JP2000107875A - レーザ照射装置 - Google Patents

レーザ照射装置

Info

Publication number
JP2000107875A
JP2000107875A JP10281143A JP28114398A JP2000107875A JP 2000107875 A JP2000107875 A JP 2000107875A JP 10281143 A JP10281143 A JP 10281143A JP 28114398 A JP28114398 A JP 28114398A JP 2000107875 A JP2000107875 A JP 2000107875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
pulse
polarization
beam splitter
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10281143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3715800B2 (ja
Inventor
Shuichi Fujikawa
周一 藤川
Susumu Konno
進 今野
Kenji Yoshizawa
憲治 吉沢
Shigenori Yagi
重典 八木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP28114398A priority Critical patent/JP3715800B2/ja
Publication of JP2000107875A publication Critical patent/JP2000107875A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3715800B2 publication Critical patent/JP3715800B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性能や加工品質に優れ、増幅効率の高い
レーザ照射装置を得る。 【解決手段】 パルスレーザ光源1からの直線偏光した
パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転させる電気光学
素子2、直交する偏光成分を2つの進行方向に分離する
偏光ビームスプリッタ3、この進行方向が分離された2
つの直交する偏光成分を、各々被照射物701、702
まで伝送する伝送光路を備え、直線偏光の単一レーザパ
ルス401が電気光学素子を通過する際、所定の時間範
囲内に通過する部分のみ偏光方向を直角に回転させ、単
一レーザパルス中に2つの直交する直線偏光部分を形成
し、偏光ビームスプリッタによって直交する2つの直線
偏光部分を分離することにより、単一レーザパルスをパ
ルス時間幅の短い少なくとも2つのレーザパルス40
3、404に時間的に分割し、分割したレーザパルスを
各々被照射物へ照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体材料等の
微細加工、金属その他材料の溶接や切断、レーザ媒質の
励起光源として使用するレーザ照射装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図9は、文献(APPLIED OPTICS, Vol. 3
4, No. 33, pp. 7718-7723, 1995)に示されている従来
のレーザ照射装置を示す構成図である。図において、1
はパルスレーザ光を発生するパルスレーザ光源、21は
ビーム径を縮小するビーム縮小光学系、22はビームを
集光する集光レンズ、23は単一ビームを複数のビーム
に分割する回折光学素子、7は被照射物である。
【0003】次に動作を説明する。パルスレーザ光源1
を出射したパルスレーザ光は、ビーム縮小光学系21へ
入射する。ビーム縮小光学系は一対の凸レンズから構成
されており、ビーム入射側の凸レンズはビーム出射側の
凸レンズより焦点距離が長く、両者の光軸ならびの焦点
位置が一致するよう配置されている。従って、ビーム縮
小光学系21を通過したパルスレーザ光のビーム径は、
入射側凸レンズの焦点距離に対する出射側凸レンズの焦
点距離の比で縮小される。ビーム縮小光学系21を出射
したパルスレーザ光は、集光レンズ22により集光され
る。集光レンズ22と被照射物7との間には、回折光学
素子22が設置されており、回折光学素子23を通過し
たビームは回折光学素子23のパタンに応じた回折現象
により複数方向に分割される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザ照射装置
は上記のように構成されており、パルスレーザ光の分割
は、空間方向に対してのみ行われていた。このため分割
されたパルスレーザ光のパルス時間幅は、分割以前のパ
ルス時間幅と同一であり、分割後のパルスレーザ光の強
度が低下し、例えば、切断や溶接等のレーザ加工に使用
する場合、加工性能が劣化するという問題点があった。
【0005】また、従来のレーザ照射装置においては、
パルスレーザ光のパルス時間幅は、レーザ発振器の共振
器条件や励起方式等動作形態によって制限される場合が
多く、パルス時間幅を任意に変化させることは困難であ
った。このためレーザパルスの前半部のみが加工等の用
途に寄与するような場合であっても、レーザパルス全体
を被照射物に照射せざるを得ず、パルス後半部のエネル
ギーが無駄になるため、生産性の低下やフォトンコスト
の増大をもたらすという問題点があった。
【0006】また、パルス時間幅の長いパルスレーザ光
を使用し、半導体基板の穴開け等微細加工を行った場
合、被加工物への熱影響が顕著となり、加工品質が低下
するという問題点があったが、従来のレーザ照射装置に
おいては、パルス時間幅を短くすることは困難であり、
パルス時間幅の長いパルスレーザ光は、微細加工に適用
することができないという問題点があった。特に、Qス
イッチでパルス化したレーザ光源を使用した場合、パル
スレーザ光のパルス時間幅は、レーザ光源の励起パワー
や繰り返し周波数により変化するが、パルス時間幅の制
御が難しく、レーザ光源の動作条件によってパルス時間
幅が変化し、従って加工品質も変化するという問題点が
あった。
【0007】また、従来のレーザ照射装置においては、
パルスレーザ光源のレーザ媒質に固体レーザ媒質を使用
した場合、レーザパルスのパルス時間幅を変化させるた
め、パルスレーザ光源の動作条件を変更すると、固体素
子に生じる熱レンズの焦点距離が変化し、この結果、レ
ーザパルスのビーム品質も変化するため、例えば、加工
用途に使用した場合には加工品質が変化してしまうとい
う問題点があった。
【0008】また、パルス時間幅の長いパルスレーザ光
を、レーザ増幅器の励起光源として使用する場合、励起
持続時間が、発振ビルドアップ時間(励起を開始してか
ら発振を開始するまでの時間)より長くなると、励起中
に増幅媒質が自己発振を開始し、効率よく利得を取り出
すことができないという問題点があった。
【0009】この発明は、上記の問題点を解決するため
になされたもので、パルスレーザ光を時間方向に複数に
分割し、パルス時間幅の短い複数のパルスレーザ光を形
成することにより、レーザ加工へ適用した場合には、加
工性能や加工品質に優れ、また他のレーザ媒質の励起光
源として使用した場合には、効率よく利得を取り出すこ
とが可能なパルスレーザ光を発生するレーザ照射装置を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るレ
ーザ照射装置は、直線偏光したパルスレーザ光を発生す
るパルスレーザ光源と、パルスレーザ光の偏光方向を直
角に回転させる光学素子と、直交する偏光成分を2つの
進行方向に分離する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビ
ームスプリッタによって進行方向が分離された2つの直
交する偏光成分を、各々被照射物まで伝送する伝送光路
とを備え、直線偏光の単一レーザパルスが前記光学素子
を通過する際、所定の時間範囲内に通過する部分のみ偏
光方向を直角に回転させ、単一レーザパルス中に2つの
直交する直線偏光部分を形成し、前記偏光ビームスプリ
ッタによって直交する2つの直線偏光部分を分離するこ
とにより、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い少な
くとも2つのレーザパルスに時間的に分割し、分割した
レーザパルスを各々前記被照射物へ照射するようにした
ものであるものである。
【0011】請求項2の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1の発明において、前記偏光ビームスプリッタで
進行方向が分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも
一方の偏光成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、
前記被照射物へのパルス到達時間を遅延するための遅延
手段を設けたものである。
【0012】請求項3の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1または2の発明において、前記パルスレーザ光
源は、Qスイッチによってパルス化しているものであ
る。
【0013】請求項4の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記パル
スレーザ光源として、固体レーザ媒質を用いた固体レー
ザを使用するものである。
【0014】請求項5の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項4の発明において、前記パルスレーザ光源とし
て、前記固体レーザ媒質の第2高調波を使用するもので
ある。
【0015】請求項6の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記偏光
ビームスプリッタによって進行方向が分離された偏光方
向が直交するレーザパルスを、第2の偏光ビームスプリ
ッタにより再度同一光路に合成するものである。
【0016】請求項7の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学
素子として電気光学素子を用いるものである。
【0017】請求項8の発明に係るレーザ照射装置は、
請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記光学
素子として磁気光学素子を用いるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図を参照して説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係るレ
ーザ照射装置を示す構成図である。図中、図9と同一符
号は同一部分もしくは相当部分を示している。図におい
て、2は複屈折材料から構成される電気光学素子、3は
直交する偏光成分の進行方向を2方向に分離する偏光ビ
ームスプリッタ、401はレーザ光源1出射直後のレー
ザパルス、402は電気光学素子通過後のレーザパル
ス、403は偏光ビームスプリッタを透過するレーザパ
ルス、404は偏光ビームスプリッタで進行方向が直角
に折り曲げられたレーザパルス、5は折り曲げミラー、
601は第1の集光レンズ、602は第2の集光レン
ズ、701は第1の被照射物、702は第2の被照射物
である。8はパルスレーザ光源1を駆動するレーザ電
源、9は電気光学素子2に電圧を印加する電気光学素子
ドライバ、10はレーザ電源8および電気光学素子ドラ
イバ9に対しトリガ信号(動作開始を指令する信号)を
供給する信号発生器である。
【0019】本実施の形態のパルスレーザ光源1には、
フラッシュランプを励起光源としたYAGレーザを使用し
ている。従ってパルスレーザ光源1を出射するパルスレ
ーザ光のパルス時間幅は1ms程度である。また本実施の
形態はアルミニウムのスポット溶接に適用した例を示し
ている。即ち、第1の被照射物701、第2の被照射物
702はともにアルミニウムである。また、実際のレー
ザパルスの時間波形は、図1に示すような完全な矩形波
ではないが、説明を明瞭にするため便宜的に矩形波とし
て描いている。各レーザパルス401、402、40
3、404上に示す両矢印ならびに黒丸は、レーザパル
ス中の偏光方向を表しており、両矢印は電界の偏波面が
紙面に平行な偏光(P偏光)、黒丸は電界の偏波面が紙
面に垂直な偏光(S偏光)を示している。
【0020】次に動作を説明する。レーザ電源8によっ
て駆動されたパルスレーザ光源1は、パルス時間幅がT
で、電界の偏波面が紙面に平行な向きとなる直線偏光の
レーザパルス401を発生する。パルスレーザ光源1を
出射したレーザパルス401は、図中右方向へ進行して
電気光学素子2へ入射する。電気光学素子2には、複屈
折結晶(偏光方向によって屈折率が異なる結晶)である
DKDP(KD2PO4)結晶を使用している。このDKDP結晶は45
゜Zcutで立方体に切り出されており、結晶のY'方向とレ
ーザパルス401の進行方向が一致し、レーザパルス4
01の偏光方向とDKDP結晶のZ方向が45゜の角度をなす
よう配置されている。DKDP結晶は複屈折材料であり、結
晶に入射したレーザパルスは偏光方向がX' 方向とZ方向
の2つに分離して伝搬する。DKDP結晶にはZ方向に電圧
を印加できるようZ面上に電極が設けられており、Z方向
に電圧を印加することによりZ方向の偏光に対する屈折
率を変化させることができる。この場合Z方向の屈折率
変化量は印加電圧に比例するため(ポッケルス効果)、
印加電圧によって結晶出射時のX'方向とZ方向の偏光に
任意の位相差をつけることができる。X'方向とZ方向の
偏光の位相差がちょうどλ/2になる場合、結晶出射後、
X'方向とZ方向偏光が結合された偏光の方向は、結晶入
射時の偏光方向と直交したものになる。この場合結晶へ
の印加電圧をλ/2電圧という。本実施の形態では、レー
ザ電源8と電気光学素子2へλ/2電圧を印加する電気光
学素子ドライバー9の動作タイミングは、レーザパルス
401が電気光学素子2に入射を開始してから、時間t1
経過後にλ/2電圧を印加されるよう信号発生器10によ
って常に一定に保たれている。従って電気光学素子2通
過後のレーザパルス402は、パルス先頭部の時間t1部
分はP偏光、後続部の時間t2部分はS偏光となる。
【0021】電気光学素子2を通過したレーザパルス4
02は、偏光ビームスプリッタ3へ入射する。偏光ビー
ムスプリッタ3は、直交する偏光成分の進行方向を分離
するもので、本実施の形態では、P偏光成分は透過し、S
偏光成分の進行方向は直角に折り曲げられるよう配置さ
れている。レーザパルス402は先頭t1部分がP偏光、
後続t2部分がS偏光となっているので、レーザパルス4
02中先頭t1部分は偏光ビームスプリッタ3を真っ直ぐ
透過し、パルス時間幅t1のレーザパルス403に、後続
t2部分は偏光ビームスプリッタ3によって進行方向が直
角に折り曲げられ、パルス時間幅t2のレーザパルス40
4となる。即ち、レーザパルス402は、パルス時間幅
の短い2つのパルスに時間的に分割される。
【0022】偏光ビームスプリッタ3を透過したパルス
時間幅t1のレーザパルス403は、第1の集光レンズ6
01によって第1の被照射物701上に集光照射され
る。また偏光ビームスプリッタ3によって進行方向が直
角に折り曲げられたパルス時間幅t2のレーザパルス40
4も同様に、折り曲げミラー5によって再度進行方向が
直角に折り曲げられた後、第2の集光レンズ602を介
し、第2の被照射物702上に集光照射される。
【0023】本実施の形態のレーザ照射装置は、一例と
して、アルミニウムのスポット溶接を行うものである。
アルミニウムは熱電導率の高い金属であり、パルスレー
ザ光を用いてスポット溶接を行う場合、パルス時間幅が
長くなると、被照射物であるアルミニウムからの熱の散
逸が顕著となるため、レーザパルス後半部をスポット溶
接に有効に利用することができず、逆に照射部周囲に対
し熱影響を与え加工品質を劣化させる原因となる。また
レーザパルスのピーク出力が低下すると、アルミニウム
からの熱の散逸により溶接自体が困難になる。
【0024】本実施の形態のパルスレーザ光源1には、
フラッシュランプ励起のYAGレーザを使用している。フ
ラッシュランプ励起YAGレーザのパルス時間幅は、電源
およびランプからなる励起回路の回路定数で決まるた
め、パルス時間幅の変更には電源の改造が必要となる。
このためパルス時間幅の調整は容易ではない。
【0025】本実施の形態に示すように、電気光学素子
2および偏光ビームスプリッタ3を使用し、単一のレー
ザパルス401、402を2つのレーザパルス403、
404に時間的に分割すれば、ピーク出力を低下させる
ことなく、分割前のレーザパル401、402に比べ、
パルス時間幅の短い2つのレーザパルス403、404
を容易に形成することが可能になる。
【0026】電気光学素子2および偏光ビームスプリッ
タ3によって時間的に分割されたレーザパルス403、
404を、それぞれ被照射物701、702へ伝送し、
被照射物701、702に対し照射すれば、レーザパル
ス403、404のパルス時間幅は、分割前のパルス時
間幅に比べ短くなるため、スポット溶接に対するパルス
レーザ光の光利用効率が高くなるばかりでなく、照射部
周囲に対する熱影響が小さくなるので、加工品質に優れ
たスポット溶接を行うことができる。また、レーザパル
ス403、404のピーク出力は分割以前のレーザパル
ス401、402とほぼ同等に保たれるため、溶接性能
は維持される。
【0027】また、本実施の形態においては、単一のレ
ーザパルス401、402をパルス時間幅の短い2つの
レーザパルス403、404へ分割しているため、2つ
の被照射物701、702を同時に溶接することが可能
になる。この結果、上述のパルス時間幅の低減ともなう
光利用効率の増加と相まって、スポット溶接時の生産性
を大幅に向上させることができる。
【0028】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形
態2に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、
図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示してい
る。本実施の形態においても前記実施の形態1と同様、
一例としてアルミニウムのスポット溶接に適用した例を
示している。本実施の形態のパルスレーザ光源1も、前
記実施の形態1と同じく、フラッシュランプを励起光源
として用いたYAGレーザを使用している。前記実施の形
態1においては、パルスレーザ光源1を出射する単一レ
ーザパルスを、パルス時間幅の短い2つのレーザパルス
に時間的に分割する構成であったが、本実施の形態にお
いては、パルスレーザ光源1を出射するレーザパルス4
01を、パルス時間幅の短い2つのレーザパルス40
3、404に時間的に分割する第1の電気光学素子20
1、第1の偏光ビームスプリッタ301に加え、第1の
偏光ビームスプリッタ301を通過するP偏光のレーザ
パルス403を更に時間的に分割する第2の電気光学素
子202、第2の偏光ビームスプリッタ302、第1の
偏光ビームスプリッタ301で進行方向が直角に折り曲
げられたS偏光のレーザパルス404を更に時間的に分
割する第3の電気光学素子203、第3の偏光ビームス
プリッタ303を備えている。901、902、903
はそれぞれ電気光学素子201、202、203に電圧
を印加する電気光学素子ドライバであって、この場合、
信号発生器10はレーザ電源8および電気光学素子ドラ
イバ901、902、903に対しトリガ信号(動作開
始を指令する信号)を供給する。
【0029】次に動作を説明する。第1のビームスプリ
ッタ301を透過したP偏光のレーザパルス403は、
第2の電気光学素子202に入射する。第2の電気光学
素子202へレーザパルス403が入射を開始してか
ら、時間t3が経過した時点で、第2の電気光学素子20
2にはλ/2電圧が印加される。従って第2の電気光学素
子202を通過したレーザパルス405の前半t3部分は
P偏光、後半t4部分はS偏光となる。
【0030】レーザパルス405は第2の偏光ビームス
プリッタ302へ入射し、P偏光である前半t3部分は真
っ直ぐ透過し、S偏光である後半t4部分は進行方向が直
角に折り曲げられる。この結果、パルス時間幅t1のレー
ザパルス405は、パルス時間幅t3、t4の2つのレーザ
パルス407、408に時間的に分割される。パルス時
間幅t3のレーザパルス407は、第1の集光レンズ60
1によって第1の被照射物701上に集光照射される。
また、パルス時間幅t4のレーザパルス408は、第2の
折り曲げミラー502によって更に進行方向が直角に折
り曲げられた後、第2の集光レンズ602によって第2
の被照射物702上に集光照射される。
【0031】一方、第1のビームスプリッタ301で進
行方向が直角に折り曲げられたS偏光のレーザパルス4
04は、第1の折り曲げミラー501によって更に進行
方向が直角に折り曲げられた後、第3の電気光学素子2
03に入射する。第3の電気光学素子203へレーザパ
ルス404が入射を開始してから、時間t5が経過した時
点で、第3の電気光学素子203にはλ/2電圧が印加さ
れる。従って第3の電気光学素子203を通過したレー
ザパルス406の前半t5部分はS偏光、後半t6部分はP偏
光となる。
【0032】レーザパルス406は第3の偏光ビームス
プリッタ303へ入射し、S偏光である前半t5部分は進
行方向が直角に折り曲げられ、P偏光である後半t6部分
は真っ直ぐ透過する。この結果、パルス時間幅t2のレー
ザパルス406は、パルス時間幅t6、t5の2つのレーザ
パルス409、410に時間的に分割される。パルス時
間幅t6のレーザパルス409は、第3の集光レンズ60
3によって第3の被照射物703上に集光照射される。
また、パルス時間幅t5のレーザパルス410は、第3の
折り曲げミラー503によって更に進行方向が直角に折
り曲げられた後、第4の集光レンズ604によって第4
の被照射物704上に集光照射される。
【0033】本実施の形態に示すように、第1の電気光
学素子201および第1の偏光ビームスプリッタ301
に加え、第2および第3の電気光学素子202、20
3、第2および第3の偏光ビームスプリッタ302、3
03を使用すれば、更にパルス時間幅の短いレーザパル
スを容易に形成することができる。
【0034】本実施の形態は、前記実施の形態1に比べ
薄い板厚のアルミニウムのスポット溶接を行うものであ
る。アルミニウムの板厚が薄くなると、スポット溶接に
必要なレーザパルスのパルスエネルギーは小さくなる。
一定のパルスエネルギーのもとでは、パルス時間幅が短
い方が溶接部周囲への熱影響が小さく、加工品質に優れ
る。本実施の形態によれば、時間的にレーザパルスを分
割することにより、レーザパルスのパルスエネルギーを
調整することができる。従ってピーク出力は低下せず
に、パルス時間幅が減少するので、優れた加工品質を得
ることができる。
【0035】また、本実施の形態によれば、単一のレー
ザパルスを最終的には4つのレーザパルスに分割してい
るため、4つの被照射物701、702、703、70
4に対し同時に高品質のスポット溶接を施すことができ
る。従って、スポット溶接時の生産性を大幅に向上させ
ることができる。
【0036】また、本実施の形態においても前記実施の
形態1と同じくフラッシュランプ励起のYAGレーザを使
用している。パルスレーザ光源1のレーザ媒質に固体媒
質を使用すれば、ガスレーザ等に比べ、パルスレーザ光
源の大きさを格段に小型化することができる。レーザパ
ルスのパルスエネルギーは、通常はYAG媒質に対する励
起強度を変化させることにより調整する。YAGのような
固体レーザ媒質を励起した場合、固体レーザ媒質の発熱
は避けることができず、固体レーザ媒質には熱レンズが
発生する。熱レンズの焦点距離は励起強度によって変化
する。固体レーザ媒質の熱レンズが変化すると、レーザ
の共振条件が変わるためビーム品質も変動する。従って
固体素子に対する励起強度によってパルスエネルギーの
調整を行う場合、一定の加工品質を保つことは困難にな
る。
【0037】本実施の形態によれば、レーザパルスを時
間的に分割し、用途に応じたパルス時間幅、パルスエネ
ルギーへ調整することが可能となるので、励起強度を常
に一定に保ちながら、照射条件の最適化を図ることがで
きる。従って加工品質は一定し、ばらつきが小さく再現
性に優れた安定な加工を行うことが可能となる。
【0038】本実施の形態においては、単一レーザパル
スを最終的に4つのパルスに分割する構成を示したが、
パルス分割数はこれに限るものではなく、パルスレーザ
光源のパルス出力、パルス時間幅、用途に応じて、分割
数を決定すればよい。本実施の形態において、第2の電
気光学素子および第2の偏光ビームスプリッタを使用し
なければ、単一レーザパルスを時間的に3つのパルスに
分割することができるし、第2、第3の偏光ビームスプ
リッタより被照射物側に、更に電気光学素子および偏光
ビームスプリッタを配置すれば、パルス分割数をより多
くすることができる。
【0039】実施の形態3.図3はこの発明の実施の形
態3に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、
図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示してい
る。本実施の形態も前記実施の形態と同じく、一例とし
てパルスレーザ光源1にフラッシュランプ励起のYAGレ
ーザを使用し、アルミニウムのスポット溶接に使用した
例を示している。前記実施の形態においては、電気光学
素子によって、単一レーザパルス中に偏光方向が直交す
る2つの領域を形成し、偏光ビームスプリッタによって
単一レーザパルスを2つのレーザパルスへ時間的に分割
する構成であったが、本実施の形態においては、電気光
学素子2によって、単一レーザパルス中に隣接する領域
の偏光方向が直交するよう4つの領域を形成する構成を
示している。
【0040】次に動作を説明する。パルスレーザ光源1
を出射したP偏光のレーザパルス401は、電気光学素
子2に入射する。レーザパルス401が電気光学素子2
へ入射を開始してから時間t経過後、電気光学素子2に
λ/2電圧を時間tの間印加する。λ/2電圧印加停止後、
時間tの間をおいて再度電気光学素子2にλ/2電圧を印
加する。
【0041】電気光学素子2に対するλ/2電圧印加時間
および印加停止時間tは、パルスレーザ光源1出射直後
のレーザパルス401のパルス時間幅Tのおよそ1/4に設
定されている。従って電気光学素子2通過後のレーザパ
ルス402は、時間tおきにP偏光とS偏光が交互に変化
する4つの領域から形成される。レーザパルス402を
偏光ビームスプリッタ3に入射させると、偏光ビームス
プリッタ3を真っ直ぐ透過する方向、および偏光ビーム
スプリッタ3において進行方向が直角に折り曲がる方向
に、パルス時間幅t、パルス間隔2tのダブルレーザパル
ス403、404、405、406が形成される。
【0042】ダブルレーザパルス403、404は、第
1の集光レンズ601によって第1の被照射物701上
に集光照射される。ダブルレーザパルス405、406
は折り曲げミラー5によって更に進行方向が直角に折り
曲げられた後、第2の集光レンズ602によって第2の
被照射物702上に集光照射される。
【0043】レーザパルスのピークパワーを一定と仮定
した場合、パルス幅2tのレーザパルスで被照射物を照射
する場合と、パルス幅tのレーザパルスを時間間隔をお
いて2回照射する場合とでは、全照射パルスエネルギー
が同一であっても、加工特性は大きく異なる。後者の照
射方法は、前者の照射方法に比べ、被照射物に与える熱
影響が小さく、高い加工品質を得ることができる。本実
施の形態によれば、全照射パルスエネルギーを一定に維
持しつつ、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い複数
レーザパルスに分割し、被照射物に照射することが可能
となるので、加工品質の高いスポット溶接を行うことが
できる。
【0044】本実施の形態においては、パルス時間幅が
ほぼ等しくなるダブルレーザパルスで、被照射物を照射
する構成を示したが、各レーザパルスのパルス時間幅
や、パルス数はこれに限るものではなく、被照射物であ
る材料や用途に応じて、最適なパルス時間幅およびパル
ス数を選定すればよい。
【0045】上記実施の形態においては、偏光方向を直
角に回転させるため、いずれもポッケルス効果を利用し
た電気光学素子を使用する構成を示したが、電気光学素
子はこれに限るものではなく、複屈折量が印加電圧の2
乗に比例するカー効果を利用した電気光学素子を使用し
ても同様な効果を得ることができる。
【0046】また、偏光方向の回転に磁気光学効果の1
つであるファラデー効果を利用した磁気光学素子を使用
しても、偏光方向を直角に回転させることは可能であり
同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0047】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形
態4に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、
図1と同一符号は同一部分もしくは相当部分を示してい
る。本実施の形態においては、パルスレーザ光源1に、
一例として半導体レーザ励起のYAGレーザをQスイッチで
パルス化し、共振器内部に配置した波長変換結晶で第2
高調波を発生する内部波長変換方式第2高調波レーザを
使用している。被照射物は直列2段に配置されたレーザ
媒質で多段増幅器を構成している。本実施の形態では被
照射物であるレーザ媒質は色素である。パルスレーザ光
源を出射した単一レーザパルスを時間的に2分割し、分
割された各レーザパルスで被照射物であるレーザ媒質の
光励起を行う。
【0048】図中、12はパルスレーザ光源のレーザ媒
質に使用している固体素子で、本実施の形態では、Nd
(ネオジウム)を活性物質としてドープしたロッド形状
を有するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)
結晶を使用している。13は励起光源である半導体レー
ザ、14はレーザ共振器内の光損失を変化させることに
よりレーザパルス化するQスイッチ、15は固体素子1
2から発せられた波長1.06mmの基本波光を、波長532nm
の第2高調波に波長変換する波長変換結晶で、本実施の
形態では一例としてKTP(KTiOPO4)結晶を使用してい
る。16はレーザ共振器を構成する第1の端部ミラー
で、波長1064nmの基本波に対し全反射コーティングが施
されている。17はレーザ共振器を構成する第2の端部
ミラーで、波長1064nmの基本波、波長532nmの第2高調
波両者に対し、全反射コートが施されている。18は共
振器内の光軸を折り曲げ、第2高調波を共振器外部に取
り出すため波長1064nmの基本波光に対しては全反射、波
長532nmの第2高調波に対しては全透過となるよう2波
長コーティングが施された第2高調波取り出しミラーで
ある。19はQスイッチ14の駆動を行うQスイッチドラ
イバ、20はレーザ媒質である直列に並べられた第1の
被照射物701と第2の被照射物702によって増幅さ
れる被増幅光である。
【0049】次に動作を説明する。まず、半導体レーザ
13から出射する励起光を、固体素子12の光軸側方よ
り照射し、固体素子12の励起を行う。励起された固体
素子12中には、励起光の波長、活性媒質の原子構造に
応じた特定のエネルギー準位間で反転分布が生じる。反
転分布は自然放出および誘導放出により減少するが、共
振器内に配置したQスイッチ14による光損失が大きい
状態では、共振器内の光強度は増大し得ず、誘導放出に
よる反転分布の減少は無視することができる。従って励
起による反転分布増加量が自然放出による反転分布減少
量を上回る限り反転分布は増加し、高いエネルギーが固
体素子12内に蓄積される。固体素子12内に高いエネ
ルギーが蓄積された状態で、Qスイッチ14による光損
失量を急速に低下させると、固体素子12内で発生した
自然放出光は、第1の端部ミラ16と第2の端部ミラー
17により共振器内に閉じ込められ、固体素子12の誘
導放出による増幅作用を被り共振器内の基本波光の強度
は急速に増加する。誘導放出の発生割合は、固体素子1
2を通過する光強度に比例するため、強度の高い基本波
レーザ光が固体素子12中を通過する際、誘導放出が顕
著となり反転分布はしきい値以下にまで減少してしま
う。この結果、共振器内の基本波光は発振を停止する。
上述のように、共振器内にQ スイッチ14を設置し、共
振器内の光損失を増減することにより、ピーク強度の高
いパルス光を発生することができる。特に本実施の形態
においては、基本波光を第1の端部ミラー16および第
2の端部ミラー17から構成される共振器内に閉じ込め
る構成としているので、共振器内の基本波光の強度は非
常に高くなる。
【0050】本実施の形態においては、共振器内に波長
変換結晶15を配置し、かつ第1の端部ミラー16と第
2の端部ミラー17によって基本波光を共振器内に閉じ
込めているので、非常にピーク強度の高い基本波光を波
長変換結晶15中へ入射させることができる。波長変換
結晶15において、基本波光が第2高調波光へ変換され
る割合は、理論的には基本波光強度の2乗に比例する。
本実施の形態に示すように共振器内部波長変換構成によ
れば、高強度の基本波光を波長変換結晶15に入射さ
せ、効率よく第2高調波光を発生させることができる。
共振器内で発生した第2高調波は、共振器内に設置した
第2高調波取り出しミラー18から共振器外部に取り出
される。本実施の形態においては、共振器出射時のレー
ザパルスのパルス幅はおよそ80nsであった。
【0051】本実施の形態においては、電気光学素子ド
ライバ9とQスイッチドライバ19の動作タイミング
を、同一の信号発生器10により制御している。従っ
て、パルスレーザ光源1のパルス発生動作と電気光学素
子2への電圧印加動作は常に同期がとられている。レー
ザ共振器を出射したP偏光のレーザパルス401は、電
気光学素子2に入射する。レーザパルス401が電気光
学素子2へ入射を開始してから時間t1が経過した時点で
電気光学素子2にλ/2電圧を印加する。従って電気光学
素子2を通過したレーザパルス402は前半t1部分がP
偏光、後半t2部分はS偏光となる。レーザパルス402
に偏光ビームスプリッタ3に入射し、パルス時間幅がt1
でP偏光のレーザパルス403と、パルス時間幅がt2でS
偏光のレーザパルス404に分割される。P偏光のレー
ザパルス403は、光ファイバ11によって遅延された
後、第1の集光レンズ601によって第1の被照射物7
01上に集光照射される。一方、S偏光のレーザパルス
404は折り曲げミラー5によって進行方向が直角に折
り曲げられた後、第2の集光ミラー602によって第2
の被照射物702上に集光照射される。
【0052】前述のように、本実施の形態においては、
第1の被照射物701および第2の被照射物702は、
ともにレーザ媒質として用いる色素であり、第1の被照
射物701と第2の被照射物702を2段直列に配置す
ることにより多段増幅器の一部を構成している。本実施
の形態では色素の種類としてローダミン6Gを使用してい
る。第1の被照射物701および第2の被照射物702
は、それぞれレーザパルス403、404の照射により
光励起され、色素内の特定のエネルギー準位間で反転分
布が生じる。反転分布が形成された状態で、反転分布の
エネルギー準位間のエネルギー差に合致した波長を有す
る被増幅光20が、第1、第2の被照射物701、70
2中を通過すると、被増幅光20は誘導放出によって増
幅作用を受け、被増幅光20の光強度は増大する。
【0053】励起された増幅媒質内では、ランダムに発
生する自然放出光が、誘導放出によって増幅されるASE
(Amplified Spontaneous Emission)が発生する。ASE
は本来増幅すべきレーザ光には寄与せず、反転分布に蓄
積されるエネルギーを消費するため、増幅効率低下の一
因になる。ASEの強度は、励起開始から時間経過にとも
ない増加する。増幅効率の観点から、ASE強度が立ち上
がる以前に励起を完了し、被増幅光の増幅を行う必要が
ある。
【0054】本実施の形態によれば、パルスレーザ光源
より発せられた単一レーザパルスを、時間的に分割する
ことが可能となるので、パルスレーザ光源より発せられ
た単一レーザパルスのパルス時間幅が、被照射物である
レーザ媒質中において、ASE強度が立ち上がるまでに要
する時間よりも長い場合であっても、単一レーザパルス
を時間的に分割し、よりパルス時間幅の短いレーザパル
スを形成して、レーザ媒質に照射することにより、効率
よくレーザ媒質を励起し、被増幅光の増幅を行うことが
できる。
【0055】反転分布によってレーザ媒質内に蓄積され
たエネルギーは、被増幅光が存在しない状態では、自然
放出やASE、その他非放射遷移によって経時的に減少す
る。レーザ媒質に対する励起持続時間が、反転分布の寿
命(反転分布によって蓄積されるエネルギーが1/eにな
る時間で定義)に比べ長くなる場合、レーザ媒質励起時
に被増幅光が存在しない状態においては、励起エネルギ
ーを反転分布として効果的蓄積することができず、増幅
効率低下の原因となる。一方、レーザ媒質励起時に、被
増幅光が存在する場合、反転分布に変換された励起エネ
ルギーは、誘導放出によって逐次被増幅光へ移譲される
ため、効率よく被増幅光の増幅を行うことが可能とな
る。
【0056】本実施の形態においては、第1、第2の被
照射物701、702はレーザ媒質であるローダミン6G
であり、反転分布の寿命は30nsである。一方、時間的に
分割されたレーザパルス403、404のパルス時間幅
は40ns程度であるため、励起持続時間が反転分布の寿命
より長くなる。従って効率よい増幅を行うためには、励
起持続中に被増幅光20が、第1、第2の被照射物70
1、702中に存在する必要がある。
【0057】また、第1、第2の被照射物701、70
2は直列に配置されており、両者で同一の被増幅光20
を増幅する。高効率な増幅を行うためには、第1の被照
射物701の励起開始時間と第2の被照射物702の励
起開始時間との間に、被増幅光20が第1の被照射物7
01から第2の被照射物702に至るまでに要する時間
差を設ける必要がある。
【0058】本実施の形態においては、偏光ビームスプ
リッタ3によって時間的に分割されたP偏光のレーザパ
ルス403の光路上に、光ファイバ11からなる遅延手
段を設けている。光ファイバ11は、石英(屈折率:1.
42)から形成されており、ファイバ1m当たりおよそ4.7
4nsパルスを遅延させることができる。本実施の形態に
おいては、例えば長さ9mの光ファイバを使用することに
より、P偏光のレーザパルス403をおよそ43ns遅延さ
せている。この結果、第1の被照射物701と第2の被
照射物702を通過する被増幅光20の通過タイミング
と、励起光であるレーザパルス403、404がそれぞ
れ第1の被照射物701、第2の被照射物702を照射
するタイミングを、同期させることが可能となった。こ
のため第1の被照射物701および第2の被照射物70
2中に反転分布として蓄積された励起エネルギーは、逐
次被増幅光20に移譲され、効率よく被増幅光の増幅を
行うことができた。
【0059】本実施の形態においては、パルスレーザ光
源1はQスイッチ14によってパルス化している。Qスイ
ッチ14はレーザ共振器中の光損失を時間的に変化させ
ることにより、レーザ媒質即ちYAG結晶内に反転分布と
して蓄積したエネルギーを光パルスとして間欠的に放出
するもので、パルス時間幅が短くピーク強度の高いレー
ザパルスの発生が可能となる。但し、Qスイッチによっ
て発生するレーザパルスのパルス時間幅は、レーザ媒質
の誘導放出断面積、レーザ媒質に対する励起強度、レー
ザ共振器の長さ、繰り返し周波数等によって決定され
る。即ち、Qスイッチ動作時のパルス時間幅は、レーザ
発振機構自体に関わり、動作条件によって変化するた
め、所望の動作条件において任意のパルス幅を得ること
は困難である。
【0060】本実施の形態によれば、時間的にレーザパ
ルスを分割することが可能となるため、Qスイッチによ
ってパルス化されたレーザパルスを使用する場合であっ
ても、所望する動作条件においてパルスレーザ光源出射
直後のパルス時間幅よりも短い任意のパルス時間幅のレ
ーザパルスを得ることができる。
【0061】本実施の形態においては、YAGレーザの第
2高調波光を用いて色素を励起する構成を示したが、パ
ルスレーザ光源および励起する増幅媒質はこれに限るも
のではなく、パルスレーザ光を用いて光励起するレーザ
増幅器であれば、いずれの構成にも適用することができ
る。
【0062】実施の形態5.図5はこの発明の実施の形
態5に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、
図1および図4と同一符号は同一部分もしくは相当部分
を示している。本実施の形態においては、レーザ媒質と
して例えばチタンがドープされたサファイア結晶(チタ
ンサファイア結晶)を使用する再生増幅器へ適用する構
成を示している。従って本実施の形態の被照射物7はチ
タンサファイア結晶である。再生増幅器は増幅器自体で
光共振器を有するが、この発明は励起光源として用いる
レーザ照射装置を発明の主旨としているため、図5にお
いて再生増幅器の光共振器は簡単のため省略する。な
お、本実施の形態のパルスレーザ光源1も前記実施の形
態4と同じく、半導体レーザ励起のYAGレーザをQスイッ
チでパルス化し、共振器内部に配置した波長変換結晶で
第2高調波を発生する内部波長変換方式第2高調波レー
ザを使用している。また、本実施の形態は前記実施の形
態4とは異なり、単一の被照射物7であるチタンサファ
イア結晶を励起する構成を示している。
【0063】再生増幅器は増幅器自体が共振器を有する
ため、被増幅光20が存在しない場合であっても、励起
すれば発振を開始する(自己発振)。自己発振を開始す
ると被照射物7であるレーザ媒質中に反転分布として蓄
積されたエネルギーが消費されるため、被増幅光を効率
よく増幅することが困難になるばかりでなく、本来の被
増幅光が目的としている用途に対し、自己発振光が悪影
響を与える。レーザ媒質に励起を開始してから、自己発
振を開始するまでには、共振器内で光強度が増加するた
めの時間(共振器ビルドアップ時間)を要する。従っ
て、再生増幅器の励起を行う場合には、励起持続時間を
共振器ビルドアップ時間よりも短くする必要がある。
【0064】次に動作を説明する。本実施の形態によれ
ば、パルスレーザ光源1を出射した単一レーザパルス4
01を時間的に分割することが可能となるので、共振器
ビルドアップ時間よりもパルス時間幅の短いレーザパル
ス403、404を形成することができる。偏光ビーム
スプリッタ3を透過したP偏光のレーザパルス403
は、第1の折り曲げミラー501により進行方向が直角
に折り曲げた後、光ファイバ11から構成される遅延手
段によって所定時間遅延される。光ファイバで遅延作用
を受けたレーザパルス403は、第2の折り曲げミラー
502によって再度進行方向を直角に折り曲げ、第1の
集光ミラー601によって被照射物7であるチタンサフ
ァイア結晶に集光照射され、チタンサファイア結晶を光
励起する。一方、偏光ビームスプリッタ3で進行方向が
直角に折り曲げられたS偏光のレーザパルス404は、
第3の折り曲げミラー503で進行方向が再度直角に折
り曲げられ、第2の集光レンズ602によって被照射物
7であるチタンサファイア結晶に集光照射され、チタン
サファイア結晶を光励起する。
【0065】ここで、光ファイバ11によるレーザパル
ス403の遅延時間は、レーザパルス403とレーザパ
ルス404が、被照射物7、即ちチタンサファイア結晶
へ同時に到達するよう調整されている。従って、被照射
物7であるチタンサファイア結晶へ照射されるパルスエ
ネルギーの合計は、パルスレーザ光源1出射時の単一レ
ーザパルス401とほぼ同等の値を維持しつつ、チタン
サファイア結晶に対する励起持続時間は、パルスレーザ
光源1出射時の単一レーザパルス401のパルス時間幅
に比べ大幅に低減する。この結果、自己発振が開始する
以前に励起を完了することが可能となり、効率よく被増
幅光20の増幅を行うことができた。
【0066】本実施の形態においては、単一レーザパル
スを時間的に2分割し、パルス遅延手段を用いて同時に
被照射物であるチタンサファイア結晶を励起する構成を
示したが、被照射物はレーザ媒質に限るものではない。
例えば、金属の微細穴開け等加工用途へ適用すれば、パ
ルスエネルギーをほぼ一定に維持しながら被照射物に対
する照射時間を効果的に低減することが可能となるの
で、加工速度を一定に保ちながら被照射物に対する熱影
響を低減し、加工品質の向上を図ることができる。
【0067】実施の形態6.図6はこの発明の実施の形
態6に係るレーザ照射装置を示す構成図である。図中、
図1および図4と同一符号は同一部分もしくは相当部分
を示している。本実施の形態のパルスレーザ光源1に
は、Qスイッチでパルス化したYAGレーザを使用し、ステ
ンレスの薄板に穴開け加工を施す構成を示している。パ
ルスレーザ光源1を出射するパルスレーザ光のパルス時
間幅は100ns程度で、実際のレーザパルスの時間波形
は、図6に示すような矩形波ではないが、説明を明瞭に
するため便宜的に矩形波として描いている。本実施の形
態において、パルスレーザ光源1から発せられた単一レ
ーザパルス401を、第1の偏光ビームスプリッタ30
1によって時間的的に分割するまでは、前記いずれの実
施の形態とも同一の動作である。本実施の形態は、一
旦、時間的に分割したレーザパルス403、404を、
第2の偏光ビームスプリッタ302を使用して同一光路
上に再合成し、被照射物7であるステンレス薄板に照射
するものである。
【0068】次に動作を説明する。パルスレーザ光源1
を出射したパルス時間幅TのP偏光の単一レーザパルス4
01は、電気光学素子2によって、前半t1部分がS偏
光、後半t1部分がP偏光となるよう調整される。前半部
分がS偏光、後半部分がP偏光であるレーザパルス402
は、第1の偏光ビームスプリッタに入射する。S偏光で
あるレーザパルス前半部分は、進行方向が直角に折り曲
げられ、P偏光であるレーザパルス後半部分は第1の偏
光ビームスプリッタ301を直進して透過する。この結
果、単一レーザパルス402は、ほぼパルス時間幅が等
しいP偏光のレーザパルス403と、S偏光のレーザパル
ス404に時間的に分割される。
【0069】P偏光のレーザパルス403は、第1の偏
光ビームスプリッタ301を透過し、第2の偏光ビーム
スプリッタ302に入射する。S偏光のレーザパルス4
04は、偏光ビームスプリッタ301によって直角に進
行方向が折り曲げられた後、第1の折り曲げミラー50
1によって再度進行方向が直角に折り曲げられる。第1
の折り曲げミラー501通過後、レーザパルス404は
パルス遅延手段である偏光保持光ファイバ11に入射す
る。偏光保持光ファイバ11透過後、第2の折り曲げミ
ラーによって再度進行方向が直角に折り曲げられた後、
P偏光のレーザパルス403とは直交する向きで、第2
の偏光ビームスプリッタ302に入射する。ここで、パ
ルス遅延手段として使用する偏光保持光ファイバ11の
長さは、P偏光のレーザパルス403とS偏光のレーザパ
ルス404が、第2の偏光ビームスプリッタ302に同
時に入射するよう調整されている。
【0070】第1および第2のビームスプリッタ30
1、302は、P偏光の入射光は直進して透過し、S偏光
の入射光は進行方向を直角に折り曲げられるよう形成さ
れているため、第2の偏光ビームスプリッタ302に対
し、直交する角度で同時に入射したP偏光のレーザパル
ス403とS偏光のレーザパルス404は、同一光路上
に合成される。この結果、パルスレーザ光源1出射直後
の単一レーザパルス401と同等とパルスエネルギーを
維持しつつ、単一レーザパルス401に比べパルス時間
幅が短く、ピーク出力の高い、単一レーザパルス405
が形成される。単一レーザパルス405は、集光レンズ
6によって、被照射物7であるステンレス薄板上に集光
照射される。
【0071】本実施の形態によれば、パルスレーザ光源
出射時と同等のパルスエネルギーを維持しつつ、パルス
時間幅が狭く、ピーク出力の高い単一レーザパルスを形
成することが可能となるため、加工速度を低下させるこ
となく被照射物に対する熱影響を低減し、加工品質の向
上を図ることができる。
【0072】また、本実施の形態によれば、2つのレー
ザパルスを同一光路上に重畳して単一レーザパルスを形
成し、被照射物に照射するので、2つのレーザパルスを
別々の光路で伝送し、被照射物上の同一個所を同時に照
射する場合に比べ、光路構成が簡単になり、光路調整を
格段に容易にすることができる。また2つのレーザパル
スを別々の光路で伝送し被照射物に照射する場合、2つ
のレーザパルス照射時の等価的なビーム集光性は、分割
前の単一レーザパルスに比べ1/2以下に低下するが、本
実施の形態に示すように、2つのレーザパルスを同一光
路上に合成すれば、合成後の単一レーザパルスの集光性
は、分割前の単一レーザパルスの集光性をほぼ維持する
ことができる。従って、2つのレーザパルスを別々の光
路で伝送し被照射物に照射する場合に比べ、焦点深度が
深く、精度よく分解能の高い加工を行うことができる。
【0073】実施の形態7.図7はこの発明の実施の形
態7に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時
間波形を示す図である。図中、図6と同一符号は同一部
分もしくは相当部分を示している。前記実施の形態6に
おいては、ほぼパルス時間幅が等しくなるよう時間的に
分割した2つのパルスを、パルス遅延手段を用いて同時
に第2の偏光ビームスプリッタ302に入射するよう調
整し、同一光路上に合成する構成を示したが、図7に示
す本実施の形態では、図6に示す前記実施の形態と同一
構成において、単一レーザパルス401を、第1の偏光
ビームスプリッタ301によって、パルス時間幅t1のレ
ーザパルス403と、パルス時間幅t2のレーザパルス4
04に分割する。パルス遅延手段である偏光保持光ファ
イバ11によって、2つのレーザパルス403、404
が、第2の偏光ビームスプリッタ302にΔtの時間差
をもって入射するよう調整し、2つのレーザパルス40
3、404を同一光路上に合成する。図7は、合成前の
2つのレーザパルス403、404と、合成後の単一レ
ーザパルス405を示している。
【0074】本実施の形態に示すように、第1の偏光ビ
ームスプリッタ301で時間的に分割したレーザパルス
403、404の一部のみが重なるようパルス遅延手段
によって、2つのレーザパルス403、404が第2の
偏光ビームスプリッタ302へ入射するタイミングを調
整すれば、パルス先頭部Δtとパルス後端部t1+Δt-t2
のピーク出力が低く、パルス中央部t2-Δtのピーク出力
が高いパルス時間幅t1+t2-Δtの単一レーザパルス40
5を形成することができる。
【0075】実施の形態8.図8はこの発明の実施の形
態8に係るレーザ照射装置における合成前後のパルス時
間波形を示す図である。図中、図6と同一符号は同一部
分もしくは相当部分を示している。本実施の形態におい
ても、図6に示す前記実施の形態6と同一の構成を用い
ている。本実施の形態においては、単一レーザパルス4
01を、第1の偏光ビームスプリッタ301によって、
パルス時間幅t1のレーザパルス403と、レーザパルス
403に比べパルス時間幅の短いパルス時間幅t2のレー
ザパルス404に分割する。パルス遅延手段である偏光
保持光ファイバ11によって、2つのレーザパルス40
3、404が、第2の偏光ビームスプリッタ302に同
時に入射するよう調整し、2つのレーザパルス403、
404を同一光路上に合成する。図8では、合成前の2
つのレーザパルス403、404と、合成後の単一レー
ザパルス405を示している。
【0076】本実施の形態に示すように、単一レーザパ
ルスを第1の偏光ビームスプリッタ301によってパル
ス時間幅の大きく異なる2つのレーザパルス403、4
04に時間的に分割し、パルス遅延手段を用いて、分割
された2つのレーザパルス403、404が、第2の偏
光ビームスプリッタ302へ同時に入射するよう調整
し、2つのレーザパルス403、404を同一光路上に
調整すれば、パルス先頭部t2のピーク出力が高く、パル
ス時間幅t1の単一レーザパルス405を形成することが
できる。
【0077】第2の偏光ビームスプリッタを用いたパル
ス合成の種類は、上記実施の形態に限るものではなく、
用途に応じて、単一レーザパルス分割時のパルス時間
幅、第2の偏光ビームスプリッタにおける入射タイミン
グを設定し、目的に応じて最適なパルス時間波形となる
よう単一パルスを合成すればよい。要するに、レーザの
種類を問わず、直線偏光の単一レーザパルス中の偏光方
向を一部直交させ、第1の偏光ビームスプリッタを用い
て偏光が直交する部分を一旦時間的に分割し、分割した
レーザパルスの遅延時間を調整して、第2の偏光ビーム
スプリッタを用いて再度合成すれば、様々なパルス時間
波形を有するレーザパルスの合成が可能になるというこ
とである。
【0078】上記実施の形態においては、直線偏光の単
一レーザパルスを、第1の偏光ビームスプリッタで2つ
に分割し、第2の偏光ビームスプリッタによって、2つ
に分割したレーザパルスを一部時間的に重ね合わせ合成
する構成を示したが、単一レーザパルスの分割数は2つ
に限るものではなく、またパルス合成時、時間的に重ね
ることなく同一光路上に合成すれば、単一レーザパルス
からパルス時間幅の短い複数のレーザパルスのパルス列
を形成することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、直線偏光したパルスレーザ光を発生するパルス
レーザ光源と、パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転
させる光学素子と、直交する偏光成分を2つの進行方向
に分離する偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプ
リッタによって進行方向が分離された2つの直交する偏
光成分を、各々被照射物まで伝送する伝送光路とを備
え、直線偏光の単一レーザパルスが前記光学素子を通過
する際、所定の時間範囲内に通過する部分のみ偏光方向
を直角に回転させ、単一レーザパルス中に2つの直交す
る直線偏光部分を形成し、前記偏光ビームスプリッタに
よって直交する2つの直線偏光部分を分離することによ
り、単一レーザパルスをパルス時間幅の短い少なくとも
2つのレーザパルスに時間的に分割し、分割したレーザ
パルスを各々前記被照射物へ照射するようにしたので、
パルスレーザ光源の動作条件の変更によって、パルス時
間幅の低減が困難な場合であっても、パルスレーザ光源
を出射する単一レーザパルスに比べ、パルス時間幅の短
いパルスを容易に生成することが可能となり、この結
果、被照射物に対する熱影響を緩和し、加工用途に適用
する場合には加工品質が向上するばかりでなく、パルス
レーザ光の利用効率を高めることができ、また同時に複
数の被照射物にレーザパルスを照射することが可能とな
るので、生産性を効果的に向上させることが可能になる
という効果がある。
【0080】また、請求項2の発明によれば、請求項1
の発明において、前記偏光ビームスプリッタで進行方向
が分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも一方の偏
光成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、前記被照
射物へのパルス到達時間を遅延するための遅延手段を設
けたので、偏光ビームスプリッタによって分割した各レ
ーザパルスの、被照射物に対する照射タイミングの調整
が可能となるため、被照射物に対し分割した各レーザパ
ルスを同時に照射するよう照射タイミングを調整すれ
ば、分割前の単一レーザパルスと同等のパルスエネルギ
ーを、分割前の単一レーザパルスのパルス時間幅に比べ
短い時間内に、被照射物に対し照射することが可能とな
り、以って、加工用途に使用する場合には、生産性を低
下させることなく、熱影響を緩和し、加工品質の向上を
図ることができ、またレーザ増幅器の励起に使用する場
合、ASEや自己発振によるレーザ媒質内の蓄積エネルギ
ーの消費を効果的に低減することが可能となり、高い増
幅効率を得ることができるという効果がある。
【0081】また、請求項3の発明によれば、請求項1
または2の発明において、前記パルスレーザ光源は、Q
スイッチによってパルス化しているので、パルス時間幅
が短く、ピーク出力の高いレーザパルスを得ることがで
きるばかりでなく、時間的にレーザパルスを分割するこ
とが可能となるため、所望する動作条件において、パル
スレーザ光源を出射する単一レーザパルスのパルス時間
幅よりも短い任意のパルス時間幅のレーザパルスを得る
ことができるという効果がある。
【0082】また、請求項4の発明によれば、請求項1
ないし3のいずれかの発明において、前記パルスレーザ
光源として、固体レーザ媒質を用いた固体レーザを使用
するので、パルスレーザ光源を小型化することが可能と
なるばかりでなく、パルスレーザ光源の動作条件を一定
に保持したまま、レーザパルスを時間的に分割し、用途
に応じたパルス時間幅、パルスエネルギーへ調整するこ
とが可能となり、以って、励起強度を常に一定に保ちな
がら、照射条件の最適化を図ることができ、加工品質は
一定し、ばらつきが小さく再現性に優れた安定な加工を
行うことが可能となるという効果がある。
【0083】また、請求項5の発明によれば、請求項4
の発明において、前記パルスレーザ光源として、前記固
体レーザ媒質の第2高調波を使用するので、色素やチタ
ンサファイア結晶等をレーザ媒質として用いた増幅器の
励起を行う際、ASEや自己発振によるレーザ媒質内の蓄
積エネルギーの消費を効果的に低減し、高い増幅効率を
得ることができるという効果がある。
【0084】また、請求項6の発明によれば、請求項1
ないし5のいずれかの発明において、前記偏光ビームス
プリッタによって進行方向が分離された偏光方向が直交
するレーザパルスを、第2の偏光ビームスプリッタによ
り再度同一光路に合成するので、パルスレーザ光源出射
時と同等のパルスエネルギーを維持しつつ、パルス時間
幅が狭く、ピーク出力の高い単一レーザパルスを形成す
ることが可能となり、加工速度を低下させることなく被
照射物に対する熱影響を低減し、加工品質の向上を図る
ことができるばかりでなく、2つのレーザパルスを別々
の光路で伝送する場合に比べ、光路構成が簡単になり、
光路調整を格段に容易にすることができ、また合成後の
単一レーザパルスの集光性は、分割前の単一レーザパル
スの集光性がほぼ維持されるので、焦点深度が深く、精
度よく分解能の高い加工を行うことができ、更に分割し
たレーザパルスを合成する際の遅延時間を調整すること
により、用途に応じたパルス時間波形となるようレーザ
パルスを合成することができるという効果がある。
【0085】また、請求項7の発明によれば、請求項1
ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子とし
て電気光学素子を用いるので、偏光方向を直角方向に確
実に回転させることができるという効果がある。
【0086】また、請求項8の発明によれば、請求項1
ないし6のいずれかの発明において、前記光学素子とし
て磁気光学素子を用いるので、偏光方向を直角方向に確
実に回転させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態3に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態5に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態6に係るレーザ照射装
置を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態7に係るレーザ照射装
置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態8に係るレーザ照射装
置における合成前後のパルス時間波形を示す図である。
【図9】 従来のレーザ照射装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 パルスレーザ光源、 2 電気光学素子、 3 偏
光ビームスプリッタ、302 第2の偏光ビームスプリ
ッタ、 401 レーザ光源出射直後のレーザパルス、
402 電気光学素子通過後のレーザパルス、 40
3 偏光ビームスプリッタを透過するレーザパルス、
404 偏光ビームスプリッタで進行方向が直角に折り
曲げられたレーザパルス、 405 合成されたレーザ
パルス、 7 被照射物、 701 第1の被照射物、
702 第2の被照射物、11 光ファイバ、 12
YAG結晶、 14 Qスイッチ、 15 波長変換結
晶。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉沢 憲治 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 八木 重典 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2H079 AA02 AA12 BA02 CA24 DA03 GA01 KA06 4E068 CA05 CD03 CD05 CD08 CK01 5F072 AB01 HH07 JJ20 KK12 KK13 MM03 MM04 PP01 QQ02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線偏光したパルスレーザ光を発生する
    パルスレーザ光源と、 パルスレーザ光の偏光方向を直角に回転させる光学素子
    と、 直交する偏光成分を2つの進行方向に分離する偏光ビー
    ムスプリッタと、 該偏光ビームスプリッタによって進行方向が分離された
    2つの直交する偏光成分を、各々被照射物まで伝送する
    伝送光路とを備え、直線偏光の単一レーザパルスが前記
    光学素子を通過する際、所定の時間範囲内に通過する部
    分のみ偏光方向を直角に回転させ、単一レーザパルス中
    に2つの直交する直線偏光部分を形成し、前記偏光ビー
    ムスプリッタによって直交する2つの直線偏光部分を分
    離することにより、単一レーザパルスをパルス時間幅の
    短い少なくとも2つのレーザパルスに時間的に分割し、
    分割したレーザパルスを各々前記被照射物へ照射するよ
    うにしたことを特徴とするレーザ照射装置。
  2. 【請求項2】 前記偏光ビームスプリッタで進行方向が
    分離された2つ偏光成分のうち、少なくとも一方の偏光
    成分を被照射物まで伝送する伝送光路中に、前記被照射
    物へのパルス到達時間を遅延するための遅延手段を設け
    たことを特徴とする請求項1記載のレーザ照射装置。
  3. 【請求項3】 前記パルスレーザ光源は、Qスイッチに
    よってパルス化していることを特徴とする請求項1また
    は2記載のレーザ照射装置。
  4. 【請求項4】 前記パルスレーザ光源として、固体レー
    ザ媒質を用いた固体レーザを使用することを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載のレーザ照射装置。
  5. 【請求項5】 前記パルスレーザ光源として、前記固体
    レーザ媒質の第2高調波を使用することを特徴とする請
    求項4記載のレーザ照射装置。
  6. 【請求項6】 前記偏光ビームスプリッタによって進行
    方向が分離された偏光方向が直交するレーザパルスを、
    第2の偏光ビームスプリッタにより再度同一光路に合成
    することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記
    載のレーザ照射装置。
  7. 【請求項7】 前記光学素子として電気光学素子を用い
    ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載
    のレーザ照射装置。
  8. 【請求項8】 前記光学素子として磁気光学素子を用い
    ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載
    のレーザ照射装置。
JP28114398A 1998-10-02 1998-10-02 レーザ照射装置 Expired - Fee Related JP3715800B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28114398A JP3715800B2 (ja) 1998-10-02 1998-10-02 レーザ照射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28114398A JP3715800B2 (ja) 1998-10-02 1998-10-02 レーザ照射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000107875A true JP2000107875A (ja) 2000-04-18
JP3715800B2 JP3715800B2 (ja) 2005-11-16

Family

ID=17634973

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28114398A Expired - Fee Related JP3715800B2 (ja) 1998-10-02 1998-10-02 レーザ照射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3715800B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003211276A (ja) * 2002-01-22 2003-07-29 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2004098121A (ja) * 2002-09-09 2004-04-02 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2006043747A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2006253571A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd レーザ照射装置及び方法、並びにレーザアニール装置及び方法
WO2006125217A2 (en) * 2005-05-19 2006-11-23 Electro Scientific Industries, Inc. Synthetic pulse repetition rate processing for dual-headed laser micromachining systems
JP2007529903A (ja) * 2004-03-17 2007-10-25 サイマー インコーポレイテッド Lppのeuv光源
KR100841426B1 (ko) * 2002-12-26 2008-06-25 히다치 비아 메카닉스 가부시키가이샤 다중빔 레이저 구멍뚫기 가공장치
JP2009536882A (ja) * 2006-05-12 2009-10-22 フォトン・ダイナミクス・インコーポレーテッド 堆積修復の装置及び方法
JP2010158691A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Disco Abrasive Syst Ltd レーザー加工装置
WO2012017761A1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-09 株式会社日立ハイテクノロジーズ 欠陥検査方法及びこれを用いた装置
JP2013040980A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 V Technology Co Ltd パルス幅拡張装置
JP2016032831A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 株式会社キーエンス レーザ加工装置
JP2016097410A (ja) * 2014-11-18 2016-05-30 株式会社ディスコ レーザー加工装置
CN113394651A (zh) * 2021-06-08 2021-09-14 中国科学院精密测量科学与技术创新研究院 多脉冲激光延时可调的组合发射装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101855307B1 (ko) * 2015-10-07 2018-05-09 주식회사 이오테크닉스 레이저 마킹 시스템 및 이를 이용한 레이저 마킹 방법

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003211276A (ja) * 2002-01-22 2003-07-29 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2004098121A (ja) * 2002-09-09 2004-04-02 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
KR100841426B1 (ko) * 2002-12-26 2008-06-25 히다치 비아 메카닉스 가부시키가이샤 다중빔 레이저 구멍뚫기 가공장치
JP2007529903A (ja) * 2004-03-17 2007-10-25 サイマー インコーポレイテッド Lppのeuv光源
JP2006043747A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Sumitomo Heavy Ind Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP2006253571A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd レーザ照射装置及び方法、並びにレーザアニール装置及び方法
WO2006125217A2 (en) * 2005-05-19 2006-11-23 Electro Scientific Industries, Inc. Synthetic pulse repetition rate processing for dual-headed laser micromachining systems
GB2440869A (en) * 2005-05-19 2008-02-13 Electro Scient Ind Inc Synthetic pulse repetition rate processing for dual-headed laser micromachining systems
WO2006125217A3 (en) * 2005-05-19 2007-01-04 Electro Scient Ind Inc Synthetic pulse repetition rate processing for dual-headed laser micromachining systems
JP2009536882A (ja) * 2006-05-12 2009-10-22 フォトン・ダイナミクス・インコーポレーテッド 堆積修復の装置及び方法
JP2010158691A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Disco Abrasive Syst Ltd レーザー加工装置
WO2012017761A1 (ja) * 2010-08-04 2012-02-09 株式会社日立ハイテクノロジーズ 欠陥検査方法及びこれを用いた装置
JP2012037269A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Hitachi High-Technologies Corp 欠陥検査方法及びこれを用いた装置
US8958062B2 (en) 2010-08-04 2015-02-17 Hitachi High-Technologies Corporation Defect inspection method and device using same
JP2013040980A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 V Technology Co Ltd パルス幅拡張装置
JP2016032831A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 株式会社キーエンス レーザ加工装置
JP2016097410A (ja) * 2014-11-18 2016-05-30 株式会社ディスコ レーザー加工装置
CN113394651A (zh) * 2021-06-08 2021-09-14 中国科学院精密测量科学与技术创新研究院 多脉冲激光延时可调的组合发射装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3715800B2 (ja) 2005-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5790574A (en) Low cost, high average power, high brightness solid state laser
US7649188B2 (en) LPP type extreme ultra violet light source apparatus and driver laser for the same
JP3715800B2 (ja) レーザ照射装置
KR100339057B1 (ko) 단펄스 레이저 시스템
JP5179776B2 (ja) 極端紫外光源用ドライバレーザ
US7317196B2 (en) LPP EUV light source
JP4925085B2 (ja) 深紫外レーザー光の発生方法および深紫外レーザー装置
KR100945295B1 (ko) 단일 주파수 레이저 피닝 방법
JPH11330597A (ja) 短パルスレ―ザシステム
US20100193481A1 (en) Laser constructed with multiple output couplers to generate multiple output beams
JP2007529903A (ja) Lppのeuv光源
JP2013132664A (ja) 被加工物の加工方法
JP2003046173A (ja) レーザ装置、波長変換素子、レーザ発振器、波長変換装置およびレーザ加工方法
JP2005313195A (ja) 二波長重畳型レーザ出射ユニット及びレーザ加工装置
JP2000012484A (ja) レーザアニール装置
WO2006062766A2 (en) Efficient micro-machining apparatus and method employing multiple laser beams
EP0792530B1 (en) Low cost, high average power, high brightness solid state laser
US5612967A (en) Two dimensional scan amplifier laser
JP2002280322A (ja) レーザ照射装置及びレーザ照射方法
JPH0864896A (ja) 高平均出力パルスco▲2▼レーザ装置
JPH0637383A (ja) レーザシステム
JPH09181375A (ja) パルスガスレーザ装置
JPH05110179A (ja) 短波長短パルス光源
JP2005268506A (ja) 固体レーザー増幅器
JP2012182397A (ja) レーザ装置およびレーザ加工装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050823

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080902

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090902

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090902

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100902

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110902

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees