JP3716310B2 - 検査対象物の形状測定装置及び検査対象物の形状測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象物の形状測定装置及び検査対象物の形状測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、検査対象物の形状を測定する方法として、例えば、刃物の刃先の形状測定方法である光・メカニカル法がある。光・メカニカル法は、図13に示すように刃物200における刃先の外形形状の中心、すなわち、刃先の曲率半径の中心を予測して、その位置(予測位置)を回転中心軸Pとして、刃物200全体が回転できるようにしている。そして、刃先の接線部に対して軸部210a,211aにて一体回転する回転レバー210,211がそれぞれ接触して配置されている。回転レバー210,211の軸部210a,211aにはそれぞれレーザーを反射させるミラーM1,M2が形成されている。なお、図14は、回転レバー211の斜視図である。
【0003】
前記ミラーM1,M2の上方からレーザー光Lを照射すると、ミラーM1,M2にて反射したレーザー光L1,L2が、ミラーM1,M2の上方に配置したスクリーンSCにレーザー光のスポットとして投影されるようにされている。
【0004】
そして、刃物200を、前記回転中心軸Pを中心に逐次回転させたときのスクリーンSC上のスポット位置をそれぞれ測定し、刃先に接触する接線に一致する直線の式を多数求めて、原点を定めて直線を描くことにより、刃物の刃先形状に類似した包絡線を得るというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この光・メカニカル法では、下記の欠点があった。
(a) レーザー光L1,L2の反射経路を大きくすることにより、ミラーM1,M2の微小な角度変化を読みとることができるシステムであるため、反射経路の大きさとシステムの大きさが比例し、装置全体は大きなボリュームを備えた構造体となる。
【0006】
(b) スクリーンSC上のレーザー光のスポット径が読み取り精度に影響を与え、ミラーM1,M2からのスポット径は投影面(スクリーンの面)までの距離が大きくなるにしたがって広がる。
【0007】
(c) レーザー光のスポット位置の測定が、目視に依存したものであるため、精度が減少する。
上記のうち、特に(b)の条件を満たす小型化されたものがないなどの理由により、光・メカニカル法には行き詰まりが見られている。
【0008】
ところで、刃物の刃先の切れ味評価には製造工程中のいずれかの位置にシステムの導入を図り、オンライン的に測定できることが望ましい。さらに、非破壊的に全数検査が可能であれば、申し分のないものである。光・メカニカル法は、オンラインを図るには、高精度と小型化が逆の関係にあり、研究室的にはよい方法ではあるが、高精度システムの実用化には困難さが見られる。
【0009】
本発明の目的は、検査対象の形状を非破壊的に測定でき、小型化ができるとともに、製造工程のいずれかの位置に導入が可能であり、高精度の形状測定を行うことができる検査対象物の形状測定装置及び検査対象物の形状測定方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、検査対象物を保持する保持手段と、回転中心の周りに回転自在に設けられ、前記検査対象物に当接する回転部材と、前記検査対象物に当接した回転部材を回転する方向へ、前記保持手段又は前記回転部材の少なくともいずれか1つを、移動する移動手段と、前記移動手段の直線移動量(h)を検出する移動量検出手段と、前記移動手段の移動に応じて、前記回転部材が回転したときの回転角度(β)を検出する回転角度検出手段と、前記移動量検出手段がその時々に検出した直線移動量(h)と、前記回転角度検出手段にて検出され、前記直線移動量(h)に応じた回転角度(β)に基づいて、その時々の直線式(y= tan β・x−h)を算出する直線式算出手段と、前記直線式算出手段にて得られたその時々の直線式(y= tan β・x−h)から得られる包絡線を生成する包絡線生成手段と、を備えたことを特徴とする検査対象物の形状測定装置を要旨とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記包絡線生成手段が生成した包絡線と、基準データとを比較して、評価を行う評価手段を備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記包絡線生成手段が生成した包絡線を出力する第1出力手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1において、前記移動量検出手段がその時々に検出した直線移動量(h)と、前記回転角度検出手段にて検出され、前記直線移動量(h)に応じた回転角度(β)に基づいて、その時々の直線式(y=tanβ・x−h)を算出する直線式算出手段と、前記直線式算出手段にて得られたその時々の直線式のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて、該隣り合う直線との交点を算出する交点算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、前記交点算出手段にて算出された複数の交点に沿った線の回帰式を算出する回帰式算出手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5において、前記回帰式算出手段が算出した回帰式の曲線と、基準データとを比較して、評価を行う評価手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6において、前記回帰式算出手段が算出した回帰式の曲線を出力する第2出力手段を備えたことを特徴とする。
請求項8の発明は、回転中心の周りで回転自在に設けた回転部材を、検査対象物に当接し、前記検査対象物と前記回転部材との当接状態を保持して移動したときの、該検査対象物の直線移動量(h)と、該直線移動量(h)に応じた前記回転部材の回転角度(β)を検出し、検出した前記直線移動量(h)と、該直線移動量(h)と対応して検出した前記回転角度(β)に基づいて直線式(y=tanβ・x−h)を算出し、前記算出した直線式を出力して包絡線を形成することを特徴とする検査対象物の形状測定方法を要旨とするものである。
【0017】
請求項9の発明は、回転中心の周りで回転自在に設けた回転部材を、検査対象物に当接し、前記検査対象物と前記回転部材との当接状態を保持して移動したときの、該検査対象物の直線移動量(h)と、該直線移動量(h)に応じて変化した前記回転部材の回転角度(β)を検出し、検出した前記直線移動量(h)と、該直線移動量(h)と対応して検出した前記回転角度(β)に基づいて直線式(y= tan β・x−h)を算出し、前記算出した直線式のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて該隣り合う直線の交点を算出することを特徴とする検査対象物の形状測定方法を要旨とするものである。
【0018】
請求項10の発明は、請求項9において、前記隣り合う直線の交点を算出した後、該算出した複数の交点に沿った線の回帰式を算出し、該算出した回帰式にて曲線を形成することを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項9又は請求項10において、算出した前記交点を表示することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を、図1乃至図8を参照しながら説明する。
【0021】
図1は検査対象物の形状測定装置100の平面図、図2は、同じく側面図、図3は同じく正面図である。
本実施形態の形状測定装置100は、特に刃物の刃先形状の形状測定を行うための装置である。基台10上には、軸取付台11が固定されている。軸取付台11上には、一対のベアリング支持板12a,12bが互いに対向するように、かつ、平行になるように配置固定されている。両ベアリング支持板12a,12bには、回転軸13が図示しないベアリングを介して水平に、かつ回動自在に支持されている。
【0022】
基台10上には、ベアリング支持板12aと相対するように取付板14が固定され、取付板14の上部には、回転角度検出手段としてのロータリーエンコーダ15が取付固定されている。前記回転軸13の一端は一方のベアリング支持板12aから突出され、ロータリーエンコーダ15に対してカップリング15aを介して連結されている。カップリング15aはロータリーエンコーダ15とのアラインメントの調整のためにノンバックラッシュ型とされている。
【0023】
回転軸13の他端は他方のベアリング支持板12bから外方(図1、図3において、右方)へ突出されている。ベアリング支持板12bから突出した回転軸13の端部には、回転部材としての測定レバー20が固定されている。測定レバー20は回転軸13に対して直交する方向に延出されている。軸取付台11上には、ベアリング支持板12bと並ぶように支持板21が立設されている。
【0024】
移動量測定装置22は、支持板21に対してブラケット23を介して支持されている。移動量測定装置22は、ガイド板部24、第1スライド部材25、第2スライド部材26及び把持部材27を備える。ガイド板部24はブラケット23に対して固定されるとともに上下方向に延出されている。ガイド板部24は検出面側(図1において、右側面側)に図示しないスケールコイルが上下方向に沿って埋設されている。第1スライド部材25は、ガイド板部24に上下方向に延びるように設けられたガイド溝(図示しない)に対して上下方向にスライド自在に組み付けられており、端部に螺合されたビス25aの螺合量の調節により、ガイド板部24に対して移動の許容及び固定が可能である。第1スライド部材25は、移動手段に相当する。
【0025】
第1スライド部材25は、図2に示すように水平に、かつ測定レバー20の下方に位置するように延出されている。第1スライド部材25のベアリング支持板12b側の面には、ガイド突条25bが第1スライド部材25の長手方向に延びるように設けられている。図3に示すように第2スライド部材26は、前記ガイド突条25bに対して、第1スライド部材25の長手方向に沿ってスライド自在に組み付けられている。すなわち、第2スライド部材26は、図2において、左右方向へスライド自在とされている。又、第2スライド部材26は、下面に螺合された,ネジ26aの螺合量の調節により、第1スライド部材25に対してスライドの許容及び固定が可能である。第2スライド部材26上面には、保持手段としての把持部材27が固定されている。
【0026】
把持部材27は基端部から上方に延びる一対の把持片28が形成されている。把持部材27は、両把持片28の基端側側部に螺入された締付ネジ29の螺合量の調節により、両把持片28に対する検査対象物Tの着脱が可能とされている。両把持片28にて把持された検査対象物Tは、第1スライド部材25の上下方向の適宜の移動、及び第2スライド部材26の左右方向の適宜の移動により、測定レバー20の先端下面に当接可能に対応するように配置可能とされている。
【0027】
第1スライド部材25には、移動量検出手段としての移動量検出センサ30が設けられている。移動量検出センサ30は、図示しない基板に設けられた励磁コイルが通電されると磁束が発生し、この磁束により前記ガイド板部24に設けられた図示しないスケールコイルに誘導電流が生じる公知の誘導型トランスデューサ形式のものである。そして、この誘導電流により、スケールコイルに磁束が生じ、前記図示しない基板に設けられた検出コイル(図示しない)に誘導電流(誘起電圧)が生じる。この検出コイルに生じた誘導電流(誘起電圧)は励磁コイルとスケールコイルとの相対変位に応じて変化するため、検出コイルからの信号に基づいて位置(変位)を検出することができる。
【0028】
このため、移動量検出センサ30は、第1スライド部材25の原点位置からの上下方向の移動に応じて、その移動したときの原点位置からの移動量を検出可能とされている。なお、本実施形態では、前記原点位置は、図2に示すように、両把持片28に取付け保持された検査対象物Tが測定レバー20に対して当接した状態であって、測定レバー20が水平になったときの位置を原点位置としている。なお、測定レバー20が水平になった位置(以下、水平位置という)とは、検査対象物Tの高さ(基台10が載置されている載置面Mからの高さ)と、回転軸13の軸心の高さ(基台10が載置されている載置面Mからの高さ)が一致したときの位置である。すなわち、図2においては、前記測定レバー20は、検査対象物Tと当接する下面と回転軸13の軸心との高さが同一とされている。
【0029】
又、ベアリング支持板12a,12b間の回転軸13には、基準レバー35が固定されている。基準レバー35は、測定レバー20と同一方向に延出されており、測定レバー20が水平位置に位置した際には、図5に示すように基準レバー35も水平になるように形成されている。そして、基準レバー35は、軸取付台11との間に、初期設定治具36が介在配置されたとき、図5に示すように、水平になるように位置し、ロータリーエンコーダ15の検出する回転角度が初期設定されるようにされている。
【0030】
次に、形状測定装置100の電気的構成について説明する。図4は検査対象物の形状測定装置100の電気的構成を示す電気ブロック図である。
ロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30は、コンピュータ40に電気的に接続され、出力信号をCPU(中央処理演算装置)41に入力する。又、CPU41は、評価判定プログラムを格納するROM42、及び作業用メモリとなるRAM43を備えている。CPU41には、第1出力手段としてのディスプレイ44が接続されており、CPU41が生成した出力データに基づいてディスプレイ44に出力する。すなわち、ロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30からの出力信号に基づいて、その出力信号に応じた回転角度β及び高さ(直線移動量h)を出力する出力データを生成してディスプレイ44に出力する。ディスプレイ44は、その出力データに基づいて回転角度β及び高さ(直線移動量h)を表示する。
【0031】
又、コンピュータ40はキーボードやマウス等の入力装置45が接続されており、入力装置45からの決定信号の入力に基づいて、ロータリーエンコーダ15の出力信号(回転角度)及び移動量検出センサ30からの出力信号(移動量)をハードディスクからなる記憶装置46に格納する。
【0032】
前記コンピュータ40は直線式算出手段、包絡線生成手段、評価手段に相当する。
(データの取得)
さて、上記のように構成された形状測定装置100を使用して、データを取得する方法について説明する。
【0033】
まず、最初に基準レバー35と軸取付台11との間に図5に示すように初期設定治具36を載置し、基準レバー35を水平になるように位置させる。このときの回転軸13の位置をゼロ点という。
【0034】
次に、把持部材27の両把持片28にて検査対象物Tである刃物を把持する。このとき、できる限り刃先尖端が刃物の長さ方向の中央に位置するように設置した後、締付ネジ29にて締め付けることにより、検査対象物Tを把持部材27に保持する。
【0035】
次に、検査対象物Tの刃先尖端が測定レバー20の下方に位置し、水平位置に位置する測定レバー20の下面に接触(当接)するように第1スライド部材25及び第2スライド部材26にて上下方向、及び横方向にスライド調整する。調整後は、ビス25a,ネジ26aを締め付けることにより、第1スライド部材25及び第2スライド部材26の位置を保持する。
【0036】
次に、ロータリーエンコーダ15の出力信号及び移動量検出センサ30の出力信号を、入力装置45を使用してゼロにリセットする。続いて、入力装置45を操作して、決定信号をコンピュータ40に入力し、コンピュータ40にてロータリーエンコーダ15の出力信号(回転角度)及び移動量検出センサ30の出力信号(移動量)を記憶装置46に格納する。
【0037】
なお、コンピュータ40がロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30の出力信号を記憶装置46に格納するときは、入力装置45を操作して決定信号をコンピュータ40に入力していることが前提であるため、以下の説明では、説明の便宜上、入力装置45の操作による決定信号の入力については説明しない。
【0038】
そして、このときのロータリーエンコーダ15の出力信号を回転角度β(=β0=0)として、コンピュータ40は記憶装置46に格納する。又、このときの移動量検出センサ30の出力信号を直線移動量としての高さ(=h0=0)として、コンピュータ40は記憶装置46に格納する。
【0039】
次に、第1スライド部材25を鉛直上方に所定量(本実施形態では、1.0mm)移動させ、コンピュータ40はこのときのロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30の出力信号を記憶装置46に格納する。なお、このときのロータリーエンコーダ15の出力信号を回転角度β1とし、移動量検出センサ30の出力信号を直線移動量としての高さ(h1=1.0)とする。なお、前記直線移動量hは、小さければ小さいほど測定の精度が向上する。
【0040】
さらに、第1スライド部材25を上方に所定量(本実施形態では、1.0mm)移動させ、コンピュータ40はこのときのロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30の出力信号を記憶装置46に格納する。このときのロータリーエンコーダ15の出力信号を回転角度β2とし、移動量検出センサ30の出力信号(データ)を直線移動量としての高さ(h2=2.0)とする。
【0041】
以下、同様にして、操作を繰り返し、検査対象物Tである刃物の刃先尖端の有効幅Wのうち、図7(a)に示すように1/2範囲について、第1スライド部材25を上方に所定量ずつ逐次移動して、そのときの高さ(直線移動量h)と回転角度βを、移動量検出センサ30とロータリーエンコーダ15からそれぞれ得る。
【0042】
ここで、有効幅W(effective width)について説明する。
本実施形態では、刃先の形を測定するに当たり、直線性のよい測定レバー20を用いて倣い方式を利用しているために、図7(a)の原点0と刃先尖端との距離dが大きいとき、頂上部(最上部)からある角度だけ下がった位置を超えたとき、真の値より大きい値を表示するようになる。このため、予め、大きさの分かっている刃物の刃先尖端を測定するとともに、それからのずれ量を測定し、ずれ量の相対誤差の変化を求めておく。この場合、相対誤差には急激に大きく変化する範囲が存在する。そこで、相対誤差が微小な領域を、測定可能領域として、有効幅W(effective width)としている。現在わかっている領域では、例えば、刃先先端の曲率半径が約0.05mm以上で、約±45度であるが、それ未満の場合には、約±15度である。
【0043】
前記距離dは回転軸13がゼロ点の位置に位置したとき、すなわち、測定レバー20が水平位置に位置したときにおける、検査対象物Tである刃物の刃先尖端中心と回転軸13の軸心との距離である。
【0044】
上記刃物における刃先尖端の有効幅Wのうち、図7(a)に示すように1/2範囲に関して得られた位置情報(回転角度β、高さ(直線移動量h))に関するロータリーエンコーダ15出力の角度情報は、tanβ1〜tanβnとおくことができ、回転角度β1〜βn及び高さ(直線移動量)h1〜hnに基づいて後述する直線式が得られる。なお、β1〜βnは正であるため、tanβ1〜tanβnは正の値である。
【0045】
続いて、第1スライド部材25を鉛直下方に移動して、刃物の刃先尖端の位置を下げる。下げる位置は、ロータリーエンコーダ15の出力信号がゼロとなる位置(回転軸13がゼロ点の位置)である。
【0046】
続いて初期設定治具36を基準レバー35の下方から取り去った状態で、第1スライド部材25を鉛直下方に所定量(本実施形態では、1.0mm)移動させ、コンピュータ40はこのときのロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30の出力信号を記憶装置46に格納する。なお、このときのロータリーエンコーダ15の出力信号を回転角度βn+1とし、移動量検出センサ30の出力信号を直線移動量hn+1(=−1.0)とする。
【0047】
さらに、第1スライド部材25を鉛直下方に所定量(本実施形態では、1.0mm)移動させ、コンピュータ40はこのときのロータリーエンコーダ15及び移動量検出センサ30の出力信号を記憶装置46に格納する。このときのロータリーエンコーダ15の出力信号を回転角度βn+2とし、移動量検出センサ30の出力信号(データ)を直線移動量としての高さ(hn+2=−2.0)とする。
【0048】
以下、同様にして、操作を繰り返す。すなわち、検査対象物Tである刃物における刃先尖端の有効幅Wのうち、図7(a)に示すように鉛直上方に移動した場合とは反対側の1/2範囲について、第1スライド部材25を下方に所定量ずつ逐次移動して、そのときの高さ(直線移動量h)と回転角度βを、移動量検出センサ30とロータリーエンコーダ15からそれぞれ得る。
【0049】
上記刃物における刃先尖端の有効幅Wのうち、図7(a)に示すように1/2範囲に関して得られた位置情報(回転角度β、高さ(直線移動量h))に関するロータリーエンコーダ15出力の角度情報はtanβn+1〜tanβmとおくことができる。なお、n,mは測定回数であり、n<mである。又、βn+1〜βmは負の値であるため、tanβ1〜tanβnは負の値である。
【0050】
そして、回転角度βn+1〜βm及び高さ(直線移動量)hn+1〜hmに基づいて、後述する直線式が得られる。この直線式は、回転角度β1〜βn及び高さ(直線移動量)h1〜hnに基づいて得られる直線式とは、逆の傾きを持つ。
【0051】
(評価判定)
次に、前述のようにして得られたデータに基づいて、包絡線を得て、評価判定を行うコンピュータ40の作用について説明する。
【0052】
図6は、コンピュータ40が実行する評価判定プログラムのフローチャートである。
(S1)
評価判定プログラムが実行されると、ステップ1(以下、ステップをSという)では、記憶装置46に格納したデータ(回転角度β1〜βn,βn+1〜βm、直線移動量h1〜hn,hn+1〜hm)を読み出す。
【0053】
(S2)
S2では、読み出した回転角度β1〜βn,βn+1〜βmに基づいて直線式
y=ax …(1)
の直線群を得る。すなわち、傾きaに、「tanβ」を代入した直線式
y=tanβ・x …(2)
の群を得る。
【0054】
ここでのtanβは、tanβ1〜tanβn,tanβn+1〜tanβmを意味する。
図7(a)においては、傾きtanβ1〜tanβnの直線群の例を実線で示し、傾きtanβn+1〜tanβmの直線群の例を点線で示している。
【0055】
(S3)
S3では、S1で読み出した高さ(直線移動量)h1〜hn,hn+1〜hmに基づいて、直線式y=ax+bの直線群を得る。すなわち、傾きaに「tanβ」が代入された直線群を高さ(直線移動量h)に相当する分、座標変換するべく、切片bに、「−h」を代入した直線式
y=tanβ・x−h …(3)
の群を得る。
【0056】
ここでの、tanβは、tanβ1〜tanβn,tanβn+1〜tanβmを意味し、hは、h1〜hn,hn+1〜hmを意味する。
図7(b)においては、傾きtanβ1〜tanβnの直線群の例を実線で示し、傾きtanβn+1〜tanβmの直線群の例を点線で示している。
【0057】
(S4)
S4では、S3で得られた直線群の直線式に基づいて包絡線の画像データを生成し、ディスプレイ44に出力する。
【0058】
この結果、ディスプレイ44には、例えば図8に示す包絡線が表示される。図8に示すように、包絡線で示された形状は、検査対象物Tである刃物の刃先尖端の形状を示す。なお、図8は、刃先尖端の曲率半径を2.0mmで制作したもので得られた包絡線である。
【0059】
(S5)
S5では、記憶装置46に格納された基準データ、例えば、切れ味がよい刃先尖端のデータと、今回作成された包絡線で作成された検査対象物Tの刃物の刃先尖端と比較し、評価判定を行う。評価判定では、包絡線で作成された刃先尖端の半径を求め、基準データの刃先尖端の半径と比較して、その良否を判定することにより行われる。この処理の終了後、評価判定プログラムを終了する。
【0060】
第1実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態の形状測定装置100は、検査対象物Tである刃物を保持する把持部材27(保持手段)と、検査対象物Tである刃物を移動する第1スライド部材25(移動手段)と、軸心(回転中心)の周りで回転自在に設けられ、検査対象物Tに当接する測定レバー20(回転部材)を設けた。又、検査対象物Tである刃物の刃先尖端の高さ(直線移動量h)を検出する移動量検出センサ30(移動量検出手段)を設けた。さらに、形状測定装置100は、検査対象物Tの直線移動に応じた測定レバー20の回転角度βを検出するロータリーエンコーダ15(回転角度検出手段)を備えている。
【0061】
この結果、本実施形態の形状測定装置100では、刃物の刃先尖端形状を微細に測定できるとともに、検査対象の形状を非破壊的に測定できる。又、従来技術で挙げた光・メカニカル法で形状測定を行う装置に比して、小型化ができるとともに、刃物の製造工程のいずれかの位置にインライン、かつオンラインにて導入が可能であり、高精度の形状測定を行うことができる効果を奏する。
【0062】
そして、検査対象物Tの形状測定、特に本実施形態では刃物の形状測定が定量的に可能であり、刃物製造工程管理が容易となる効果を奏する。
(2) 又、本実施形態の形状測定装置100のコンピュータ40は、直線式算出手段として、移動量検出センサ30がその時々に検出した高さ(直線移動量h)と、ロータリーエンコーダ15が検出し、前記高さ(直線移動量h)に応じた回転角度βに基づいて、その時々の直線式(y=tanβ・x−h)を算出するようにした。又、コンピュータ40は、包絡線生成手段として、得られたその時々の直線式(y=tanβ・x−h)から得られる包絡線を生成するようにした。
【0063】
又、本実施形態の検査対象物Tの形状測定方法は、軸心(回転中心)の周りで回転自在に設けた測定レバー20(回転部材)を検査対象物Tに当接する。そして、検査対象物Tと測定レバー20との当接状態を保持して移動したときの、検査対象物Tの高さ(直線移動量h)と、高さ(直線移動量h)に応じた測定レバー20の回転角度βを検出する。
【0064】
そして、本実施形態の形状測定方法は、検出した高さ(直線移動量h)と、該高さ(直線移動量h)と対応して検出した回転角度βに基づいて直線式y=tanβ・x−hを算出し、算出した直線式を表示して包絡線を形成する。
【0065】
このようにして得られた直線式の直線の交点群が作る包絡線は、測定レバー20が当接した検査対象物Tの形状、本実施形態では、刃物の刃先尖端形状に類似したものとなる。これは、検査対象物Tの鉛直上方及び下方の直線移動量を微細に移動することにより、交点群の間隔が微細になり、極めて検査対象物Tの形状、本実施形態では、刃先形状に一致した形状を示すことができる。
【0066】
(3) ここで、刃物についての背景説明を行う。
刃物の特徴は、切ることであり、刃物の研究では切れ味試験が行われている。刃物を用いて物体を切断しようとするとき、人は切り込ませるときの垂直方向と同時に水平方向の抵抗力を合成したものを切れ味と感覚的に感じているが、この感覚量を定量化して考えることが少ない。物体を切ったときの切れ味を調べることはできるが、定量的に切れ味を表現することが難しい問題がある。従来は、多くの人により切れ味試験機が提案されているが、決定的なものがいまだに存在していない状態である。
【0067】
刃物を製作する側から見れば、切れ味試験機が提案されていたとしても、最終試験であり、最終工程に行き着く前に、最終的に刃物になる前に、その形について測定しなければ一定品質の刃物は完成しないことが多い。特に、刃先の性能は、0.003mm磨り減ると切れ味が変化し、それは人は感じることができるといわれている。その切れ味を左右するのは、刃先の小刃と呼ばれる0.02〜0.2mm程度の範囲の尖端部分の性能(形、曲率半径、角度)に依存している。
【0068】
従って、刃物の性能を知る上で、刃先尖端の形状を知ることは大変重要である。その形状を刃物の生産現場でオンライン測定することが必要とされている。現状では、出荷時の切れ味試験機に重点が置かれ、刃物の刃先尖端形状の測定方法は無視されている。これまでにも、いくつかの形状測定方法が提案されているが、生産現場等のオンライン測定に有効な方法が存在せず、その手段が確立されていない。
【0069】
それに対して、本実施形態での方法は機械的に形状をなぞり、その変化を小型・角度高分解能のロータリーエンコーダ15で読みとるという方法により、生産現場等のオンラインで、刃物の刃先尖端形状が誰でも手軽に、早く、精度よく、安価に測定できるような形状測定装置100に構成されている。従って、本実施形態での方法は将来的に全自動で測定が可能な方法であり、工学的に大きく貢献できる。
【0070】
又、測定精度を左右する、ロータリーエンコーダ及びコンピュータ技術の向上に対応して、IT技術により、高精度及び高分解能の限界を引き上げることも期待できる。
【0071】
(4) 本実施形態の形状測定装置100のコンピュータ40は、評価手段として、生成した包絡線と基準データとを比較して、評価を行うようにした。
この結果、生産現場等のオンラインで、刃物の刃先尖端形状が誰でも手軽に、早く、精度よく、安価に測定でき、評価の結果が得られる。
【0072】
(5) 本実施形態の形状測定装置100では、コンピュータ40が生成した包絡線を、ディスプレイ44(第1出力手段)にて表示するようにした。
この結果、刃物の刃先尖端形状を目視で確認にすることができる。
【0073】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を、図9〜図11を参照して説明する。
第2実施形態は、第1実施形態とハード構成は同一構成であるため、同一構成には同一符号を付し、異なるところを中心にして説明する。
【0074】
第2実施形態では、コンピュータ40が処理する評価判定プログラムが異なっている。図9は、第2実施形態において、コンピュータ40が実行する評価判定プログラムである。
【0075】
(S11〜S13)
S11〜S13は、それぞれ第1実施形態のS1〜S3と同様であるため説明を省略する。
【0076】
(S14)
S14では、隣り合う直線の交点の算出、すなわち交点座標の算出を行う。
例えば、
y=tanβ1・x−h1 …(4)
y=tanβ2・x−h2 …(5)
式(4)、式(5)が隣り合う2つの直線式であるとすると、この2つの直線式から交点座標(x1,y1)を算出する。
【0077】
同様にして、
y=tanβ2・x−h2 …(5)
y=tanβ3・x−h3 …(6)
式(5)、式(6)が隣り合う2つの直線式であるとすると、この2つの直線式から交点座標(x2,y2)を算出する。以下、交点座標を算出することを単に交点を求めるという。
【0078】
以下、同様にして測定個数m個までの交点(x3,y3),……,(xm-1.ym-1)を求める。
(S15)
次に,S15では、求めた交点座標(x1,y1),……,(xm-1.ym-1)に基づいて、式(7)に示す回帰式を求める。
【0079】
本実施形態では、下記の式(7)で示すn次の回帰式を公知の統計解析プログラムで処理することにより求める。なお、ここでのnは正の整数である。
y=a1xn+a2xn-1+…+anx+an+1 …(7)
なお、a1,…an+1は回帰係数である。
【0080】
(S16)
S15で求めた回帰式のデータ及び交点座標(x1,y1),…,(xm-1,ym-1)のデータをディスプレイ44に出力し、ディスプレイ44に回帰式の曲線及び各交点を表示させる。
【0081】
なお、ここで、実際に検査した例を図10、図11を参照して説明する。
図10中、FはS14で求められた交点を表示した例を示し、各交点は回帰式で得られる曲線が表示されている。回帰式で得られた曲線は、刃物の刃先尖端形状を示している。図10のQは、Fで示すものと同じ検査対象物Tをマイクロスコープで観測したものを、点でプロットし、プロットした点を適宜の曲線で結んだものである。図11は、図10中、前記交点及びプロットした点を省略したFとQとを示している。
【0082】
FとQとを比較すると、この例では、刃物の刃先尖端形状は、特に±0.25mmの範囲で、Fが実際にマイクロスコープで観察したものと略一致していることが分かる。
【0083】
(S17)
S17では、記憶装置46に格納された基準データ、例えば、切れ味がよい刃先尖端のデータと、回帰式で得られる曲線(検査対象物Tである刃物の刃先尖端形状)と比較し、評価判定を行う。評価判定では、回帰式で得られる曲線において、刃先尖端に相当する部分の半径を求め、基準データの刃先尖端の半径と比較して、その良否を判定することにより行われる。この処理の終了後、評価判定プログラムを終了する。
【0084】
前記コンピュータ40は直線式算出手段、交点算出手段、評価手段及び回帰式算出手段に相当する。
第2実施形態によると、第1実施形態の作用効果(1)、(3)の他、次のような作用効果を奏する。
【0085】
(1) 第2実施形態の形状測定装置100のコンピュータ40は、得られたその時々の直線式(y=tanβ・x−h)のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて、該隣り合う直線との交点を算出する交点算出手段として機能するようにした。
【0086】
又、第2実施形態の検査対象物Tの形状測定方法は、軸心(回転中心)の周りで回転自在に設けた測定レバー20を検査対象物Tに当接し、検査対象物Tと測定レバー20との当接状態を保持して移動したときの、検査対象物Tの高さ(直線移動量h)と、高さ(直線移動量h)に応じた測定レバー20の回転角度βを検出する。
【0087】
そして、本実施形態の形状測定方法は、検出した高さ(直線移動量h)と、該高さ(直線移動量h)と対応して検出した回転角度βに基づいて直線式y=tanβ・x−hを算出し、前記算出した直線式のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて該隣り合う直線の交点を算出する。
【0088】
この結果、求められた複数の交点により、刃物の刃先尖端形状を確認することができる。
(2) 第2実施形態の形状測定装置100のコンピュータ40は、算出された複数の交点に沿った線の回帰式を算出する回帰式算出手段として機能するようにした。特に、回帰式は、n次の回帰式としているため、曲線が得られる。
【0089】
又、本実施形態の形状測定方法は、前記隣り合う直線の交点を算出した後、該算出した複数の交点に沿った線の回帰式を算出し、該算出した回帰式にて曲線を形成する。
【0090】
この結果、回帰式に基づいた曲線が得られることにより、検査対象物Tである刃物の刃先尖端形状が具体的に視認することができる。
(3) 第2実施形態の形状測定装置100は、コンピュータ40が算出した回帰式の曲線を出力するディスプレイ44(第2出力手段)を備えた。
【0091】
この結果、ディスプレイ44により、検査対象物Tである刃物の刃先尖端形状が具体的に視認することができる。
(4) 本実施形態の形状測定方法は、算出した前記交点を表示する。
【0092】
この結果、複数の交点の表示により、検査対象物Tである刃物の刃先尖端形状を具体的に視認することができる。
(5) 本実施形態の形状測定装置100のコンピュータ40は、評価手段として、生成した回帰式の曲線と基準データとを比較して、評価を行うようにした。
【0093】
この結果、生産現場等のオンラインで、刃物の刃先尖端形状が誰でも手軽に、早く、精度よく、安価に測定でき、評価の結果が得られる。
前記実施形態の構成を、下記のように変更してもよい。
【0094】
(1) 第1実施形態及び第2実施形態の形状測定装置100の構成中、コンピュータ40及びディスプレイ44を省略した形状測定装置としてもよい。
(2) 第1実施形態及び第2実施形態の形状測定装置100の構成中、ディスプレイ44を省略した形状測定装置としてもよい。
【0095】
(3) 前記各実施形態では、第1スライド部材25を手動で上下に移動するようにしたが、駆動手段にて自動で上下に移動させ、所定時間毎、例えば、数msec毎に回転部材の回転角度と、移動量検出手段の出力信号をコンピュータ40に取込みしてもよい。
【0096】
(4) 前記各実施形態では、ディスプレイ44を第1出力手段及び第2出力手段としたが、第1出力手段及び第2出力手段をプリンタとしてもよい。従って、プリンタにて包絡線及び交点は印字出力される。
【0097】
(5) 前記各実施形態では、第1スライド部材25にて、検査対象物Tを移動するようにしたが、逆に検査対象物Tを移動させないように固定し、回転軸13、測定レバー20、ロータリーエンコーダ15、カップリング15a側を一体に直線移動できる組立体として構成してもよい。この場合、移動する側である、組立体の直線移動量を検出する移動量検出手段を設けるものとする。
【0098】
又、第1スライド部材25とともに、前記組立体をともに移動する構成としてもよい。この場合、移動量検出手段は、それぞれ移動する両者の移動量を検出するようにし、測定レバー20と検査対象物Tとが当接した状態で、測定レバー20を回転させたときに寄与した実質的な直線移動量を検出する構成にするものとする。
【0099】
(6) 前記各実施形態では、第1スライド部材25を鉛直上方及び下方に移動するようにしたが、すなわち、第1スライド部材25自身が直線移動できるようにし、第1スライド部材25の直線移動量を移動量検出センサ30にて検出するようにした。しかし、回転部材である測定レバー20を結果的に回転させればよいため、第1スライド部材25に代えて、測定レバー20を回転するように当接しながら、自身も回動させて、移動する部材であってもよい。この場合、移動量検出センサ30は、前記移動する部材の上下方向の直線移動量を検出するように構成すればよい。
【0100】
(7) 第2実施形態では、S15で求めた回帰式のデータ及び交点座標(x1,y1),……,(xm-1,ym-1)のデータをディスプレイ44に出力し、ディスプレイ44に回帰式の曲線及び各交点を表示させるようにした。これに代えて、S16では、S14で求めた交点座標(x1,y1),……,(xm-1,ym-1)のデータをディスプレイ44に出力し、ディスプレイ44に各交点を表示させるようにしてもよい。
【0101】
(8) 前記各実施形態では、刃物の刃先尖端形状を表すものとして、包絡線又は交点を求めたが、刃先尖端形状を表すものとして、刃先角を求めてもよい。刃先角は、検出された回転角度βと、高さ(直線移動量h)に基づいて得ることができる。例えば、両刃の刃物の場合、刃物の刃先尖端から、所定の高さ(直線移動量h)までの刃先角を得る場合、前記回転角度βの2倍が刃先角となる。刃先角は、刃物によって、異なるが、図12(a)に示す例で説明する。
【0102】
図12(a)は、包丁等のように両刃を備えた刃物の刃先部分を示し、刃物の尖端から小刃先A、刃先B、刃体Cを備える。刃体C部分の角度(刃物の両側面間の角度)を刃体角という。又、刃先B部分の角度(刃物の両側面間の角度)は、刃先角という。又、刃先尖端から0.02〜0.2mm迄部分(小刃先A)の角度は、図12(b)に示すように小刃先角という。本発明においては、図10の例からも明らかなように刃先角のみならず、小刃先角の測定も前記回転角度βに基づいて測定可能である。
【0103】
なお、図12(b)において、刃先尖端部分に形成される部分は小鋸刃といい、0.0005〜0.001mmの大きさを有する。
(9) 前記実施形態では、検査対象物Tとして、刃物の刃先尖端形状を測定するようにしたが、検査対象物Tは、刃物に限定する必要はない。
【0104】
すなわち、本装置及び方法は、広く、微細な形状について測定できるものである。従って、下記の広い分野で適用が可能である。
(a) 刃物工業界(工作機械等のバイトやチップ等、ドリル、包丁、はさみ等の刃先形状測定機器)
(b) 上記刃物工業界以外の物体の形状測定装置
(c) 角度測定器
(d) 形状の評価システム
【0105】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至請求項7の発明によれば、検査対象の形状を非破壊的に測定でき、小型化ができるとともに、製造工程のいずれかの位置に導入が可能であり、高精度及び高分解能の形状測定を行うことができる効果を奏する。
【0106】
又、請求項8乃至請求項11は、上記装置の効果を実現することができる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 検査対象物の形状測定装置100の平面図。
【図2】 同じく側面図。
【図3】 同じく正面図。
【図4】 検査対象物の形状測定装置100の電気的構成を示す電気ブロック図。
【図5】 基準レバー35の説明図。
【図6】 コンピュータ40が実行する評価判定プログラムのフローチャート。
【図7】 (a)は、y=axの直線式の説明図、(b)は直線式y=ax+bの直線式の説明図。
【図8】 包絡線の説明図。
【図9】 第2実施形態のコンピュータ40が実行する評価判定プログラム。
【図10】 交点及び回帰式で算出された曲線の説明図。
【図11】 同じく交点及び回帰式で算出された曲線の説明図。
【図12】 (a)は刃先角の説明図、(b)は小刃先角の説明図。
【図13】 光・メカニカル法の原理の説明図。
【図14】 回転レバー211の斜視図。
【符号の説明】
15…ロータリーエンコーダ(回転角度検出手段)
20…測定レバー(回転部材)
25…第1スライド部材(移動手段)
27…把持部材(保持手段)
30…移動量検出センサ(移動量検出手段)
40…コンピュータ(直線式算出手段、前記包絡線生成手段、評価手段、交点算出手段、回帰式算出手段)
44…ディスプレイ(第1出力手段、第2出力手段)
100…形状測定装置
T…検査対象物
Claims (11)
- 検査対象物を保持する保持手段と、
回転中心の周りに回転自在に設けられ、前記検査対象物に当接する回転部材と、
前記検査対象物に当接した回転部材を回転する方向へ、前記保持手段又は前記回転部材の少なくともいずれか1つを、移動する移動手段と、
前記移動手段の直線移動量(h)を検出する移動量検出手段と、
前記移動手段の移動に応じて、前記回転部材が回転したときの回転角度(β)を検出する回転角度検出手段と、
前記移動量検出手段がその時々に検出した直線移動量(h)と、前記回転角度検出手段にて検出され、前記直線移動量(h)に応じた回転角度(β)に基づいて、その時々の直線式(y= tan β・x−h)を算出する直線式算出手段と、
前記直線式算出手段にて得られたその時々の直線式(y= tan β・x−h)から得られる包絡線を生成する包絡線生成手段と、
を備えたことを特徴とする検査対象物の形状測定装置。 - 前記包絡線生成手段が生成した包絡線と、基準データとを比較して、評価を行う評価手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査対象物の形状測定装置。
- 前記包絡線生成手段が生成した包絡線を出力する第1出力手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査対象物の形状測定装置。
- 前記移動量検出手段がその時々に検出した直線移動量(h)と、前記回転角度検出手段にて検出され、前記直線移動量(h)に応じた回転角度(β)に基づいて、その時々の直線式(y= tan β・x−h)を算出する直線式算出手段と、
前記直線式算出手段にて得られたその時々の直線式のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて、該隣り合う直線との交点を算出する交点算出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査対象物の形状測定装置。 - 前記交点算出手段にて算出された複数の交点に沿った線の回帰式を算出する回帰式算出手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の検査対象物の形状測定装置。
- 前記回帰式算出手段が算出した回帰式の曲線と、基準データとを比較して、評価を行う評価手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の検査対象物の形状測定装置。
- 前記回帰式算出手段が算出した回帰式の曲線を出力する第2出力手段を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の検査対象物の形状測定装置。
- 回転中心の周りで回転自在に設けた回転部材を、検査対象物に当接し、
前記検査対象物と前記回転部材との当接状態を保持して移動したときの、該検査対象物の直線移動量(h)と、該直線移動量(h)に応じた前記回転部材の回転角度(β)を検出し、
検出した前記直線移動量(h)と、該直線移動量(h)と対応して検出した前記回転角度(β)に基づいて直線式(y= tan β・x−h)を算出し、
前記算出した直線式を出力して包絡線を形成することを特徴とする検査対象物の形状測定方法。 - 回転中心の周りで回転自在に設けた回転部材を、検査対象物に当接し、
前記検査対象物と前記回転部材との当接状態を保持して移動したときの、該検査対象物の直線移動量(h)と、該直線移動量(h)に応じて変化した前記回転部材の回転角度(β)を検出し、
検出した前記直線移動量(h)と、該直線移動量(h)と対応して検出した前記回転角度(β)に基づいて直線式(y= tan β・x−h)を算出し、
前記算出した直線式のうち、互いに隣り合う直線の直線式に基づいて該隣り合う直線の 交点を算出することを特徴とする検査対象物の形状測定方法。 - 前記隣り合う直線の交点を算出した後、該算出した複数の交点に沿った線の回帰式を算出し、該算出した回帰式にて曲線を形成することを特徴とする請求項9に記載の検査対象物の形状測定方法。
- 算出した前記交点を表示することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の検査対象物の形状測定方法。
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