JP4331428B2 - サブバンド間遷移量子井戸型光検知装置 - Google Patents

サブバンド間遷移量子井戸型光検知装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置に関するものであり、特に、多重量子井戸に生じたサブバンド間の遷移による光吸収を利用した赤外線センサにおけるクロストーク等を低減するための不所望な波長領域の赤外光を除去する構成に特徴のあるサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、10μm帯近傍の赤外線を検知する赤外線検知装置としては、Cd組成比が0.2近傍、例えば、Cd組成比が0.22のHgCdTe層に形成したpn接合ダイオードをフォトダイオードとしたものを用い、このフォトダイオードを一次元アレイ状或いは二次元アレイ状に配置すると共に、読出回路との電気的なコンタクトをとるために、赤外線フォトダイオードアレイ基板及びSi信号処理回路基板を、双方に形成したIn等の金属のバンプで貼り合わせた赤外線検知装置が知られている。
【0003】
しかし、この様なHgCdTe系赤外線検知装置の場合には、結晶性の良好な大面積基板の入手が困難であるので多センサ素子からなる大型の赤外線検知アレイを構成することが困難であるという問題があり、近年、この様な問題を解決するものとして、多重量子井戸におけるサブバンド間の遷移による光吸収を利用することにより10μm帯近傍の赤外線の検知を可能にした量子井戸型赤外線検知素子(Quantum Well Infrared Photodetector:QWIP)が利用されるようになった。
【0004】
特に、GaAs系化合物半導体を用いたQWIPでは、材料加工技術が成熟していることや大面積化が可能なことから撮像デバイスとして用いられており、近年、撮像画像の高機能化のために2つの波長に感度を有する二波長量子井戸型赤外線検知素子(二波長QWIP)が使われるようになってきた。
【0005】
ここで、図7及び図8を参照して、撮像デバイスとして用いられる従来の二波長量子井戸型赤外線検知装置について基本的構成および原理を説明する。
図7(a)参照
図7(a)は、従来の二波長量子井戸型赤外線検知装置の概略的部分断面図であり、半絶縁性GaAs基板上に、n型GaAsコンタクト層72、n型MQW第1光吸収層73、n型GaAsコンタクト層74、n型MQW第2光吸収層75、及び、n型GaAsコンタクト層76を順次積層させたのち、n型GaAsコンタクト層76の表面に反射型回折格子77を形成する。
【0006】
次いで、半絶縁性GaAs基板に達する画素分離溝78を形成して各画素79に分離したのち、図示は省略するものの、SiON膜等の保護膜を形成し、次いで、Au膜を形成して反射膜とする。
【0007】
次いで、n型GaAsコンタクト層72、n型GaAsコンタクト層74、及び、n型GaAsコンタクト層76にそれぞれ達する3つのコンタクトホールを形成し、コンタクトホールの側面を絶縁膜で被覆したのち、コンタクトホールの内部をAu・Ge/Niからなる導電性部材で埋め込むことによってn型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75に対するコンタクト電極を形成し、最後に半絶縁性GaAs基板の裏面をウェットエッチングして薄層化することによってi型GaAsベース層71とする。
【0008】
この様な撮像デバイスにおいて、赤外線80は各層の積層方向、即ち、z軸の向きに入射するが、光吸収の選択則によりn型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75においてz軸に平行な向きの赤外線は吸収されないため、入射した赤外線80はn型GaAsコンタクト層76の表面まで到達する。
【0009】
そして反射型回折格子77により赤外線80は反射および回折され、n型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75を斜めに横切るときに吸収される。
MQW光吸収層を1 回横切るときの赤外線吸収率は数%程度であるため、赤外線80は画素79中で何度か反射された後、n型MQW第1光吸収層73或いはn型MQW第2光吸収層75に吸収されることとなる。
【0010】
図7(b)参照
図7(b)は、図7(a)に示した二波長量子井戸型赤外線検知装置のz軸方向に沿ったバンドダイヤグラムであり、Γ伝導帯の底(Ec )のエネルギーを示している。
ここでは、例えば、n型MQW第1光吸収層73を構成するバリア層のバンド・ギャップをn型MQW第2光吸収層75を構成するバリア層のバンド・ギャップより小さくしている。
なお、i型GaAs層71のフェルミ準位から見たΓ伝導帯の底のエネルギーは、バリア層を構成するn- 型AlGaAs層のΓ伝導帯の底のエネルギーよりも高くなった場合を示している。
【0011】
図8(a)参照
図8(a)は、一次元量子井戸構造のn型MQW第1光吸収層73の伝導帯側のバンドダイヤグラムを示す図であり、n型GaAsウエル層82には、n型GaAsウエル層82の層厚及びn- 型Alx Ga1-x Asバリア層81のバリアハイトに依存する量子準位が形成され、ここでは、基底準位である第1量子準位83と第1励起準位である第2量子準位84のみが形成される場合を例示している。
【0012】
ここに第2量子準位84と第1量子準位83のエネルギー差(波長換算でλ1 )を持つ赤外線80が入射すると、第1量子準位83にある電子85が第2量子準位84へ遷移し、代わりにその赤外線80は吸収され、このエネルギー差に相当する波長λ1 がn型MQW第1光吸収層73の吸収波長となる。
【0013】
図8(b)参照
図8(b)は、一次元量子井戸構造のn型MQW第2光吸収層75の伝導帯側のバンドダイヤグラムを示す図であり、n- 型Aly Ga1-y Asバリア層86のAl組成yをn- 型Alx Ga1-x Asバリア層81のAl組成xよりも大きくすることによって、n型MQW第2光吸収層75の吸収波長λ2 をn型MQW第1光吸収層73の吸収波長λ1 より短波長とし、互いに異なった吸収波長λ1 ,λ2 を持つようにする。
【0014】
図8(c)参照
図8(c)は、図7(a)に示した二波長量子井戸型赤外線検知装置の光吸収特性の説明図であり、波長λ1 をもつ赤外線はn型MQW第1光吸収層73のみに、波長λ2 をもつ赤外線はn型MQW第2光吸収層75のみに吸収される。
なお、波長λ1 、λ2 の大小を問わないものであり、したがって、n型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75の積層順序は任意である。
【0015】
この様に、赤外線の吸収に伴ない励起されたキャリア、即ち、電子は、各MQW光吸収層の両端にn型GaAsコンタクト層を介して独立にバイアスを加えることにより井戸の外へ放出され、電流として外部に取り出すことができ、それによって、MQW光吸収層により特定の二波長の吸収波長をもつ赤外線を独立に検知することが可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この様なMQW光吸収層においては、多重量子井戸が1次元量子井戸であるため、キャリアの閉じ込めが不十分であり、且つ、赤外線検知時にはバイアスを印加するために、各量子井戸の形の曲がりが同じでなくなり、それぞれの量子準位および吸収波長にずれが生じ、図8()に示すように吸収波長スペクトルが広がる。
【0017】
そのため、二つのMQW光吸収層における中心吸収波長が近接してる場合、両方のMQW光吸収層で吸収される波長域が生まれてクロストーク現象が生ずるという問題があり、このクロストークは撮像デバイスの高機能化の妨げとなる。
【0018】
したがって、本発明は、簡単な構成により不所望な波長域の赤外線を吸収除去することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記目的を達成するため、本発明は、サブバンド間遷移量子井戸構造光検知装置において、1 つ以上の吸収波長をもつ光検知機構を有するとともに、バンドカットフィルタとして所定波長域の光を吸収する量子井戸構造光吸収層3を付加し、且つ、量子井戸構造光吸収層3をフローティング状態で光吸収層として作用させることを特徴とする。
【0020】
この様に、バンドカットフィルタを設けることによって、光検知機構において検知目的とする波長の光のみを効率的に検知することができる。
特に、バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3を無バイアス状態、即ち、フローティング状態で使用するので、量子井戸構造光吸収層3の吸収波長域が、光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2の吸収波長域に悪影響を与えることがない。
なお、図における符号8は、入射してくる光、通常は赤外線9を効率良く吸収するために入射角を変化させるための反射型回折格子である。
【0021】
この場合、光検知機構を1個の量子井戸構造光吸収層で構成し、この光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層の吸収波長の短波長側の領域を吸収波長とする量子井戸構造光吸収層と、長波長側の領域を吸収波長とする量子井戸構造光吸収層とによってバンドカットフィルタを構成しても良く、それによって、極めて狭い波長領域の光のみを選択的に検知することができる。
【0022】
また、光検知機構を互いに吸収波長の異なるn個の量子井戸構造光吸収層1,2から構成しても良く、その場合には、バンドカットフィルタを(n−1)個の量子井戸構造光吸収層3から構成すれば良く、それによって、n個の量子井戸構造光吸収層1,2間におけるクロストークを低減することができる。
なお、複数個の量子井戸構造光吸収層1,2を互いに独立に動作させるために、各量子井戸構造光吸収層1,2の両側にコンタクト層4〜6を設けることが望ましい。
【0023】
また、この様な場合のバンドカットフィルタは、ベース層7の裏面側に設けても良いし、光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2に隣接して設けても良く、隣接して設ける際には、バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3の両側に不純物の拡散を防止するためにノン・ドープ層を設けることが望ましい。
【0024】
また、バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3の吸収波長域が、光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2の吸収波長域に悪影響を与えないために、不純物濃度を光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2の不純物濃度より大きくし、狭い波長領域における光吸収率を飛躍的に高めれば良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
ここで、図2及び図3を参照して、本発明の第1の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置を参照して説明する。
図2(a)参照
まず、半絶縁性GaAs基板(図示を省略)上に、MOVPE法(有機金属気相成長法)によって、ダミーMQW光吸収層11、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmのi型GaAsベース層12、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層13、n型MQW第1光吸収層14、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層15、n型MQW第2光吸収層16、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層17を順次エピタキシャル成長させる。
【0026】
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて、n型GaAsコンタクト層17の表面に一次の回折格子18を形成し、次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、画素分離溝19を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによってi型GaAsベース層12に達する素子分離溝19を形成する。
【0027】
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて各画素20のn型GaAsコンタクト層13、n型GaAsコンタクト層15、及び、n型GaAsコンタクト層17に対するコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールの側壁をSiON膜で被覆したのち、Au・Ge/Niからなるオーミック電極を設ける。
なお、反射型回折格子18の表面には、例えば、Auからなる反射電極(図示を省略)を設けておく。
【0028】
最後に、半絶縁性GaAs基板をダミーMQW光吸収層11に達するまでウェットエッチングして除去することによって、本発明の第1の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置の基本構成が完成する。
【0029】
図2(b)参照
図2(b)は、z方向、即ち、積層方向に沿ったバンドダイヤグラムであり、Γ伝導帯の底(Ec )のエネルギーを示している。
この場合のダミーMQW光吸収層11は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.30Ga0.70Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、この場合のn- 型Al0.30Ga0.70Asバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0030】
一方、n型MQW第1光吸収層14は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.25Ga0.75Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、この場合もn- 型Al0.25Ga0.75Asバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0031】
また、n型MQW第2光吸収層16は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.35Ga0.65Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、この場合もn- 型Al0.35Ga0.65Asバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0032】
図3(a)参照
図3(a)は、光検知部における光吸収特性を示す図であり、n型MQW第1光吸収層14は中心波長をλ1 とする光吸収スペクトルを示し、一方、n型MQW第2光吸収層16は中心波長をλ2 とする光吸収スペクトルを示している。
【0033】
使用時においては、n型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第1光吸収層16にはバイアスを印加するので、これらの層でEC の形状の曲がりが見られ、即ち、量子井戸の形が曲げられる。
【0034】
この場合、各量子井戸の形の曲がりが同じではないため、それぞれの量子準位および吸収波長にずれが生じるとともに、量子井戸が1次元であることによる広がりもあるので、吸収のスペクトル幅が広がっている。
【0035】
図3(b)参照
図3(b)は、ダミーMQW光吸収層11の光吸収特性を示す図であり、その吸収中心波長は、多重量子井戸構造を構成するバリア層の禁制帯幅の関係で、λ1 とλ2 の中間のλ3 となっており、且つ、n型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第2光吸収層16の赤外線吸収が重なっている領域となるように設定している。
【0036】
また、このMQW光吸収層11は、使用時にバイアスされないので個々の量子井戸の形を均一にすることができ、n型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第2光吸収層16と比較して吸収波長の広がりが少なくなっているとともに、ダミーMQW光吸収層11は、n型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第2光吸収層16に比べて高濃度にドープされているので、吸収感度もn型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第2光吸収層16より高くなっている。
【0037】
図3(c)参照
図3(c)は二波長量子井戸型赤外線検出器の全体として光吸収特性を示す図であり、n型MQW第1光吸収層14とn型MQW第2光吸収層16の赤外線吸収が重なっている領域の光はダミーMQW光吸収層11によって吸収されるため、n型MQW第1光吸収層14及びn型MQW第2光吸収層16との間でクロストークが起こることがない。
即ち、ダミーMQW光吸収層11は、波長域λ3 近傍の光以外を通すフィルタと考えることができるため、バンドカットフィルタということができる。
【0038】
なお、ダミーMQW光吸収層11を高濃度にドープすることによって熱励起に起因する電流成分も同時に増やしてしまうが、ダミーMQW光吸収層11では、赤外線の吸収は行われるがそれを検知する必要がないため、熱励起に起因する電流成分の増減を考慮する必要はなく、ダミーMQW光吸収層11の量子井戸層には限界まで、例えば、GaAs等の半導体材料の不純物固溶限界までドーピングを施すことができ、従って赤外線の吸収率を飛躍的に高めることができる。
【0039】
また、i型GaAsベース層12が電子に対する障壁となり、ダミーMQW光吸収層11内在する電子が画素19側へ漏洩することを防ぐ役割を担うため、雑音が発生することとがなく、特にこれ以上の工夫する必要はない。
【0040】
この様に、本発明の第1の実施の形態においては、高不純物濃度のダミーMQW光吸収層11を設けるという簡単な構成によって、画素密度を低減することなく且つ装置の全体構成を大きくすることなく、n型MQW第1光吸収層14とn型MQW第2光吸収層16との間のクロストークを効果的に低減することができる。
【0041】
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置を説明する。
図4(a)参照
まず、半絶縁性GaAs基板上に、MOVPE法によって、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層22、n型MQW第1光吸収層23、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層24、厚さが、0.2〜1.0μm、例えば、0.5μmのi型GaAs分離層25、ダミーMQW光吸収層26、厚さが、0.2〜1.0μm、例えば、0.5μmのi型GaAs分離層27、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層28、n型MQW第2光吸収層29、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層30を順次エピタキシャル成長させる。
【0042】
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて、n型GaAsコンタクト層30の表面に一次の回折格子31を形成し、次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、画素分離溝32を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによって半絶縁性GaAs基板に達する素子分離溝32を形成する。
【0043】
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて各画素33のn型GaAsコンタクト層30、n型GaAsコンタクト層28、n型GaAsコンタクト層24、及び、n型GaAsコンタクト層22に対するコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールの側壁をSiON膜で被覆したのち、Au・Ge/Niからなるオーミック電極を設ける。
なお、反射型回折格子31の表面には、例えば、Auからなる反射電極(図示を省略)を設けておく。
【0044】
最後に、半絶縁性GaAs基板をウェットエッチングして厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmのi型GaAsベース層21とすることによって、本発明の第2の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置の基本構成が完成する。
【0045】
図4(b)参照
図4(b)は、z方向、即ち、積層方向に沿ったバンドダイヤグラムであり、Γ伝導帯の底(Ec )のエネルギーを示している。
この場合のn型MQW第1光吸収層23は、上記の第1の実施の形態におけるn型MQW第1光吸収層14と同様に、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.25Ga0.75Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0046】
一方、ダミーMQW光吸収層26も、上記の第1の実施の形態におけるダミーMQW光吸収層11と同様に、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.30Ga0.70Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0047】
また、n型MQW第2光吸収層29も、上記の第1の実施の形態におけるn型MQW第2光吸収層16と同様に、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.35Ga0.65Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
なお、各MQW光吸収層のAlGaAsバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0048】
この第2の実施の形態における各光吸収層の光吸収特性は上記の第1の実施の形態と同様であるので、二波長量子井戸型赤外線検知装置全体としての光吸収特性としても、上記の第1の実施の形態と同様の特性が得られる。
【0049】
なお、この第2の実施の形態においては、ダミーMQW光吸収層26を、n型MQW第1光吸収層23とn型MQW第2光吸収層29との間に設けているため、ダミーMQW光吸収層26における光吸収に起因して発生する電子がn型MQW第1光吸収層23及びn型MQW第2光吸収層29へ漏れ出しその赤外線検知に影響を与えないようにするため、i型GaAs分離層25,27を設けている。
【0050】
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施の形態の三波長量子井戸型赤外線検出装置を説明する。
図5(a)参照
まず、半絶縁性GaAs基板(図示を省略)上に、MOVPE法によって、第1ダミーMQW光吸収層41、第2ダミーMQW光吸収層42、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmのi型GaAsベース層43、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層44、n型MQW第1光吸収層45、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層46、n型MQW第2光吸収層47、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層48、n型MQW第3光吸収層49、及び、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層50を順次エピタキシャル成長させる。
【0051】
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて、n型GaAsコンタクト層50の表面に一次の回折格子51を形成し、次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、画素分離溝19を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによってi型GaAsベース層43に達する素子分離溝52を形成する。
【0052】
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて各画素53のn型GaAsコンタクト層44、n型GaAsコンタクト層46、n型GaAsコンタクト層48、及び、n型GaAsコンタクト層50に対するコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールの側壁をSiON膜で被覆したのち、Au・Ge/Niからなるオーミック電極を設ける。
なお、反射型回折格子51の表面には、例えば、Auからなる反射電極(図示を省略)を設けておく。
【0053】
最後に、半絶縁性GaAs基板を第1ダミーMQW光吸収層41に達するまでウェットエッチングして除去することによって、本発明の第3の実施の形態の三波長量子井戸型赤外線検知装置の基本構成が完成する。
【0054】
この場合のn型MQW第1光吸収層45は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.25Ga0.75Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0055】
また、n型MQW第2光吸収層47は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.30Ga0.70Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0056】
また、n型MQW第3光吸収層49は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.35Ga0.65Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0057】
一方、第1ダミーMQW光吸収層41は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.27Ga0.73Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
【0058】
また、第2ダミーMQW光吸収層42は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.32Ga0.68Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものである。
なお、各MQW光吸収層のAlGaAsバリア層は、隣接するn型GaAsウエル層間において電子がトンネルしないように十分に厚く形成しておく。
【0059】
図5(b)参照
図5(b)は、本発明の第3の実施の形態の三波長量子井戸型赤外線検知装置の光吸収特性を示す図であり、図に示すように、n型MQW第1光吸収層45とn型MQW第2光吸収層47の赤外線吸収が重なっている領域の光は第1ダミーMQW光吸収層41によって吸収されるため、n型MQW第1光吸収層45及びn型MQW第2光吸収層47との間でクロストークが起こることがない。
【0060】
また、n型MQW第2光吸収層47とn型MQW第3光吸収層49の赤外線吸収が重なっている領域の光は第2ダミーMQW光吸収層42によって吸収されるため、n型MQW第2光吸収層47及びn型MQW第3光吸収層49との間でクロストークが起こることがない。
【0061】
次に、図6を参照して、本発明の第4の実施の形態の一波長量子井戸型赤外線検知装置を説明する。
図6(a)参照
まず、半絶縁性GaAs基板(図示を省略)上に、MOVPE法によって、第1ダミーMQW光吸収層61、第2ダミーMQW光吸収層62、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmのi型GaAsベース層63、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層64、n型MQW光吸収層65、及び、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層66を順次エピタキシャル成長させる。
【0062】
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて、n型GaAsコンタクト層66の表面に一次の回折格子67を形成し、次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、画素分離溝68を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによってi型GaAsベース層63に達する素子分離溝68を形成する。
【0063】
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて各画素69のn型GaAsコンタクト層64及びn型GaAsコンタクト層66に対するコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールの側壁をSiON膜で被覆したのち、Au・Ge/Niからなるオーミック電極を設ける。
なお、反射型回折格子67の表面には、例えば、Auからなる反射電極(図示を省略)を設けておく。
【0064】
最後に、半絶縁性GaAs基板を第1ダミーMQW光吸収層61に達するまでウェットエッチングして除去することによって、本発明の第4の実施の形態の一波長量子井戸型赤外線検知装置の基本構成が完成する。
【0065】
この場合の第1ダミーMQW光吸収層61は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.25Ga0.75Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、それによって、中心吸収波長はλa となる。
【0066】
また、第2ダミーMQW光吸収層62は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.35Ga0.65Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1019cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、それによって、中心吸収波長はλb となる。
【0067】
一方、n型MQW光吸収層65は、例えば、厚さが50nmでキャリア濃度が1×1016cm-3のn- 型Al0.30Ga0.70Asバリア層と、厚さが5.5nmでキャリア濃度が1×1018cm-3のn型GaAsウエル層とを、n型GaAsウエル層が20層になるように交互に堆積させて形成するものであり、その中心吸収波長λは、λa >λ>λb となる。
【0068】
図6(b)参照
図6(b)は、本発明の第4の実施の形態の一波長量子井戸型赤外線検知装置の光吸収特性を示す図であり、図に示すように、一点鎖線で示すn型MQW光吸収層65の吸収波長スペクトルの広がりの裾部分は、破線で示す第1ダミーMQW光吸収層61及び第2ダミーMQW光吸収層62の吸収波長スペクトル部で吸収されて、実線で示すような急峻な吸収波長スペクトルを示すことになる。
【0069】
この様に、本発明の第4の実施の形態においては、光吸収感度を高めるために比較的高濃度にドープしても、高濃度ドープに伴う吸収波長スペクトルの広がりを素子内においてカットすることができ、それによって、特定の波長のみを選択的に検知することができるので、シャープな波長感度を有する赤外線検知装置を構成することができる。
【0070】
以上、本発明の各実施例の形態を説明してきたが、本発明は各実施の形態に記載した構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記各実施の形態においては、各MQW光吸収層における吸収波長を、多重量子井戸を構成するバリア層のAl組成比によって制御しているが、ウエル層の層厚によって制御しても良いものである。
【0071】
或いは、多重量子井戸を構成するウエル層をAlGaAs層とし、ウエル層のAl組成比によって制御しても良いものであり、さらには、バリア層のAl組成比、ウエル層のAl組成比、及び、ウエル層の層厚を複合的に制御することによって各MQW光吸収層における吸収波長を制御しても良いものである。
【0072】
また、上記の各実施の形態においては、ダミーMQW光吸収層における光吸収効率を高めるために光検知部を構成するMQW光吸収層よりも高濃度にドープしているが、必ずしも必須ではなく、光検知部を構成するMQW光吸収層と同程度のドープ量でも良い。
【0073】
また、上記の第3及び第4の実施の形態においては、ダミーMQW光吸収層をi型GaAsベース層の裏面側に設けているが、上記の第2の実施の形態と同様に画素側に設けても良いものである。
【0074】
また、上記の第2の実施の形態においては、ダミーMQW光吸収層を光検知部を構成する2つのMQW光吸収層の間に設けているが、必ずしも2つのMQW光吸収層の間である必要はなく、i型GaAsベース層に接するように設けても良いものである。
【0075】
また、上記第1乃至第3の実施の形態においては、光検知部を構成する複数のMQW光吸収層を、i型GaAsベース層に近い側から、長波長から短波長になるように積層させているが、波長の積層順位は任意であり、また、3つ以上のMQW光吸収層を設ける場合にも、吸収波長の配列は任意である。
【0076】
また、上記の各実施の形態の説明においては、各MQW光吸収層におけるバリア層のAl組成及びウエル層の層厚を特定しているが、記載しているAl組成及び層厚は単なる一例であり、検知対象とする波長に応じた量子準位、サブバンドが形成されるように、バリア層の厚さ、組成比、及び、n型GaAsウエル層の厚さを適宜選択すれば良く、さらに、必要とするセンサ感度に応じてn型GaAsウエル層の層数を適宜選択すれば良い。
【0077】
また、上記の各実施の形態の説明においては、各MQW光吸収層をAlGaAs系の多重量子井戸構造によって構成しているが、GaAs/InGaAs系等の他のIII-V族化合物半導体による多重量子井戸構造を用いても良いものであり、使用する大面積基板に格子整合する材料系であれば良い。
【0078】
また、上記の各実施の形態の説明においては、量子井戸型赤外線検知装置を1個の画素として示しているが、実際には、この様な画素が二次元アレイ或いは一次元アレイとして配置されてものであるが、逆に、一個の赤外線検知素子単体として用いても良いものである。
【0079】
ここで、図1を参照して、本発明の詳細な構成を改めて説明する。
図1参照
(付記1) 1 つ以上の吸収波長をもつ光検知機構を有するとともに、バンドカットフィルタとして所定波長域の光を吸収する量子井戸構造光吸収層3を付加し、且つ、量子井戸構造光吸収層3をフローティング状態で光吸収層として作用させることを特徴とするサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記2) 上記光検知機構が1個の量子井戸構造光吸収層からなり、且つ、上記バンドカットフィルタが、前記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層の吸収波長の短波長側の領域を吸収波長とする量子井戸構造光吸収層と、光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層の吸収波長の長波長側の領域を吸収波長とする量子井戸構造光吸収層とによって構成されることを特徴とする付記1記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記3) 上記光検知機構が互いに吸収波長の異なるn個の量子井戸構造光吸収層1,2から構成され、且つ、上記バンドカットフィルタが(n−1)個の量子井戸構造光吸収層3から構成されることを特徴とする付記1記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記4) 上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2を支持するベース層7の裏面側に設けられていることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記5) 上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2に隣接して設けられていることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記6) 上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3の両側にノン・ドープ層を設けたことを特徴とする付記5記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記7) 上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層3の不純物濃度が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2の不純物濃度より大きいことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
(付記8) 上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層1,2の吸収波長領域が、赤外領域であることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、サブバンド間遷移量子井戸型光検知装置、特に、多波長量子井戸型赤外線検知装置において、不所望な波長域、特に、検知対象となる波長の中間波長域の赤外線を吸収する多重量子井戸型のバンドカットフィルタを設けているので、吸収波長の広がりを小さくし、多波長の場合には波長間のスペクトルクロストークを低減することができ、ひいては、高解像度の赤外線固体撮像装置の実用化に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置の構造説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置の光吸収特性の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の二波長量子井戸型赤外線検知装置の説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の三波長量子井戸型赤外線検知装置の説明図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の一波長量子井戸型赤外線検知装置の説明図である。
【図7】従来の二波長量子井戸型赤外線検知装置の説明図である。
【図8】従来の二波長量子井戸型赤外線検知装置の光吸収特性の説明図である。
【符号の説明】
1 量子井戸構造光吸収層
2 量子井戸構造光吸収層
3 量子井戸構造光吸収層
4 コンタクト層
5 コンタクト層
6 コンタクト層
7 ベース層
8 反射型回折格子
9 赤外線
11 ダミーMQW光吸収層
12 i型GaAsベース層
13 n型GaAsコンタクト層
14 n型MQW第1光吸収層
15 n型GaAsコンタクト層
16 n型MQW第2光吸収層
17 n型GaAsコンタクト層
18 反射型回折格子
19 画素分離溝
20 画素
21 i型GaAsベース層
22 n型GaAsコンタクト層
23 n型MQW第1光吸収層
24 n型GaAsコンタクト層
25 i型GaAs分離層
26 ダミーMQW光吸収層
27 i型GaAs分離層
28 n型GaAsコンタクト層
29 n型MQW第2光吸収層
30 n型GaAsコンタクト層
31 反射型回折格子
32 画素分離溝
33 画素
41 第1ダミーMQW光吸収層
42 第2ダミーMQW光吸収層
43 i型GaAsベース層
44 n型GaAsコンタクト層
45 n型MQW第1光吸収層
46 n型GaAsコンタクト層
47 n型MQW第2光吸収層
48 n型GaAsコンタクト層
49 n型MQW第3光吸収層
50 n型GaAsコンタクト層
51 反射型回折格子
52 画素分離溝
53 画素
61 第1ダミーMQW光吸収層
62 第2ダミーMQW光吸収層
63 i型GaAsベース層
64 n型GaAsコンタクト層
65 n型MQW光吸収層
66 n型GaAsコンタクト層
67 反射型回折格子
68 画素分離溝
69 画素
71 i型GaAsベース層
72 n型GaAsコンタクト層
73 n型MQW第1光吸収層
74 n型GaAsコンタクト層
75 n型MQW第2光吸収層
76 n型GaAsコンタクト層
77 反射型回折格子
78 画素分離溝
79 画素
80 赤外線
81 n- 型Alx Ga1-x Asバリア層
82 n型GaAsウエル層
83 第1量子準位
84 第2量子準位
85 電子
86 n- 型Aly Ga1-y Asバリア層
87 n型GaAsウエル層
88 第1量子準位
89 第2量子準位
90 電子

Claims (5)

1 つ以上の吸収波長をもつ光検知機構を有するとともに、バンドカットフィルタとして所定波長域の光を吸収する量子井戸構造光吸収層を付加し、且つ、前記量子井戸構造光吸収層をフローティング状態で光吸収層として作用させることを特徴とするサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
上記光検知機構が互いに吸収波長の異なるn個の量子井戸構造光吸収層から構成され、且つ、上記バンドカットフィルタが(n−1)個の量子井戸構造光吸収層から構成されることを特徴とする請求項1記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層を支持するベース層の裏面側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
上記バンドカットフィルタとして機能する量子井戸構造光吸収層の不純物濃度が、上記光検知機構を構成する量子井戸構造光吸収層の不純物濃度より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサブバンド間遷移量子井戸型光検知装置。
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