JP3712151B2 - 多段積載型熱処理用治具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、被熱処理物を多段に積載し熱処理するために用いる治具、詳しくは、薄板ガラス等の電子機器用部材の熱処理を行うに際し、これを多量に処理するのに好適な熱処理用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に用いられるガラス、例えば、液晶ディスプレイパネルの基板ガラスには厚さ1mm前後の極めて平坦度の高い薄板ガラスが用いられる。公知の工業的成形法により製造された薄板ガラスには多少の反りが存在するのが普通であり、この反りは熱処理により修正されるが、この熱処理工程においては、熱処理を受ける薄板ガラスは熱処理用治具に載置され、加熱されるのが一般的である。
【0003】
具体的には、被熱処理物は、耐熱性を有する材料からなる熱処理用治具に載置された状態で熱処理炉内に導入され、炉内で昇温加熱され、徐冷された後、熱処理炉から搬出されるといった工程を経る。
【0004】
上記の薄板ガラスの熱処理を行う場合、使用する熱処理用治具は、熱処理工程中に薄板ガラスに悪い影響を及ぼすものであってはならない。すなわち、熱処理用治具それ自体に薄板ガラスに変形を生じせしめるような熱的変形があってはならず、しかも、薄板ガラスを汚染、損傷させる原因を生じさせないものであることが要求される。
【0005】
一方、熱処理を効率よく行うには、一定時間内に熱処理炉に搬送する薄板ガラスの数量できるだけ多くする必要があるが、炉内水平面積の制約から、薄板ガラスを載置する熱処理用治具を多量に設置できないため、垂直方向の熱処理炉内の空間を利用することが要求され、この手段として熱処理用治具を積み重ねる方法が一般に知られている。
【0006】
従来、熱処理用治具として、図4に示すようなアルミナセラミックスの棚板21に、これと同種の材料からなる球22を棚板間に介在させ、一定の間隙を設けて棚板21を積み重ねるものが一般的に知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の熱処理用治具は、熱膨張係数が約71×10-7/℃のアルミナセラミックスからなるため、熱変化による膨張および収縮が大きく、治具自体に変形が生じ、棚板21の上に載置されている薄板ガラス23に反りを生じせしめる。また、この熱処理用治具は、アルミナセラミックス微粉末よりなる焼結体であるため、内部に多数の気孔が存在し、昇温に伴い気孔に内在していた不純物質がガスとして発生し、薄板ガラス23を汚染するといった問題があった。
【0008】
さらに、上記の熱処理用治具では、棚板21の四隅角部付近に形成した、球の径より小さな径の貫通孔25に、球22の一部を嵌入させることにより棚板21を積み重ねる方法を採用しているが、この方法によれば、上記の材料特性の問題に加えて、棚板21の板厚との関係から球22の径に制約がある、すなわち、棚板21に形成された貫通孔25への球22の嵌入部が棚板21の板厚より小さいことが要求されるため、棚板間の間隔が狭くなり、炉内の雰囲気温度の流通が円滑に行われない結果、薄板ガラス23の加熱に長時間を必要とする。さらに、熱処理工程およびその前後の搬送工程において、球22が棚板21の貫通孔25からずれて脱落し、その結果、棚板21が薄板ガラス23の上に落下して薄板ガラス23を損傷させるといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み提案されたもので、その目的とするところは、被熱処理物を載置して熱処理炉内で熱処理するための治具において、治具自体に熱的変形が少なく、被熱処理物を定位置に保持し、かつ、被熱処理物同士を接触させることなく多段に積載して熱処理炉に搬送加熱することができる熱処理用治具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の熱処理用治具は、被熱処理物が載置される平坦面を有し、熱膨張係数が15×10-7/℃以下の結晶化ガラスからなる板状の棚板を備え、該棚板の四隅角部付近のそれぞれに貫通孔が設けられ、該貫通孔の上下に嵌入され接合された結晶化ガラスからなる積み重ね用の支柱が取り付けられた中段の棚板と、該支柱が当接する上下段の棚板からなることを特徴とし、さらに、該支柱が当接する上下段の棚板に、ずれ防止部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る熱処理用治具の棚板に使用する結晶化ガラスは、熱膨張係数が15×10-7/℃以下のものが好ましい。この結晶化ガラスは、熱膨張が少ないため熱処理工程で高温状態に曝されても熱的変形がほとんどなく、被熱処理物を載置する棚板は長時間にわたり平坦性を維持することができる。また、棚板に嵌入される支柱は、棚板と同じ材料であることが好ましいが、異なった結晶化ガラスでもよい。この結晶化ガラスは、高温下でガラス成分が表面に溶出するため、支柱は、熱処理工程中において上下段の棚板からの加圧により容易に溶着固定することができる。なお、この結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製「ネオセラムN−0、N−11」)は、前記の熱膨張特性のみならず、機械的強度、化学的特性においても優れている。
【0012】
本発明に係る熱処理用治具は、棚板を積み重ねるため、棚板の四隅角部付近のそれぞれに貫通孔を形成し、該貫通孔に同形状の支柱の端部を上下に嵌入し接合した中段の棚板と、該支柱が当接する上下段の棚板によって構成される。
【0013】
棚板を積み重ねるに際し、棚板が支柱からずれて脱落するのを防止するための構造として、支柱に当接する上下段の棚板の四隅角部付近のそれぞれに支柱の頭部を受容するためのずれ防止部を形成している。
【0014】
なお、棚板が支柱からずれて脱落するのを防止するための構造として、棚板の四隅角部付近のそれぞれに、支柱の頭部の径よりも小さい径の貫通孔を設け、支柱の頭部を円錐形状に加工したものを該貫通孔に嵌入させてもよい。
【0015】
【作用】
本発明の熱処理用治具を構成する棚板は、熱膨張係数が15×10-7/℃以下の結晶化ガラスからなるので、熱処理炉の高温下で膨張および収縮が少なく、棚板自体に生じる熱的変形はほとんどない。この結果、被熱処理物の反りを適正に修正することができる。また、結晶化ガラスであって、アルミナセラミックス焼結体のように内部に気孔が存在しないので、昇温時に不純物ガスを発生することがなく、薄板ガラスの表面を汚染しない。さらに、支柱により棚板と棚板との間に雰囲気温度の流通に必要な間隙を得ることができる。また、支柱が当接する上下段の棚板に、ずれ防止部が設けられているため、熱処理工程中に棚板が支柱からずれて脱落することがなく、棚板を定位置に多段に積み重ねることができる。
【0016】
【実施例】
本発明の実施例を図1から図4までに示して説明する。
【0017】
図1は、本発明の熱処理用治具を示しており、支柱2を介して一定間隔を設けて積み重ねた棚板1の上に、熱処理を受ける薄板ガラス3を載置した状態を示す斜視図である。
【0018】
棚板1は、熱膨張係数が15×10-7/℃以下の結晶化ガラスからなっており、その上に載置される薄板ガラス3より若干大き目の矩形状を有し、例えば、厚さ5mm程度の平坦な板である。支柱2は、棚板1と同じ、もしくは異なる結晶化ガラスからなっており、棚板1の四隅角部付近に設けた貫通孔に上下から互いに嵌入され接合されている。
【0019】
図2は、図1における熱処理用治具の要拡大断面図である。棚板1aは、その四隅角部付近のそれぞれに7mmの径の貫通孔4が形成してある。支柱2は、棚板1を積み重ねるための手段であり、棚板1を定位置に保持し、かつ、棚板1同士の間隙に雰囲気温度を十分に流通させるために必要である。詳しくは、支柱2は、頭部の径が10mm、棚板1aに形成された貫通孔への嵌入部の径が7mm、全長が10〜20mmのロッド状のもので、棚板1aを挾んで支柱2の端部がこの貫通孔4を通して上下から嵌入され、910〜950℃で溶着固定されている。この溶着固定により60kgf/cm2 の接合強度が得られる。棚板1bは、その四隅角部付近のそれぞれに10mmの径のずれ防止部5が形成され、支柱2の頭部が該ずれ防止部5に嵌合されている。
【0020】
上記の熱処理用治具を用いた薄板ガラス3の熱処理は、以下のようにして行なわれる。棚板1の平担面の上に薄板ガラス3が載置された熱処理用治具は、耐熱鋼網からなる搬送コンベア(図示せず)の上に載せられ、熱処理炉内に導入される。薄板ガラス3は、熱処理炉内の発熱体からの熱線により昇温加熱され、一定時間保持され徐冷された後、熱処理炉から搬出される。この時、棚板1間には、図2に示すように支柱2によって垂直方向に間隙が形成され、この間隙に雰囲気が自由に流通するため、薄板ガラス3は均一に加熱される。
【0021】
さらに、支柱2の頭部は、当接する上下の棚板1bに設けられたずれ防止部5に嵌合しているため、棚板1bは熱処理工程およびその前後の搬送工程において支柱2からずれて脱落することはない。従って、上記の熱処理用治具によれば、棚板1を常に一定の高さで多段に積み重ねることができ、薄板ガラス3を定位置に載置させた状態で、熱処理炉内に搬送することができる。
【0022】
なお、棚板1bが支柱2からずれるのを防止するために、図3のように、棚板1bの四隅角部付近のそれぞれに7mmの径を有する貫通孔15を設け、支柱2の頭部を円錐形状12に加工して貫通孔15に嵌入させてもよい。
【0023】
上記の熱処理用治具は、熱処理炉内の高温下で反復使用されるうちに、載置される薄板ガラス3の荷重および棚板1の自重の影響を受けて棚板1に変形が生じることも有り得るため、適当な頻度で上下を反転させ使用することにより棚板1の変形を抑制し、長時間にわたり平坦性を維持することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の熱処理用治具では、熱膨張係数が15×10-7/℃以下の低膨張の結晶化ガラスの棚板から構成されるので、熱処理炉の使用温度下で膨張および収縮が少なく、棚板自体に熱的変形を生じないため、長時間にわたり高い平坦性を維持することが可能であり、また、棚板および支柱のそれぞれの内部に気孔が存在せず、昇温時に不純物ガスが発生しないため、薄板ガラスの表面を汚染させることなく薄板ガラスの反りを適正に修正することができる。
【0025】
さらに、結晶化ガラスからなる支柱を介して棚板間に雰囲気温度の流通に必要な間隙が設けられ、また、支柱が当接する上下段の棚板に設けられたずれ防止部に、支柱の頭部が嵌入あるいは嵌合されているため、熱処理工程およびその前後の搬送工程中に、棚板が支柱からずれて脱落することなく、棚板を定位置に多段に積み重ねることができ、薄板ガラスの反りを効率よく修正することができる。
【0026】
本発明に係る熱処理用治具は、実施例のような薄板ガラスの反り修正に限ることなく、各種部材の焼成、接合などの熱処理に幅広く使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理用治具の実施例で、支柱を介して一定の間隙を設けて積み重ねた棚板の上に、熱処理を受ける薄板ガラスを載置した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の熱処理用治具の要部拡大断面図である。
【図3】図1の熱処理用治具において、円錐形状の支柱頭部を棚板の貫通孔に嵌入させた状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】従来の熱処理用治具の実施例で、球を介して棚板を積み重ねた状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 棚板
1a 中段の棚板
1b 上下段の棚板
2 支柱
3 薄板ガラス
4 貫通孔
5 ずれ防止部
12 円錐形状の支柱頭部
15 貫通孔
21 棚板
22 球
23 薄板ガラス
25 貫通孔
Claims (2)
- 被熱処理物が載置される平坦面を有し、かつ、熱膨張係数が15×10-7/℃以下の結晶化ガラスからなる板状の棚板を備え、該棚板の四隅角部付近のそれぞれに貫通孔が設けられ、該貫通孔の上下に嵌入され接合された結晶化ガラスからなる積み重ね用の支柱が取り付けられた中段の棚板と、該支柱が当接する上下段の棚板からなることを特徴とする多段積載型熱処理用治具。
- 支柱が当接する上下段の棚板に、ずれ防止部が設けられている請求項1に記載の多段積載型熱処理用治具。
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JP35419596A JP3712151B2 (ja) | 1996-12-17 | 1996-12-17 | 多段積載型熱処理用治具 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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JPH10167743A JPH10167743A (ja) | 1998-06-23 |
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1996
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