JP2009117499A - 受光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速かつ高感度な面入射型フォトダイオードを提供することにある。
【解決手段】 斜面反射部を用いて光路を変換し、光吸収層に斜め方向に光信号を入射することにより、実効的吸収層厚を増大させ、高感度化を図る。さらに、受光部上部に回折格子またはフォトニック結晶反射部により、入射方向と逆方向に反射させ、受光部領域を増大することなく、さらなる高感度化を図る。
【選択図】 図5

Description

本発明は受光素子に関し、特に受光素子の高感度化に関し、例えば、光通信における信号受信用のPINフォトダイオードに利用して効果的技術に関する。
化合物半導体を用いた半導体受光素子は、光通信用素子など広く用いられている。この光通信用受光素子の一例として、InGaAs PINフォトダイオードがあげられる。ここでPINフォトダイオードは、p型半導体、アンドープ半導体、n型半導体から構成される。入力光が入射されると、バイアス電界のかかったアンドープの半導体層で吸収された後、電子と正孔に変換され、電気信号として検出される。光通信の伝送容量の増大により、動作速度の高速化が期待されている。
PINフォトダイオードを高速動作させる方法として、二つ存在する。一つは、アンドープの吸収層の厚さを薄くすることである。光が吸収されて生成された電子と正孔は、アンドープの吸収層を走行(横断)して電流として検出される。従って、この走行距離が短ければ短いほど、短時間で電流に変換されることになり、高速動作が可能になる。もう一つは、受光面積(受光面積とは即ち、接合面積をいう。ここで接合面積とはアンドープの吸収層とその上下のn,pドープ層との接合面積をいう。)を小さくすることで、接合面積の容量(C)を小さくし、CR時定数による遅延時間を小さくする。
上記、高速動作の方法の中で、吸収層を薄くする方法は、感度を劣化させることになる。特に、面型フォトダイオードのように、光信号を吸収層に垂直に入射するフォトダイオードでは、吸収層の厚さが薄くなると、感度が劣化する。
この動作速度と感度のトレードオフを解決する方法として、導波路型フォトダイオードがある。導波路型フォトダイオードでは、光信号は吸収層端面から入射され、光は吸収層に沿って(平行)導波する。従って、この場合、吸収層が薄くなっても、感度の劣化は小さく抑えられる。しかし、導波路型フォトダイオードの場合、通常のフラットエンドのシングルモードファイバと導波路との光結合が小さく、結合効率を含んだ感度としては、面型フォトダイオードより悪くなる。これを解決する方法として、先球ファイバなどを用いることもできるが、実用化(製品化)を考えた場合、先球ファイバは高価であり、さらに光学的位置合せトレランスは1μm以下と小さく、パッケージングなどの実装が困難になる。基本的に、導波路型フォトダイオードのパッケージングには、BOX型と呼ばれるものが使われ、面型フォトダイオードに使われるCAN型と比較して高価である。
面型フォトダイオードにおける、吸収層の膜厚が薄くなることで感度が劣化することを回避する方法として、斜め入射の方法がある。この方法では、光信号は、受光部(吸収層)に隣接する付近に設けられた反射構造(斜面反射部分)で反射され、吸収層に対して垂直方向から斜めに傾いた角度で吸収層に入射する。このように斜めに入射した場合、光が吸収層を伝播する長さは、垂直に入射した場合と比べて長くなり、吸収率が高くなり、その結果、感度が高くなる。図1に示すように、吸収層に角度θ(吸収層に平行な軸からの角度)で入射した場合、吸収層内の光路長は、1/sinθ倍になる。例えば、角度θが30度の場合、実効的な吸収層の厚さは2倍となる。
特許文献1開示の発明では、基板(裏面)から入射した光が、形成されたV溝の斜面を反射部として用いることで、吸収層に斜め方向から入射する構成になっている。ここでは、吸収層への斜め入射に加えて、光は吸収層を一度伝播した後に、フォトダイオードの最上部に設けられた電極から反射し、再び、吸収層に上部斜め方向から入射する構成になっている。従って、実効的な吸収層の厚さは、さらに2倍の改善は期待できる(入射角30度の場合、実効的な吸収層の厚さは4倍)。
特許文献2開示の発明では、表面から入射した光が斜面部で屈折し、基板上に設けられた反射部に反射し、上部に設けられた受光部の吸収層に斜め方向から入射する構成になっている。
特開2000-150923号公報 特開2005-294669号公報
特許文献1では、基板(裏面)から入射した光が、光が吸収層を一度伝播した後に、フォトダイオードの最上部に設けられた電極から反射し、再び、吸収層に上部斜め方向から入射する構成になっている。この場合、反射した光が吸収される領域(領域B)は、反射する前の光の吸収領域(領域A)とは異なる領域(大きさは同じ)であるため、光の吸収領域は2倍に広くなる(図2参照)。この吸収領域の増大は、感度の向上をもたらす一方、接合容量の増大をもたらすため、動作速度の低下を引き起こす。図11に、光の吸収領域が2倍になった場合の動作帯域の劣化を示す計算結果を示す。図11は、動作帯域の吸収層厚依存性の計算結果を示している。(B)は(A)に比べて、光の吸収領域が2倍になることで、接合容量が増大し、最大動作帯域が44GHzから32GHzに劣化している。
特許文献2では、斜面部と基板上の反射部を用いて(光の屈折と反射)、表面入射した光を、受光部の吸収層に斜め下方向から入射する構成になっている。この場合、基板上に設けられる反射部は、半導体多層膜からなる分布ブラッグ反射鏡(Distributed Bragg Reflector: DBR)構造である。一般に、光通信用フォトダイオードの基板はInPが使用されるが、GaAs基板の場合と比較して、InP基板上に作成できるDBRを構成する材料の屈折率差は大きくできないため、DBRの反射率は小さくなる。反射率を大きくするには、層数を増やすことが考えられるが、結晶成長技術の観点から限界がある。
特許文献1開示の発明における課題を解決するためには、受光部の上部に位置する反射部によって反射された光が、入射した方向と逆の方向へ(換言すれば、入射した光路と実質的に同じ光路を逆方向に)戻るようにすればよい。そのために例えば、入射光のうち、吸収層に対して平行な方向の光の波長成分の4分の1の周期を有する回折格子を配置する。例えば、波数kの光が、角度θ(ここで、角度θの定義は図1と同じ)で入射する場合を考える。この場合、層に平行方向のk成分はk・cosθとなり、実効的な波長は,θt=θ/cosθとなる。従って、周期がθt/4の回折格子を用いれば、反射により層に平行方向の光の波数ベクトルは(kt)進行方向と逆の方向になる。一方、垂直成分(kz)も、回折格子上に金属反射器を配置することで反転させることができるため、ほぼ入射方向(ki)と逆の方向(kr)に光を戻すことが可能となる(図3参照)。
上記「発明が解決しようとする課題」の欄で述べた、反射による吸収領域の増大(接合容量の増大)を解決するためには、吸収層に斜め下から入射した光を、吸収層に対して垂直軸から90度以内の領域に、入射方向に対して逆方向に戻すように反射させればよい(図13参照)。
特許文献2における課題を解決するためには、表面から入射した光を、受光部の隣接する部分に設けた斜面反射構造に入射し、全反射により斜め上方向に光路を変換し、受光部の吸収層に対して斜め方向に入射させ、実効的な吸収層厚を増大させる(図4)。この場合、入射光と斜面反射部の斜面との角度関係が全反射条件を満たすようにすることにより、100%の反射率で光路が変換される。この方法は、特許文献2で示されているような、屈折と100%の反射率が期待できない反射部を用いた光路変換に比べて、ほぼ損失のない光路変換が可能となる。
本発明によれば、面入射型フォトダイオードにおいて、高速かつ高感度なフォトダイオードが実現できる。
(実施例1)
図5を用いて、本発明における、斜面反射部と回折格子を用いた表面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する。
本フォトダイオードは、例えばInPの基板9に形成された斜面反射部1と、p電極2と回折格子3とInGaAs光吸収層4からなる受光部5と、n電極6から構成される。表面から垂直方向に入射した光7は、斜面反射部1で全反射され、光路が斜め上方向に変換され、受光部5内の光吸収層に斜め下方向から入射する。この斜め入射した光は、光吸収層4を伝播した後、受光部5の上部に設けられた回折格子とp電極2により、入射した方向とは逆の方向に反射され、再び光吸収層4で吸収される。
斜面反射部1の斜面角度8の下限は、光7が斜面に入射した時全反射される条件で決まる。この条件は、基板の屈折率をn、基板の外側を空気(すなわち、屈折率1)とすると、斜面角度8はθ>sin-1(1/n)となる。斜面角度8の上限は、光路を上方向に変換することを考えると、容易にθ<45度が条件となることがわかる(45度で、光路は層と平行になる)。以上まとめると、斜面角度8の満足しなければならない条件は、sin-1(1/n)<θ<45度となる。基板をInP(屈折率n=3.21)とすると、18.15度<θ<45度となる。斜面角度8を37.5度とした場合、InGaAs光吸収層への入射角は約30度となり、一回通過の場合の実効的な吸収層厚は約2倍となる。
回折格子3に関しては、「課題を解決するための手段」の欄で述べた通り、回折格子の周期は、吸収層に対して平行な入射光の波長成分の1/4となるように形成する。p電極2は、金属反射器の機能も有するように、反射率の高いTi/Au/Ti/Pt/AuまたはTi/Au/Ti/Pt/Auなどで形成する。
ここで、コンタクト部分を除いて、特に回折格子部分では、半導体と金属の間に、SiNまたはSiO2などの絶縁層を挟むことで、高反射率を実現する。
回折格子の偏波依存性を低減するため、図6(上:上部から見た図、下:断面図)に示すような、リング状の2次元回折格子10を使用してもよい。
(実施例2)
図7を用いて、本発明における、斜面反射部と回折格子を用いた裏面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する。
本フォトダイオードは、例えばInPの基板9に形成された斜面反射部1と、p電極2と回折格子3とInGaAs光吸収層4からなる受光部5と、n電極6から構成される。裏面から垂直方向に入射した光7は、斜面反射部1で全反射され、光路が変換され、受光部5内の光吸収層に斜め下方向から入射する。この斜め入射した光は、光吸収層4を伝播した後、受光部5の上部に設けられた回折格子とp電極2により、入射した方向とは逆の方向に反射され、再び光吸収層4で吸収される。
斜面反射部の角度8(即ち、θ)に関しては、全反射条件から、θ>sin-1(1/n)となる。この場合、実施例の斜面角度と定義が異なるので注意。斜面角度8を55度とした場合、InGaAs光吸収層への入射角は約33度となり、一回通過の場合の実効的な吸収層厚は約2倍となる。
回折格子3に関しては、実施例1で述べた通り、回折格子の周期は、吸収層に対して平行な入射光の波長成分の1/4となるように形成する。p電極2は、金属反射器の機能も有するように、反射率の高いTi/Au/Ti/Pt/AuまたはTi/Au/Ti/Pt/Auなどで形成する。ここで、コンタクト部分を除いて、特に回折格子部分では、半導体と金属の間に、SiNまたはSiO2などの絶縁層を挟むことで、高反射率を実現する。
回折格子の偏波依存性を低減するため、図6(上:上部から見た図、下:断面図)に示すような、リング状の2次元回折格子10を使用してもよい。
(実施例3)
図8を用いて、本発明における、斜面反射部とフォトニック結晶反射部を用いた表面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する。
本フォトダイオードは、例えばInPの基板9に形成された斜面反射部1と、p電極2とフォトニック結晶11とInGaAs光吸収層4からなる受光部5と、n電極6から構成される。表面から垂直方向に入射した光7は、斜面反射部1で全反射され、光路が斜め上方向に変換され、受光部5内の光吸収層に斜め下方向から入射する。この斜め入射した光は、光吸収層4を伝播した後、受光部5の上部に設けられた回折格子とp電極2により、入射した方向とは逆の方向に反射され、再び光吸収層4で吸収される。
実施例1で述べたように、斜面角度8の満足しなければならない条件は、sin-1(1/n)θ<θ<45度となる。基板をInP(屈折率n=3.21)とすると、18.15度<θ<45度となる。 斜面角度8を37.5度とした場合、InGaAs光吸収層への入射角は約30度となり、一回通過の場合の実効的な吸収層厚は約2倍となる。
フォトニック結晶11に関しては、円孔型三角格子(図9)などにより、入射光のフォトニック結晶面に平行な波長成分に対して、図12に示すように、入射光の周波数がフォトニックバンドギャップ内になるように、円孔12の直径、円孔配列の周期を決定する。図12は、円孔型三角格子構造を有するフォトニック結晶構造の分散曲線の計算結果の一例である。
(実施例4)
図10を用いて、本発明における、斜面反射部とフォトニック結晶反射部を用いた裏面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する。
本フォトダイオードは、例えばInPの基板9に形成された斜面反射部1と、p電極2とフォトニック結晶11とInGaAs光吸収層4からなる受光部5と、n電極6から構成される。表面から垂直方向に入射した光7は、斜面反射部1で全反射され、光路が斜め上方向に変換され、受光部5内の光吸収層に斜め下方向から入射する。この斜め入射した光は、光吸収層4を伝播した後、受光部5の上部に設けられた回折格子とp電極2により、入射した方向とは逆の方向に反射され、再び光吸収層4で吸収される。
フォトニック結晶11に関しては、円孔型三角格子(図9)などにより、入射光のフォトニック結晶面に平行な波長成分に対して、図12に示すように、入射光の周波数がフォトニックバンドギャップ内になるように、円孔12の直径、円孔配列の周期を決定する。図12は、円孔型三角格子構造を有するフォトニック結晶構造の分散曲線の計算結果の一例である。
面入射型の高速かつ高感度のフォトダイオードは、高速かつ高感度を満足している導波路型フォトダイオードに比べて、パッケージング時における光学的位置合せトレランスが大きく、パッケージングの容易さならびに低価格化が可能になる。また、光通信容量が増加するにつれ、多チャンネル(多波長)化による光通信システムが進むにつれ、光デバイスのアレイ集積化が重要技術になる。フォトダイオードの場合、導波路型フォトダイオードと比較して、面入射型フォトダイオードは、面型のアレイ化に適しており、集積度に関して有利である。
なお、図面中の符号の説明は以下の通りである。
1;斜面反射部、 2;p電極、 3;回折格子、 4;光吸収層、 5;受光部、 6;n電極、 7;入射光、 8;斜面角度、 9;基板、 10;リング状回折格子、 11;フォトニック結晶反射部;、 12;円孔、 13;半導体。
斜め入射による実効的な吸収層厚の増大を説明する図。 受光部の上部に設けられた反射部(電極)による反射による、受光部の領域が大きくなることを説明する図。 入射方向の逆方向に光を反射するための、回折格子と電極(反射部)の機能を説明する図。 表面入射の場合の斜面反射部を用いた光路変換を説明する図。 本発明に係る斜面反射部と回折格子を用いた表面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する図。 リング状回折格子の上部から見た図と断面図。 本発明に係る斜面反射部と回折格子を用いた裏面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する図。 本発明に係る斜面反射部とフォトニック結晶反射部を用いた表面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する図。 円孔三角格子構造を有するフォトニック結晶反射部の上から見た図。 本発明に係る斜面反射部とフォトニック結晶反射部を用いた裏面入射型フォトダイオードの実施形態について説明する図。 光の吸収領域の面積が2倍になった場合の動作帯域の劣化を示す計算結果。 円孔型三角格子構造を有するフォトニック結晶構造の分散曲線の計算結果。 反射器により反射される光の方向を示す図。

Claims (6)

  1. 基板上に光吸収層を有する半導体受光部が設けられ、
    前記光吸収層に対して斜め下の方向から前記光吸収層へ光を入射させ、
    その入射光の光軸と前記光吸収層の法線とのなす角度をθ1、前記入射光に対する反射光の反射方向を前記光吸収層の法線とのなす角度θ2とするとき、θ2は90度以下0度以上の角度であり、
    前記光吸収層上には光反射部が設けられ、前記入射光は前記光反射部で角度θ2の方向に反射することを特徴とする受光装置。
  2. 前記θ2の値は前記θ1の値と実質的に等しいことを特徴とする請求項1記載の受光装置。
  3. 前記光反射部は回折格子またはフォトニック結晶を有することを特徴とする請求項1記載の受光装置。
  4. 前記光反射部は回折格子を有し、前記回折格子は前記入射光の前記光吸収層の延在方向に平行な波長成分の4分の1の周期を有することを特徴とする請求項1記載の受光装置。
  5. 前記光反射部はフォトニック結晶を有し、前記入射光の周波数がフォトニックバンドギャップ内になるように前記フォトニック結晶円孔の直径および円孔配列の周期が定められていることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
  6. 前記基板は第1の平面を有し、前記光吸収層を前記第1の平面上に設けられ、
    前記基板には前記第1の平面とは角度θ3の角度(但し、θ3は前記第1の平面に対して平行ではなく、かつ、直交もしない所定の角度である。)をなす第2の平面を有し、
    前記θ3が鋭角のときは前記第1の平面の上面側から前記基板内に入射した光が前記第2の平面で前記基板内を反射して前記光吸収層に至るものであり、
    前記θ3が鈍角のときは前記第1の平面の下面側から前記基板内に入射した光が前記第2の平面で前記基板内を反射して前記光吸収層に至るものであることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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