JP3716401B2 - 量子井戸型光センサ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は量子井戸型光センサに関するものであり、特に、多重量子井戸に生じたサブバンド間の遷移による光吸収を利用した赤外線センサにおける暗電流の相殺構造に特徴のある量子井戸型光センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、10μm帯近傍の赤外線を検知する赤外線検知装置としては、Cd組成比が0.2近傍、例えば、Cd組成比が0.22のHgCdTe層に形成したpn接合ダイオードをフォトダイオードとしたものを用い、このフォトダイオードを一次元アレイ状或いは二次元アレイ状に配置すると共に、読出回路との電気的なコンタクトをとるために、赤外線フォトダイオードアレイ基板及びSi信号処理回路基板を、双方に形成したIn等の金属のバンプで貼り合わせた赤外線検知装置が知られている。
【0003】
しかし、この様なHgCdTe系赤外線検知装置の場合には、結晶性の良好な大面積基板の入手が困難であるので多センサ素子からなる大型の赤外線検知アレイを構成することが困難であるという問題があり、近年、この様な問題を解決するものとして、結晶性の良好な大面積基板の入手が容易であるGaAs系半導体を用い、且つ、多重量子井戸におけるサブバンド間の遷移による光吸収を利用することにより10μm帯近傍の赤外線の検知を可能にした量子井戸型光センサが注目を集めている。
【0004】
ここで、図3を参照して従来の量子井戸型光センサを説明する。
図3参照
図3は、従来の量子井戸型光センサの1セル分の概略的断面図であり、まず、半絶縁性GaAs基板31上に、下部コンタクト層となるn型GaAs層32、i型AlGaAsバリア層に交互に挟まれた複数のn型GaAsウエル層からなるMQW層33、及び、上部コンタクト層となるn型GaAs層34を順次堆積させたのち、センサ素子形成領域に対応するn型GaAs層34の表面に垂直入射光をMQW層33で検知可能なように斜め方向に回折・偏向させる回折格子35を設け、次いで、n型GaAs層32に対する共通電極を形成するためのコンタクト用開口を設けたのち、SiON膜(図示せず)を保護膜とし、SiON膜に設けた開口部分にAu・Ge/Niからなるオーミック電極36,40を設けると共に、オーミック電極36及び回折格子35を覆うようにAu膜を設けて反射電極37とし、さらに、SiON膜39を介してTi/Au膜からなるパッド電極39を設け、このパッド電極39を介して出力端子41を接続するとともに、オーミック電極40を介して共通電極端子42を接続する。
なお、オーミック電極40の表面もTi/Au膜で覆われており、また、出力端子41及び共通電極端子42はInバンプによって構成される。
【0005】
この様に、従来の量子井戸型光センサでは、サブバンド間の遷移による光吸収を起こす多重量子井戸構造のMQW層33の上下をコンタクト層、即ち、n型GaAs層32及びn型GaAs層34で挟んだ素子構造となっており、各光センサ素子には半絶縁性GaAs基板31側からほぼ垂直入射した入射光がMQW層33において吸収されやすいように斜め方向に回折・偏向させる回折格子35、及び、回折格子35を透過する光をMQW層33側に反射する反射電極37からなる光結合構造を有している。
【0006】
この様な光センサ素子を1次元アレイ状或いは2次元アレイ状に配置することによって赤外線検知アレイを構成しており、各光センサ素子に対する共通バイアスは共通電極端子42からn型GaAs層32を介して印加することになり、また、各光センサ素子からの出力は、各光センサ素子に設けた出力端子41から取り出すことになる。
【0007】
この様な量子井戸型光センサにおいては、量子井戸内に閉じ込められたキャリア、この場合には、電子を入射光によって励起し、i型AlGaAsバリア層の伝導帯側のバンド端を越えて外部に流出させて光電流として検知しており、量子井戸での光吸収効率を高めるためには、MQW層33を構成するn型GaAsウエル層のドーピング濃度を大きくして量子井戸内のキャリア濃度、即ち、電子濃度を増加させれば良い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光吸収効率を高めるために、キャリア濃度を増加させると、増加したキャリアが熱励起によって量子井戸外に脱出する電流成分、即ち、暗電流も増加し、この暗電流は光センサ出力としては無意味なので、暗電流の増加がセンサ感度の低下をもたらすという問題がある。
【0009】
したがって、この様な量子井戸型光センサを動作させるためには、素子温度を低くして暗電流を小さくする必要が生じ、センサ感度を向上させるためには冷却温度を液体窒素温度(77K)以下にする等の著しい制限があるという問題を生じていた。
【0010】
したがって、本発明は、量子井戸型光センサにおいて、暗電流の大半を相殺させるように動作させて、センサ感度を向上することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)本発明は、多重量子井戸層1,5におけるサブバンド間のキャリア励起による光吸収を利用して光検知を行う量子井戸型光センサにおいて、2つの多重量子井戸層1,5を設け、2つの多重量子井戸層1,5間に光閉じ込め層3とセンサ出力端子9を設けるとともに、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層5側に入射光を偏向させる光結合構造6を設け、光入射側に設けた多重量子井戸層1から暗電流のみを取り出し、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層5から暗電流及び光電流を取り出し、2つの多重量子井戸層1,5に互いに逆極性となる電圧を印加することで、取り出した暗電流同士を相殺させた出力電流をセンサ出力端子9から取り出すことを特徴とする。
【0012】
この様に、2つの多重量子井戸層1,5を積層させると共に、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層1,5側に入射光を偏向させる光結合構造6、例えば、回折格子と反射電極とからなる光結合構造6を設けることによって、ほぼ垂直入射された入射光は、2つの多重量子井戸層1,5のどちらでも吸収されず、光結合構造6によって反射・偏向されて反射光となることにより光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層5において効率良く吸収されることになる。
なお、偏向とは回折による偏向も含むものである。
【0013】
さらに、2つの多重量子井戸層1,5間に光閉じ込め層3、即ち、低屈折率層を設けているので、光結合構造6によって反射・偏向された光は、光入射側に設けた多重量子井戸層1に達することはほとんどなく、したがって、光入射側に設けた多重量子井戸層1における電流成分をほぼ暗電流のみとすることができ、2つの多重量子井戸層1,5に互いに逆極性となる電圧を印加することで、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層5における暗電流を相殺し、光電流のみをセンサ出力端子9から取り出すことができる。
なお、2つの多重量子井戸層1,5を低コンタクト抵抗でバイアスするためには、2つの多重量子井戸層1,5の間にコンタクト層2,4を設ける必要がある。
【0014】
(2)また、本発明は、上記(1)において、2つの多重量子井戸層1,5は、同じ層構造であることを特徴とする。
【0015】
この様に、2つの多重量子井戸層1,5を同じ層構造とすることによって、発生する暗電流を略等しくすることができ、それによって、暗電流を相殺して光電流のみを取り出すことができる。
【0016】
(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、光閉じ込め層3は、2つの多重量子井戸層1,5よりも低屈折率であることを特徴とする。
【0017】
(4)また、本発明は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、入射光は、2つの多重量子井戸層1,5に対して垂直方向或いは垂直に近い方向から入射されることを特徴とする。
【0018】
)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、量子井戸型光センサは、2つの多重量子井戸層1,5の間及びその外側にコンタクト層2,4,7,8を設け、電圧は、コンタクト層7,8を介して印加され、暗電流及び光電流は、コンタクト層2,4を介して取り出されることを特徴とする。
【0019】
(6)また、本発明は、多重量子井戸層1,5におけるサブバンド間のキャリア励起による光吸収を利用して光検知を行う量子井戸型光センサにおいて、それぞれコンタクト層2,4,7,8に挟まれた2つの多重量子井戸層1,5を光閉じ込め層3を介して対向させた状態で積層させるとともに、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層5側に入射光を偏向させる光結合構造6を設け、2つの多重量子井戸層1,5の間に設けたコンタクト層2,4に接続した電極をセンサ出力端子9とするとともに、2つの多重量子井戸層1,5の互いに対向する側と反対側に設けたコンタクト層7,8にそれぞれの多重量子井戸層1,5に電圧を印加する電極を設け、2つの多重量子井戸層1,5の互いに対向する側と反対側に設けたコンタクト層7,8から各多重量子井戸層1,5に印加する電圧の極性が、互いに逆であることを特徴とする。
【0020】
この様に、2つの多重量子井戸層1,5の互いに対向する側と反対側に設けたコンタクト層7,8から各多重量子井戸層1,5に極性が互いに逆の電圧を印加することによって、他に特段の回路的手段を用いることなく、2つの多重量子井戸層1,5における暗電流を相殺することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明の実施の形態の量子井戸型光センサを図2を参照して説明する。
図2(a)及び(b)参照
図2(b)は、図2(a)に示す平面におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概略的断面図であり、まず、半絶縁性GaAs基板11上に、MOVPE法(有機金属気相成長法)によって、下部光センサの下部コンタクト層となる、厚さが、0.5〜3.0μm、例えば、2.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAs層12、第1MQW層13、下部光センサの上部コンタクト層となる、厚さが、0.2〜1.0μm、例えば、0.5μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、2×1017cm-3のn型GaAs層14、光閉じ込め層となる、厚さが0.2〜2.0μm、例えば、0.5μmで、アンドープのi型AlAs層15、上部光センサの下部コンタクト層となる、厚さが、0.2〜1.0μm、例えば、0.5μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、2×1017cm-3のn型GaAs層16、第2MQW層17、及び、上部光センサの上部コンタクト層となる、厚さが、0.5〜3.0μm、例えば、0.7μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、2×1017cm-3のn型GaAs層18を順次エピタキシャル成長させる。
【0022】
なお、この場合の第1MQW層13及び第2MQW層17は共に同じ構成であり、例えば、厚さが50nmのi型Al0.28Ga0.72Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が2×1017cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、この場合のi型Al0.28Ga0.72Asバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0023】
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて、各光センサ素子領域に対応する部分のn型GaAs層18の表面に一次の回折格子19を形成したのち、次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、共通電極を形成するための開口部及び素子分離溝を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによってn型GaAs層12に達するコンタクト用開口(図においては、右側の周辺部)及び、素子分離溝(図においては、左側の周辺部)を形成する。
なお、この場合、n型GaAs層12と第1MQW層13との間にn型InGaP層等のエッチングストッパーを設けておいても良い。
【0024】
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて共通電極形成部及びセンサ電極形成部のSiON膜を選択的に除去し、次いで、Au・Ge/Niからなるオーミック電極20,25を設けたのち、その表面にAuからなる反射電極21を設け、フォトレジストパターンを利用したリフトオフ法により共通電極及びセンサ電極を選択的に形成する。
【0025】
なお、この電極形成工程において、回折格子19の部分に設けるオーミック電極20は、回折格子19の一部に設けるものであり、且つ、回折格子19の凹凸により段切れされ、回折格子19の凸部の頂部及び凹部の底部のみに部分的に形成されるだけであるので、回折格子19の大部分においては反射電極21の反射性が損なわれることがない。
また、共通電極側においては、後述するTi/Au膜も含めて全体をオーミック電極25として表示している。
【0026】
次いで、フォトレジストパターンを除去したのち、新たにフォトレジストを塗布し、センサ出力端子を形成するための開口部を有するレジストマスク(図示せず)を設け、このレジストマスクをマスクとしてドライエッチングを施し、SiON膜の一部を除去し、引き続いて、n型GaAs層18及び第2MQW層17を除去し、次いで、フォトレジストパターンを除去したのち、再び新たにフォトレジストを塗布し、先の開口部より小さな面積の開口部を有するレジストマスク(図示せず)を設け、このレジストマスクをマスクとしてドライエッチングを施して、n型GaAs層16及びi型AlAs層15を除去してn型GaAs層14を露出させる。
【0027】
次いで、レジストマスクを除去したのち、新たに保護絶縁膜となるSiON膜20を堆積させ、通常のフォトリソグラフィー工程によりセンサ出力端子形成部、共通電極部、及び、センサ電極部の反射電極19の一部を露出させ、露出部にバリア層及び密着性改善層となるTi/Au膜からなるパッド電極23,24を設け、このパッド電極23,24を介してInバンプを蒸着法により形成する。なお、図においては、Inバンプを太い実線で示しており、また、オーミック電極25は上述の様にTi/Au膜で覆われている。
【0028】
次いで、下部光センサ素子においては共通電極であるオーミック電極25側が負になるように、例えば、5.0Vの電圧を印加し、一方、上部光センサ素子においてはパッド電極23側がになるように同じ5.0Vの電圧を印加する。
【0029】
この様な量子井戸型光センサにおいて、半絶縁性GaAs基板11側から半絶縁性GaAs基板11の主面に対して垂直方向或いは垂直に近い方向から入射した信号光の大半は第1MQW層13及び第2MQW層17で吸収されずに透過してしまうが、n型GaAs層18の表面に設けた回折格子19によって斜め方向に回折・偏向されて、再び第2MQW層17に対して斜め方向に入射されることになり、斜め方向から入射することによって第2MQW層17において効果的に吸収される。
なお、この場合の第2MQW層17における吸収波長帯は、約8〜9μmである。
【0030】
また、回折格子19を透過しようとする信号光は、反射電極21によって反射され、再び、第2MQW層17側に反射され、再び、第2MQW層17において吸収されるので、光検知効率をさらに向上することができる。
【0031】
また、第2MQW層17で吸収されなかった反射光の大半は、光閉じ込め層となる低屈折率のi型AlAs層15に対して低入射角で入射することになるので、i型AlAs層15とn型GaAs層16の界面における全反射によって再び第2MQW層17に入射して吸収されることになる。
【0032】
一方、第1MQW層13側においては、反射光がi型AlAs層15をほとんど透過してこないので、第1MQW層13において信号光に基づく光電流は僅かなものとなり、ほとんどの出力が暗電流となる。
【0033】
なお、MQW層においては垂直方向の入射光はほとんど吸収しないので、ほぼ垂直方向に反射された光は第2MQW層17を透過して第1MQW層13に達するが、第1MQW層13でも吸収されずに半絶縁性GaAs基板11の裏面まで達し、半絶縁性GaAs基板11の裏面で反射される。
【0034】
この半絶縁性GaAs基板11の裏面で反射された光は、光の進行方向は反転するが入射角は変わらないので第1MQW層13及び第2MQW層17で吸収されることなく、再度、回折格子19と反射電極21とからなる光結合部に向かい、上述と同じ原理で第2MQW層17でのみ吸収されることになり、この様な過程を繰り返すことによって第2MQW層17で、ほとんどの信号光が吸収されることになる。
【0035】
この場合、上部光センサ素子を流れる電流I1 は、Ip1を光電流、Id1を暗電流とすると、
1 =Ip1+Id1
となり、一方、下部光センサ素子を流れる電流I2 は、Ip2を光電流、Id2を暗電流とすると、
2 =Ip2+Id2
となるが、上述のようにIp2≒0であるので、
2 ≒Id2
となる。
【0036】
また、パッド電極24に接続するセンサ出力端子から出力される電流Iは、上下の光センサ素子に印加されるバイアスの極性が互いに逆であり、且つ、MQW部は基本的には抵抗体であるので、
I=I1 −I2 ≒Ip1+Id1−Id2
となるが、第1MQW層13と第2MQW層17の層構造は上述のように全く同じであり、且つ、その面積もパッド電極24を形成するための開口部の面積を除けば略同じ面積となるので、
d1≒Id2
となり、したがって、センサ出力端子から出力される電流Iは、
I≒Ip1
となるので、上部光センサ素子の暗電流Id1を相殺して光電流Ip1のみを取り出すことができ、それによって、量子井戸型光センサの感度が向上する。
【0037】
この様に、本発明の実施の形態においては、光吸収層となるMQW層を2層設け、これを光閉じ込め層を介して積層させ、上部光センサ素子側に信号光の反射光の大半がMQW層に平行に近い角度で反射されるように回折格子19と反射電極21とからなる光結合部を設けているので、上部光センサ素子のみを光検出部とし、下部光センサ素子を暗電流相殺用素子とすることができるので、上部光センサ素子における暗電流を相殺し、信号光に基づく光電流のみを出力として取り出すことができる。
【0038】
以上、本発明の実施例の形態を説明してきたが、本発明は実施の形態に記載した構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上下の光センサ素子に印加するバイアスは、必ずしも同じバイアスである必要はなく、パッド電極24を形成するための開口部の面積に起因する第1MQW層13と第2MQW層17の面積の差による暗電流の差により、光電流がキャンセルされないように、下部光センサ側のバイアスを多少小さめに設定しておいても良い。
【0039】
また、上記の実施の形態の説明においては、暗電流をより確実に相殺できるように、第1MQW層13と第2MQW層17を同じ層構造としているが、成長工程が異なるので、各成長工程における微妙な成膜条件の違いにより膜厚や組成比にバラツキが生ずることがあるが、その場合には、そのバラツキに起因する暗電流の差を補正するようにバイアスを制御しても良く、さらには、第1MQW層13と第2MQW層17は必ずしも完全に同じ構造である必要はない。
【0040】
また、上記の実施の形態の説明においては、光閉じ込め層となるi型AlAs層15をn型GaAs層14とn型GaAs層16との間に設けているが、必ずしもその必要はなく、コンタクト層をn型GaAs層14のみとするとともに光閉じ込め層をn型AlAs層とし、このn型AlAs層をn型GaAs層14と第2MQW層17との間に設けても良い。
【0041】
また、光閉じ込め層はAlAs層である必要はなく、第2MQW層17と格子整合が取れ、且つ、第2MQW層17或いはn型GaAs層16より低屈折率の層であれば良く、例えば、AlGaAs層を用いても良いものである。
【0042】
また、上記の実施の形態の説明においては、第1MQW層13及び第2MQW層17をAl0.28Ga0.72As/GaAs接合で構成しているが、バリア層の組成はAl0.28Ga0.72Asに限られるものではなく、他の組成比のAlx Ga1-x Asでも良く、検知対象とする波長に応じた量子準位、サブバンドが形成されるように、バリア層の厚さ、組成比、及び、n型GaAsウエル層の厚さを適宜選択すれば良く、さらに、必要とするセンサ感度に応じてn型GaAsウエル層の層数を適宜選択すれば良い。
【0043】
また、上記の実施の形態の説明においては、第1MQW層13及び第2MQW層17をAlGaAs/GaAs系の多重量子井戸構造によって構成しているが、GaAs/InGaAs系等の他のIII-V族化合物半導体による多重量子井戸構造を用いても良いものであり、使用する大面積基板に格子整合する材料系であれば良い。
【0044】
また、上記の実施の形態の説明においては、量子井戸型光センサを1個の光センサとして説明しているが、実際には、この様な光センサ素子を二次元アレイ或いは一次元アレイとして配置するものであるが、一個の光センサ素子単体として用いても良いものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、2つの多重量子井戸層を光閉じ込め層を介して積層させ、一方の多重量子井戸層を暗電流相殺用のみに用いることにより、他方の多重量子井戸層から暗電流を相殺した光電流のみを取り出すことができるのでセンサ感度が向上し、また、暗電流に影響されることがないでの従来の量子井戸型光センサよりも冷却条件が大幅に緩和されて高温での動作が可能になり、延いては、大面積の高集積度で且つ高解像度の赤外線固体撮像装置の実用化に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の量子井戸型光センサの説明図である。
【図3】従来の量子井戸型光センサの概略的断面図である。
【符号の説明】
1 多重量子井戸層
2 コンタクト層
光閉じ込め層
4 コンタクト層
5 多重量子井戸層
6 光結合構造
7 コンタクト層
8 コンタクト層
9 センサ出力端子
11 半絶縁性GaAs基板
12 n型GaAs層
13 第1MQW層
14 n型GaAs層
15 i型AlAs層
16 n型GaAs層
17 第2MQW層
18 n型GaAs層
19 回折格子
20 オーミック電極
21 反射電極
22 SiON膜
23 パッド電極
24 パッド電極
25 オーミック電極
31 半絶縁性GaAs基板
32 n型GaAs層
33 MQW層
34 n型GaAs層
35 回折格子
36 オーミック電極
37 反射電極
38 SiON膜
39 パッド電極
40 オーミック電極
41 出力端子
42 共通電極端子

Claims (6)

  1. 多重量子井戸層におけるサブバンド間のキャリア励起による光吸収を利用して光検知を行う量子井戸型光センサにおいて、2つの多重量子井戸層を設け、前記2つの多重量子井戸層間に光閉じ込め層とセンサ出力端子を設けるとともに、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層側に入射光を偏向させる光結合構造を設け、光入射側に設けた多重量子井戸層から暗電流のみを取り出し、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層から暗電流及び光電流を取り出し、前記2つの多重量子井戸層に互いに逆極性となる電圧を印加することで、前記取り出した暗電流同士を相殺させた出力電流を前記センサ出力端子から取り出すことを特徴とする量子井戸型光センサ。
  2. 上記2つの多重量子井戸層は、同じ層構造であることを特徴とする請求項1記載の量子井戸型光センサ。
  3. 上記光閉じ込め層は、上記2つの多重量子井戸層よりも低屈折率であることを特徴とする請求項1または2に記載の量子井戸型光センサ。
  4. 上記入射光は、上記2つの多重量子井戸層に対して垂直方向或いは垂直に近い方向から入射されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の量子井戸型光センサ。
  5. 上記量子井戸型光センサは、上記2つの多重量子井戸層の間及びその外側にコンタクト層を設け、上記電圧は、前記コンタクト層を介して印加され、上記暗電流及び光電流は、前記コンタクト層を介して取り出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の量子井戸型光センサ。
  6. 多重量子井戸層におけるサブバンド間のキャリア励起による光吸収を利用して光検知を行う量子井戸型光センサにおいて、それぞれコンタクト層に挟まれた2つの多重量子井戸層を光閉じ込め層を介して対向させた状態で積層させるとともに、光入射側と反対側に設けた多重量子井戸層側に入射光を偏向させる光結合構造を設け、前記2つの多重量子井戸層の間に設けたコンタクト層に接続した電極をセンサ出力端子とするとともに、前記2つの多重量子井戸層の互いに対向する側と反対側に設けたコンタクト層にそれぞれの多重量子井戸層に電圧を印加する電極を設け、前記2つの多重量子井戸層の互いに対向する側と反対側に設けたコンタクト層から前記各多重量子井戸層に印加する電圧の極性が、互いに逆であることを特徴とする量子井戸型光センサ。
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