JP3712108B2 - ワーク幅測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば歯車研削盤で研削した歯車の歯幅を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平5−111851号に示されるように、NC付き歯車研削盤の砥石保持台に測定子を取り付け、この測定子を歯車の加工部位に直接当接させて、研削盤から歯車を取外すことなくその波形、歯すじ、歯車ピッチ等を測定するような技術が知られているが、このような方法では、歯車に切粉等が付着しており不正確な測定になるため、一般的に歯車の歯幅の測定は、前工程でエアブローを施して切粉等を排除した後、次工程においてワーク受け治具の三点基準部等に歯車を載置し、上面の複数箇所に測定子を当接させて測定し、歯幅を求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、歯車にエアブローを施してワーク受け治具に載せる場合、切粉等が下面に残留しているとワーク受け治具上の歯車が傾斜し、また上面に切粉が付着していると測定子による測定結果にバラツキが生じる等、不良歯車として処理される。
そして不良歯車を判定された歯車は脇出しラインに整列保留され、一定量に達すると警報が発せられて装置が停止された後、作業者が不良歯車の幅を再測定し、良品の場合は測定装置を稼動し、不良品の場合は前工程の装置の点検等が行われるが、現状は作業者が歯幅を測定するとその殆どが良品であり、切粉の付着による誤測定が殆どであった。
【0004】
そこで本発明は、加工後の歯車等の穴明きワークのワーク幅を測定するにあたり、切粉等の付着による誤測定を防止し、稼動率の向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、穴明きワークをワーク受け治具の位置決めピンに挿通させるとともに、ワークの下面をワーク受け治具の載置面の基準部上に載置し、ワークの上面に測定治具の測定子を当接させてワーク幅を測定するようにしたワーク幅測定方法において、ワークの上面及び下面及び側面に向けてエアを吹き付けることにより、ワーク受け治具上のワークをフローティング状態で回転させると同時に上下面の異物等を除去し、次いでエアの吹き付けを停止してワークを基準部上に載置し、次いで測定治具を下降させて測定子をワークの上面に当接させワーク幅を測定するようにした。
【0006】
このようにワークの上面、側面、下面に向けてエアを吹き付けることにより、ワークをフローティング状態で回転させつつ上下面の異物等を吹き飛ばして除去し、その後、ワークを基準部上に載置して測定を行えば、異物等の付着による誤測定を防止しつつ効率的に測定することが出来る。
【0007】
ここで、ワークの上面は測定子が当接する箇所であり、下面は基準部が当接する箇所であるため、ワークの上面、下面に向けて吹き付けられるエアによって、上面、下面に付着する異物等が除去されるようにするとともに、下面に吹き付けられるエアによってワークが僅かに浮き上がってフローティング状態になるようにし、ワークの側面に吹き付けられるエアによってワークが回転するようにする。
そしてこのようにワークを回転させることにより、上面、下面の全域に亘って異物等を除去することが出来、その後、ワークを移動させることなくそのまま測定するため効率的である。
【0008】
また請求項2では、前記方法で測定した結果、異常と判断された場合は、測定治具を上昇させ、再度エアを吹き付けてワークをフローティング状態で回転させつつ上下面の異物等を除去した後、再度測定を行い、これを所定回数繰り返しても不良の場合は不良品であると判断するようにした。
【0009】
このように異物等の除去作業と再判定を繰り返することにより測定精度を向上させることが出来るが、例えば再判定回数を2回または3回等に設定し、これを自動化するとともに、再判定回数の設定を容易に変更調整出来るようにしておけば便利である。
【0010】
そして請求項3では穴明きワークの下面を支持する載置面の基準部と、該ワークを位置決めするための位置決めピンを備えたワーク受け治具の上部で、ワークの上面を押圧するワーク押え手段と、ワークの上面に当接可能な測定子を備えた測定治具が昇降自在にされるワーク幅測定装置において、ワーク受け治具の側方に、ワークの上面及び側面に向けてエアを吹き付けることの出来る第1、第2エア送給部を配設するとともに、ワークの側面にエアを吹き付ける第2エア送給部は、ワークの軸心から一方側に偏位した方向に向けてエアを吹出すことが出来るようにし、また、ワーク受け治具には、基準部の側方縁部からワークの下面に向けてエアを吹出すことの出来る第3エア送給部を設けるようにした。
【0011】
このような装置構成により、前記のような測定方法を好適に実施出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係るワーク幅測定装置の縦断面図、図2はワーク受け治具の平面図、図3は測定治具の底面図である。
【0013】
本発明に係るワーク幅測定装置は、例えば歯車研削盤で歯車を加工した後、歯幅を測定する際、歯車の測定部位や載置箇所等に付着する切粉等の異物を除去することで、誤測定を防止するとともに、稼動率向上を図るようにしたものであり、装置の概要について図1に基づき説明する。
【0014】
ワーク幅測定装置1は、基盤2に取り付けられるワーク受け治具3と、このワーク受け治具3の上方に配設され、不図示の駆動装置によって昇降自在な測定治具4を備えており、ワーク受け治具3の載置面7aの基準部8に載置される歯車Wの上面に測定治具4の測定子21を当接させることで、ワーク幅を測定するようにしている。
【0015】
前記基盤2には、ネジ孔2aが形成され、このネジ孔2aにワーク受け治具3の軸部5が螺着されている。
【0016】
前記ワーク受け治具3は、前記ネジ孔2aに螺着される軸部5と、その上部の大径部6と、その上部の小径部7を備えており、小径部7の上面は載置面7aにされるとともに、この載置面7a上には、円周方向等間隔に3箇所の凸状の基準部8が設けられている。
また、載置面7aの中央部には縦方向に雌ネジ孔9が形成され、この雌ネジ孔9に位置決めピンとしての治具側ストッパピン10が螺着されて載置面7aの上部に突出している。
【0017】
また、軸部5の中心部には、下面から上方に向けて穿設される縦孔12が形成され、縦孔12と雌ネジ部9の境目にはマニホールド部13が形成されるとともに、このマニホールド部13から前記基準部8の下方に向けて水平方向に3本の水平孔14が開設され、またこの水平孔14の途中から基準部8の側方縁部に向けて斜め孔15が開設されている。そして、水平孔14の開口部は、盲ネジ16により封止されている。
【0018】
そして、縦孔12からマニホールド13を通って水平孔14、斜め孔15に連通する連通路が第3エア送給部17とされ、縦孔12から送り込んだエアが3箇所の基準部8の側方縁部から吹出されるようにしている。
【0019】
前記測定治具4は、前記治具側ストッパピン10の位置に対応して中央部に測定側ストッパピン18を備えており、また、図3にも示すように、同一円周上等間隔にワーク押え手段としてのワーク押えピン20と測定子21が交互にそれぞれ3箇所づつ設けられている。
【0020】
そしてワーク押えピン20は、中間部の大径部22と基端側のガイドピン23を備えるとともに、測定治具4に穿設された孔部26内にバネ24を介して進退動自在に挿入されており、この際、ガイドピン23は、孔部26内の奥部に内装されるカラー25の内面にガイドされて摺動するようにしている。
【0021】
また、測定治具4の前面には、測定側ストッパピン18によって共締めされるストッパプレート27が設けられており、ワーク押えピン20の突出量を規制している。
【0022】
前記ワーク受け治具3の側方には、第1エア送給部としての第1エア送給管28と、第2エア送給部としての第2エア送給管29が設けられている。
そして第1エア送給管28は、ワーク受け治具3にセットされる歯車Wの上面周縁部に向けてエアを吹出すことが出来るようにされ、第2エア送給管29は、図2にも示すように、歯車W側面の大径歯部Waに向けて水平に且つ歯車Wの軸心から僅かにずれた方向にエアを吹出すことが出来るようにされている。
【0023】
以上のようなワーク幅測定装置1によるワーク幅測定方法について説明する。
ワーク受け治具3の載置面7aの基準部8上に歯車Wを載置し、第1、第2、第3エア送給部28、29、17からエアを送給することにより、歯車Wは基準部8から僅かに浮き上がったフローティング状態になって回転を始め、同時に歯車8の上面と基準部8が当接する下面に付着する切粉等が除去される。
【0024】
次いで、エアの供給を停止し、歯車Wを三点基準部8上に載置するとともに、測定治具4を降下させて治具側ストッパピン10と測定側ストッパピン18を当接させ、同時に歯車Wをワーク押えピン20で下方に押圧し、更に測定子21を歯車Wの上面に接触させてワーク幅(基準部8先端と測定子21先端との間の距離)を測定する。
【0025】
このとき、測定結果が異常である場合は、測定治具4を上昇させて再度第1、第2、第3エア送給部28、29、17からエアを送給して歯車Wをフローティング状態で回転させ、切粉等を除去した後、再測定を実施する。そしてこのような再測定を所定回数繰り返してもOKでない場合は、不良品と判定して脇出しラインに整列保留し、このような測定方法を自動化している。また、再測定の回数も容易に変更出来るようにしている。
【0026】
以上のような測定方法により、従来のような誤判定による装置の停止を防止し、稼動率の向上を図ることが出来る。
【0027】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えばワークは歯車以外の穴明きワークでも良い。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るワーク幅測定方法は、穴明きワークをワーク受け治具の位置決めピンに挿通させて基準部上に載置し、ワークの上面及び下面及び側面に向けてエアを吹き付けることにより、ワーク受け治具上のワークをフローティング状態で回転させると同時に上下面の異物等を除去した後、測定治具を下降させてワーク幅を測定するようにしたため、ワークに付着する切粉等の異物が全域に亘って効率的に除去され、誤測定が生じにくい。
この際、請求項2のように、異常と判断された場合は、同じ手順を数回繰り返すことにより、測定精度を一層向上させることが出来、しかも例えば自動化しておけば効率的である。
そして請求項3のような装置構成により、上記測定方法を好適に実施出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るワーク幅測定装置の縦断面図
【図2】ワーク受け治具の平面図
【図3】測定治具の底面図
【符号の説明】
1…ワーク幅測定装置、3…ワーク受け治具、4…測定治具、7a…載置面、8…基準部、17…第3エア送給部、20…ワーク押えピン、21…測定子、28…第1エア送給部、29…第2エア送給部、W…歯車。
Claims (3)
- 穴明きワークをワーク受け治具の位置決めピンに挿通させるとともに、該ワークをワーク受け治具の載置面の基準部上に載置し、ワークの上面に測定治具の測定子を当接させてワーク幅を測定するようにしたワーク幅測定方法であって、前記ワークの上面及び下面及び側面に向けてエアを吹き付けることにより、ワーク受け治具上のワークをフローティング状態で回転させると同時に上下面の異物等を除去し、次いでエアの吹き付けを停止してワークを前記基準部上に載置し、次いで前記測定治具を下降させて前記測定子をワークの上面に当接させワーク幅を測定するようにしたことを特徴とするワーク幅測定方法。
- 請求項1に記載のワーク幅測定方法において、前記方法で測定した結果、異常と判断された場合は、前記測定治具を上昇させ、再度エアを吹き付けてワークをフローティング状態で回転させつつ上下面の異物等を除去した後、再度測定を行い、これを所定回数繰り返しても不良の場合は不良品であると判断することを特徴とするワーク幅測定方法。
- ワーク受け治具の側方にワークの上面に向けてエアを吹き出すことのできる第1エア送給部と、ワークの軸心から一方側に偏位した方向に向けてエアを吹き出す第2送給部が配設されるワーク幅測定装置であって、該ワーク幅測定装置は、穴明きワークの下面を支持する載置面の基準部と、該ワークを位置決めするための位置決めピンを備えたワーク受け治具の上部でワークの上面を押圧するワーク押え手段と、ワークの上面に当接可能な測定子を備えた昇降自在な測定治具とを備え、前記ワーク受け治具には、前記基準部の側方縁部からワークの下面に向けてエアを吹出して、下面に吹き付けるエアによってワークをフローティング状態とし、ワークの側面に吹き付けるエアによってワークを回転せしめて、前記基準部が当接するワーク下面に付着する切粉等を除去する第3エア送給部が設けられることを特徴とするワーク幅測定装置。
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