JPH0864896A - 高平均出力パルスco▲2▼レーザ装置 - Google Patents

高平均出力パルスco▲2▼レーザ装置

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JPH0864896A
JPH0864896A JP22264194A JP22264194A JPH0864896A JP H0864896 A JPH0864896 A JP H0864896A JP 22264194 A JP22264194 A JP 22264194A JP 22264194 A JP22264194 A JP 22264194A JP H0864896 A JPH0864896 A JP H0864896A
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JP
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laser
pulse
resonator
mirror
power amplifier
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JP22264194A
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Naoya Hamada
直也 浜田
Tatsuhiko Sakai
辰彦 坂井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 パルス発振CO2 レーザ装置において、相対
的に小型の装置から高効率でかつ数kW以上の高い平均
出力のパルスCO2 レーザ光を安定して得ることができ
る装置を提供する。 【構成】 パルス発振CO2 レーザ装置において、パル
ス発振QスイッチCO2レーザ装置からなるマスターオ
シレータ1と、光アイソレータ8と、ビームコリメータ
11と、不安定型共振器のCO2 レーザ装置よりなるパ
ワーアンプリファイア12によって構成される高平均出
力パルスCO2 レーザ装置で、パワーアンプの不安定型
共振器を構成する一方の全反射鏡にビーム入射穴を設
け、この穴部分からマスターオシレータ1のパルス発振
CO2 レーザ光を入射する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザビームに対して
高反射率を示すかもしくは熱伝導率が高い難加工性材料
などの特殊材料の加工や、レーザ同位体分離等のレーザ
光化学での応用で要求される高尖頭出力、高パルス繰り
返し率、高平均出力のパルスCO2 レーザ光を高効率、
かつ安定に得るための高平均出力パルスCO2 レーザ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の連続波CO2 レーザの飛躍的な大
出力化ならびにレーザビーム空間モードの高品質化に伴
い、その応用分野は各種の材料加工を中心として大きな
展開を見せている。さらに昨今、CO2 レーザの発振形
態をパルス化することにより、新たな分野への展開も各
種報告がなされている。その代表的な例として、銅やア
ルミニウム等の従来のCO2 レーザでは加工が困難であ
った材料の切断・溶接加工や鋼材の超高速・精密加工、
赤外多光子励起を用いたレーザ同位体分離、遠赤外レー
ザの光励起などがある。CO2 レーザのこの様な分野へ
の適用には一般的には10kWを越える高尖頭出力、1
0kHz以上の高パルス繰り返し率、数kW以上の高平
均出力性が要求される。
【0003】このような用途に対応するパルスCO2
ーザとして、従来から横方向励起大気圧動作のパルスT
EAレーザがある。TEAレーザでは高電圧・高電流パ
ルス放電を大気圧のレーザガスに印加し急速な反転分布
形成を実現するので、ゲインスイッチング現象により1
0MW以上の高い尖頭出力を100nsec程度のパル
ス幅で容易に取り出すことが出来るが、パルス繰り返し
周波数は実用的には100Hz程度が限界であり、産業
応用のレベルから考えるとかなり低い値に抑えられてい
る。また、単一のシステムから取り出し得る平均出力と
しては1kWレベルが上限となっている。さらに短時間
に大電力パルス放電を行うためレーザ発振器の寿命が短
く、またそのオペレーションに要するコストも増大する
という問題点があった。
【0004】このような問題点に対応するため、従来か
ら固体レーザによく用いられているQスイッチング技術
をCO2 レーザに適用する方法が各種提案されている。
IEEEJ. Quantum Electronics 誌 Vol. QE-4, p762, 19
68 にはCW励起CO2 レーザの共振器内に損失を制御
する素子を挿入した各種のQスイッチング方法がまとめ
られている。Qスイッチングの方法には、共振器内に可
飽和吸収体を挿入する受動的Qスイッチング、電気光学
素子を用いる方法、回転ミラーを共振器内に組み込む方
法、テレスコープと回転チョッパの組合せからなるQス
イッチ装置を共振器内に挿入する方法、さらには特開昭
62-160783 号公報に開示されているファブリペロエタロ
ンを共振器内に挿入する方法などが提案されている。中
でも回転チョッパとテレスコープを用いる方法は、Qス
イッチング速度を速くする課題があるが、その他の制御
性・安定性からこの方法が主流となっている。Gas Flow
&Chemical Lasers (GCL) Conference Proceedings, Vi
ena 1988, Vol. 1031, SPIE, p48 にはCWCO2 レー
ザに回転チョッパ方式によるQスイッチを組み込み、パ
ルスエネルギ27mJ、パルス尖頭出力150kW、パ
ルス繰り返し周波数10kHz、平均出力270Wの性
能を実現した例が報告されており、さらに本願発明者ら
も各種の検討を進め、パルス尖頭出力の改善を図るため
に回転チョッパと同期したRFパルス放電を用いる方法
について特開平04-259278 号公報において出願してき
た。以上に示したQスイッチCO2 レーザは何れも安定
型共振器に基づいたレーザ装置であり、レーザ出力は部
分反射鏡からなる出力鏡から取り出される。この部分反
射特性は一般に多層膜蒸着によって実現されるが、この
反射膜の耐光強度やミラー素材の熱レンズ化による制約
から、1台のシステムから得られる平均出力には上限が
存在し、現在までに報告されている例では1kW内外が
限界となっている。
【0005】以上のような限界を打破するため、マスタ
ーオシレータから得られたレーザパルスをパワーアンプ
リファイアによって増幅する方式もいくつか提案がなさ
れている。Gas Flow & Chemical Lasers (GCL) Confere
nce Proceedings, Crete 1992, Vol. 1810, SPIE, p57
には、QスイッチCO2 レーザをマスターオシレータと
し、利得長7.2m(装置全長17.2m)のマイクロ
波励起単一パス増幅器をパワーアンプリファイアとして
用いる構成によって、パルスエネルギ155mJ、パル
ス尖頭出力750kW、パルス繰り返し周波数10kH
z、平均出力1.55kWの出力を得ていることが示さ
れている。このマスターオシレータ・パワーアンプリフ
ァイア方式には上記のような単一発振器構成による出力
制約が緩和される利点があるが、パワーアンプリファイ
アに単一パス増幅器を用いていることから、増幅器前半
部におけるエネルギ抽出効率が悪く、大出力を得るため
には上記のごとく装置が巨大になってしまい、装置コス
ト、ランニングコスト共に大幅に高くなってしまうとい
う問題点がある。
【0006】増幅器をマルチパスで用いる方法に、fsec
〜psec領域の極短パルスを増幅するためによく用いられ
る再生増幅方式がある。この方式では外部から共振器内
に注入されたパルスを複数回利得領域を通過させること
で、エネルギ増幅率を大きくとることが出来るが、共振
器内へのパルスの注入ならびに共振器からのパルスの取
り出しを偏光回転によって実現するため、共振器中に偏
光選択機能を有する薄膜ポラライザならびに偏光回転機
能を有するポッケルスセルを導入しなくてはならない。
一方、CO2 レーザの発振領域である波長10μm近傍
で用い得るこれらの素子は、一般に耐光強度が低くkW
レベルの平均出力に耐え得るものはない。
【0007】一方、連続波CO2 レーザのパワースケー
リングを実現するために、一般に共振器形態を安定型か
ら不安定型へ変更する手法が採用されている。不安定型
共振器は、レーザビームを共振器内の1往復毎に拡大
し、最終的にビームの外周部分を出力として取り出す方
式である。したがって、共振器構成ミラーは全反射鏡の
みで共振系を組めることから、安定型共振器のように部
分反射鏡を用いる制約が無く、かつレーザ共振中にビー
ムを徐々に拡大しつつ増幅することから利得領域を有効
に利用できる利点があるので、高出力取り出しに適合し
た形態である。しかしながら、不安定型共振器ではその
名のごとく共振器中のレーザビームの進行方向に従って
ビームの伝送挙動が発散ビームや平行ビーム特性の間で
変化してしまうため、単純に共振器中にテレスコープを
挿入すると、ビームの進行方向毎に集光位置が変化して
しまい回転チョッパタイプのQスイッチを適用すること
はできない。
【0008】また、本願発明者らは不安定型共振器を増
幅器として用いる方法として、IEEEJ. Quantum Electro
nics 誌, vol.24, p1571, 1988 に外部から長パルス色
素レーザ光を、短パルス電子ビーム励起エキシマレーザ
の不安定型共振器に注入し増幅する方法を提案した。こ
の方法では利得の持続時間の短いレーザ媒質に長パルス
をマスターオシレータから注入するので、CO2 レーザ
で考えるならば、TEAレーザ媒質に対して不安定型共
振器を組み外部から長パルスないしは連続波レーザを注
入する方式に相当する。一方、TEAレーザでは前記の
ごとくパルス繰り返し周波数に制約があり、平均出力の
スケーリング性能には限界がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、パル
ス発振CO2 レーザ装置において、従来技術欄に示した
ような安定型共振器に基づく従来方式での平均出力のス
ケーリング性の制約を打破し、さらに単一パス増幅器の
ように装置を巨大化することなく数kW以上の平均出力
を相対的に小型のシステムから得ることのできるCO2
レーザ装置を簡便な構成で実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、パルス発振C
2 レーザ装置において、パルス発振QスイッチCO2
レーザ装置からなるマスターオシレータと、光アイソレ
ータと、ビームコリメータと、不安定型共振器のCO2
レーザ装置よりなるパワーアンプリファイアによって構
成される高平均出力パルスCO2 レーザ装置で、パワー
アンプの不安定型共振器を構成する一方の全反射鏡にビ
ーム入射穴を設け、この穴部分からマスターオシレータ
のパルス発振CO2 レーザ光を入射することを特徴とす
る高平均出力パルスCO2 レーザ装置である。
【0011】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。図1は本発明
に係わる高平均出力パルスCO2 レーザ装置の構成を模
式的に示したものである。図において1は本発明のマス
ターオシレータに相当するQスイッチCO2 レーザ装置
である。レーザ共振器はレーザ放電管4の一端に取り付
けられたリトロウ配置の回折格子2と部分反射鏡からな
る出力鏡5によって安定型共振器で構成される。レーザ
放電管4の他端に取り付けられたレンズ3ならびにレン
ズ3’は共焦点条件に配置されたテレスコープであり、
その焦点位置に回転チョッパ6が設置され、これによっ
てQスイッチングが実現される。ここで回折格子2はC
2レーザの複数ある発振線の中から特定の発振線を選
択するための波長選択素子として動作する。放電励起は
連続波もしくは特開平04-259278 号公報に開示したよう
な回転チョッパと同期したパルス放電励起の何れかで行
われる。レーザ空間モード(横モード)は、後段でのパ
ワーアンプリファイアへの入射がなるべく容易なように
低次モードで発振が得られるように、放電管内径や共振
器構成鏡の曲率が決定され、また必要に応じて図示され
ない内部アパーチャが共振器内に挿入される。共振器を
構成している回折格子2は偏光選択機能を有するので、
マスターオシレータ1の出力は直線偏光となっている。
さらにレーザ周波数軸上でのモード(縦モード)が単一
のものを要求する応用に対しては、図1中では省略した
がエタロンなどの波長選択素子を共振器中に挿入し、単
一縦モード発振を得る。以上の構成によってマスターオ
シレータからは、縦横モード共に低次の直線偏光を有す
るQスイッチCO2 レーザパルス列が得られる。以上の
構成においては、共振器の高反射側ミラーには波長選択
のため回折格子2を用いる例を示したが、波長選択の必
要の無い目的に対しては、通常の高反射鏡を用いフリー
ラン発振を得る構成としてもよい。また縦モード制御に
関してはエタロンを挿入する例を示したが、外部から単
一縦モード連続波レーザ光を注入しインジェクションロ
ックする方式を用いてもよい。さらにQスイッチングの
方法としては、図1においては共焦点テレスコープと回
転チョッパの組合せからなるQスイッチを用いる例を示
したが、電気光学変調素子や回転鏡等によって構成され
るQスイッチを用いてもよい。
【0012】図1中の8は光アイソレータであり、マス
ターオシレータからパワーアンプリファイアへのレーザ
ビームは高効率で通過させるが、パワーアンプリファイ
アから逆に戻ってくるレーザビームに対しては、ビーム
を遮断する機能を持つ。これはパワーアンプリファイア
12から一部戻ってくるレーザビームが増幅されている
ため、この戻りビームによってマスターオシレータの発
振を不安定化したり、マスターオシレータそのものの損
傷を防止するためのものである。図に示した例において
は、偏光選択反射鏡9はs偏光に対しては高反射率を示
すが、p偏光はその大半を吸収する特性を持ち、反射率
を偏光の向きによって変化させる素子である。次に位相
遅延反射鏡10は、1/4波長の位相遅延を与える反射
鏡であり、直線偏光が入射した場合、反射光は円偏光と
なるものである。以上の構成において、マスターオシレ
ータからのレーザビーム7はs偏光を有するので偏光選
択反射鏡9によって反射された後、位相遅延反射鏡10
によって円偏光に変化し、パワーアンプリファイア12
へ入射する。パワーアンプリファイア12から一部戻っ
てくるレーザビームは入射したビームと同じ円偏光を有
するので、位相遅延反射鏡10によって反射されるとp
偏光に変換する。このp偏光は偏光選択反射鏡9によっ
てその大半のパワーが吸収されるので、マスターオシレ
ータ1へのビーム戻りが防止される。なお、以上の例に
おいては光アイソレータ8として最も簡単な構成を示し
たが、偏光子と位相遅延鏡の組合せの他、偏光によって
アイソレーション機能を持つものであれば、何れの方式
でもよい。
【0013】図1中の12はパワーアンプリファイアの
構成である。図においてパワーアンプリファイアとして
は正分枝共焦点不安定型共振器の例を示し、かつビーム
パスの挙動を併せて模式的に示した。光アイソレータ8
を通過したマスターオシレータのレーザビーム7は、ま
ず必要に応じて凸凹レンズ等の組合せによって構成され
るビームコリメータ11でビーム径ならびにその発散角
が調整される。その上で、レーザビーム入射用全透過ウ
インドウ17を介してパワーアンプリファイア12へ投
入される。パワーアンプリファイア12は不安定型共振
器を構成する凹面鏡13、凸面鏡14、ならびに取り出
し鏡15からなる共振器部、および図示されない放電励
起部、ガス流通部および熱交換部からなる。凹面鏡13
の中央にはマスターオシレータ1からのレーザビーム7
を通過させるための入射穴が設けられており、入射ビー
ムは凸面鏡14の方向に入射し増幅を受ける。凸面鏡1
4によって反射されたレーザビームは拡大しつつ増幅さ
れ凹面鏡13の方向へ戻る。ここで共振器中を1往復し
たビーム径は、不安定型共振器の拡大率M(共焦点条件
の場合、M=凹面鏡曲率半径/凸面鏡曲率半径)にした
がって大きくなるので、凹面鏡13へ戻ってきたパワー
の1/M2 の成分は凹面鏡13の入射穴から光アイソレ
ータ方向へ散逸するが、(1−1/M2 )の成分は不安
定型共振器中に残存することとなる。共振器中に残存し
たレーザパワーは、この後共振器中を往復することで、
ビーム径を広げつつ増幅を受け、ビーム外径が最終的に
取り出し鏡15の内径より大きくなった段階でレーザビ
ーム取り出し用全透過ウインドウ16から増幅出力とし
て取り出される。図2は不安定型共振器の反射折り返し
状況を展開して示し、入射レーザビームが拡大する様子
を模式的に示したものである。図中Cは凹面鏡、Xは凸
面鏡での反射を表し、入射レーザビーム7が平行光と仮
定すると、X→Cでビーム径がM倍に拡大し、C→Xで
は平行ビームで伝送しつつ増幅を受ける状況を示してい
る。
【0014】次にパワーアンプリファイアとして不安定
型共振器を用いる利点ならびにその制約条件について以
下に説明する。不安定型共振器では図1、2に示したご
とくパワーアンプリファイア自体が共振器を構成してい
るので、入射レーザビーム7は共振器中を多重回数往復
することとなる。したがって、単一パスアンプのように
装置を巨大化することなくレーザビームを利得媒質中を
複数回往復させることができるので、小型の装置から高
平均出力を取り出せるという利点がある。また一般に連
続波励起CO2 レーザ媒質の飽和強度は100W/cm
2 内外であることから、単一パスアンプにおいては、増
幅段前半ではエネルギの抽出効率が悪く、後段では利得
飽和の影響を受けパルス時間波形が歪むという制約条件
があるが、不安定型共振器では図2に示したごとく自動
的にレーザビーム径を拡大しつつ増幅するので、レーザ
パワー密度をある程度一定に保つことができる。その結
果、利得飽和の影響が少ないので、高いエネルギ抽出効
率を保ったまま、かつパルス時間波形を歪ませることな
く、高平均出力を取り出すことができる。一方、本発明
の構成ではパワーアンプリファイア自体が共振器を構成
しているので、入射レーザビーム7が存在しなくても、
アンプ自体が自発発光を種として連続波発振に至ること
が可能となる。ここで各種の増幅実験を行って調査した
結果、入射レーザビーム7のピークパワー密度がレーザ
媒質の利得飽和強度以上の値を持てば、不安定型共振器
は自分自身が発振器として動作せず、外部からの入射光
の増幅器として動作することがわかった。したがってマ
スターオシレータから入射するレーザパルスのピークパ
ワー密度としては100W/cm2 以上の強度が要求さ
れることになる。また、CO2 レーザ媒質の上準位寿命
はその組成ならびに圧力に依存して変化するが、一般に
数100μsec程度であり、利得回復時間もこのレベ
ルであることから、マスターオシレータのパルス繰り返
し周波数が10kHz以上程度であれば問題ないが、1
kHz程度まで極度に低くなると、パルス間隔の間で連
続波発振が立ち上がることがわかった。したがって、マ
スターオシレータの発振周波数が低い場合には、パワー
アンプ部の放電励起として連続波ではなく、マスターオ
シレータと時間的に同期したパルス放電励起を行う必要
がある。この場合、パワーアンプ部の放電励起は、その
終了時点近傍でマスターオシレータからのレーザパルス
が入射するように同期設定がなされるが、有効な利得蓄
積を実現し、有意な増幅を得るためには50μsec以
上のパルス幅で励起を行う必要があることがわかった。
なお、TEAレーザにおいてもパルス放電励起を行って
いるが、上記の条件は低密度、長パルス時間幅励起であ
り、TEAレーザによる励起プロセスとは全く異なる状
況である。
【0015】以上の図1に示した不安定型共振器の構成
では、レーザビーム取り出し用全透過ウインドウ16を
固体媒質として示したが、高平均出力性に対する耐力を
考慮して空気力学的な窓によって筐体内の低圧部分と大
気圧部分を遮断する構成をとることも可能である。ま
た、同様に正分枝共焦点不安定型共振器の例を示した
が、負分枝条件や共焦点条件でない不安定型共振器にも
本発明が適用可能であることは言うまでもない。さらに
一般に不安定型共振器CO2 レーザでは直交流型(レー
ザ光軸と、放電・ガス流方向が直交する型)が用いられ
るが、放電励起媒質の空間的な不均一性や収差が入るこ
とが知られている。そこでこれらを補正するため、Rev.
Sci. Instrum.誌, vol.64, No.9, p2488, 1993 に紹介
されているような円錐台型ミラーやルーフプリズムによ
って共振器中でレーザビームを鏡像反転するような折り
返しミラーを共振器内に導入することも可能である。さ
らに、ここまでの説明においては、レーザ媒質をCO2
レーザに限定して述べてきたが、COレーザやヨウ素レ
ーザ等のその他のレーザに対しても本発明を適用するこ
とは可能である。
【0016】
【実施例】作用欄で説明した構成に基づく実施例を以下
に示す。図1においてマスターオシレータ1は、直流放
電励起連続波CO2 レーザ発振器を改造したQスイッチ
CO2 レーザ発振器である。回折格子2はリトロウタイ
プのグレーティングであり、150本/mmでブレーズ
がなされており、波長9.57μmで発振が得られるよ
うにその角度が調節されている。放電管4は内径4mm
のガラス管であり、その中をレーザガスが低速循環する
と共に、図示されない放電電極間において直流放電がな
され、レーザガスを励起する。放電管4の他端に焦点距
離63mmの減反射コーティングが施されたZnSeレ
ンズ3が取り付けられ、大気と遮断している。さらにそ
の対向部に共焦点条件で同一仕様のZnSeレンズ3’
が設置され、その共焦点部分に回転チョッパ6が設置さ
れている。回転チョッパ6は周上に50ケのスリットを
有する円板であり、これが12,000rpmで回転す
ることにより、パルス繰り返し周波数10kHzのQス
イッチ発振を実現する。出力鏡5は曲率半径5mの凹面
を有するZnSe部分反射鏡であり、その反射率は50
%である。以上の構成のマスターオシレータ1からパル
ス繰り返し周波数10kHz、パルスエネルギ2mJ、
パルスピーク出力15kW、平均出力20W、レーザビ
ーム直径約5mmのレーザビーム7が得られる。
【0017】光アイソレータ8の内、偏光選択反射鏡9
はs偏光反射率が98.5%以上、p偏光反射率が1.
5%以下の性能を持つ反射鏡であり、マスターオシレー
タ1からのレーザビーム7を98.5%以上の効率で反
射する。位相遅延反射鏡10は、1/4波長の位相遅延
を与える反射鏡であり、入射レーザビーム7の直線偏光
を円偏光に変換して反射する。
【0018】ビームコリメータ11はガリレオタイプの
テレスコープによって構成されるビーム径の縮小器であ
り、減反射コーティングが施されたZnSe製の凸レン
ズと凹レンズの組合せよりなる。これによって平行ビー
ム条件を保ったまま入射レーザビーム径を5mmから2
mmに縮小する。以上の構成からパワーアンプリファイ
ア12に入射するマスターオシレータ出力パルスのピー
クパワー密度は、約40kW/cm2 である。
【0019】パワーアンプリファイア12は直流放電励
起連続波CO2 レーザ装置で、正分枝不安定型共振器に
よって構成される。凹面鏡13は銅ミラーに金コートを
施した全反射鏡であり、その曲率半径は8.15mであ
り、中央部に直径2mmの開口が設けられている。凸面
鏡14は銅ミラーに金コートを施した全反射鏡であり、
その曲率半径は2.55mであり、凸面鏡14と凹面鏡
13の間隔である共振器長は2.8mである。取り出し
鏡15はその中央に45゜傾いた開口が設けられた銅製
金コートミラーであり、光軸方向から見た開口直径は1
2mmである。レーザ出力は両面に減反射コーティング
が施された平板ZnSe製レーザビーム取り出し用全透
過ウインドウ16から大気中に取り出される。以上の共
焦点不安定型共振器の拡大率は3.2であり、マスター
オシレータからレーザビーム7を入射させない場合、外
径約39mmの連続波発振出力レーザビームが得られ、
その出力は6kWである。
【0020】以上の構成において、前記マスターオシレ
ータ1からのレーザビーム7を両面に減反射コーティン
グが施された平板ZnSe製レーザビーム入射用全透過
ウインドウ17を介してパワーアンプリファイア12に
入射させ、パルス増幅を行った。その結果、パルス繰り
返し周波数10kHz、パルスエネルギ300mJ、パ
ルスピーク出力1MW、平均出力3kWの増幅出力が得
られ、エネルギ増幅率として150倍の値が得られた。
次に対比のために前記マスターオシレータ出力パルスを
単一パス増幅器によって増幅する実験を行った。増幅器
としては上記不安定型共振器とほぼ同一の出力仕様を有
する安定型共振器の共振器ミラーを全透過ウインドウに
変更したものを用いた。その結果、エネルギ増幅率は4
0倍と上記の本発明の実施例に比べて1/4程度の増幅
率しか得られなかった。さらに増幅器前後のパルス時間
波形をそれぞれの条件に対して観測した。図3はこれら
を対比した結果であり、(a)がマスターオシレータ1
の出力パルス時間波形、(b)が本発明の不安定型共振
器をパワーアンプリファイアとして用いた場合の増幅器
出力のパルス時間波形、(c)が従来技術による単一パ
ス増幅器によって増幅した際のパルス時間波形である。
なお、図の縦軸は同一の感度で示すと波形対比が困難に
なるため、最大振幅が同一になるように示した。図に示
されているごとく、増幅出力である(b)、(c)の波
形では、初期スパイク後のパルステール部の増幅が見受
けられるが、(b)の本発明による波形に比べて(c)
の従来法の波形ではエネルギ増幅率が低いにもかかわら
ず、パルステール部の増幅による波形歪が顕著である。
これは、作用欄において説明したように単一パス増幅器
では、レーザビーム径を拡大することなく増幅するの
で、増幅器前段でのエネルギ増幅率が大きくとれないこ
と、後段では利得飽和の影響を受けパルス時間波形が歪
む現象が発生していることを示しており、本発明の有効
性が明確に示された結果である。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したごとく本発明による高平
均出力パルスCO2 レーザ装置によれば、TEAレーザ
におけるパルス繰り返し周波数の制約を受けることな
く、安定型共振器QスイッチCO2 レーザにおける平均
出力のスケーリング性の制約を受けることなく、単一パ
ス増幅器のように装置を巨大化することなく、かつ増幅
パルス波形を歪ませることなく小型の装置から高効率で
高い平均出力のパルスCO2 レーザ光を安定して得るこ
とができるという実用上の大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高平均出力パルスCO2 レーザ装置の
構成を示す図である。
【図2】本発明の高平均出力パルスCO2 レーザ装置の
パワーアンプリファイア部である不安定型共振器中の入
射レーザビームの伝送挙動として反射鏡における反射を
展開して模式的に示した説明図である。
【図3】パワーアンプリファイア前後において観測され
たパルス時間波形を対比した結果であり、(a)はマス
ターオシレータ出力、(b)は本発明による不安定型共
振器をパワーアンプリファイアとして用いた場合の増幅
出力、(c)は従来法として単一パス増幅器をパワーア
ンプリファイアとして用いた場合の増幅出力、それぞれ
の場合のパルス時間波形を示した図である。
【符号の説明】
1 マスターオシレータ 2 回折格子 3 レンズ 3’ レンズ 4 レーザ放電管 5 出力鏡 6 回転チョッパ 7 レーザビーム 8 光アイソレータ 9 偏光選択反射鏡 10 位相遅延反射鏡 11 ビームコリメータ 12 パワーアンプリファイア 13 凹面鏡 14 凸面鏡 15 取り出し鏡 16 レーザビーム取り出し用全透過ウインドウ 17 レーザビーム入射用全透過ウインドウ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス発振CO2 レーザ装置において、
    パルス発振QスイッチCO2 レーザ装置からなるマスタ
    ーオシレータと、光アイソレータと、ビームコリメータ
    と、不安定型共振器のCO2 レーザ装置よりなるパワー
    アンプリファイアによって構成される高平均出力パルス
    CO2 レーザ装置で、パワーアンプの不安定型共振器を
    構成する一方の全反射鏡にビーム入射穴を設け、この穴
    部分からマスターオシレータのパルス発振CO2 レーザ
    光を入射することを特徴とする高平均出力パルスCO2
    レーザ装置。
  2. 【請求項2】 パワーアンプ部の放電励起が連続波状も
    しくはマスターオシレータのパルス発振タイミングと同
    期した時間幅50μsec 以上のパルスでパルス変調され
    たものであり、マスターオシレータからパワーアンプへ
    入射するCO2 レーザパルスのピークパワー密度が100W
    /cm2以上であることを特徴とする請求項1記載の高平均
    出力パルスCO2 レーザ装置。
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