JP3712827B2 - 冷凍冷蔵装置、冷媒流量補正用バイパス弁および温度膨張弁 - Google Patents

冷凍冷蔵装置、冷媒流量補正用バイパス弁および温度膨張弁 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍冷蔵装置および冷媒流量補正用バイパス弁および温度膨張弁に関し、さらに詳細には、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ型式の温度膨張弁を含む冷凍冷蔵装置およびその冷凍冷蔵装置で使用される冷媒流量補正用バイパス弁、温度膨張弁に関し、特に凝縮器の出口側の冷媒圧力が規定値より低い場合の冷媒流量補正に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冷凍冷蔵装置では、温度膨張弁によって蒸発器の温度負荷量に相応して凝縮器より蒸発器へ流れる循環冷媒流量を制御し、この流量制御によって蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つことが行われている。
【0003】
温度膨張弁による冷媒流量は、温度膨張弁前後の冷媒圧力差を決める凝縮器の出口側の冷媒圧力と(以下、凝縮圧力と略称することがある)、蒸発器入口(膨張弁出口)側の冷媒圧力と、温度膨張弁の開弁量とにより決まる。
【0004】
凝縮圧力が低下すると、膨張弁前後の冷媒圧力差が小さくなることや、膨張弁入口側の冷媒状態が気液二相状態になることにより、蒸発器への冷媒供給量が不足し、蒸発器出口側の冷媒温度(過熱度)が著しく高くなり、温度制御が困難になる。このことにより、圧縮機の吸入冷媒の過熱度が著しく高くなり、これに応じて圧縮機が吐出する冷媒温度が高くなり、また圧縮機への冷凍機オイル戻り不足が生じ、圧縮機の損傷、破壊が生じる虞れがある。
【0005】
また、凝縮圧力が低下すると、蒸発器の能力を確保できなくなることにより、冷房効果、除湿効果が低減し、また蒸発器の結氷により熱交換効率の低下することによって蒸発器の能力が低下し、このことによっても冷房効果、除湿効果が低減することになる。
【0006】
冷凍冷蔵装置での凝縮圧力(温度)は、基本的には、凝縮器の熱交換能力と熱交換する負荷温度(外気温度)および熱量(冷媒循環量)により決まり、凝縮圧力制御により凝縮圧力を所定値に保つ冷凍冷蔵装置がある。
【0007】
凝縮圧力制御は、凝縮器が水冷式のものである場合には、冷却水の温度と流量により凝縮圧力が決まるから、冷却水流量制御式の凝縮圧力制御弁によって、設定された凝縮圧力に対して冷却水流量を増減制御することにより、凝縮圧力(温度)を設定圧に保つことが行われる。
【0008】
凝縮器が空冷式のものである場合には、外気雰囲気温度と冷却ファンの風量により凝縮圧力が決まるから、冷媒バイパス式の凝縮圧力制御弁(HPR)によって、凝縮器を流れる冷媒の流量を制御することにより、あるいは冷却ファンの回転数制御により、凝縮圧力(温度)を設定圧に保つことが行われる。
【0009】
しかし、上述のような凝縮圧力制御は、圧縮機負荷を増加させ、省エネルギに反する制御であり、また、冬季等の低温時、特に起動時には、凝縮温度が低く、所要の凝縮圧力が得られなくなることがある。
【0010】
これに加えて、圧縮機を停止した直後の、圧縮機よりも凝縮器側、つまり下流側の冷媒が高温高圧であり、圧縮機よりも蒸発器側、つまり上流側の冷媒が低温低圧である状態のまま、温度膨張弁の閉弁により凝縮器側から蒸発器側への冷媒の供給を絶ち、そのままの状態で圧縮機を再び駆動すると、圧縮機の上流側と下流側の冷媒の圧力差により圧縮機に大きな負荷がかかり、例えばカーエアコンのようなエンジンの回転を利用して圧縮機を駆動する場合には、圧縮機のみならずエンジンなどの動力供給源にまで負荷の影響による故障が発生する虞がある。
【0011】
上述のような問題点に鑑み、特開昭60−142175号公報に示されている温度膨張弁では、弁体を閉弁方向へ付勢する過熱度設定用のばねを感温型の形状記憶合金によりばねにより構成し、凝縮温度を形状記憶合金製ばねにより直接感知するようにし、凝縮温度が低い時には、凝縮温度が高い時に比して過熱度設定ばね圧を下げて温度膨張弁の開弁量を増やし、蒸発器への冷媒供給量を確保するようにしている。
【0012】
また、スナップアクション感圧素子(反転板ばね)を使用した膨張弁として、実開平5−54972号公報には、蒸発器の出口側冷媒流路を流れる低圧室の圧力と、蒸発器から送り出される冷媒の温度に相応して変化する圧力を与えられる高圧室の圧力との差によって応動する反転板ばねを設け、その圧力差が所定値以上になれば、反転板ばねの反転動作によって弁体の最大リフト量を拡大し、膨張弁の開弁量を増やして蒸発器への冷媒供給量を確保する膨張弁が示されている。
【0013】
また、スナップアクション感圧素子(反転板ばね)を使用した他の膨張弁として、実開平5−54973号公報には、蒸発器の出口側冷媒流路を流れる低圧室の圧力と、蒸発器から送り出される冷媒の温度に相応して変化する圧力を与えられる高圧室の圧力との差によって応動する反転板ばねを設け、その圧力差が所定値以上になれば、反転板ばねの反転動作によって弁体の最大リフト量を縮小し、膨張弁の開弁量を減らして蒸発器への冷媒供給量を低減し、圧縮機の過大な負荷がかかることを回避する膨張弁が示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭60−142175号公報に示されている温度膨張弁は、凝縮温度(圧力)が低い時には、温度膨張弁の開弁量を増やし、蒸発器への冷媒供給量を確保すると云う所期の目的を達成できるが、しかし、この温度膨張弁では、必要特性に対する形状記憶合金製ばねの設計、調整が難しく、定常時(凝縮圧力が定常圧の時)の温度膨張弁の開弁特性に影響を与え、定常時の冷凍冷蔵装置の性能を低下させる可能性がある。
【0015】
実開平5−54972号公報に示されている膨張弁は、蒸発器の出口側冷媒流路を流れる低圧室の圧力と蒸発器から送り出される冷媒の温度に相応して変化する圧力を与えられる高圧室の圧力との差が所定値以上になれば、換言すれば、過熱度が所定値以上になれば、反転板ばねが反転動作し、膨張弁の開弁量を増やして蒸発器への冷媒供給量を確保するものであるから、過熱度が所定値以上になれば蒸発器への冷媒供給量が増えず、低凝縮圧力時の冷媒流量補正を適切に行うことができない。また、この膨張弁では、反転板ばねが膨張弁の最大開弁量を直接設定するから、構造上、所要の冷媒供給量特性を得るためには、製作上の精度を要求される。
【0016】
実開平5−54973号公報に示されている膨張弁は、蒸発器の出口側冷媒流路を流れる低圧室の圧力と蒸発器から送り出される冷媒の温度に相応して変化する圧力を与えられる高圧室の圧力との差が所定値以上になれば、換言すれば、高負荷時には、反転板ばねが反転動作し、膨張弁の開弁量を減らして蒸発器への冷媒供給量を低減するものであるから、起動時などの高負荷時に圧縮機の駆動負荷が過大になることを回避できるが、低凝縮圧力時の冷媒流量補正を行うことはできない。
【0017】
この発明は、上述の如き問題点に着目してなされたものであり、凝縮圧力が定常圧状態の時の温度膨張弁の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時の冷媒流量補正を適切に行い、圧縮機の駆動時に無用な負荷がかかるのを防止することができる冷凍冷蔵装置、冷媒流量補正用バイパス弁および温度膨張弁を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置は、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置において、前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に冷媒流量補正用バイパス弁が設けられ、当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しているものである。
【0019】
請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁は、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置で使用される冷媒流量補正用バイパス弁であって、当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に設けられ、当該バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しているものである。
【0020】
請求項3に記載の発明による温度膨張弁は、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ冷凍冷蔵装置用の温度膨張弁において、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御するための主弁ポート部をバイパスして入口ポートと出口ポートとを連通接続するバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパス弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記バイパス弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを組み込まれているものである。
【0021】
そして、請求項4に記載の発明による温度膨張弁は、請求項3に記載の温度膨張弁において、また、請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置と、請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁によれば、いずれも、前記スナップアクション感圧素子の一方の側に、前記凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応した前記スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる閉弁側への移動量を規定する移動空間室が画定され、前記スナップアクション感圧素子の他方の側に前記凝縮器の出口側の冷媒圧力を与えられる圧力室が画定され、前記スナップアクション感圧素子は、前記圧力室の圧力が前記スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上の時には、該機械的対抗相当圧力に抗して前記圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、前記圧力室の圧力が前記機械的対抗相当圧力以下である時には、該機械的対抗相当圧力により開弁側に反転変形するものである。
【0022】
請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置では、凝縮器の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力)が所定値以下になると、冷媒流量補正用バイパス弁のスナップアクション感圧素子がスナップアクションし、冷媒流量補正用バイパス弁の弁体を開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになる。これにより蒸発器への冷媒供給量など、循環冷媒流量が増加する。
【0023】
また、請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置では、冷媒流量補正用バイパス弁の圧力室の圧力、すなわち凝縮器の出口側の冷媒圧力が、スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上である時には、この機械的対抗相当圧力に抗して圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、圧力室の圧力がスナップアクション感圧素子の機械的対抗相当圧力以下である時、すなわち低凝縮圧時には、この機械的対抗相当圧力によって開弁側に反転変形する。
【0024】
請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁では、凝縮器の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力)が所定値以下になると、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによって弁体が開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになる。これにより蒸発器への冷媒供給量など、循環冷媒流量が増加する。
【0025】
また、請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁では、圧力室の圧力、すなわち凝縮器の出口側の冷媒圧力が、スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上である時には、この機械的対抗相当圧力に抗して圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、圧力室の圧力がスナップアクション感圧素子の機械的対抗相当圧力以下である時、すなわち低凝縮圧時には、この機械的対抗相当圧力によって開弁側に反転変形する。
【0026】
請求項3に記載の発明による温度膨張弁では、凝縮器の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力)が所定値以下になると、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによってバイパス弁体が開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになる。これにより蒸発器への冷媒供給量など、循環冷媒流量が増加する。
【0027】
請求項4に記載の発明による温度膨張弁では、圧力室の圧力、すなわち凝縮器の出口側の冷媒圧力が、スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上である時には、この機械的対抗相当圧力に抗して圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、圧力室の圧力がスナップアクション感圧素子の機械的対抗相当圧力以下である時、すなわち低凝縮圧時には、この機械的対抗相当圧力によって開弁側に反転変形する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1〜図3はこの発明による温度膨張弁およびその温度膨張弁を含む冷凍冷蔵装置を示している。冷凍冷蔵装置は、通常の冷凍冷蔵装置と同等に、圧縮機1、凝縮器(コンデンサ)3、レシーバ5、温度膨張弁7、蒸発器(エバポレータ)9を有し、これらは冷媒管11、13、15、17、19a、19bによりループ接続されている。
【0030】
温度膨張弁7は、ハウジング本体21を有している。ハウジング本体21は、入口ポート23と出口ポート(膨張室)25とを有し、入口ポート23と出口ポート25との間に、主弁室27、主弁ポート29を有している。また、ハウジング本体21には、蒸発器9より圧縮機1への冷媒通路の一部をなす貫通冷媒通路22が形成されており、この貫通冷媒通路22の両側に冷媒管19a、19bが連通接続されている。
【0031】
主弁室27にはボール状の主弁体31が設けられている。主弁体31は、弁座部33に着座することにより主弁ポート29を閉じ、弁座部33よりの離間量(リフト量)により開弁量(冷媒流量)を定量的に制御する。
【0032】
主弁室27には、ハウジング本体21に調節可能にねじ止めされたアジャスタブルばねリテーナ35と、弁体側ばねリテーナ37と、アジャスタブルばねリテーナ35と弁体側ばねリテーナ37との間に設けられた設定ばね39とが設けられている。
【0033】
設定ばね39は、通常のばね材により構成され、この設定ばね39が発生するばね荷重は、図1で見て上向きの閉弁方向のばね荷重であり、対抗ばね荷重を担っている。
【0034】
ハウジング本体21にはダイヤフラムケース41、43が取り付けられている。ダイヤフラムケース41、43内にはダイヤフラム45が張られてあり、ダイヤフラム45の上下両側に圧力室47、49が画定されている。
【0035】
ダイヤフラムケース43には、冷媒管11、13、15、17、19a、19bを流れる冷媒と同じ冷媒を圧力室47に封入する際に用いられ、封入後に封止される封入管51が取付られており、ダイヤフラム45の上側の圧力室47の内圧は、従来のものと同様に、貫通冷媒通路22を横切って延在する連結棒57が貫通冷媒通路22を流れる蒸発器9よりの冷媒流中に曝されて、この連結棒57よりリテーナ55、ダイラフラム45を経て圧力室47へ伝わる、蒸発器9の出口側の冷媒温度に相応して変化する。
【0036】
ダイヤフラム45の下側の圧力室49は、孔53によって貫通冷媒通路22と連通しており、蒸発器9の出口側の冷媒圧力が及ぼされる。
【0037】
圧力室49には、ダイヤフラム45に応動するリテーナ55が設けられており、リテーナ55と弁体31とがハウジング本体21より上下動可能に支持された連結棒57によって連繋している。
【0038】
上述の構造(通常構成)により、主弁体31は、圧力室47と圧力室49との差圧による開弁力と、設定ばね39による閉弁力との平衡関係で開弁量を設定される。これにより、温度膨張弁7は、従来のものと同様に、蒸発器9の温度負荷量に相応して開弁量を設定され、蒸発器9の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、過熱度を規定値に保つ。
【0039】
ハウジング本体21には主弁ポート29をバイパスして入口ポート23と出口ポート25とを連通接続するバイパス通路59が形成されており、バイパス通路59は、バイパス通路入口59aによって入口ポート23に開口し、バイパス通路出口59bによって出口ポート25に開口している。ハウジング本体21には、バイパス通路59の途中に相当する部位にバイパス弁室61が形成されている。バイパス弁室61はシール部材63を挟んでスナップリング65によってハウジング本体21に気密に装着されたカバー67によって密閉されている。
【0040】
バイパス弁室61にはボール状のバイパス弁体69が設けられている。バイパス弁体69は、弁座部71に着座することによりバイパス通路入口59aとバイパス通路出口59bとの間に形成されているバイパス弁ポート73を閉じ、弁座部71より離間することによりバイパス弁ポート73を開く。
【0041】
カバー67と弁体側ばねリテーナ75との間には戻しばね77が設けらており、戻しばね77はバイパス弁体69を閉弁方向へ付勢している。
【0042】
ハウジング本体21には、シール部材79、ばねリテーナ81、スナップアクション感圧素子83、カバープレート85がスナップリング87によって順に取り付けられている。
【0043】
スナップアクション感圧素子83は、ハウジング本体21より自身の軸線方向に移動可能に支持された連結棒91によってバイパス弁体69と連繋されていて、スナップアクション感圧素子83のスナップアクションがバイパス弁体69に伝わるように構成されている。
そして、このスナップアクション感圧素子83は、バイパス弁体69が弁座部71より離間してバイパス弁ポート73を開く向きに反転変形していて、このスナップアクション感圧素子83自身が有する機械的対抗相当圧力以上の圧力を連結棒91側から受けると、バイパス弁体69が弁座部71に着座しバイパス弁ポート73を閉じる向きに反転変形するように構成されている。
【0044】
また、スナップアクション感圧素子83とカバープレート85との間には、連結棒91側からスナップアクション感圧素子83が受ける圧力によってバイパス弁体69がバイパス弁ポート73を開く向きに反転変形する際の、連結棒91の軸方向におけるスナップアクション感圧素子83の移動量を規定するために、カバープレート85にスナップアクション感圧素子83が接触する位置を最大移動量とする移動空間室82が画定されている。
さらに、スナップアクション感圧素子83の連結棒91側、つまり、ばねリテーナ81とスナップアクション感圧素子83との間には圧力室89が画定されており、圧力室89には凝縮器3の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力Pc)を導入される。
【0045】
そして、連結棒91を介したスナップアクション感圧素子83とバイパス弁体69との連繋により、バイパス弁体69は、スナップアクション感圧素子83が図3で見て左側に反転変形した状態にある時には、戻しばね77のばね力により弁座部71に着座してバイパス弁ポート73を閉じ、これに対しスナップアクション感圧素子83が図3で見て右側(図示状態)に反転変形した状態にある時には、戻しばね77のばね力に抗して弁座部71より離間してバイパス弁ポート73を開くようになる。
【0046】
スナップアクション感圧素子83は、圧力室89の圧力、すなわち凝縮圧力Pcが所定値、つまり、スナップアクション感圧素子83の機械的対抗相当圧力以上である場合には、この機械的対抗相当圧力に抗してスナップアクションにより図3で見て左側に反転変形した状態になり、圧力室89の圧力(凝縮圧力Pc)が所定値以下になると、すなわち凝縮圧力時には、スナップアクション感圧素子83の機械的対抗相当圧力により戻しばね77のばね力に抗してスナップアクションして図3で見て右側に反転変形した状態になる。
【0047】
上述の構成により、凝縮圧力Pcが所定値以上であれば、スナップアクション感圧素子83は図3で見て左側に反転変形した状態にあり、バイパス弁体69は、戻しばね77のばね力によって弁座部71に着座し、バイパス弁ポート73を閉じている。
【0048】
従って、凝縮圧力Pcが所定値以上である定常時には、バイパス通路59における冷媒流量は零になり、冷凍冷蔵装置における循環冷媒流量は主弁体31の開弁量により通常通りに決まる。
【0049】
これに対し、凝縮圧力Pcが所定値以下になると、スナップアクション感圧素子83がその機械的対抗相当圧力により戻しばね77のばね力に抗してスナップアクションして図3で見て右側に反転変形し、バイパス弁体69が連結棒91によって押されて弁座部71より離間し、バイパス弁ポート73を開くようになる。
【0050】
従って、凝縮圧力Pcが所定値以下になると、バイパス通路59を冷媒が流れるようになり、このバイパス冷媒流量分だけ、定常時により冷凍冷蔵装置における循環冷媒流量が増えることになる。
【0051】
これにより、凝縮圧力Pcが低い時に蒸発器9に供給される冷媒の流量が増加し、凝縮圧力Pcが定常圧状態の時の温度膨張弁7の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時の冷媒流量不足が解消される。
【0052】
低凝縮圧力時にバイパス弁体69が開弁してバイパス通路59を冷媒が流れているときも、温度膨張弁7によって過熱度を所定値に保つ制御がフィードバック制御式に行われるから、この時も過熱度が所定値に保たれ、年間を通して冷凍冷蔵装置の性能が維持される。
【0053】
しかも、蒸発器9側、つまり圧縮機1の上流側の冷媒温度(圧力)が凝縮器3側、つまり圧縮機1の下流側の冷媒温度(圧力)よりも大変低い状態で圧縮機1が停止した場合でも、バイパス弁体69の開弁によってバイパス通路59を冷媒が流れることにより、圧縮機1の上流側と下流側の冷媒圧力の差が緩和されるので、その後の再駆動時に大きな負荷が圧縮機1にかかることも回避され、これにより圧縮機1の寿命が確保される。
【0054】
バイパス弁体69は、スナップアクション感圧素子83のスナップアクションによって閉弁位置と開弁位置の2位置のみを取るから、図4に示されているように、バイパス冷媒流量は、閉弁(バイパス弁閉)時の0と開弁(バイパス弁開)時の所定値Q’とにオン・オフ的に決まり、その切換圧は、スナップアクション感圧素子83の機械的対抗相当圧力によって決まる。
【0055】
これらのことにより、凝縮圧力に感応するスナップアクション感圧素子83の特性設定を任意にでき、またバイパス弁開閉特性、バイパス冷媒流量の設定、すなわち低凝縮圧力時の冷媒流量補正特性の設定を、温度膨張弁7の機能、特性設定とは個別に、容易に、正確かつ適切に行えるようになると共に、取付後の調整が不要になる。
【0056】
また、バイパス弁体69の開閉動作は、圧力スイッチと電磁開閉弁との組み合わせによる低凝縮圧力時の冷媒流量補正装置と等価のものなり、これを低コスト及び省エネルギーで実現することができる。
【0057】
また、バイパス通路59、バイパス弁体69、戻しばね77、スナップアクション感圧素子83等によるバイパス弁構造が温度膨張弁7に組み込まれていることにより、取付性、スペース性がよい。
【0058】
(実施の形態2)
図5はこの発明による冷媒流量補正用バイパス弁およびその冷媒流量補正用バイパス弁を含む冷凍冷蔵装置を示している。なお、図5において、図1に対応する部分は図1に付した符号と同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0059】
この実施の形態による冷凍冷蔵装置では、温度膨張弁7をバイパスして冷媒管15と17とを接続するバイパス配管99が設けられており、このバイパス配管99の途中に、当該バイパス配管99をオン・オフ的に開閉する冷媒流量補正用バイパス弁101が設けられている。
【0060】
冷媒流量補正用バイパス弁101はハウジング本体103を有している。
ハウジング本体103は、凝縮器3側に入口ポート105を、蒸発器9側に出口ポート107を、入口ポート105と出口ポート107との間に弁室109および弁ポート111を有している。
【0061】
弁室109にはボール状の弁体113が設けられている。弁体113は、弁座部115に着座することにより弁ポート111を閉じ、弁座部115より離間することにより弁ポート111を開く。
【0062】
ハウジング本体103には、シール部材117を挟んでスナップリング119によってばねリテーナ121が気密に装着されている。ばねリテーナ121と弁体側ばねリテーナ123との間には戻しばね125が設けられており、戻しばね125は弁体113を閉弁方向へ付勢している。
また、ハウジング本体103には、シール部材127、リテーナ129、スナップアクション感圧素子131、カバープレート133が順に取り付けられている。
【0063】
スナップアクション感圧素子131は、ハウジング本体103より自身の軸線方向に移動可能に支持された連結棒137によって弁体113と連繋されていて、スナップアクション感圧素子131のスナップアクションが弁体113に伝わるように構成されている。
そして、このスナップアクション感圧素子131は、弁体113が弁座部115より離間して弁ポート111を開く向きに反転変形していて、このスナップアクション感圧素子131自身が有する機械的対抗相当圧力以上の圧力を連結棒137側から受けると、弁体113が弁座部115に着座し弁ポート111を閉じる向きに反転変形するように構成されている。
【0064】
また、スナップアクション感圧素子131とカバープレート133との間には、連結棒137側からスナップアクション感圧素子131が受ける圧力によって弁体113が弁ポート111を開く向きに反転変形する際の、連結棒137の軸方向におけるスナップアクション感圧素子131の移動量を規定するために、カバープレート133にスナップアクション感圧素子131が接触する位置を最大移動量とする移動空間室132が画定されている。
さらに、スナップアクション感圧素子13の連結棒137側、つまり、ばねリテーナ129とスナップアクション感圧素子131との間には圧力室135が画定されており、圧力室135には凝縮器3の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力Pc)を導入される。
【0065】
そして、連結棒137を介したスナップアクション感圧素子131と弁体113との連繋により、弁体113は、スナップアクション感圧素子131が図5で見て上側に反転変形した状態にある時には、戻しばね125のばね力により弁座部115に着座して弁ポート111を閉じ、これに対しスナップアクション感圧素子131が図5で見て下側(図示状態)に反転変形した状態にある時には、戻しばね125のばね力に抗して弁座部115より離間して弁ポート111を開くようになる。
【0066】
スナップアクション感圧素子131は、圧力室135の圧力、すなわち凝縮圧力Pcが所定値、つまり、スナップアクション感圧素子137の機械的対抗相当圧力以上である場合には、この機械的対抗相当圧力に抗してスナップアクションにより図5で見て上側に反転に変形した状態になり、圧力室135の圧力(凝縮圧力Pc)が所定値以下になると、すなわち低凝縮圧力時には、スナップアクション感圧素子131の機械的対抗相当圧力により戻しばね125のばね力に抗してスナップアクションして図5で見て下側に反転変形した状態になる。
【0067】
上述の構成により、凝縮圧力Pcが所定値以上であれば、スナップアクション感圧素子131は図5で見て上側に反転変形した状態にあり、弁体113は、戻しばね125のばね力によって弁座部115着座し、弁ポート111を閉じている。
【0068】
従って、凝縮圧力Pcが所定値以上である定常時には、バイパス配管99における冷媒流量は零になり、冷凍冷蔵装置における循環冷媒流量は温度膨張弁7の開弁量により通常通りに決まる。
【0069】
これに対し、凝縮圧力Pcが所定値以下になると、スナップアクション感圧素子131がその機械的対抗相当圧力により戻しばね125のばね力に抗してスナップアクションして図5で見て下側に反転変形し、弁体113が連結棒137によって押されて弁座部115より離間し、弁ポート111を開くようになる。
【0070】
従って、この実施の形態でも、凝縮圧力Pcが所定値以下になると、バイパス配管99を冷媒が流れるようになり、このバイパス冷媒流量分だけ、定常時により冷凍冷蔵装置における循環冷媒流量が増えることになる。
【0071】
これにより、凝縮圧力Pcが低い時に蒸発器9に供給される冷媒の流量が増加し、凝縮圧力Pcが定常圧状態の時の温度膨張弁7の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時の冷媒流量不足が解消される。
【0072】
また、この実施の形態でも、低凝縮圧力時に弁体113が開弁してバイパス配管99を冷媒が流れているときも、温度膨張弁7によって過熱度を所定値に保つ制御がフィードバック制御式に行われるから、低凝縮圧力時でも過熱度が所定値に保たれ、年間を通して冷凍冷蔵装置の性能が維持される。
【0073】
しかも、この実施の形態でも、蒸発器9側、つまり圧縮機1の上流側の冷媒温度(圧力)が凝縮器3側、つまり圧縮機1の下流側の冷媒温度(圧力)よりも大変低い状態で圧縮機1が停止した場合でも、弁体113の開弁によってバイパス配管99を冷媒が流れることにより、圧縮機1の上流側と下流側の冷媒圧力の差が緩和されるので、その後の再駆動時に大きな負荷が圧縮機1にかかることも回避され、これにより圧縮機1の寿命が確保される。
【0074】
なお、温度膨張弁7の封入管51は蒸発器9の出口側の冷媒管19を流れる冷媒温度に感応するように取り付けられ、封入管51と温度膨張弁7の圧力室47とはキャピラリチューブ52により接続されている。この温度膨張弁7は従来通りのものでよい。
【0075】
また、この実施の形態でも、弁体113は、スナップアクション感圧素子131のスナップアクションによって閉弁位置と開弁位置の2位置のみを取るから、実施の形態1における場合と同様に、図4に示されているように、バイパス冷媒流量は、閉弁(バイパス弁閉)時の0と開弁(バイパス弁開)時の所定値Q’とにオン・オフ的に決まり、その切換圧は、スナップアクション感圧素子131の機械的対抗相当圧力によって決まる。
【0076】
これらのことにより、凝縮圧力に感応するスナップアクション感圧素子131の特性設定を任意にでき、またバイパス弁開閉特性、バイパス冷媒流量の設定、すなわち低凝縮圧力時の冷媒流量補正特性の設定を、温度膨張弁7の機能、特性設定とは個別に、容易に、正確かつ適切に行えるようになると共に、取付後の調整が不要になる。
【0077】
また、弁体113の開閉動作は、圧力スイッチと電磁開閉弁との組み合わせによる低凝縮圧力時の冷媒流量補正装置と等価のものとなり、これを低コスト及び省エネルギーで実現することができる。
【0078】
また、この実施の形態では、バイパス配管99の出口側の接続は、要求特性等に応じて、図5に符号99aにより示されているように、蒸発器9の中間部や、図5に符号99bにより示されているように、蒸発器9の出口部等に、容易に設計変更することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置によれば、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置において、前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に冷媒流量補正用バイパス弁が設けられ、当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しているものとした。
【0080】
このため、凝縮器の出口側の冷媒圧力が所定値以下になると、スナップアクション感圧素子がスナップアクションし、冷媒流量補正用バイパス弁の弁体を開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになるから、凝縮圧力が定常圧状態の時の温度膨張弁の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時には循環冷媒流量が増加し、蒸発器への冷媒供給量不足が解消され、低凝縮圧力時でも所要の冷房、除湿効果が得られ、また、圧縮機への冷凍機オイル戻り不足が生じることも回避され、圧縮機の寿命を確保することができる。
【0081】
しかも、蒸発器側、つまり圧縮機の上流側の冷媒温度(圧力)が凝縮器側、つまり圧縮機の下流側の冷媒温度(圧力)よりも大変低い状態で圧縮機が停止した場合でも、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる冷媒流量補正用バイパス弁の弁体の開弁によってバイパス通路を冷媒が流れて、凝縮器側から蒸発器側への供給冷媒流量が増加することにより、圧縮機の上流側と下流側の冷媒圧力の差が緩和されるので、その後の再駆動時に大きな負荷が圧縮機にかかることも回避され、これによっても圧縮機の寿命を確保することができる。
【0082】
請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁によれば、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置で使用される冷媒流量補正用バイパス弁であって、当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に設けられ、当該バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しているものとした。
【0083】
このため、凝縮器の出口側の冷媒圧力が所定値以下になると、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによって弁体が開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになるから、凝縮圧力が定常圧状態の時の温度膨張弁の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時には循環冷媒流量が増加し、蒸発器への冷媒供給量不足が解消され、低凝縮圧力時でも所要の冷房、除湿効果が得られ、また、圧縮機への冷凍機オイル戻り不足が生じることも回避され、圧縮機の寿命を確保することができる。
【0084】
しかも、蒸発器側、つまり圧縮機の上流側の冷媒温度(圧力)が凝縮器側、つまり圧縮機の下流側の冷媒温度(圧力)よりも大変低い状態で圧縮機が停止した場合でも、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる弁体の開弁によってバイパス通路を冷媒が流れて、凝縮器側から蒸発器側への供給冷媒流量が増加することにより、圧縮機の上流側と下流側の冷媒圧力の差が緩和されるので、その後の再駆動時に大きな負荷が圧縮機にかかることも回避され、これによっても圧縮機の寿命を確保することができる。
【0085】
請求項3に記載の発明による温度膨張弁によれば、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ冷凍冷蔵装置用の温度膨張弁において、蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御するための主弁ポート部をバイパスして入口ポートと出口ポートとを連通接続するバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパス弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記バイパス弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを組み込まれているものとした。
【0086】
このため、凝縮器の出口側の冷媒圧力が所定値以下になると、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによってバイパス弁体が開弁し、バイパス通路を冷媒が流れるようになるから、凝縮圧力が定常圧状態の時の温度膨張弁の開弁特性に影響を与えることなく、低凝縮圧力時には循環冷媒流量が増加し、蒸発器への冷媒供給量不足が解消され、低凝縮圧力時でも所要の冷房、除湿効果が得られ、また、圧縮機への冷凍機オイル戻り不足が生じることも回避され、圧縮機の寿命を確保することができる。
【0087】
しかも、蒸発器側、つまり圧縮機の上流側の冷媒温度(圧力)が凝縮器側、つまり圧縮機の下流側の冷媒温度(圧力)よりも大変低い状態で圧縮機が停止した場合でも、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによるバイパス弁体の開弁によってバイパス通路を冷媒が流れて、凝縮器側から蒸発器側への供給冷媒流量が増加することにより、圧縮機の上流側と下流側の冷媒圧力の差が緩和されるので、その後の再駆動時に大きな負荷が圧縮機にかかることも回避され、これによっても圧縮機の寿命を確保することができる。
【0088】
請求項4に記載の発明による温度膨張弁は、請求項3に記載の温度膨張弁において、また、請求項1に記載の発明による冷凍冷蔵装置と、請求項2に記載の発明による冷媒流量補正用バイパス弁によれば、いずれも、前記スナップアクション感圧素子の一方の側に、前記凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応した前記スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる閉弁側への移動量を規定する移動空間室が画定され、前記スナップアクション感圧素子の他方の側に前記凝縮器の出口側の冷媒圧力を与えられる圧力室が画定され、前記スナップアクション感圧素子は、前記圧力室の圧力が前記スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上の時には、該機械的対抗相当圧力に抗して前記圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、前記圧力室の圧力が前記機械的対抗相当圧力以下である時には、該機械的対抗相当圧力により開弁側に反転変形するものとした。
【0089】
このため、弁体ないしバイパス弁体は、スナップアクション感圧素子のスナップアクションによって閉弁位置と開弁位置の2位置のみを取り、バイパス冷媒流量は、閉弁時の0と開弁時の所定値とにオン・オフ的に決まるから、弁開閉特性をスナップアクション感圧素子の機械的対抗相当圧力によって、正確、かつ確実に設定でき、低凝縮圧時の冷媒流量補正が高精度に、しかも確実に行われるようになると共に、取付後の調整が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による温度膨張弁およびその温度膨張弁を含む冷凍冷蔵装置の一つの実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示されている温度膨張弁の側面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】この発明による温度膨張弁に組み込まれているバイパス弁の開閉特性を示すグラフである。
【図5】この発明による冷媒流量補正用バイパス弁およびその冷媒流量補正用バイパス弁を含む冷凍冷蔵装置の一つの実施の形態を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
3 凝縮器
5 コンデンサ
7 温度膨張弁
9 蒸発器
21 ハウジング本体
22 貫通冷媒通路
23 入口ポート
25 出口ポート
27 主弁室
29 主弁ポート
31 主弁体
39 設定ばね
45 ダイヤフラム
47、49 圧力室
51 封入管
57 連結棒
59 バイパス通路
61 バイパス弁室
69 バイパス弁体
73 バイパス弁ポート
77 戻しばね
82 移動空間室
83 スナップアクション感圧素子
89 圧力室
91 連結棒
99 バイパス配管
101 冷媒流量補正用バイパス弁
105 入口ポート
107 出口ポート
109 弁室
111 弁ポート
113 弁体
125 戻しばね
131 スナップアクション感圧素子
132 移動空間室
135 圧力室
137 連結棒

Claims (4)

  1. 蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置において、
    前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に冷媒流量補正用バイパス弁が設けられ、当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しており、
    前記スナップアクション感圧素子の一方の側に、前記凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応した前記スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる閉弁側への移動量を規定する移動空間室が画定され、
    前記スナップアクション感圧素子の他方の側に前記凝縮器の出口側の冷媒圧力を与えられる圧力室が画定され、
    前記スナップアクション感圧素子は、前記圧力室の圧力が前記スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上の時には、該機械的対抗相当圧力に抗して前記圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、前記圧力室の圧力が前記機械的対抗相当圧力以下である時には、該機械的対抗相当圧力により開弁側に反転変形する
    ことを特徴とする冷凍冷蔵装置。
  2. 蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ温度膨張弁を冷媒循環経路に有する冷凍冷蔵装置で使用される冷媒流量補正用バイパス弁であって、
    当該冷媒流量補正用バイパス弁は、前記温度膨張弁をバイパスするバイパス通路の途中に設けられ、当該バイパス通路を開閉する弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを有しており、
    前記スナップアクション感圧素子の一方の側に、前記凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応した前記スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる閉弁側への移動量を規定する移動空間室が画定され、
    前記スナップアクション感圧素子の他方の側に前記凝縮器の出口側の冷媒圧力を与えられる圧力室が画定され、
    前記スナップアクション感圧素子は、前記圧力室の圧力が前記スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上の時には、該機械的対抗相当圧力に抗して前記圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、前記圧力室の圧力が前記機械的対抗相当圧力以下である時には、該機械的対抗相当圧力により開弁側に反転変形する
    ことを特徴とする冷媒流量補正用バイパス弁。
  3. 蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御し、蒸発器出口側の冷媒の過熱度を所定値に保つ冷凍冷蔵装置用の温度膨張弁において、 蒸発器の温度負荷量に相応して循環冷媒流量を制御するための主弁ポート部をバイパスして入口ポートと出口ポートとを連通接続するバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉するバイパス弁体と、凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応してスナップアクションし当該冷媒圧力が所定値以下の場合には前記バイパス弁体を開弁させるスナップアクション感圧素子とを組み込まれていることを特徴とする温度膨張弁。
  4. 前記スナップアクション感圧素子の一方の側に、前記凝縮器の出口側の冷媒圧力に感応した前記スナップアクション感圧素子のスナップアクションによる閉弁側への移動量を規定する移動空間室が画定され、前記スナップアクション感圧素子の他方の側に前記凝縮器の出口側の冷媒圧力を与えられる圧力室が画定され、前記スナップアクション感圧素子は、前記圧力室の圧力が前記スナップアクション感圧素子自身に設定された機械的対抗相当圧力以上の時には、該機械的対抗相当圧力に抗して前記圧力室の圧力により閉弁側に反転変形し、前記圧力室の圧力が前記機械的対抗相当圧力以下である時には、該機械的対抗相当圧力により開弁側に反転変形することを特徴とする請求項3に記載の 温度膨張弁。
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