JP3715481B2 - 水晶発振器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水晶片とICチップを容器本体の一つの穴部内に収容した水晶発振器及びその製造方法を産業上の技術分野とし、特に水晶振動子の特性を発振回路とは独立的に測定する水晶発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
(発明の背景)水晶発振器は周波数及び時間の基準源として、通信機器等を含む各種の電子機器に広く用いられている。このようなものの一つに、動的環境下での使用が頻繁な例えば携帯電話に使用され、温度変化による周波数変化を防止した温度補償型発振器(温度補償発振器とする)がある。そして、近年では携帯電話の更なる小型化に伴い、温度補償発振器を含む水晶発振器も小型化が促進されている。
【0003】
(従来技術の一例)第6図及び第7図は一従来例を説明する図で、第6図は水晶発振器の断面図、第7図は温度補償型とした水晶発振器の回路ブロック図である。
温度補償発振器は、段部を有して底面に穴部を有する凹状の容器本体1にICチップ2、水晶片3及びコンデンサ4(ab)を収容し、シーム溶接によって金属カバー5を接合してなる。容器本体1は積層セラミックからなり、上面に溶接用の金属リング6を鑞接する。
【0004】
ICチップ2は、発振回路7を形成する増幅素子等の各素子及び温度補償機能を形成する制御部を含む記憶回路8及び補償電圧発生回路9及び可変容量素子10を集積化する(第7図参照)。但し、水晶振動子3Aを除く。そして、容器本体1の穴部に例えばフェースダウンボンディングによって固着される。なお、コンデンサ4(ab)は例えば図示しない電源−アース間のバイパス用及び高周波結合用で、容量値が大きくICチップに集積化できないため個別体として穴部内に収容する。第7図中の符号11は高周波素子抵抗である。
【0005】
水晶片3は、両主面に励振電極12(ab)を有し、一端部両端に引出電極13(ab)を延出する(第8図)。そして、引出電極13(ab)の延出した一端部両端を段部の上面に導電性接着剤14によって固着する。すなわち、段部に形成された電極パターンの端子(未図示)に電気的・機械的に接続して保持する。
【0006】
このようなものでは、温度に対する周波数変化を相殺する補償データを端子ab・・からICチップ2の記憶回路8に書き込む。なお、端子ab・・は容器本体1の例えば側面に形成される(未図示)。そして、温度に対する補償電圧を可変容量素子10に印加して水晶振動子3Aから見た負荷容量を変化させ発振周波数を一定に維持する。すなわち、水晶振動子に起因した水晶発振回路の周波数温度特性を補償する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の問題点)しかしながら、上記構成の温度補償発振器ではICチップ2を容器本体1の穴部に収容した後、水晶片3を段部に保持して水晶発振回路を完成させる。したがって、水晶片3を保持した後、特にカバーを被せた後は、水晶振動子(水晶片3)の各特性を発振回路7とは独立して単独に測定(評価)できない問題があった。
【0008】
このため、例えば水晶振動子3Aの端子を容器本体1の外表面に導出して(未図示)、水晶振動子3Aを単独に測定することが考えられた。しかし、この場合には、水晶振動子3Aは発振回路7及び可変容量素子10等と電気的に接続した状態なので、例えば発振回路側の容量が影響して水晶振動子3Aを単独に測定することが困難であった。
【0009】
例えばクリスタルインピーダンス(CI)や周波数温度特性及び水晶振動子3Aの駆動電流(ドライブレベル)によって発振周波数が変化する所謂DLD(Drive Level Defect)特性を測定できなくなる。したがって、これらの場合は生産性を低下させる。例えばCI不良(CIが規格より大きい不良)や温度特性不良の場合は、発振器を動作させることなくあるいは補償データを書込むことなく、規格外として排除でき、生産性を高めることができる。
【0010】
特に、DLD特性の測定による評価は、高安定な周波数精度を求められ、温度等によってドライブレベルの変化する例えば携帯電話用の温度補償発振器にとっては必須の事項であり、この評価のないままの出荷は致命的な欠陥となり、信頼性を失うことになる。
【0011】
(発明の目的)本発明は、水晶振動子を独立的に測定できる水晶発振器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水晶片3の一対の励振電極12(ab)と電気的に接続する測定用水晶端子(以下水晶端子とする)X(1、2)を発振回路7とは電気的に独立して容器本体1の外表面に設け、水晶端子X(1、2)の少なくとも一方と電気的に接続する発振回路7の回路端子T1又は及びT2を容器本体1の外表面に設けたことを基本的な解決手段とする。
【0013】
本発明では、発振回路7とは電気的に独立した水晶端子X(1、2)を容器本体1の外表面に設けたので、水晶振動子は発振回路7の影響を受けることがない。また、発振回路7の回路端子T1又は及びT2を容器本体1の外表面に設けたので、水晶振動子の特性を測定後、水晶振動子と発振回路7とを例えば導電性接着剤によって接続して圧電発振回路を構成できる。以下、本発明の一実施例を説明する。
【0014】
第1図は本発明の一実施例を説明する図で、第1図は温度補償発振器の裏面から見た一部図、第2図は同ブロック回路図の結線図である。なお、前従来例図と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
温度補償発振器は、前述同様に容器本体1の底面の穴部に温度補償機能を有するICチップ2及びコンデンサ4(ab)を固着し、段部に水晶片3を保持してなる。そして、この実施例では、容器本体1の裏面にはセラミックの積層による凹部を形成して、水晶片3の引出電極13(ab)と回路パターンを経て電気的に接続した一対の水晶端子X(1、2)を設ける。そして、一方の水晶端子X1は可変容量素子11に接続し、他方の水晶端子X2は開放端とする。また、凹部には、発振回路7の接続用とした回路端子T1を設け、開放端とする。なお、図中符号15(abcd)は、電源、アース及び出力等の実装端子である。
【0015】
このようなものでは、前述のようにICチップ2及びコンデンサ4(ab)を底面の穴部に固着して水晶片3を段部に固着し、金属カバー5を封止する。そして、この実施例では、金属カバー5の封止後、裏面の水晶端子X(1、2)に測定器のプローブを接触し、水晶振動子3Aのインピーダンスや温度特性特にDLD特性を含む各特性を測定する。そして、水晶振動子3Aの各特性を測定後、規格外のものを除外する。また、規格内のものは他方の水晶端子X2と発振回路7の回路端子T1と例えば導電性接着剤(未図示)によって接続する。そして、図示しない樹脂を凹部内に充填する。
【0016】
このような構成であれば、発振回路7とは独立した水晶端子X(1、2)によって、水晶振動子3Aの各特性を発振回路7の特に容量の影響を除去して測定できる。したがって、不良品については測定後の工程を省けるので生産性を高めることができる。特に、温度補償発振器にとっては、水晶振動子3Aを単独に例えば伝送法(共振法)によるDLD特性を測定して評価できるので、温度補償発振器の信頼性を極めて高くする。
【0017】
【他の事項】
上記実施例では、水晶端子X(1、2)の一方X1を可変容量素子10に接続して他方X2を開放端としたが、一方X1を開放端として他方X2を発振回路に接続してあってもよい。また、水晶端子X(1、2)のいずれも開放端としてもよい。但し、この場合は第3図に示したように、凹部に可変容量素子の回路端子T2を設ける必要がある。
【0018】
また、一対の水晶端子X(1、2)を積層セラミックの中間層のスルーホールによる端面に設けて、例えば他方の水晶端子X2のみを並列的に凹部内に形成し、端面での測定後に凹部内での他方の水晶端子X2と発振回路7の回路端子T1とを図示しない導電性接着剤により接続してもよい(第4図及び第5図)。この場合、端面には一方の水晶端子X1のみとして、端面と凹部(裏面)内の水晶端子X2によって測定してもよい。
【0019】
また、上記実施例では温度補償発振器として説明したが、単なる水晶発振器であっても適用できることは勿論であり、要は水晶端子X(1、2)の両方あるいはいずれか一方と導電性接着剤によって接続される、発振回路7の回路端子T(1、2)の両方あるいはいずれか一方を開放端子として形成すればよい。なお、導電性接着剤に限らず半田等の電気的に接続する接合材であればよい。
【0020】
また、水晶振動子3Aの測定はカバーの封止後としたが、水晶振動子3Aは導電性接着剤14の保持によるすなわち導電性接着剤の熱硬化による水晶片3の応力発生に起因した特性不良が多いので、金属カバーの封止前に水晶端子X(1、2)によって測定してもよい。この場合、金属カバー5及び封止工程の無駄を省ける。また、封止はシーム溶接としたが、樹脂封止やガラス封止であっても適用できる。
【0021】
また、凹部内には樹脂を充填したので回路基板との電気的短絡を防止できるが、基本的にはなくてもよい。そして、水晶片3は一端保持としたが、引出電極を両端に延出して両端保持としてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、水晶片の一対の励振電極と電気的に接続する水晶端子を発振回路とは電気的に独立して容器本体の外表面に設け、水晶端子の少なくとも一方と電気的に接続する発振回路の回路端子を容器本体の外表面に設けたので、水晶振動子を独立的に測定できる水晶発振器及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する温度補償発振器の裏面から見た一部図である。
【図2】本発明の一実施例を説明する温度補償発振器の回路ブロックの結線図である。
【図3】本発明の他の実施例を説明する温度補償発振器の裏面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例を説明する温度補償発振器の一部断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例を第4図とともに説明する温度補償発振器の側面図である。
【図6】従来例を説明する温度補償発振器の断面図である。
【図7】従来例を説明する温度補償発振器の回路ブロック図である。
【図8】従来例を説明する水晶片の平面図である。
【符号の説明】
1 容器本体、2 ICチップ、3 水晶片、4 コンデンサ、5 金属カバー、6 金属リング、7 発振回路、8 記憶回路、9 補償電圧発生回路、10 可変容量素子、11 高周波素子抵抗、12 励振電極、13 引出電極、14 導電性接着剤、15 実装端子.

Claims (2)

  1. 容器本体の底面に穴部を有して発振回路を形成するICチップを収容し、前記穴部を形成する前記容器本体の段部に少なくとも水晶片の一端を電気的・機械的に接続して保持した水晶発振器において、前記水晶片の一対の励振電極と電気的に接続する一対の測定用水晶端子を前記発振回路とは電気的に独立して前記容器本体の同一側面に有するとともに、前記一対の測定用水晶端子の少なくとも一方のみと並列的に接続した測定用水晶端子を前記容器本体の裏面に設けた凹部に有し、前記凹部に設けられた前記少なくとも一方のみと並列的に接続した測定用水晶端子と導電性の接合材によって電気的に接続する前記発振回路の接続用とした回路端子を前記凹部に有することを特徴とする水晶発振器。
  2. 容器本体の底面に穴部を有して発振回路を形成するICチップを収容し、前記穴部を形成する前記容器本体の段部に少なくとも水晶片の一端を電気的・機械的に接続して保持した水晶発振器の製造方法において、前記穴部に発振回路を形成するICチップを収容して前記水晶片を前記段部に保持する工程と、前記容器本体の開口面をカバーによって封止する工程と、前記水晶片の一対の励振電極と電気的に接続して前記発振回路とは電気的に独立して前記容器本体の同一側面に有する一対の測定用水晶端子によって前記水晶片の特性を測定する工程と、前記水晶片の特性を測定する工程後に、前記一対の測定用水晶端子の少なくとも一方のみに並列的に接続して前記容器本体の裏面に有する凹部に設けられた測定用水晶端子と前記凹部に設けた前記発振回路の回路端子とを電気的に接続した工程とを有することを特徴とする水晶発振器の製造方法。
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