JP3714416B2 - 縦型熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウェハ等を熱処理する熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウェハの表面に塗布された樹脂等の膜に、キュア、硬化、アニール、及び乾燥等の熱処理を施すために、例えば図5に示すような熱処理装置が使用されている。
この熱処理装置は、筐体101内に、加熱ヒータHや石英製のプロセスチューブT等を有する縦型の熱処理炉102が設けられており、この熱処理炉102の下方に半導体ウェハをウェハボート107に供給するためのロード室103が設けられている。また、前記ロード室103内には、複数枚の半導体ウェハを保持する前記ウェハボート107、このウェハボート107を熱処理炉102のプロセスチューブT内に導入するためのリフト機構108、図示しない搬送装置から供給される半導体ウェハをウェハボート107に移載するためのウェハ移載ロボット110等が配置されている。
【0003】
この熱処理装置において、ウェハボート107に移載された複数枚の半導体ウェハは、リフト機構108によってウェハボート107とともに上昇して、熱処理炉102のプロセスチューブT内に導入され、当該プロセスチューブT内にて所定の熱処理が行われる。
ところが、前記従来の熱処理装置は、プロセスチューブT内の雰囲気をヒータHからの輻射熱によって加熱するものであるので、半導体ウェハのサイズが大きくなるほど、またその加熱温度が低くなるほど、その中心部と周辺部とで加熱温度に差が生じ易く、全体を均一に熱処理することが困難であるという問題があった。
そこで、半導体ウェハを、例えば液晶基板処理に用いられているクリーンオーブンと呼ばれる熱風循環方式の熱処理装置によって熱処理することが検討されている。このクリーンオーブンによれば、被処理物をそのサイズにかかわらず400〜500℃以下の比較的低い温度でも均一に加熱することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記クリーンオーブンは、被処理物の搬入搬出部の気密性が不十分であるため、装置内と同様な高いクリーン度のクリーンルーム内に設置するか、または前記搬入搬出部の周囲を衝立等の簡易な構造物で囲み、その内部にクリーンエアーを大量に供給して、壁下等の連通部から埃が拡散侵入するのを防ぐことにより、当該搬入搬出部を局部的に装置内と同様なクリーン度に維持することが行われている。しかし、何れにしても、設備費やランニングコストが高くつくという問題がある。
【0005】
前記のような従来の問題点に鑑み、この発明は、半導体ウェハ等の被処理物を均一に熱処理することができるとともに、設備費及びランニングコストを安くすることができる縦型熱処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の縦型熱処理装置は、開閉可能な扉を有し、複数枚の被処理物をそれぞれの相互間に隙間を設けた状態で積み重ねて保持する保持部材を備えた熱処理槽と、前記熱処理槽の背後の区画室に配置された耐熱フィルタと、前記耐熱フィルタの上部の区画室に配置され、熱処理槽への雰囲気を加熱する加熱器と、前記熱処理槽の上部の区画室に配置され、前記加熱器と熱処理槽との間で熱風を循環させる熱風循環装置と、前記熱処理槽から前記各区画室をこの順に連通して再び熱処理槽に戻り、前記熱処理槽においてはその一側部から他側部に向かって熱風が流れるように構成された一つの熱風循環経路を形成する4つの連通路と、を筺体内に配置した熱処理炉と、
前記扉を開閉させる第1の開閉装置と、
前記熱処理炉に隣設され、前記扉で熱処理槽と隔てられたロード室と、
前記ロード室の雰囲気を清浄化する清浄装置と、
前記ロード室に臨ませて設けられ、被処理物を収容した開閉可能な密閉容器を装着するとともに、当該密閉容器を開いた状態で、その内部を前記ロード室に対して気密性を有して連通させる開閉可能な密閉容器装着部を有し、前記密閉容器が密閉容器装着部に装着された状態で当該密閉容器及び密閉容器装着部を開き、前記密閉容器を密閉容器装着部から取り外す際にこれらを閉じる第2の開閉装置と、
前記ロード室に配置され、前記密閉容器と前記保持部材との間で被処理物を一方から他方へ移載する移載装置と
を備えたものである。
【0007】
このように構成された縦型熱処理装置によれば、密閉容器に収容されている被処理物が、移載装置により、複数枚の被処理物をそれぞれの相互間に隙間を設けた状態で積み重ねて保持する保持部材に移載され、熱処理槽内において、その一側部から他側部に向かって熱風が流れるように形成された熱風循環路を経由して循環させた熱風により加熱されて熱処理される。このように、循環させた熱風によって被処理物を加熱するので、当該被処理物を均一に加熱することができる。また、密閉容器の清浄化された密閉内部空間内とロード室との間で、被処理物を気密性を有した状態で直接搬送することができるので、装置外から埃等がロード室や熱処理炉の内部に侵入するのが防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2及び図3はそれぞれ、この発明の一実施形態による縦型熱処理装置を示す内部側面図、内部正面図及び内部平面図である。
前記熱処理装置は、筐体1内に、開閉可能な扉2aを有する熱処理槽2と、熱処理槽2の雰囲気を加熱するための加熱器3と、前記熱処理槽2と加熱器3との間で熱風を循環させる熱風循環装置4と、半導体ウェハ等の被処理基板Wを熱処理槽2内に保持するボート(保持部材)5等を備える熱処理炉Hと、前記扉2aを開閉させる第1の開閉装置6と、前記熱処理炉Hに隣設され、熱処理槽2に対して前記扉2aで隔てられたロード室7と、このロード室7内の雰囲気を清浄化する清浄装置(クリーンユニット)8と、被処理基板Wを収容する密閉容器としてのFOUP(Front-Opening Unified Pod)9を装着可能とし、且つ開閉可能な搬入搬出口10aを有し、この搬入搬出口10a及び前記FOUPを開閉する第2の開閉装置10と、前記FOUP9とボート5の間で被処理基板Wを一方から他方へ移載する移載装置11とにより主要部が構成されている。
【0009】
前記熱処理炉Hの筐体1は、前方(図1において左側)上、前方下、後方下、後方上の4つの区画室A,B,C及びDに区画されている。区画室Aは筐体1の一側部に沿って設けられた第1の連通路R1を介して区画室Bに連通されており(図2参照)、区画室Bは筐体1の他側部に沿って設けられた第2の連通路R2を介して区画室Cに連通されている(図3参照)。また、区画室Cは区画室Dとの境界壁に設けられた第3の連通路R3を介して当該区画室Dに連通されており(図1参照)、区画室Dは区画室Aとの境界壁に設けられた第4の連通路R4を介して区画室Aに連通されている。すなわち前記筐体1には、区画室Aから区画室B,C及びDをこの順に経由して区画室Aに戻る熱風循環経路Xが形成されている。なお、これら各区画室A〜D及び各連通路R1〜R4を含む熱風循環路Xは、全体が断熱壁により覆われている(図1〜図3参照)。
【0010】
前記区画室Aには、前記熱風循環経路Xとともに熱風循環装置4を構成する送風ファン4aが配置されている。この送風ファン4aは、加熱器3で加熱された気体を吸入し、熱風循環経路Xを経由させて加熱器3に還流させる。
前記区画室Bには前記熱処理槽2が構成されている。この熱処理槽2は矩形の熱処理空間を構成しており、その前方側の断熱壁に前記扉2aが設けられている。この扉2aを開閉させる前記第1の開閉装置6は、図示しない空圧シリンダ等によって扉2aを開閉させるものである。また、前記ボート5は熱処理槽2の内部に配置されている。このボート5は複数枚の被処理基板Wを、それぞれの相互間に隙間を設けた状態で積み重ねるものである。
【0011】
前記区画室Cには、熱処理槽2を通過した熱風を冷却させるための冷却コイル13が設けられており、この冷却コイル13の下流側には、当該冷却コイル13を通過した熱風を清浄化するための耐熱フィルタ14が配置されている(図3参照)。
前記区画室Dには、前記加熱器3が配置されている。この加熱器3の加熱源は例えばシーズヒータで構成されている。
【0012】
ロード室7には、前記扉2aに対向する隔壁に、被処理基板Wをボート5に対して供給したり、ボート5から取り出したりするための開口部7bが設けられており、この開口部7bの反対側の隔壁に前記搬入搬出口10aに臨む開口部7cが設けられている。
清浄装置8は、ロード室7の上面に配置されており、当該ロード室7内の気体をフィルタによって清浄化した後、再びロード室7内に還流する。
【0013】
FOUP9は、清浄化された密閉内部空間内に複数枚の被処理基板Wを収容しており、前記密閉内部空間を開閉するための扉9aを有し、この扉9aを搬入搬出口10aに臨ませた状態で、第2の開閉装置10の上部に取外し可能に装着されている。
第2の開閉装置(FOUPオープナー)10は、ロード室7に臨ませた状態で当該ロード室7の前面下部に気密性を有して取り付けられており、その一部は前方へ突出している。前記第2の開閉装置10は、FOUP9をローディングさせるための、当該FOUP9とセットの専用装置であり、ロード室7に取り付けられた部分に、FOUP9を搬入又は搬出するための開閉可能な前記搬入搬出口10aを備えている。
前記第2の開閉装置10は、FOUP9が装着されていない状態では搬入搬出口10aを塞ぎ、FOUP9が装着されると、FOUP9の扉9a及び搬入搬出口10aを開いて、FOUP9の内部空間をロード室7に気密性を有して連通させる。また、アンローディングされると、扉9a及び搬入搬出口10aを閉じる。
【0014】
移載装置11は移載ロボット11aに走行用のスライドユニット11bを取り付けたものである。移載ロボット11aは当該技術分野において多用されているものであり、被処理基板Wを保持し、搬送するためのフィンガ11dと、このフィンガ11dを水平に移動させるX軸ユニット11eとを備えている。このX軸ユニット11eは、移載ロボット11aに内蔵された軸により旋回、昇降が可能である。
前記移載装置11は、フィンガ11dをFOUP9の内部に対して進退させて被処理基板Wを取り出し、X軸ユニット11eをほぼ半回転させた後、ボート5の内部に進出させて当該ボート5に被処理基板Wを載せる動作、及びボート5に載っている被処理基板Wを取り出してFOUP9に戻す動作を行う。
なお、前記熱処理装置には熱処理炉H内の熱風を排気するための排気装置15が設けられている。また、前記熱処理装置はクリーンルーム内に設置される。
【0015】
以上のように構成された縦型熱処理装置における処理工程について説明する。
まず、図示しないローディング装置により自動的に、FOUP9が第2の開閉装置10上の所定位置に装着される。これにより、第2の開閉装置10はFOUP9の扉9aと、搬入搬出口10aとを開く。これと同時に第1の開閉装置6が動作して熱処理槽2の扉2aを開く。続いて、移載装置11がFOUP9から被処理基板Wを取り出してボート5に載せる。移載装置11が1回の動作で運ぶ被処理基板Wの枚数は通常5枚(又は1枚)である。従って、移載ロボット11aのフィンガ11dは、スライドユニット11bによって適宜昇降しながら、必要な回数だけ往復してFOUP9内の全ての被処理基板Wをボート5に搬送する。その後、第1の開閉装置6により扉2aが閉じられ、被処理基板Wが加熱されて所定の熱処理が行われる。この際、熱風循環経路Xを循環する清浄な熱風により被処理基板Wを加熱するので、全ての被処理基板Wの全面を均一に加熱することができる。
【0016】
熱処理完了後は、移載装置11が被処理基板Wを抜き取って、FOUP9に戻す。ここでも同様に、移載装置11は必要な回数だけ動作して全ての被処理基板Wを搬送する。その後、FOUP9はアンローディングされ、次工程に送られる。こうして、バッチ処理1回分が完了する。なお、前記動作は各動作の検出センサやタイマーを用いることにより、容易に全自動で実行させることができる。
【0017】
前記のような縦型熱処理装置は、FOUP9とロード室7との間における被処理基板Wの搬入、搬出を、扉9a及び搬入搬出口10aを通して気密性を確保した状態で行うことができるので、ロード室7及び熱処理炉Hの内部にクリーンルーム内の埃等が侵入するのが防止される。このため、当該クリーンルームの清浄度を、ロード室7及び熱処理炉Hに要求される清浄度よりも低くすることができる。このため、クリーンルームを安価に製造することができる。
【0018】
なお、前記熱処理装置は、1個の熱処理槽2に対して移載装置11、FOUP9、及び第2の開閉装置10等をそれぞれ1個ずつ配置する場合の他、これらを連続的に複数個並列に配置してもよい(図4参照)。また、この場合においては、隣接する2個の熱処理槽2毎に1個の移載装置11を配置して、被処理基板Wを各熱処理槽2に対して選択的に搬入、搬出するようにしてもよい。
また、この発明の縦型熱処理装置は、前記半導体ウェハの他、サイズの大きい各種基板、及びその基板上の塗膜等の熱処理に好適に用いることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の縦型熱処理装置によれば、熱処理槽において、その一側部から他側部に向かって熱風が流れるように形成された熱風循環路を経由して循環させた熱風によって、それぞれの相互間に隙間を設けた状態で積み重ねて保持された複数枚の被処理物を加熱するので、複数枚の被処理物全体を均一に熱処理することができる。また、密閉容器の清浄化された内部空間とロード室との間で、被処理物を気密性を有した状態で直接搬送、搬出するので、熱処理装置を設置したクリーンルームに滞流する埃等がロード室及び熱処理炉の内部に侵入するのが防止される。このため、前記クリーンルームを高いクリーン度にする必要がなく、その分、設備費及びランニングコストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による縦型熱処理装置の内部側面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置の内部正面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置の内部平面図である。
【図4】複数の熱処理槽を設けた縦型熱処理装置の平面図である。
【図5】従来例を示す内部側面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 熱処理槽
2a 扉
3 加熱器
4 熱風循環装置
5 ボート(保持部材)
6 第1の開閉装置
7 ロード室
8 清浄装置
9 FOUP(密閉容器)
9a 扉
10 第2の開閉装置
10a 搬入搬出口
11 移載装置
H 熱処理炉
W 被処理基板(被処理物)
X 熱風循環経路
Claims (1)
- 開閉可能な扉を有し、複数枚の被処理物をそれぞれの相互間に隙間を設けた状態で積み重ねて保持する保持部材を備えた熱処理槽と、前記熱処理槽の背後の区画室に配置された耐熱フィルタと、前記耐熱フィルタの上部の区画室に配置され、熱処理槽への雰囲気を加熱する加熱器と、前記熱処理槽の上部の区画室に配置され、前記加熱器と熱処理槽との間で熱風を循環させる熱風循環装置と、前記熱処理槽から前記各区画室をこの順に連通して再び熱処理槽に戻り、前記熱処理槽においてはその一側部から他側部に向かって熱風が流れるように構成された一つの熱風循環経路を形成する4つの連通路と、を筺体内に配置した熱処理炉と、
前記扉を開閉させる第1の開閉装置と、
前記熱処理炉に隣設され、前記扉で熱処理槽と隔てられたロード室と、
前記ロード室の雰囲気を清浄化する清浄装置と、
前記ロード室に臨ませて設けられ、被処理物を収容した開閉可能な密閉容器を装着するとともに、当該密閉容器を開いた状態で、その内部を前記ロード室に対して気密性を有して連通させる開閉可能な密閉容器装着部を有し、前記密閉容器が密閉容器装着部に装着された状態で当該密閉容器及び密閉容器装着部を開き、前記密閉容器を密閉容器装着部から取り外す際にこれらを閉じる第2の開閉装置と、
前記ロード室に配置され、前記密閉容器と前記保持部材との間で被処理物を一方から他方へ移載する移載装置と
を備えたことを特徴とする縦型熱処理装置
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JP2002040389A JP3714416B2 (ja) | 2002-02-18 | 2002-02-18 | 縦型熱処理装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002040389A JP3714416B2 (ja) | 2002-02-18 | 2002-02-18 | 縦型熱処理装置 |
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JP3714416B2 true JP3714416B2 (ja) | 2005-11-09 |
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ID=27781137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002040389A Expired - Lifetime JP3714416B2 (ja) | 2002-02-18 | 2002-02-18 | 縦型熱処理装置 |
Country Status (1)
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2002
- 2002-02-18 JP JP2002040389A patent/JP3714416B2/ja not_active Expired - Lifetime
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