JP4935148B2 - 多波長量子井戸型赤外線検知器 - Google Patents

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Description

本発明は多波長量子井戸型赤外線検知器に関するものであり、特に、赤外線入射面とは反対側の素子表面に段差パターンと反射材を組み合わせた光散乱を目的としたいわゆる光結合器構造を有する多波長量子井戸型赤外検知器の光結合器構造の反射特性を検出対象となる複数の波長に対して高反射率にするための構成に特徴のある多波長量子井戸型赤外線検知器に関するものである。
近年、多重量子井戸におけるサブバンド間の遷移による光吸収を利用することにより10μm帯近傍の赤外線の検知を可能にした量子井戸型赤外線検知素子(Quantum Well Infrared Photodetector:QWIP)が利用されるようになった。
特に、GaAs系化合物半導体を用いたQWIPでは、材料加工技術が成熟していることや大面積化が可能なことから撮像デバイスとして用いられており、近年、撮像画像の高機能化のために2つの波長に感度を有する二波長量子井戸型赤外線検知素子(二波長QWIP)が使われるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
ここで、図6を参照して、従来の二波長QWIPについて基本的構成および原理を説明する。
図6参照
図6は、従来の二波長QWIPの概略的要部断面図であり、半絶縁性GaAs基板上に、n型GaAsコンタクト層72、n型MQW第1光吸収層73、n型GaAsコンタクト層74、n型MQW第2光吸収層75、及び、n型GaAsコンタクト層76を順次積層させたのち、n型GaAsコンタクト層76の表面に反射型回折格子77を形成する。
次いで、半絶縁性GaAs基板に達する画素分離溝78を形成して各画素に分離したのち、図示は省略するものの、SiON膜等の保護膜を形成し、次いで、Au膜を形成して反射膜とする。
次いで、n型GaAsコンタクト層72、n型GaAsコンタクト層74、及び、n型GaAsコンタクト層76にそれぞれ達する3つのコンタクトホールを形成し、コンタクトホールの側面を絶縁膜で被覆したのち、コンタクトホールの内部をAu・Ge/Niからなる導電性部材で埋め込むことによってn型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75に対するコンタクト電極を形成し、最後に半絶縁性GaAs基板の裏面をウェットエッチングして薄層化することによってi型GaAsベース層71とする。
この様な撮像デバイスにおいて、赤外線79の電磁界ベクトルはn型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層の積層方向に対して平行なため、n型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層は入射光に対して感度を持たない。
そこで反射型回折格子77を利用した光結合器で入射光を散乱させてMQW構造に垂直な電磁界成分を持たせることによって感度を得るものである。
入射した赤外線79は、n型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75で吸収されずにn型GaAsコンタクト層76の表面まで到達し、反射型回折格子77により反射および回折され、n型MQW第1光吸収層73及びn型MQW第2光吸収層75を斜めに横切るときに吸収される。
この時、回折格子77の段差は入射光の波長の1/4となるようにすると最も効率が良いことが知られている。
MQW光吸収層を1回横切るときの赤外線吸収率は数%程度であるため、赤外線79は画素中で何度か反射された後、n型MQW第1光吸収層73或いはn型MQW第2光吸収層75に吸収されることとなる。
この場合、n型MQW第1光吸収層73を構成するバリア層のバンド・ギャップをn型MQW第2光吸収層75を構成するバリア層のバンド・ギャップより小さくすることによって、n型MQW第2光吸収層75の吸収波長λ2 をn型MQW第1光吸収層73の吸収波長λ1 より短波長とし、互いに異なった吸収波長λ1 ,λ2 を持つようにしている。
この様に、赤外線の吸収に伴ない励起されたキャリア、即ち、電子は、各MQW光吸収層の両端にn型GaAsコンタクト層を介して独立にバイアスを加えることにより井戸の外へ放出され、電流として外部に取り出すことができ、それによって、MQW光吸収層により特定の二波長の吸収波長をもつ赤外線を独立に検知することが可能となる。
なお、この場合、二つのMQW光吸収層はそれぞれ感度波長が異なるものであるので、当然それぞれに最適な光結合器構造が存在することになる。
特開2003−179249号公報
しかし、上述のように、光結合器の段差は波長の1/4が最適であるため、検知対象となる二つの波長に大きな違いがあると、両波長に対して共に最適な光結合器を形成することができないという問題がある。
例えば、従来の光結合器構造では、長短どちらかの波長に対して最適な結合器構造とするか、それらの中間の値を採用するしかなく、長短両波長に対して最適な構造の光結合器とすることは不可能であった。
本発明は、長短両波長に対して最適な構造の光結合器を構成して長短両波長に対する検出感度を向上することを目的とする。
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層1,2を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターン5からなる光結合器構造4を備えた多波長量子井戸型赤外線検出装置であって、段差パターン5の段差の高い部分の素子表面上にのみ相対的に長波長光だけを透過し相対的に短波長光を反射する性質を持つフィルタ材6を設けるとともに、フィルタ材6を含む段差パターン5全面に入射光を全て反射する膜を設け、段差パターン5の底面から反射が起こるフィルタ材6あるいは反射膜10までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4であることを特徴とする。
このように構成した光結合器では、段差パターン5とフィルタ材6との組合せによって二通りの回折格子を構成することになり、入射光の短波長成分は素子表面側の半導体3とフィルタ材6との界面で反射されて、短波長用回折格子で散乱を受け、一方、長波長成分はフィルタ材6を透過して反射膜10で反射するので、長波長用回折格子によって散乱される。
したがって、長短の二つの波長に対して共に最適なグレーティングサイズとすることが可能になり、一方もしくは両方の波長帯に対する性能を犠牲にすることなく、多波長QWIPを構成することが可能になる。
なお、「おおよそ1/4」とは数学的に厳密に1/4である必要がないことを意味し、例えば、1/4の場合の反射率の80%の反射率が得られる範囲であれば良い。
この場合、フィルタ材6を反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造とし、各フィルタ要素7の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど長波長とすることによって、三波長以上の多波長に対応することができる。
或いは、段差パターン5の段差の低い部分の素子表面上にのみ相対的に短波長光だけを透過し相対的に長波長光を反射する性質を持つフィルタ材6を設けるとともに、フィルタ材6を含む段差パターン5全面に入射光を全て反射する膜を設け、段差パターン5の底面から反射が起こるフィルタ材6あるいは反射膜10までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4とすようにしても良い。
このように構成した光結合器でも、段差パターン5とフィルタ材6との組合せによって二通りの回折格子を構成することになり、入射光の長波長成分は素子表面側の半導体3とフィルタ材6との界面で反射されて、長波長用回折格子で散乱を受け、一方、短波長成分はフィルタ材6を透過して反射膜10で反射するので、短波長用回折格子によって散乱される。
この場合にはフィルタ材6を反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造とし、各フィルタ要素7の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど短波長とすることによって、三波長以上の多波長に対応することができる。
また、波長領域に対するフィルタ材6は、入射面に近い側の第1光透過膜8と入射面に遠い側の第2光透過膜9から構成するとともに、第1光透過膜8の屈折率n2 と第2光透過膜9の屈折率n3 を、第1光透過膜8に接する光透過膜の屈折率をn1 とした場合、
1 >n2 <n3
とすることが望ましく、それによって、反射率を高めることができる。
なお、第1光透過膜8に接する光透過膜は、二波長QWIPの場合には素子表面側の半導体3となる。
なお、第1光透過膜8としては低屈折率のLiF(nliF =1.39)が特に望ましく、また、第2光透過膜9としては高屈折率のGe(nGe=4.01)が特に望ましい。
本発明によれば、光結合器を段差パターンとフィルタ材との組合せによって二通り或いはそれ以上の回折格子を構成するようにしているので、長短の二つ或いはそれ以上の波長に対して共に最適なグレーティングサイズとすることが可能になり、一方もしくは複数の波長帯に対する性能を犠牲にすることなく、多波長QWIPを構成することが可能になる。
本発明は、感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターンからなる光結合器構造を構成する際に、段差パターンの段差の高い部分の素子表面上にのみ相対的に長波長光だけを透過し相対的に短波長光を反射する性質を持つフィルタ材、典型的には反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造からなり、各フィルタ要素の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど長波長としたフィルタ材を設けるとともに、フィルタ材を含む段差パターン全面に入射光を全て反射する膜を設け、段差パターンの底面から反射が起こるフィルタ材あるいは反射膜までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4とするものである。
ここで、光結合器構造の反射特性を説明するが、例えば、短波長側のピーク感度波長3μm、長波長側ピーク感度波長8.5μmとし、フィルタ材をLiFとGeとの積層構造とし、QWIPの表面をGaAsとして説明する。
図2参照 図2は、Ge/LiF/GaAs構造の場合のGaAs/LiF界面での反射率特性図であり、ここではLiFの厚さdLiF 、Geの厚さdGeをそれぞれ0.55μm、0.15μmとした場合の反射率R0 の波長依存性を示している。
図から明らかなように、3μm近傍の波長において80%以上の反射率が得られる。
図3参照 図3は、Ge/LiF/GaAs構造の場合の光結合器構造の説明図であり、フィルタ材12が、LiF13とGe14とからなり、GaAs/LiF界面で形成される短波長用回折格子17と段差パターン15の表面に設けた反射膜16によって形成される長波長用回折格子18とからなる。
ここで、GaAs11の凸部の厚さをdGaAs、フィルタ材12の厚さをdf (=dLiF +dGe)とすると、短波長用回折格子17の段差はdGaAsとなり、一方、長波長用回折格子18の段差はdGaAs+df (=dGaAs+dLiF +dGe)となる。
また、短・長波長側のピーク感度波長をそれぞれλS 、λL とし、GaAs、LiF、Geの屈折率をそれぞれnGaAs、nLiF 、nGeとすると、短波長側の回折格子の最適条件は、
GaAs×dGaAs=λS /4 ・・・(1)
一方の長波長側の回折格子の最適条件は、
GaAs×dGaAs+nLiF ×dLiF +nGe×dGe=λL /4 ・・・(2)
となる。
上記の式(2)に式(1)を代入することによって、 nLiF ×dLiF +nGe×dGe=(λL −λS )/4 ・・・(3)
が得られる。
ここで、nLiF 、nGeをそれぞれ、1.39,4.01として、dLiF ,dGeを上述のように0.55μm,0.15μmとし、λS ,λL を上述のように3μm,8.5μmとすると、
LiF ×dLiF +nGe×dGe=1367.2〔nm〕
≒(λL −λS )/4=1375〔nm〕・・・(4)
となり、上記の式(3)がほぼ満たされることになり、長短の両方の波長に対して良好な回折格子が形成されていることが分かる。
或いは、光結合器構造を構成する際に、段差パターンの段差の低い部分の素子表面上にのみ相対的に短波長光だけを透過し相対的に長波長光を反射する性質を持つフィルタ材、典型的には反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造からなり、各フィルタ要素の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど短波長としたフィルタ材を設けるとともに、フィルタ材を含む段差パターン全面に入射光を全て反射する膜を設け、段差パターンの底面から反射が起こるフィルタ材あるいは反射膜までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4とするものである。
図4参照 図4は、短波長透過フィルタ材を用いた光結合器構造の説明図であり、フィルタ材22が、低屈折率部材23と高屈折率部材24とからなり、半導体21/低屈折率部材23の界面で形成される短波長用回折格子27と段差パターン25の表面に設けた反射膜26によって形成される長波長用回折格子28とからなる。
この場合も、短波長透過フィルタ材料の材料と厚さを適宜組み合わせることによって、長波長光を半導体/低屈折率部材界面で反射するように構成すれば良い。
即ち、低屈折率部材23の屈折率をnL ,厚さをdL 、高屈折率部材24の屈折率をnH ,厚さをdH 、半導体21の突出部の厚さをdS ,屈折率をnS とすると、上記の式(1)及び式(2)と同様に、
S ×dS =λL /4
S ×dS −nL ×dL −nH ×dH =λS /4
となる。
したがって、式(3)と同様に、
(λL −λS )/4=nL ×dL +nH ×dH
の関係をほぼ満たすように、波長λL ,λS に応じて低屈折率部材23の(nL ,dL )と高屈折率部材24の(nH ,dH )の組合せを選択すれば良い。
ここで、図5を参照して、本発明の実施例1の二波長QWIPの製造工程を説明する。 図5参照
図5は、本発明の実施例1の二波長QWIPの概略的要部断面図であり、まず、半絶縁性GaAs基板(図示を省略)上に、MOVPE法(有機金属気相成長法)によって、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmのi型GaAsベース層31、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層32、n型MQW第1光吸収層33、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層34、n型MQW第2光吸収層35、厚さが、0.5〜2.0μm、例えば、1.0μmで、キャリア濃度が1×1017〜5×1018cm-3、例えば、1×1018cm-3のn型GaAsコンタクト層36を順次エピタキシャル成長させる。
なお、ここでは、n型MQW第1光吸収層33は、ピーク感度が8.5μmになるように、障壁層と井戸層の禁制帯幅及び膜厚を調整し、一方、n型MQW第2光吸収層35は、ピーク感度が3μmになるように、障壁層と井戸層の禁制帯幅及び膜厚を調整する。
次いで、スパッタリング法を用いて厚さが、例えば、0.55μmのLiF膜37及び厚さが、例えば、0.15μmのGe膜38を順次堆積させる。
次いで、全面にフォトレジストを塗布したのち、干渉露光法を用いて回折格子パターン(図示を省略)を形成し、この回折格子パターンをマスクとして、Ge膜38乃至n型GaAsコンタクト層36の表面に一次の回折格子39を形成する。
この時、回折格子39の凸部に残存するGe膜38/LiF膜37の積層構造が3μm近傍の短波長に対しては反射材となり、且つ、8μm近傍の長波長に対しては長波長透過フィルタ材40として作用する。
また、回折格子39の凹凸の深さは、n型GaAsコンタクト層36に形成される段差dGaAsが、上述のdGaAs×nGaAs=λS /4の関係をほぼ満たすように形成する。
次いで、全面にSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程によって、画素分離溝41を形成するための開口部を有するSiONマスク(図示せず)を形成し、このSiONマスクをマスクとしてウェット・エッチングを施すことによってi型GaAsベース層31に達する画素分離溝41を形成する。
次いで、SiONマスクを除去したのち、全面に新たにSiON膜(図示せず)を設け、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて各画素のn型GaAsコンタクト層32、n型GaAsコンタクト層34、及び、n型GaAsコンタクト層36に対するコンタクトホールを形成し、次いで、コンタクトホールの側壁をSiON膜で被覆したのち、Au・Ge/Niからなるオーミック電極(図示は省略)を設ける。
なお、回折格子39の表面には、例えば、Auからなる反射膜42を設けておく。
最後に、半絶縁性GaAs基板をウェットエッチングして除去することによって、本発明の実施例1の二波長QWIPの基本構成が完成する。
この実施例1においては、3μm近傍の短波長はn型GaAsコンタクト層36/長波長フィルタ材40の界面で反射されるので、n型GaAsコンタクト層36自体に設けた段差dGaAsの凹凸構造が3μm帯の赤外線に対する短波長用回折格子として作用する。
一方、8μm近傍の長波長は長波長フィルタ材を透過するので、反射膜42で形成される段差(dGaAs+0.55μm+0.15μm)の凹凸構造が8μm帯近傍の赤外線に対する長波長用回折格子として作用する。
したがって、回折格子39、反射膜42、及び、長波長透過フィルタ材40で構成される光結合器構造は、3μm帯の短波長赤外線に対しても8μm帯の長波長赤外線に対しても良好な1次の回折格子として作用するので、入射してきた長短両方の波長の赤外線を高効率で反射・拡散することができる。
以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明は実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、実施例においては、説明を簡単にするために、LiF(0.55μm)/Ge(0.15μm)の反射特性に合わせるために、短波長を3μm、長波長を8.5μmとしているが、これは単なる一例であり、LiF/Geの各膜厚を変えることによって他の波長の組合せに適用できることは言うまでもない。
また、上記の実施例の説明においては、低屈折率透明膜をLiFで構成し、高屈折率透明膜をGeで構成しているが、これらの材料に限られるものではなく、例えば、低屈折率透明膜としてはYF3 、Y2 3 を、また、高屈折率透明膜としてはSi、ZnSを用いても良いものである。
また、上記の実施例の説明においては、GaAs/AlGaAs系のQWIPとして説明しているが、GaAs/AlGaAs系に限られるものではなく、InGaAs/GaAs系等の他の材料系にも適用されるものである。
また、上記の説明においては、フィルタ材を長波長透過フィルタとしているが、フィルタ材は短波長透過フィルタで構成しても良いものである。
但し、この場合には、回折格子の反射特性は回折格子の段差によって規定されるので、図4に示したように、n型GaAsコンタクト層等の最表面の半導体層に長波長用回折格子を形成したのち、凹凸パターンの凹部に短波長透過フィルタ材を所定の厚さに堆積させれば良い。
或いは、最表面の半導体層に短波長透過フィルタ材からなる周期的パターンを形成したのち、露出している半導体層上に長波長用回折格子を形成する高さの半導体層を選択成長させて凹凸パターンを形成しても良いものである。
例えば、短波長透過フィルタ材を上述のLiF(0.55μm)/Ge(0.15μm)で構成した場合、長波長を3μmとし、短波長を1.5μmとすれば、長短両方の波長に対して良好な反射特性を有する回折格子を形成することができる。
なお、1.5μmの赤外線をサブバンド間遷移で検出するためには短波長用QWIPをGaN系半導体等で構成すれば良い。
また、上記の実施例においては、光結合器構造に近い側を短波長用QWIPとしているが、積層順序は任意であり、光結合器構造に近い側を長波長用QWIPとしても良いものである。
また、上記の実施例においては、二波長検出器として説明しているが、二波長以上の多波長検出器にも適用されるものであり、フィルタ材の構成を反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造にすることによって、各フィルタ要素7の界面で反射される波長帯と透過する波長帯を調整し、各波長λに対してλ/4の関係をほぼ満たす複数の回折格子が形成されるようにすれば良い。
また、上記の実施例においては、一次元アレイ状或いは二次元アレイ状の赤外線撮像装置を構成する一画素として説明しているが、撮像装置に限られるものではなく、単独の赤外線検出器の構成にも適用されることは言うまでもない。
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層1,2を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターン5からなる光結合器構造4を備えた多波長量子井戸型赤外線検出装置であって、前記段差パターン5の段差の高い部分の素子表面上にのみ相対的に長波長光だけを透過し相対的に短波長光を反射する性質を持つフィルタ材6を設けるとともに、前記フィルタ材6を含む段差パターン5全面に入射光を全て反射する膜を設け、前記段差パターン5の底面から反射が起こるフィルタ材6あるいは反射膜10までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4であることを特徴とする多波長量子井戸型赤外線検出装置。
(付記2) 上記フィルタ材6が反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造からなり、前記各フィルタ要素7の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど長波長となっていることを特徴とする付記1記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
(付記3) 感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層1,2を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターン5からなる光結合器構造4を備えた多波長量子井戸型赤外線検出装置であって、前記段差パターン5の段差の低い部分の素子表面上にのみ相対的に短波長光だけを透過し相対的に長波長光を反射する性質を持つフィルタ材6を設けるとともに、前記フィルタ材6を含む段差パターン5全面に入射光を全て反射する膜を設け、前記段差パターン5の底面から反射が起こるフィルタ材6あるいは反射膜10までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4であることを特徴とする多波長量子井戸型赤外線検出装置。
(付記4) 上記フィルタ材6が反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素7の積層構造からなり、前記各フィルタ要素7の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど短波長となっていることを特徴とする付記3記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
(付記5) 各波長領域に対するフィルタ材6を、入射面に近い側の第1光透過膜8と入射面に遠い側の第2光透過膜9から構成するとともに、前記第1光透過膜8の屈折率n2 と前記第2光透過膜9の屈折率n3 を、前記第1光透過膜8に接する光透過膜の屈折率をn1 とした場合、
1 >n2 <n3
とすることを特徴とする付記2または4に記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
(付記6) 上記第1光透過膜8がLiFからなり、且つ、上記第2光透過膜9がGeからなることを特徴とする付記5記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
本発明の活用例としては、3〜9μm帯の二波長QWIPが典型的なものであるが、二波長以上の多波長QWIPにも適用されるものであり、さらには、3μm以下の短波長、或いは、9μm以下の長波長の多波長QWIPにも適用されるものである。
本発明の原理的構成の説明図である。 Ge/LiF/GaAs構造の場合のGaAs/LiF界面での反射率特性図である。 Ge/LiF/GaAs構造の場合の光結合器構造の説明図である。 短波長透過フィルタ材を用いた光結合器構造の説明図である。 本発明の実施例1の二波長QWIPの概略的要部断面図である。 従来の二波長QWIPの概略的要部断面図である。
符号の説明
1 多重量子井戸構造光吸収層
2 多重量子井戸構造光吸収層
3 素子表面側の半導体
4 光結合器構造
5 段差パターン
6 フィルタ材
7 フィルタ要素
8 第1光透過膜
9 第2光透過膜
10 反射膜
11 GaAs
12 フィルタ材
13 LiF
14 Ge
15 段差パターン
16 反射膜
17 短波長用回折格子
18 長波長用回折格子
21 半導体
22 フィルタ材
23 低屈折率部材
24 高屈折率部材
25 段差パターン
26 反射膜
27 短波長用回折格子
28 長波長用回折格子
31 i型GaAsベース層
32 n型GaAsコンタクト層
33 n型MQW第1光吸収層
34 n型GaAsコンタクト層
35 n型MQW第2光吸収層
36 n型GaAsコンタクト層
37 LiF膜
38 Ge膜
39 回折格子
40 長波長透過フィルタ材
41 画素分離溝
42 反射膜
71 i型GaAsベース層
72 n型GaAsコンタクト層
73 n型MQW第1光吸収層
74 n型GaAsコンタクト層
75 n型MQW第2光吸収層
76 n型GaAsコンタクト層
77 反射型回折格子
78 画素分離溝
79 赤外線

Claims (5)

  1. 感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターンからなる光結合器構造を備えた多波長量子井戸型赤外線検出装置であって、前記段差パターンの段差の高い部分の素子表面上にのみ相対的に長波長光だけを透過し相対的に短波長光を反射する性質を持つフィルタ材を設けるとともに、前記フィルタ材を含む段差パターン全面に入射光を全て反射する膜を設け、前記段差パターンの底面から反射が起こるフィルタ材あるいは反射膜までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4であることを特徴とする多波長量子井戸型赤外線検出装置。
  2. 上記フィルタ材が反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素の積層構造からなり、前記各フィルタ要素の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど長波長となっていることを特徴とする請求項1記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
  3. 感度波長が異なる複数の多重量子井戸構造光吸収層を積層して1画素で複数の波長帯に対して感度を有するとともに、赤外光入射面の反対側の素子表面に設けた段差パターンからなる光結合器構造を備えた多波長量子井戸型赤外線検出装置であって、前記段差パターンの段差の低い部分の素子表面上にのみ相対的に短波長光だけを透過し相対的に長波長光を反射する性質を持つフィルタ材を設けるとともに、前記フィルタ材を含む段差パターン全面に入射光を全て反射する膜を設け、前記段差パターンの底面から反射が起こるフィルタ材あるいは反射膜までの材料中の光路長が反射を起こす光の波長のおおよそ1/4であることを特徴とする多波長量子井戸型赤外線検出装置。
  4. 上記フィルタ材が反射・透過特性が互いに異なる複数のフィルタ要素の積層構造からなり、前記各フィルタ要素の透過光の波長域が入射面から遠い側ほど短波長となっていることを特徴とする請求項3記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
  5. 各波長領域に対するフィルタ材を、入射面に近い側の第1光透過膜と入射面に遠い側の第2光透過膜から構成するとともに、前記第1光透過膜の屈折率n2 と前記第2光透過膜の屈折率n3 を、前記第1光透過膜に接する光透過膜の屈折率をn1 とした場合、
    1 >n2 <n3
    とすることを特徴とする請求項2または4に記載の多波長量子井戸型赤外線検出装置。
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