JP3718518B2 - 光屈折率変調重合体、光屈折率変調重合体組成物および屈折率制御方法 - Google Patents
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Description
これらの技術では、低分子をドープするか、または低分子をポリマー分子中に導入した材料を用いており、場合によりその低分子による光吸収が大きくなり、デバイスの十分な透明性が得られないことがあった。
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体のホモ重合体、(b)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上の共重合体、または(c)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上との共重合体のいずれかの重合体であって、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存しており、放射線を照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上であることを特徴とする光屈折率変調重合体に係るものである。
さらに、本発明は、(a)つぎの式(1);
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体のホモ重合体、(b)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上の共重合体、または(c)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上との共重合体のいずれかの重合体であって、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存している重合体と、光開始剤、増感剤、連鎖移動剤の中から選ばれる少なくとも1種を含み、放射線を照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)であることを特徴とする光屈折率変調重合体組成物に係るものである。
とくに、本発明は、放射線が紫外線であり、また紫外線の照射光量が10J/cm2 以下である上記構成の屈折率制御方法を提供できるものである。
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体の1種、(b)′式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上、または(c)′式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上のいずれかである単量体を、重合開始剤として、希土類金属を活性中心とする金属錯体触媒を使用して、アニオン重合させることを特徴とする光屈折率変調重合体の製造方法に係るものである。
(Cp1)(Cp2)Mr−(R)p・(L)q …(2)
(式中、Cp1,Cp2は、相互に独立して、非置換のシクロペンタジエニルまたは置 換されたシクロペンタジエニルであり、Cp1とCp2とは直接または連結基を介し て結合していてもよい。Mrはr価の希土類金属原子でrは2〜4の整数である。R は水素原子または炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。Lは配位能を有する溶媒で ある。pはRの数、qはLの数で、それぞれ0〜2の整数であり、上記rに対してr =p+2となるように選択される。)
で表される金属錯体化合物である上記構成の光屈折率変調重合体の製造方法を提供できるものである。
また、上記重合体の共重合成分として各種の単量体をランダムないしブロック共重合させることにより、より高効率で屈折率変化を引き起こすことができる。
さらに、この本発明では、成形体に他の低分子をドープすることがないので、光デバイスを作製した場合にその透明性にすぐれている。また、本発明により得られる屈折率差は0.005以上であり、光デバイスにとって十分に大きい値である。
紫外線の波長は、側鎖ビニル基の架橋反応にて重合体を構造変化させ、その密度変化を大きくできる波長であれば、とくに限定されることなく、設定可能である。具体的には、照射強度などとの関係で一概には決められないが、好ましくは200〜450nm、とくに250〜350nmである。
紫外線の光源としては、照射する波長を考慮して適宜選択される。具体例として、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザーなどを挙げることができる。また、照射するに当たり、特定の波長を照射するために、波長フィルタを用いることができる。
具体的には、照射する波長によっても異なるが、0.001〜3W/cm2 程度とするのが適当であり、好ましくは0.1〜1W/cm2 である。
また、紫外線を照射する際には、成形体の温度を高くして行うことができる。これにより分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存する重合体の反応性が高まり、屈折率をより効率的に変化させることができる。具体的な温度は、成形体の溶融温度を超えない範囲で適宜設定することができるが、たとえば、PVMAからなる成形体の場合、約40〜70℃が適当である。
さらに、このような紫外線照射による屈折率の増加においては、その使用実施形態の汎用性を考慮し、不活性ガス存在下で行う必要性はとくにないが、望ましくは窒素やアルゴンなどの不活性ガスの存在下で行うのがよく、この場合フィルムと空気界面での表面酸化が抑制されるため、より低照度で大きな屈折率変化が得やすい。
なお、本発明の方法により、最大0.01以上の屈折率の増加を得ることができるが、実際には0.005以上の屈折率差を得ることができれば、光フアイバ、光回折格子などの光デバイスにとって、十分に高い値である。
本発明の光屈折率変調材料は、前記の式(1)にみられるようにアクリル系材料からなるため、光導波路材料として汎用されている材料と比較して、複屈折が小さいことから、PDLが小さく有利である。
また、ファイバ状の成形体に干渉縞とした紫外線を照射してファイバの長さ方向に屈折率を周期的に変化させて、光回折格子を作製できる。さらに、紫外線をレンズなどで集光し、その焦点近傍のみが分極率を大きくする反応が誘起可能である条件となるように設定して、成形体の深さ方向での特定位置の屈折率を増加させることもできる。この方法は、3次元光メモリの作製や光ファイバのコア部の形成に利用できる。
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の飽和または不飽和炭 化水素基であって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体を必須成分とした単量体の重合体であって、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存してなるものである。
これには、(a)上記の式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体のホモ重合体、(b)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上の共重合体、または(c)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上との共重合体が含まれる。また、上記の両共重合体は、ブロック重合体であってもランダム重合体であってもよい。
つまり、成形体のフィルム物性、透明性、製造コストなどの点より、成形体を構成するポリマー材料の種類が最適化され、また共重合化により側鎖ビニル基の初期反応性が向上するため、より低放射線照度で屈折率変化を可能とできる組み合わせが存在する。
ここで、希土類金属とは、Sc、Y、ランタノイドまたはアクチノイドなどの13族金属を指し、活性中心とは、単量体に配位または結合して直接重合反応を開始する部位をいう。このような金属錯体触媒は、いわゆるメタロセン触媒と呼ばれており、これには、シクロペンタジエニルと金属イオンとの錯体、インデニルと金属イオンとの錯体、フルオレニルと金属イオンとの錯体などが挙げられる。これらの中でも、シクロペンタジエニルと金属イオンとの錯体がとくに好ましい。
(Cp1)(Cp2)Mr−(R)p・(L)q …(2)
(式中、Cp1,Cp2は、相互に独立して、非置換のシクロペンタジエニルまたは置 換されたシクロペンタジエニルであり、Cp1とCp2とは直接または連結基を介し て結合していてもよい。Mrはr価の希土類金属原子でrは2〜4の整数である。R は水素原子または炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。Lは配位能を有する溶媒で ある。pはRの数、qはLの数で、それぞれ0〜2の整数であり、上記rに対してr =p+2となるように選択される。)
で表される金属錯体化合物が好ましく用いられる。
Cp1またはCp2には、C5 H5 、C5 (CH3 )5 、C5 H2 (CH3 )3 、C5 (CH2 CH3 )5 、C5 H2 (CH2 CH3 )3 、C5 H2 〔CH(CH3 )2 〕3 、C5 H2 〔Si(C H3 )3 〕3 C5 H2 〔CH(CH3 )2 〕3 などがある。
連結基としては、−(CH2 )n〔Si(CH3 )2 〕m−〔n、mはそれぞれ0〜3の整数であり、(m+n)は1〜3である〕が好ましく、とくにジメチルシリル基(nが0でmが1)、ジメチレン(nが2でmが0)であるのが好ましい。また、連結基は、エーテル性の酸素原子などのヘテロ原子を含む基であってもよい。
Rは、水素原子または炭素数1〜3の直鎖アルキル基であり、メチル基が好ましい。Lは配位能を有する溶媒であり、ヘテロ原子を含む溶媒が好ましく、エーテル系溶媒が好ましい。エーテル系溶媒は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテル系溶媒、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどが好ましい。
(Cp※)2 SmIII −(CH3 )・(THF) …(3)
(Cp※)2 YbIII −(CH3 )・(THF) …(4)
(Cp※)2 Y III −(CH3 )・(THF) …(5)
(式中、Cp※は1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニルであり、T HFはテトラヒドロフランである。)
のうちのいずれかで表される金属錯体化合物がとくに好ましい。
重合時の重合性単量体の量は、溶媒中5〜30重量%とするのがよい。5重量%未満では分子量を十分に大きくできないおそれがあり、30重量%を超えると重合中に系の粘性が上がり、重合転化率が低下するおそれがある。
ここで、未反応のラジカル重合性の側鎖ビニルの残存率は、たとえば1H−NMRにより求めることができる。たとえば、ポリビニルメタクリレート(PVMA)の場合、ビニル基由来のプロトンに帰属されるピーク(4.9ppm付近)と、α位のメチル基由来のプロトンに帰属されるピーク(1.3〜0.6ppm)との面積比より、算出することができる。
すなわち、希土類金属を活性中心とする金属メタロセン錯体触媒の存在下に重合して得られる光屈折率変調重合体、つまり分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基を有する重合体は、シンジオタクティシティー(rr)が70%以上となりうる。
鎖状重合体分子の主鎖を形成する繰り返し単位の炭素原子に2種の異なる原子または原子団(置換基)が結合していると、この炭素原子を中心にして立体異性が生じる。このとき、任意の繰り返し単位において、主鎖に沿って隣の単位が常に反対の立体配置を採るものをシンジオタクティック、主鎖に沿って隣の単位が常に同じ立体配置を採るものをアイソタクティック、主鎖に沿って隣の単位の立体配置が任意であるものをアタクティック、とそれぞれいう。また、ポリマー鎖中の全立体配置のシンジオタクティック部分の割合をシンジオタクティシティー、アイソタクティック部分の割合をアイソタクティシティー、アタクティック部分の割合をアタクティシティー、とそれぞれいう。
本発明におけるシンジオタクティシティーの値は、重合体を構成する単量体由来の重合単位の全量のうち、シンジオタクティックなトリアドの重合単位の割合をモル%で表した値である。この明細書において、トリアドとは、重合体の繰り返し単位の3つからなる連鎖をいう。3つの繰り返し単位のカルボニル基のα−炭素(不斉炭素)の立体配置の一方をd、他方をlと表現した場合、dddまたはlllで連なる連鎖をアイソタクティックなトリアド、dldまたはldlで連なる連鎖をシンジオタクティックなトリアド、ddl、lld、dll、lddで連なる連鎖をヘテロタクティックなトリアドという。
なお、NMRにおける測定核の選択は、重合体のスペクトルパターンに応じて適宜変更することができる。基本的には、1H−NMRスペクトルによるのが好ましく、1H−NMRデータにおける必要なピークが、他の不要なピークと重なる場合または1H−NMRでは測定できない場合には、13C−NMRスペクトルによるのが好ましい。
なお、NMRスペクトルの帰属の参考として、新版高分子分析ハンドブック、日本分析化学会編(1995)、Mackromol.Chem.,Rapid.Commun.,14,719(1993)を使用した。
すなわち、カルボニル基のα−炭素の13C−NMRシグナルが、シンジオタクティックなトリアド中の炭素原子、アイソタクティックなトリアド中の炭素原子、アタクティックなトリアド中の炭素原子で異なることを利用して、これらのピークの面積比を求めることにより、(rr/mr/mm)が求められる。
光増感剤(光開始助剤)としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミン系化合物や、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどのアミノ化合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない〔参考文献:紫外線硬化システム(総合技術センター)平成2年〕。
このような連鎖移動剤としては、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、N−フェニルグリシン、1,1−ジメチル−3,5−ジケトシクロヘキセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、4−アセトアミドチオフエノール、メルカプトコハク酸、ドデカンチオール、β−メルカプトエタノール、2−メルカプトエタンスルホン酸、1−フエニル−4H−テトラゾール−5−チオール、6−メルカプトプリンモノハイドレート、ビス−(5−メルカプト−1,3,4−チオジアゾール−2−イル、2−メルカプト−5−ニトロベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−スルホ−6−クロロベンズオキサゾールなどからなる群より選ばれるものが挙げられる。ポリマーとの相溶性、反応促進性や汎用性の観点から、特に好ましい化合物は、2−メルカプトベンズオキサゾール(2−MBO)、2−メルカプトベンズイミダゾール(2−MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾール(2−MBT)およびトリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネートなどである。
また、既述のとおり、本発明においては、紫外線以外の放射線として、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などを使用できるものである。
このような組成物においても、放射線照射後に0.005以上(好ましくは0.01以上)の屈折率増加(Δn)を得るため、放射線の照射量は、たとえば紫外線の場合、10J/cm2 以下、好ましくは5J/cm2 以下であるのがよい。
また、重合体としてPVMAを使用し、紫外線照射を窒素ガス雰囲気下で行った例(実施例5〜7)についても記載する。さらに比較のため、ポリメチルメタクリレートに対し紫外線照射を行ったときの例(比較例1)も、併せて記載する。
配位アニオン重合触媒を、以下のように合成した。
アルゴン置換した1リットルのフラスコに、SmI2 3.9616gと、テトラヒドロフラン330mlを加え、撹拌しながら、ペンタメチルシクロペンタジエニルカリウム塩〔(C5 Me5 )K〕45.858gを加え、室温で反応させ、その後、THFを減圧除去し、固形物にトルエンを加えて、上澄みを回収し、減圧乾燥させたのち、THFとヘキサンで〔(C5 Me5 )2 Sm(THF)2 〕の再結晶を行った。この〔(C5 Me5 )2 Sm(THF)2 〕2.5gを、トルエン60mlに溶解し、トリエチルアルミニウム2.2mlを加え、撹拌して反応を行った。沈殿物を除去したのち、再結晶を行ない、(C5 Me5 )2 SmMe(THF)を得た。
十分に水分、空気を除いたシュレンク管に、十分に乾燥、脱気したトルエンを80ml加え、CaH2 で乾燥後、蒸留精製したビニルメタクリレート20ml(18.7g/166.4ミリモル)を加えた。内温を−78℃に調整したのち、前記の方法で合成した触媒である(C5 Me5 )2 SmMe(THF)0.189g(0.373ミリモル)を乾燥トルエン5mlで希釈したものを仕込み、重合を開始した。触媒量は、単量体/触媒比が446となるようにし、理論分子量を約50,000に設定した。重合温度−78℃で3時間反応させたのち、反応系にメタノールを加えて重合反応を停止した。さらに、メタノールを加えて生成した重合体(ポリビニルメタクリレート)を沈降させて単離し、酢酸エチルに溶解したのち、再度メタノールで再沈殿させて、精製した。
重合体の乾燥は、減圧乾燥により行った。生成した重合体の収量は18.7g(収率>99重量%)であった。また、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)により求めた数平均分子量(Mn)は77,000、重量平均分子量(Mw)は115,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.49であった。さらに、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率〔ビニル基の残存率(%)=ビニル基(4.9ppm)/メチル基(1.3〜0.6ppm)×100〕は100%であり、主鎖の立体規則性は、シンジオタクティシティー(rr)が92%であった。
上記重合体(ポリビニルメタクリレート)の1H−NMRチャートを、図1に示した。また、この1H−NMRチャートにおけるタクティシティーの算出に用いた主鎖メチル基の拡大図を、図2に示した。上記タクティシティーの算出には、1.2〜0.9ppmに検出されるポリビニルメタクリレートの主鎖のメチル基〔1.19ppm付近(mm)、1.07ppm(mr)、0.92ppm(rr)〕の積分曲線を用いた。
つぎに、このようにして得たポリビニルメタクリレート(PVMA)約0.1gを酢酸エチル50mlに浸漬し、2日間振騰した。酢酸エチル不溶成分を抽出し十分に乾燥させ、その重さを酢酸エチル溶解前の全重合体量で割り、不溶成分の割合(ゲル分率)を求めたところ、0重量%であった。
上記のPVMA0.1gを酢酸エチル0.4mlに入れ、撹拌して完全に溶解させた。つぎに、クリーンルーム内において、このPVMA/酢酸エチル溶液をスピンコーター(MIKASA製の商品名「スピンコーター1H−DX」)にてシリコンウエハにスピンコートした。スピンコートの条件は2,000rpm、2秒とし、その後、80℃に設定したホットプレート上で、約4分間溶媒を乾燥させた。さらに、スピンコートしたものを50℃で5時間真空乾燥し、シリコンウエハ基板上に厚さが約7μmのPVMAフィルムを得た。なお、上記のシリコンウエハ基板は、とくに洗浄処理をせずに使用した。
つぎに、このシリコンウエハ基板上のPVMAフィルムに対して紫外線を照射した。照射に当たっては、UV照射装置CV−110Q−G〔装置型式名;フユージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製〕を用い、光源にはメタルハライドランプを使用した。なお、メタルハライドランプは波長が250〜450nmの光を発しているが、あらかじめPVMAの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、280〜300nmで側鎖ビニル基の吸収を示したため、他の波長の照射の影響はないと判断し、波長フィルターはとくに使用しなかった。
また、照射強度は、高エネルギー用UVラジオメーター、UVパワーパック照射測定器〔商品名;フユージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製〕により測定した。紫外線照射は、Dバルブ、出力55%、照射距離25mm、ライン速度2m/分の条件でフィルターを使用せずに行った。この条件での積算光量は4.242J/cm2 であった。各波長での照度と光量を表1に示す。
┌──────────┬─────────┬─────────┐
│ UV波長帯域 │ 照度(W/cm2 )│ 光量(J/cm2 )│
├──────────┼─────────┼─────────┤
│UVA (320〜390nm)│ 1.373 │ 1.971 │
│ │ │ │
│UVB (280〜320nm)│ 0.725 │ 0.962 │
│ │ │ │
│UVC (250〜260nm)│ 0.071 │ 0.100 │
│ │ │ │
│UVV (395〜445nm)│ 0.861 │ 1.209 │
├──────────┼─────────┼─────────┤
│ 積算量 │ − │ 4.242 │
└──────────┴─────────┴─────────┘
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49510 │ − │ 1.49486 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.50399 │ 0.00899 │ 1.50505 │ 0.01019 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.50599 │ 0.01089 │ 1.50609 │ 0.01123 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
つぎに、上記通算8.4J/cm2 の積算光量の照射時におけるフィルムの透明性およびヘイズ値を、反射・透過率計HR−100型〔装置型式名;村上色彩技術研究所(株)製〕を用いて、評価した。その結果、紫外線照射後の全光線透過率は92%であり、ヘイズ値は3%であった。
実施例1で合成した触媒を用いて、ビニルメタクリレート(VMA)とメチルメタクリレート(MMA)とのランダム共重合体を合成した。
十分に水分、空気を除いたシュレンク管に、十分に乾燥、脱気したトルエンを50ml加え、CaH2 で乾燥後、蒸留精製したVMA7.5ml(7.0g/62.4ミリモル)、MMA7.5ml(7.0g/70.1ミリモル)を加えた。内温を−78℃に調整したのち、触媒として(C5 Me5 )2 SmMe(THF)0.198g(0.390ミリモル)を乾燥トルエン5mlで希釈したものを仕込み、重合を開始した。触媒量は、単量体/触媒比が160(VMA)と180(MMA)となるようにし、理論分子量を約36,000に設定した。重合温度−78℃で3時間反応させたのち、反応系にメタノールを加えて重合反応を停止した。さらにメタノールを加えて生成した重合体を沈降させて単離し、酢酸エチルに溶解したのち、再度メタノールで再沈殿させて精製した。得られた重合体(VMA−MMAランダム共重合体)を減圧乾燥した。
この重合体はVMAとMMAとの共重合比率(モル%)が47:53であった。重合体の収量は8.0g(収率57.1重量%)であった。GPCによる数平均分子量(Mn)は35,900、重量平均分子量(Mw)は43,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.44であった。また、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率〔ビニル基の残存率(%)=ビニル基(4.9ppm)/メチル基(1.3〜0.6ppm)×100〕は100%であり、主鎖の立体規則性は、MMAと併せて、シンジオタクティシティー(rr)が90%であった。
つぎに、このようにして得られた重合体(VMA−MMAランダム共重合体)約0.1gを酢酸エチル50mlに浸漬し、2日間振騰させた。酢酸エチル不溶成分を抽出し十分に乾燥させ、その重さを酢酸エチル溶解前の全重合体量で割り、不溶成分の割合(ゲル分率)を求めた結果、0重量%であった。
上記のVMA−MMAランダム共重合体に、光開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1(チバガイギー社製の「イルガキュアー907」)を、上記ランダム共重合体に対して1重量%配合し、実施例1と同様にして、シリコンウエハ基板上にフィルムを作製し、紫外線照射による屈折率変化を、m−Line法(プリズムカップリング法)により測定した。この結果は、表3に示されるとおりであった。
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49427 │ − │ 1.49440 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.50502 │ 0.01075 │ 1.50525 │ 0.01085 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.50403 │ 0.00976 │ 1.50415 │ 0.00975 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
単量体組成を、VMA10ml(83.2ミリモル)およびN′,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)2.8ml(16.64ミリモル)に変更し、触媒である(C5 Me5 )2 SmMe(THF)の量を0.095g(0.187ミリモル)に、トルエンの量を51mlに、それぞれ変更した以外は、実施例2と同様にして、VMA−DMMAランダム共重合体を得た。
この重合体はVMAとDMMAとの共重合比率(モル%)が83:17であった。重合体の収量は5.45g(収率45.6重量%)であった。また、GPCによる数平均分子量(Mn)は65,000、重量平均分子量(Mw)は91,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.41であった。また、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率は100%であり、主鎖の立体規則性は、シンジオタクティシティー(rr)が92%であった。さらに、この重合体の不溶成分の割合(ゲル分率)を前記と同様に測定したところ、0重量%であった。
つぎに、このVMA−DMMAランダム共重合体を用いて、実施例2と同様にして、光照射サンプルとしてのフィルムを作製した。このフィルムについて、紫外線照射による屈折率変化を、m−Line法(プリズムカップリング法)により、測定した。この測定結果は、表4に示されるとおりであった。
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49536 │ − │ 1.49542 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.50440 │ 0.00904 │ 1.50466 │ 0.00924 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.50573 │ 0.01037 │ 1.50583 │ 0.01041 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
単量体組成を、VMA5ml(41.6ミリモル)およびパーフルオロオクチルエチルメタクリレート(共栄社化学製の商品名「ライトエステルFM−108」)(以下、PFMAという)5ml(15.59ミリモル)に変更し、触媒である(C5 Me5 )2 SmMe(THF)の量を0.095g(0.187ミリモル)に、トルエンの量を40mlに、それぞれ変更した以外は、実施例2と同様にして、VMA−PFMAランダム共重合体を得た。
この重合体はVMAとPFMAとの共重合比率(モル%)が73:27であった。重合体の収量は2.81g(収率21.7重量%)であった。また、GPCによる数平均分子量(Mn)は41,900、重量平均分子量(Mw)は56,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.34であった。また、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率は100%であり、主鎖の立体規則性は、シンジオタクティシティー(rr)が90%であった。さらに、この重合体の不溶成分の割合(ゲル分率)を前記と同様に測定したところ、0重量%であった。
つぎに、このVMA−PFMAランダム共重合体を用いて、実施例2と同様にして、光照射サンプルとしてのフィルムを作製した。このフィルムについて、紫外線照射による屈折率変化を、m−Line法(プリズムカップリング法)により、測定した。この測定結果は、表5に示されるとおりであった。
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.47425 │ − │ 1.47492 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.48630 │ 0.01205 │ 1.48656 │ 0.01164 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.48304 │ 0.00879 │ 1.48334 │ 0.00842 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49325 │ − │ 1.49291 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 0.050│ 1.49986 │ 0.00661 │ 1.50015 │ 0.00724 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.100│ 1.49906 │ 0.00581 │ 1.49879 │ 0.00588 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.200│ 1.49925 │ 0.00600 │ 1.49694 │ 0.00403 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.500│ 1.50288 │ 0.00963 │ 1.50347 │ 0.01056 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.750│ 1.50242 │ 0.00917 │ 1.50375 │ 0.01084 │
│ │ │ │ │ │
│ 1.000│ 1.50319 │ 0.00994 │ 1.50372 │ 0.01081 │
│ │ │ │ │ │
│ 2.000│ 1.50294 │ 0.00969 │ 1.50381 │ 0.01090 │
│ │ │ │ │ │
│ 4.000│ 1.50271 │ 0.00946 │ 1.50315 │ 0.01024 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49355 │ − │ 1.49374 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 0.050│ 1.49701 │ 0.00346 │ 1.49762 │ 0.00388 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.100│ 1.50019 │ 0.00664 │ 1.50106 │ 0.00732 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.200│ 1.50695 │ 0.01340 │ 1.50759 │ 0.01385 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.500│ 1.50654 │ 0.01299 │ 1.50631 │ 0.01257 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.750│ 1.50625 │ 0.01270 │ 1.50621 │ 0.01247 │
│ │ │ │ │ │
│ 1.000│ 1.50550 │ 0.01195 │ 1.50501 │ 0.01127 │
│ │ │ │ │ │
│ 2.000│ 1.50547 │ 0.01192 │ 1.50578 │ 0.01204 │
│ │ │ │ │ │
│ 4.000│ 1.50633 │ 0.01278 │ 1.50646 │ 0.01272 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49245 │ − │ 1.49261 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 0.050│ 1.49977 │ 0.00732 │ 1.49981 │ 0.00720 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.100│ 1.50413 │ 0.01168 │ 1.50421 │ 0.01160 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.200│ 1.50787 │ 0.01542 │ 1.50769 │ 0.01508 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.500│ 1.50845 │ 0.01600 │ 1.50882 │ 0.01621 │
│ │ │ │ │ │
│ 0.750│ 1.50842 │ 0.01597 │ 1.50862 │ 0.01601 │
│ │ │ │ │ │
│ 1.000│ 1.50728 │ 0.01483 │ 1.50745 │ 0.01484 │
│ │ │ │ │ │
│ 2.000│ 1.50807 │ 0.01562 │ 1.50832 │ 0.01571 │
│ │ │ │ │ │
│ 4.000│ 1.50823 │ 0.01578 │ 1.50833 │ 0.01572 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
実施例1で合成した触媒を用い、VMAとMMAとのブロック共重合体を合成した。
十分に水分、空気を除いたシュレンク管に、十分に乾燥、脱気したトルエンを50ml加えて、CaH2 で乾燥後、蒸留精製したMMA(メチルメタクリレート)7.5ml(7.0g/70.1ミリモル)を加えた。内温を−78℃に調整したのち、触媒として(C5 Me5 )2 SmMe(THF)0.198g(0.390ミリモル)の乾燥トルエン5mlで希釈したものを仕込み、重合を開始した。触媒量は、モノマー/触媒比が160(VMA)と180(MMA)となるようにし、理論分子量を約36,000に設定した。重合温度−78℃で3時間反応させたのち、CaH2 で乾燥後、蒸留精製したVMA(ビニルメタクリレート)7.5ml(7.0g/62.4ミリモル)を加えて、さらに、−78℃で5時間重合し、反応系にメタノールを加えて重合反応を停止した。その後、メタノールを加えて生成した重合体を沈降させて単離し、酢酸エチルに溶解したのち、再度メタノールで再沈殿させて、精製した。
得られた重合体(VMA−MMAブロック共重合体)を減圧乾燥した。このブロック共重合体はVMAとMMAとの共重合比率(モル%)が47:53であった。重合体の収量は13.4g(収率95.6重量%)であった。また、GPCにより求めた数平均分子量(Mn)は35,900、重量平均分子量(Mw)は43,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.44であった。また、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率は100%であり、主鎖の立体規則性は、MMAと併せてシンジオタクティシティー(rr)が90%であった。さらに、この重合体の不溶成分の割合(ゲル分率)を前記と同様に測定したところ、0重量%であった。
つぎに、このVMA−MMAブロック共重合体に、光開始剤としてチバガイギー社製の「イルガキュアー907」を、共重合体に対して1重量%配合し、実施例1と同様にしてシリコンウエハ基板上にフィルムを作成した。このフィルムについて、紫外線照射による屈折率変化を、m−line法(プリズムカップリング法)により、測定した。その結果は、表9に示されるとおりであった。
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.49406 │ − │ 1.49422 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.49813 │ 0.00407 │ 1.49833 │ 0.00411 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.50054 │ 0.00648 │ 1.50078 │ 0.00656 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
MMAに代え、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート(前出のPFMA、実施例4に記載のものと同じ)を使用し、単量体組成を、VMA5ml(41.6ミリモル)とパーフルオロオクチルエチルメタクリレート(PFMA)5ml(15.59ミリモル)に変更し、シュレンク管に加えるトルエンの量を90mlに、触媒である(C5 Me5 )SmMe(THF)の量を0.095g(0.187ミリモル)に、それぞれ、変更した以外は、実施例8と同様にして、VMA−PFMAブロック共重合体を得た。
このブロック共重合体はVMAとPFMAとの共重合比率(モル%)が73:27であった。重合体の収量は3.20g(収率24.7重量%)であった。また、GPCによる数平均分子量(Mn)は36,900、重量平均分子量(Mw)は28,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.30であった。また、1H−NMRにより求めた重合体中のラジカル重合性の側鎖ビニル基の残存率は100%であり、主鎖の立体規則性は、シンジオタクティシティー(rr)が91%であった。さらに、この重合体の不溶成分の割合(ゲル分率)を前記と同様に測定したところ、0重量%であった。
つぎに、このVMA−PFMAブロック共重合体を用いて、実施例8と同様にして、光照射サンプルとしてのフィルムを作製した。このフィルムについて、紫外線照射による屈折率変化を、m−Line法(プリズムカップリング法)により、測定した。この測定結果は、表10に示されるとおりであった。
┌──────┬─────┬──────┬─────┬──────┐
│積算光量 │TEモード│ Δn │TMモード│ Δn │
│(J/cm2 )│ │(屈折率差)│ │(屈折率差)│
├──────┼─────┼──────┼─────┼──────┤
│ 0 │ 1.46621 │ − │ 1.46615 │ − │
│ │ │ │ │ │
│ 4.2 │ 1.46913 │ 0.00292 │ 1.46903 │ 0.00288 │
│ │ │ │ │ │
│ 8.4 │ 1.47333 │ 0.00712 │ 1.47199 │ 0.00584 │
└──────┴─────┴──────┴─────┴──────┘
実施例1と同様に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(和光薬工業社製のLot TCR2105)フィルムに対し、紫外線を照射した。その結果、105J/cm2 の積算光量によっても、PMMAフィルムの屈折率はほとんど変化しなかった。また、紫外線照射後のPMMAを採取して、IR、NMRにより同定したところ、密度変化を起こす架橋反応や分極率が大きくなるような反応はほとんど生じていないことが判明した。
Claims (16)
- (a)つぎの式(1);
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体のホモ重合体、(b)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上の共重合体、または(c)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上との共重合体のいずれかの重合体であって、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存しており、放射線を照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)であることを特徴とする光屈折率変調重合体。
- 分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が90%以上残存している請求項1に記載の光屈折率変調重合体。
- 立体規則性が、シンジオタクティシティー(rr)で70%以上である請求項1または2に記載の光屈折率変調重合体。
- 放射線が紫外線である請求項1〜3のいずれかに記載の光屈折率変調重合体。
- 紫外線を10J/cm2 以下の照射光量で照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)である請求項4に記載の光屈折率変調重合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光屈折率変調重合体と、光開始剤、増感剤、連鎖移動剤の中から選ばれる少なくとも1種を含み、放射線を照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)であることを特徴とする光屈折率変調重合体組成物。
- (a)つぎの式(1);
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体のホモ重合体、(b)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上の共重合体、または(c)式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上との共重合体のいずれかの重合体であって、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が残存している重合体と、光開始剤、増感剤、連鎖移動剤の中から選ばれる少なくとも1種を含み、放射線を照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)であることを特徴とする光屈折率変調重合体組成物。
- 重合体は、分子内にラジカル重合性の側鎖ビニル基が90%以上残存している請求項7に記載の光屈折率変調重合体組成物。
- 重合体は、立体規則性がシンジオタクティシティー(rr)で70%以上である請求項7または8に記載の光屈折率変調重合体組成物。
- 放射線が紫外線である請求項6〜9のいずれかに記載の光屈折率変調重合体組成物。
- 紫外線を10J/cm2 以下の照射光量で照射したときの屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)である請求項10に記載の光屈折率変調重合体組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光屈折率変調重合体または請求項6〜11のいずれかに記載の光屈折率変調重合体組成物に対し、放射線を照射することにより、屈折率増加(Δn)が照射前後で0.005以上(m−Line法によるTEモードで測定)とすることを特徴とする屈折率制御方法。
- 放射線が紫外線である請求項12に記載の屈折率制御方法。
- 紫外線の照射光量が10J/cm2 以下である請求項13に記載の屈折率制御方法。
- (a)′つぎの式(1);
CH2 =C(R1 )C(=O)O−R2 =CH2 … (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の不飽和炭化水素基で あって、分子内にヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい)
で表されるアクリル・ビニル単量体の1種、(b)′式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の2種以上、または(c)′式(1)で表されるアクリル・ビニル単量体の1種または2種以上とこれ以外の単量体の1種または2種以上のいずれかである単量体を、重合開始剤として、希土類金属を活性中心とする金属錯体触媒を使用して、アニオン重合させることにより、請求項1〜5のいずれかに記載の光屈折率変調重合体を得ることを特徴とする光屈折率変調重合体の製造方法。
- 希土類金属を活性中心とする金属錯体触媒は、つぎの式(2);
(Cp1)(Cp2)Mr−(R)p・(L)q …(2)
(式中、Cp1,Cp2は、相互に独立して、非置換のシクロペンタジエニルまたは置 換されたシクロペンタジエニルであり、Cp1とCp2とは直接または連結基を介し て結合していてもよい。Mrはr価の希土類金属原子でrは2〜4の整数である。R は水素原子または炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。Lは配位能を有する溶媒で ある。pはRの数、qはLの数で、それぞれ0〜2の整数であり、上記rに対してr =p+2となるように選択される。)
で表される金属錯体化合物である請求項15に記載の光屈折率変調重合体の製造方法。
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