JP3718494B2 - 飲料用容器の蓋及びその射出成形方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂製飲料用容器の蓋、より詳しくはストローを垂直方向に保持することが可能なストロー挿入口用切り込みを有する蓋及びその成形方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
液状の飲料を吸引して飲むためのストローを保持するための装置としては従来特開２０００−３０８５５９等があった。
【０００３】
【特許文献】
特開２０００−３０８５５９号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
乳酸菌等の生きた菌を封入した飲料を包装する容器は、空気が流入しないよう容器の開口部をシール材で密封する必要がある。そして係る飲料を封入した容器は、シール材で密封した開口部の上に更に樹脂性の蓋を被せて販売されることが多い。係るシール材で開口部を封じた飲料を飲む際には付属の先端が尖ったストローでシール材を突き破り、該ストローにより飲むという手段が採られることが多い。この際シール材の上から被せた樹脂製の蓋を採る手間を省くために該樹脂製の蓋にストロー挿入口用切片が設けられることがある。
【０００５】
図６はかかる切片７０を有する蓋を示すものである。この切片７０をストローで押し曲げることで樹脂性の蓋にストローを貫通させるのである。
【０００６】
ところが、かようにして切片７０を押し曲げストローを貫通させると切片７０の押圧力によりストローが斜め方向に傾いてしまうとういう難点が生じる。
【０００７】
又、ストロー挿入口用切片を有する蓋の成形方法は、従来射出成形ではなくシート成形によっていた。シート成形時に同時に刃物によりストロー挿入口用切片を設けていたのである。
【０００８】
この点シート成形ではなく射出成形によるほうがコストの面で有利である。一度金型を作成すれば容易に大量生産ができるためである。にもかかわらずシート成形によっていたのは、仮に射出成形によればストロー挿入口用切片を設けるための切片部に相当する金型が肉薄となるため、加熱溶融させた樹脂を金型内に射出すると上述の切片部に相当する金型が曲がったり、場合によっては折れたりすることがあるためである。そしてかかる理由と同様な理由により、十字型の切り込みを有する蓋も射出成形によって成形することは不能なものであった。
【０００９】
そこで本発明はストローを差し込んだ際にストローを斜め方向ではなく垂直方向に保持することが可能な略十字型の切り込みを有する飲料用容器の蓋を提供すること、及び当該蓋の射出成形方法を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明は、円柱状の突起を有する雄型と該突起に対応する凹部を有する雌型より成り、両者を型締めすることにより両者間にキャビティーが形成される射出成形用金型を使用する。雄型金型には前記円柱状の突起上に略十字型の切り込みを形成するための凸条を設けると共に、雌型金型には該凸条に対応する凹溝を設けた。この金型にゲート及びランナーを通して加熱溶融させた樹脂である溶湯を射出し、冷却後成形体を取り出すのである。
【００１１】
従来略十字型のストロー挿入口用切り込みを有する蓋が射出成形により成形し得なかったのは略十字型のストロー挿入口用切り込みを設けるための略十字型の切り込み部に相当する金型が肉薄となるため、加熱溶融させた樹脂たる溶湯を金型内に射出すると略十字型の切り込み部に相当する金型が曲がったり、場合によっては折れたりすることがあるためであった。
【００１２】
本発明では略十字型の切り込み部に相当する金型とは、雄型金型に設けた凸条にあたる。ところが本発明では雌型金型に、凸条に対応する凹溝を設けてある。この凹溝が溶湯の逃げ道となり凸条に過度の圧力がかかることがなくなる。このようにして本発明では加熱溶融させた樹脂たる溶湯を金型内に射出しても、略十字型の切り込み部に相当する金型が曲がったり折れたりすることを防ぐことが可能となるのである。
【００１３】
つまりは射出成形法により略十字型のストロー挿入口用切り込みを有する飲料用容器の蓋を作成することが可能となるのである。
【００１４】
又、略十字型の切り込みを設けることで形成される四つの切片が均等にストローを押圧するため、図５に示すようにストロー８０を差し込んだ際にストロー８０を斜め方向ではなく垂直方向に保持することが可能となるのである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下好ましい発明の一実施形態につき図面を参照しながら述べる。
【００１６】
図１は本発明にかかる蓋の使用状態図である、図２は雄型金型を模式的に示す斜視図であり、図３は雌型金型を模式的に示す斜視図であり、図４は本発明にかかる金型の模式断面図である。
【００１７】
図１に示すように本発明にかかる蓋４０には略十字型の切り込み４１が設けてある。この略十字型の切り込み４１にストロー差し込み、更に飲料用容器５０の開口部を覆うシール材６０を突き破り飲するものである。
【００１８】
本発明にかかる金型は図４に示すように突起１１及び凸条１２を有する雄型金型１０と、凹部２１及び凹溝２２を有する雌型金型２０より構成される。雄型金型１０及び雌型金型２０を型締めすることにより、両者間にキャビティー３０が形成される。
【００１９】
尚、図４においてはゲート１３は雄型金型１０に設けられているが、雌型金型２０に設けても構わない。
【００２０】
雄型金型１０は図２に示すように、円柱状の突起１１及び該突起１１上に設けられた凸条１２を有するものである。
【００２１】
ゲート１３は押出機のランナーに通じるものであり、溶湯をキャビティー内に導入するためのものである。
【００２２】
雌型金型２０は図３に示すように、凹部２１を有するものであり、該凹部２１内には凹溝２２が設けてある。この凹溝２２は型締めした際に雄型金型１０に設けた凸条１２に対応する位置に設けてある。
【００２３】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されていることから、射出成形によりながらもストロー挿入口用切り込みを有する飲料用容器の蓋を作成することが可能な射出成形方法及び当該射出成形方法によって作成された飲料用容器の蓋を提供することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明にかかる蓋の使用状態図。
【図２】 雄型金型を模式的に示す斜視図。
【図３】 雌型金型を模式的に示す斜視図。
【図４】 本発明にかかる金型の模式断面図。
【図５】 本発明にかかる蓋にストローを差し込んだ状態を示す説明図。
【図６】 従来例の斜視図。
【符号の説明】
１０・・雄型金型 １１・・突起
１２・・凸条 １３・・ゲート
２０・・雌型金型 ２１・・凹部
２２・・凹溝 ３０・・キャビティー
４０・・蓋 ４１・・切り込み

Claims (2)

1. 円柱状の突起１１を有する雄型１０と該突起１１に対応する凹部２１を有する雌型２０より成り、両者を型締めすることにより両者間にキャビティー３０が形成される飲料用容器の蓋を成形するための射出成形用金型であって、前記円柱状の突起１１上に、蓋４０に設ける略十字型の切り込み４１を形成するための凸条１２を設けると共に、雌型２０に該凸条１２に対応すると共に、凸条１２との間に溶湯を通過させることが可能な隙間を有する凹溝２２を設けた金型に、ゲート及びランナーを通して溶湯を射出し、冷却後成形体を取り出すことを特徴とする飲料用容器の蓋の射出成形法。
2. 請求項１記載の射出成形法により成形される略十字型のストロー挿入口用切り込みを有する飲料用容器の蓋。

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