JP4471708B2 - 基板搬送装置 - Google Patents
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Description
ここで、基板トレイの転倒防止のためにその上部に軸受等の案内部材が搬送路に沿って設けられているが、表示装置の高精細が進むと、案内部材で発生するパーティクルに帰因する膜欠陥等が顕在化し、これを防止すべく非接触型の案内部材が種々提案されてきた。
このU字型の案内部材15は、基板トレイの上部を囲むように配置され、図5(b)の部分拡大図に示すように、案内部材の内側に2つの磁石16a,16bが取り付けられている。一方、基板トレイ23には、これら2つの磁石16a,16bと反発するように磁石26が取り付けられており、磁石16a,16bと磁石26との反発力によって、基板トレイの上部が常にU字型案内部材15内の中心に位置するように基板トレイを案内する。このような非接触構造の案内機構を採用したことにより、基板上方でのパーティクル発生が抑えられ、しかも安定して基板トレイを搬送させることが可能となった。
また、磁石の吸引力を利用した案内機構を用いた搬送装置(実公平7−435号公報)にも同様な問題があるが、この場合はさらに、基板トレイがある程度以上傾くと基板トレイの磁石と案内部材の一方の磁石とが吸着してしまう場合があり、それを防止するための部材を設けると、この部材と基板トレイとの衝突により発塵を起こすという問題がある。
前記案内機構は、前記キャリアの上部に搬送方向に沿って取り付けられた1又は複数の磁石であって、鉛直方向に着磁された第1の磁石列と、該第1の磁石列の上方又は下方に所定の間隔をあけ、搬送路に沿って真空室に固定して取り付けられた1又は複数の磁石であって、鉛直方向に着磁された第2の磁石列とを互いに引き合うように配置し、第1の磁石列及び第2の磁石列を、搬送方向に垂直な方向に、隣り合う磁石列間で着磁方向を逆にして複数列、配置したことを特徴とする。
さらには、第1及び第2の磁石列のそれぞれを交互に着磁方向を逆にして2列以上に配置することにより、対向する第1及び第2の磁石列間では吸引力が働き、斜め向かいの第1及び第2の磁石列間では反発力が働く構成とすることが可能となる。この結果、搬送方向に垂直な方向に力が加わったとしても、対向する磁石列間の吸引力と斜め向かいの磁石列間の反発力とが相乗的に働き、搬送路からのずれを効果的に防止することができる。また、何らかの原因で大きな力が加わって基板トレイがずれて揺れや振動が生じたとしても、これらの揺れ、振動は短時間で収まりパーティクルの発生を極力抑えることが可能となる。
さらに、キャリアに基板トレイ自体を対称に2つ設けた安定な自立構造を採用することにより、搬送安定性は一層向上する。
また、本発明において、前記第1の磁石列及び前記第2の磁石列の少なくとも一方を構成する前記複数の磁石は、搬送方向に垂直な方向に、隣り合う磁石が間隔を開けて取り付けられることを特徴とする。
基板トレイをこの範囲の角度で取り付けることにより、搬送安定性をさらに向上させることが可能となる。さらに、0.5°以上で基板の振動や基板トレイからの飛び出し事故をなくすことができ、また、裏面側からの加熱処理等のために基板トレイに開口を設けた場合には、3°以下とすることにより基板自体の撓みが防止され、均一性の高い成膜処理等が可能となる。特に、1m角以上の基板に好適に適用される。
図1(a)に示すように、真空処理室10,10’はゲートバルブ40を介して連結され、各真空処理室は、2つの基板トレイ23を備えたキャリア20を支える軸受12と、キャリア20の上部を案内するための第2の磁石列14が搬送路に沿って敷設されている。第2の磁石列14は、真空室に固定された支柱11の支持体13上に配置されている。
各基板トレイは鉛直方向に対し所定の角度をもって取り付けられる。ここで、基板の一辺が1m程度以上の場合では、角度を0.5°以上とするのが好ましく、これにより搬送中の基板の飛び出しを防止し、安定して高速搬送(例えば、500〜600mm/秒)が可能となる。なお、本実施例の基板トレイ23には、内側から基板を加熱するために開口24が設けられていることから、角度が大きくなると開口部で基板が撓んでしまうため、3°以下とするのが好ましい。
基板30は、例えば基板トレイ23の4辺に取り付けられた固定治具(不図示)により、4辺で押さえられ、保持されている。
このような配置、磁化方向とすることにより、対向する磁石列間、即ち磁石列14aと22a及び14bと22b間では吸引力が働き、隣り向かいの磁石列間、即ち磁石列14aと22b及び14bと22a間では反発力が働くことになり、この2種類の力の相乗効果によりキャリアは第2の磁石列に沿って滑らかに案内されることになる。
ここで、第1の磁石列22と第2の磁石列14との間隔は、搬送速度、基板の大きさ(キャリアの重量)及び用いる磁石の種類により適宜決定されるが、通常は1〜10mm程度である。また、第1及び第2の磁石列において、隣り合う磁石列(22aと22b、14aと14b)間の間隔も同様に定められるが、通常0〜10mm程度である。
加熱室10と成膜室10’とはゲートバルブ40を介して連結され、加熱室の場合、2つの基板に対向する壁面にそれぞれランプヒータ(不図示)が配置されており、成膜室10’には各基板に対向してスパッタターゲット(不図示)がそれぞれ壁面に取り付けられている。また、成膜中もガラス基板を所定の温度に加熱するためのシーズヒータ(不図示)が支柱11間に取り付けられ、基板トレイの開口を通して基板を加熱することが可能な構成となっている。なお、真空室にはそれぞれ排気装置(不図示)が取り付けられている。
このキャリアを加熱室10に搬送し、ランプヒータによりガラス基板30を250℃に加熱する。その後、ゲートバルブ40を開け、成膜室10’に送り、10−5Paまで排気した後、シーズヒータでガラス基板を所定の温度に維持しながらガスを導入しターゲットに高周波電力を投入して所定時間スパッタを行う。成膜後、キャリアをアンロード室(不図示)に送り、処理基板を回収して処理を終了する。この工程を繰り返し行うことにより、多数の基板に成膜処理を連続して行うことができる。
なお、図には示していないが、基板トレイの下端部には、直線ギヤが搬送方向に沿って形成されており、これと噛合する駆動ギヤが真空室に設けられており、駆動ギヤの回転によりキャリアが移動する。搬送機構としては、このようなラックアンドピニオン型の他、例えば特開2002−8226に開示された磁気カップリング型のものが好適に用いられる。
このようにキャリア20上の磁石片の搬送方向での間隔を種々変え、上述した磁石間の吸引力及び反発力を調整して500mm/秒の高速搬送実験を行った。その結果、キャリア上部における搬送方向に垂直な方向の力F(図1(b)参照)に対する抗力が10N以上となる磁石構成とすれば、揺れや振動がほとんどなく安定した搬送が可能となった。ここで、抗力は、連結部材21にフックをつけてバネ秤で搬送方向に垂直な方向に平行に引き、第1及び第2の磁石列が0.5mmずれたときのバネ秤の表示値とした。
次に、より大型の基板の処理に用いるキャリアについても同様の実験を行い、揺れや振動がほとんどない安定した搬送が行える磁石の抗力を求めた。なお、基板トレイの厚さはいずれも15mmである。結果を上記の例とともに表1にまとめた。
また、その結果として、第1及び第2の磁石列を連続的に配置する必要はなくなり、磁石コストを大幅に削減することができる。なお、ここで、上限値(102.9N/m)は、キャリアの全長にわたりSm−Co系の希土類磁石を隙間無く配置したときの値である。
さらに、磁石の温度が上昇すると、磁石から放出されるガスにより成膜空間が汚染され、所望の膜質が得られない場合がある。そこで、磁石からのガス放出の影響を排除するために、磁石は非磁性金属材料(例えばSUS304)の容器内に密閉して収納し、これを真空室内及びキャリアに取り付けるのが好ましい。
本実施例は、連結部材周辺の拡大図である図3に示すように、第2の磁石列(14a、・・・14f)及び第1の磁石列(22a・・・22f)をそれぞれ6列とした場合であり、これにより、より安定したキャリア搬送を行うことができる。即ち、磁石列数を増加させることにより、搬送方向に垂直な方向の力(F)に対する抗力及びずれた場合の復元力はさらに大きくなり、搬送安定性が向上する。
本実施例では、支持体13が真空室10の天板に配置され、この下端面に第2の磁石列が複数列に取り付けられ、第1の磁石列は、キャリア連結部材21の上端面に複数列取り付けられている。この点を除いて実施例1及び2と同じである。即ち、磁石列の着磁方向は、いずれも鉛直方向であり、隣り合う磁石列間では逆となる。また、支持体13と連結部材21の対向する磁石列間では吸引力が働き、隣り向いの磁石列間では反発力が働くように配置されている。
また、磁石の種類は、搬送速度の条件、温度等の処理条件に応じて適宜選択すればよいが、例えば上述したフェライト磁石、Sm−Co系希土類磁石の他に、Nd−Fe−B系希土類磁石等を用いることができる。なお、上記実施例では、加熱による磁石の減磁を予め考慮した磁石構成としたが、磁石の冷却を行う構成としても良い。
11 支柱、
12 軸受、
13 支持体、
14 第2の磁石列、
15 案内部材、
16 駆動装置、
20 キャリア、
21 連結部材、
22 第1の磁石列、
23 基板トレイ、
24 開口、
25 係合部材、
26 磁石、
30 基板、
40 ゲートバルブ。
Claims (6)
- 真空室内で搬送路に沿って基板搬送するための搬送装置において、基板トレイが取り付けられたキャリアと、前記キャリアを搬送するキャリアの搬送機構と、前記キャリアの上部を搬送路に沿って非接触に案内するキャリアの案内機構と、からなり、
前記案内機構は、前記キャリアの上部に搬送方向に沿って取り付けられた1又は複数の磁石であって、鉛直方向に着磁された第1の磁石列と、該第1の磁石列の上方又は下方に所定の間隔をあけ、搬送路に沿って真空室に固定して取り付けられた1又は複数の磁石であって、鉛直方向に着磁された第2の磁石列とを互いに引き合うように配置し、
前記第1の磁石列及び前記第2の磁石列を、搬送方向に垂直な方向に、隣り合う磁石列間で着磁方向を逆にして複数列、配置したことを特徴とする基板搬送のための搬送装置。 - 前記第2の磁石列を前記第1の磁石列よりも上方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送のための搬送装置。
- 前記第1の磁石列及び前記第2の磁石列の少なくとも一方を構成する前記複数の磁石は、搬送方向に垂直な方向に、隣り合う磁石が間隔を開けて取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板搬送のための搬送装置。
- 前記基板トレイは基板を処理面の反対側から加熱するための開口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板搬送のための搬送装置。
- 前記基板トレイは、鉛直方向に対して0.5〜3°の角度傾斜させて前記基板を保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板搬送のための搬送装置。
- 前記キャリアは前記基板トレイが2つ互いに向かい合うように取り付けられたキャリアであり、該キャリア上部における搬送方向に垂直な方向の力に対する磁石の抗力を搬送方向の前記基板トレイの長さで割った値が5.9〜102.9N/mとなるように前記第1の磁石列及び第2の磁石列を配置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板搬送のための搬送装置。
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