JP3715180B2 - 見切り縁の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面に取り付けられて壁面と天井との隅部を蔽い体裁を美しく整える見切り縁の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
躯体の外壁と軒天井との隅部の納りを美しく整えるために、外壁に見切り縁をビスや釘で直接取り付けて外壁と軒天井の隅部を蔽うことが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の見切り縁の取付構造では、外壁に見切り縁を固定しているビスや釘の頭がそのまま露出しているため、見栄えが悪いという問題点がある。
また、軒天井が傾斜している場合、外壁と軒天井の隅部が鋭角になっているため、ビス止めや釘打ちに際してドライバーや金槌を操作しにくく、手間がかかるという問題点がある。
【0004】
本発明の課題は上記従来の問題点を解決することであり、壁面と天井の納りを見栄えよくすることができる見切り縁の取付構造を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、天井が傾斜していてもそれに関係なく容易に取り付けることができる見切り縁の取付構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の少なくとも1つの目的を達成するために、請求項1記載の発明は、板体の前面上部に、弾性変形可能なL字状の嵌合片がその先端を下に向けて下搾り状に設けられるとともに、板体の前面下部に、弾性変形可能な上向きの爪片が上記嵌合片との間に挿入隙間を形成して設けられた取付金具を壁面に固定し、縁本体の裏面の上部に、L字状の嵌挿部を、その先端を上に向けて先端部の内面を上広がり状に設けるとともに、縁本体の裏面の下部に、当接部を上記嵌挿部との間に凹部を形成して設け、縁本体の前面の上の角部に、可撓材料からなる舌片が設けた見切り縁を、上記嵌挿部の先端部を上記挿入隙間から上記嵌合片に嵌挿するととともに、上記嵌挿部の下面に上記爪片を係止させ、また上記当接部を上記取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に当接させて上記取付金具を蔽った状態で上記取付金具を介して壁面に取り付けた構成とした。
【0006】
この手段では、板体の前面上部に弾性変形可能なL字状の嵌合片がその先端を下に向けて、下搾り状に設けられるとともに、板体の前面下部に、弾性変形可能な上向きの爪片が上記嵌合片との間に挿入隙間を形成して設けられた複数の取付金具を、ビスや釘等の固定手段で壁面に所定の間隔で一列に固定して準備する。そして、見切り縁を下から上に押し上げることにより、上広がり状に設けられた嵌挿部の先端部を挿入隙間から、嵌合片及び爪片を弾性変形させて嵌合片に嵌挿し、弾性変形した嵌合片及び爪片が元の状態に戻ることで、嵌合片を嵌挿部の内面に圧接して係止させ、また嵌挿部の下面に爪片を係止させ、さらに、当接部を取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に当接させて取付金具を介して壁面に取り付ける。
【0007】
このように、見切り縁を壁面にいわゆるワンタッチ式に容易かつ確実に取り付けることができる。取付金具の板体は見切り縁に比べて薄くてよく、その分ドライバーや金槌を操作しやすいので、天井が傾斜していても壁面に対する取付金具の取り付けは容易である。場合によっては、天井の構築前に取付金具を壁面に仮付けしておくことも可能である。また、壁面に取付金具を固定することで、仮に天井が傾斜していても、見切り縁を傾斜させることなく固定することができる。
【0008】
また、この構成では、壁面に対する見切り縁の取付状態において舌片が天井に密着する。このため、天井の傾斜に関係なく、天井と見切り縁との間に見苦しい隙間を生じることがない。
【0009】
さらに、この構成では、上広がり状である嵌挿部の先端部に取付金具の弾性変形可能な下搾り状の嵌合片を、しっかりと嵌合させることができるので、取付金具に対する見切り縁の取付強度と安定性が向上する。
【0011】
そして、この構成では、取付金具及び該取付金具を壁面に固定しているビスや釘等の固定手段がすべて見切り縁で蔽い隠されているので、見栄えが良くなる。
【0012】
請求項1記載の見切り縁の取付構造において、見切り縁の嵌挿部を、取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に接着剤で接着することが好ましい(請求項2)。
この構成では、見切り縁の長手方向の熱膨張が接着によって防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
添付図面は本発明の実施の形態を示すもので、符号1は見切り縁、3は取付金具である。
【0014】
見切り縁1は、縁本体1aの裏面(図1で右側の面)の上部にL字状の嵌挿部1bをその先端を上に向けて設けるとともに、縁本体1aの裏面の下部に当接部1cを嵌挿部1bとの間に凹部1dを形成して設け、縁本体1aの前面の上の角部に舌片1eを、また縁本体1aの前面と当接部1cの下面に柾目柄等の装飾柄(層)1fをそれぞれ設けて成る。
【0015】
嵌挿部1bの先端部の内面1bnは側面視で上広り状にされ、嵌挿部1bの先端部の外面には複数の溝1bmが形成されている。また、当接部1cの下の角部に切欠き1ckが形成され、その部分にも装飾柄1fが設けられている。
【0016】
舌片1eと装飾柄1f以外の、見切り縁1の母体と言うべき主要部は、通常、硬質ポリ塩化ビニール等の押出成形によって製造する。そして、舌片1eは、例えば軟質ポリ塩化ビニール等の可撓材料により、また装飾柄1fは、例えばポリメタクリル酸メチル等によって、上記主要部の押出成形時に主要部と一体に押出成形する。なお、舌片1eと装飾柄1fの両方又はいずれか一方を主要部の押出成形後に主要部に接着剤で接着してもよく、また省略する場合もある。
【0017】
取付金具3は、板体3aの上端に折曲片3bを設けるとともに、板体3aの前面上部に嵌合片3cを、また板体3aの前面下部に一対の爪片3dをそれぞれ設け、また板体3aの爪片3d,3dの中間部分に透孔3eを設けて成る。
【0018】
折曲片3bは板体3aの前面(図1と図5で左の面)側にほぼ水平に折り曲げられている。嵌合片3cは先端部を下窄り状に折り曲げてL字状に形成され、また爪片3dは、嵌合片3cとの間に挿入隙間Cをあけて上向きに形成されている。嵌合片3cの先端3csは板体3aから離れるように折り曲げられ、嵌合片3cに対する嵌挿部1bの嵌挿を容易にしている。
【0019】
取付金具3は、例えば0.5mmの厚のステンレスバネ鋼でプレス加工によって製造され、外壁面を構成する外装材(サイディング)5に透孔3eから、皿ビス7をねじ込んで固定することができ、また見切り縁1の嵌挿部1bを挿入隙間Cから嵌合片3cに嵌挿して縁本体1aの上面1ajを折曲片3bに接触させた状態で爪片3dで嵌挿部1bを係止することができるようになっている。
符号3fは嵌合片3cと爪片3dの打抜きによって生じた打抜孔である。また、符号3gは板体3aと折曲片3bの角部に設けられた補強リブである。
【0020】
外装材5は縦胴縁8に取り付けられ、その上に軒天井(軒天材)10が設けられている。この構造は従来と変わるところがなく、周知のものである。符号11は柱である。
【0021】
次に上記の構成とされた見切り縁1を取付金具3によって躯体の壁面、つまり外装材5に取り付ける取付方法の一例を説明する。
【0022】
まず、複数の取付金具3を外装材5の上部に、折曲片3bを軒天井10に当接させて位置決めした状態で皿ビス7を透孔3eから外装材5にねじ込んで所定の間隔で横一列に取り付ける。取付金具3の皿ビス7による上記の取付けは、板体3aが薄い上に透孔3eが板体3aの下部に形成されていて外装材5と軒天井10の角部から下に大きく離れ、軒天井10が図6のように水平な場合は勿論のこと、図7のように下に傾斜していてもドライバーの操作空間が広くなっているため、支障なく容易かつ迅速に行うことができる。また、取付金具3を折曲片3bによって所定位置に正しく位置決めすることができる。
【0023】
次に、見切り縁1を手に取ってその嵌挿部1bを取付金具3の挿入隙間Cに当て、そのまま見切り縁1を上に押して嵌挿部1bを取付金具3の嵌合片3cに嵌め付け、縁本体1aの上面1ajを折曲片3bに当接させるとともに、当接部1cを取付金具3の板体3aと外装材5に当接させる。
【0024】
この際、嵌合片3cは、嵌挿部1bの上昇により前側に弾性変形して嵌挿部1bを上に通過させ、嵌挿部1bの嵌挿後は先端3csを嵌挿部1bの内面1bnに圧接させて嵌挿部1bを係止する。一方、取付金具3の爪片3dは、嵌挿部1bの上昇時に嵌挿部1bに押されることにより板体3a側に弾性変形して嵌挿部1bを通過させ、嵌挿部1bが通過して縁本体1aの上面1ajが折曲片3bに接すると、直ちに元の状態に戻って嵌挿部1bの下面1bkを図1等のように係止し、見切り縁1が下方に離脱できないように固定する。
【0025】
また、見切り縁1の舌片1eは軒天井10に密接して隙間を無くす。見切り縁1の切欠き1ckは外装材5との間に一定深さの溝を形成して外装材5の不陸等によって外観が損なわれのを防ぐ。
見切り縁1は、上記の取付状態において取付金具3と皿ビス7を蔽う。
【0026】
ところで、取付金具3は十分な固定力を持つが、見切り縁1の長手方向の熱膨張を防ぐことはできない。したがって、見切り縁1の長さが長かったり、見切り縁1が熱膨張係数の大きい材質で製造されていて、熱膨張によって何等かの不都合が予想されるような場合には、嵌挿部1bの溝1bmの部分に接着剤13を塗布して見切り縁1を取付金具3に前記の要領で取り付ける。このようにすると、見切り縁1は接着剤13によって取付金具3と外装材5に一体に接着されるため、長手方向の熱膨張が防止される。
【0027】
見切り縁1と取付金具3の材質と形状は前記に限られるものではなく、種々設計変更することができる。また、図の装飾柄1fは、高さ(深さ)が0.4mmの凹凸を4〜15mmのランダムなピッチ範囲で形成した細柾模様となっているが、他の模様であってもよい。見切り縁1の組付手順は躯体の構築工法等によって様々に変化するので、これも前記に限られるものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、取付金具と、該取付金具を壁面に取り付けている皿ビスや釘等を見切り縁によって蔽い隠すことができ、したがって壁面と天井の隅部の体裁を見栄えよくすることができる。また、天井の傾斜に関係なく見切り縁を容易に壁面に取り付けることができる。
【0029】
また、見切り縁には、縁本体の前面の上の角部に、軟質ポリ塩化ビニール等の可撓材料からなる舌片が設けられていて、舌片が天井に密着して隙間を無くすので、一層見栄えが良くなる。
【0030】
さらに、この見切り縁の嵌挿部は、先端部の内面が上広り状で、対応する取付金具の嵌合片が弾性変形可能な下搾り状なので、嵌挿部を取付金具の嵌合片にしっかりと嵌合させることができるようになり、取付金具に対する見切り縁の取付強度と安定性が向上する効果がある。
【0031】
請求項1記載の見切り縁の取付構造において、見切り縁の嵌挿部を、取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に接着剤で接着した構成では、見切り縁の長手方向の熱膨張が接着によって防止されるので、一層見栄えが良くなり、また耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図2】 図1の見切り縁の断面図である。
【図3】 装飾柄の一例を示す図である。
【図4】 図1の取付金具の正面図である。
【図5】 同じく、側面図である。
【図6】 軒天井が水平な場合の見切り縁の取付構造を示す図である。
【図7】 軒天井が傾斜している場合の見切り縁の取付構造を示す図である。
【符号の説明】
1 見切り縁 1a 縁本体
1aj 上面 1b 嵌挿部
1bm 溝 1bn 内面
1bk 下面 1c 当接部
1ck 切欠き 1d 凹部
1e 舌片 1f 装飾柄
3 取付金具 3a 板体
3b 折曲片 3c 嵌合片
3cs 先端 3d 爪片
3e 透孔 3f 打抜孔
5 外装材(壁面) 10 軒天井
13 接着剤 C 挿入隙間
Claims (2)
- 板体の前面上部に、弾性変形可能なL字状の嵌合片がその先端を下に向けて、下搾り状に設けられるとともに、板体の前面下部に、弾性変形可能な上向きの爪片が上記嵌合片との間に挿入隙間を形成して設けられた取付金具が壁面に固定され、
縁本体の裏面の上部に、L字状の嵌挿部が、その先端を上に向けて先端部の内面が上広がり状に設けられるとともに、縁本体の裏面の下部に、当接部が上記嵌挿部との間に凹部を形成して設けられ、縁本体の前面の上の角部に、可撓材料からなる舌片が設けられた見切り縁が、上記嵌挿部の先端部を上記挿入隙間から上記嵌合片に嵌挿するととともに、上記嵌挿部の下面に上記爪片を係止させ、また上記当接部を上記取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に当接させて上記取付金具を蔽った状態で上記取付金具を介して壁面に取り付けられたことを特徴とする見切り縁の取付構造。 - 見切り縁の上記嵌挿部が、上記取付金具の板体と壁面の両方又はいずれか一方に接着剤で接着されたことを特徴とする請求項1記載の見切り縁の取付構造。
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