILSPを加算する積分制御行い(ステップS59)、FAFR2=1であるときは(図7、t4〜t6,t8〜t10)、補正係数CATKO2の直前値からスペシャルI項ILSPを減算する積分制御を行い(ステップS60)、本処理を終了する。
【0059】
本処理の次回実行時にステップS48に至ると、図3のステップS16でFCATM=1とされているので、ステップS50に進み、第1リッチフラグFAFR1と第2リッチフラグFAFR2とが等しいか否かを判別する。そして、FAFR1=FAFR2であるときは(図7、t2〜t3,t4〜t5,t6〜t7,t8〜t9,t10〜t11)、前記ステップS58に進み、FAFR1≠FAFR2であるときは(図7、t1〜t2,t3〜t4,t5〜t6,t7〜t8,t9〜t10)、第1リッチフラグFAFR1が「1」であるか否かを判別する(ステップS51)。
【0060】
ステップS51でFAFR1=0であるときは(図7、t1〜t2,t5〜t6,t9〜t10)、ディレイタイマTDLYRの値が「0」か否かを判別し(ステップS52)、TDLYR>0であるときは前記ステップS58に進む。そして、TDLYR=0となると(図7、t2,t6,t10)、第2リッチフラグFAFR2を第1リッチフラグFAFR1と等しくし(ステップS54)、補正係数CATKO2の直前値にスペシャルP項PRSPを加算して(ステップS55)、本処理を終了する。
【0061】
ステップS51でFAFR1=1であるときは(図7、t3〜t4,t7〜t8)、ディレイタイマTDLYRの値が「0」か否かを判別し(ステップS56)、TDLYR>0であるときは前記ステップS58に進む。そして、TDLYR=0となると(図7、t4,t8)、第2リッチフラグFAFR2を第1リッチフラグFAFR1と等しくし(ステップS56)、補正係数CATKO2の直前値からスペシャルP項PRSPを減算して(ステップS57)、本処理を終了する。
【0062】
以上のように図5の処理によれば、下流側O2センサ出力SVO2の反転時点(t1,t3,t5,t7,t9)から所定時間(TRD又はTLD)遅延して比例制御が実行され(t2,t4,t6,t8,t10)、第2リッチフラグFAFR2=0の期間中はCATKO2値の増加方向の積分制御が実行され、FAFR2=1の期間中はCATKO2値の減少方向の積分制御が実行される。
【0063】
図6は、図3のステップS17におけるTL,TR算出処理のフローチャートである。なお、図7も併せて参照する。
【0064】
図6において先ずステップS71では、第1リッチフラグFAFR1(図7(b))が反転したか否かを判別し、反転したときは、遅れ時間計測期間であることを「1」で示す反転タイマフラグFTSTRG(図7(e))が「1」か否かを判別する(ステップS72)。そしてステップS71又はS72の答が否定(NO)のとき、すなわち第1リッチフラグFAFR1が反転していないとき又は反転タイマフラグFTSTRGが「0」であるときは、ステップS86に進み、ディレイタイマTDLYR(図7(c))の値が0か否かを判別し、TDLYR>0であるときは、遅れ時間計測用アップカウントタイマTSTRG(図7(f))を「0」のセットし(ステップS87)、下流側O2センサ出力SVO2の変化が所定以上であることを「1」で示す出力範囲フラグFSVO2CATを「0」に設定して(ステップS88)、ステップS92に進む。
【0065】
ステップS86で、TDLYR=0となるとステップS89に進み、下流側O2センサ出力SVO2が所定上側レベルSVO2CATH(例えば0.586V)より低いか否かを判別し、SVO2<SVO2CATHであるときは、さらにSVO2値が所定下側レベルSVO2CATL(例えば0.430V)より高いか否かを判別する(ステップS90)。その結果、SVO2CATL<SVO2<SVO2CATHであるときは直ちに、またSVO2≧SVO2CATH又はSVO2≦SVO2CATLであるときは、出力範囲フラグFSVO2CATを「1」に設定して(ステップS91)、ステップS92に進む。すなわち、出力範囲フラグFSVO2CATは、第1リッチフラグFAFR1(下流側O2センサ出力SVO2)の反転から所定時間(TLD又はTRD)経過後における、SVO2値が基準値SVREF近傍にあるとき「0」に維持され、下流側O2センサ出力SVO2の変化が小さいことを示す。
【0066】
ステップS92では、第2リッチフラグFAFR2(図7(d))が反転したか否かを判別し、反転していなければ直ちに、また反転したときは反転タイマフラグFTSTRGを「1」に設定して(ステップS93)、本処理を終了する。
【0067】
一方ステップS71、S72の答が共に肯定(YES)、すなわち第1リッチフラグFAFR1が反転し且つ反転タイマフラグFTSTRGが「1」であるときは、ステップS73に進み、反転タイマフラグFTSTRGを「0」に戻し、出力範囲フラグFSVO2CATが「1」か否かを判別する(ステップS74)。そして、FSVO2CAT=0であって下流側O2センサ出力SVO2の変化が小さいときは、ホールドフラグFSVO2HLDを「1」に設定し(ステップS75)、またFSVO2CAT=1であるときは、該フラグFSVO2CATを「0」に戻して(ステップS76)、ステップS77に進む。このホールドフラグFSVO2HLDは、前述したように図2のステップS6で参照される。
【0068】
ステップS77では、第1リッチフラグFAFR1が「1」か否かを判別し、FAFR1=0であって下流側O2センサ出力SVO2が基準値SVREFに対してリーン側にあるときは(図7、t1,t5,t9)、下記式によりリーン側積算値TLSUMを算出する(ステップS78)。ここで加算されるタイマTSTRGの値が、図7の遅れ時間TLに相当する。
【0069】
TLSUM=TLSUM+TSTRG
次いでリーン側カウンタNTLを「1」だけインクリメントし(ステップS79)、アップカウントタイマTSTRGの値を「0」に戻して(ステップS80)、前記ステップS92に進む。
【0070】
ステップS77でFAFR1=1であって下流側O2センサ出力SVO2が基準値SVREFに対してリッチ側にあるときは(図7、t3,t7,t11)、下記式によりリッチ側積算値TRSUM(図7(g))を算出する(ステップS81)。ここで加算されるタイマTSTRGの値が、図7の遅れ時間TRに相当する。
【0071】
TRSUM=TRSUM+TSTRG
次いでリッチ側カウンタNTR(図7(h))を「1」だけインクリメントし(ステップS82)、アップカウントタイマTSTRGの値を「0」に戻して(ステップS83)、リーン側カウンタNTLの値が「0」か否かを判別する(ステップS84)。そして、NTL>0であるときは直ちに、またNTL=0であって劣化モニタ開始直後であるときはリッチ側積算値TRSUM及びリッチ側カウンタNTRを「0」に戻して(ステップS85)、前記ステップS92に進む。
【0072】
ステップS84、S85は、遅れ時間の計測はTLの方から開始するために、最初にTRの計測を行ったときは、リッチ側積算値TRSUM及びカウンタNTRを「0」に戻すために設けたものである。
【0073】
以上のように図6の処理によれば、下流側O2センサ出力SVO2が反転する毎に遅れ時間TL又はTRが積算され、積算値TLSUM,TRSUMが算出される。なお、図7ではリーン側積算値TLSUM及びリーン側カウンタNTLの推移は図示していないが、時刻t1,t5,t9においてリッチ側積算値TRSUM及びリッチ側カウンタNTRと同様にインクリメントされる。
【0074】
図8は図3のステップS19における劣化判定処理Aのフローチャートであり、アップカウントタイマTSTRGの値が所定の正常判定基準値TSTRGOKより大きいか否かを判別し(ステップS101)、TSTRG≦TSTRGOKであるときは直ちに、またTSTRG>TSTRGOKであるときは、触媒16は正常と判定し、正常判定フラグFOK67を「1」に設定して(ステップS102)、本処理を終了する。
【0075】
この処理により、遅れ時間が非常に長いときは直ちに正常と判定され、判定に要する時間を短縮することができる。
【0076】
図9は図3のステップS21における劣化判定処理Bのフローチャートである。
【0077】
先ずステップS111では、下記式により判定時間TCHKを算出する。下記式から明らかなように、判定時間TCHKは、遅れ時間TL,TRの平均値である。
【0078】
【数1】
Figure 0003719535
次いで、判定時間TCHKが劣化判定閾値TCHKLMTより大きいか否かを判別する(ステップS112)。ここで、劣化判定閾値TCHKLMTは、前記単位時間当たりの燃料噴射量TFの平均値TFAVEに応じて、図10に示すTCHKLMTテーブルを検索して決定する。TCHKLMTテーブルは、平均値TFAVEが増加するほど劣化判定閾値TCHKLMTが減少するように設定されている。
【0079】
ステップS112の答が肯定(YES)のときは、正常判定フラグFOK67を「1」に設定し(ステップS113)、否定(NO)のときは「0」に設定して(ステップS114)、本処理を終了する。
【0080】
図11は、エバポ補正係数KEVAP算出処理のメインルーチンのフローチャートであり、本処理はTDC信号パルスの発生毎にこれと同期して実行される。
【0081】
先ずステップS121では、エンジン1の始動モードであるか否かを判別し、始動モードのときは、エバポ補正係数KEVAPの値を1.0とし(ステップS122)、エバポ補正係数の学習値KEVAPREFを1.0として(ステップS123)、本処理を終了する。
【0082】
始動モードでないときは、パージ可能であることを「1」で示すパージ許可フラグFFRが「1」か否かを判別し(ステップS124)、FFR=1であるときは、図示しない処理で算出されるパージ制御弁20のパージデューティ量DFR(この値が大きいほど、パージ量が増大する)が所定量DFREVより大きいか否かを判別し(ステップS125)、DFR>DFREVであるときは、更にエンジン回転数NEが所定回転数NHOPより低いか否かを判別する(ステップS126)。そして、ステップS124〜S126の何れかの答が否定(NO)のとき、すなわちパージが許可されていないとき、パージデュ−ティ量DFRが所定以下のとき又はエンジン回転数NEが所定以上のときは、ステップS132に進み、後述する図12の処理で使用するフラグFKO2EVH及びFKO2EVLをともに「0」とする。
【0083】
次いでパージオン移行タイマtmEVDECに所定時間(例えば0.5秒)をセットしてこれをスタートさせ(ステップS133)、パージオフ移行タイマtmEVADDの値が0か否かを判別する(ステップS134)。パージオフ(パージカット)へ移行した直後はtmEVADD>0であるので、ステップS136に進み、エバポ補正係数KEVAPを前回値保持として本処理を終了し、所定時間経過してtmEVADD=0となると、エバポ補正係数KEVAPの前回値KEVAP(n−1)に所定加算項DKEVADDを加算して、今回値KEVAP(n)を算出して(ステップS135)、本処理を終了する。
【0084】
ステップS135により、エバポ補正係数KEVAPはパージ実行中の小さな値から1.0に向かって徐々に増加する。
【0085】
前記ステップS126の答が肯定(YES)のときは、ステップS127に進み、エバポ補正係数KEVAPが所定値KEVADDより小さいか否かを判別する。その結果KEVAP<KEVADDであって、パージされる蒸発燃料量が多くパージの影響が大きいときは、ステップS129に進み、パージオフ移行タイマtmEVADDに所定時間(例えば1.0秒)をセットしてこれをスタートさせ、ステップS130に進む。また、KEVAP≧KEVADDであって、パージの影響が小さいときは、ステップS128に進みタイマtmEVADDを0としステップS130に進む。従って、パージの影響が小さいときは、前記ステップS136を経由することなく直ちにステップS135が実行されることになる。
【0086】
ステップS130では、後述する図12,13のKEVAP算出処理を実行し、更にエバポ補正係数KEVAPの学習値KEVAPREFを算出して(ステップS131)、本処理を終了する。なお、学習値KEVAPREFの算出は前記式(2)により行う。
【0087】
図12及び図13は、図11のステップS130におけるKEVAP算出処理のフローチャートである。
【0088】
まずステップS141では、排気ガス中の酸素濃度に応じて設定される空燃比補正係数KO2の、パージの影響を考慮した上側閾値KO2EVH及び下側閾値KO2EVLを次式により算出する。
【0089】
KO2EVH=KREF+DKO2EVH
KO2EVL=KREF−DKO2EVL
ここでKREFは、空燃比補正係数KO2の学習値、DKO2EVHは所定の加算項、DKO2EVLは所定の減算項である。学習値KREFは空燃比フィードバック制御中における空燃比補正係数KO2の値に基づいて算出されるものであり、運転状態に応じて種々の値を有している。ただし、エバポ補正係数KEVAPが所定値KEVAPLより小さいときは、パージの影響が大きいと判定し、学習値KREFの算出は禁止するようにしている。
【0090】
続くステップS142で空燃比補正係数KO2の値が学習値KREFより大きいか否かを判別し、KO2>KREFであるときはさらに空燃比補正係数KO2の値が上側閾値KO2EVHより小さいか否かを判別する(ステップS143)。その結果、空燃比補正係数KO2の値が上側閾値KO2EVH以上であるときは上側フラグFKO2EVHを「1」とするとともに下側フラグFKO2EVLを「0」に設定してステップS148に進む。また、空燃比補正係数KO2が上側閾値KO2EVHより小さいときは、上側フラグFKO2FH及び下側フラグFKO2FLを共に「0」に設定して(ステップS146)ステップS148に進む。
【0091】
またステップS142において空燃比補正係数KO2の値が学習値KREF以下のときは、ステップS144に進み、さらに下側閾値KO2EVLより大きいか否かを判別する。空燃比補正係数KO2が下側閾値KO2EVL以下のときは、上側フラグFKO2EVHを「0」とするとともに下側フラグFKO2EVLを「1」として(ステップS147)ステップS148に進み、空燃比補正係数KO2の値が下側閾値KO2EVLより大きければ前記ステップS146に進む。
【0092】
ステップS148では、下側フラグFKO2EVLが「1」か否かを判別し、FKO2EVL=0であるときは、上側フラグFKO2EVHが「1」か否かを判別する(ステップS149)。そして、下側フラグFKO2EVL及び上側フラグFKO2EVHがともに「0」のときは、ステップS163(図13)に進み、エバポ補正係数KEVAPを前回値保持として本処理を終了する。すなわち空燃比補正係数KO2の値が、上下の閾値内にあるときはエバポ補正係数KEVAP(n)の値は従前の値に固定される。
【0093】
また、FKO2EVL=0でFKO2EVH=1であるときは、ステップS162に進み、空燃比補正係数KO2の今回値KO2(n)が前回値KO2(n−1)より大きいか否かを判別し、KO2(n)>KO2(n−1)であって、空燃比補正係数KO2の値が増加し学習値KREFから離れる方向に変化しているときは、ステップS164(図13)に進み、前回値KEVAP(n−1)に加算項DKEVAPPを加算して今回値KEVAP(n)とする。一方、KO2(n)≦KO2(n−1)であって空燃比補正係数KO2が減少しているときは、前記ステップS163に進みエバポ補正係数KEVAPを前回値保持とする。
【0094】
また、ステップS148でFKO2EVL=1であるときは、スロットル弁開度θTHの変化量DTH(=θTH(n)−θTH(n−1))が負の所定値DTHKEVより大きいか否かを判別し(ステップS150)、DTH>DTHKEVであってエンジンの加速中又は減速中であって減速度が小さいときは、空燃比補正係数KO2の今回値KO2(n)が前回値KO2(n−1)より小さいか否かを判別する(ステップS151)。その結果、DTH≦DTHKEVであって減速度が大きいとき又はKO2(n)≧KO2(n−1)であって空燃比補正係数KO2が増加しているときは、前記ステップS163に進んで前回値保持とする。
【0095】
一方、ステップS151の答が肯定(YES)、すなわちKO2(n)<KO2(n−1)であって空燃比補正係数KO2が減少しているときは、初期パージ状態であることを「1」で示す初期フラグFFRADDが「1」か否かを判別し(ステップS152)、パージ開始当初はFFRADD=1であるので、ステップS153に進んで初期パージ状態終了後の時間を計測する(後述するステップS154で参照される)遅延タイマtmDRKDECに所定時間をセットしてスタートさせ、図11のステップS133でスタートしたパージオン移行タイマtmEVDECの値が「0」か否かを判別する(ステップS155)。
【0096】
最初はtmEVDEC>0であるので、ステップS156に進み、エバポ補正係数KEVAPを前回値保持とし、tmEVDEC=0となると、ステップS157で前回値KEVAP(n−1)から第1減算項DKEVDECを減算することにより今回値KEVAP(n)を算出して、ステップS158に進む。
【0097】
ステップS158では、学習値KEVAPREFから所定値DKEVLMRFを減算して下限基準値KEVLMREFを算出し、ついでエバポ補正係数KEVAPの今回値KEVAP(n)がこの下限基準値KEVLMREFより大きいか否かを判別し(ステップS159)、KEVAP(n)≦KEVLMREFであるときは、今回値KEVAP(n)を該下限基準値KEVLMREFに設定して(ステップS160)本処理を終了する一方、KEVAP(n)>KEVLMREFであるときは、直ちに本処理を終了する。
【0098】
その後初期フラグFFRADDが「0」となると、ステップS152からS154に進み、遅延タイマtmDRKDECの値が「0」か否かを判別する。最初はtmDRKDEC>0であるので、前記ステップS155に進み、tmDRKDEC=0となると、前回値KEVAP(n−1)から第2減算項DKEVAPMを減算して今回値KEVAP(n)を算出して(ステップS161)、本処理を終了する。
【0099】
以上のように図12,13の処理によれば、空燃比補正係数KO2に応じて該補正係数KO2による補正を補うようにエバポ補正係数KEVAPの設定が行われる。
【0100】
なお、上述した実施例では、触媒劣化判定パラメータとし遅れ時間TL,TRを用いたが、これに代えて下流側O2センサ出力SVO2の基準値SVREFに対する反転時間(図6、(TLD+TR),(TRD+TL)を用いてもよい。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、触媒手段の下流側において検出された排気ガス中の酸素濃度に基づいて空燃比補正係数が求められ、該空燃比補正係数の増減に基づいて前記蒸発燃料の濃度が算出され、該蒸発燃料の濃度が濃いときは、触媒手段の劣化検出が禁止されるので、空燃比補正係数による補正を補うように蒸発燃料の濃度が算出され、吸気系にパージされる蒸発燃料の影響によって混合気の空燃比がリッチ側に偏ることに起因する、酸素濃度センサ出力に基づいた触媒劣化判定パラメータによる触媒劣化の誤検知を防止し、正確な劣化判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。
【図2】触媒の劣化判定処理の全体構成を示すフローチャートである。
【図3】触媒の劣化判定処理の全体構成を示すフローチャートである。
【図4】劣化モニタ許可フラグ(FCATCHK)の設定を行う処理のフローチャートである。
【図5】劣化判定実行中の空燃比補正係数(CATKO2)を算出する処理のフローチャートである。
【図6】劣化判定実行中に反転時間を算出する処理のフローチャートである。
【図7】図5及び6の処理内容を説明するための図である。
【図8】図3の劣化判定処理Bのフローチャートである。
【図9】図3の劣化判定処理Aのフローチャートである。
【図10】図9の処理で使用するテーブルを示す図である。
【図11】エバポ補正係数(KEVAP)算出処理のメインルーチンのフローチャートである。
【図12】エバポ補正係数(KEVAP)算出処理のフローチャートである。
【図13】エバポ補正係数(KEVAP)算出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
5 電子コントロールユニット
7 吸気管内絶対圧センサ
15 下流側O2センサ
16 三元触媒
20 パージ制御弁

Claims (3)

  1. 燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸気系に放出するパージ手段を備えた内燃機関の排気系に設けられ、排気ガスの浄化を行う触媒手段と、該触媒手段の下流側に設けられ、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段の出力に応じて空燃比制御量を演算する空燃比制御量演算手段と、該空燃比制御量に基づいて前記機関に供給する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、該空燃比制御手段による空燃比の制御時の前記酸素濃度検出手段の出力に基づいた触媒劣化判定パラメータにより前記触媒手段の劣化を検出する触媒劣化検出手段と、該検出した酸素濃度に基づいて空燃比補正係数を求める空燃比補正係数算出手段と、該空燃比補正係数の増減に基づいて前記蒸発燃料の濃度を算出する蒸発燃料濃度算出手段とを備えた内燃機関の触媒劣化検出装置であって
    前記パージ手段によって吸気系に放出する蒸発燃料の濃度が濃いときは、前記触媒手段の劣化検出を禁止する劣化検出禁止手段を有することを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置。
  2. 前記蒸発燃料濃度算出手段は、前記空燃比補正係数が増加しているときは、前記蒸発燃料の濃度を減少させ、前記空燃比補正係数が減少しているときは、前記蒸発燃料の濃度を増加させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  3. 前記蒸発燃料濃度算出手段は、前記空燃比補正係数が所定範囲内にあるか、若しくは、該所定範囲に向けて変化しているときは、前記蒸発燃料の濃度を変化させないことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
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