JP3715601B2 - 眼鏡用レンズの玉型加工に用いる軸ずれ防止キット及びこれを用いた眼鏡用レンズの玉型加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡用レンズの玉型加工に用いる軸ずれ防止キット及びこれを用いた眼鏡用レンズの玉型加工方法に関し、特に防汚処理が施された眼鏡用レンズの玉型加工に用いる軸ずれ防止キット及びこれを用いた眼鏡用レンズの玉型加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、眼鏡用レンズの表面には、反射防止コートを施すとともに、その上層に撥水性のある薄膜防汚コーティングを施して、レンズへの水垢付着を防止したり、表面滑性の向上により汚れが付きにくく、かつ落とし易くしている。
【0003】
かかる表面処理が施された眼鏡用レンズは、その形状を眼鏡枠(フレーム)の大きさに合せるために、その外周を砥石等の加工部材で所定形状に加工するいわゆる玉型加工が行なわれる。この玉型加工は、市販の玉型加工機(レンズエッジャー)を用いて行なわれる。かかる玉型加工機を用いた玉型加工の具体例としては、図1に示したように、固定軸11の先端に合成樹脂製のサクションカップ12が装着された軸部材1と、固定軸21の先端に押圧板22が一体的に接合された軸部材2を、眼鏡用レンズ4の凸面41と凹面42の両側からそれぞれ同軸上に配置して押圧して挟み込んで、レンズ4を軸部材1,2で固定し、次いで、軸部材1,2を回転させながら、図示しない砥石等の加工部材を高速回転させた物を用いてレンズ4を所定形状に加工する方法を挙げることができる。
【0004】
この場合、サクションカップ12の硬度に応じて、軸部材1とレンズ4の連結力を強化するための接着部材を適宜使用することができる。具体的には、硬度が小さく弾性の大きい、例えばゴム製のサクションカップを使用する場合には、上記固定部材を使用する必要はないが、硬度が大きいサクションカップを用いる場合には、図1に示す接着部材5を介して眼鏡用レンズ4とサクションカップ12を接着、固定する。かかる接着部材5としては、レンズロックテープと称される両面テープが一般的に使用される。また、軸部材2の先端に一体的に接合されている押圧板22に対しても、上記の接着部材5を適宜貼着して軸部材2とレンズ4の連結力を強化することもできる。
【0005】
しかし、上記の防汚コーティングに加えて、指紋が付着するのを防止するため、例えばフッ素系化合物からなる表面滑性を高めるコーティング剤を表面にコーティングした場合には、レンズ表面の非粘着性、低摩擦係数等のレンズ表面の滑性がより一層向上するため、玉型加工中に軸部材とレンズとの間の軸ずれを起こし、これに続いて眼鏡用レンズが欠ける等の問題が発生し、正確な玉型加工が困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、特に防汚処理が施された滑性の高い眼鏡用レンズを玉型加工する場合において、軸部材とレンズの間の軸ずれを防止するための軸ずれ防止キット、及びこれを用いた眼鏡用レンズの玉型加工方法を提供することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の軸ずれ防止キットは、眼鏡用レンズの凸面と凹面の両側から軸部材で同軸上に挟持、回転させて眼鏡用レンズを玉型加工する場合において、回転運動に伴なう上記軸部材とレンズとの間の軸ずれを防止するために用いられる軸ずれ防止キットであって、上記レンズの表面に塗布することにより、レンズ表面に密着固定される皮膜を形成するための皮膜形成剤と、所定強度を有する支持体と上記皮膜上に貼着可能な粘着剤を少なくとも有する粘着テープと、から構成される。
【0008】
本発明の軸ずれ防止キットによれば、レンズ表面の滑性を低減させて眼鏡用レンズと玉型加工に用いる軸部材が強固に連結・固定されるため、軸部材を回転駆動させた場合においても、軸部材とレンズとの間の軸ずれが生じることなく玉型加工を正確に行なうことができる。
【0009】
また、本発明の軸ずれ防止キットは、表面の滑性が高い防汚処理が施された眼鏡用レンズに適用した場合において、その効果が顕著に表れるものであり、特に表面滑性を高めるフッ素系表面防汚コーティング剤により防汚処理が施された場合のように、表面の滑性が著しく高い眼鏡用レンズに対して好適に用いることができる。
【0010】
また、本発明の軸ずれ防止キットを構成する皮膜形成剤は、合成樹脂と溶剤を含有するものが好適に使用できる。かかる皮膜形成剤によれば、皮膜形成剤の塗布操作が簡易に行なえ、しかも溶剤は数分程度の短時間で揮発するので、眼鏡用レンズに隙間なく密着固定する皮膜を形成することができ、具体的には合成樹脂が酢酸ビニル樹脂であり、溶剤がメタノールである溶剤型の皮膜形成剤が好適に用いられる。
【0011】
また、本発明の軸ずれ防止キットを構成する粘着テープは、所定強度を有する支持体と上記皮膜上に貼着可能な粘着剤を少なくとも有するものとして構成される。支持体としてはセロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなどのプラスチック製が好ましく使用でき、セロハンフィルム、ポリエステルフィルムが特に好ましく使用できる。具体的には、本発明において特に好ましい粘着フィルムとしては、ポリエステルフィルムからなる支持体と、シリコーン系樹脂からなる粘着剤とを少なくとも有するものを挙げることができる。
【0012】
また、本発明の眼鏡用レンズの玉型加工方法は、眼鏡用レンズの凸面と又は必要に応じて凹面に上記皮膜形成剤を塗布、乾燥させることにより、眼鏡用レンズに密着固定された皮膜を形成させた後、この形成された皮膜上に上記粘着テープを貼着し、次いで、この貼着された粘着テープに対して、玉型加工に用いる軸部材を押圧し、眼鏡用レンズの凸面と凹面の両側から軸部材を同軸上に挟持、回転させて所定形状に眼鏡用レンズを加工することを特徴とするものである。
【0013】
かかる玉型加工方法は、特に通常メガネ小売店にて使用されるべく販売されている玉型加工機に対して広範に適用できるので、眼鏡小売店においても簡易かつ確実に眼鏡用レンズの玉型加工を行なうことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の軸ずれ防止キットは、眼鏡用レンズの玉型加工に好適に適用されるものであり、皮膜形成剤と粘着テープとから構成されるものである。
【0015】
本発明の軸ずれ防止キットが適用される眼鏡用レンズの材質は特に限定されるものではなく、プラスチック製、ガラス製その他の材質を問わずに使用することができる。また、眼鏡用レンズの表面には、反射防止処理、防汚処理、ハードコート、耐衝撃性ハードコート、染色処理、紫外線吸収処理等の様々な表面処理が施されるが、本発明の軸ずれ防止キットは、一般にどのような表面処理が施された場合であっても適用することができ、特に表面の滑性が高いレンズに対して好適に使用することができる。
【0016】
具体的には、フッ素系表面防汚コーティング剤をコーティングした場合にレンズの表面滑性が著しく向上するので、本発明の軸ずれ防止キットは特にフッ素系化合物からなるコーティング剤で加工が施されたレンズに対して好適に使用することができる。ここで、フッ素系コーティング剤に使用される樹脂としては、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、変性TFE等が挙げられるが、かかる樹脂によって表面がコーティングされた眼鏡用レンズは、非粘着性や低摩擦特性という特有の特性のため、レンズ表面の滑性が向上したものとなる。
また、シリコーン樹脂を主成分とするシリコーン系表面防汚コーティング剤をコーティングした場合にもレンズの表面滑性が向上するので、本発明の軸ずれ防止キットは、かかるコーティング剤で加工が施されたレンズに対しても好適に使用することができる。
【0017】
ここで、レンズの表面滑性は、例えば図2に示す試験方法を用いることにより簡便に評価することができる。具体的には、図1で説明した固定軸11の先端に装着されたサクションカップ12に対して両面テープ5(商品名;Leap II Finish Blocking Pads,3M製)の一方の接着面を貼着し、他方の接着面をレンズ4の凸面41に貼着して軸部材1とレンズ4を固定する。次に中央部にレンズ4を収容可能な開口を有する所定重量の嵌め込み枠6に紐61を介して2kgの重りを取り付け、この嵌め込み枠6にレンズ4をセットし、レンズ4から両面テープ5が剥がれ落ちるまでの時間を測定する。剥離時間が30秒以上であれば表面滑性は通常程度であり、市販の玉型加工機を用いても通常の方法で正確な玉型加工を行なうことができる。一方、剥離時間が30秒未満の場合には、レンズ表面の滑性が高くなるため、市販の玉型加工機を用いても玉型加工を正確に行なうことが困難になる。一般的に、レンズ表面に上記のフッ素系表面コーティング剤で加工を施すと、剥離時間が30秒未満になる。
【0018】
本発明の軸ずれ防止キットを構成する皮膜形成剤は、眼鏡用レンズの表面滑性を低減させる役割を有するものであり、合成樹脂と溶剤を構成成分として含有するものである。この皮膜形成剤は、レンズ表面に塗布した場合に、溶剤が揮発して合成樹脂がフィルム状の膜としてレンズ表面に固着されたものとなる。
【0019】
皮膜形成剤を構成する合成樹脂と溶剤は、通常の溶剤含有型の固着剤に用いられるものであれば好適に使用することができ、特に限定されるものではないが、作業性の観点から溶剤の揮発時間としては、10分以内が好ましく、5分以内が更に好ましく、3分以内が特に好ましい。上記皮膜形成剤は、被着体に対して特に強い接着力が必要とされるわけではなく、例えばネジの緩み止めなどに用いられるロック剤程度の接着力を有するものでも本発明に好適に使用することができる。かかる性能を有する皮膜形成剤としては、合成樹脂として酢酸ビニル樹脂、溶剤としてメタノールを含有するものを挙げることができる。
【0020】
かかる皮膜形成剤は、眼鏡用レンズの凸面のみに用いることもできるし、凸面と凹面の両側に用いることもできる。具体的には、眼鏡用レンズの凸面(必要に応じて凹面)の中心部分に皮膜形成剤を1滴ないし数滴滴下し、レンズの玉型加工に用いる軸部材で眼鏡用レンズが押圧される部分よりも広い面積、例えば2cm2乃至50cm2程度の大きさに、筆や指先などを用いて薄く広げるように塗布して使用することが好ましい。溶剤が揮発すると、レンズ表面に密着固定された皮膜が形成される。本発明では、皮膜形成剤は、上記の合成樹脂と溶剤を任意に調合して用いてもよいし、市販の固着剤をそのまま用いてもよい。市販品を用いる場合には、例えば(株)スリーボンド製のスリーボンド1401が好適に使用できる。
【0021】
本発明の軸ずれ防止キットを構成する粘着テープは、玉型加工に用いる軸部材を回転した場合に生じる応力に対して、上記皮膜形成剤によって形成された皮膜を保護、補強し、且つレンズとサクションカップの連結力を高める役割を有するものであり、所定強度を有する支持体と、この支持体の上下二面のうち、一方の面に上記皮膜上に貼着可能な粘着剤が塗布されたものが好ましく用いられる。
【0022】
支持体としては、例えば紙、布、プラスチック、ゴムシート、発泡体、金属箔等が好適に使用できるものとして挙げられるが、本発明では、支持体の強度の点から、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなどを原料樹脂とするプラスチックフィルムが更に好ましく使用でき、セロハンフィルム、ポリエステルフィルムが特に好ましく使用できる。
【0023】
また、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のゴム系粘着剤であって、上記の皮膜に対して貼着可能な粘着性を有するものであれば特に限定されることなく使用できる。具体的には、本発明では、ポリエステルフィルムからなる支持体と、シリコーン系粘着剤からなる粘着剤の組み合わせからなる粘着シートが好適に使用できる。
【0024】
なお、本発明に適用できる粘着テープとしては、上記の粘着剤が塗布されていない支持体面に、例えば剥離剤が塗布されたものを用いることもできる。かかる層構成を有する粘着テープを用いれば、長尺の巻物として使用できるので、使用上都合がよい。具体的には、支持体としてセロハンを使用し、粘着剤として天然ゴムを使用したセロハンテープ(商品名;セロテープ(登録商標),ニチバン(株)製)、支持体としてポリエステルフィルムを使用し、粘着剤としてシリコーン系粘着剤を使用した粘着テープ(商品名;スリオンテープ,(株)スリオンテック製)、その他粘着シート(商品名;ファスカル,(株)ベル春日井製)が好ましく使用できる。
【0025】
粘着テープを使用する場合には、粘着テープを構成する粘着剤が塗布された面を、上記皮膜の形成された部分に貼り合わせて、粘着テープを皮膜に固定することにより行なう。図3は、本発明の軸ずれ防止キットを用いた場合において、眼鏡用レンズに対して形成、固着された皮膜7と粘着テープ8の一例を示したものである。なお、粘着テープの幅、長さ、形状は、玉型加工の対象となる眼鏡用レンズの表面滑性、度数、カーブ等に適合するように任意に設計することができる。例えば、表面滑性の非常に高いレンズや度数が高くコバの厚いレンズを用いる場合には、幅3cm以上、長さ5cm程度の粘着テープを、レンズの仕上がり横方向にして皮膜形成部分からはみ出ないように貼り付けることが好ましい。また、これだけでは不十分と思われる場合には、レンズの仕上がり縦方向にも上記と同様の大きさの粘着テープを貼り付けることが好ましい。
【0026】
本発明は、眼鏡用レンズに対して上記の軸ずれ防止手段を講じた後、市販の玉型加工機を用いて玉型加工を行なうものである。市販の玉型加工機としては、眼鏡レンズ用レンズエッジャー機として販売され、眼鏡小売店等で使用されている機械を用いればよく、製造メーカーとしては、例えばニデック製、トプコン製、ホヤ製、ウェコ−製、ブリオ製、タクボ精機製、富士製、グランド精工製を例示することができる。
【0027】
本発明における軸ずれ防止効果は、皮膜と粘着テープの存在により初めて発揮されるものである。すなわち、皮膜だけでは玉型加工に用いる軸部材の回転に対して強度が十分ではないので、玉型加工中に皮膜が破損してしまう。一方、粘着テープだけでは、凸面と又は必要に応じて凹面を有するレンズ表面に隙間なく密着することができないので、粘着テープにシワが発生して軸ずれ防止効果が不十分になる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
以下に示す眼鏡用レンズの凸面の中心部分に被膜形成剤を2滴滴下し、この滴下された被膜形成剤を直径50mm程度の円になるように指先で薄く広げた。皮膜が形成されるまで約3分待ち、次いで幅35mm、長さ35mmの粘着テープを皮膜面上に圧着した。続いて、ニデック製のレンズエッジャーを用いて眼鏡用レンズの玉型加工を行ない、玉型加工中に軸部材とレンズとの間の軸ずれが生じるか否かを観察した。なお、本実施例では、凸面用軸部材の先端に装着されたサクションカップに通称レンズロックテープと言われる両面テープの一方面を貼着し、他方の面を上記の粘着テープの剥離層に貼着して、凸面用軸部材と眼鏡用レンズを固定した。また、凹面用軸部材の先端に上記レンズロックテープの一方面を貼着し、他方の面をレンズの凹面に貼着して、凹面用軸部材と眼鏡用レンズを固定した。
【0029】
[眼鏡用レンズ]
直径70mmの円形の眼鏡用レンズの凸面と凹面の全面にわたりフッ素系防汚コーティングが施された、マイナス6.00Dの高度数のレンズを10枚用意した。
[皮膜形成剤]
合成樹脂として変性酢酸ビニル樹脂を25〜35重量%、溶剤としてメタノールを65〜75%含有する皮膜形成剤を使用した(商品名:ThreeBond1401,(株)スリーボンド製)。
[粘着テープ]
シリコーン系粘着剤、PETフィルムからなる支持体、剥離層を備えた粘着テープを使用した(商品名;スリオンテープNo.6263-50,(株)スリオンテック製)。
[両面テープ]
玉型加工に通常用いられるレンズロックテープ(商品名;Leap II Finish Blocking Pads,3M製)を用いた。
【0030】
(比較例1)
眼鏡用レンズの凸面に皮膜形成剤のみを貼着した以外は実施例1と同様に行なった。
(比較例2)
眼鏡用レンズの凸面に粘着テープのみを貼着した以外は実施例1と同様に行なった。
【0031】
実施例1では、玉型加工中の軸部材とレンズの間の軸ずれは眼鏡用レンズ10枚全てについて発生しなかった。一方、比較例1では、玉型加工中に眼鏡用レンズ10枚全てについて、形成された皮膜が破損し、軸部材とレンズの間の軸ずれが発生し、比較例2では、玉型加工中に眼鏡用レンズ10枚全てについて、粘着テープに数本のシワが発生し、軸部材とレンズの間の軸ずれが発生した。以上の結果より、本発明の軸ずれ防止キットは、皮膜と粘着テープが協同して軸ずれ防止効果を発揮することが確認された。
【0032】
また、玉型加工終了後、実施例1の粘着テープを指で摘んで剥がすとその下層の皮膜も接着跡を残すことなく同時にレンズ表面から剥れた。このことより、本発明の軸ずれ防止キットは後処理を要しないので、作業性に優れた玉型加工方法を提供できることが確認された。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の軸ずれ防止キットによれば、レンズ表面の滑性を低減させて眼鏡用レンズと玉型加工に用いる軸部材が強固に連結・固定されるため、軸部材を回転駆動させた場合においても、軸部材とレンズとの間の軸ずれが生じることなく玉型加工を正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】玉型加工機を用いた眼鏡用レンズの玉型加工の具体例を示す正面図である。
【図2】眼鏡用レンズの表面滑性を評価する試験方法を示した図である。
【図3】本発明の軸ずれ防止キットを用いてレンズ表面に皮膜と粘着テープを形成、貼着した一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 軸部材
11 固定軸
12 サクションカップ
2 軸部材
21 固定軸
22 押圧板
4 眼鏡用レンズ
41 凸面
42 凹面
5 接着部材
6 嵌め込み枠
61 紐
7 皮膜
8 粘着テープ
Claims (8)
- 眼鏡用レンズの凸面と凹面の両側から軸部材で同軸上に挟持、回転させて眼鏡用レンズを玉型加工する場合において、回転運動に伴なう前記軸部材とレンズとの間の軸ずれを防止するために用いられる軸ずれ防止キットであって、
前記レンズの表面に塗布することにより、レンズ表面に密着固定される皮膜を形成するための皮膜形成剤と、
所定強度を有する支持体と前記皮膜上に貼着可能な粘着剤を少なくとも有する粘着テープと、
から構成される軸ずれ防止キット。 - 眼鏡用レンズは防汚処理が施されたものである請求項1に記載の軸ずれ防止キット。
- 眼鏡用レンズはフッ素系表面防汚コーティング剤により表面滑性を高める防汚処理が施されたものである請求項1に記載の軸ずれ防止キット。
- 皮膜形成剤は合成樹脂と溶剤を含有するものである請求項1から請求項3のいずれかに記載の軸ずれ防止キット。
- 合成樹脂が酢酸ビニル樹脂であり、溶剤がメタノールである請求項4に記載の軸ずれ防止キット。
- 粘着テープを構成する支持体が、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなどのプラスチック製である請求項1から請求項5のいずれかに記載の軸ずれ防止キット。
- 粘着テープが、ポリエステルフィルムからなる支持体と、シリコーン系樹脂からなる粘着剤とを少なくとも有するものである請求項1から請求項5のいずれかに記載の軸ずれ防止キット。
- 眼鏡用レンズの凸面と又は必要に応じて凹面に前記皮膜形成剤を塗布、乾燥させることにより、眼鏡用レンズに密着固定された皮膜を形成させた後、この形成された皮膜上に前記粘着テープを貼着し、
次いで、この貼着された粘着テープに対して、玉型加工に用いる軸部材を押圧し、眼鏡用レンズの凸面と凹面の両側から軸部材を同軸上に挟持、回転させて所定形状に眼鏡用レンズを加工することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の軸ずれ防止キットを用いた眼鏡用レンズの玉型加工方法。
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