JP3711549B2 - 新規リン酸アミノ酸多価金属複合塩を含有する水産動物飼育用飼料添加剤組成物 - Google Patents

新規リン酸アミノ酸多価金属複合塩を含有する水産動物飼育用飼料添加剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン酸アミノ酸多価金属複合塩を有効成分として含有する水産動物飼育用飼料添加剤組成物に関する。さらに詳しくは、前記複合塩を含有する、海水および淡水中では安定で、水産動物の消化器官で塩基性アミノ酸を放出することが可能な、粉末もしくは(均質な)顆粒の形態の水産動物飼育用飼料添加剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水産動物の養殖飼育、例えば、ブリ、タイ、ウナギなどの魚類やエビ、カキなどの甲殻類の養殖において用いられる飼料の約半分は配合飼料、そして残りの約半分は冷凍イワシ等の生物飼料である。このうち、生物飼料は水産動物による捕食率が低く、大半は水中に逸散し、環境汚染や環境破壊につながる恐れがある。また、生物飼料はその資源が次第に枯渇する傾向にあり、価格変動が大きくコスト的にも不利な状況にある。一方、配合飼料はタンパク質源を植物資源に求めることもできるが、その場合、そのアミノ酸バランスは必ずしも水産養殖動物の必要を満たすものではなく、なかんずく塩基性アミノ酸が不足する場合が多い。
【0003】
また、配合飼料にアミノ酸、ビタミン等の生物学的活性物質を添加し、水産養殖動物に投与する場合に、それらの生物学的活性物質が水溶性を有するために大部分が水中に溶出して逸散し、有効利用され難いのが現状である。従って、これら生物学的活性物質を水中での溶出から保護し、水産動物の消化器官で消化、吸収させるような水産動物飼育用の飼料添加剤組成物は水産動物用の飼料、栄養剤、動物薬等の分野で重要である。
【0004】
生物学的活性物質を含有する水産動物飼育用飼料添加剤組成物としては、生物学的活性物質を含有する核を油脂等の疎水性物質等で被覆したものが以前より提案されている。生物学的活性物質を疎水性の保護物質で被覆する方法としては、例えば特開平4−173060では常温で固体の動植物脂あるいはワックスなどの油脂で水溶性アミノ酸及び/または水溶性アミノ酸誘導体を被覆する方法が水産飼料原料の製造方法として提案されている。
【0005】
しかしながら、生物学的活性物質を含有する核を疎水性の保護物質で被覆する方法で得られる水産動物飼育用飼料添加剤組成物は、近年盛んに行われている配合飼料製造の観点からは、他の配合飼料原料との混合や造粒による機械的な顆粒および/または被覆の破壊が起こり、水中での保護性が損なわれることが多く、汎用性のある飼料添加剤組成物とは言えない。また、被覆粒子を単独で投与する場合では、水産養殖動物の嗜好性が十分でなく、必要量を摂食し得ない等の問題がある。
【0006】
この様に、他の配合飼料原料との混合や造粒にも耐え得る飼料添加剤組成物であるためには、それ自体が粉末または(均質な)顆粒であって、水中での生物学的活性物質の放出を防止し、かつ水産動物の消化器官で生物学的活性物質を溶出させる性質を有しているものが望ましい。しかしながら、塩基性アミノ酸を飼料の栄養改善の目的で使用する場合、塩基性アミノ酸を含有する組成物で粉末または(均質)な顆粒であって、中性の水に不溶性かつ消化器官の酸性液に可溶性の物質は、従来、リンタングステン酸塩類の他には見いだされていない。
【0007】
また、特開昭63−98357に塩基性アミノ酸と酸性リン酸塩との塩を合成高分子で被覆してなる反すう動物用飼料添加剤組成物が開示されているが、該発明に係わる種々の塩のうち、酸性リン酸アルカリ土類金属塩と塩基性アミノ酸との塩は、リン酸、アルカリ土類金属および塩基性アミノ酸のモル比が1:0.5:1〜2であり、本発明のリン酸、アルカリ土類金属および塩基性アミノ酸の複合塩とは異なる。該発明の酸性リン酸アルカリ土類金属塩と塩基性アミノ酸との塩は水中において急速に分解し、水不溶性のアルカリ土類金属の第二リン酸塩と水溶性の塩基性アミノ酸第一リン酸塩もしくは水溶性の塩基性アミノ酸第二リン酸塩を生じることから、該塩は塩基性アミノ酸の溶解性という点では実質的に中性で水可溶性である。
【0008】
リン酸はアルカリ土類金属と多様な塩を形成し、そのうちのいくつかは中性〜アルカリ性の水に不溶で酸性の水に溶ける性質を示し、例えば第二リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム等はリン酸を多用する発酵工業設備等で、装置内にスケール物質として堆積して装置トラブルの原因となることが知られている。リン酸マグネシウムアンモニウムも同様の性質を示すが、アンモニウムイオンを塩基性イオンとして等価な塩基性アミノ酸に置き換えた、リン酸、アルカリ土類金属および塩基性アミノ酸よりなり、それらの割合がリン酸1モル、アルカリ土類金属1モルおよび塩基性アミノ酸1モルである複合塩(第三リン酸塩)、およびリン酸1モルに対しアルカリ土類金属1〜1.45モル、および塩基性アミノ酸0.05〜1モルの範囲の組成よりなる第三リン酸及び/または第二リン酸塩の存在は知られていない。また、ポリリン酸およびメタリン酸のアルカリ土類金属塩であって、塩基性アミノ酸をアルカリ土類金属に対し当量比で0.02〜0.3対0.7〜0.98の比率で含有するリン酸アミノ酸複合塩の存在は知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、安全性、経済性などを考慮した上で、塩基性アミノ酸を含有する組成物であって、水中で塩基性アミノ酸を溶出せず、水産養殖動物の消化器官では塩基性アミノ酸を溶出し、これが効率よく消化吸収される化合物もしくはこれを含有する組成物であって、粉末もしくは(均質な)顆粒の形態の組成物を創出することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前項記載の目的を達成するべく鋭意研究した結果、先に、塩基性アミノ酸、アルカリ土類金属およびリン酸からなる種々の複合塩が、中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶な溶解性と粉末状の形態を有することを見いだしたが(特願平6−306385(WO96/17822))、更に該複合塩のうち塩基性アミノ酸、マグネシウムおよび正リン酸からなる複合塩を(i)他の2価または3価の多価金属塩で、(iia)これに縮合リン酸を併用して、或いは(iib)これに縮合リン酸および正リン酸を併用して、処理して得ることのできる複合塩が中性〜微酸性の水や海水等の無機イオン含有水に対しさらに優れた安定性すなわち低い溶解性を示すこと、延いては、これらの複合塩が水中での不溶性と水産養殖動物の消化器官中での極めて優れた溶出性を兼ね備えていることを見いだし、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、塩基性アミノ酸、多価金属およびリン酸からなる複合塩、特に下記一般式(1)〜(5)のいずれかで示される中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶なリン酸アミノ酸多価金属複合塩を有効成分として含有し、所望により他の生物学的活性物質を分散して含有する、粉末または顆粒の形態の水産動物飼育用飼料添加剤組成物に関する。
【0012】
【化6】
Figure 0003711549
【0013】
(但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.05〜1、bは1〜1.47、cは0〜0.3で、a+2×b+c=3であり、そしてnは0〜10である。)
【0014】
【化7】
Figure 0003711549
【0015】
(但し、リン酸がピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸などから選ばれるポリリン酸であって、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.02×(m+3)〜0.3×(m+3)、bは0.35×(m+3)〜0.49×(m+3)、cは0〜0.2×(m+3)で、a+2×b+c=m+3であり、mは1〜20、そしてnは0〜10である。)
【0016】
【化8】
Figure 0003711549
【0017】
(但し、リン酸がトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸などから選ばれるメタリン酸であって、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.02×m〜0.3×m、bは0.35×m〜0.49×m、cは0〜0.2×mで、a+2b+c=mであり、mは3〜50、そしてnは0〜20である。)
【0018】
【化9】
Figure 0003711549
【0019】
(但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネシウム以外の2価または3価の多価金属であり、mは該多価金属の原子価で2または3であり、aは0.05〜1.0、bは0.85〜1.43、cは0.02〜0.6、dは0〜0.3で、a+2b+c×m+d=3であり、そしてnは0〜20である。)
【0020】
【化10】
Figure 0003711549
【0021】
(但し、Rは塩基性アミノ酸水素カオチン、Mはマグネシウム以外の原子価qの多価金属であって、qは2または3であり、aは0.05〜0.4、bは0.90〜1.47、cは0.01〜1.4、dは0〜0.3で、a+2×b+q×c+d=m+3であり、mは0<m≦1.12、そしてnは0〜10である。)
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】
まず、上記一般式(1)〜(4)のいずれかで表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩について説明する。
【0024】
本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩を製造する際の原料リン酸としては、正リン酸の他に、ポリリン酸、すなわち二リン酸(ピロリン酸)、トリポリリン酸、テトラポリリン酸およびその他のポリリン酸、並びにトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびその他のメタリン酸を挙げることができるが、正リン酸、二リン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびその他のメタリン酸の塩の形態のものが溶解性状の面で優れ、特に好ましく用いられる。これらは、そのまま、または適宜の濃度の(水)溶液の形態で用いることができる。
【0025】
前記複合塩を製造する際の原料塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、オルニチンなどの天然塩基性アミノ酸、その塩基性誘導体、および中性アミノ酸の塩基性誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。具体的には、リジン、アルギニン、オルニチンなどの天然塩基性アミノ酸;塩基性アミノ酸含有ペプチドなどの塩基性誘導体;およびメチオニン、トリプトファン、スレオニンなどのアミノ酸のアミド、エステルなどの中性アミノ酸の塩基性誘導体が使用され得る。これらの中でも、リジンおよびアルギニンが必須アミノ酸としての栄養価値、経済性および塩の溶解性状の面で優れ、特に好ましく用いられる。
【0026】
本発明に係わる、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで示されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられるが、マグネシウム及びカルシウムが、その複合塩が生物学的に安全に受容される点で好ましい。
【0027】
本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、塩基性アミノ酸、アルカリ土類金属およびリン酸を塩基性アミノ酸が比較的高濃度でかつ中性〜アルカリ性の条件下でこれらの水溶液中に共存させたときに結晶沈殿物として得られる複合塩である。これらの複合塩は、リン酸の縮合の有無および縮合の形態、またリン酸が正リン酸の場合は塩基性アミノ酸およびアルカリ土類金属の当量比によって4種のタイプに大別される。また、リン酸が正リン酸であり、アルカリ土類金属がマグネシウムであるリン酸アミノ酸多価金属複合塩に対し、マグネシウムに加えてそれ以外の2価または3価の多価金属をも含有せしめた上記一般式(4)で示される複合塩も、第五のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩(後述)として本発明の複合塩に含まれる。
【0028】
詳述すると、本発明の第一のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、上記一般式(1)によって示される複合塩であって、正リン酸3g当量に対し、塩基性アミノ酸水素カチオン(R)1g当量、アルカリ土類金属(M)2g当量および酸残基(H)が0g当量の比率で構成され、そしてnは理論的には0、1または2であるが、乾燥条件で0〜10となるものであり、本発明の第二のタイプの複合塩は、やはり上記一般式(1)によって示される複合塩であるが、第一のタイプ以外の、正リン酸3.0g当量に対し、塩基性アミノ酸水素カチオン(R)0.05〜1.0g当量、アルカリ土類金属(M)2.0〜2.94g当量及び酸残基(H)が0〜0.3g当量の比率で構成され、そしてnは0〜10のものであり、より好ましくは正リン酸3.0g当量に対し、塩基性アミノ酸水素カチオン(R)0.05〜0.8g当量、アルカリ土類金属(M)2.2〜2.94g当量及び酸残基(H)が0〜0.3g当量の比率で構成され、そしてnは0〜10のものである。ただし、上記一般式(1)のa、b及びcは、a+2×b+c=3の関係にある。
【0029】
第一および第二のタイプの複合塩は、アルカリ土類金属がマグネシウムまたはカルシウムの塩が好ましい。
【0030】
本発明の第三のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、上記一般式(2)によって示される複合塩であって、ポリリン酸100g当量に対してg当量比で、塩基性アミノ酸水素カチオン(R)が2〜30、アルカリ土類金属(M)が70〜98であって、酸残基(H)が0〜20であり、a+2×b+c=m+3の比率で構成され、そしてnが0〜10のものである。
【0031】
第四のタイプの該複合塩は、上記一般式(3)によって示される複合塩であって、メタリン酸100g当量に対してg当量比で、塩基性アミノ酸水素カチオン(R)が2〜30、アルカリ土類金属(M)が70〜98であって、酸残基(H)が0〜20であり、a+2b+c=m100の比率で構成され、そしてnが0〜20のものである。
【0032】
第三および第四のタイプの該複合塩は、アルカリ土類金属がマグネシウムまたはカルシウムの塩が好ましい。
【0033】
本発明の第五のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、上記一般式(4)によって示される複合塩であり、上記一般式(1)によって示されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩のうちのアルカリ土類金属がマグネシウムである複合塩に対し、マグネシウムに加えてそれ以外の2価または3価の多価金属をも含有せしめた複合塩であって、正リン酸、塩基性アミノ酸およびマグネシウムからなるリン酸アミノ酸多価金属複合塩を調製した後、これをマグネシウム以外の多価金属で処理することにより、これを構成する塩基性アミノ酸、マグネシウムおよび/または酸残基(H)の一部をマグネシウム以外の多価金属で置換せしめて得られる複合塩である。
【0034】
上記第一および第二のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩の製造方法は、得られる複合塩の溶解特性が中性〜アルカリ性の水に不溶で酸性の水に可溶となるものであれば、特別の制限を受けるものではないが、大別すると以下の4方法が好ましい方法として挙げられる。
【0035】
第一の方法は、過剰量の塩基性アミノ酸の水溶液(この水溶液は塩基性である)中に、アルカリ土類金属の第二リン酸塩を分散後加熱して得られた沈殿物を分離し、分離した沈殿物を必要により洗滌して製造する方法である。具体的な例としては、塩基性アミノ酸の塩、例えばリジンの塩酸塩、からイオン交換樹脂処理などによって脱塩酸して調製した遊離の塩基性アミノ酸の濃厚水溶液(塩基性)の過剰量に対し、リン酸水素マグネシウムやリン酸水素カルシウム等のアルカリ土類金属の第二リン酸塩を加えて加熱下で撹拌混合する方法が挙げられる。混合液中のアルカリ土類金属第二リン酸塩は、経時的に消失してリン酸アミノ酸アルカリ土類金属複合塩が沈殿物として生成する。沈殿物を固液分離した後、分離した固相を必要により水で洗滌して過剰の塩基性アミノ酸を除去し、乾燥すると主として上記第一のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩が得られる。
【0036】
第二の方法は、過剰量の塩基性アミノ酸の水溶液中で、適当なアルカリ土類金属塩の水溶液と正リン酸を2.9〜2.0対3.0のg当量比で混合して得られた沈殿物を分離し、分離した沈殿物を必要により洗滌して製造する方法である。具体的な例としては、塩基性アミノ酸の濃厚水溶液3g当量以上を正リン酸3g当量で中和して高濃度の第三リン酸塩溶液とした後、塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の中性塩の濃厚水溶液を2.9〜2.0g当量添加して撹拌混合し、生じた沈殿物を固液分離した後、過剰の塩基性アミノ酸を水で洗滌した後乾燥する方法が挙げられる。
【0037】
この方法では、アルカリ土類金属の添加速度およびこれの添加時の種晶の種類に応じて、主として上記第一のタイプおよび第二のタイプの複合塩が、それぞれ得られる。すなわち、アルカリ土類金属中性塩溶液を正リン酸3g当量に対し2g当量に近い比率で使用し、塩基性アミノ酸の第三リン酸塩溶液内に第一のタイプの複合塩の種晶を添加存在させてアルカリ土類金属中性塩溶液を徐々に添加する場合には、主として第一のタイプの複合塩が得られる。反対に、アルカリ土類金属中性塩溶液の添加量が正リン酸3.0g当量に対し2.8g当量に近い比率で、かつ急激に添加する場合には、主として第二のタイプの複合塩が得られる。
【0038】
第三の方法は、塩基性アミノ酸の水溶液と正リン酸を1.0対3.0のg当量比で混合して中和した溶液に、g当量比で2.9〜2.0のアルカリ土類金属の水酸化物を添加して混合し、得られた沈殿物を分離し、分離した沈殿物を必要により洗滌して製造する方法である。具体的な例としては、塩基性アミノ酸の濃厚水溶液1.0g当量と正リン酸3.0g当量を混合中和して塩基性アミノ酸第一リン酸塩の濃厚水溶液とし、この溶液に水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物2.9〜2.0g当量を水分散液として添加して混合する方法が挙げられる。添加したアルカリ土類金属の水酸化物は、経時的に消失してリン酸アミノ酸アルカリ土類金属複合塩が沈殿物として生成する。沈殿物を固液分離した後、得られた固相は必要により水で洗滌して過剰の塩基性アミノ酸を除去し、乾燥すると、主として第二のタイプの複合塩が得られる。
【0039】
第四の方法は、正リン酸、塩基性アミノ酸の水溶液及びアルカリ土類金属の水酸化物を混合した後、混合物を加熱して乾燥する方法である。例えば、塩基性アミノ酸の水溶液と正リン酸を0.05〜0.8対3.0のg当量比で混合中和した溶液に、g当量比で2.9〜2.2のアルカリ土類金属の水酸化物を添加して混合した後、混合物を加熱して乾燥する方法である。更なる具体的な例としては、塩基性アミノ酸の濃厚水溶液0.05〜0.8g当量と正リン酸3.0g当量を混合中和して第一リン酸塩と正リン酸の混合濃厚水溶液とし、この溶液に水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物2.9〜2.2g当量を水分散液として添加混合する方法が挙げられる。添加したアルカリ土類金属の水酸化物は経時的に消失してリン酸アミノ酸多価金属複合塩が沈殿物として生成する。沈殿物を反応混合物ごとそのまま乾燥すると、主として第二のタイプの複合塩が得られる。
【0040】
これらの4方法において共通するのは、塩基性アミノ酸の濃厚水溶液(上述のように塩基性である)を原料として使用し、塩基性アミノ酸が比較的高濃度な条件下で本発明の前記一般式(1)で表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩を反応生成させる点である。本発明において、塩基性アミノ酸の濃度は、最も高濃度が選ばれる第二の方法の場合、反応生成系内に存在する全水分を100重量部としたときこれに対し10〜60重量部の濃度が好ましく、最も低濃度が選ばれる第四の方法の場合、全水分を100重量部としたときこれに対し3〜20重量部の濃度が好ましい。
【0041】
また、これらの4方法は適宜組み合わせて用いることもできる。具体的な例としては、上記第一の方法でリン酸アミノ酸アルカリ土類金属複合塩が沈殿物として生成した反応液中に、正リン酸およびアルカリ土類金属の中性塩の濃厚水溶液溶液の適量を添加し、撹拌混合し、加熱して反応液中に残存する過剰量の塩基性アミノ酸と反応させる方法、上記第二の方法でリン酸アミノ酸アルカリ土類金属複合塩が沈殿物として生成した反応液中に、アルカリ土類金属の水酸化物を適量添加して反応液中に残存する過剰量の塩基性アミノ酸およびリン酸との反応を行わせる方法などが挙げられる。ここで得られるリン酸アミノ酸アルカリ土類金属複合塩は上記第一のタイプの複合塩と第二のタイプの複合塩の混合物であり、それらの製造方法および反応条件は、それらの組成(比)に影響を及ぼす。
【0042】
本発明の第三および第四のタイプに属する、リン酸が、それぞれ、ポリリン酸およびメタリン酸であるリン酸アミノ酸多価金属複合塩の製造方法は、得られる複合塩の溶解特性が中性〜アルカリ性の水に不溶で酸性の水に可溶となるものであれば特に制限されるものではなく、リン酸がそれぞれポリリン酸およびメタリン酸である点を除けば正リン酸の複合塩とほぼ同様である。このような製造方法は、大別すると以下の3方法を好ましい方法として挙げることができる。
【0043】
第一の方法は、過剰量の塩基性アミノ酸の水溶液(塩基性)に前記リン酸(すなわち、ポリリン酸またはメタリン酸)および/または前記リン酸のアルカリ金属塩を添加した塩基性水溶液にアルカリ土類金属の中性塩水溶液を該リン酸100g当量あたりで70〜130g当量添加し、生じた沈殿物を分離し、分離した沈殿物は必要により洗滌後乾燥して目的の複合塩を得る方法である。
【0044】
第二の方法は、前記リン酸を、これの100g当量あたり塩基性アミノ酸水溶液2〜50g当量で中和して得た酸性〜中性の水溶液に、70〜130g当量のアルカリ土類金属の水酸化物および/または酸化物を添加混合し、反応により生じた沈殿物を分離し、分離した沈殿物を必要により洗滌後乾燥して目的の複合塩を得る方法である。
【0045】
第三の方法は、前記該リン酸を、これの100g当量あたり塩基性アミノ酸水溶液2〜15g当量で中和して得た酸性水溶液に、85〜130g当量のアルカリ土類金属の水酸化物および/または酸化物を添加混合し、中和反応の生成物を反応混合物ごとそのまま乾燥して目的の複合塩を含む組成物を得る方法である。
【0046】
本発明の第三および第四のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、それぞれ、別個に調製してもよいが、原料のポリリン酸とメタリン酸とを同時にあるいは予め混合して用いて、第三のタイプおよび第四のタイプの複合塩の混合物を得る方法も好ましい方法として用いられる。
【0047】
本発明の第一および第二のタイプの複合塩並びに第三および第四のタイプの複合塩は、これらを、それぞれ、別個に調製する方法の他、原料となる3種のリン酸(すなわち、正リン酸、ポリリン酸及びメタリン酸)を、適宜、同時にあるいは予め混合して用いて第一〜第四のタイプの複合塩をそれらの混合物として得る方法も用いられるが、予め第一および第二のタイプの複合塩の混合物を生成せしめた反応液にポリリン酸および/またはメタリン酸とアルカリ土類金属塩を加えて第三および/または第四のタイプの複合塩をも生成せしめる方法、および予め第三および第四のタイプの複合塩の混合物を生成せしめた反応液に正リン酸とアルカリ土類金属塩を加えて第一および/または第二のタイプの複合塩をも生成せしめる方法が、第一〜第四のタイプの複合塩の混合物を得る方法として好ましい方法として用いられる。
【0048】
本発明の第五のタイプののリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、先に述べたように、前記一般式(4)によって示され、例えば、塩基性アミノ酸、マグネシウム塩および正リン酸を、塩基性アミノ酸が比較的高濃度でかつ中性〜アルカリ性の条件下で水溶液中に共存させたときに結晶沈殿物として得られる複合塩、すなわち、前記一般式(1)で示される本発明の第一または第二のタイプの複合塩のうちアルカリ土類金属をマグネシウムに限定した複合塩(以下、中間複合塩ということがある。)を中間原料とし、この中間複合塩をマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩で処理して得られる複合塩である。この複合塩の具体的な例としては、正リン酸の第三リン酸塩または第三リン酸塩を主成分とし、これと第二リン酸塩との混合物に相当する塩を挙げることができ、これらは正リン酸1モルに対し、塩基性アミノ酸(R)が0.05〜1モル、マグネシウム(Mg)が0.85〜1.43モル、マグネシウム以外の2価または3価の多価(m)金属(M)が0.02〜0.6モル、そして酸残基(H)が0〜0.3モルの割合からなる組成を有し、前記一般式(4)において、a+2b+mc+dが3であり、第二リン酸塩はモル比で第三リン酸塩の1/2以下であり、また複合塩中に含まれる水分は30%以下である。また、前記一般式(4)において、nは理論的には0、1又は2であるが、実際の乾燥条件により0〜20となる。
【0049】
本発明の第五のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩を構成するマグネシウム以外の2価または3価の多価金属としてはカルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、クロムなどの遷移金属、亜鉛、カドミウムなどのその他の2価金属を挙げることができるが、生物学的に安全に受容される点で、カルシウム、アルミニウム、鉄、および亜鉛が好ましい。これらの多価金属は、本発明の第五のタイプの複合塩を作成するに際しては、それらの塩、水酸化物または酸化物など、適当な形態で用いられる。
【0050】
本発明の第五のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩の製造方法もまた、得られる複合塩の溶解特性が中性〜アルカリ性の水に不溶で酸性の水に可溶となるものであれば、特に制限されるものではないが、中間複合塩をマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩の溶液と混合した後にこれを分離し、乾燥する方法が好ましく用いられる。なお、中間複合塩は、例えば、上記の第一または第二のタイプの複合塩の製造方法においてアルカリ土類金属をマグネシウムに限定して用いることにより作成することができる。
【0051】
前記中間複合塩を処理して本発明の第五のタイプの複合塩を作成する際に用いられるマグネシウム以外の2価または3価の多価金属は、上に述べたように、それらの塩、水酸化物または酸化物などの適宜の形態をとることができるが、塩の場合は、それらの溶液若しくは分散液として用いることができる。塩溶液(若しくは分散液)は、これに特別の制限はないが、弱酸性〜塩基性であって、マグネシウム以外の多価金属イオンを溶液100重量部あたり0.001重量部以上の適当な量で溶解している水溶液(あるいは含有している水分散液)が好ましく用いられる。具体的には塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アンモニウム明礬、カリウム明礬などのアルミニウム塩の水溶液、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのカルシウム塩、又は水酸化カルシウムの水溶液もしくは水分散液、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸鉄カリウム、硫酸鉄アンモニウムなどの鉄塩の水溶液、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウムなどの亜鉛塩、又は水酸化亜鉛の水溶液もしくは水分散液が例示され得る。これらのマグネシウム以外の多価金属塩溶液は、単独で使用することもできるが、2種以上を混合し、混合塩溶液もしくは複塩溶液としても用いることができる。
【0052】
本発明において中間複合塩を処理するために用いられるマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩の必要量は、それの中間複合塩との接触時間、マグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩の溶液もしくは分散液の濃度、接触時の中間複合塩の分散濃度によりそれぞれ異なるが、用いたマグネシウム以外の2価または3価の多価金属イオンの大半が目的とする複合塩に移行することから、中間複合塩中のリン酸1モルに対しモル比で0.02〜0.6の割合で用いることが好ましい。
【0053】
本発明において中間複合塩をマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩で処理するには、中間複合塩を予め調製した後、これをマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩溶液と混合して接触せしめた後、分離し、乾燥する方法が好ましく用いられる。この際、中間複合塩は、予め乾燥して粉末として用いることもできるが、未乾燥のものをマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩溶液中に分散せしめた後、これを分離し乾燥する方法、あるいは未乾燥の中間複合塩に例えば水酸化カルシウムを粉末または水分散液として添加混合した後そのまま乾燥する方法も用いることができる。
【0054】
本発明において中間複合塩をマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩で処理する効果は、中間複合塩が有する中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶な溶解特性をさらに強化し、緩衝能を有する中性水溶液に対しても不溶性を発揮させることにある。これは、中間複合塩をマグネシウム以外の2価または3価の多価金属塩で処理することにより、中間複合塩の表面に正リン酸およびマグネシウム以外の2価または3価の多価金属の塩からなるより不溶性の表層が形成せしめられ、その結果として、中性の緩衝水溶液に対して不溶でかつ酸性の緩衝水溶液に可溶な複合塩が形成されることによるものと考えられる。
【0055】
上記第一〜第五のタイプの5種のリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、正リン酸、塩基性アミノ酸およびアルカリ土類金属の組成比のほか、粉末X線回折分析でもそれぞれの種別に特定できる。すなわち、Kα線を用いた粉末X線回折スペクトルを比較すると、上記第一のタイプの複合塩は約3.6〜4.0゜および7.2〜7.6゜に2つの大きいピークを示すのに対し、上記第二のタイプの複合塩は約5.9〜6.9゜に大きいピークを示す。また、上記第三のタイプおよび第四のタイプの複合塩は明瞭なピークを示さず、それぞれ、2θで約25゜〜約35゜の範囲にベースラインのわずかな盛り上がりのみが観察される。第五のタイプの複合塩では、中間複合塩である第一または第二のタイプの複合塩のピークがそれぞれ観察される。
【0056】
また、上記5種の複合塩は、いずれも中性〜アルカリ性の水に対しては溶解性を示さないが、それぞれの塩基性アミノ酸成分の溶出挙動に差が認められる。すなわち、上記第一のタイプの複合塩では中性の水に分散させた状態で経時的に塩基性アミノ酸成分のみが溶出する傾向を示すのに対し、上記第二〜第五のタイプの複合塩では中性の水に対する塩基性アミノ酸成分の溶出は極めて少ない。
【0057】
従って、上記第二〜第五のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、上に説明したようにして作成された各複合塩またはそれらの混合物をそのまま結晶粉末の形態で使用しても、中性〜アルカリ性の水に不溶かつ酸性の水に可溶な性質を有し、水中で安定かつ水産養殖動物の消化器官で塩基性アミノ酸を放出する粉末状の水産動物飼育用飼料添加剤組成物として利用することができる。これらのタイプの複合塩は、顆粒の形態の水産動物飼育用飼料添加剤組成物に調製することも可能なことはいうまでもなく、特に後述のように、塩基性アミノ酸以外の生物学的活性物質を併用する場合は顆粒の形態にするのが通常である。
【0058】
一方、上記第一のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩またはこれを主成分とするその他のタイプのリン酸アミノ酸多価金属複合塩との混合物は、これらをそのまま結晶粉末の形態で使用するよりも、適当な粒径の顆粒に成形して中性〜アルカリ性の水に対する塩基性アミノ酸成分の溶出性を減少させることが好ましい。この場合でも、本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、中性の水に対しては徐々に塩基性アミノ酸を放出するものの、酸性の水には容易に溶解する性質を有し、顆粒成形物はその組成の如何によらず水産養殖動物の消化器官での溶崩性を発揮するため、水中で安定かつ水産養殖動物の消化器官で塩基性アミノ酸を放出する顆粒状の水産動物飼育用飼料添加剤組成物として利用することができることはもちろんである。
【0059】
本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩を顆粒の形態の水産動物飼育用飼料添加剤組成物として利用する場合には、その顆粒は、均質な顆粒構造のものが特に好ましい。本発明において均質な構造の顆粒とは、顆粒を破砕して粒径が約0.2〜0.5ミリの顆粒破片を形成した場合にも顆粒破片間で組成に変動のないものをいう。すなわち、他の飼料成分と混合し、あるいは混合して造粒する際に顆粒が破壊される限界の粒径が約0.2〜0.5ミリの範囲にあることから、粒径が約0.2〜0.5ミリの顆粒破片間で組成が均一であれば混合造粒後の顆粒破片の組成も一定であり、混合造粒により作成した顆粒の場合にも塩基性アミノ酸成分の溶出性に大きな変化を生じないことから好ましいのである。
【0060】
顆粒化する方法としては、上記の均質性が得られる方法であれば、一般に使用されている方法が特に制限なく利用できる。具体的な例としては、適当なバインダーと混合した後に、押し出し造粒する造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、溶融噴霧造粒法などの造粒方法で造粒する方法、スラリーを噴霧乾燥する方法、粉末を適当なバインダーとともに流動層造粒法あるいは撹拌造粒法で造粒する方法、等が好ましく用いることができる。
【0061】
バインダーとしては、本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩として上記第二〜第五のタイプの複合塩を主体とする場合は、この分野で一般に使用されているものが特に制限なく利用できる。具体的な例としては、水溶性のバインダーとして、デンプン、カルボキシメチルセルロースの塩、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸の塩などの水溶性多糖類、カゼインナトリウム、ゼラチン、大豆タンパクなどの水溶性タンパク質、糖蜜、乳糖、デキストリンなどの糖類、およびポリメタクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、等が挙げられ、疎水性バインダーとして、セラック樹脂、ロジン、蜜ロウ、パラフィンワックスなどの天然ワックス類、セタノール、ステアリン酸などの高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、動植物油脂、硬化動植物油脂などの油脂関連物質類、グリセリンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、アセチルセルロース、ポリビニルアセテート、エステルガム、クマロン樹脂などの半合成樹脂や合成高分子類、等が挙げられる。上記第一のタイプの複合塩を主体とする場合には、上記疎水性バインダーを使用することが好ましく、これらのなかでも上記天然ワックス類及び上記油脂関連物質類は安全性の面からも更に好ましい。
【0062】
次に、前記一般式(5)で表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩について説明する。
【0063】
一般式(5)で表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩を下記再掲する。
【0064】
【化11】
Figure 0003711549
【0065】
(但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネシウム以外の原子価qの多価金属であって、qは2または3であり、aは0.05〜0.4、bは0.90〜1.47、cは0.01〜1.4、dは0〜0.3で、a+2×b+q×c+d=m+3であり、mは0<m≦1.12、そしてnは0〜10である。)
【0066】
この複合塩を製造する際の原料塩基性アミン酸は、先に説明した一般式(1)〜(4)のいずれかで表される複合塩の場合と同じである。すなわち、前記複合塩を製造する際の原料塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、オルニチンなどの天然塩基性アミノ酸、その塩基性誘導体、および中性アミノ酸の塩基性誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。具体的には、リジン、アルギニン、オルニチンなどの天然塩基性アミノ酸;塩基性アミノ酸含有ペプチドなどの塩基性誘導体;およびメチオニン、トリプトファン、スレオニンなどのアミノ酸のアミド、エステルなどの中性アミノ酸の塩基性誘導体が使用され得る。これらの中でも、リジンおよびアルギニンが必須アミノ酸としての栄養価値、経済性および塩の溶解性状の面で優れ、特に好ましく用いられる。
【0067】
一般式(5)の複合塩は、例えば、MがMgである前記一般式(1)の複合塩、すなわち、下記一般式(6)で表されるリン酸アミノ酸マグネシウム複合塩(中間複合塩またはMg塩ということがある。)を、水性溶媒中で、マグネシウム以外の原子価2または3の多価金属物質と縮合リン酸成分(単独)または縮合リン酸成分および正リン酸成分(併用)とを接触させることで作成することができる。
【0068】
【化12】
Figure 0003711549
【0069】
(但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオンで、aは0.05〜1.0、bは1.0〜1.47、cは0〜0.3で、a+2×b+c=3であり、そしてnは0〜10である。)
【0070】
前記Mg塩は、塩基性アミノ酸、マグネシウム成分およびリン酸成分を塩基性アミノ酸が比較的高濃度でかつ中性〜アルカリ性の条件下で水溶液中に共存させたときに結晶沈殿物として得られる。具体的な製造の一例を示すと、過剰量の塩基性アミノ酸の水溶液(塩基性)にリン酸と水酸化マグネシウムおよび/または酸化マグネシウムとを1対0.85〜1.43のモル比で添加混合し、加熱攪拌することで、中間複合塩であるMg塩が生成する。この反応液から濾過などの固液分離操作により、Mg塩を分離取得することができる。
【0071】
本発明においてMg塩を処理する際に用いられるマグネシウム以外の2価または3価の多価金属物質としては、先に説明した一般式(4)の複合塩の場合と同様に、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、クロムなどの遷移金属、亜鉛、カドミウムなどのその他の2価金属を挙げることができるが、生物学的に安全に受容される点で、カルシウム、アルミニウム、鉄、および亜鉛が好ましい。これらの多価金属は、前記一般式(5)の複合塩を作成するに際しては、それらの塩、水酸化物または酸化物など、適当な形態で用いられる。具体的には、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アンモニウム明礬、カリウム明礬などのアルミニウム塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのカルシウム塩、又は水酸化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸鉄カリウム、硫酸鉄アンモニウムなどの鉄塩、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウムなどの亜鉛塩、又は水酸化亜鉛が例示される。これらの多価金属塩は、単独で使用することもできるが、2種以上を混合して、固体状の混合塩として、またはそれらの溶液もしくは複塩溶液としても用いることができる。
【0072】
本発明においてMg塩を接触処理する際に用いられる縮合リン酸成分としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸およびその他のポリリン酸、またはそれらの塩、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸およびその他のメタリン酸、またはそれらの塩が用いられ、正リン酸成分としては、正リン酸またはその塩が用いられる。塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属塩およびアンモニウム塩があげられる。特にカルシウム塩、鉄塩などの2価または3価の金属塩を用いた場合、上記の多価金属物質をも同時に含むことになり、多価金属物質の使用量を削減することも可能となる。これらの縮合リン酸成分および正リン酸成分は、それぞれ、単独で使用することもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。また、それらの形態が固体または液体に関わらず、そのままの形態で用いることができるが、水溶液としても用いることができる。
【0073】
本発明においてMg塩を接触処理するために用いられる2価または3価の多価金属物質及び縮合リン酸成分(および適宜用いる正リン酸成分)の必要量は、次の2点を考慮して決める必要がある。即ち、Mg塩との接触時間、接触時のMg塩の分散濃度によりそれぞれ異なるが、多価金属物質からの多価金属イオン、及び縮合リン酸成分(および適宜用いる正リン酸成分)のほとんどすべてが目的とする一般式(5)の最終複合塩に移行すること、及び、一般的にこれら多価金属物質および縮合リン酸成分(および適宜用いる正リン酸成分)は、その使用量を増加させた方が、最終複合塩の溶解性は抑制されるが、飼料として必要とされる塩基性アミノ酸の含量が低下することの2点である。従って、溶解性を低下させる効果の発現及び塩基性アミノ酸含量を維持するためには、どちらもMg塩中のリン酸1モルに対しモル比で0.004〜1.2の割合で、好ましくは0.01〜0.5の割合で用いることができる。
【0074】
Mg塩(中間複合塩)と多価金属物質と縮合リン酸成分または縮合リン酸成分及び正リン酸成分との3者の接触は、通常、水溶媒中で行われる。一般的にはMg塩と多価金属物質と縮合リン酸成分または縮合リン酸成分および正リン酸成分とを水溶媒中で攪拌混合することで行われる。
【0075】
ここで用いられるMg塩(中間複合塩)は、例えば、正リン酸と水酸化マグネシウムと塩基性アミノ酸とを反応させ、この反応液から単離し、乾燥させたものを用いることもできるが、必ずしも単離は必要でなく、Mg塩を製造した反応液のまま、これを縮合リン酸成分および適宜用いる正リン酸成分及び2価または3価の多価金属物質と処理しても差し支えない。また、固液分離した湿結晶は、乾燥も必ずしも必要でなく、これと多価金属物質と縮合リン酸成分および適宜用いる正リン酸成分とを混練することによっても目的とする多価金属複合塩(最終複合塩)を製造することができる。
【0076】
これら3者の接触のための、混合操作において重要なことは、好ましくは、常に中性〜アルカリ性に保つような条件で操作することである。これを詳述すると、原料の一つであるMg塩および目的物である多価金属複合塩は中性〜アルカリ性領域では安定であるものの、酸性条件下では、相対的に不安定で分解して溶解しやすいためである。例えば、縮合リン酸成分として、ポリリン酸を用い、多価金属物質として水酸化カルシウムを用いる場合、酸性であるポリリン酸の水溶液に、Mg塩を添加し、次いでアルカリ性である水酸化カルシウムを添加するよりは、Mg塩を含むスラリーに水酸化カルシウム及びポリリン酸をこの順で添加する方がよい。また、Mg塩を含むスラリーのpHを6以上、好ましくは7以上に保ちながら、ポリリン酸と水酸化カルシウムを同時に添加する方法も推賞される。しかし、ごく短時間であれば、酸性条件に晒されてもあまり大きな悪影響はない。
【0077】
また、水酸化カルシウムのような比較的溶解度の低い物質を多価金属物質として用いた場合、反応条件によっては未反応のまま目的物である多価金属複合塩(最終複合塩)に混入することもあるが、海水もしくは淡水中での安定性および水産動物の消化器官中での溶解性に及ぼす影響は特に問題とならない。
【0078】
これら3者を混合して接触させる際の温度としては、特に制限はないが、0〜80゜Cの範囲で行なうことができる。混合する際の反応組成物濃度については、均一に混合されれば特に制限はなく、通常Mg塩として5〜40重量%濃度で行なうことができる。
【0079】
3成分の混合が終了した後は、混合物はすぐに固液分離操作に付することもできるが、反応を完結させるためには、30分間〜1日程度攪拌しておいた方がよい。
【0080】
接触(混合)操作後、混合物を濾過、振切分離などの固液分離に付して得られた多価金属複合塩の湿結晶は、通常含水率40〜80%となる。これを乾燥すると、その条件によっても変動するが、通常0〜15%程度の水分含量になる。
【0081】
本発明においてMg塩を縮合リン酸成分(および適宜用いる正リン酸成分)及びマグネシウム以外の2価または3価の多価金属物質で処理する効果は、Mg塩が有する中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶な溶解特性をさらに強化し、緩衝能を有する中性水溶液に対しても不溶性を発揮させることにある。すなわち、Mg塩を多価金属物質と縮合リン酸成分(および適宜用いる正リン酸成分)で処理することにより、Mg塩の表面に縮合リン酸および/または正リン酸並びに多価金属の塩からなるより不溶性の表層を形成せしめるとともに、多価金属カチオンの一部がMg塩中の塩基性アミノ酸水素カチオンと置換することでMg塩と表層部の縮リン酸成分および/または正リン酸成分とを架橋するためと考えられる。その結果として、中性の緩衝水溶液に対して不溶でかつ酸性の緩衝水溶液に可溶な目的の最終複合塩が形成されるのである。
【0082】
本発明の前記一般式(5)で表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、中性〜アルカリ性の水に対しては不溶でかつ酸性の水に対しては溶解する性質を顕著に有するため、海水もしくは淡水中で極めて安定であり、かつ酸性の、水産動物の消化器官内で完全に溶解して塩基性アミノ酸を放出し、これが吸収される。すなわち、該複合塩は、その有効成分である塩基性アミノ酸が水中では極めて効果的に保護され、水産動物の消化器官で消化吸収されるような粉末状の水産動物飼育用飼料添加剤組成物として利用することができる。また、該複合塩は、結晶粉末をそのまま使用することができるのみならず、適当な粒径の顆粒に成形して、水産動物飼育用飼料添加剤組成物として使用することもできることはいうまでもなく、特に後述のように、塩基性アミノ酸以外の生物学的活性物質を併用する場合は、顆粒の形態に調製するのが通常である。
【0083】
本発明においてリン酸アミノ酸多価金属複合塩の顆粒は、均質な顆粒構造のものがより好ましく選ばれる。本発明において均質な構造の顆粒とは、元の顆粒を破砕して、その粒径の2分の1〜10分の1程度の粒径を有する顆粒破片を形成した場合にも顆粒破片間で組成に変動のほとんどないものをいう。すなわち、顆粒を他の飼料成分と混合し、あるいは混合して造粒する場合に、顆粒が破片になった際も塩基性アミノ酸成分の溶出性に大きな変化を生じないものをいう。
【0084】
顆粒化する方法は、先に説明した前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される複合塩の場合と同様である。すなわち、顆粒化する方法としては、上記の均質性が得られる方法であれば、一般に使用されている方法が特に制限なく利用できる。具体的な例としては、適当なバインダーと混合した後に、押し出し造粒する造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、溶融噴霧造粒法などの造粒方法で造粒する方法、スラリーを噴霧乾燥する方法、粉末を適当なバインダーとともに流動層造粒法あるいは攪拌造粒法で造粒する方法、等が好ましく用いることができる。
【0085】
バインダーについても、先に説明した前記第二〜第五のタイプの複合塩の場合と同様である。すなわち、バインダーとしては、一般に使用されているものが特に制限なく利用できる。具体的な例としては、水溶性のバインダーとして、デンプン、カルボキシメチルセルロースの塩、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸の塩などの水溶性多糖類、カゼインナトリウム、ゼラチン、大豆タンパクなどの水溶性タンパク質、糖蜜、乳糖、デキストリンなどの糖類、ポリメタクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、等が挙げられ、疎水性バインダーとして、セラック樹脂、ロジン、蜜ロウ、パラフィンワックスなどの天然ワックス類、セタノール、ステアリン酸などの高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、動植物油脂、硬化動植物油脂などの油脂関連物質類、グリセリンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、アセチルセルロース、ポリビニルアセテート、エステルガム、クマロン樹脂などの半合成樹脂や合成高分子類、等が挙げられる。
【0086】
本発明の前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表されるリン酸アミノ酸多価金属複合塩は、これを顆粒に調製する際のリン酸アミノ酸多価金属複合塩とバインダーの比率は、バインダーの種類によって異なるが、該複合塩100重量部に対して0.1〜50重量部で所期の目的が達成され、成型保持に充分である。また、顆粒の粒径については、特別の制限がないが、平均粒径約5ミリ以下の顆粒が給餌のバラツキが少なくなる点で好ましく、平均粒径2〜0.2ミリの顆粒が他の飼料成分との混合操作が容易となる点から特に好ましい。
【0087】
本発明による、リン酸アミノ酸多価金属複合塩を有効成分として含有する顆粒は、比重調整、顆粒強度の増強、水産養殖動物の消化器官における溶崩性の補強、あるいは顆粒調製時の加工性向上などの目的で、該複合塩およびバインダーの他に、他の添加物を加えて調製することもできる。そのような添加物は均質な顆粒を形成するために、粉末あるいはワックス状物質から選ぶことができる。具体的な例としては、アルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩若しくは水酸化物、タルク、ベントナイト、クレイ、微細シリカなどの無機物質、あるいはパラフィンワックス、ポリエチレン粉末、パルプ粉末、セルロース粉末、キトサンなどの有機物質を挙げることができる。
【0088】
さらに、本発明による、リン酸アミノ酸多価金属複合塩を有効成分として含有する顆粒は、該複合塩の水中(淡水もしくは海水中)での保護性と水産養殖動物の消化器官内における溶出性を損なわない範囲で、他の生物学的活性物質を均質に分散させて調製することができる。
【0089】
生物学的活性物質としては、周知の各種の栄養物や薬物類、例えばアミノ酸およびその誘導体、アミノ酸のヒドロキシ同族化合物、ビタミン類、並びに水産動物薬類から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。具体的には、メチオニン、トリプトファン、スレオニン等のアミノ酸類;N−アシルアミノ酸、N−ヒドロキシメチルメチオニンのカルシウム塩などのアミノ酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メチルメルカプト酪酸およびその塩などのアミノ酸のヒドロキシ同族化合物;カロリー源としてのデンプン、脂肪酸、脂肪酸金属塩;ビタミンA、ビタミンA酢酸塩、ビタミンAパルミチン酸塩、ビタミンB群、チアミン、塩酸チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸コリン、塩酸ピリドキシン、塩化コリン、シアノコバラミン、ビオチン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンEなどのビタミン類およびそれに類する機能を有する物質;テトラサイクリン系、アミノ配糖体系、マクロライド系、ポリエーテル系の抗生物質;スルファモノメトキシン、スルファジメトキシンなどのサルファ剤;フラゾリドン、パナゾンなどの抗菌剤;ネグフォン、ビチノールなどの駆虫剤及びピペラジンなどの虫下し;エストロジェン、スチルベストール、ヘキセストール、チロプティン、ゴイトロジェン、成長ホルモンなどのホルモン類;等を使用することができる。
【0090】
【実施例】
以下に、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
【0091】
なお、本項における試験および各実施例において、生物学的活性物質としてのアミノ酸の含量および溶出量に関しては液体クロマトグラフィーで分析を行った。
【0092】
また、塩基性アミノ酸の溶出性及び保護性の試験は、実施例1〜24については、下記(a)〜(c)の方法により、そして実施例25〜38については、下記(d)〜(f)の方法により行った。
【0093】
(a)純水への溶出性:
調製した試料1.00gを200ml容三角フラスコに投入し、純水100mlを注入し、室温で10分間、超音波処理した後、濾過し、濾液中の塩基性アミノ酸量(試料からの溶出量)を分析し、純水への溶出性を溶出率をもって評価した。
【0094】
溶出率は、下記の計算式(i)により算出した。
【0095】
【数1】
Figure 0003711549
【0096】
(b)海水中での保護性:
調製した試料約0.5gを、300ml容三角フラスコに投入し、下記第1表に示す人工海水200mlを注入して、25℃で2時間振とうした。振とう終了後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、溶残塩基性アミノ酸量の、用いた試料中の塩基性アミノ酸量に対する比率を、下記計算式(ii)により算出して海水中での保護性とした。
【0097】
【表1】
Figure 0003711549
【0098】
【数2】
Figure 0003711549
【0099】
(c)水産動物の消化器官での溶出性:
調製した試料約0.5gを、300ml容三角フラスコに投入し、水産動物の消化器官液に相当する、下記第2表に示す酢酸−リン酸緩衝液(A液)200mlを注入して、25℃の温度下で2時間振とうした。振とう終了後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、前記計算式(i)により溶出塩基性アミノ酸量の、用いた試料中の塩基性アミノ酸量に対する比率を算出して、水産動物の消化器官液での溶出性とした。
【0100】
【表2】
Figure 0003711549
【0101】
(d)純水への溶出性:
調製した試料0.1gを50ml容メスフラスコ中に投入し、純水50mlを加えて、室温で10分間、超音波処理した後、濾過し、濾液中の塩基性アミノ酸量を分析し、純水への溶出性を溶出率として評価した。溶出率は、前記計算式(i)により算出した。
【0102】
(e)海水中での保護性:
調製した試料0.1gを50ml容メスフラスコ中に投入し、海水50mlを加えて室温で10分間、超音波処理した後、濾過し、濾液中の塩基性アミノ酸量を分析し、海水への溶出性を溶出率として評価した。海水は市販の人工海水用調合塩を所定の濃度に純水中に溶解して用いた(上記第1表)。
【0103】
溶出率は、前記計算式(i)により算出した。この算出値を100から減じたものが保護性である。
【0104】
(f)水産動物消化器官相当液への溶出性:
調製した試料約0.25gを300ml容三角フラスコに投入し、水産動物消化器官液のモデルとして下記第3表に示す酢酸−リン酸緩衝液(B液)50mlを加えて、25゜Cの温度下で2時間振とうした。振とう終了後、濾過し、濾液中の塩基性アミノ酸量を分析し、水産動物消化器官相当液への溶出性を前記計算式(i)により算出した。
【0105】
【表3】
Figure 0003711549
【0106】
実施例1
L−リジン水溶液(濃度:45重量%)1,300gに、第二リン酸マグネシウム塩3水和物174.3gを添加し、80℃で3時間加熱下で撹拌したところ、第二リン酸マグネシウム塩3水和物の粒状結晶が消失して、微細な結晶が大量に生じた。生じた結晶を濾取して1,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色結晶粉末285gを得た。
【0107】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水に、それぞれ、添加し撹拌して観察したところ、溶解(試料の形状の見掛け上の変化)は認められなかった。
【0108】
実施例2
L−リジン水溶液(濃度:20重量%)4,386gと正リン酸(濃度:85%)231gを混合して中和した溶液に、硫酸マグネシウム7水和物493gを水1,000mlに溶解した溶液を一気に添加した。生じたゲル状の沈殿物を濾取して12,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末280gを得た。
【0109】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0110】
実施例3
L−リジン水溶液(濃度:45重量%)650gと正リン酸(濃度:85%)461.2gを混合して中和した溶液に、水酸化マグネシウム291.7gを水1,000mlによく分散した分散液を添加し混合したところ、反応して発熱し、全体が白色固形物となった。この白色固形物を95℃で3時間加熱した後、純水3,000mlを加えてよく解砕し、固形分を濾取して3,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末750gを得た。
【0111】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0112】
実施例4
L−リジン水溶液(濃度:47重量%)311g及び正リン酸(濃度:85%)461.2gを混合して中和した溶液と、水酸化マグネシウム291.7gを水700mlによく分散した分散液とを均一に混合したところ、反応して発熱し、全体が白色固形物となった。この白色固形物を90℃で3時間加熱した後、砕いて60℃で減圧乾燥し、白色粉末750gを得た。
【0113】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0114】
実施例5
L−リジン水溶液(濃度:20重量%)4,386gと正リン酸(濃度:85%)231gを混合して中和した溶液に、実施例1で得られた白色結晶粉末20gを加えた後、塩化マグネシウム6水和物407gを水500mlに溶解した溶液を少量ずつ徐々に添加したところ、微細な結晶が生じた。生じた結晶を濾取して3,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥し、白色結晶粉末573gを得た。
【0115】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0116】
実施例6
L−リジン水溶液(濃度:40重量%)730gに第二リン酸マグネシウム塩の3水和物87.2gを添加し、80℃で3時間加熱下に撹拌したところ、第二リン酸マグネシウムの3水和物の粒状結晶が消失して、微細な結晶が生じた。この混合液に正リン酸(濃度:85%)46.1gを冷却しながら徐々に添加した後、硫酸マグネシウム7水和物98.6gを水150mlに溶解した溶液を一気に添加したところ、混合液は粘稠な結晶スラリーとなった。これより結晶を濾取し、1,300mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色結晶粉末198gを得た。
【0117】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0118】
実施例7
L−リジン水溶液(濃度:30重量%)4,873gと正リン酸(濃度:85%)461gを混合して中和した溶液に、塩化マグネシウム6水和物610gを水1,000mlに溶解した溶液を一気に添加した。生じた粘稠な混合物と水酸化マグネシウム93.3gを水700mlによく分散した分散液とを均一に混合し一夜放置したところ、白色の沈殿物を生じた。この沈殿物を濾取し、7,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末980gを得た。
【0119】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。
【0120】
実施例8
実施例1〜7で得られた結晶粉末および白色粉末につき、カールフィッシャー法および乾燥減量法(120℃、真空、3時間)による水分含量、液体クロマトグラフィーによるリジン含量、並びにICP(誘導結合プラズマ)発光分析法によるMg含量およびリン含量の分析を行った。その結果を下記第4表に示す。なお、リジン含量は、サンプルを希塩酸に溶解して、液体クロマトグラフィーで分析した。また、純水への溶出性、海水中での保護性、および水産動物の消化管液への溶出性を併せて同表に示す。
【0121】
【表4】
Figure 0003711549
【0122】
実施例9
L−リジン水溶液(濃度:45重量%)650gと正リン酸(濃度:85%)461.2gを混合して中和した溶液と、酸化マグネシウム201.5gを水600mlに分散した分散液とを均一に混合したところ、反応して発熱し、全体が白色固形物となった。この白色固形物を砕いて水12,000mlで洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末650gを得た。
【0123】
この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、112mg/dlであり、L−リジン含量は11.2%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、12mg/dlとなり、純水への溶出性は10.7%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は88%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0124】
実施例10
L−リジン水溶液(濃度:47重量%)311g及び正リン酸(濃度:85%)461.2gを混合して中和した溶液と、水酸化マグネシウム233.3gおよび水酸化カルシウム74.1gを水700mlに分散した分散液とを均一に混合したところ、反応して発熱し、全体が白色固形物となった。この白色固形物を砕いて水10,000mlで洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末600gを得た。
【0125】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、65mg/dlであり、L−リジン含量は6.5%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、24mg/dlとなり、純水への溶出率は36.9%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は62%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0126】
実施例11
L−リジン水溶液(濃度:20重量%)4,386g及びヘキサメタリン酸ナトリウム203.9gを混合した溶液に、塩化カルシウム2水和物294.4gを水300mlに溶解した溶液を添加した。生じたゲル状の沈殿物を濾取し、12,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末238gを得た。
【0127】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。また、この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、125mg/dlであり、L−リジン含量は12.5%であった。さらにまた、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、7mg/dlとなり、純水への溶出性は5.6%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護率は93%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0128】
実施例12
L−リジン水溶液(濃度:47重量%)466.6g及びトリポリリン酸ナトリウム183.9gを水1,000mlに溶解した溶液に、水酸化カルシウム9.26g及び塩化カルシウム2水和物147.2gを水300mlに分散し溶解した分散液を添加した。生じたゲル状の沈殿物を濾過して12,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末180gを得た。
【0129】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、98mg/dlであり、L−リジン含量は9.8%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、8mg/dlとなり、純水への溶出性は8.1%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は91%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0130】
実施例13
L−リジン水溶液(濃度:30重量%)609gにテトラポリリン酸(H6413)337.9gを冷却しつつ混合して中和した溶液に、水酸化カルシウム259.3gを水500mlに分散した分散液を添加した。混合物は発熱し、次第に全体が固化した。この固化物を粉砕し、12,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末505.9gを得た。
【0131】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、165mg/dlであり、L−リジン含量は16.5%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、18mg/dlとなり、純水への溶出性は11%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は87%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0132】
実施例14
L−リジン水溶液(濃度:30重量%)487gに水酸化カルシウム51.9gとピロリン酸二水素カルシウム(CaH227)216gを混合し、攪拌しながら90℃に加熱したところ、混合物は次第に全体が固化した。この固化物を粉砕し、10,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末356gを得た。
【0133】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、116mg/dlであり、L−リジン含量は11.6%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、27mg/dlとなり、純水への溶出性は23%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は76%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0134】
実施例15
L−リジン水溶液(濃度:50重量%)292gにテトラポリリン酸(H6413)337.9gおよび水150gを冷却しつつ混合して中和した溶液に、水酸化カルシウム259.3gを水400mlに分散した分散液を添加した。混合物は、発熱し次第に全体が固化した。この固化物を粉砕し、60℃で減圧乾燥して白色粉末690gを得た。
【0135】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、212mg/dlであり、L−リジン含量は21.2%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、76mg/dlとなり、純水への溶出性は36%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は62%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0136】
実施例16
L−リジン水溶液(濃度:50重量%)363gにテトラポリリン酸(H6413)337.9gおよび純水260mlを冷却しつつ混合して中和した溶液に、水酸化カルシウム185.2gおよび水酸化マグネシウム58.1gを水350mlに分散した分散液を添加した。混合物は、発熱し次第に全体が固化した。この固化物を粉砕し、水12,000mlで洗滌した後60℃で減圧乾燥して白色粉末165gを得た。
【0137】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、126mg/dlであり、L−リジン含量は12.6%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、2.6mg/dlとなり、純水への溶出性は2.1%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は97%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0138】
実施例17
L−リジン水溶液(濃度:50重量%)363gにメタリン酸((HPO3)n)467gおよび純水200mlを冷却しつつ混合して中和した溶液に、水酸化カルシウム166.7gを水300mlに分散した分散液を添加した。混合物は、発熱し次第に全体が固化した。この固化物を粉砕し、水12,000mlで洗滌した後60℃で減圧乾燥して白色粉末295gを得た。
【0139】
この白色粉末1gを100mlの純水および海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のL−リジン濃度を測定したところ、99mg/dlであり、L−リジン含量は9.9%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のL−リジン濃度を測定したところ、2.4mg/dlとなり、純水への溶出性は2.4%であった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は97%、そして水産動物の消化管液への溶出性は100%であった。
【0140】
実施例18
実施例1〜4で得られた結晶粉末および白色粉末(一般式(4)で表される複合塩に対する中間複合塩)につき、それぞれ250gを塩化カルシウム2水塩40gとともに水2,000mlと混合し、2時間室温で撹拌した。この混合液から固形分を濾過分離したのち乾燥して4種類の目的とする、一般式(4)のカルシウム処理複合塩I〜IVを253〜241g得た。
【0141】
実施例19
実施例5および実施例6で得られた結晶粉末(中間複合塩)につき、それぞれ100gを塩化亜鉛20gとともに水1,000mlと混合し、3時間室温で撹拌した。この混合液から固形分を濾過分離したのち乾燥して2種類の目的とする亜鉛処理複合塩VおよびVIを、それぞれ、103g得た。
【0142】
実施例20
実施例7で得られた白色粉末(中間複合塩)100gを水1,000mlと混合し、これに硫酸アルミニウムアンモニウム(焼明礬)30gを添加して2時間室温で撹拌した。この混合液から固形分を濾過分離し、乾燥して目的とするアルミニウム処理複合塩VIIを101g得た。
【0143】
実施例21
実施例1〜7で得られた結晶粉末および白色粉末並びに実施例18〜20で得られた処理複合塩I〜VIIにつき、カールフィッシャー法および乾燥減量法(120℃、真空、3時間)による水分含量、液体クロマトグラフィーによるリジン含量並びにICP(誘導結合プラズマ)発光分析法によるMg含量およびリン含量の分析を行った。その結果を下記第5表に示す。なお、リジン含量は、サンプルを希塩酸に溶解して、液体クロマトグラフィーで分析した。また、純水への溶出性、海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を併せて同表に示す。
【0144】
【表5】
Figure 0003711549
【0145】
実施例22
L−アルギニン174.2gと正リン酸(濃度:85%)98.0gを水300mlに溶解した溶液に、水酸化マグネシウム72.9gを水200mlによく分散した分散液を混合したところ、反応して発熱し、全体が白色固形物となった。この白色固形物を95℃で3時間加熱した後、純水1,000mlを加えてよく解砕し、固形分を濾取して1,000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥して白色粉末235gを得た。
【0146】
この白色粉末1gを100mlの純水および人工海水にそれぞれ添加し撹拌して観察したところ、溶解は認められなかった。この白色粉末1.00gを希塩酸100mlに溶解した溶液のアルギニン濃度を測定したところ、370mg/dlであり、アルギニン含量は37.0%であった。また、この白色粉末1.00gを純水100mlに添加混合して5分間の超音波処理を行った後に上清液のアルギニン濃度を測定したところ、100mg/dlとなり、純水への溶出性は27.0%となった。この白色粉末の海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は50%、そして消化管液への溶出性は100%であった。
【0147】
実施例23(水産動物飼育用飼料添加剤(その1))
実施例1で得られた白色結晶粉末200gを硬化大豆油150gと混合した後、加熱押し出し機を用いて65℃で口径1ミリのダイスから押し出し、長さ約1ミリに細断して粒径約1ミリの顆粒に成形した。
【0148】
得られた顆粒について、海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性は55%、そして消化管液への溶出性は95%であった。
【0149】
実施例24(水産動物飼育用飼料添加剤(その2))
実施例3で得られた白色粉末300g、メチオニン粉末20g、炭酸カルシウム50g、カゼインナトリウム30gおよびデンプングリコール酸ナトリウム5gを混合し、これに水100mlを加えて混練した後、口径2ミリのディスクペレッターを用いて押し出し、長さ約2ミリに細断して乾燥し、粒径約2ミリの顆粒に成形した。
【0150】
得られた顆粒をカッターで粒径約0.5ミリの小片に割り、その5粒についてそれぞれ希塩酸で加熱して抽出し、アミノ酸含量を測定したところ、各小片の間にアミノ酸含量の差が認められなかった。また、得られた顆粒について海水中での保護性および水産動物の消化管液への溶出性を評価したところ、海水中での保護性はリジンについては97%、そしてメチオニンについては64%、消化管液への溶出性はリジンおよびメチオニン共に95%であった。また、前記粒径約0.5ミリの小片について同様の評価をしたところ、海水中での保護性はリジンについては95%、そしてメチオニンについては62%、そして消化管液への溶出性はリジンおよびメチオニン共に98%であった。
【0151】
以下の実施例においては、リン及び金属成分の含量はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法、そして水分は乾燥減量法(135℃、30分間)によった。
【0152】
実施例25
L−リジン水溶液(濃度:50重量%)1.55Kgと水酸化マグネシウム 0.86Kgを水3.2Lに分散させた分散液と、37%正リン酸2.99Kgとを混合し、80゜Cで3時間加熱攪拌した後水20Lを加えた。得られた反応混合物に、50%L−リジン水溶液 17.9Kgと水酸化マグネシウム9.84Kgを水36.8Lに分散させた分散液及び37%正リン酸34Kgを90分間かけて同時に添加した。その間、反応液の温度は69〜72゜Cに保った。また、pHは8.2〜8.5の範囲であった。得られたスラリー128Kgの内、53Kgを振切分離に付し、得られた結晶は36Lの水で洗浄した。湿結晶を80゜Cの気流で乾燥し、11.4Kgの乾燥Mg塩結晶(中間複合塩)を得た。
【0153】
本結晶中のリジン、Mg及びPO4の含量は、それぞれ、20.0%、18.9%及び51.1%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、19%、17%及び100%であった。
【0154】
実施例26
トリポリリン酸7.0gを水500mlに溶解し、これに実施例25で得られたMg塩40g及び水酸化カルシウム8.75gを順次加え、室温で1時間攪拌した後、吸引濾過に付し、結晶を分離した。得られた湿結晶を65゜Cで減圧乾燥することにより、42.0gの結晶(最終複合塩)を得た。
【0155】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、11.8%、13.1%、16.6%及び8.4%であり、水分は11.5%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液での溶出性は、それぞれ、2%、2%及び100%であった。
【0156】
比較例1
トリポリリン酸を用いなかったことを除いては実施例26におけると同様にして41.2gの乾燥結晶を得た。
【0157】
本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、9%、7%及び100%であった。
【0158】
実施例27
トリポリリン酸を2.6gに、そして水酸化カルシウムを1.8gに変更したことを除いては実施例26におけると同様にして、38.6gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0159】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、13.8%、18.3%、18.4%及び2.3%であり、水分は11.5%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、5%、3%及び100%であった。
【0160】
実施例28
トリポリリン酸を2.6gに、そして水酸化カルシウムを13.3gに変更したことを除いては実施例26におけると同様にして、47.7gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0161】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、9.8%、13.5%、13.6%及び12.9%であり、水分は13.7%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、4%、3%及び100%であった。
【0162】
実施例29
トリポリリン酸を1.0gに、そして水酸化カルシウムを4.4gに変更したとを除いては実施例26におけると同様にして23gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0163】
本結晶中のリジン含量は13.5%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性はそれぞれ、4%、2%及びほぼ100%であった。
【0164】
実施例30
トリポリリン酸47.1gを水500mlに溶解し、これに水酸化カルシウム63.4gを加え、室温で1時間攪拌した。得られたスラリーを吸引濾過に付して結晶を分離し、分離した結晶は水で十分に洗浄した。湿結晶を乾燥することでトリポリリン酸カルシウム塩を96.6g得た。実施例26におけるトリポリリン酸と水酸化カルシウムの代わりに、このトリポリリン酸カルシウム塩15.7gを用いたことを除いては実施例26におけると同様にして49.5gの結晶(最終複合塩)を得た。
【0165】
本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、3%、2%及び100%であった。
【0166】
実施例31
トリポリリン酸ナトリウム3.0gを水450mlに溶解し、これに実施例25で得られたMg塩45.0g及び水酸化カルシウム5.0gを加え、室温で2時間攪拌した。得られた反応スラリーを吸引濾過に付し、分離した結晶は水200mlで洗浄した。湿結晶を乾燥することで、37.8gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0167】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、14.3%、16.1%、15.6%及び5.1%であり、水分は9.7%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、3%、1%及び100%であった。
【0168】
実施例32
トリポリリン酸ナトリウムの代わりにヘキサメタリン酸ナトリウム3.0gを用いたことを除いては、実施例31におけると同様にして46.4gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0169】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、13.7%、16.1%、16.1%及び5.1%であり、水分は10.8%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、2%、2%及び100%であった。
【0170】
実施例33
トリポリリン酸ナトリウムの代わりにメタリン酸3.0gを用いたことを除いては、実施例31におけると同様にして45.8gの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0171】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、13.8%、16.0%、16.4%及び5.1%であり、水分は10.8%であった。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、2%、2%及び100%であった。
【0172】
実施例34
実施例25で得られたスラリー19.5Kgを30L容容器に張り込み、55゜Cの加熱下で攪拌した。これに、50%リジン水溶液50.48Kg及び水酸化マグネシウム27.72Kgを水155.5Lに分散させた分散液並びに85%正リン酸42.22Kgを15時間かけて同時に添加した。その間、スラリーのpHは、これを8.3に保持するようにリジン/水酸化マグネシウム分散液及びリン酸の両者の添加速度を調節した。また、添加量と同量のスラリーを容器から引抜くことで容器内の液量を一定に保つようにした。この操作をすることで合計265.8Kgの(中間複合塩の)スラリーを引き抜いた。
【0173】
本スラリー22.15Kgを55゜Cで攪拌しておき、これにピロリン酸0.9Kgを水8.4Lに溶解させた水溶液及び水酸化カルシウム1.22Kgを水8.1Lに分散させた分散液を2時間かけて同時に添加した。その間スラリーのpHは9.3に保つようにした。得られたスラリーを振切り分離に付し、分離した結晶を42Lの水で洗浄した。得られた湿結晶を90゜Cの気流で乾燥して6.86Kgの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0174】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、11.0%、13.4%、16.1%及び7.8%であり、水分は9.2%であった。なお、母洗液60L中にはリジンは1.05Kg存在するものの、Mg、P及びCaは極微量であり、99.9%以上は結晶(最終複合塩)中に含まれていた。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、2%、2%及び100%であった。
【0175】
実施例35
実施例25で得られたスラリー1.95Kgを3L容容器に張り込み、55゜Cの加熱下で攪拌した。これに50%リジン水溶液5.05Kg及び水酸化マグネシウム2.77Kgを水15.6Lに分散させた分散液並びに85%正リン酸4.22Kgを15時間かけて同時に添加した。その間、スラリーのpHは、これを8.3に保持するようにリジン/水酸化マグネシウム分散液及びリン酸の両者の添加速度を調節した。また、添加量と同量のスラリーを容器から引き抜くことで容器内の液量を一定に保つようにした。この操作をすることで合計26.6Kgの(中間複合塩の)スラリーを引き抜いた。
【0176】
本スラリー22.2Kgを55゜Cで攪拌しておき、これに10%正リン酸水溶液9.5Kg及び水酸化カルシウム1.11Kgを水8Lに分散させた分散液を2時間かけて同時に添加した。その間、スラリーのpHは9.3に保つようにした。得られたスラリーを振切り分離に付し、分離した結晶を40Lの水で洗浄した。得られた湿結晶を90゜Cの気流で乾燥して6.84Kgの乾燥結晶(最終複合塩)を得た。
【0177】
本結晶中のリジン、Mg、P及びCaの含量は、それぞれ、11.0%、13.4%、16.2%及び7.8%であり、水分は9.1%であった。なお、母洗液60L中にはリジンは1.05Kg存在するものの、Mg、P及びCaは極微量であり、99.9%以上は結晶(最終複合塩)中に含まれていた。また、本結晶の海水、純水及び水産動物消化器官相当液への溶出性は、それぞれ、2%、2%及び100%であった。
【0178】
実施例36(水産動物飼育用飼料添加剤(その3))
実施例34で得られた乾燥多価金属複合塩(最終複合塩)を200g秤り取り、これを2%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液130gと混練した後、口径1.5ミリのディスクペレッターを用いて押出し、長さ約2ミリに細断して乾燥し、粒径約1.5ミリの顆粒に成形し、乾燥した。
【0179】
得られた顆粒について海水への溶出性および水産動物消化器官相当液への溶出性を検査したところ、海水への溶出性は1%、そして水産動物消化器官相当液への溶出性は95%であった。
【0180】
実施例37(水産動物飼育用飼料添加剤(その4))
実施例34で得られた乾燥多価金属複合塩(最終複合塩)を200g秤り取り、メチオニン粉末15g、炭酸カルシウム40g、カゼインナトリウム20g及びデンプングリコール酸ナトリウム4gを混合し、水80mlを加えて混練した後、口径1.5ミリのディスクペレッターを用いて押出し、長さ約2ミリに細断して乾燥し、粒径約1.5ミリの顆粒に成形し、乾燥した。
【0181】
得られた顆粒について海水への溶出性および水産動物消化器官相当液への溶出性を検査したところ、リジンについては、海水への溶出性は1%、そして水産動物消化器官相当液への溶出性は95%であり、また、メチオニンについては、それぞれ、36%及び98%であった。
【0182】
実施例38
トリポリリン酸7.0gを水500mlに溶解し、これに実施例25のMg塩40g及び水酸化アルミニウム6.0gを順次加え、室温で1時間撹拌した後、吸引濾過に付し、結晶を分離した。得られた湿結晶を65℃で減圧乾燥することにより、40.5gの結晶(最終複合塩)を得た。
【0183】
【発明の効果】
本発明によれば、塩基性アミノ酸、アルカリ土類金属(およびマグネシウム以外の2価または3価の多価金属)並びにリン酸から容易に作成することのできる、中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶な複合塩を使用して、水産動物飼育用飼料に不足することの多いリジン等の塩基性アミノ酸及びその他の生物学的活性物質を含有し、水中での保護性および水産動物の消化器官での溶出性に優れた、均質な顆粒の形態とすることもできる水産動物飼育用飼料添加剤組成物が容易に得られ得る。このような均質な顆粒の形態の水産動物飼育用飼料添加剤組成物は、他の飼料成分との混合造粒による顆粒の破壊の影響を受けにくく、従来の技術のものに比べ、水中での保護性および水産動物の消化器官での溶出性に優れた効果を有する。
【0184】
本発明は、生物学的活性物質が水産動物に有効に吸収されることを可能にした飼料添加剤組成物を提供するものであり、産業上の意義は極めて大きい。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)〜(5)のいずれかで表わされる正リン酸、ポリリン酸またはメタリン酸から選ばれるリン酸、アルカリ土類金属および塩基性アミノ酸からなる、中性〜アルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶なリン酸アミノ酸多価金属複合塩を有効成分として含有することを特徴とする水産動物飼育用飼料添加剤組成物。
    Figure 0003711549
    (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.05〜1、bは1〜1.47、cは0〜0.3で、a+2×b+c=3であり、そしてnは0〜10である正リン酸複合塩。)
    Figure 0003711549
    (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.02×(m+3)〜0.3×(m+3)、bは0.35×(m+3)〜0.49×(m+3)、cは0〜0.2×(m+3)で、a+2×b+c=m+3であり、mは1〜20、そしてnは0〜10であるピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸などから選ばれるポリリン酸複合塩。)
    Figure 0003711549
    (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはアルカリ土類金属であり、aは0.02×m〜0.3×m、bは0.35×m〜0.49×m、cは0〜0.2×mで、a+2b+c=mであり、mは3〜50、そしてnは0〜20であるトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸などから選ばれるメタリン酸複合塩。)
    Figure 0003711549
    (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネシウム以外の2価または3価の多価金属であり、mは該多価金属の原子価で2または3であり、aは0.05〜1.0、bは0.85〜1.43、cは0.02〜0.6、dは0〜0.3で、a+2b+c×m+d=3であり、そしてnは0〜20であるリン酸複合塩。)
    Figure 0003711549
    (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネシウム以外の原子価qの多価金属であり、qは2または3であり、aは0.05〜0.4、bは0.90〜1.47、cは0.01〜1.4、dは0〜0.3で、a+2×b+q×c+d=m+3であり、mは0<m≦1.12、そしてnは0〜10であるリン酸複合塩。)
  2. 上記一般式(1)において、aが1、bが1、cが0、そしてnが0、1又は2であることを特徴とする請求項記載の水産動物飼育用飼料添加組剤成物。
  3. 上記一般式(1)において、aが0.05〜0.8、bが1.1〜1.47で、cが0〜0.3、そしてnが0〜10であることを特徴とする請求項記載の水産動物飼育用飼料添加剤組成物。
  4. 前記一般式(1)〜(3)において、アルカリ土類金属がマグネシウムおよびカルシウムから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の水産動物飼育用飼料添加剤組成物。
  5. 記一般式(4)又は(5)において、マグネシウム以外の2価または3価の多価金属が、カルシウム、アルミニウム、亜鉛および鉄から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項記載の水産動物飼育用飼料添加剤組成物。
  6. 塩基性アミノ酸がリジンおよびアルギニンから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の水産動物飼育用飼料添加剤組成物。
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