JP3714111B2 - 車両用乗員保護システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用乗員保護システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用乗員保護システムおいては、特開平10−154992号公報にて示すようなエアバッグシステムがある。このエアバッグシステムは、電子制御装置及び複数の点火回路を同一のシリアル通信バスに接続して構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記エアバッグシステムによれば、電子制御装置は、その加速度センサの検出出力に基づき同一のシリアル通信バスを介してソフトウエアを用いて各点火回路を制御している。従って、将来的に点火回路が増加しても、電子制御装置の変更はソフトウエアの変更のみで済む。
【0004】
しかし、上記エアバッグシステムでは、シリアル通信バスが、一本の基準線、及び電源線と信号線とを重畳してなる一本の電源信号線からなる2線式バスであるため、当該バスの一個所に故障(例えば、オープン故障やショート故障)が生じても、エアバッグシステム全体が再起不能となり、その結果、エアバッグシステムとしての本来の役割が果たせないという不具合が生ずる。
【0005】
また、上述のように2線式であると否とにかかわらず、各点火回路内で電源信号線及び基準線からの各分岐線がショートすると、シリアル通信バス全体がショート故障を生じ、その結果、エアバッグシステム全体が使用不能となる。
【0006】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、シリアル通信バスに故障が生じても、シリアル通信バスの機能を有効に維持するようにした車両用乗員保護システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る車両用乗員保護システムは、車両の互いに異なる位置にて搭載された複数の乗員保護機構、複数の加速度センサモジュール(20乃至20c)、複数のスキブモジュール(30乃至30g)及び電子制御装置(10)と、各加速度センサモジュール、各スキブモジュール及び電子制御装置を接続してなるシリアル通信バス(40)とを備える。
【0008】
また、当該乗員保護システムでは、シリアル通信バスは、基準線(41)と、第1及び第2の電源信号線(42、43)とを備えており、
電子制御装置は、基準線に接続した負側端子を有する直流電源(Ba)の正側端子からの出力電圧に基づき、第1直流電圧及びこの第1直流電圧よりも高い第2直流電圧を形成する電圧形成手段(11a、11b)と、
シリアル通信バスの正常状態にて電圧形成手段からの第1直流電圧を第1及び第2の電源信号線に供給する電圧供給手段(12)とを備える。
【0009】
複数の加速度センサモジュールは、それぞれ、車両の加速度を検出する加速度センサ(21)を有し、基準線に接続された状態で第1及び第2の電源信号線上の直流電圧を供給されて検出加速度を第1及び第2の電源信号線に加速度データとして送出し、
複数のスキブモジュールは、それぞれ、基準線に接続された状態で第1及び第2の電源信号線上の直流電圧を供給されて、第1及び第2の電源信号線からの加速度データが車両の衝突に対応するとき対応の乗員保護機構を作動させ、
また、電圧供給手段は、シリアル通信バスが第1及び第2の電源信号線の一方を直流電源の正側端子とショートさせるか或いは基準線とショートさせる故障を生じたとき電圧形成手段の第1直流電圧を第1及び第2の電源信号線に供給する。
【0010】
これにより、シリアル通信バスに上述のような故障が生じても、電圧供給手段により第1及び第2の電源信号線の一方への直流電圧の供給が確保されるので、シリアル通信バスの上記故障が1個所の故障である場合には、シリアル通信バスの機能を有効に維持でき、その結果乗員保護システムの動作を正常に確保できる。
【0011】
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
電圧供給手段は、シリアル通信バスが基準線を直流電源の正側端子にショートさせる故障を生じたとき、電圧形成手段の第2直流電圧を第1及び第2の電源信号線に供給することを特徴とする。
【0012】
これによっても、シリアル通信バスの機能を有効に維持でき、その結果乗員保護システムの動作を正常に確保できる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明に係る車両用乗員保護システムは、車両の互いに異なる位置にて搭載された複数の乗員保護機構、複数の加速度センサモジュール(20乃至20c)、複数のスキブモジュール(30乃至30g)及び電子制御装置(10A)と、各加速度センサモジュール、各スキブモジュール及び電子制御装置を接続してなるシリアル通信バス(40)とを備える。
【0014】
当該車両用乗員保護システムでは、シリアル通信バスは、基準線(41)と、第1及び第2の電源信号線(42、43)とを備えており、
電子制御装置は、基準線に接続した負側端子を有する直流電源(Ba)の正側端子からの出力電圧に基づき交流電圧を形成する電圧形成手段(18)と、この電圧形成手段からの交流電圧を第1及び第2の変圧電圧に変圧する変圧手段(19)と、この変圧手段からの第1変圧電圧を第1電源信号線に供給する第1ヒューズ(F1)と、変圧手段の第2変圧電圧を第2電源信号線に供給する第2ヒューズ(F2)とを備える。
【0015】
複数の加速度センサモジュールは、それぞれ、車両の加速度を検出する加速度センサ(21)を有し、基準線に接続された状態で第1及び第2の電源信号線上の交流電圧を供給されて検出加速度を第1及び第2の電源信号線に加速度データとして送出し、
複数のスキブモジュールは、それぞれ、基準線に接続された状態で第1電源信号線上の交流電圧を供給されて、第1及び第2の電源信号線からの加速度データが車両の衝突に対応するとき対応の乗員保護機構を作動させ、
また、第1及び第2のヒューズの一方は、これに対応する第1及び第2の電源信号線の一方を基準線とショートさせる故障がシリアル通信バスで生じたとき、当該故障に起因して一方の電源信号線に流れる過電流により溶断する。
【0016】
これにより、シリアル通信バスに上記故障が生じることで一方の電源信号線に過電流が流れても、当該電源信号線につながるヒューズが溶断する。ここで、残りのヒューズが溶断しないため、このヒューズを通して変圧手段から対応の電源信号線に交流電圧の供給が維持されるので、乗員保護システムで必要なシリアル通信バスの機能を有効に確保でき、その結果乗員保護システムの動作を正常に確保できる。
【0017】
ここで、請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、
シリアル通信バスは、各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応する第1乃至第3の分岐線(44乃至46)を備えており、
各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の第1分岐線を介して基準線と接続され、第2分岐線を介して第1電源信号線から直流電圧及び加速度データを供給され、第3分岐線を介して第2電源信号線から直流電圧及び加速度データを供給され、また、第1分岐線或いは第2及び第3の各分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、Gセンサモジュールやスキブモジュールのいずれかにおいて第1分岐線と第2及び第3の分岐線の少なくとも一方とがショートしても、第1分岐線中の抵抗が第1及び第2の電源信号線の一方と基準線との間がショートすることなく正常な電位差でもって正常に維持される。従って、請求項1又は2に記載の発明の作用効果を達成できるのは勿論のこと、内部でショートを起こしたGセンサモジュールやスキブモジュール以外のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、故障することなく、正常なシリアル通信バスの機能のもとに、正常に動作できる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、
シリアル通信バスは、第1及び第2の電源信号線に代わる共通電源信号線(42)を、各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応して有し、
各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の第2及び第3の分岐線に代わる共通分岐線(46)を介して共通電源信号線上の直流電圧及び加速度データを供給され、
また、第1分岐線或いは共通分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項1又は2に記載の発明とは異なり、第1及び第2の電源信号線に代えて共通電源信号線を用い、かつ、第2及び第3の分岐線に代えて共通分岐線を用いた場合には、第1及び第2の電源信号線を用いる場合の作用効果は達成できないものの、請求項4に記載の発明と同様に、内部でショートを起こしたGセンサモジュールやスキブモジュール以外のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、故障することなく、正常なシリアル通信バスの機能のもとに、正常に動作できる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、シリアル通信バスは、各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応する第1乃至第3の分岐線(44乃至46)を備えており、
各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の第1分岐線を介して基準線と接続され、第2分岐線を介して第1電源信号線から交流電圧及び加速度データを供給され、第3分岐線を介して第2電源信号線から交流電圧及び加速度データを供給され、
また、第1分岐線或いは第2及び第3の各分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、電源信号線に交流電圧を供給する点で請求項4に記載の発明と異なるものの、当該発明と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、シリアル通信バスは、第1及び第2の電源信号線に代わる共通電源信号線(42)を、各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応して有し、
各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の第2及び第3の分岐線に代わる共通分岐線(46)を介して共通電源信号線上の交流電圧及び加速度データを供給され、
また、第1分岐線或いは共通分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、電源信号線に交流電圧を供給する点で請求項5に記載の発明と異なるものの、当該発明と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0025】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2は本発明に係る乗用車用エアバッグシステムの第1実施形態を示している。このエアバッグシステムは、電子制御ユニット10(以下、ECU10という)と、N個の加速度センサモジュール(以下、Gセンサモジュールという)と、M個のスキブモジュールと、ECU10、各Gセンサモジュール及び各スキブモジュールの間に接続したシリアル通信バス40とを備えている。
【0027】
本第1実施形態では、N=4で、4個のGセンサモジュールとしてGセンサモジュール20乃至20cが採用されている。また、M=8で、8個のスキブモジュールとしてスキブモジュール30乃至30gが採用されている。なお、N=1乃至N=4が、それぞれ、Gセンサモジュール20乃至Gセンサモジュール20cに対応する。また、M=1乃至M=8が、それぞれ、スキブモジュール30乃至スキブモジュール30gに対応する。また、各スキブモジュール30乃至スキブモジュール30gは、後述する車両の各配置位置における各エアバッグ機構をそれぞれ作動されるためのものである。なお、各エアバッグ機構は、その作動により、そのエアバッグを展開させる。
【0028】
シリアル通信バス40は、基準線41と、両電源信号線42、43とにより構成されている。基準線41は、ECU10、Gセンサモジュール20乃至20c及びスキブモジュール30乃至30gの各構成素子の基準端子に接続し、各構成素子の基準電位を統一する。本第1実施形態では、基準線41は、往復の各基準線部41a、41bからなる。
【0029】
両電源信号線42、43は、当該乗用車に搭載のバッテリBからECU10を介し各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gへ給電する。また、両電源信号線42、43は、通常、電圧a(V)にあり、通信時には、デジタル信号に応じて電圧を変化させる(図5参照)。電圧幅は、情報の種類によって異なり、ダイアグ信号等は電圧範囲Aである(a−b)(V)であり、加速度データ等は電圧範囲Bである(a−c)(V)であり、点火コマンド等は電圧範囲Cである(a−d)(V)である。
【0030】
ECU10は、当該乗用車の車室内前壁下方にて床面左右中央部に設けられている(図1参照)。このECU10は、図2にて示すごとく、DC−DCコンバータ11a、11bと、電源電圧切り替え回路12と、ドライバレシーバ13a乃至13cと、データ変換回路14と、通信制御回路15と、衝突判定回路16とにより構成されている。
【0031】
DC−DCコンバータ11aは、バッテリBaからその正側端子+B(以下、+B端子という)を介し12(V)の直流電圧を受けて、この直流電圧を24(V)の直流電圧に変換する。また、DC−DCコンバータ11bは、バッテリBaから+B端子を介し12(V)の直流電圧を受けて、この直流電圧を36(V)の直流電圧に変換する。
【0032】
電源電圧切り替え回路12は、3つの常閉型アナログスイッチ12a、12b、12cと、1つの常開型アナログスイッチ12dを備えており、アナログスイッチ12bは、その一端にて、アナログスイッチ12aを介しDC−DCコンバータ11aの出力端子に接続されるとともに、アナログスイッチ12dを介しDC−DCコンバータ11bの出力端子に接続されている。また、アナログスイッチ12cは、その一端にて、アナログスイッチ12dを介しDC−DCコンバータ11bの出力端子に接続されるとともに、アナログスイッチ12aを介しDC−DCコンバータ11aの出力端子に接続されている。
【0033】
各アナログスイッチ12a、12b、12c、12dは、後述する切り替え判定回路12mにより制御されてオン或いはオフする。アナログスイッチ12aがオンでアナログスイッチ12dがオフのとき、アナログスイッチ12bは、そのオンにより、DC−DCコンバータ11aの出力電圧をアナログスイッチ12aを通して受けてダイオード12e、各ドライバレシーバ13a乃至13c及び電源信号線43に供給する。また、この供給は、アナログスイッチ12bのオフにより遮断される。
【0034】
また、アナログスイッチ12aがオンで両アナログスイッチ12b、12dがオフのとき、アナログスイッチ12cは、そのオンにより、DC−DCコンバータ11aの出力電圧をアナログスイッチ12aを通して受けてダイオード12f、各ドライバレシーバ13a乃至13c及び電源信号線42に供給する。この供給は、アナログスイッチ12cのオフにより遮断される。また、アナログスイッチ12aがオフでアナログスイッチ12dがオンのとき、アナログスイッチ12cは、DC−DCコンバータ11bの出力電圧をアナログスイッチ12dを通して受けてダイオード12f、各ドライバレシーバ13a乃至13c及び電源信号線42に供給する。この供給は、アナログスイッチ12cのオフにより遮断される。
【0035】
ダイオード12eは、そのカソードにて、アナログスイッチ12bを介しアナログスイッチ12aに接続されており、このダイオード12eのアノードは、互いに直列接続した両抵抗12g、12hを通して基準線41の基準線部41aに接続されている。
【0036】
これにより、ダイオード12eは、アナログスイッチ12bの出力電圧により導通し当該出力電圧を両抵抗12g、12hに印加する。また、この印加は、アナログスイッチ12bからの出力電圧の供給の停止によるダイオード12eの非導通に伴い停止される。両抵抗12g、12hは、ダイオード12eからの印加電圧を分圧して、その共通端子から分圧電圧(以下、第1分圧電圧という)としてA−D変換器12kに出力する。
【0037】
一方、ダイオード12fは、そのカソードにて、アナログスイッチ12cを介しアナログスイッチ12dに接続されており、このダイオード12fのアノードは、互いに直列接続した両抵抗12i、12jを通して基準線部41bに接続されている。
【0038】
これにより、ダイオード12fは、アナログスイッチ12cの出力電圧により導通し当該出力電圧を両抵抗12i、12jに印加する。また、この印加は、アナログスイッチ12cからの出力電圧の供給の停止によるダイオード12fの非導通に伴い停止される。両抵抗12i、12jは、ダイオード12fからの印加電圧を分圧して、その共通端子から分圧電圧(以下、第2分圧電圧という)としてA−D変換器12kに出力する。
【0039】
また、本第1実施形態では、ダイオード12eのアノードは、ECU10の出力端子17aを介し電源信号線43に接続されており、ダイオード12fのアノードは、ECU10の出力端子17bを介し電源信号線42に接続されている。従って、各電源信号線42、43のオープン故障やショート故障が生ずると、ECU10の出力端子17a、17bの電位が変動するため、これに伴い、上記第1或いは第2の分圧電圧が変動する。なお、ECU10の各接地端子17c、17d(バッテリBaの負側端子に対応)は、それぞれ、各基準線部41a、41bに接続されている。
【0040】
A−D変換器12kは、両抵抗12g、12hの共通端子からの第1分圧電圧をデジタル変換し第1デジタル電圧として切り替え判定回路12mに出力し、また、両抵抗12i、12jの共通端子からの第2分圧電圧をデジタル変換し第2デジタル電圧として切り替え判定回路12mに出力する。
【0041】
切り替え判定回路12mは、図4にて示すマップデータに従いA−D変換器12kの第1或いは第2のデジタル電圧に基づき各アナログスイッチ12a乃至12dのオン或いはオフを判定し、この判定結果に基づき、各アナログスイッチ12a乃至12dの少なくとも1つをオン或いはオフする。なお、シリアル通信バス40が正常な場合或いはオープン故障の場合には、各アナログスイッチ12a、12b、12cは共にオンされ、アナログスイッチ12dがオフされる。
【0042】
図4のマップデータは、シリアル通信バス40の故障状態、各アナログスイッチ12a乃至12dのオン或いはオフ、及びシリアル通信バス40の故障状態における出力端子17a或いは17bへの供給電圧との関係を示す。このマップデータは切り替え判定回路12mに内蔵のメモリに予め記憶されている。
【0043】
具体的には、切り替え判定回路12mにおいて以下のように判定される。
【0044】
(1)シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17a及びバッテリBaの+B端子間ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17aに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより両アナログスイッチ12a、12cがオンされ、両アナログスイッチ12b、12dがオフされる。
【0045】
(2)シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17b及びバッテリBaの+B端子間ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより両アナログスイッチ12a、12bがオンされ、両アナログスイッチ12c、12dがオフされる。
【0046】
(3)シリアル通信バス40の故障により基準線41及び+B端子間ショートが生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1及び第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、各出力端子17a、17bに36(V)を供給するように、切り替え判定回路12mによりアナログスイッチ12aがオフされ、各アナログスイッチ12b、12c、12dがオンされる。
【0047】
(4)シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17aの接地ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17aに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより両アナログスイッチ12a、12cがオンされ、両アナログスイッチ12b、12dがオフされる。
【0048】
(5)シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17bの接地ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mによりアナログスイッチ12a、12bがオンされ、各アナログスイッチ12c、12dがオフされる。
【0049】
(6)シリアル通信バス40の故障により基準線41の接地ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1及び第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、各出力端子17a、17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mによりアナログスイッチ12a、12b、12cがオンされ、両アナログスイッチ12dがオフされる。
【0050】
(7)シリアル通信バス40の故障により両出力端子17a、17b間ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1及び第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、各出力端子17a、17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより各アナログスイッチ12a、12b、12cがオンされ、アナログスイッチ12dがオフされる。
【0051】
(8)シリアル通信バス40の故障により出力端子17a及び基準線41間ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第1デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより両アナログスイッチ12a、12cがオンされ、両アナログスイッチ12b、12dがオフされる。
【0052】
(9)シリアル通信バス40の故障により出力端子17b及び基準線41間ショートを生じた場合には、当該ショートが、上記メモリのマップデータに応じてA−D変換器12kの第2デジタル電圧に基づき判定される。この判定に基づき、出力端子17bに24(V)を供給するように、切り替え判定回路12mにより両アナログスイッチ12a、12bがオンされ、両アナログスイッチ12c、12dがオフされる。
【0053】
各ドライバレシーバ13a乃至13cは、ECU10の両出力端子17a、17bとデータ変換回路14と間に接続されてインターフェース回路としての機能を果たす。ドライバレシーバ13aは、図5にて示す電圧範囲Aの信号(ダイアグ信号等)をデータ変換回路14と両電源信号線42、43との間で送受信する。ドライバレシーバ13bは、図5にて示す電圧範囲Bの信号(加速度データ等)をデータ変換回路14と両電源信号線42、43との間で送受信する。また、ドライバレシーバ13cは、図5にて示す電圧範囲Cの信号(点火コマンド等)をデータ変換回路14と両電源信号線42、43との間で送受信する。
【0054】
データ変換回路14は、通信制御回路15と各ドライバレシーバ13a乃至13cとの間に接続されており、このデータ変換回路14は、受信に関しては、各ドライバレシーバ13a乃至13cからの出力データの符号を適切に変換して通信制御回路15に出力するとともに当該出力データのビットエラーの検査をも行う。また、当該データ変換回路14は、送信に関しては、通信制御回路15からの出力のアドレスとコマンドに基づき、検査ビットを付加したメッセージを生成して各ドライバレシーバ13a乃至13cのいずれかに出力する。
【0055】
通信制御回路15は、データ変換回路14と衝突判定回路16との間に接続されており、この通信制御回路15は、両電源信号線42、43に接続されている各Gセンサモジュール20乃至20cに対し、データ変換回路14及び各ドライバレシーバ13a乃至13cを介し加速度データの要求、自己診断の要求及び点火コマンドを両電源信号線42、43に送信する。そして、上記各要求に対し両電源信号線42、43を通して応答があれば、当該通信制御回路15は、各ドライバレシーバ13a乃至13c及びデータ変換回路14を通して当該応答を受信して、エアバッグシステムの全体の通信を制御する。
【0056】
また、通信制御回路15は、データ変換回路14を介し入力される加速度データを衝突判定回路16に出力し、この衝突判定回路16からの当該乗用車の衝突有りのデータ及び衝突形態の情報を受けとり、点火コマンドを生成し、データ変換回路14に出力する。通信制御回路15は主たる素子としてマイクロコンピュータを有しており、このマイクロコンピュータでもって、図12乃至図15にて示すフローチャートに従いプログラムを実行し、通信制御回路15における上記処理がなされる。また、当該マイクロコンピュータのメモリには、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gを特定する各物理アドレス、論理アドレス、展開属性及び状態情報が予め記憶されている(図7及び図10参照)。
【0057】
衝突判定回路16はマイクロコンピュータからなるもので、この衝突判定回路16は、両電源信号線42、43、ドライバレシーバ13b及び通信制御回路15を介してGセンサモジュール20乃至20cの少なくとも1つから送信された加速度デジタルデータをとり込んで、当該データをもとに当該乗用車の衝突の有無を判定し、また、衝突との判定時にはどのような衝突形態なのかをも図7及び図10のデータに基づき判定し、この判定データを通信制御回路15、データ変換回路14及びドライバレシーバ13cを通して両電源信号線42、43に送出する。本実施形態では、図7の各展開属性及び図10の各データは、各スキブモジュールの乗用車に対する配置位置に応じた加速度特性を考慮して設定されている。
【0058】
両Gセンサモジュール20、20aは、図1にて示すごとく、当該乗用車のフロント側ボンネット内前部左右にそれぞれ装着されている。両Gセンサモジュール20b、20cは、当該乗用車の車室内床面の左右にそれぞれ装着されている。
【0059】
各Gセンサモジュール20乃至20cは、それぞれ、図2及び図3にて示すごとく、両ダイオードD1、D2と、モジュール本体Mgとにより構成されている。モジュール本体Mgは、加速度センサ21(以下、Gセンサ21という)と、A−D変換器22と、通信制御回路23と、データ変換回路24と、両ドライバレシーバ25、26とを備えており、このモジュール本体Mgは、そのGセンサ21の検出加速度を、ECU10の要求に応じて、A−D変換器22によりデジタル変換し、通信制御回路23、データ変換回路24及び両ドライバレシーバ25、26のいずれか及び両ダイオードD1、D2のいずれかを通して電源信号線42或いは43にメッセージとして送信する。但し、ダイオードD1は、そのアノードにて、電源信号線42に接続され、ダイオードD2は、そのアノードにて、電源信号線43に接続されている。また、両ダイオードD1、D2は、その各カソードにて、モジュール本体Mgの両ドライバレシーバ25、26に接続されている。また、全てのGセンサモジュール20乃至20cのモジュール本体Mgが同時に送信すると、電源信号線42、43上で送信信号が衝突するため、各モジュール本体Mgがタイミングを異にして送信を行うようになっている。
【0060】
ここで、各Gセンサモジュール20乃至20cのGセンサ21は、当該乗用車に対する各Gセンサモジュール20乃至20cの配設位置で生ずる加速度をそれぞれ検出する。A−D変換器22は、Gセンサ21の検出加速度をデジタル変換して加速度デジタルデータとして通信制御回路23に出力する。通信制御回路23は、ECU10の要求に応じて作動を行うもので、この通信制御回路23は、基本的には、加速度デジタルデータを送出すること、及び自己診断を行いその結果を送出することを行う。
【0061】
この通信制御回路23は、主たる構成素子として、マイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータが通信制御回路23における上記各送出のタイミングの制御及び当該各送出を図16乃至図18にて示すフローチャートに従いプログラムを実行することで行う。当該マイクロコンピュータのメモリ(図8参照)のメモリ領域には、図8にて示す各物理アドレスが予め記憶されている。なお、当該メモリには、これを有するGセンサモジュール内でのみ使用する論理アドレスを記憶する他のメモリ領域が設けられている。
【0062】
データ変換回路24は、図2のデータ変換回路14と実質的に同様の処理を行う。両ドライバレシーバ25、26も、図2のドライバレシーバと実質的に同様の処理を行う。なお、点火コマンドの送受信は行わないので、ドライバレシーバ13cに対応するドライバレシーバは不要である。
【0063】
スキブモジュール30乃至30gは、図2及び図4にて示すごとく、両ダイオードD3、D4と、モジュール本体Msとにより構成されている。ダイオードD3は、そのアノードにて、電源信号線42に接続され、ダイオードD4は、そのアノードにて、電源信号線43に接続されている。また、両ダイオードD3、D4は、その各カソードにて、モジュール本体Msの各ドライバレシーバ31、32、33に接続されている。
【0064】
モジュール本体Msは、各ドライバレシーバ31乃至33と、両データ変換回路34、35と、通信制御回路36と、加速度レベル判定回路37と、両常開型点火スイッチ38、39と、スキブ39aとを備えている。各ドライバレシーバ31乃至33は、図2の各ドライバレシーバ13a乃至13cとそれぞれ同様である。
【0065】
両データ変換回路34、35は、図2のデータ変換回路14と同様であるが、データ変換回路34は、通信制御回路36と各ドライバレシーバ31、32、33との間に接続され、データ変換回路35は、加速度レベル判定回路37とドライバレシーバ33との間に接続されている。
【0066】
通信制御回路36は、ECU10からのドライバレシーバ32、両ダイオードD3、D4及びデータ変換回路34を介する点火コマンドに応じて点火スイッチ38をオンする機能と、自己診断コマンドに応じて自己診断を行いこの診断結果を送出する機能を有する。通信制御回路36は、その主たる構成素子として、マイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータでもって、図19乃至図22にて示すフローチャートに従い、プログラムを実行し、通信制御回路36における上記送出のタイミングの制御及び当該送出を行う。
【0067】
また、通信制御回路36のマイクロコンピュータのメモリのメモリ領域には、図9にて示すような物理アドレスが予め記憶されている。さらに、当該メモリには、当該スキブモジュールでのみ使用する論理アドレス及びエアバッグの展開属性(図10参照)を記憶するための他のメモリ領域が確保されている。なお、図10において、「0」はエアバッグの非展開を表し、「1」はエアバッグの展開を表す。
【0068】
加速度レベル判定回路37は、データ変換回路35から加速度デジタルデータのみを受けて、このデータの値が所定加速度レベルを超えたとき、点火スイッチ39をオンする。
【0069】
このように構成した通信制御回路36では、スキブ39aを駆動するには、両点火スイッチ38、39が共にオンする。また、点火スイッチ38は、ECU10からの点火コマンドに応じてオンされ、点火スイッチ39は、両電源信号線42、43のいずれかに流れている加速度デジタルデータが加速度レベル判定回路37により読み取られて所定加速度レベルを超えたときにオンする。このようにスキブ39aの駆動は2つの独立した系統によって行われるので、仮に片方の系統が故障してその点火スイッチがオンしても、スキブ39aがその駆動により点火されることはない。
【0070】
なお、スキブモジュール30は、当該乗用車の助手席用エアバッグ機構を作動させ、スキブモジュール30a当該乗用車の運転席用エアバッグ機構を作動させ、各スキブモジュール30b、30dは当該乗用車の左側の前後席用サイドエアバッグ機構をそれぞれ作動させ、各スキブモジュール30c、30gは当該乗用車の右側の前後席用サイドエアバッグ機構をそれぞれ作動させ、スキブモジュール30fは当該乗用車の左側カーテンエアバッグ機構を作動させ、また、スキブモジュール30gは当該乗用車の右側カーテンエアバッグ機構を作動させる。
【0071】
次に、本第1実施形態における通信ルールについて説明する。この通信ルールはマスター/スレーブ方式とする。エアバッグシステムは、1つのマスターと複数のスレーブとを有しており、スレーブはマスターからの要求がない限り作動しない。従って、スレーブ同士が勝手に通信することはないが、各スレーブは、特にマスターからの要求がなくても、両電源信号線42、43上の信号を全て監視する。マスターからの要求は、特定のスレーブを指定でき、またスレーブを特定せずに要求を発信できる。本エアバッグシステムでは、マスターはECU10であり、各スレーブは、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gである。
【0072】
また、当該エアバッグシステムでは、マスターが各スレーブを特定するために3種類のアドレス、即ち、物理アドレス、論理アドレス及び展開属性を使用する。物理アドレスは、各Gセンサモジュール20乃至20cや各スキブモジュール30乃至30g等の各スレーブが部品工場で製造される段階で付けられるアドレスで、エアバッグシステムの立ち上げ時に論理アドレスを設定するために使用される。各物理アドレスは、スレーブ毎に相互に全て異なっている。なお、各物理アドレスは、モジュールの種類や取り付け位置により規格化されることが望ましい。
【0073】
論理アドレスは、エアバッグシステムの通常モード時にスレーブを特定するために使用されるアドレスである。エアバッグシステム内でのみ識別できればよいので、一般的に、物理アドレスよりも情報量は少なくなる。通常モード時に物理アドレスを使用しない目的は通信効率を向上させるためである。
【0074】
展開属性は、それぞれのエアバッグ展開可能なスキブモジュールに対し設定されるもので、この展開属性は乗用車のどのような衝突形態のときに展開すべきかを指定する情報であって、衝突形態に応じて、1回の点火コマンドにより複数のスキブを点火することを目的とする(図10参照)。なお、各衝突形態1乃至Pは、乗用車の衝突部位(各スキブモジュールの配置位置)に応じた加速度の大小や伝達速度及びエアバッグ(各スキブモジュールに対応の各エアバッグ機構のエアバッグ)の展開度合い等を特定する。
【0075】
マスターであるECU10の通信制御回路15には、予め個々のスキブモジュールと各衝突形態1乃至Pとの関係を表す展開属性(図10参照)がフォーマットデータとして予め記憶されている。そして、マスターは、初期作動時に、その情報をスレーブに転送する。これに伴い、スキブモジュールであるスレーブは、その情報を記憶しておき、この記憶情報を、マスターから点火コマンドと共に送られてくる衝突形態情報と照合し、そのスキブを駆動するか否かを決定する。物理アドレスとの一致を避けるため、例えば、物理アドレスの先頭ビットは1にし、展開属性の先頭ビットは0にする。
【0076】
次に、本第1実施形態におけるメッセージフォーマットについて説明する。基本的に1回の送信で送り出されるメッセージは、アドレス、データ領域、検査ビットで構成されるが、詳細な部分は、マスターからスレーブへの通信とスレーブからマスターへの通信とで若干異なる(図11参照)。
【0077】
図11にて示すようなマスターからスレーブへのメッセージは、宛先アドレス、データ領域及び検査ビットで構成される。宛先アドレスは、メッセージを送る先の論理アドレスとする。また、ブロードキャスト通信により、全スレーブを指定することも可能である。データ領域は、先頭がコマンドでその後にデータが続く。検査ビットは、両電源信号線42、43のいずれか上でビット誤りが生じてもその誤りを検出し、誤作動を防止するための冗長ビットである。スレーブからマスターへのメッセージは、発信元アドレス、データ及び検査ビットで構成される。データは、加速度デジタルデータや自己診断結果等、マスターからの要求で異なる。
【0078】
以上のように構成した本第1実施形態の作動を、初期モード、通常モード及び点火モードに分けて説明する。
【0079】
シリアル通信バス40が正常である場合には、初期モードに先立ち、切り替え判定回路12mの判定に基づき各アナログスイッチ12a、12b、12cがオンしアナログスイッチ12dがオフしている。このため、DC−DCコンバータ11aは、バッテリBaからの12(V)の直流電圧を24(V)の直流電圧に変換して、両アナログスイッチ12a、12bを通して各ドライバレシーバ13a乃至13cに印加するとともに電源信号線43に印加し、当該24(V)の直流電圧を両アナログスイッチ12a、12cを通して各ドライバレシーバ13a乃至13cに印加するとともに電源信号線43に印加している。なお、DC−DCコンバータ11bは、バッテリBaからの12(V)の直流電圧を36(V)の直流電圧に変換して、アナログスイッチ12dに印加している。
【0080】
(1)初期モード
このような状態において、図12、図13、図16、図19、図20及び図23に基づき、ECU10、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gの初期動作としての初期モードについて説明する。
【0081】
まず、マスターであるECU10の通信制御回路15は、図12のステップ100にて、n=1と初期化し、ステップ101にてメッセージn1(図23参照)をデータ変換回路14及びドライバレシーバ11を通して電源信号線42に送出する。メッセージn1は、図24にて示すように、論理アドレス、物理アドレス、データ変換回路で付加される検査ビットから構成される。
【0082】
各スレーブである各Gセンサモジュールの通信制御回路23は、そのマイクロコンピュータにより、図16のステップ200において、上記送出メッセージn1に基づきYESと判定して当該メッセージを受信し、ステップ201にて、メッセージに含まれている物理アドレスと自分の物理アドレスとを照合する。一致すれば、通信制御回路23のマイクロコンピュータは、ステップ202にて、当該メッセージの論理アドレスをメモリ領域に書き込み、ステップ203にて、論理アドレス設定が正常に行われたことをマスターに知らせるためメッセージn1’(図23、図24参照)をデータ変換回路24及びドライバレシーバ25を通して電源信号線42に送信する。一致しなければ、無視する。
【0083】
マスターの通信制御回路15のマイクロコンピュータは、上記送信メッセージn1’に基づき、ステップ102にてYESとの判定のもと、メッセージn1’を受信し、アドレス設定が正常に行われたことを確認した後、もしもそのスレーブが展開可能なスレーブ(スキブモジュール)であれば、ステップ103にてYESとの判定をし、展開属性を設定するため、メッセージn2(図23、図24参照)をステップ104にて上述と同様に電源信号線42に送信する。なお、上記メッセージn1及びメッセージn2は、それぞれ、論理アドレス設定用及び展開属性設定用である。
【0084】
スレーブとしての各スキブモジュールの通信制御回路36は、ステップ200乃至203の処理と同様に、図19の両ステップ300乃至305の処理後、ステップ306にて、メッセージn2に含まれている展開属性をメモリに格納し、メッセージn2’(=メッセージn1’)をステップ307にて、上述と同様に電源信号線42に送信する。メッセージn2は、他のスレーブも受信しているが、展開属性はどの物理アドレスとも一致しないため無視される。
【0085】
ついで、ECU10の通信制御回路15のマイクロコンピュータが、図12のステップ105にて、上記メッセージメッセージn2’の受信のもとYESと判定して、ステップ107にてn=n+1=2と更新し、以下、n>N+Mとなるまで、残りのスレーブにつき上記初期手順処理が繰り返される。
【0086】
全てのスレーブについて行い、ステップ108にてYESとの判定がなされると、ステップ109で状態情報が1のスレーブがあるか判定される。この判定は、ステップ105でNOとの判定のときステップ106で状態情報が1と設定されていることに基づきなされる。ステップ109でYESとの判定のときは、ステップ110においてエアバッグシステムのシステム構成に異常があることが警告される。以上により、初期モードが終了する。
【0087】
(2)通常モード
次に、図14、図15、図17、図18及び図25を参照して、ECU10、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gの通常動作である通常モードについて説明する。図25は、通常モードにおけるECU10の通信制御回路15及び各Gセンサモジュールの通信制御回路23の送信タイミングを示す。
【0088】
マスターの通信制御回路15は、そのマイクロコンピュータにより、図14のステップ111にて、n=1及びフラグf=0とセットした後、ステップ112にて、タイマをリセット始動してその計時を開始させ、ステップ113にて、ブロードキャスト通信で加速度データ要求コマンドを電源信号線42に送信する。なお、f=0は自己診断用信号を送信しないことを表す。
【0089】
通信制御回路15では、そのマイクロコンピュータにより、ステップ114において電源信号線42から加速度データが受け取られ、ステップ115において、加速度データ受け取り終了が判定される。このステップ115における判定がNOとなる場合には、ステップ114の処理がステップ115でYESとの判定がなされるまで繰り返される。
【0090】
その後、衝突判定回路16から通信制御回路15に対し点火指示があったかがステップ116で判定される。点火指示がないためにステップ116における判定がNOとなると、ステップ117(図15参照)にて、f=0に基づきYESと判定され、ステップ118にて、nに対応するスレーブに自己診断コマンドが電源信号線42を通して送信され、ステップ119にて、f=1とセットされる。
【0091】
上記タイマの計時時間がT0秒を経過すると、ステップ120の判定がYESとなり、ステップ112以後の処理が同様に繰り返される。その後、ステップ117において、f=1に基づきNOとの判定がなされると、ステップ121において、nに対応するスレーブの自己診断結果が受け取られる。この自己診断結果に異常があれば、ステップ122における判定がYESとなり、ステップ123にて、警告表示(例えば、警告ランプの点灯)される。
【0092】
一方、ステップ122の判定がNOとなると、ステップ124において、f=0とセットされ、ステップ125において、n=M+Nか否かが判定される。n=M+Nでなければ、ステップ125の判定がNOとなり、ステップ126でn=n+1と加算更新される。この処理は、ステップ125でYESとの判定がなされるまで繰り返される。なお、当該ステップ125でYESとの判定がなされると、ステップ127において、n=1とセットされる。
【0093】
また、点火指示があるためにステップ116における判定がYESになると、ステップ128で点火コマンドがブロードキャスト通信で電源信号線42に送信され、ステップ129でフラグf=0とセットされる。
【0094】
Gセンサモジュールの通信制御回路23は、そのマイクロコンピュータにより、図17のステップ204において、自己診断フラグd、最後フラグd1及び加速度データ送出フラグeを共に0とセットし、ステップ205において、電源信号線42上の信号(点火コマンド以外の信号)を受信する。ついで、d=0であることから、ステップ206における判定がNOとなり、ステップ205での受信信号に、メッセージの論理アドレス=nか又はブロードキャスト通信の信号があれば、ステップ207においてYESと判定される。なお、d1=1は、自分のスレーブが最後であることを表し、e=1は、自分のスレーブが加速度データを送出済みであることを表す。
【0095】
ついで、図18のステップ208において、ステップ205での受信信号に加速度データ要求コマンドがなければ、NOと判定され、ステップ209にて、ステップ205での受信信号に自己診断コマンドがあれば、YESと判定される。そして、ステップ210において、自己診断が開始され、ステップ211にてd=1とセットされ、ステップ212において、e=0に基づきNOと判定される。一方、現段階にて、e=1であれば、ステップ212における判定がYESとなり、ステップ213においてd1=1とセットされる。
【0096】
一方、上記ステップ208において、ステップ205での受信信号に加速度データ要求コマンドがあれば、YESと判定され、ステップ214において、加速度データがサンプリング処理される。然る後、現在のGセンサモジュールが先頭のもの(Gセンサモジュール20)であれば、n=1であることから、ステップ215における判定がYESとなる。
【0097】
一方、ステップ215における判定がNOとなるときには、ステップ216において、電源信号線42上の信号が通信制御回路23によりそのマイクロコンピュータでもって受信される。現段階にてメッセージの論理アドレス=n−1でなければ、ステップ217における判定がNOとなり、ステップ216、217を通る処理が、メッセージの論理アドレス=n−1となるまで繰り返される。ここで、ステップ217でのYESとの判定は現在のGセンサモジュールに対応するnとなったことを意味する。
【0098】
ステップ217の処理後、ステップ214でサンプリング済みの加速度データが符号化されて電源信号線42に送信される。そして、ステップ219でe=1とした後、ステップ220において、d=1及びd1=1か否かが判定される。ここで、d=1及びd1=1であれば、ステップ220における判定がYESとなり、ステップ221にて、ステップ210での自己診断結果が通信制御回路23によりそのマイクロコンピュータでもって電源信号線42に送信される。その後、ステップ222において、d=0とセットされる。なお、ステップ220でNOと判定されるときには、両ステップ221、222の処理がスキップされる。
【0099】
上述のようにステップ206においてNOと判定された後、ステップ207の判定がNOとなる場合には、ステップ223において、論理アドレス1乃至nのいずれが論理アドレスaとして通信制御回路23のマイクロコンピュータのメモリに格納され、ステップ224においてe=0とセットされる。
【0100】
また、上述のようにステップ205の処理がされた後、ステップ206の判定がYESになる場合には、ステップ225において、メッセージの論理アドレス=aか否かが判定される。ここで、論理アドレスaであれば、ステップ225における判定がYESとなり、ステップ226において通信制御回路23によりそのマイクロコンピュータでもって自己診断結果を電源信号線42に送信する。ついで、ステップ227においてd=0とセットされる。
【0101】
上記通常モードを図25に基づき要約して説明すると、マスターであるECU10がその通信制御回路15によりブロードキャスト通信で加速度要求コマンドを送信すると、各Gセンサモジュールはこの送信コマンドを受けて加速度データのサンプリングを行い論理アドレス順にサンプリングした加速度データ(デジタルデータ)として送信する。
【0102】
マスターは、全ての加速度データの受信が完了した後、論理アドレスnをもつ特定のスレーブに自己診断コマンドを送信する。指定されたスレーブは、自己診断を実行し、自己診断結果送信待ちの状態に入る。これに平行してマスターは再びブロードキャスト通信で加速度データ要求コマンドを送信する。Gセンサモジュールはまた同じように論理アドレス順にサンプリングした加速度データを送信する。自己診断を要求されたスレーブは最後のGセンサモジュールが送信した後に自己診断結果を送信する。
【0103】
マスターがブロードキャスト通信で加速度データ要求コマンドを開始してから再び加速度データ要求コマンドを送信するまでを1サイクル(図25参照)とし、マスター又は各スレーブが送信し次の送信があるまでの時間間隔をフレームということとする。1サイクルは、GセンサモジュールがN個あるからN+2のフレームによって構成される。加速度データ要求コマンドをフレーム0とすれば、自己診断の要求と結果の送信はフレームN+1で行うこととなる。1サイクルの時間間隔はT0秒固定する。T0は加速度の必要周波数帯域幅によって決まる。
(3)点火モード
次に、当該乗用車の衝突検知からスキブの点火に至るまでの動作を点火モードとして図21、図22及び図26を参照して説明する。
【0104】
スキブモジュールの通信制御回路36は、そのマイクロコンピュータにより、図21のステップ308において自己診断フラグd=0とセットする。ついで、ステップ309において、電源信号線42上の信号が通信制御回路36によりそのマイクロコンピュータでもって受信される。現段階では、d=0であるから、ステップ310においてNOとの判定がなされ、ステップ311において、電源信号線42上の信号中のメッセージの論理アドレスがmであるか電源信号線42上の信号がブロードキャスト通信の信号を含めば、YESと判定される。
【0105】
然る後、ステップ312において、電源信号線42上の信号中の信号電圧は点火レベルにあるか否かが判定される。ここで、当該信号電圧が点火レベルになければ、ステップ313において、電源信号線42上の信号中に自己診断コマンドがあるか否かが判定される。そして、ステップ313における判定がYESとなれば、ステップ314において、通信制御回路36のマイクロコンピュータが自己診断を開始する。そして、ステップ315においてd=1とセットされる。
【0106】
上述のようにステップ310でのNOとの判定後、ステップ311の判定がNOとなると、ステップ316において、論理アドレス1乃至nのいずれかが論理アドレスaとして通信制御回路36のマイクロコンピュータのメモリに格納される。
【0107】
また、上述のようにステップ309の処理をした後、ステップ310での判定がYESとなる場合には、ステップ317において、メッセージの論理アドレス=aか否かが判定される。ここで、ステップ317での判定がYESとなる場合には、ステップ318で電源信号線42上に信号があるかが判定され、なければ、当該ステップ318での判定がNOとなり、ステップ319において、通信制御回路36がそのマイクロコンピュータにより自己診断結果を電源信号線42に送信する。なお、ステップ319の処理後、ステップ320においてd=0とセットされる。
【0108】
また、上述のようにステップ311でYESとの判定がなされた後、ステップ312における判定がYESとなる場合には、ステップ321において、電源信号線42上の信号中に点火コマンドがあるか否かが判定される。ここで、点火コマンドがあることでステップ321での判定がYESとなると、ステップ322において、電源信号線42上の信号に含まれるメッセージ中の衝突形態が、通信制御回路36のマイクロコンピュータのメモリ内の展開属性と照合される。一方、ステップ321での判定がNOとなる場合には、ステップ322の処理をすることなくステップ309の処理に戻る。
【0109】
上記ステップ322での照合の結果、衝突形態がエアバッグを展開すべき衝突形態であるか否かがステップ323で判定される。そして、ステップ324において、点火スイッチ38が通信制御回路36によりそのマイクロコンピュータでもってオンされる。
【0110】
一方、通信制御回路36の加速度レベル判定回路37が電源信号線42からドライバレシーバ33及びデータ変換回路35を通して加速度データを入力されると、加速度レベル判定回路37は、加速度データのレベルが当該乗用車の衝突を表す加速度レベルに一致するか否かを判定する。そして、この判定が一致との判定であれば、点火スイッチ39が加速度レベル判定回路37によりオンされる。以上のように両点火スイッチ38、39が共にオンすると、スキブ39aが点火されて対応のエアバッグ機構のエアバッグを展開する。
【0111】
上記点火モードを図26に基づき要約して説明すると、マスターの衝突判定回路16は各Gセンサモジュールから送られてくる加速度データを解析し、当該乗用車の衝突の有無を判定し、衝突があった場合にはどのような衝突形態かを示すデータを任意のタイミングで通信制御回路15に出力する。通信制御回路15は、そのマイクロコンピュータにより、当該衝突形態を表すデータを受け取っても基本的なサイクルやフレームの枠組みを変えることなく、加速度データの受け取りを継続し、点火コマンドの送出をフレームN+1で行う。
【0112】
ここで、点火コマンドを含むメッセージは衝突形態を示す情報をも含むため、このメッセージを受け取ったスキブモジュールの通信制御回路36は、そのマイクロコンピュータにより、信号電圧が点火レベル(電圧範囲C)か否かの判定を行い、コマンドは点火コマンドか否かを判定し、点火コマンドであれば衝突形態と当該マイクロコンピュータのメモリ内の展開属性とを照合し、展開すべき衝突形態であったとき点火スイッチ38をオンする。
【0113】
また、スキブモジュールの加速度レベル判定回路37は、電源信号線42上の加速度データをドライバレシーバ33及びデータ変換回路37を通して読み込み、この加速度データのレベルが、当該乗用車の衝突を表す所定レベるを超えていれば、点火スイッチ39をオンする。このようにして両点火スイッチ38、39が共にオンしたときスキブ39aが点火される。
【0114】
これにより、本第1実施形態では、エアバッグシステムにおいてどのような単一故障が発生しても、当該エアバッグシステムのスキブのいずれにおいても誤点火を確実に防止してエアバッグ機構の誤作動を防止し得るものである。
【0115】
また、上述のように各スキブモジュールに対応する各衝突形態1乃至Pに基づきエアバッグ機構のエアバッグ展開状態が制御されるので、当該乗用車に対する各スキブモジュールの配置部位で生ずる加速度に応じたアバッグ機構のエアバッグ展開状態の確保が可能となる。
【0116】
(4)(シリアル通信バスの故障モード)
以上のような初期モード、通常モード或いは点火モードにおいて、シリアル通信バス40に故障が生じた場合の動作について説明する。
【0117】
両電源信号線42、43の一方がオープン故障した場合には、正常な電源信号線にダイオードを介し接続した両抵抗12g、12h或いは12i、12jの共通端子には、正常な分圧電圧が生じている。このため、当該分圧電圧に対するA−D変換器12kの出力電圧も正常となっている。従って、各アナログスイッチ12a乃至12cはオンのままである。よって、正常な電源信号線には、DC−DCコンバータ11aの出力電圧が供給されているから、特に支障はない。
【0118】
また、基準線41はECU10で終端接続されているから、途中で基準線41が断線しても、各Gセンサモジュール及び各スキブモジュールの接地電位は正常に維持されるから特に支障はない。従って、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作は支障なくなされ得る。
【0119】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17a及びバッテリBaの+B端子間ショートを生じた場合には、出力端子17aの電位が+B端子の電圧である12(V)に低下する。これに伴い、両抵抗12g、12hの共通端子からの第1分圧電圧も低下し、A−D変換器12kからのの第1デジタル電圧も同様に低下する。従って、切り替え判定回路12mは、このように低下した第1デジタル電圧に応じて、上記マップデータに基づき両アナログスイッチ12a、12cをオンし両アナログスイッチ12b、12dをオフするように判定し、これら判定出力をそれぞれ各アナログスイッチ12a乃至12dに付与する。このため、両アナログスイッチ12a、12cがオン両アナログスイッチ12b、12dがオフする。
【0120】
これにより、DC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12cを通り電源信号線42に供給される。よって、上述のようにECU10の出力端子17a及びバッテリBaの+B端子間ショートが生じても、電源信号線42にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0121】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17b及びバッテリBaの+B端子間ショートを生じた場合には、出力端子17bの電位が+B端子の電圧である12(V)に低下する。これに伴い、両抵抗12i、12jの共通端子からの第2分圧電圧も低下し、A−D変換器12kからのの第2デジタル電圧も同様に低下する。従って、切り替え判定回路12mは、このように低下した第2デジタル電圧に応じて、上記マップデータに基づき両アナログスイッチ12a、12bをオンし両アナログスイッチ12c、12dをオフするように判定し、これら判定出力をそれぞれ各アナログスイッチ12a乃至12dに付与する。このため、両アナログスイッチ12a、12bがオン両アナログスイッチ12c、12dがオフする。
【0122】
これにより、DC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12bを通り電源信号線43に供給される。よって、上述のようにECU10の出力端子17b及びバッテリBaの+B端子間ショートが生じても、電源信号線43にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0123】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17aが接地ショートを生じた場合には、ダイオード12eのアノードがほぼ接地電位になる。これに伴い、両抵抗12g、12hの共通端子からの第1分圧電圧がほぼ接地電位になり、A−D変換器12kの第1デジタル電圧もほぼゼロ電圧になる。
【0124】
このため、このように零電圧になった第1デジタル電圧に応じて、切り替え判定回路12mは、上記マップデータに基づき、両アナログスイッチ12a、12cをオンし、両アナログスイッチ12b、12dをオフするように判定する。従って、上述した出力端子17aと+B端子間ショートの場合と同様にDC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12cのオンのもと電源信号線42に供給される。
【0125】
よって、上述のようにECU10の出力端子17aの接地ショートが生じても、電源信号線42にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0126】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17bが接地ショートを生じた場合には、ダイオード12fのアノードがほぼ接地電位になる。これに伴い、両抵抗12i、12jの共通端子からの第2分圧電圧がほぼ接地電位になり、A−D変換器12kの第2デジタル電圧もほぼ零電圧になる。
【0127】
このため、このように零電圧になった第2デジタル電圧に応じて、切り替え判定回路12mは、上記マップデータに基づき、両アナログスイッチ12a、12bをオンし、両アナログスイッチ12c、12dをオフするように判定する。従って、上述した出力端子17bと+B端子間ショートの場合と同様にDC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12bのオンのもと電源信号線43に供給される。
【0128】
よって、上述のようにECU10の出力端子17bの接地ショートが生じても、電源信号線43にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0129】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10の出力端子17a及び基準線41間ショートが生じた場合には、ダイオード12eのアノードがほぼ基準線41の基準電位になる。これに伴い、両抵抗12e、12gの共通端子からの第1分圧電圧が基準線41のほぼ基準電位になり、A−D変換器12kの第1デジタル電圧もほぼ基準電圧になる。
【0130】
このため、このように基準電圧になった第1デジタル電圧に応じて、切り替え判定回路12mは、上記マップデータに基づき、両アナログスイッチ12a、12cをオンし、両アナログスイッチ12b、12dをオフするように判定する。従って、上述した出力端子17aの接地の場合と同様にDC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12cのオンのもと電源信号線42に供給される。
【0131】
よって、上述のようにECU10の出力端子17a及び基準線41間ショートが生じても、電源信号線42にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0132】
また、シリアル通信バス40の故障により出力端子17b及び基準線41間ショートを生じた場合には、ダイオード12fのアノードがほぼ基準線41の基準電位になる。これに伴い、両抵抗12i、12jの共通端子からの第2分圧電圧が基準線41のほぼ基準電位になり、A−D変換器12kの第2デジタル電圧もほぼ基準電圧になる。
【0133】
このため、このように基準電圧になった第2デジタル電圧に応じて、切り替え判定回路12mは、上記マップデータに基づき、両アナログスイッチ12a、12bをオンし、両アナログスイッチ12c、12dをオフするように判定する。従って、上述した出力端子17bの接地の場合と同様にDC−DCコンバータ11aの出力電圧が両アナログスイッチ12a、12bのオンのもと電源信号線43に供給される。
【0134】
よって、上述のようにECU10の出力端子17b及び基準線41間ショートが生じても、電源信号線43にDC−DCコンバータ11aの出力電圧を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0135】
また、シリアル通信バス40の故障により基準線41及び+B端子間ショートが生じた場合には、基準線41の電位が+B端子の電圧である12(V)に上昇する。このため、両抵抗12g、12hの共通端子からの第1分圧電圧及び両抵抗12i、12jの共通端子からの第2分圧電圧、ひいては、A−D変換器12mの第1及び第2のデジタル電圧は共に上昇する。
【0136】
従って、切り替え判定回路12mは、上記マップデータに基づきアナログスイッチ12aをオフし各アナログスイッチ12b、12c、12dをオンするように判定する。このため、DC−DCコンバータ11bの出力電圧が、両アナログスイッチ12d、12bを通して電源信号線43に供給されるとともに、両アナログスイッチ12d、12cを通して電源信号線42に供給される。
【0137】
よって、上述のように基準線41及び+B端子間ショートが生じても、両電源信号線42、43にDC−DCコンバータ11bの出力電圧(36(V))を供給することで、各電源信号線42、43が基準線41に対し24(V)の電圧を印加されていることとなり、その結果、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0138】
また、シリアル通信バス40の故障により両出力端子17a、17b間ショートを生じた場合又は基準線41の接地ショートを生じた場合には、両抵抗12g、12hの第1分圧電圧及び両抵抗12i、12jの第2分圧電圧は、共に、正常の場合と同様に維持される。このため、切り替え判定回路12mが、各アナログスイッチ12a、12b、12cをオンしアナログスイッチ12dをオフするように判定する。従って、アナログスイッチ12dのオフのもと、DC−DCコンバータ11aの出力電圧が、両アナログスイッチ12a、12bのオンのもと、電源信号線43に供給され、両アナログスイッチ12a、12dのオンのもと、電源信号線42に供給される。
【0139】
よって、上述のように両出力端子17a、17b間ショート又は基準線41の接地ショートが生じても、両電源信号線42、43にDC−DCコンバータ11aの出力電圧(24(V))を供給することで、上述した初期モード、通常モード或いは点火モードの動作を支障なく確保できる。
【0140】
以上により、上述のような各ショートのいずれかがシリアル通信バス40の故障により生じても、電源電圧切り替え回路12により両電源信号線42、43の少なくとも一方への供給直流電圧が確保されるので、当該ショートがシリアル通信バス40の1個所の故障に起因する場合には、エアバッグシステムに必要な初期モード、通常モード或いは点火モードでの正常な動作を維持できる。
【0141】
ここで、各Gセンサモジュール20乃至20cでは、両ダイオードD1、D2がその各カソードにて接続されているため、これら両ダイオードD1、D2は、相互間で、逆流阻止の役割を果たす。また、各スキブモジュール30乃至30gでは、両ダイオードD3、D4がその各カソードにて接続されているため、これら両ダイオードD3、D4は、相互間で、逆流阻止の役割を果たす。
【0142】
また、基準線41では、その往復の各基準線部41a、41bがECU10の各基準端子17c、17dにそれぞれ接続されているから、基準線41がその一部にて断線しても、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gは、両基準線部41a、41bのいずれかにより、ECU10の基準端子17c、17dのいずれかに接続されている。従って、各Gセンサモジュール20乃至20c及び各スキブモジュール30乃至30gの基準線41に対する接続状態は、基準線41の一部の断線とはかかわりなく、確実に維持されるので、上記初期モード、通常モード及び点火モードの動作は確実になされ得る。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図27及び図28に基づいて説明する。この第2実施形態では、ECU10Aが、上記第1実施形態にて述べたECU10に代えて採用されている。当該ECU10Aは、上記ECU10において、両DC−DCコンバータ11a、11b及び電源電圧切り替え回路12に代えて、DC−ACコンバータ18、変圧器19及び両ヒューズF1、F2を採用した構成となっている。
【0143】
DC−ACコンバータ18は、バッテリBaからその+B端子を通して出力される直流電圧を交流電圧に変換し変圧器19に印加する。変圧器19は、一次側巻線19aと、両二次側巻線19b、19cとを備えている。この変圧器19は、一次側巻線19aにて、DC−ACコンバータ18からの交流電圧を受けて、この交流電圧を変圧し、両二次側巻線19b、19cから交流の変圧電圧を発生する。なお、一次側巻線19aはその負側端子にて基準線41に接続されており、両二次側巻線19b、19cの各負側端子は相互に接続されている。また、変圧器19の変圧比は、例えば、1である。
【0144】
ヒューズF1は、変圧器19の二次側巻線19bの正側端子とECU10Aの出力端子17a(ECU10の出力端子17aに相当)に接続されており、このヒューズF1は、二次側巻線19bからの変圧電圧を電源信号線43に印加する。また、ヒューズF2は、変圧器19の二次側巻線19cの正側端子とECU10Aの出力端子17b(ECU10の出力端子17bに相当)に接続されており、このヒューズF2は、二次側巻線19cからの変圧電圧を電源信号線42に印加する。本第2実施形態では、両ヒューズF1、F2の各溶断容量は、各電源信号線43、42に過電流を流さないように設定されている。
【0145】
また、本第2実施形態では、各ドライバレシーバ13a乃至13cは、上記第1実施形態とは異なり、バッテリBから直接給電されている。また、各Gセンサモジュール20乃至20cの各ダイオードD1、D2は、各電源信号線43、42上の変圧電圧を整流してモジュール本体Mgに電源電圧として入力する。また、各スキブモジュール30乃至30gの各ダイオードD3、D4は、各電源信号線43、42上の変圧電圧を整流してモジュール本体Msに電源電圧として入力する。その他構成は上記第1実施形態と同様である。
【0146】
このように構成した本第2実施形態において、シリアル通信バス40の故障によりECU10Aの各出力端子17a、17bの少なくとも一方或いは基準線41がオープン故障した場合、各出力端子17a、17b、17cの1つが+B端子とショートした場合、各出力端子17a、17b、17cの1つが接地ショートした場合、或いは両出力端子17a、17b間ショートが生じた場合には、各電源信号線42、43には過電流が流れない。従って、両ヒューズF1、F2のいずれも溶断しない。よって、上記第1実施形態にて述べた初期モード、通常モード或いは点火モードの動作に特に支障はない。
【0147】
一方、シリアル通信バス40の故障によりECU10Aの出力端子17a及び基準端子17cとの間にショートが生じた場合には、電源信号線43に過電流が流れる。このため、ヒューズF1が溶断するが、ヒューズF2は正常である。
【0148】
従って、変圧器19の二次側巻線19cからの変圧電圧は、電源信号線42に正常に印加されたままである。このため、出力端子17a及び接地端子17cとの間にショートが生じても、電源信号線42上の変圧電圧に基づき、上記第1実施形態にて述べた初期モード、通常モード或いは点火モードの動作が正常に確保され得る。
【0149】
また、シリアル通信バス40の故障によりECU10Aの出力端子17b及び基準端子17cとの間にショートが生じた場合には、電源信号線42に過電流が流れる。このため、ヒューズF2が溶断するが、ヒューズF1は正常である。
【0150】
従って、変圧器19の二次側巻線19bからの変圧電圧は、電源信号線43に正常に印加されたままである。このため、出力端子17b及び接地端子17cとの間にショートが生じても、電源信号線43上の変圧電圧に基づき、上記第1実施形態にて述べた初期モード、通常モード或いは点火モードの動作が正常に確保され得る。
【0151】
以上より、上述のような各ショートのいずれかがシリアル通信バス40の故障により生じても、ヒューズF1及びヒューズF2のいずれかが溶断するのみ故、当該ショートがシリアル通信バス40の1個所の故障に起因する場合には、エアバッグシステムに必要な初期モード、通常モード或いは点火モードでの正常な動作を維持できる。なお、電源信号線に過電流が流れても、当該電源信号線に接続してなるヒューズの溶断により瞬時にこの電源信号線がエアバッグシステムから切り離されるため、エアバッグシステムの安全は確保される。
(第3実施形態)
図29は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、上記第1実施形態にて述べたシリアル通信バス40が、基準線41及び両電源信号線42、43の他に、各スキブモジュール30乃至30g及び各Gセンサモジュール20乃至20c毎に、3本の分岐線44、45及び46を備えている。そして、各Gセンサモジュール20乃至20c毎に、分岐線44は、モジュール本体Mgと基準線41との間に接続され、分岐線45は、ダイオードD1のアノードと電源信号線43との間に接続され、また、分岐線46は、ダイオードD2のアノードと電源信号線42との間に接続されている。
【0152】
また、各スキブモジュール30乃至30g毎に、分岐線44は、モジュール本体Msと基準線41との間に接続され、分岐線45は、ダイオードD3のアノードと電源信号線43との間に接続され、また、分岐線46は、ダイオードD4のアノードと電源信号線42との間に接続されている。
【0153】
また、各Gセンサモジュール20乃至20c毎及び各スキブモジュール30乃至30g毎に、抵抗Rが分岐線44の中間部位に直列に介装接続されている。その他の構成は上記第1或いは第2の実施形態と同様である。
【0154】
このように構成した本第3実施形態では、当該乗用車の衝突或いはエアバッグの展開に伴い、例えば、Gセンサモジュール20の両ダイオードD1、D2の各カソードがモジュール本体Mg内において分岐線44との間で線間ショート故障を生じても、或いはスキブモジュール30の両ダイオードD3、D4の各カソードがモジュール本体Ms内において分岐線44との間で線間ショート故障を生じても、分岐線44の中間部位に抵抗Rが直列接続されているため、電源信号線43と基準線41との間及び電源信号線42と基準線41との間の各電位差は適正に確保される。従って、Gセンサモジュール20或いはスキブモジュール30が上記衝突やエアバッグの展開で使用不能となっても、残りのGセンサモジュール及び各スキブモジュールは使用不能となることなく正常に維持され得る。その結果、その後に当該乗用車が衝突しても、正常なGセンサモジュール及び各スキブモジュールでもってエアバッグシステムの本来の動作を確保できる。以上のような作用効果は、Gセンサモジュール20、スキブモジュール30以外のGセンサモジュールやスキブモジュールで上記線間ショート故障を生じても、同様に確保できる。
【0155】
なお、上記第3実施形態では、各Gセンサモジュール毎及び各スキブモジュール毎に、抵抗Rが分岐線44の中間部位に直列に介装接続されているが、これに代えて、例えば、抵抗Rを二つ準備し、これら各抵抗Rを各分岐線45、46の中間部位に直列に介装接続しても、上記第3実施形態と同様の作用効果を達成えきる。
(第4実施形態)
図30は、本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、上記第3実施形態にて述べた各ダイオードD1、D2、D3、D3、各分岐線45及び電源信号線43が廃止されている。そして、各分岐線46は、対応のモジュール本体Mg或いはMsと電源信号線42との間に接続されている。その他の構成は上記第3実施形態と同様である。
【0156】
このように構成した本第4実施形態では、当該乗用車の衝突或いはエアバッグの展開に伴い、例えば、Gセンサモジュール20において、両分岐線46、44がモジュール本体Mg内にて線間ショート故障を生じても、分岐線44の中間部位に抵抗Rが直列接続されているため、電源信号線42と基準線41との間の電位差は適正に確保される。従って、Gセンサモジュール20又はスキブモジュール30が上記衝突やエアバッグの展開で使用不能となっても、残りのGセンサモジュール及び各スキブモジュールは使用不能となることなく正常に維持され得る。その結果、その後に当該乗用車が衝突しても、電源信号線43のない状態において、正常なGセンサモジュール及び各スキブモジュールでもってエアバッグシステムの本来の動作を確保できる。以上のような作用効果は、Gセンサモジュール20、スキブモジュール30以外のGセンサモジュールやスキブモジュールで上記線間ショート故障を生じても、同様に確保できる。
【0157】
なお、本発明の実施にあたり、上記第3或いは第4の実施形態は、上記第1実施形態に限ることなく、上記第2実施形態において適用してもよい。
【0158】
また、本発明の実施にあたり、バッテリBaの出力電圧は12(V)に限ることなく適宜変更してもよく、これに伴い、各DC−DCコンバータ11a、11bの出力電圧も変更してもよい。
【0159】
また、本発明の実施にあたり、乗用車用エアバッグシステムに限ることなく、当該乗用車のシートのベルトテンショナー等の乗員保護システムや車両用乗員保護システムに本発明を適用してもよい。
【0160】
また、本発明の実施にあたっては、Gセンサモジュールやスキブモジュールの数は、上記実施形態にて述べた数に限定する必要はなく、適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアバッグシステムが乗用車に設けられた第1実施形態を示す模式的平面図である。
【図2】上記エアバッグシステムのブロック図である。
【図3】図2の各Gセンサモジュールの構成を示す詳細ブロック図である。
【図4】各スキブモジュールの構成を示す詳細ブロック図である。
【図5】各電圧範囲A乃至Cの波形図である。
【図6】図2の切り替え判定回路の判定に必要なマップデータを示す図表である。
【図7】ECU10の通信制御回路のマイクロコンピュータのメモリに予め記憶した各スレーブに対応する物理アドレス、論理アドレス、展開属性及び状態情報を示す図である。
【図8】各Gセンサモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータのメモリに記憶した物理アドレス及び論理アドレスを示す図である。
【図9】各スキブモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータのメモリに記憶した物理アドレス、論理アドレス及び展開属性を示す図である。
【図10】上記展開属性のフォーマットを、各スキブモジュールと各衝突形態1乃至Pとの関係で表す図表である。
【図11】マスターからスレーブへのメッセージ及びスレーブからマスターへのメッセージの構成を示す図である。
【図12】ECU10の通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図13】ECU10の通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図14】ECU10の通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図15】ECU10の通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図16】各Gセンサモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図17】各Gセンサモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図18】各Gセンサモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図19】各スキブモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図20】各スキブモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図21】各スキブモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図22】各スキブモジュールの通信制御回路のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの一部である。
【図23】論理アドレスnに対応するスレーブにおけるマスター及びスレーブのメッセージのやりとりを示すタイミングチャートでる。
【図24】メッセージn1、n2、n1’、n2’の構成を示す図である。
【図25】通常モードにおけるECU10及び各Gセンサモジュールの間のフレーム毎のデータのやりとりを示すタイミングチャートである。
【図26】点火モードにおけるECU10及び各Gセンサモジュールの間のフレーム毎のデータのやりとりを示すタイミングチャートである。
【図27】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図28】上記第2実施形態におけるシリアル通信バスの故障状態に応じて生ずるヒューズの溶断及び非溶断を示す図表である。
【図29】本発明の第3実施形態を示す要部ブロック図である。
【図30】本発明の第4実施形態を示す要部ブロック図である。
【符号の説明】
10、10A…ECU、11a、11b…DC−DCコンバータ、
12…電源電圧切り替え回路、20乃至20c…Gセンサモジュール、
21…加速度センサ、30乃至30g…スキブモジュール、
39a…スキブ、40…シリアル通信バス、41…基準線、
42、43…電源信号線、44乃至46…分岐線、F1、F2…ヒューズ、
R…抵抗。
Claims (7)
- 車両の互いに異なる位置にて搭載された複数の乗員保護機構、複数の加速度センサモジュール(20乃至20c)、複数のスキブモジュール(30乃至30g)及び電子制御装置(10)と、前記各加速度センサモジュール、前記各スキブモジュール及び前記電子制御装置を接続してなるシリアル通信バス(40)とを備える車両用乗員保護システムであって、
前記シリアル通信バスは、基準線(41)と、第1及び第2の電源信号線(42、43)とを備えており、
前記電子制御装置は、前記基準線に接続した負側端子を有する直流電源(Ba)の正側端子からの出力電圧に基づき、第1直流電圧及びこの第1直流電圧よりも高い第2直流電圧を形成する電圧形成手段(11a、11b)と、
前記シリアル通信バスの正常状態にて前記電圧形成手段からの第1直流電圧を前記第1及び第2の電源信号線に供給する電圧供給手段(12)とを備え、
前記複数の加速度センサモジュールは、それぞれ、車両の加速度を検出する加速度センサ(21)を有し、前記基準線に接続された状態で前記第1及び第2の電源信号線上の直流電圧を供給されて前記検出加速度を前記第1及び第2の電源信号線に加速度データとして送出し、
前記複数のスキブモジュールは、それぞれ、前記基準線に接続された状態で前記第1及び第2の電源信号線上の直流電圧を供給されて、前記第1及び第2の電源信号線からの前記加速度データが車両の衝突に対応するとき対応の乗員保護機構を作動させ、
また、前記電圧供給手段は、前記シリアル通信バスが前記第1及び第2の電源信号線の一方を前記直流電源の正側端子とショートさせるか或いは前記基準線とショートさせる故障を生じたとき前記電圧形成手段の第1直流電圧を前記第1及び第2の電源信号線に供給するようにした車両用乗員保護システム。 - 前記電圧供給手段は、前記シリアル通信バスが前記基準線を前記直流電源の正側端子にショートさせる故障を生じたとき、前記電圧形成手段の第2直流電圧を前記第1及び第2の電源信号線に供給することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護システム。
- 車両の互いに異なる位置にて搭載された複数の乗員保護機構、複数の加速度センサモジュール(20乃至20c)、複数のスキブモジュール(30乃至30g)及び電子制御装置(10A)と、前記各加速度センサモジュール、前記各スキブモジュール及び前記電子制御装置を接続してなるシリアル通信バス(40)とを備える車両用乗員保護システムであって、
前記シリアル通信バスは、基準線(41)と、第1及び第2の電源信号線(42、43)とを備えており、
前記電子制御装置は、前記基準線に接続した負側端子を有する直流電源(Ba)の正側端子からの出力電圧に基づき交流電圧を形成する電圧形成手段(18)と、
この電圧形成手段からの交流電圧を第1及び第2の変圧電圧に変圧する変圧手段(19)と、
この変圧手段からの第1変圧電圧を前記第1電源信号線に供給する第1ヒューズ(F1)と、
前記変圧手段の第2変圧電圧を前記第2電源信号線に供給する第2ヒューズ(F2)とを備え、
前記複数の加速度センサモジュールは、それぞれ、車両の加速度を検出する加速度センサ(21)を有し、前記基準線に接続された状態で前記第1及び第2の電源信号線上の交流電圧を供給されて前記検出加速度を前記第1及び第2の電源信号線に加速度データとして送出し、
前記複数のスキブモジュールは、それぞれ、前記基準線に接続された状態で前記第1電源信号線上の交流電圧を供給されて、前記第1及び第2の電源信号線からの前記加速度データが車両の衝突に対応するとき対応の乗員保護機構を作動させ、
また、前記第1及び第2のヒューズの一方は、これに対応する前記第1及び第2の電源信号線の一方を前記基準線とショートさせる故障が前記シリアル通信バスで生じたとき、当該故障に起因して一方の電源信号線に流れる過電流により溶断するようにした車両用乗員保護システム。 - 前記シリアル通信バスは、前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応する第1乃至第3の分岐線(44乃至46)を備えており、
前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の前記第1分岐線を介して前記基準線と接続され、前記第2分岐線を介して前記第1電源信号線から直流電圧及び加速度データを供給され、前記第3分岐線を介して前記第2電源信号線から直流電圧及び加速度データを供給され、
また、前記第1分岐線或いは前記第2及び第3の各分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用乗員保護システム。 - 前記シリアル通信バスは、前記第1及び第2の電源信号線に代わる共通電源信号線(42)を、前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応して有し、
前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の前記第2及び第3の分岐線に代わる共通分岐線(46)を介して前記共通電源信号線上の直流電圧及び加速度データを供給され、
また、前記第1分岐線或いは前記共通分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用乗員保護システム。 - 前記シリアル通信バスは、前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応する第1乃至第3の分岐線(44乃至46)を備えており、
前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の前記第1分岐線を介して前記基準線と接続され、前記第2分岐線を介して前記第1電源信号線から交流電圧及び加速度データを供給され、前記第3分岐線を介して前記第2電源信号線から交流電圧及び加速度データを供給され、
また、前記第1分岐線或いは前記第2及び第3の各分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用乗員保護システム。 - 前記シリアル通信バスは、前記第1及び第2の電源信号線に代わる共通電源信号線(42)を、前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールの各々に対応して有し、
前記各複数のGセンサモジュール及びスキブモジュールは、それぞれ、対応の前記第2及び第3の分岐線に代わる共通分岐線(46)を介して前記共通電源信号線上の交流電圧及び加速度データを供給され、
また、前記第1分岐線或いは前記共通分岐線には、抵抗(R)が直列に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用乗員保護システム。
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