JP3715800B2 - レーザ照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体材料等の微細加工、金属その他材料の溶接や切断、レーザ媒質の励起光源として使用するレーザ照射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、文献(APPLIED OPTICS, Vol. 34, No. 33, pp. 7718‐7723, 1995)に示されている従来のレーザ照射装置を示す構成図である。
図において、1はパルスレーザ光を発生するパルスレーザ光源、21はビーム径を縮小するビーム縮小光学系、22はビームを集光する集光レンズ、23は単一ビームを複数のビームに分割する回折光学素子、7は被照射物である。
【0003】
次に動作を説明する。
パルスレーザ光源1を出射したパルスレーザ光は、ビーム縮小光学系21へ入射する。ビーム縮小光学系は一対の凸レンズから構成されており、ビーム入射側の凸レンズはビーム出射側の凸レンズより焦点距離が長く、両者の光軸ならびの焦点位置が一致するよう配置されている。従って、ビーム縮小光学系21を通過したパルスレーザ光のビーム径は、入射側凸レンズの焦点距離に対する出射側凸レンズの焦点距離の比で縮小される。ビーム縮小光学系21を出射したパルスレーザ光は、集光レンズ22により集光される。集光レンズ22と被照射物7との間には、回折光学素子22が設置されており、回折光学素子23を通過したビームは回折光学素子23のパタンに応じた回折現象により複数方向に分割される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザ照射装置は上記のように構成されており、パルスレーザ光の分割は、空間方向に対してのみ行われていた。このため分割されたパルスレーザ光のパルス時間幅は、分割以前のパルス時間幅と同一であり、分割後のパルスレーザ光の強度が低下し、例えば、切断や溶接等のレーザ加工に使用する場合、加工性能が劣化するという問題点があった。
【0005】
また、従来のレーザ照射装置においては、パルスレーザ光のパルス時間幅は、レーザ発振器の共振器条件や励起方式等動作形態によって制限される場合が多く、パルス時間幅を任意に変化させることは困難であった。このためレーザパルスの前半部のみが加工等の用途に寄与するような場合であっても、レーザパルス全体を被照射物に照射せざるを得ず、パルス後半部のエネルギーが無駄になるため、生産性の低下やフォトンコストの増大をもたらすという問題点があった。
【0006】
また、パルス時間幅の長いパルスレーザ光を使用し、半導体基板の穴開け等微細加工を行った場合、被加工物への熱影響が顕著となり、加工品質が低下するという問題点があったが、従来のレーザ照射装置においては、パルス時間幅を短くすることは困難であり、パルス時間幅の長いパルスレーザ光は、微細加工に適用することができないという問題点があった。
特に、Qスイッチでパルス化したレーザ光源を使用した場合、パルスレーザ光のパルス時間幅は、レーザ光源の励起パワーや繰り返し周波数により変化するが、パルス時間幅の制御が難しく、レーザ光源の動作条件によってパルス時間幅が変化し、従って加工品質も変化するという問題点があった。
【0007】
また、従来のレーザ照射装置においては、パルスレーザ光源のレーザ媒質に固体レーザ媒質を使用した場合、レーザパルスのパルス時間幅を変化させるため、パルスレーザ光源の動作条件を変更すると、固体素子に生じる熱レンズの焦点距離が変化し、この結果、レーザパルスのビーム品質も変化するため、例えば、加工用途に使用した場合には加工品質が変化してしまうという問題点があった。
【0008】
また、パルス時間幅の長いパルスレーザ光を、レーザ増幅器の励起光源として使用する場合、励起持続時間が、発振ビルドアップ時間(励起を開始してから発振を開始するまでの時間)より長くなると、励起中に増幅媒質が自己発振を開始し、効率よく利得を取り出すことができないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、パルスレーザ光を時間方向に複数に分割し、パルス時間幅の短い複数のパルスレーザ光を形成することにより、レーザ加工へ適用した場合には、加工性能や加工品質に優れ、また他のレーザ媒質の励起光源として使用した場合には、効率よく利得を取り出すことが可能なパルスレーザ光を発生するレーザ照射装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るレーザ照射装置は、直線偏光したパルスレーザ光を発生するパルスレーザ光源と、前記パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転させる光学素子と、直交する偏光成分を2つの進行方向に分離する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された2つの直交する偏光成分を、各々被照射物まで伝送する伝送光路とを備え、前記パルスレーザ光源のパルス光発生タイミングと、前記光学素子の偏光方向の回転タイミングとを制御するとともに、直線偏光の単一レーザパルスが前記光学素子を通過する際、所定の時間範囲内に通過する部分のみ偏光方向を直角に回転させ、単一レーザパルス中に2つの直交する直線偏光部分を形成し、前記偏光ビームスプリッタによって直交する2つの直線偏光部分を分離することにより、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い少なくとも2つのレーザパルスに時間的に分割し、分割したレーザパルスを各々前記被照射物へ照射するようにしたものである。
【0011】
請求項2の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1の発明において、前記偏光ビームスプリッタで進行方向が分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも一方の偏光成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、前記被照射物へのパルス到達時間を遅延するための遅延手段を設けたものである。
【0012】
請求項3の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1または2の発明において、前記パルスレーザ光源は、Qスイッチによってパルス化しているものである。
【0013】
請求項4の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記パルスレーザ光源として、固体レーザ媒質を用いた固体レーザを使用するものである。
【0014】
請求項5の発明に係るレーザ照射装置は、請求項4の発明において、前記パルスレーザ光源として、前記固体レーザ媒質の第2高調波を使用するものである。
【0015】
請求項6の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された偏光方向が直交するレーザパルスを、第2の偏光ビームスプリッタにより再度同一光路に合成するものである。
【0016】
請求項7の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子として電気光学素子を用いるものである。
【0017】
請求項8の発明に係るレーザ照射装置は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子として磁気光学素子を用いるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図9と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
図において、2は複屈折材料から構成される電気光学素子、3は直交する偏光成分の進行方向を2方向に分離する偏光ビームスプリッタ、401はレーザ光源1出射直後のレーザパルス、402は電気光学素子通過後のレーザパルス、403は偏光ビームスプリッタを透過するレーザパルス、404は偏光ビームスプリッタで進行方向が直角に折り曲げられたレーザパルス、5は折り曲げミラー、601は第1の集光レンズ、602は第2の集光レンズ、701は第1の被照射物、702は第2の被照射物である。8はパルスレーザ光源1を駆動するレーザ電源、9は電気光学素子2に電圧を印加する電気光学素子ドライバ、10はレーザ電源8および電気光学素子ドライバ9に対しトリガ信号(動作開始を指令する信号)を供給する信号発生器である。
【0019】
本実施の形態のパルスレーザ光源1には、フラッシュランプを励起光源としたYAGレーザを使用している。従ってパルスレーザ光源1を出射するパルスレーザ光のパルス時間幅は1ms程度である。また本実施の形態はアルミニウムのスポット溶接に適用した例を示している。即ち、第1の被照射物701、第2の被照射物702はともにアルミニウムである。また、実際のレーザパルスの時間波形は、図1に示すような完全な矩形波ではないが、説明を明瞭にするため便宜的に矩形波として描いている。各レーザパルス401、402、403、404上に示す両矢印ならびに黒丸は、レーザパルス中の偏光方向を表しており、両矢印は電界の偏波面が紙面に平行な偏光(P偏光)、黒丸は電界の偏波面が紙面に垂直な偏光(S偏光)を示している。
【0020】
次に動作を説明する。
レーザ電源8によって駆動されたパルスレーザ光源1は、パルス時間幅がTで、電界の偏波面が紙面に平行な向きとなる直線偏光のレーザパルス401を発生する。パルスレーザ光源1を出射したレーザパルス401は、図中右方向へ進行して電気光学素子2へ入射する。電気光学素子2には、複屈折結晶(偏光方向によって屈折率が異なる結晶)であるDKDP(KD2PO4)結晶を使用している。このDKDP結晶は45゜Zcutで立方体に切り出されており、結晶のY’方向とレーザパルス401の進行方向が一致し、レーザパルス401の偏光方向とDKDP結晶のZ方向が45゜の角度をなすよう配置されている。DKDP結晶は複屈折材料であり、結晶に入射したレーザパルスは偏光方向がX’方向とZ方向の2つに分離して伝搬する。DKDP結晶にはZ方向に電圧を印加できるようZ面上に電極が設けられており、Z方向に電圧を印加することによりZ方向の偏光に対する屈折率を変化させることができる。この場合Z方向の屈折率変化量は印加電圧に比例するため(ポッケルス効果)、印加電圧によって結晶出射時のX’方向とZ方向の偏光に任意の位相差をつけることができる。X’方向とZ方向の偏光の位相差がちょうどλ/2になる場合、結晶出射後、X’方向とZ方向偏光が結合された偏光の方向は、結晶入射時の偏光方向と直交したものになる。この場合結晶への印加電圧をλ/2電圧という。本実施の形態では、レーザ電源8と電気光学素子2へλ/2電圧を印加する電気光学素子ドライバ9の動作タイミングは、レーザパルス401が電気光学素子2に入射を開始してから、時間t1経過後にλ/2電圧を印加されるよう信号発生器10によって常に一定に保たれている。従って電気光学素子2通過後のレーザパルス402は、パルス先頭部の時間t1部分はP偏光、後続部の時間t2部分はS偏光となる。
【0021】
電気光学素子2を通過したレーザパルス402は、偏光ビームスプリッタ3へ入射する。偏光ビームスプリッタ3は、直交する偏光成分の進行方向を分離するもので、本実施の形態では、P偏光成分は透過し、S偏光成分の進行方向は直角に折り曲げられるよう配置されている。レーザパルス402は先頭t1部分がP偏光、後続t2部分がS偏光となっているので、レーザパルス402中先頭t1部分は偏光ビームスプリッタ3を真っ直ぐ透過し、パルス時間幅t1のレーザパルス403に、後続t2部分は偏光ビームスプリッタ3によって進行方向が直角に折り曲げられ、パルス時間幅t2のレーザパルス404となる。即ち、レーザパルス402は、パルス時間幅の短い2つのパルスに時間的に分割される。
【0022】
偏光ビームスプリッタ3を透過したパルス時間幅t1のレーザパルス403は、第1の集光レンズ601によって第1の被照射物701上に集光照射される。また偏光ビームスプリッタ3によって進行方向が直角に折り曲げられたパルス時間幅t2のレーザパルス404も同様に、折り曲げミラー5によって再度進行方向が直角に折り曲げられた後、第2の集光レンズ602を介し、第2の被照射物702上に集光照射される。
【0023】
本実施の形態のレーザ照射装置は、一例として、アルミニウムのスポット溶接を行うものである。アルミニウムは熱電導率の高い金属であり、パルスレーザ光を用いてスポット溶接を行う場合、パルス時間幅が長くなると、被照射物であるアルミニウムからの熱の散逸が顕著となるため、レーザパルス後半部をスポット溶接に有効に利用することができず、逆に照射部周囲に対し熱影響を与え加工品質を劣化させる原因となる。またレーザパルスのピーク出力が低下すると、アルミニウムからの熱の散逸により溶接自体が困難になる。
【0024】
本実施の形態のパルスレーザ光源1には、フラッシュランプ励起のYAGレーザを使用している。フラッシュランプ励起YAGレーザのパルス時間幅は、電源およびランプからなる励起回路の回路定数で決まるため、パルス時間幅の変更には電源の改造が必要となる。このためパルス時間幅の調整は容易ではない。
【0025】
本実施の形態に示すように、電気光学素子2および偏光ビームスプリッタ3を使用し、単一のレーザパルス401、402を2つのレーザパルス403、404に時間的に分割すれば、ピーク出力を低下させることなく、分割前のレーザパル401、402に比べ、パルス時間幅の短い2つのレーザパルス403、404を容易に形成することが可能になる。
【0026】
電気光学素子2および偏光ビームスプリッタ3によって時間的に分割されたレーザパルス403、404を、それぞれ被照射物701、702へ伝送し、被照射物701、702に対し照射すれば、レーザパルス403、404のパルス時間幅は、分割前のパルス時間幅に比べ短くなるため、スポット溶接に対するパルスレーザ光の光利用効率が高くなるばかりでなく、照射部周囲に対する熱影響が小さくなるので、加工品質に優れたスポット溶接を行うことができる。また、レーザパルス403、404のピーク出力は分割以前のレーザパルス401、402とほぼ同等に保たれるため、溶接性能は維持される。
【0027】
また、本実施の形態においては、単一のレーザパルス401、402をパルス時間幅の短い2つのレーザパルス403、404へ分割しているため、2つの被照射物701、702を同時に溶接することが可能になる。この結果、上述のパルス時間幅の低減ともなう光利用効率の増加と相まって、スポット溶接時の生産性を大幅に向上させることができる。
【0028】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態においても前記実施の形態1と同様、一例としてアルミニウムのスポット溶接に適用した例を示している。本実施の形態のパルスレーザ光源1も、前記実施の形態1と同じく、フラッシュランプを励起光源として用いたYAGレーザを使用している。前記実施の形態1においては、パルスレーザ光源1を出射する単一レーザパルスを、パルス時間幅の短い2つのレーザパルスに時間的に分割する構成であったが、本実施の形態においては、パルスレーザ光源1を出射するレーザパルス401を、パルス時間幅の短い2つのレーザパルス403、404に時間的に分割する第1の電気光学素子201、第1の偏光ビームスプリッタ301に加え、第1の偏光ビームスプリッタ301を通過するP偏光のレーザパルス403を更に時間的に分割する第2の電気光学素子202、第2の偏光ビームスプリッタ302、第1の偏光ビームスプリッタ301で進行方向が直角に折り曲げられたS偏光のレーザパルス404を更に時間的に分割する第3の電気光学素子203、第3の偏光ビームスプリッタ303を備えている。
901、902、903はそれぞれ電気光学素子201、202、203に電圧を印加する電気光学素子ドライバであって、この場合、信号発生器10はレーザ電源8および電気光学素子ドライバ901、902、903に対しトリガ信号(動作開始を指令する信号)を供給する。
【0029】
次に動作を説明する。
第1のビームスプリッタ301を透過したP偏光のレーザパルス403は、第2の電気光学素子202に入射する。第2の電気光学素子202へレーザパルス403が入射を開始してから、時間t3が経過した時点で、第2の電気光学素子202にはλ/2電圧が印加される。従って第2の電気光学素子202を通過したレーザパルス405の前半t3部分はP偏光、後半t4部分はS偏光となる。
【0030】
レーザパルス405は第2の偏光ビームスプリッタ302へ入射し、P偏光である前半t3部分は真っ直ぐ透過し、S偏光である後半t4部分は進行方向が直角に折り曲げられる。この結果、パルス時間幅t1のレーザパルス405は、パルス時間幅t3、t4の2つのレーザパルス407、408に時間的に分割される。パルス時間幅t3のレーザパルス407は、第1の集光レンズ601によって第1の被照射物701上に集光照射される。また、パルス時間幅t4のレーザパルス408は、第2の折り曲げミラー502によって更に進行方向が直角に折り曲げられた後、第2の集光レンズ602によって第2の被照射物702上に集光照射される。
【0031】
一方、第1のビームスプリッタ301で進行方向が直角に折り曲げられたS偏光のレーザパルス404は、第1の折り曲げミラー501によって更に進行方向が直角に折り曲げられた後、第3の電気光学素子203に入射する。第3の電気光学素子203へレーザパルス404が入射を開始してから、時間t5が経過した時点で、第3の電気光学素子203にはλ/2電圧が印加される。従って第3の電気光学素子203を通過したレーザパルス406の前半t5部分はS偏光、後半t6部分はP偏光となる。
【0032】
レーザパルス406は第3の偏光ビームスプリッタ303へ入射し、S偏光である前半t5部分は進行方向が直角に折り曲げられ、P偏光である後半t6部分は真っ直ぐ透過する。この結果、パルス時間幅t2のレーザパルス406は、パルス時間幅t6、t5の2つのレーザパルス409、410に時間的に分割される。パルス時間幅t6のレーザパルス409は、第3の集光レンズ603によって第3の被照射物703上に集光照射される。また、パルス時間幅t5のレーザパルス410は、第3の折り曲げミラー503によって更に進行方向が直角に折り曲げられた後、第4の集光レンズ604によって第4の被照射物704上に集光照射される。
【0033】
本実施の形態に示すように、第1の電気光学素子201および第1の偏光ビームスプリッタ301に加え、第2および第3の電気光学素子202、203、第2および第3の偏光ビームスプリッタ302、303を使用すれば、更にパルス時間幅の短いレーザパルスを容易に形成することができる。
【0034】
本実施の形態は、前記実施の形態1に比べ薄い板厚のアルミニウムのスポット溶接を行うものである。アルミニウムの板厚が薄くなると、スポット溶接に必要なレーザパルスのパルスエネルギーは小さくなる。一定のパルスエネルギーのもとでは、パルス時間幅が短い方が溶接部周囲への熱影響が小さく、加工品質に優れる。本実施の形態によれば、時間的にレーザパルスを分割することにより、レーザパルスのパルスエネルギーを調整することができる。従ってピーク出力は低下せずに、パルス時間幅が減少するので、優れた加工品質を得ることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、単一のレーザパルスを最終的には4つのレーザパルスに分割しているため、4つの被照射物701、702、703、704に対し同時に高品質のスポット溶接を施すことができる。従って、スポット溶接時の生産性を大幅に向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態においても前記実施の形態1と同じくフラッシュランプ励起のYAGレーザを使用している。パルスレーザ光源1のレーザ媒質に固体媒質を使用すれば、ガスレーザ等に比べ、パルスレーザ光源の大きさを格段に小型化することができる。レーザパルスのパルスエネルギーは、通常はYAG媒質に対する励起強度を変化させることにより調整する。YAGのような固体レーザ媒質を励起した場合、固体レーザ媒質の発熱は避けることができず、固体レーザ媒質には熱レンズが発生する。熱レンズの焦点距離は励起強度によって変化する。固体レーザ媒質の熱レンズが変化すると、レーザの共振条件が変わるためビーム品質も変動する。従って固体素子に対する励起強度によってパルスエネルギーの調整を行う場合、一定の加工品質を保つことは困難になる。
【0037】
本実施の形態によれば、レーザパルスを時間的に分割し、用途に応じたパルス時間幅、パルスエネルギーへ調整することが可能となるので、励起強度を常に一定に保ちながら、照射条件の最適化を図ることができる。従って加工品質は一定し、ばらつきが小さく再現性に優れた安定な加工を行うことが可能となる。
【0038】
本実施の形態においては、単一レーザパルスを最終的に4つのパルスに分割する構成を示したが、パルス分割数はこれに限るものではなく、パルスレーザ光源のパルス出力、パルス時間幅、用途に応じて、分割数を決定すればよい。本実施の形態において、第2の電気光学素子および第2の偏光ビームスプリッタを使用しなければ、単一レーザパルスを時間的に3つのパルスに分割することができるし、第2、第3の偏光ビームスプリッタより被照射物側に、更に電気光学素子および偏光ビームスプリッタを配置すれば、パルス分割数をより多くすることができる。
【0039】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態も前記実施の形態と同じく、一例としてパルスレーザ光源1にフラッシュランプ励起のYAGレーザを使用し、アルミニウムのスポット溶接に使用した例を示している。前記実施の形態においては、電気光学素子によって、単一レーザパルス中に偏光方向が直交する2つの領域を形成し、偏光ビームスプリッタによって単一レーザパルスを2つのレーザパルスへ時間的に分割する構成であったが、本実施の形態においては、電気光学素子2によって、単一レーザパルス中に隣接する領域の偏光方向が直交するよう4つの領域を形成する構成を示している。
【0040】
次に動作を説明する。
パルスレーザ光源1を出射したP偏光のレーザパルス401は、電気光学素子2に入射する。レーザパルス401が電気光学素子2へ入射を開始してから時間t経過後、電気光学素子2にλ/2電圧を時間tの間印加する。λ/2電圧印加停止後、時間tの間をおいて再度電気光学素子2にλ/2電圧を印加する。
【0041】
電気光学素子2に対するλ/2電圧印加時間および印加停止時間tは、パルスレーザ光源1出射直後のレーザパルス401のパルス時間幅Tのおよそ1/4に設定されている。従って電気光学素子2通過後のレーザパルス402は、時間tおきにP偏光とS偏光が交互に変化する4つの領域から形成される。レーザパルス402を偏光ビームスプリッタ3に入射させると、偏光ビームスプリッタ3を真っ直ぐ透過する方向、および偏光ビームスプリッタ3において進行方向が直角に折り曲がる方向に、パルス時間幅t、パルス間隔2tのダブルレーザパルス403、404、405、406が形成される。
【0042】
ダブルレーザパルス403、404は、第1の集光レンズ601によって第1の被照射物701上に集光照射される。ダブルレーザパルス405、406は折り曲げミラー5によって更に進行方向が直角に折り曲げられた後、第2の集光レンズ602によって第2の被照射物702上に集光照射される。
【0043】
レーザパルスのピークパワーを一定と仮定した場合、パルス幅2tのレーザパルスで被照射物を照射する場合と、パルス幅tのレーザパルスを時間間隔をおいて2回照射する場合とでは、全照射パルスエネルギーが同一であっても、加工特性は大きく異なる。後者の照射方法は、前者の照射方法に比べ、被照射物に与える熱影響が小さく、高い加工品質を得ることができる。本実施の形態によれば、全照射パルスエネルギーを一定に維持しつつ、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い複数レーザパルスに分割し、被照射物に照射することが可能となるので、加工品質の高いスポット溶接を行うことができる。
【0044】
本実施の形態においては、パルス時間幅がほぼ等しくなるダブルレーザパルスで、被照射物を照射する構成を示したが、各レーザパルスのパルス時間幅や、パルス数はこれに限るものではなく、被照射物である材料や用途に応じて、最適なパルス時間幅およびパルス数を選定すればよい。
【0045】
上記実施の形態においては、偏光方向を直角に回転させるため、いずれもポッケルス効果を利用した電気光学素子を使用する構成を示したが、電気光学素子はこれに限るものではなく、複屈折量が印加電圧の2乗に比例するカー効果を利用した電気光学素子を使用しても同様な効果を得ることができる。
【0046】
また、偏光方向の回転に磁気光学効果の1つであるファラデー効果を利用した磁気光学素子を使用しても、偏光方向を直角に回転させることは可能であり同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0047】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態においては、パルスレーザ光源1に、一例として半導体レーザ励起のYAGレーザをQスイッチでパルス化し、共振器内部に配置した波長変換結晶で第2高調波を発生する内部波長変換方式第2高調波レーザを使用している。被照射物は直列2段に配置されたレーザ媒質で多段増幅器を構成している。本実施の形態では被照射物であるレーザ媒質は色素である。パルスレーザ光源を出射した単一レーザパルスを時間的に2分割し、分割された各レーザパルスで被照射物であるレーザ媒質の光励起を行う。
【0048】
図中、12はパルスレーザ光源のレーザ媒質に使用している固体素子で、本実施の形態では、Nd(ネオジウム)を活性物質としてドープしたロッド形状を有するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)結晶を使用している。13は励起光源である半導体レーザ、14はレーザ共振器内の光損失を変化させることによりレーザパルス化するQスイッチ、15は固体素子12から発せられた波長1.06mmの基本波光を、波長532nmの第2高調波に波長変換する波長変換結晶で、本実施の形態では一例としてKTP(KTiOPO4)結晶を使用している。16はレーザ共振器を構成する第1の端部ミラーで、波長1064nmの基本波に対し全反射コーティングが施されている。17はレーザ共振器を構成する第2の端部ミラーで、波長1064nmの基本波、波長532nmの第2高調波両者に対し、全反射コートが施されている。18は共振器内の光軸を折り曲げ、第2高調波を共振器外部に取り出すため波長1064nmの基本波光に対しては全反射、波長532nmの第2高調波に対しては全透過となるよう2波長コーティングが施された第2高調波取り出しミラーである。19はQスイッチ14の駆動を行うQスイッチドライバ、20はレーザ媒質である直列に並べられた第1の被照射物701と第2の被照射物702によって増幅される被増幅光である。
【0049】
次に動作を説明する。
まず、半導体レーザ13から出射する励起光を、固体素子12の光軸側方より照射し、固体素子12の励起を行う。励起された固体素子12中には、励起光の波長、活性媒質の原子構造に応じた特定のエネルギー準位間で反転分布が生じる。反転分布は自然放出および誘導放出により減少するが、共振器内に配置したQスイッチ14による光損失が大きい状態では、共振器内の光強度は増大し得ず、誘導放出による反転分布の減少は無視することができる。従って励起による反転分布増加量が自然放出による反転分布減少量を上回る限り反転分布は増加し、高いエネルギーが固体素子12内に蓄積される。
固体素子12内に高いエネルギーが蓄積された状態で、Qスイッチ14による光損失量を急速に低下させると、固体素子12内で発生した自然放出光は、第1の端部ミラ16と第2の端部ミラー17により共振器内に閉じ込められ、固体素子12の誘導放出による増幅作用を被り共振器内の基本波光の強度は急速に増加する。誘導放出の発生割合は、固体素子12を通過する光強度に比例するため、強度の高い基本波レーザ光が固体素子12中を通過する際、誘導放出が顕著となり反転分布はしきい値以下にまで減少してしまう。この結果、共振器内の基本波光は発振を停止する。上述のように、共振器内にQ スイッチ14を設置し、共振器内の光損失を増減することにより、ピーク強度の高いパルス光を発生することができる。特に本実施の形態においては、基本波光を第1の端部ミラー16および第2の端部ミラー17から構成される共振器内に閉じ込める構成としているので、共振器内の基本波光の強度は非常に高くなる。
【0050】
本実施の形態においては、共振器内に波長変換結晶15を配置し、かつ第1の端部ミラー16と第2の端部ミラー17によって基本波光を共振器内に閉じ込めているので、非常にピーク強度の高い基本波光を波長変換結晶15中へ入射させることができる。波長変換結晶15において、基本波光が第2高調波光へ変換される割合は、理論的には基本波光強度の2乗に比例する。本実施の形態に示すように共振器内部波長変換構成によれば、高強度の基本波光を波長変換結晶15に入射させ、効率よく第2高調波光を発生させることができる。共振器内で発生した第2高調波は、共振器内に設置した第2高調波取り出しミラー18から共振器外部に取り出される。本実施の形態においては、共振器出射時のレーザパルスのパルス幅はおよそ80nsであった。
【0051】
本実施の形態においては、電気光学素子ドライバ9とQスイッチドライバ19の動作タイミングを、同一の信号発生器10により制御している。従って、パルスレーザ光源1のパルス発生動作と電気光学素子2への電圧印加動作は常に同期がとられている。レーザ共振器を出射したP偏光のレーザパルス401は、電気光学素子2に入射する。レーザパルス401が電気光学素子2へ入射を開始してから時間t1が経過した時点で電気光学素子2にλ/2電圧を印加する。従って電気光学素子2を通過したレーザパルス402は前半t1部分がP偏光、後半t2部分はS偏光となる。レーザパルス402に偏光ビームスプリッタ3に入射し、パルス時間幅がt1でP偏光のレーザパルス403と、パルス時間幅がt2でS偏光のレーザパルス404に分割される。P偏光のレーザパルス403は、光ファイバ11によって遅延された後、第1の集光レンズ601によって第1の被照射物701上に集光照射される。一方、S偏光のレーザパルス404は折り曲げミラー5によって進行方向が直角に折り曲げられた後、第2の集光ミラー602によって第2の被照射物702上に集光照射される。
【0052】
前述のように、本実施の形態においては、第1の被照射物701および第2の被照射物702は、ともにレーザ媒質として用いる色素であり、第1の被照射物701と第2の被照射物702を2段直列に配置することにより多段増幅器の一部を構成している。本実施の形態では色素の種類としてローダミン6Gを使用している。第1の被照射物701および第2の被照射物702は、それぞれレーザパルス403、404の照射により光励起され、色素内の特定のエネルギー準位間で反転分布が生じる。反転分布が形成された状態で、反転分布のエネルギー準位間のエネルギー差に合致した波長を有する被増幅光20が、第1、第2の被照射物701、702中を通過すると、被増幅光20は誘導放出によって増幅作用を受け、被増幅光20の光強度は増大する。
【0053】
励起された増幅媒質内では、ランダムに発生する自然放出光が、誘導放出によって増幅されるASE(Amplified Spontaneous Emission)が発生する。ASEは本来増幅すべきレーザ光には寄与せず、反転分布に蓄積されるエネルギーを消費するため、増幅効率低下の一因になる。ASEの強度は、励起開始から時間経過にともない増加する。増幅効率の観点から、ASE強度が立ち上がる以前に励起を完了し、被増幅光の増幅を行う必要がある。
【0054】
本実施の形態によれば、パルスレーザ光源より発せられた単一レーザパルスを、時間的に分割することが可能となるので、パルスレーザ光源より発せられた単一レーザパルスのパルス時間幅が、被照射物であるレーザ媒質中において、ASE強度が立ち上がるまでに要する時間よりも長い場合であっても、単一レーザパルスを時間的に分割し、よりパルス時間幅の短いレーザパルスを形成して、レーザ媒質に照射することにより、効率よくレーザ媒質を励起し、被増幅光の増幅を行うことができる。
【0055】
反転分布によってレーザ媒質内に蓄積されたエネルギーは、被増幅光が存在しない状態では、自然放出やASE、その他非放射遷移によって経時的に減少する。レーザ媒質に対する励起持続時間が、反転分布の寿命(反転分布によって蓄積されるエネルギーが1/eになる時間で定義)に比べ長くなる場合、レーザ媒質励起時に被増幅光が存在しない状態においては、励起エネルギーを反転分布として効果的蓄積することができず、増幅効率低下の原因となる。一方、レーザ媒質励起時に、被増幅光が存在する場合、反転分布に変換された励起エネルギーは、誘導放出によって逐次被増幅光へ移譲されるため、効率よく被増幅光の増幅を行うことが可能となる。
【0056】
本実施の形態においては、第1、第2の被照射物701、702はレーザ媒質であるローダミン6Gであり、反転分布の寿命は30nsである。一方、時間的に分割されたレーザパルス403、404のパルス時間幅は40ns程度であるため、励起持続時間が反転分布の寿命より長くなる。従って効率よい増幅を行うためには、励起持続中に被増幅光20が、第1、第2の被照射物701、702中に存在する必要がある。
【0057】
また、第1、第2の被照射物701、702は直列に配置されており、両者で同一の被増幅光20を増幅する。高効率な増幅を行うためには、第1の被照射物701の励起開始時間と第2の被照射物702の励起開始時間との間に、被増幅光20が第1の被照射物701から第2の被照射物702に至るまでに要する時間差を設ける必要がある。
【0058】
本実施の形態においては、偏光ビームスプリッタ3によって時間的に分割されたP偏光のレーザパルス403の光路上に、光ファイバ11からなる遅延手段を設けている。光ファイバ11は、石英(屈折率:1.42)から形成されており、ファイバ1m当たりおよそ4.74nsパルスを遅延させることができる。本実施の形態においては、例えば長さ9mの光ファイバを使用することにより、P偏光のレーザパルス403をおよそ43ns遅延させている。この結果、第1の被照射物701と第2の被照射物702を通過する被増幅光20の通過タイミングと、励起光であるレーザパルス403、404がそれぞれ第1の被照射物701、第2の被照射物702を照射するタイミングを、同期させることが可能となった。このため第1の被照射物701および第2の被照射物702中に反転分布として蓄積された励起エネルギーは、逐次被増幅光20に移譲され、効率よく被増幅光の増幅を行うことができた。
【0059】
本実施の形態においては、パルスレーザ光源1はQスイッチ14によってパルス化している。Qスイッチ14はレーザ共振器中の光損失を時間的に変化させることにより、レーザ媒質即ちYAG結晶内に反転分布として蓄積したエネルギーを光パルスとして間欠的に放出するもので、パルス時間幅が短くピーク強度の高いレーザパルスの発生が可能となる。但し、Qスイッチによって発生するレーザパルスのパルス時間幅は、レーザ媒質の誘導放出断面積、レーザ媒質に対する励起強度、レーザ共振器の長さ、繰り返し周波数等によって決定される。即ち、Qスイッチ動作時のパルス時間幅は、レーザ発振機構自体に関わり、動作条件によって変化するため、所望の動作条件において任意のパルス幅を得ることは困難である。
【0060】
本実施の形態によれば、時間的にレーザパルスを分割することが可能となるため、Qスイッチによってパルス化されたレーザパルスを使用する場合であっても、所望する動作条件においてパルスレーザ光源出射直後のパルス時間幅よりも短い任意のパルス時間幅のレーザパルスを得ることができる。
【0061】
本実施の形態においては、YAGレーザの第2高調波光を用いて色素を励起する構成を示したが、パルスレーザ光源および励起する増幅媒質はこれに限るものではなく、パルスレーザ光を用いて光励起するレーザ増幅器であれば、いずれの構成にも適用することができる。
【0062】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図1および図4と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態においては、レーザ媒質として例えばチタンがドープされたサファイア結晶(チタンサファイア結晶)を使用する再生増幅器へ適用する構成を示している。従って本実施の形態の被照射物7はチタンサファイア結晶である。再生増幅器は増幅器自体で光共振器を有するが、この発明は励起光源として用いるレーザ照射装置を発明の主旨としているため、図5において再生増幅器の光共振器は簡単のため省略する。なお、本実施の形態のパルスレーザ光源1も前記実施の形態4と同じく、半導体レーザ励起のYAGレーザをQスイッチでパルス化し、共振器内部に配置した波長変換結晶で第2高調波を発生する内部波長変換方式第2高調波レーザを使用している。また、本実施の形態は前記実施の形態4とは異なり、単一の被照射物7であるチタンサファイア結晶を励起する構成を示している。
【0063】
再生増幅器は増幅器自体が共振器を有するため、被増幅光20が存在しない場合であっても、励起すれば発振を開始する(自己発振)。自己発振を開始すると被照射物7であるレーザ媒質中に反転分布として蓄積されたエネルギーが消費されるため、被増幅光を効率よく増幅することが困難になるばかりでなく、本来の被増幅光が目的としている用途に対し、自己発振光が悪影響を与える。レーザ媒質に励起を開始してから、自己発振を開始するまでには、共振器内で光強度が増加するための時間(共振器ビルドアップ時間)を要する。従って、再生増幅器の励起を行う場合には、励起持続時間を共振器ビルドアップ時間よりも短くする必要がある。
【0064】
次に動作を説明する。
本実施の形態によれば、パルスレーザ光源1を出射した単一レーザパルス401を時間的に分割することが可能となるので、共振器ビルドアップ時間よりもパルス時間幅の短いレーザパルス403、404を形成することができる。偏光ビームスプリッタ3を透過したP偏光のレーザパルス403は、第1の折り曲げミラー501により進行方向が直角に折り曲げた後、光ファイバ11から構成される遅延手段によって所定時間遅延される。光ファイバで遅延作用を受けたレーザパルス403は、第2の折り曲げミラー502によって再度進行方向を直角に折り曲げ、第1の集光ミラー601によって被照射物7であるチタンサファイア結晶に集光照射され、チタンサファイア結晶を光励起する。一方、偏光ビームスプリッタ3で進行方向が直角に折り曲げられたS偏光のレーザパルス404は、第3の折り曲げミラー503で進行方向が再度直角に折り曲げられ、第2の集光レンズ602によって被照射物7であるチタンサファイア結晶に集光照射され、チタンサファイア結晶を光励起する。
【0065】
ここで、光ファイバ11によるレーザパルス403の遅延時間は、レーザパルス403とレーザパルス404が、被照射物7、即ちチタンサファイア結晶へ同時に到達するよう調整されている。従って、被照射物7であるチタンサファイア結晶へ照射されるパルスエネルギーの合計は、パルスレーザ光源1出射時の単一レーザパルス401とほぼ同等の値を維持しつつ、チタンサファイア結晶に対する励起持続時間は、パルスレーザ光源1出射時の単一レーザパルス401のパルス時間幅に比べ大幅に低減する。この結果、自己発振が開始する以前に励起を完了することが可能となり、効率よく被増幅光20の増幅を行うことができた。
【0066】
本実施の形態においては、単一レーザパルスを時間的に2分割し、パルス遅延手段を用いて同時に被照射物であるチタンサファイア結晶を励起する構成を示したが、被照射物はレーザ媒質に限るものではない。例えば、金属の微細穴開け等加工用途へ適用すれば、パルスエネルギーをほぼ一定に維持しながら被照射物に対する照射時間を効果的に低減することが可能となるので、加工速度を一定に保ちながら被照射物に対する熱影響を低減し、加工品質の向上を図ることができる。
【0067】
実施の形態6.
図6はこの発明の実施の形態6に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、図1および図4と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態のパルスレーザ光源1には、Qスイッチでパルス化したYAGレーザを使用し、ステンレスの薄板に穴開け加工を施す構成を示している。パルスレーザ光源1を出射するパルスレーザ光のパルス時間幅は100ns程度で、実際のレーザパルスの時間波形は、図6に示すような矩形波ではないが、説明を明瞭にするため便宜的に矩形波として描いている。本実施の形態において、パルスレーザ光源1から発せられた単一レーザパルス401を、第1の偏光ビームスプリッタ301によって時間的的に分割するまでは、前記いずれの実施の形態とも同一の動作である。本実施の形態は、一旦、時間的に分割したレーザパルス403、404を、第2の偏光ビームスプリッタ302を使用して同一光路上に再合成し、被照射物7であるステンレス薄板に照射するものである。
【0068】
次に動作を説明する。
パルスレーザ光源1を出射したパルス時間幅TのP偏光の単一レーザパルス401は、電気光学素子2によって、前半t1部分がS偏光、後半t1部分がP偏光となるよう調整される。前半部分がS偏光、後半部分がP偏光であるレーザパルス402は、第1の偏光ビームスプリッタに入射する。S偏光であるレーザパルス前半部分は、進行方向が直角に折り曲げられ、P偏光であるレーザパルス後半部分は第1の偏光ビームスプリッタ301を直進して透過する。この結果、単一レーザパルス402は、ほぼパルス時間幅が等しいP偏光のレーザパルス403と、S偏光のレーザパルス404に時間的に分割される。
【0069】
P偏光のレーザパルス403は、第1の偏光ビームスプリッタ301を透過し、第2の偏光ビームスプリッタ302に入射する。S偏光のレーザパルス404は、偏光ビームスプリッタ301によって直角に進行方向が折り曲げられた後、第1の折り曲げミラー501によって再度進行方向が直角に折り曲げられる。第1の折り曲げミラー501通過後、レーザパルス404はパルス遅延手段である偏光保持光ファイバ11に入射する。偏光保持光ファイバ11透過後、第2の折り曲げミラーによって再度進行方向が直角に折り曲げられた後、P偏光のレーザパルス403とは直交する向きで、第2の偏光ビームスプリッタ302に入射する。ここで、パルス遅延手段として使用する偏光保持光ファイバ11の長さは、P偏光のレーザパルス403とS偏光のレーザパルス404が、第2の偏光ビームスプリッタ302に同時に入射するよう調整されている。
【0070】
第1および第2のビームスプリッタ301、302は、P偏光の入射光は直進して透過し、S偏光の入射光は進行方向を直角に折り曲げられるよう形成されているため、第2の偏光ビームスプリッタ302に対し、直交する角度で同時に入射したP偏光のレーザパルス403とS偏光のレーザパルス404は、同一光路上に合成される。この結果、パルスレーザ光源1出射直後の単一レーザパルス401と同等とパルスエネルギーを維持しつつ、単一レーザパルス401に比べパルス時間幅が短く、ピーク出力の高い、単一レーザパルス405が形成される。単一レーザパルス405は、集光レンズ6によって、被照射物7であるステンレス薄板上に集光照射される。
【0071】
本実施の形態によれば、パルスレーザ光源出射時と同等のパルスエネルギーを維持しつつ、パルス時間幅が狭く、ピーク出力の高い単一レーザパルスを形成することが可能となるため、加工速度を低下させることなく被照射物に対する熱影響を低減し、加工品質の向上を図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、2つのレーザパルスを同一光路上に重畳して単一レーザパルスを形成し、被照射物に照射するので、2つのレーザパルスを別々の光路で伝送し、被照射物上の同一個所を同時に照射する場合に比べ、光路構成が簡単になり、光路調整を格段に容易にすることができる。また2つのレーザパルスを別々の光路で伝送し被照射物に照射する場合、2つのレーザパルス照射時の等価的なビーム集光性は、分割前の単一レーザパルスに比べ1/2以下に低下するが、本実施の形態に示すように、2つのレーザパルスを同一光路上に合成すれば、合成後の単一レーザパルスの集光性は、分割前の単一レーザパルスの集光性をほぼ維持することができる。従って、2つのレーザパルスを別々の光路で伝送し被照射物に照射する場合に比べ、焦点深度が深く、精度よく分解能の高い加工を行うことができる。
【0073】
実施の形態7.
図7はこの発明の実施の形態7に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。図中、図6と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
前記実施の形態6においては、ほぼパルス時間幅が等しくなるよう時間的に分割した2つのパルスを、パルス遅延手段を用いて同時に第2の偏光ビームスプリッタ302に入射するよう調整し、同一光路上に合成する構成を示したが、図7に示す本実施の形態では、図6に示す前記実施の形態と同一構成において、単一レーザパルス401を、第1の偏光ビームスプリッタ301によって、パルス時間幅t1のレーザパルス403と、パルス時間幅t2のレーザパルス404に分割する。パルス遅延手段である偏光保持光ファイバ11によって、2つのレーザパルス403、404が、第2の偏光ビームスプリッタ302にΔtの時間差をもって入射するよう調整し、2つのレーザパルス403、404を同一光路上に合成する。図7は、合成前の2つのレーザパルス403、404と、合成後の単一レーザパルス405を示している。
【0074】
本実施の形態に示すように、第1の偏光ビームスプリッタ301で時間的に分割したレーザパルス403、404の一部のみが重なるようパルス遅延手段によって、2つのレーザパルス403、404が第2の偏光ビームスプリッタ302へ入射するタイミングを調整すれば、パルス先頭部Δtとパルス後端部t1+Δt ‐t2のピーク出力が低く、パルス中央部t2‐Δtのピーク出力が高いパルス時間幅t1+t2‐Δtの単一レーザパルス405を形成することができる。
【0075】
実施の形態8.
図8はこの発明の実施の形態8に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。図中、図6と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示している。
本実施の形態においても、図6に示す前記実施の形態6と同一の構成を用いている。本実施の形態においては、単一レーザパルス401を、第1の偏光ビームスプリッタ301によって、パルス時間幅t1のレーザパルス403と、レーザパルス403に比べパルス時間幅の短いパルス時間幅t2のレーザパルス404に分割する。パルス遅延手段である偏光保持光ファイバ11によって、2つのレーザパルス403、404が、第2の偏光ビームスプリッタ302に同時に入射するよう調整し、2つのレーザパルス403、404を同一光路上に合成する。図8では、合成前の2つのレーザパルス403、404と、合成後の単一レーザパルス405を示している。
【0076】
本実施の形態に示すように、単一レーザパルスを第1の偏光ビームスプリッタ301によってパルス時間幅の大きく異なる2つのレーザパルス403、404に時間的に分割し、パルス遅延手段を用いて、分割された2つのレーザパルス403、404が、第2の偏光ビームスプリッタ302へ同時に入射するよう調整し、2つのレーザパルス403、404を同一光路上に調整すれば、パルス先頭部t2のピーク出力が高く、パルス時間幅t1の単一レーザパルス405を形成することができる。
【0077】
第2の偏光ビームスプリッタを用いたパルス合成の種類は、上記実施の形態に限るものではなく、用途に応じて、単一レーザパルス分割時のパルス時間幅、第2の偏光ビームスプリッタにおける入射タイミングを設定し、目的に応じて最適なパルス時間波形となるよう単一パルスを合成すればよい。要するに、レーザの種類を問わず、直線偏光の単一レーザパルス中の偏光方向を一部直交させ、第1の偏光ビームスプリッタを用いて偏光が直交する部分を一旦時間的に分割し、分割したレーザパルスの遅延時間を調整して、第2の偏光ビームスプリッタを用いて再度合成すれば、様々なパルス時間波形を有するレーザパルスの合成が可能になるということである。
【0078】
上記実施の形態においては、直線偏光の単一レーザパルスを、第1の偏光ビームスプリッタで2つに分割し、第2の偏光ビームスプリッタによって、2つに分割したレーザパルスを一部時間的に重ね合わせ合成する構成を示したが、単一レーザパルスの分割数は2つに限るものではなく、またパルス合成時、時間的に重ねることなく同一光路上に合成すれば、単一レーザパルスからパルス時間幅の短い複数のレーザパルスのパルス列を形成することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、直線偏光したパルスレーザ光を発生するパルスレーザ光源と、前記パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転させる光学素子と、直交する偏光成分を2つの進行方向に分離する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された2つの直交する偏光成分を、各々被照射物まで伝送する伝送光路とを備え、前記パルスレーザ光源のパルス光発生タイミングと、前記光学素子の偏光方向の回転タイミングとを制御するとともに、直線偏光の単一レーザパルスが前記光学素子を通過する際、所定の時間範囲内に通過する部分のみ偏光方向を直角に回転させ、単一レーザパルス中に2つの直交する直線偏光部分を形成し、前記偏光ビームスプリッタによって直交する2つの直線偏光部分を分離することにより、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い少なくとも2つのレーザパルスに時間的に分割し、分割したレーザパルスを各々前記被照射物へ照射するようにしたので、パルスレーザ光源の動作条件の変更によって、パルス時間幅の低減が困難な場合であっても、パルスレーザ光源を出射する単一レーザパルスに比べ、パルス時間幅の短いパルスを容易に生成することが可能となり、この結果、被照射物に対する熱影響を緩和し、加工用途に適用する場合には加工品質が向上するばかりでなく、パルスレーザ光の利用効率を高めることができ、また同時に複数の被照射物にレーザパルスを照射することが可能となるので、生産性を効果的に向上させることが可能になるという効果がある。
【0080】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、前記偏光ビームスプリッタで進行方向が分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも一方の偏光成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、前記被照射物へのパルス到達時間を遅延するための遅延手段を設けたので、偏光ビームスプリッタによって分割した各レーザパルスの、被照射物に対する照射タイミングの調整が可能となるため、被照射物に対し分割した各レーザパルスを同時に照射するよう照射タイミングを調整すれば、分割前の単一レーザパルスと同等のパルスエネルギーを、分割前の単一レーザパルスのパルス時間幅に比べ短い時間内に、被照射物に対し照射することが可能となり、以って、加工用途に使用する場合には、生産性を低下させることなく、熱影響を緩和し、加工品質の向上を図ることができ、またレーザ増幅器の励起に使用する場合、ASEや自己発振によるレーザ媒質内の蓄積エネルギーの消費を効果的に低減することが可能となり、高い増幅効率を得ることができるという効果がある。
【0081】
また、請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明において、前記パルスレーザ光源は、Qスイッチによってパルス化しているので、パルス時間幅が短く、ピーク出力の高いレーザパルスを得ることができるばかりでなく、時間的にレーザパルスを分割することが可能となるため、所望する動作条件において、パルスレーザ光源を出射する単一レーザパルスのパルス時間幅よりも短い任意のパルス時間幅のレーザパルスを得ることができるという効果がある。
【0082】
また、請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記パルスレーザ光源として、固体レーザ媒質を用いた固体レーザを使用するので、パルスレーザ光源を小型化することが可能となるばかりでなく、パルスレーザ光源の動作条件を一定に保持したまま、レーザパルスを時間的に分割し、用途に応じたパルス時間幅、パルスエネルギーへ調整することが可能となり、以って、励起強度を常に一定に保ちながら、照射条件の最適化を図ることができ、加工品質は一定し、ばらつきが小さく再現性に優れた安定な加工を行うことが可能となるという効果がある。
【0083】
また、請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、前記パルスレーザ光源として、前記固体レーザ媒質の第2高調波を使用するので、色素やチタンサファイア結晶等をレーザ媒質として用いた増幅器の励起を行う際、ASEや自己発振によるレーザ媒質内の蓄積エネルギーの消費を効果的に低減し、高い増幅効率を得ることができるという効果がある。
【0084】
また、請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された偏光方向が直交するレーザパルスを、第2の偏光ビームスプリッタにより再度同一光路に合成するので、パルスレーザ光源出射時と同等のパルスエネルギーを維持しつつ、パルス時間幅が狭く、ピーク出力の高い単一レーザパルスを形成することが可能となり、加工速度を低下させることなく被照射物に対する熱影響を低減し、加工品質の向上を図ることができるばかりでなく、2つのレーザパルスを別々の光路で伝送する場合に比べ、光路構成が簡単になり、光路調整を格段に容易にすることができ、また合成後の単一レーザパルスの集光性は、分割前の単一レーザパルスの集光性がほぼ維持されるので、焦点深度が深く、精度よく分解能の高い加工を行うことができ、更に分割したレーザパルスを合成する際の遅延時間を調整することにより、用途に応じたパルス時間波形となるようレーザパルスを合成することができるという効果がある。
【0085】
また、請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子として電気光学素子を用いるので、偏光方向を直角方向に確実に回転させることができるという効果がある。
【0086】
また、請求項8の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子として磁気光学素子を用いるので、偏光方向を直角方向に確実に回転させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態3に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態5に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態6に係るレーザ照射装置を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態7に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態8に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。
【図9】 従来のレーザ照射装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 パルスレーザ光源、 2 電気光学素子、 3 偏光ビームスプリッタ、302 第2の偏光ビームスプリッタ、 401 レーザ光源出射直後のレーザパルス、 402 電気光学素子通過後のレーザパルス、 403 偏光ビームスプリッタを透過するレーザパルス、 404 偏光ビームスプリッタで進行方向が直角に折り曲げられたレーザパルス、 405 合成されたレーザパルス、 7 被照射物、 701 第1の被照射物、 702 第2の被照射物、 11 光ファイバ、 12 YAG結晶、 14 Qスイッチ、 15 波長変換結晶。

Claims (8)

  1. 直線偏光したパルスレーザ光を発生するパルスレーザ光源と、
    前記パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転させる光学素子と、
    直交する偏光成分を2つの進行方向に分離する偏光ビームスプリッタと、
    該偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された2つの直交する偏光成分を、各々被照射物まで伝送する伝送光路とを備え、
    前記パルスレーザ光源のパルス光発生タイミングと、前記光学素子の偏光方向の回転タイミングとを制御するとともに、
    直線偏光の単一レーザパルスが前記光学素子を通過する際、所定の時間範囲内に通過する部分のみ偏光方向を直角に回転させ、単一レーザパルス中に2つの直交する直線偏光部分を形成し、前記偏光ビームスプリッタによって直交する2つの直線偏光部分を分離することにより、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い少なくとも2つのレーザパルスに時間的に分割し、分割したレーザパルスを各々前記被照射物へ照射するようにしたことを特徴とするレーザ照射装置。
  2. 前記偏光ビームスプリッタで進行方向が分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも一方の偏光成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、前記被照射物へのパルス到達時間を遅延するための遅延手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ照射装置。
  3. 前記パルスレーザ光源は、Qスイッチによってパルス化していることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ照射装置。
  4. 前記パルスレーザ光源として、固体レーザ媒質を用いた固体レーザを使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のレーザ照射装置。
  5. 前記パルスレーザ光源として、前記固体レーザ媒質の第2高調波を使用することを特徴とする請求項4記載のレーザ照射装置。
  6. 前記偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された偏光方向が直交するレーザパルスを、第2の偏光ビームスプリッタにより再度同一光路に合成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザ照射装置。
  7. 前記光学素子として電気光学素子を用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のレーザ照射装置。
  8. 前記光学素子として磁気光学素子を用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のレーザ照射装置。
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