JP3712317B2 - 筒形コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極ロールを筒形金属缶からなるケ−スに収容して構成される筒形コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の筒形コンデンサは、負極箔及び正極箔をたとえば電解液を含浸した電解紙のような絶縁スペーサで挟んで巻回してなる電極ロールを筒状のケ−スに収容し、ケ−スの端面に固定された負極端子及び正極端子と負極箔及び正極箔を個別に接続して構成されている。
【0003】
従来の電極ロールを図5に示す。
1aは負極箔、2aは正極箔、3a、4aは絶縁スペーサ、11aは絶縁スペーサ3aの最外周タ−ン、6aは負極箔1aの端縁から軸方向に突設されるタブリ−ド、7aは正極箔2aの端縁から軸方向に突設されるタブリ−ドである。タブリ−ド6aはケ−スの端面に突設される負極端子に溶接され、タブリ−ド7aはケ−スの端面に突設される正極端子に溶接されている。
【0004】
負極箔1aは正極箔2aよりも外周側すなわちケースの内周面に近接しており、ケースは筒形金属缶からなり、負極に導通されている。
従来においては、絶縁スペーサ3a、4aは周方向および軸方向において負極箔1aおよび正極箔2aよりも大きく(広く)形成されており、これにより、両箔1a、2aの絶縁が確保されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の筒形コンデンサ、特に、電力用コンデンサでは、その放熱が問題となっている。
すなわち、その内部における抵抗損失や誘電体損失による内部温度上昇は、ケース内部の液体又は固体の体積増加や、電解液の蒸発などによる性能劣化を生じさせる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、内部温度上昇の抑止性に優れた筒形コンデンサを提供することをその解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の構成によれば、負極箔の最外周タ−ンの少なくとも一部を絶縁スペーサの介在なしにケースの内周面に放熱のため接触させている。
このようにすれば、コンデンサの内部からの放熱性を向上して、その性能劣化を抑止することができる。
【0008】
以下、本構成の作用効果について更に詳細に説明する。
筒形コンデンサにおける内部発熱は、電極ロールの各部でほぼ均等に発生すると考えられる。この内部発熱は、両箔で生じる抵抗損失、及び、電解液が含浸された絶縁スペーサで生じる誘電体損失からなる。
電極ロールの中央部で発生した熱は電極ロールの中心から径方向及び軸方向に貫流するが、この貫流経路における熱抵抗は絶縁スペーサの存在のために大きかった。また、電極ロールの中央部で発生した熱は良熱伝導体である両箔を通じて渦巻状外側へ流れるが、この伝熱経路における熱抵抗は絶縁スペーサがないため比較的、小さい。
【0009】
更に説明すると、従来では上述したように、電気絶縁のために絶縁スペーサの周方向展開長および軸方向幅は両箔のそれらよりも大きく形成されているため、負極箔の最外周タ−ンは絶縁スペーサを介してケース内周面に対面乃至接触することになり、また、両箔の軸方向底側端縁も絶縁スペーサ部分によりケースの底板から大きく隔離され、更に、両箔の軸方向上側端縁はガス吸収用の空間及び絶縁スペーサ部分によりケースから熱的に隔離されるので、結局、優れた熱伝導材とは言いがたい絶縁スペーサの介在のために、電極ロールからケースへの放熱は良好ではなかった。
【0010】
これに対し、本構成では、負極箔の最外周タ−ンを従来被覆していた絶縁スペーサの最外周タ−ンを縮小することにより、負極箔の最外周タ−ンは、ケースの内周面に直接に接触しているので、負極箔の最外周タ−ンからケースの内周面への伝熱抵抗が格段に改善される
更に、電極ロールの中央部における両箔や絶縁スペーサで発生した熱は、負極箔や正極箔を渦巻状外側へ金属熱伝導により良好に伝達されることができるので、結局、本構成によれば、従来より格段に放熱性に優れ、熱的性能劣化が少ない筒形コンデンサを実現することができる。
【0012】
請求項2記載の構成によれば請求項1記載の筒形コンデンサにおいて更に、ケース及び電極ロールは扁平缶形状とされる。扁平缶形状のケースを用いる筒形コンデンサでは、電極ロールを円筒形状のケースに収容した後、全体を扁平化することにより、露出する負極箔の最外周タ−ンはケースの内周面に良好に密着することになり、一層の放熱性の向上を実現することができる。
【0015】
【発明を実施するための形態】
本発明の好適な態様を以下の実施例を参照して説明する。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
この実施例の筒形コンデンサを、その縦断面図を示す図1を参照して以下に説明する。
有底筒形の金属缶からなるケ−ス5には、電極ロール8が収容されており、そのタブリ−ド6、7は負極端子9及び正極端子10に個別に溶接されている。80は両端子9、10を互いに電気絶縁しつつケース5の開口を塞ぐ蓋板である。
【0017】
この実施例の特徴をなす電極ロール8を図2を参照して説明する。
図2の電極ロール8は、図5に示す電極ロール8aと全く同じ構造であるが、ただ、負極箔1の最外周タ−ン11の周方向外端縁12は絶縁スペーサ3の最外周タ−ンの周方向外端縁32よりも延長されており、これにより負極箔1の最外周タ−ン11の外表面はほぼその全周にわたって露出している。
【0018】
図3に、図2の電極ロール8をケース5に収容する工程を模式的に説明する。
円筒缶からなるケース5にそれより径小な電極ロール8を収容し(a)、その後、ケース5を一径方向に圧縮、変形して扁平缶形状とする(b)。
これにより、露出する負極箔1の最外周タ−ン11はケース5の内周面に良好に密着することになり、放熱性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の筒形コンデンサの縦断面図である
【図2】図1の電極ロール8の斜視図である。
【図3】実施例1の筒形コンデンサの製造工程を示す模式横断面図である
【図4】従来の電極ロールの斜視図である。
【符号の説明】
1は負極箔、2は正極箔、3、4は絶縁スペーサ、8は電極ロール、5はケ−ス、11は負極箔1の最外周タ−ン。

Claims (2)

  1. 負極箔及び正極箔を絶縁スペーサで挟んで巻回してなる電極ロールと、前記電極ロールを収容する筒形金属缶からなるケ−スとを備える筒形コンデンサにおいて、
    前記負極箔の最外周タ−ンの少なくとも一部は、前記絶縁スペーサの介在なしに前記ケースの内周面に放熱のため接触していることを特徴とする筒形コンデンサ。
  2. 請求項1記載の筒形コンデンサにおいて、
    前記ケース及び前記電極ロールは扁平缶形状を有することを特徴とする筒形コンデンサ。
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