JP4561100B2 - 熱処理炉 - Google Patents
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Description
熱処理時にはヒータなどの発熱体や熱風等の加熱源によって熱処理を行うが、支柱を介して放熱量が多く、昇温時には放熱分を補い、昇温状態を安定にするための熱量を必要としたり、被加熱物の支柱近傍温度の昇温の追従性が悪いことにより、被加熱物の特性ばらつきの要因となっている。
請求項1では、支柱を炉床の底面まで貫通させず、内部で止まる構造としてある。しかし、単に途中で止めるだけの構造では、支柱の下端面に接触するセラミックファイバーが支柱の重量を支えることができないことがある。そこで、支柱を炉床の内部で止めるとともに、支柱の下面にセラミックファイバーよりも強度の高い支持材を配置し、この支持材で支柱の重量を支えるようにしたものである。これにより、支柱の沈み込みを防止でき、台板の傾きを抑制できる。
また、支柱が加熱されても、支柱の下端は炉床内部に設けた支持材で終端となるので、放熱量が少なく、被加熱物内の温度ばらつきを小さくできる。その結果、被加熱物(例えばセラミック電子部品)の特性ばらつきを小さくできる。
請求項1では支柱が炉床を貫通していないので、支柱の先端部が炉内側で振れたり傾く可能性があり、被加熱物の支持状態が不安定になることがある。そこで、支柱の中間部を中間材で挿通支持することで、支柱の振れや傾きを抑制できる。
台板上に載置される被加熱物の重量が大きくなると、その重量は支柱、支持材を介してその下側に位置する炉床部分に作用する。この炉床部分もセラミックファイバーで形成されるので、重量によっては炉床部分の耐荷重性が問題になる場合がある。
そこで、請求項3のように支持材の下面に脚部を設け、この脚部を基台などで支持することで、炉床部分が圧縮されるのを防止できる。
なお、脚部は支柱より少ない本数であるから、支柱から支持材を介して脚部に逃げる熱量が少なく、断熱性が低下するのを防止できる。
支柱の下端部を支持材の凹部または凸部に嵌合させることで、支柱の位置ずれがなくなり、被加熱物を安定して支持することができる。
なお、支柱が柱形であれば、支持材に凹部を設ければよく、支柱が筒形であれば、支持材に凸部を設ければよい。
この熱処理炉はバッチ炉の一例であり、10は軽量断熱材、煉瓦、耐熱金属等により構成された炉本体、11は炉本体10の内部に形成された熱処理空間である。熱処理空間11には適数のヒータ12が配設されている。なお、ヒータ12に代えて、熱風循環等の加熱方式を用いてもよい。
この熱処理炉で熱処理される被加熱物Wとしては、例えば積層コンデンサや積層インダクタ用の未焼成のセラミック積層体を収容した匣などがある。このようなセラミック積層体を焼成し、焼成後のセラミック積層体の外表面に外部電極を形成することにより、セラミック電子部品を完成する。セラミック積層体を焼成する場合、匣内の温度ばらつきがあると、匣に収容された個々のセラミック積層体の特性ばらつきの原因となるため、温度ばらつきをできるだけ抑制することが重要である。
本発明における軽量断熱材としては、かさ密度が0.1〜0.5g/cm3 のものが好ましく、例えばセラミックファイバー(アルミナやムライトなど)や、セラミックファイバーを骨材として珪酸カルシウムなどを添加したものがある。
支持材19の位置は、炉床14の高さの少なくとも1/10以上、炉床14の底面より上部に配置するのがよい。また、中間材20は、できるだけ炉床14の上面に近い位置に配置するのがよい。
支持材19および中間材20としては、強度と断熱性とを備えた材料を使用するのがよい。
軽量断熱材(アルミナファイバー):圧縮強さ0.7MPa,曲げ強さ0.5MPa,かさ密度0.25g/cm3
支持材(アルミナ):圧縮強さ30MPa,曲げ強さ10MPa,かさ密度285g/cm3
台板18上に載置された被加熱物Wの重量は、支柱17を介して支持材19で受けられ、さらに支持材19の下側に配置された炉床14の下層部16bで受けられる。支持材19は、複数の支柱17を共通に支持できるように広い面積に形成されているので、炉床14の下層部16bには広い範囲で荷重が作用し、下層部16bが軽量断熱材で形成されていても、撓みを抑制できる。
図4は、複数本の支柱17を受ける支持材19の例を示す。
図4の(a)は、平板状の支持材19の上面に、有底の円形支持穴19aを複数個設け、これら支持穴19aに複数の円柱形の支柱17の下端部を嵌合させるものである。
図4の(b)は、平板状の支持材19の上面に、有底の四角形の支持穴19aを複数個設け、この支持穴19aに角柱形の支柱17の下端部を嵌合させるものである。
なお、(a),(b)には、中間材20も示されており、中間材20には支柱17の断面形状に応じた挿通穴20aが形成されている。
図5の(a)は、円板状の支持材19の上面に有底の円形支持穴19aを設け、この支持穴19aに円柱形の支柱17の下端部を嵌合させるものである。
図5の(b)は、円板状の支持材19に上面に突起部19bを設け、この突起部19bに中空円筒形の支柱17の下端部を差し込んで固定するものである。
図5の(c)は、(b)と同じく支持材19の上面に支柱17の下端部を差し込んで固定する突起部19bを設けるとともに、支持材19の下面に炉床14の母材に差し込んで位置決めするための突起部19cを設けたものである。
なお、図5の(b),(c)に示すような突起部19b,19cは、図4に示すような複数本の支柱を1枚で支持する支持材にも適用できる。
第2実施例もバッチ炉の例であり、図2と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例では、支持材19が複数本の支柱17を支えるだけの大きな面積を有し、支持材19の下面に支柱17より少ない本数の脚部23を設け、これら脚部23で支持材19を支えるようにしたものである。脚部23としては、支持材19と同様に強度と耐熱性とを備えた材料が用いられる。ここでは、脚部23は支柱17と異なる位置に設けられており、支柱17は支持材19の中央部に配置され、脚部23は支持材19の周辺部(ここでは角部)に配置されている。脚部23は炉体14の下層部16bを貫通し、その下端は炉床14の下面に露出しており、炉床14を支える昇降台21の上に当接している。なお、支持材19の上面には、図4の(a)と同様に、支柱17の下端部を嵌合させる有底の円形支持穴19aが複数個設けられている。
そこで、第2実施例では、支持材19の下面に脚部23を設け、この脚部23で全重量を支えるようにしたものである。脚部23の下端は、剛性のある昇降台21によって支えられるので、支持材19の下側に配置された炉床部分16bの撓みを確実に防止できる。
この炉床30も、バッチ炉で使用されるものであり、炉床30の上側が軽量断熱材からなる第1断熱材31よりなり、下側が第1断熱材31より強度の高い第2断熱材32で構成されている。第2断熱材32としては、例えば第1断熱材31より強度の高い軽量断熱材でもよいし、れんがのような硬質の断熱材を使用してもよい。支柱33の下端は第2断熱材32に当接しており、上端が炉床30の上面に露出するように第1断熱材31に貫通配置されている。支柱33上には、被加熱物(図示せず)を載置するための台板34が嵌合されている。
この実施例の場合、第2断熱材32が軽量断熱材である第1断熱材31より強度が高いので、台板34上に載置された被加熱物による重量を第2断熱材32が支えることができ、第2断熱材32の撓みを防止できる。しかも、第2断熱材32も断熱性を有するので、支柱33を介した放熱量を抑制でき、被加熱物内の温度ばらつきを小さくできる。
例えば、第1実施例における支持材19を、第3実施例のような構造の炉床30に適用することもできる。すなわち、支持材19を第1断熱材31と第2断熱材32との間に配置し、この支持材19で支柱17の下面を支持してもよい。
また、第1実施例における中間材20を、第3実施例の炉床30に適用してもよい。
また、支柱17と支持材19とを別部材で構成したが、両者を一体成形して構成することもできる。
前記実施例では、炉床として軽量断熱材を使用したが、軽量断熱材以外の断熱材を使用することも可能である。
10 炉本体
11 熱処理空間
13 開口部
14 炉床
17 支柱
18 台板
19 支持材
20 中間材
Claims (4)
- 内部に熱処理空間を有する炉本体と、
前記炉本体の底部に配置された、セラミックファイバーからなる炉床と、
下端が前記炉床の内部で終端となり、上端が前記炉床の上面に露出するように配置され、前記セラミックファイバーより熱伝導率の高い耐火物であって、耐熱金属、アルミナ、ムライト、SiC、Si 3 N 4 のいずれかよりなる支柱と、
前記支柱上に配置された、被加熱物を載置するための台板と、
前記支柱の下端を支持するように前記炉床の内部に配置され、前記支柱の下端面より大きな面積を有し、前記セラミックファイバーよりも強度の高い支持材と、
を備えることを特徴とする熱処理炉。 - 前記炉床の内部であって、前記支持材より上部に、前記セラミックファイバーよりも強度が高く、前記支柱を挿通支持するための挿通穴を有する中間材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
- 前記支持材は複数本の前記支柱を支えるだけの面積を有し、
前記支持材の下面に、前記支柱より少ない本数の脚部が設けられ、
前記脚部の下端は前記炉床の下面に露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理炉。 - 前記支持材の上面には、前記支柱の下端部が嵌合する凹部または凸部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱処理炉。
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