JP3716062B2 - 余剰蒸気の回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は復水タービン発電機を有する自家発電設備等における余剰蒸気の回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2ないし図4に基づいて従来の技術を説明する。
【0003】
従来の蒸気プラントはその1例を図2に示すように、主蒸気の導入を調整する調整弁3、抽気タービン高圧部2a、抽気タービン低圧部2b、同抽気タービン高圧部2aと抽気タービン低圧部2bとを連通した抽気調圧弁6、前記抽気タービン高圧部2a及び抽気タービン低圧部2bと同軸に連結されて駆動される発電機15、前記抽気タービン低圧部2bの排気を受ける復水器5、前記抽気タービン高圧部2aの排気を受け取って工場蒸気等として導く抽気ライン1、そして主蒸気供給ラインに連結して設けた主蒸気の大気放出弁4等より構成されている。
【0004】
このような従来の蒸気プラントにおいて、工場蒸気等の気減により余剰蒸気が発生した場合、同余剰蒸気(タービン抽気)の処理は、発電機15の発電量一定制御のときには、抽気タービン低圧部2bへの流入蒸気が増加すると、調整弁3が絞られて主蒸気が余剰となるので、大気放出弁4を開いてこの余剰主蒸気を大気に放出することにより行っている。
【0005】
また、図3に示すように、前記図2の大気放出弁4を設けずに、これに替えて主蒸気供給ラインと抽気ライン1との間をバイパス調整弁7を介した連絡ラインで結び、かつ、抽気ライン1に抽気の大気放出弁8を設けたものにあっては、前記バイパス調整弁7と大気放出弁8とを開いて余剰の主蒸気を抽気ライン1を部分的に通して大気放出弁8から大気に放出して対処するようにしている。
【0006】
更にまた、図4に示すように、前記図2の主蒸気の大気放出弁4、および前記図3のバイパス調整弁7及び抽気の大気放出弁8を設けずに、これらに替えて大気圧コンデンサ9を設け、同大気圧コンデンサ9を調整弁16を介して抽気ライン1と連絡したものを採用して、余剰蒸気を大気圧コンデンサ9により回収処理するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように従来のものでは、工場蒸気の急減による余剰蒸気が発生した場合には、そのプラントの形態に応じて、主蒸気をそのまま主蒸気供給ラインから大気に放出するか、抽気ラインを経由して大気に放出するか、または大気圧コンデンサにより凝縮処理する等により対処していた。
【0008】
しかし、これらの処理方法のうち、大気放出による場合は多量の蒸気(純水)の損失と共に騒音の問題が生じるし、また、大気圧コンデンサによる余剰蒸気の回収処理方法は、設備費用の増加とともに必要とする冷却水の量が増大するという問題がある。
【0009】
本発明は前記した従来技術による問題点を解消し、経済的でメインテナンス性もよく、効率的な余剰蒸気の処理手段を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した課題を解決するべくなされたもので、抽気タービンの抽気調圧弁のリフトまたは抽気タービン低圧部第1段後の圧力を入力して抽気タービン低圧部の蒸気流量を演算する演算器と、抽気ラインと主復水器を結ぶバイパスラインに設けられた調整弁と、主復水器の真空度を検出する真空計と、抽気ラインから余剰空気を大気に放出する放出弁とを備え、前記演算器は抽気ラインを流れる蒸気負荷の急減信号と真空計からの信号を受けて前記調整弁または放出弁の開閉信号を出す抽気タービンにおける余剰蒸気の回収装置を提供し、抽気タービン低圧部の蒸気流量を抽気調圧弁のリフトまたは抽気タービン低圧部第1段後の圧力から演算器にて推定して許容最大流量を知り、抽気ラインの蒸気負荷急減信号で余剰蒸気の発生を知ったらバイパスラインの調整弁を開けて前記余剰蒸気をバイパスラインを経て主復水器で吸収し、更に主復水器の真空状況を真空計で監視してこれが所定の真空値を越えたら前記バイパスラインの調整弁を閉じて放出弁を開き、余剰蒸気を大気に放出するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1に基づいて説明する。なお、前記した従来のものと同一の部分については相互の関連を理解し易くするように図中同一の符号を付して示す。
【0012】
1は抽気ラインで、図示しない工場機器に連絡し、いわゆる工場蒸気を送給する。2aは抽気タービン高圧部で、前記抽気ライン1はここからスタートしている。2bは抽気タービン低圧部で、前記抽気タービン高圧部2aと抽気調圧弁6を介して連通し、その排気口は主復水器5に通じている。
【0013】
また、同抽気タービン低圧部2bは抽気タービン高圧部2aと一端側で軸結合され、同抽気タービン高圧部2aと協働して他端側に軸結合された発電機15を駆動する。
【0014】
8は抽気ライン1に連絡する大気放出路の開閉を行う放出弁、10は抽気タービン低圧部2bの第1段の後の圧力を検出する圧力計、11は前記抽気ライン1と主復水器5とを結ぶバイパスライン17を開閉する調整弁、12は前記主復水器5内の真空圧を検出する真空計である。
【0015】
また、14は演算器で、抽気調圧弁6のリフト信号、および/又は圧力計10による抽気タービン低圧部2bの第1段後の圧力信号を受けて推定値として抽気タービン低圧部2bにおける蒸気の流量を演算し、この演算結果が抽気タービン低圧部2bにおける最大流量に満たない範囲で、抽気ライン1の蒸気負荷急減信号13を受けたら調整弁11に開の信号を送り、バイパスライン17を開通状態にする。
【0016】
また、同演算器14は真空計12の信号を受け、これが例えば650mmHg以下の低真空を示す場合には、前記調整弁11を閉じて放出弁8を開く指令を出すように構成されている。
【0017】
本実施の形態は前記したように構成されているので、例えば製紙工場において紙切れ等の信号が発せられて抽気ライン1を経て供給される工場蒸気負荷を急減させる蒸気負荷急減信号13が発生すると、前記した調圧弁6のリフト又は/および抽気タービン低圧部2b第1段後の圧力から推定した抽気タービン低圧部2bの蒸気流量との関係において演算器14で演算した結果、調整弁11を開かせてバイパスライン17を経て余剰蒸気を主復水器5に供給してここで回収する。
【0018】
この場合タービン出力、即ち発電機15による発生電力は一定であるため、タービン入口での蒸気流量は不変であり、追従性の悪い回収ボイラ等であっても主蒸気の余剰は生ずることはない。
【0019】
そして前記のように主復水器5をして前記余剰蒸気の回収を続ける一方、同主復水器5の真空低下を真空計12によって監視し、同主復水器5が一定の真空値、例えば650mmHg以下に至った場合には、演算器14からの指令により前記調整弁11を閉めさせ、代わりに放出弁8を開いて余剰蒸気を大気に放出するように切り換える。
【0020】
即ち、本実施の形態では、この種タービンプラント(一般に抽気復水タービン)では通常運転時には主復水器5に余裕があることに着目し、工場蒸気負荷の急減時の余剰蒸気を、工場蒸気の供給ラインである抽気ライン1の途中からバイパスライン17で前記余裕のある主復水器5へ導入して回収することにより、発生電力に影響を与えずに経済的に処理するものである。
【0021】
以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0022】
【発明の効果】
以上本発明によれば、余剰蒸気回収のための特別な大気圧コンデンサ、及びこれに付随する冷却水設備等の周辺機器を設ける必要はなく、これら設備設置のためのコスト及びメインテナンスを不要とする効果が有る。
【0023】
また、余剰蒸気を常時大気放出しないので、大気放出運転の頻度が大巾に減少し、蒸気(純水)の節約が図れるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る余剰蒸気の回収装置の系統図。
【図2】従来の一般的な発電設備の系統図。
【図3】従来の大気放出する余剰蒸気の処理装置の系統図。
【図4】従来の大気圧コンデンサによる余剰蒸気の処理装置の系統図。
【符号の説明】
1 抽気ライン
2a 抽気タービン高圧部
2b 抽気タービン低圧部
3,7,11,16 調整弁
4,8 放出弁
5 主復水器
6 調圧弁
9 大気圧コンデンサ
10 圧力計
12 真空計
13 蒸気負荷急減信号
14 演算器
15 発電機
17 バイパスライン
Claims (1)
- 抽気タービンの抽気調圧弁のリフトまたは抽気タービン低圧部第1段後の圧力を入力して抽気タービン低圧部の蒸気流量を演算する演算器と、抽気ラインと主復水器を結ぶバイパスラインに設けられた調整弁と、主復水器の真空度を検出する真空計と、抽気ラインから余剰空気を大気に放出する放出弁とを備え、前記演算器は抽気ラインを流れる蒸気負荷の急減信号と真空計からの信号を受けて前記調整弁または放出弁の開閉信号を出すことを特徴とする抽気タービンにおける余剰蒸気の回収装置。
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