JP2766486B2 - エクストルーダー造粒飼料 - Google Patents

エクストルーダー造粒飼料

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JP2766486B2 JP63238110A JP23811088A JP2766486B2 JP 2766486 B2 JP2766486 B2 JP 2766486B2 JP 63238110 A JP63238110 A JP 63238110A JP 23811088 A JP23811088 A JP 23811088A JP 2766486 B2 JP2766486 B2 JP 2766486B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエクストルーダー造粒機を用いて製造される
造粒飼料に係り、特に、動物に対して高いL−アスコル
ビン酸活性を示すエクストルーダー造粒飼料に関するも
のである。
〔従来の技術〕
エクストルーダー造粒飼料とは、エクストルーダーと
いう造粒機を用いて、飼料原料に高熱と水分と圧力を加
え、その配合原料中のデン粉質の一部あるいは、全部を
α−デン粉化して作られる造粒飼料(ペレット飼料ある
いは単にペレットとも呼ばれるのことで、特殊造粒飼料
製品の一つとされているものである。(宮園勲,養殖臨
時増刊号,23巻,12号,P110〜,1986年) このエクストルーダー造粒飼料には、その形状から2
つのタイプがあり、1つは多孔質飼料(Expansion pell
et飼料あるいは単にEP飼料と呼ばれている。)と呼ばれ
る多孔質の飼料ペレットであり、他の1つは、多孔質で
はない堅固な堅質造粒飼料である。前者は一般にその比
重が1以下であり水に浮くか、水中に浮遊するために浮
餌と呼ばれることもある。これらのエクストルーダー造
粒飼料の特徴は、多孔質タイプのものも堅質タイムのも
のも、水中での安定性が高く、動物に対する消化性が良
好で、飼料の無駄が少ないと言われている。
エクストルーダー造粒飼料の水中安定性は、一般の飼
料と異なり、長時間水中に置いても水を吸収して体積を
増すだけでその形は、ほとんどくずれず、水を汚さない
という性質があり、またα−デン粉を多く含むことから
動物体内での消化・吸収性が高く、一般の飼料に比べ粉
化率が低く輸送中の粉化が少ないために飼料の無駄が少
ないという、理想的な飼料として注目を集めている。
また近年、水産養殖などの大規模化、高密度化の中
で、飼料による富栄養化にともなう水中汚染が社会問題
化してきているため、水を汚さないエクストルーダー造
粒飼料の需要が高まっている。
これは、エクストルーダー飼料の水中での高安定性が
水中環境の富栄養化による汚染を最少限度にとどめるこ
とができるからである。
しかしながら、高温高圧化での飼料の製造は比較的熱
に弱いビタミン類、特に、L−アスコルビン酸などを分
解させてしまうため、従来、エクストルーダー造粒飼料
へのL−アスコルビン酸の添加は、造粒後にL−アスコ
ルビン酸を他のビタミン類、油脂類などとともに、造粒
飼料に吸着させる方法がとられていた。
ところで、L−アスコルビン酸への飼料への添加は、
栄養学上、欠かすことはできないが、L−アスコルビン
酸はきわめて酸化されやすく、不安定であるため、従来
より多くのL−アスコルビン酸安定化物が提案され、飼
料に適用されてきた。例えばL−アスコルビン酸−2−
硫酸エステル塩の動物薬への応用(特開昭51−12575
6),L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル塩の動物
飼料への応用(特開昭62−198615,特開昭62−28575
9)。またL−アスコルビン酸−2−トリリン酸エステ
ル塩及びL−アスコルビン酸−ポリリン酸エステル塩な
ど新規のL−アスコルビン酸誘導体なども、その簡単な
合成法が報告されている(特開昭63−500240)。その他
近年では、L−アスコルビン酸の油脂コーティング物な
ども飼料添加用に使用されてきている。
本発明に関係するL−アスコルビン酸−2−ピロリン
酸エステル類については、その製造法が1969年に報告さ
れているが(野村,Chem.Phar.Bull.,Japan 17巻,P381,1
969年)、それ以後特に注目されることなく現在にいた
っていた。
これらの安定化物の生物におけるL−アスコルビン酸
としての生理学的な活性についても、多くの研究がなさ
れているが、生物の種類などによって活性の有無にはか
なりの違いがみられる。
例えば、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル類に
ついては、ある種の魚類と甲殻類についてその活性が確
認されているが(J.E.Halver.N.Y.Acad.Sei.258巻,P81,
1975年)、モルモット及びモンキーでは、L−アスコル
ビン酸としての生理学活性がないと報告されている(L.
J.Machlin.Am.J.Clin.Nitr.29巻,P825,1976年)。L−
アスコルビン酸−2−リン酸エステルについては、モン
キー,ヒト,モルモット等についてその活性が確認され
ている(L.J.Machlin,etc.,Am.J.clin.Nutr.32巻,P325,
1979年及び美間博之ら,ビタミン,41巻,6号,P387,1970
年)。L−アスコルビン酸−2−トリリン酸エステルに
ついてはモルモットでその活性が確認されている(特開
昭63−500240)。アスコルビン酸の油脂コーティング物
については、動物の種類によって胃の能力など消化能力
などが異なるため、その活性の有無は同一コーティング
物についても動物の種,固体差などでかなりの差がある
とされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述のように、L−アスコルビン酸は、不安定なため
に飼料原料中にL−アスコルビン酸を添加してエクスト
ルーダー造粒しても、造粒飼料中のL−アスコルビン酸
は造粒機内で加わる熱と圧力によってそのほとんどが失
活してしまう。なお、エクストルーダー内部の温度はエ
クストルーダーで作られる飼料の種類によって、その温
度条件は異なるが、一般に水分5〜50%存在下で90℃以
上の温度になる。特に多孔質飼料などをエクストルーダ
ーで製造する場合には、水分5〜50%の存在下で100〜1
40℃の温度が飼料原料に加えられる。これらの温度では
飼料中にL−アスコルビン酸が添加されていてもそのほ
とんどが分解して失活してしまうため、エクストルーダ
ー造粒によって作製された飼料で飼育された動物は、ビ
タミンCの欠乏症だけでなくビタミンC欠乏による細菌
感染によるヘイ死魚の発生や、創傷した皮フの再生,治
癒がおくれるなどの重大な問題が発生するおそれがあっ
た。
これらの問題を少しでも軽減するためのものとして、
最近ではエクストルーダーで造粒した飼料を乾燥させた
後、クランブラーにかけ、適当な溶媒に溶解あるいは分
散させたL−アスコルビン酸を溶媒とともに飼料に吸着
させ必要に応じて再度乾燥させるという工程で、飼料に
L−アスコルビン酸を付加していた。
このため、製造工程がきわめて繁雑で手間がかかり製
造効率も低下してしまうという問題があった。またこの
方法で溶媒によって造粒後に吸着させたL−アスコルビ
ン酸は、飼料の表面に多く存在するため、空気酸化を受
けやすく造粒後の乾燥条件を低温で長時間かけなければ
ならず、生産効率が悪く、又流通過程においても経時的
に分解されるという問題があった。さらに水中に投入し
た際、容易に水に接触して分解されたり、また大部分が
水中へ溶出、拡散し、最終的にそれを補食する生物へ吸
収されないため飼料への添加量に対するL−アスコルビ
ン酸の活性効率が著しく低下してしまうという問題があ
った。このため、従来のエクストルーダー造粒飼料によ
って、動物を飼育すると、L−アスコルビン酸が不足
し、それにともなう大量のへい死,病気や奇形の発生が
頻発化するという大きな問題があった。
従来のエクストルーダー造粒飼料には、このような問
題が存在していたため、水中環境を悪化させず、飼料効
率も良いとされるエクストルーダー造粒飼料の使用場面
が著しく限定され、結果的に水環境の浄化が遅れるなど
の問題もあった。このような問題を解決すべく、本発明
者らはエクストルーダー造粒によっても分解されない安
定化L−アスコルビン酸誘導体を飼料原料中に添加して
造粒する研究を重ねてきた。
例えば、既に公知のL−アスコルビン酸の安定化誘導
体であるL−アスコルビン酸−2−硫酸エステル類及び
L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル類を飼料原料
中に添加してエクストルーダー造粒機で造粒する方法を
試み、エクストルーダーの内部温度が100℃〜140℃で多
孔質飼料を造粒し、造粒後の飼料中の残存率を測定した
が、残存率が5〜45%と安定化せず、かつ残存率が低い
造粒飼料しか得られないという問題があった。これは10
0〜140℃というエクストルーダー内の高熱によるL−ア
スコルビン酸誘導体の分解と小麦粉や他の天然物由来の
飼料原料中に残存する硫酸エステル分解酵素及びリン酸
エステル分解酵素群によって、エクストルーダーによる
造粒以前にこれらの酵素群による分解を受け、L−アス
コルビン酸の安定化誘導体が不安定なL−アスコルビン
酸に変換されてしまうことが明らかになった。また、L
−アスコルビン酸−2−トリリン酸エステル及びL−ア
スコルビン酸−2−ポリリン酸エステルを添加した飼料
原料によってエクストルーダー造粒飼料を製造したとこ
ろ、エクストルーダー内の高温,高圧と多量に含まれる
水分(水分25%の飼料原料で造粒した。)によって、リ
ン酸が遊離し、多量の無機リン酸が飼料中に生成される
ことが明らかとなった。
L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステル類の性
質として、一分子あたりのリン酸の数が増加するにとも
ない、より小さなエネルギーで容易にリン酸が遊離し、
飼料中に蓄積される傾向が認められた。これらの飼料中
の多量の無機リン酸の遊離は、水中環境の浄化という点
において好ましいものではなく、近年の水環境の浄化が
特に水中のリン酸濃度を下げるべく努力にそそがれてい
る点からもリン酸の遊離しやすいポリリン酸エステル類
の飼料への添加は問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、エクス
トルーダー造粒飼料において、高温においても分解され
ず製造方法が簡便でかつ高いアスコルビン酸活性を有す
るエクストルーダー造粒飼料の提供を目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究を重ねた結
果、L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル類を
飼料原料中に添加してエクストルーダー造粒材で飼料を
製造すると、エクストルーダー内部が100℃〜140℃の高
温になる過酷な製造条件であっても、造粒後の飼料中の
残存L−アスコルビン酸の生理的活性が高率で残存する
ことを見いだした。
すなわち、本発明は、エクストルーダー造粒飼料にL
−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステルまたはその
塩類を含有させたものである。
本発明に係るL−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エ
ステル類(以下APと略す)とは、次の一般式を有する。
上記式中X及びYは異なりかつ各々−H及び−OA6から
なる群よりとる。
A1,A2,A3,A4,A5,A6は水素及び塩形成カチオンからな
る群からとる。通常APが塩を形成する時、A1,A2,A3,A4
が塩形成カチオンからなり、A5,A6は水素からなる場合
が一般的であるが、特にこれに限定されるものではな
い。
本発明に係わるAPの代表例として、L−アスコルビン
酸−2−ピロリン酸エステルナトリウム塩,L−アスコル
ビン酸−2−ピロリン酸エステルマグネシウム塩,L−ア
スコルビン酸−2−ピロリン酸エステルカルシウム塩が
あるが、特にこれに限定されず、APは例えばアルカリ金
属,アルカリ土類金属,アンモニウム塩のようなすべて
の塩−形成カチオンと塩を作ることができる。
本発明のエクストルーダー造粒飼料とは、エクストル
ーダーと呼ばれる造粒機を用いて高温,高圧下で作られ
る造粒飼料であるが、その造粒条件とはスクリュープレ
ス内部の温度が50℃〜200℃,造粒機内で飼料に加わる
圧力が10〜10000Kg/cm2,水分含量が1〜70%の範囲の高
温,高圧条件下で混合され練り込まれ、造粒される飼料
である。
本発明によるエクストルーダー造粒飼料を作製するに
使用されるエクストルーダー造粒機とは、一般にはエク
ストルーダー、クッキング エクストルーダー、又はエ
クストルーション クッカーなどと称されて市販されて
いるもので、例えば具体例としては米国Wenger Manufac
turing社(714 Mainstreet,P.O.Box 130,Sabetha,Kansa
s,U.S.A.)製のX−185型クッキング エクストルーダ
ーがある。
エクストルーダー造粒機の基本的構造は、フィーダー
と称される原料投入部、クッカー又はコンディショナー
と称される調湿部、スクリュープレスと称される加圧混
練部、成型ダイと称される飼料成型部からなる。さらに
機種によっては、成型ダイと対面する形で、カッターと
称される切断機、エクストルーダーを冷却するための冷
却機が付く場合がある。エクストルーダーの造粒工程と
しては、一般に、飼料原料をフィーダーに供給した後、
クッカーにおいてスチーム、温水又は水によって飼料原
料中の水分を1〜70%に調湿し、この後スクリュープレ
ス部のラセン形スクリューによって強制的に混合,圧
縮,練り込みを行う。飼料に加わる圧力は高い所で数百
から数千Kg/cm2にも達することがある。飼料原料は高圧
と摩擦熱などにより90〜150℃の高温になり成型ダイと
呼ばれる成型口から大気中に押し出されてくる。この押
し出された棒状の飼料は、ダイと対向して存在するカッ
ターによって適当な長さに切断され飼料ペレットとな
る。
このようなエクストルーダー造粒飼料の製造におい
て、最も重要かつ特徴的な工程は、水分を含む飼料原料
が、高温,高圧の条件下で混合,圧縮,練り込まれる、
という点である。なぜなら、普通の造粒機では、造粒温
度,圧力ともにL−アスコルビン酸の大部分を分解させ
るに足る造粒条件にはならないからである。
一般のエクストルーダー造粒飼料はエクストルーダー
で造粒後、適当な大きさに切断され、乾燥、高温スチー
ム処理、選別などの工程を経て最終製品とされるが、本
発明はこれらの造粒後の処理については特に限定されな
い。エクストルーダー造粒機によって製造される造粒飼
料の最終製品は、その飼料の用途により様々な種類のも
のがあるが、その代表例の1つとして多孔質飼料と称さ
れるものがある。多孔質飼料とはエクストルーダー造粒
機内で高温,高圧を加えて造粒した飼料を、大気中に急
激に放出することにより膨化させ、飼料の比重を1以下
のペレットとして造粒したもので、水中に投入した際、
水底に沈まず、水面又は水中に長時間浮遊するようにし
た特殊飼料である。このような多孔質飼料を製造する際
には、エクストルーダー造粒時にデンプン質をα化する
ために、エクストルーダー内部を100℃〜140℃の高温で
運転させることが一般的である。
エクストルーダーによって造粒される飼料の他の代表
例としては、水中安定性を高めた堅質飼料がある。多孔
質飼料も高い水中安定性を示すことから、この飼料の範
中に入るが、ここでいう堅質飼料は、比重が1以上で水
よりも重く水底に沈む性質を持っているため一般に多孔
質飼料と区別される。この堅質飼料は、水底で長時間安
定で形をくずさないためにエビ,カニなどの甲殻類や貝
類などの主に水底で摂餌する動物の飼料として有用であ
る。
これらの飼料は、水底で長時間,溶解することなく、
その形を維持できるため、通常の飼料よりも摂餌される
期間を長く保つことができる。
本発明によるAPの添加されたエクストルーダー造粒飼
料の製造方法は、エクストルーダー造粒機のスクリュー
プレス部において、AP及びその他の原料が均一に分散さ
れていれば良く、他の工程については特に限定されず、
一般的なエクストルーダーによる飼料製造方法が適用可
能である。特に従来方法で問題のあった乾燥温度、乾燥
時間についても飼料中のAP以外の他の栄養成分が分解変
質することのない条件であれば特に限定されない。
APを原料中に均一に分散する方法としては、エクスト
ルーダー造粒の前工程において他のビタミン類とともに
混合機を使用して充分に混合分散させても良いが、好ま
しくは、エクストルーダー造粒機のクッカー部における
調湿用の水又は温水にAPを溶解させ、クッカー部にて調
湿時にAPを飼料中に混入させることがAPをより均一に飼
料に分散させるのに適している。
APのエクストルーダー造粒飼料への添加量はAPの塩の
種類又は飼料の種類,用途対象動物によって適宜に選択
されるが、最終的に残存させたいエクストルーダー飼料
中のL−アスコルビン酸のモル数の1〜10倍量のモル数
に値するAPを添加する。具体的にはL−アスコルビン酸
−2−ピロリン酸四ナトリウム塩の場合、飼料1Kgに対
し、5〜5000mgを添加すれば良い。
本発明のAPを含有するエクストルーダー造粒飼料の対
象動物としては、牛、ブタ、ニワトリ、ペット類などの
陸上動物用飼料はもちろんのこと、魚介類、甲殻類など
の水産養殖動物用飼料として特に有用である。
特に、水中で高密度に養殖され、L−アスコルビン酸
の必要性の高い、アユ、ニジマス、ハマチ、タイ、コ
イ、ウナギ、サケ、アジ、ヒラメ、テラピア、ナマズ、
車エビ、牛エビ、アワビ、ホタテ貝などの飼料としてき
わめて有用である。
〔作用〕
APの熱安定性はきわめて高く、エクストルーダー造粒
機内部の高温高圧下でも分解されず造粒後の飼料中の残
存AP量が高い状態で保たれる。これらの残存APは、熱に
対しては安定であるが、生体内に飼料とともにとり込ま
れ、吸収されると生体中のフォスファターゼにより、AP
はすみやかにL−アスコルビン酸に変換されビタミンC
としての活性を発現することができる。
L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル類及びL−ア
スコルビン酸−2−リン酸エステル類などがエクストル
ーダー中で比較的容易に分解されるのは、リン酸歩呼び
硫酸のモノエステル基がエクストルーダー内の高圧,高
温条件に耐えられないためであり、APの場合、同じ条件
で安定なのは、L−アスコルビン酸に結合している化学
結合エネルギーが、モノ硫酸エステルやモノリン酸エス
テルの結合に比べピロリン酸エステル結合の方がより安
定であるために、APは高温高圧条件下で安定な状態で保
たれるものと推定される。
APは、このようにきわめて高い安定性を示すが、生体
内でのフォスファターゼが介在する酵素による加水分解
反応においては、すみやかにL−アスコルビン酸へ分解
されL−アスコルビン酸となるため、APは生体内でもL
−アスコルビン酸としての活性を充分に発現できる。
なお、AP、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル
類、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル類の熱安
定性の比較及びAPの生態内でのL−アスコルビン酸への
変換については実施例において後述する。
本発明のAPを含有するエクストルーダー造粒飼料につ
いて、以下の実施例の中でさらに詳しく説明するが、本
発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1) 本発明のAPを含有するエクストレーダー造粒飼料の具
体例の1つとして、アユ用多孔質飼料を例に説明する。
多孔質飼料とは、エクストルーダー造粒飼料の代表例の
1つである。
表1に示す組成の原料101Kgを粉砕機で粉砕し、電動
篩にかけて24メッシュパスの飼料原料粉100Kgを得た。
次にこれを攪拌混合機で60rpmで20分間原料粉を均一に
混合した。L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸四ナト
リウム塩40gを50の水に溶解させこの溶液を90℃に加
熱し、これをエクストレーダーの調湿液とした。Wenger
Manufacturing社製X−185型エクストルーダーによっ
て前記調湿液を使用し常法によりエクストルーダーを運
転し、水分27%、直径4mm、長さ5mm、比重0.7の多孔質
飼料を得た。次に温風乾燥材で70℃、2時間かけて飼料
を乾燥させ90Kgのアユ用多孔質飼料を得た。
この飼料10gのメノウバチで粉砕し、300メッシュパス
とし、この粉砕した飼料0.2gを正確にはかりとり、これ
を15ccの試験管に10ccの水及びデンプン分解酵素0.01g
とともに入れて、充分に振り混ぜ、37℃で10分間放置し
たのち試験管振とう機で5分間振とうし、1000rpmで10
分間遠心分離し液相をピペットで別の試験管に移し抽出
液とし、この20μを高速液体クロマトグラフィーで紫
外部258nmで検出定量したところ、添加理論量の93%と
いう高率のL−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステ
ル四ナトリウム塩が残存していることが確認された。
(実施例2) L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル類及び
その他のL−アスコルビン酸類の安定性を調べるため、
次の実験を行った。
表−2に示した各々のL−アスコルビン酸類の0.08重
量%の水溶液をそれぞれ50作り、この溶液を10ccの試
験管に5ccづつ分取し、次にこの溶液を0.01NのHClでpH
を5.0に調整した後、この溶液5ccに米国シグマ社製の酸
性フォスファターゼ(NO.P3627)及びサルファターゼ
(NO.59626)のそれぞれ50ユニット当量を添加して、酵
素反応を行った。37℃で30分間反応させた後、L−アス
コルビン酸の残存量を測定するため、各々の溶液20μ
を高速液体クロマトグラフィーで分析して残存アスコル
ビン酸量を測定し、これをAとした。
一方、表−2に示す各々のL−アスコルビン酸類の溶
液約50をエクストルーダーの調湿液として、実施例1
に示す方法でアユ用多孔質飼料を製造した。次にこの飼
料を実施例1に示す方法で抽出液を作り、この抽出液5c
cを別の試験管に分取し、上記と同様な酵素反応をpH5.0
で37℃において30分間反応させて、L−アスコルビン酸
に変換させ、各々の溶液20μを高速液体クロマトグラ
フィーで分析して残存アスコルビン酸量を測定し、これ
をBとした。
それぞれのL−アスコルビン酸類についてB/Aの比を
取り、L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル四
ナトリウム塩の比B1/A1の逆数であるA1/B1の値と各アス
コルビン酸類のB/Aの値の積を取ってそれぞれの残存ア
スコルビン酸量を比較し、表−2にまとめた。
この実験から、他のL−アスコルビン酸類に比べ、L
−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル4ナトリウ
ム塩がエクストルーダー造粒飼料中できわめて高い安定
性を示すことが確認された。
(実施例3) 表−3に示した各々の動物がAPをL−アスコルビン酸
に分解する酵素活性を体内に保持しているかどうかを確
認するため以下の実験を行った。
表−3に示した各々の動物の血液又はリンパ液を2cc
採取して10ccの試験管に取り、この試験管に0.02%の濃
度のL−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル4ナ
トリウム塩を含有する生理食塩水を2cc加えて4ccとし
た。
この溶液から20μを取り高速液体クロマトグラフィ
ーでL−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステルを定
量し、この値をCとした。
次に、この溶液を37℃で1時間放置した後、20μを
取り同様に高速液体クロマトグラフィーでL−アスコル
ビン酸−2−ピロリン酸エステルを定量しこの値をDと
した。
このDがCに比べ有意に減少していれば、L−アスコ
ルビン酸−2−ピロリン酸エステルが酵素による分解を
受けていると考えられることから、APをL−アスコルビ
ン酸に分解する酵素活性があるものとし、表−3に
(+)と表記した。CとDに変化のない場合は、APをL
−アスコルビン酸に分解する酵素活性がないものとして
(−)とした。
この結果から表−3に示されるような幅広い動物にL
−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エステル類をL−ア
スコルビン酸に分解する酵素活性が存在することが確認
された。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によるエクストルーダー
造粒飼料は、飼料中にAP(L−アスコルビン酸−2−ピ
ロリン酸エステルまたはその塩類)を含有させたもので
あり、このAPは、アスコルビン酸−2−硫酸エステル類
およびアスコルビン酸−2−リン酸エステル類に比べ、
熱安定性がきわめて高く、エクストルーダー造粒機内部
の高温高圧下であっても分解されず造粒後の飼料中に高
い残存率で残存させることができ、かつ生体内に飼料と
ともに取り込まれ、吸収されると速やかにL−アスコル
ビン酸に変換されビタミンCとしての活性を発現するこ
とができる。したがって、本発明によるエクストルーダ
ー造粒飼料は、飼料原料中にAPを添加して造粒するだけ
で、飼料中のビタミンCの活性を充分に残存させること
ができるとともに、飼料中の無機リン酸の遊離量を極め
て少なくすることができる。
つまりエクストルーダーの造粒以前にAPを他の飼料原
料とともに混練状態で含有させることが可能となり、造
粒後にL−アスコルビン酸を吸着させて作製された飼料
に比べ、製造工程を大幅に簡略化することができる。
また、APはアスコルビン酸に比べて空気酸化に対して
きわめて安定であり、飼料中のビタミンCの活性が流通
過程において経時的に減少してしまう不都合を防止する
ことができる。
また、APを造粒飼料中に均一に分散させることができ
るので、水中に投入した際に飼料表面のアスコルビン酸
が分解し、あるいは水中に溶出してしまうことによるロ
スを大幅に減少させることができ、飼料に対するL−ア
スコルビン酸の活性効率を向上させることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸エス
    テルまたはその塩類を含有させたことを特徴とするエク
    ストルーダー造粒飼料。
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