JP3716156B2 - 板材曲げ加工機用マニピユレータにおけるクランプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、板金等の曲げ加工機がその板材に搬入・搬出、旋回等で位置設定して加工を施す形式である場合に、その位置設定のために板材を押さえ捉えて移動させる板材曲げ加工機用マニピユレータにおいて、その押さえ捉える装置としてのクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のマニピユレータは、一般的に、板材を置く左右両テーブル間に前後方向に移動する走行台を設け、板材を入れる挿入口を有するC型フレームをその走行台に搭載し、そのC型フレームに板材を押さえ捉えるクランプ装置を装備したもので、クランプ装置については、C型フレームの下部片に受け盤を、上部片に押え盤を具備し、受け盤がモータによる駆動回転軸の上端に、押え盤が自由回転軸の下端にそれぞれ取り付けられる。また、押え盤の上下駆動については、油圧シリンダの動力によるもので、押え盤を備える昇降体と、油圧シリンダとをC型フレームの上部片に備え、油圧シリンダのロッドが昇降体に連結される。
【0003】
板材に曲げ加工を施す手順について押え盤の動きを見ると、搬入・搬出の場合は、受け盤の上に板材を押え盤が押さえ止めた状態でC型フレームと一体に進退動作を取る。また、搬入後の加工の際には曲げ加工機において下金型に板材を上金型で締め付けるが、その時にはマニピユレータでは押え盤の押さえを解くこともあるし、また、搬出したときには押さえを解いてから板材を回収する。さらに、一辺の曲げ加工の後に連続して他辺に曲げ加工を施すために旋回させる場合には、挟み直しをするために押え盤を一旦逃がすことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
板材曲げ加工機用マニピユレータにおいては、上記のように、曲げ加工の一連の作業においては、押え盤を一旦逃がす動作が頻繁に伴うことになるが、従来、その動作が油圧シリンダによるために迅速性に欠けるだけでなく、押さえ止めるために強力な油圧力を持続する必要があるためにエネルギー消費が多く、しかも、一動作に全ストロークを使用する必要があるために、さらに迅速性と省エネに欠ける原因となっていた。
【0005】
さらにこの点について検討して見ると、例えば、板材の旋回のために挟み直しをする場合には全ストロークの逃げが必ずしも要しなく、押え盤を僅かに上げ下げするだけで足りる。また、搬出後にテーブルから加工済板材を回収するために押え盤を上げるときには、曲げの高さ寸法により必要最小限に押え盤を持ち上げるだけで足りるが、従来では油圧シリンダの全ストロークの動きを回収毎に強いられていた。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、押え盤の上下運動に迅速性が得られるだけでなく、押さえる時に集中して倍力が得られ、しかも、押え盤を上げる逃げの復帰点が自由になる板材曲げ加工機用マニピユレータにおけるクランプ装置を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は請求項1ないし2に記載の如く構成したもので、これによれば、受け盤に板材を押え盤により挟み付けたクランプ状態で、C型フレームを進退させることにより、搬入・搬出、前後の位置決めをなし、また、搬入後に挟み直してから受け盤を回転することにより、次の曲げ加工のための旋回をなすことができるが、これらの作業に伴う押え盤の上下運動は、サーボモータの回転運動をクランク機構を介して垂直運動に変換したものであるために、非常に高速が得られることはもちろん、押さえの時点を偏心軸の下死点またはその近傍に置くことによって、押さえる力に倍力が得られることから、能力的に小型のサーボモータの使用が可能である。この力点としての下死点またはその近傍の設定は、板材の厚みや材質等により異なってくるが、ターンバックルのナットの操作により連杆の長さを調整して的確且つ容易になし得る。
【0008】
押え盤の復帰点については、サーボモータの回転量により、掴み直しの際や曲げを越える際等の逃げの高さを自由に設定できる。また、クランプの時点における偏心軸の位相設定により、板材の傷つきやすい等の板材の材質に応じて加圧力を自由に調整することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明において、C型フレーム3とは、板材Wを入れる挿入口4を曲げ加工機Bに向かって開口している形態を意味しており、必ずしもC字型とは限らなく、例えばコ字型等であっても良い。いずれにしても、このC型フレーム3の上部片3aに、サーボモータ27とそれに駆動される偏心軸31付きの回転盤29とを設け、偏心軸31と昇降体21の支軸33とを連杆35によりピン連結してなるクランク機構による縦軸駆動装置19を構成したことに、この発明の特徴がある。
【0010】
したがって、昇降体21の摺動の方式は、実施例の如くLM(リニアモーション)ガイドによる場合に限らないが、この方式によれば、突出アーム23を介して押え盤17を設けても、押え盤17の円滑にして安定した上下運動が得られる。そのため、突出アーム23により押え盤17を曲げ加工機Bの上下金型7,8に極力接近させることができる。また、力点としての偏心軸31の適切な位相設定は、前記の如く連杆35にターンバックルを使用して容易になし得るが、連杆35の他の伸縮手段によることもできるし、昇降体21に対する支軸33の高さ調整を可能にしておいてもなし得る。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、サーボモータの回転を昇降体の上下運動に変えるクランク機構によるために、押え盤の上下運動が非常に迅速となり、しかも、サーボモータの回転量により押え盤の逃げる高さを自由に設定することが可能であるので、殊に掴み直しが頻繁に伴う多辺折りや多段折り等の複雑な曲げ形態の場合において、板材の曲げ加工の作業能率を格段に高めることができ、また、クランプの力に偏心軸の下死点またはその近傍における倍力を利用することによって、省エネを図ることができると同時に、動力に小型のサーボモータを使用することにより製造コストの逓減を図ることもできる等の優れた効果がある。
【0012】
【実施例】
次に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図面は一実施例を示したもので、そのマニピユレータMは、板金等の板材Wの曲げ加工機Bの前に設置され、左右テーブル1,1と、その間に進退可能に配置されるC型フレーム3と、C型フレーム3に装備されるクランプ装置5等から構成され、挿入口4に入れたワークとしての板材Wをクランプした状態において、C型フレーム3の進退により、搬入、搬出がなされ、また、クランプ装置5の回転駆動により板材Wの旋回がなされるようになっている。これらの搬入・搬出、旋回の各動作は、曲げ加工機Bにおいて上金型7が下金型8に対して上がっている開き状態においてなされる。9が上金型7を上下する押えラムである。そして、マニピユレータMにより位置設定してから、上金型7で板材Wを押さえた状態で、ベンドブレード10の動作で上への正曲げ又は下への逆曲げがなされる。図1には二度曲げ12の形態を示す。
【0013】
クランプ装置5は、C型フレーム3の下部片3bに駆動回転軸11を、上片部3aに自由回転軸13を相対向して設け、駆動回転軸11の上端に受け盤15を、自由回転軸13の下端に押え盤17をそれぞれ取り付けたものである。また、押え盤17を上下するために、C型フレーム3の上片部3aに縦軸駆動装置19が設けられ、それによって駆動される昇降体21に突出アーム23を介して自由回転軸13が取り付けられる。C型フレーム3の上片部3aには、縦軸駆動装置19を装備するために先端面壁25が形成されている。
【0014】
縦軸駆動装置19は、先端面壁25の上端にサーボモータ27を取り付け、昇降体21が先端面壁25に沿って上下するように、その間にクランク機構を介在させたもので、クランク機構については、サーボモータ27により駆動されるクランク回転盤29にクランクピンとしての偏心軸31を突設し、昇降体21には支軸33を突設し、偏心軸31と支軸33とが連杆35によりピン連結される。ピン連結による連杆35の回動を円滑にするために、連杆35の上下両端にベアリング37,38の嵌着手39,40を取り付け、それぞれの蓋板39a,40aをボルト39b,40bで偏心軸31および従動軸33にそれぞれ固定してベアリング37,38が封じ込まれる。
【0015】
昇降体21の上下動については、LM(リニアモーション)ガイド方式を採り、先端面壁25に左右一対のガイドレール43,43を取り付け、昇降体21にそれぞれのガイドレール43,43に係合する上下一対のガイドブロック45,45が取り付けられる。昇降体21とその下端からの突出アーム23との間には左右一対の補強板47,47が介在される。また、連杆35にはナット36により長さ調整されるターンバックルが使用される。
【0016】
なお、図1では、板材Wの前後両端に曲げ12,12を施した後、他の辺に曲げを施すために、掴み直してから旋回位置に前進させた状態を示し、曲げ12が上金型7の上がりの障害にならない板材Wの位置となっている。ちなみに、搬出の際には、曲げ12の高さよりやや高く押え盤17を逃がして板材Wを回収することになる。また、図2では、実線で偏心軸31の死点位置において板材Wをクランプした状態を、二点鎖線で押え盤17の上がった逃げの状態を示すが、その高さはコンピュータの制御により自由に設定できるため好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による板材曲げ加工機用マニピユレータにおけるクランプ装置の要部を曲げ加工機との関係で示す一部破断した側面図である。
【図2】同クランプ装置の要部を示す正面図である。
【図3】同クランプ装置の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
B 板材の曲げ加工機
M マニピユレータ
W 板材
1 テーブル
3 C型フレーム
3a 上部片
3b 下部片
5 クランプ装置
15 受け盤
17 押え盤
19 縦軸駆動装置
21 昇降体
27 サーボモータ
33 支軸
35 連杆
36 ナット

Claims (2)

  1. 板材の搬入・搬出用のテーブルと、左右テーブルの間に進退させるクランプ装置付きC型フレーム等とからなる板材曲げ加工機用マニピユレータにおいて、C型フレームの下部片に板材の受け盤が回転駆動されるように立設され、一方、上部片には自由回転の押え盤が上下摺動する昇降体に装備されており、C型フレームの上部片に対して昇降体を上下摺動させるために、その上部片にサーボモータにより駆動される偏心軸付きの回転盤を支承し、昇降体に設けられる支軸と前記偏心軸とを連杆によりピン連結してクランク機構による昇降体の縦軸駆動装置を構成したことを特徴とする板材曲げ加工機用マニピユレータにおけるクランプ装置。
  2. 偏心軸と支軸とを連結する連杆が、中間のナットにより長さ調整可能なターンバックルであることを特徴とする請求項1記載の板材曲げ加工機用マニピユレータにおけるクランプ装置。
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