JP3775512B2 - L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤 - Google Patents
L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤 Download PDFInfo
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水産動物及び陸上動物用飼料添加物粒剤に関するものである。特にL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤を油脂類と平均粒径5〜30μmの中性で難溶解性で、酸性で易溶解性の物質を用いて被覆を行うことにより、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類をクランブルペレットやモイストペレット等の製造条件の異なる多様な飼料中で安定に保つための動物用飼料添加物粒剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
L−アスコルビン酸は、動物のコラーゲン合成にとって不可欠な栄養素の一つであり、水産動物や陸上動物飼料等に栄養補給やストレス対策等の目的で添加されている。
L−アスコルビン酸は、生体内のコラーゲン前駆体のプロリン残基をヒドロキシル化して、ヒドロキシプロリン残基に変えることによりコラーゲン生成に深く関与している。したがって、L−アスコルビン酸が不足すると結合組織の細胞間物質に含まれるムコ多糖類の性質が変化し結果的にコラーゲン繊維が健全な状態を保てなくなり、病理学的には、血管からの出血、骨の発育不全、表皮組織の発育不良等の壊血病症状を呈することになる。
【0003】
また、最近ではL−アスコルビン酸を体内で自己合成すると言われる、ニワトリ、ブタ、牛等の陸上動物用飼料、及び犬、ネコ、ウサギ、鳥類のようなペット用飼料にもストレス対策等の目的で、L−アスコルビン酸が飼料に添加されている。これは、動物の飼育環境に由来する温度、高密度飼育等のストレスに対し、L−アスコルビン酸の飼料への添加が、ストレス軽減に効果があるためである。
【0004】
また、飼料中の過酸化脂質等に起因する肝障害等の予防や、血液中のラジカル補足剤、免疫増強剤としても、飼料中へのL−アスコルビン酸の添加が効果があると言われている。
【0005】
このように、L−アスコルビン酸は経済動物の飼育にとって、きわめて重要な栄養素の一つであり、従来より動物飼料に添加されてきたが、L−アスコルビン酸は、きわめて酸化されやすく不安定であり、飼料製造中や、保管中に大部分が分解されてしまうという問題があり、これに対し従来より様々な安定化技術が用いられてきた。これらの技術を大別すると、L−アスコルビン酸やその塩類を有機酸や抗酸化剤とともに添加する方法や、L−アスコルビン酸やその塩類に特殊なコーティングを施し、物理的に酸素や飼料中のL−アスコルビン酸分解酵素から、L−アスコルビン酸を保護する方法(特願昭57−88103、特願昭56−103564)、更にL−アスコルビン酸のエンジオール基を化学的に置換し、L−アスコルビン酸の化学的に安定な誘導体を合成し、これを飼料へ添加することにより、生体内で、L−アスコルビン酸としての活性を発現させる方法等が用いられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
L−アスコルビン酸や、その塩類を抗酸化剤とともに飼料中へ添加する方法や、特殊なコーティングを施し、酸化からL−アスコルビン酸やその塩類を保護する方法では、クランブルペレットやモイストペレット等のように、70℃以下の比較的低温で製造される飼料については、製造工程中でのL−アスコルビン酸の分解は少ないが、これらL−アスコルビン酸のコーティング品では、ペレット飼料中での安定性が悪い。また、環境保護対策や、省力化等で、最近急速に需要が増加しているエクストルージョンペレット(EP飼料)においては、ペレット原料を110℃〜200℃の高温にすることによって原料中のデンプンをα化し製造する。そのためこれらの方法では、製造工程中の高温高圧の条件によって、L−アスコルビン酸やその塩類のほとんどが分解してしまうという問題点がある。また製造工程中での分解を防ぐためにコーティングを強固にすると、それに比例してL−アスコルビン酸類の吸収が妨げられ、フンとともに体外に排出されてしまうという問題点がある。
【0007】
これらの問題点を解決するために、近年L−アスコルビン酸の誘導体を飼料に添加する方法が開発された。L−アスコルビン酸の化学的に安定な誘導体としては、L−アスコルビン酸の2位または、3位のヒドロキシル基の置換によって酸化に対して安定化されているものが最も適しており、代表的な例として、2位または3位の硫酸エステル類やリン酸エステル類がある。これらの誘導体は、EP飼料製造工程でもほとんど分解することなく残存することが確認されている。これらの誘導体を飼料に添加した例としては、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルを水産動物飼料へ添加した例(Halver, etc., Federation proc., 31, 705, 1972)、L−アスコルビン酸−2−モノリン酸エステルを飼料へ添加した例(特開昭61−175142、62−198615、62−285759)、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステルを飼料へ添加した例(特願昭61−503565)、等が公知となっている。
【0008】
しかし、これらのL−アスコルビン酸安定化誘導体においてもいくつかの重大な問題点がある。例えば、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルは、魚類及び甲殻類においては活性を示すが(Halver, N.Y. Acd. sci., 285, 81, 1975)、モルモット及びモンキーでは、L−アスコルビン酸活性を示さない(アクリン, Am.J. clin. Nutr., 29, 825, 1976)。また、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルの活性は、アメリカナマズでは、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルよりも著しく低い(proc. 3Int. Symp. on Feeding and Nutr. in Fish, 1989)等があり、全ての生物に共通の活性があるわけではなく、飼料への添加については、動物の種類別に効果を確認する必要がある。
【0009】
これに対しほとんどの生物において高いL−アスコルビン酸活性があるといわれるL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル類の欠点としては、飼料に添加されることがある小麦の胚芽やフスマ及び飼料原料中の魚粉等の生体成分等に存在する酵素及び酸性物質やFe等の金属やある種の細菌によってアスコルビン酸−2−リン酸類の分解が促進されL−アスコルビン酸−2−リン酸類の濃度が低下するという問題がある。これらの問題はモイストペレットや牛やブタ等のミルクリプレイサー等の飼料に添加される場合に発生することが多く、アスコルビン酸−2−リン酸類を安定的に飼料中で維持することができないという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、飼料中のL−アスコルビン酸−2−リン酸のエステル類分解物質を含む飼料中でL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を安定に保つために、L−アスコルビン酸−2−リン酸の分解物質を含む飼料中での安定化の検討を行った結果、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を、炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物と、場合によっては2−ヒドロキシカルボン酸、あるいはその塩、あるいはキレート剤を用いてL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤を造粒し、この粒剤を炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物と中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質である、炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛、炭酸コバルトの少なくとも一種を用いて被覆したL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤が、L−アスコルビン酸−2−リン酸類の分解物質が含有される飼料中でL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を安定に保つことを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に於けるL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類とは、例えばL−アスコルビン酸−2−モノリン酸、L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸及び、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸等の単体、混合物または複合体が挙げられ、その塩類とは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属、及び第3級アミン等の塩が挙げられる。
【0012】
本発明に於ける炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物とは、例えば融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂としては、パーム油、牛脂、54硬化牛脂、牛脂極度硬化油、豚脂、硬化ヒマシ油、硬化菜種油等を、ロウ・ワックスとして、密ロウ、カルナバロウ、木ロウ等が挙げられる。
【0013】
また、中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質としては、例えば炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛、炭酸コバルト等が挙げられる。これらは造粒時、あるいは被覆時に用いることができ、その結晶形も任意のものが用いられるが、被覆に用いる場合は板状晶が好ましい。
【0014】
また本発明に於ける2−ヒドロキシカルボン酸あるいはその塩とは、ショウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の炭素数が1〜20の有機酸類またはそのカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0015】
また、本発明に於けるキレート剤とは、例えばポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、モノリン酸、トリメタン酸等のリン酸類、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属等が挙げられる。これらは、任意に用いることができるが2−ヒドロキシカルボン酸類及びキレート剤類の添加量は、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の10-9〜105重量倍の範囲が適当である。
【0016】
また、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤の造粒法は、公知の任意の方法が用いられる。例えば、スプレークーリング法、撹拌造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。また、このとき通常使用される賦形剤を用いることができる。
【0017】
また、これら芯粒剤の被覆方法は、転動造粒機、撹拌造粒機等を用い、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤に対して、上記油脂類を溶融液として添加し、平均粒径5〜30μmの中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質とを交互に添加し冷却固化させながら被覆層を形成させる。また、このとき中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質は、その板状晶を用いた方が好ましい。
【0018】
また、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤の造粒時の油脂類の使用量、及び被覆層中の油脂類の使用量は、出来上がり粒剤全量に対し10重量%以上である。10重量%未満では、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の安定性が劣り効果がない。また、極端に多量に用いた場合には、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の含量が少なくなること等の問題点がある。
【0019】
またこれらの粒剤の大きさは、小さいほど好ましく、通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下である。
【0020】
本発明に於いて、造粒あるいは被覆層中の油脂類は、飼料中においてL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の溶出、飼料からの酸化物質、水分各種酵素類等の浸入を防止するためのものである。また、2−ヒドロキシカルボン酸、あるいはその塩、またはキレート剤は、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはL−アスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸の酸素類による分解を防止するものであり、中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質は、生体中でのL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の溶出促進剤として作用する。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により、更に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0022】
(1)実施例1
L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム450g、第2リン酸カルシウム330g、炭酸カルシウム40g、牛脂極度硬化油180gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0023】
(2)実施例2
L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、乳酸カルシウム90g、牛脂極度硬化油190gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
得られた粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0024】
(3)実施例3
L−アスコルビン酸−2−リン酸カルシウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、メタリン酸カリウム90g、牛脂極度硬化油185gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0025】
(4)実施例4
L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、乳酸カルシウム45g、メタリン酸カリウム45g、牛脂極度硬化油185gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0026】
(5)比較例1
L−アスコルビン酸300g、第2リン酸カルシウム480g、炭酸カルシウム40g、牛脂極度硬化油180gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0027】
(6)比較例2〜4
飼料中での安定性試験の対照として、L−アスコルビン酸(比較例2)、L−アスコルビン酸カルシウム(比較例3)、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム(比較例4)単独の安定性試験を行った。
【0028】
(7)モイストペレット飼料中での安定性試験の方法
▲1▼マイワシミンチと粉末配合飼料を1:1の割合で混合し、試験粒剤及び飼料がL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準)となるよう各々の飼料を添加し、良く混合しペレット化を行った。
この時の粉末配合飼料組成を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
▲2▼配合時のL−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル含量を基準に、室温放置24時間後の残存率を求めその結果を表2に示した。
▲3▼L−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルの分析は、表1に付記する高速液体クロマトグラフィーの条件により行った。
【0031】
【表2】
【0032】
(8)クランブル飼料中の安定性試験
下記表3の組成の飼料原料に試験粒剤及び飼料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により水産動物用クランブル飼料を作製した。
【0033】
【表3】
【0034】
調製後の飼料の乾燥減量(105℃、3時間の値)はいずれも、7%前後であった。
この飼料を温室に保存し、配合時の添加量を100%として100日後の飼料中残存率を下記の分析方法で求めた。結果を表4に示した。
【0035】
【表4】
【0036】
(9)EP飼料中の安定性試験
下記の表5の組成の飼料原料に試験粒剤及び試料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により二軸エクストルーダーで水産動物用EP飼料を作製した。
【0037】
【表5】
【0038】
この飼料を室温に保存し、配合時の添加量を100%として30日後の飼料中残存率を下記の分析方法で求めた。結果を表6に示した。
(APMの分析)
飼料サンプルをメノウ鉢ですり潰し、その0.3gを精秤して水10mlを加え激しく振盪した。これを遠心分離して上澄みを得、メンブランフィルター(0.45ニクロン)で濾過した後次の表6の高速液体クロマトグラフ(HPLC)法条件で分析した。
【0039】
【表6】
【0040】
(10)哺乳期仔牛用配合飼料
下記の表7の組成の飼料原料に試験粒剤及び飼料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により配合した。
【0041】
【表7】
【0042】
この飼料を温度40℃に保存し、配合時のL−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウムを、基準に30日後の残存率を求め、その結果を表8に示した。
L−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸マグネシウムの分析は(9)の条件により高速液体クロマトグラフィーにより行った。
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】
本発明により、得られたL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤は、各種飼料中で安定であり、L−アスコルビン酸成分を動物に有効に投与でき、動物の生産効率、品質向上に寄与でき、産業上有用な技術である。
【産業上の利用分野】
本発明は、水産動物及び陸上動物用飼料添加物粒剤に関するものである。特にL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤を油脂類と平均粒径5〜30μmの中性で難溶解性で、酸性で易溶解性の物質を用いて被覆を行うことにより、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類をクランブルペレットやモイストペレット等の製造条件の異なる多様な飼料中で安定に保つための動物用飼料添加物粒剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
L−アスコルビン酸は、動物のコラーゲン合成にとって不可欠な栄養素の一つであり、水産動物や陸上動物飼料等に栄養補給やストレス対策等の目的で添加されている。
L−アスコルビン酸は、生体内のコラーゲン前駆体のプロリン残基をヒドロキシル化して、ヒドロキシプロリン残基に変えることによりコラーゲン生成に深く関与している。したがって、L−アスコルビン酸が不足すると結合組織の細胞間物質に含まれるムコ多糖類の性質が変化し結果的にコラーゲン繊維が健全な状態を保てなくなり、病理学的には、血管からの出血、骨の発育不全、表皮組織の発育不良等の壊血病症状を呈することになる。
【0003】
また、最近ではL−アスコルビン酸を体内で自己合成すると言われる、ニワトリ、ブタ、牛等の陸上動物用飼料、及び犬、ネコ、ウサギ、鳥類のようなペット用飼料にもストレス対策等の目的で、L−アスコルビン酸が飼料に添加されている。これは、動物の飼育環境に由来する温度、高密度飼育等のストレスに対し、L−アスコルビン酸の飼料への添加が、ストレス軽減に効果があるためである。
【0004】
また、飼料中の過酸化脂質等に起因する肝障害等の予防や、血液中のラジカル補足剤、免疫増強剤としても、飼料中へのL−アスコルビン酸の添加が効果があると言われている。
【0005】
このように、L−アスコルビン酸は経済動物の飼育にとって、きわめて重要な栄養素の一つであり、従来より動物飼料に添加されてきたが、L−アスコルビン酸は、きわめて酸化されやすく不安定であり、飼料製造中や、保管中に大部分が分解されてしまうという問題があり、これに対し従来より様々な安定化技術が用いられてきた。これらの技術を大別すると、L−アスコルビン酸やその塩類を有機酸や抗酸化剤とともに添加する方法や、L−アスコルビン酸やその塩類に特殊なコーティングを施し、物理的に酸素や飼料中のL−アスコルビン酸分解酵素から、L−アスコルビン酸を保護する方法(特願昭57−88103、特願昭56−103564)、更にL−アスコルビン酸のエンジオール基を化学的に置換し、L−アスコルビン酸の化学的に安定な誘導体を合成し、これを飼料へ添加することにより、生体内で、L−アスコルビン酸としての活性を発現させる方法等が用いられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
L−アスコルビン酸や、その塩類を抗酸化剤とともに飼料中へ添加する方法や、特殊なコーティングを施し、酸化からL−アスコルビン酸やその塩類を保護する方法では、クランブルペレットやモイストペレット等のように、70℃以下の比較的低温で製造される飼料については、製造工程中でのL−アスコルビン酸の分解は少ないが、これらL−アスコルビン酸のコーティング品では、ペレット飼料中での安定性が悪い。また、環境保護対策や、省力化等で、最近急速に需要が増加しているエクストルージョンペレット(EP飼料)においては、ペレット原料を110℃〜200℃の高温にすることによって原料中のデンプンをα化し製造する。そのためこれらの方法では、製造工程中の高温高圧の条件によって、L−アスコルビン酸やその塩類のほとんどが分解してしまうという問題点がある。また製造工程中での分解を防ぐためにコーティングを強固にすると、それに比例してL−アスコルビン酸類の吸収が妨げられ、フンとともに体外に排出されてしまうという問題点がある。
【0007】
これらの問題点を解決するために、近年L−アスコルビン酸の誘導体を飼料に添加する方法が開発された。L−アスコルビン酸の化学的に安定な誘導体としては、L−アスコルビン酸の2位または、3位のヒドロキシル基の置換によって酸化に対して安定化されているものが最も適しており、代表的な例として、2位または3位の硫酸エステル類やリン酸エステル類がある。これらの誘導体は、EP飼料製造工程でもほとんど分解することなく残存することが確認されている。これらの誘導体を飼料に添加した例としては、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルを水産動物飼料へ添加した例(Halver, etc., Federation proc., 31, 705, 1972)、L−アスコルビン酸−2−モノリン酸エステルを飼料へ添加した例(特開昭61−175142、62−198615、62−285759)、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステルを飼料へ添加した例(特願昭61−503565)、等が公知となっている。
【0008】
しかし、これらのL−アスコルビン酸安定化誘導体においてもいくつかの重大な問題点がある。例えば、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルは、魚類及び甲殻類においては活性を示すが(Halver, N.Y. Acd. sci., 285, 81, 1975)、モルモット及びモンキーでは、L−アスコルビン酸活性を示さない(アクリン, Am.J. clin. Nutr., 29, 825, 1976)。また、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルの活性は、アメリカナマズでは、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルよりも著しく低い(proc. 3Int. Symp. on Feeding and Nutr. in Fish, 1989)等があり、全ての生物に共通の活性があるわけではなく、飼料への添加については、動物の種類別に効果を確認する必要がある。
【0009】
これに対しほとんどの生物において高いL−アスコルビン酸活性があるといわれるL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル類の欠点としては、飼料に添加されることがある小麦の胚芽やフスマ及び飼料原料中の魚粉等の生体成分等に存在する酵素及び酸性物質やFe等の金属やある種の細菌によってアスコルビン酸−2−リン酸類の分解が促進されL−アスコルビン酸−2−リン酸類の濃度が低下するという問題がある。これらの問題はモイストペレットや牛やブタ等のミルクリプレイサー等の飼料に添加される場合に発生することが多く、アスコルビン酸−2−リン酸類を安定的に飼料中で維持することができないという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、飼料中のL−アスコルビン酸−2−リン酸のエステル類分解物質を含む飼料中でL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を安定に保つために、L−アスコルビン酸−2−リン酸の分解物質を含む飼料中での安定化の検討を行った結果、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を、炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物と、場合によっては2−ヒドロキシカルボン酸、あるいはその塩、あるいはキレート剤を用いてL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤を造粒し、この粒剤を炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物と中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質である、炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛、炭酸コバルトの少なくとも一種を用いて被覆したL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤が、L−アスコルビン酸−2−リン酸類の分解物質が含有される飼料中でL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を安定に保つことを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に於けるL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類とは、例えばL−アスコルビン酸−2−モノリン酸、L−アスコルビン酸−2−ピロリン酸、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸及び、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸等の単体、混合物または複合体が挙げられ、その塩類とは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属、及び第3級アミン等の塩が挙げられる。
【0012】
本発明に於ける炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物とは、例えば融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂としては、パーム油、牛脂、54硬化牛脂、牛脂極度硬化油、豚脂、硬化ヒマシ油、硬化菜種油等を、ロウ・ワックスとして、密ロウ、カルナバロウ、木ロウ等が挙げられる。
【0013】
また、中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質としては、例えば炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛、炭酸コバルト等が挙げられる。これらは造粒時、あるいは被覆時に用いることができ、その結晶形も任意のものが用いられるが、被覆に用いる場合は板状晶が好ましい。
【0014】
また本発明に於ける2−ヒドロキシカルボン酸あるいはその塩とは、ショウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の炭素数が1〜20の有機酸類またはそのカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0015】
また、本発明に於けるキレート剤とは、例えばポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、モノリン酸、トリメタン酸等のリン酸類、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属等が挙げられる。これらは、任意に用いることができるが2−ヒドロキシカルボン酸類及びキレート剤類の添加量は、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の10-9〜105重量倍の範囲が適当である。
【0016】
また、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤の造粒法は、公知の任意の方法が用いられる。例えば、スプレークーリング法、撹拌造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。また、このとき通常使用される賦形剤を用いることができる。
【0017】
また、これら芯粒剤の被覆方法は、転動造粒機、撹拌造粒機等を用い、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤に対して、上記油脂類を溶融液として添加し、平均粒径5〜30μmの中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質とを交互に添加し冷却固化させながら被覆層を形成させる。また、このとき中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質は、その板状晶を用いた方が好ましい。
【0018】
また、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤の造粒時の油脂類の使用量、及び被覆層中の油脂類の使用量は、出来上がり粒剤全量に対し10重量%以上である。10重量%未満では、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の安定性が劣り効果がない。また、極端に多量に用いた場合には、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の含量が少なくなること等の問題点がある。
【0019】
またこれらの粒剤の大きさは、小さいほど好ましく、通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下である。
【0020】
本発明に於いて、造粒あるいは被覆層中の油脂類は、飼料中においてL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の溶出、飼料からの酸化物質、水分各種酵素類等の浸入を防止するためのものである。また、2−ヒドロキシカルボン酸、あるいはその塩、またはキレート剤は、L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはL−アスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸の酸素類による分解を防止するものであり、中性で難溶解性で酸性で易溶解性の物質は、生体中でのL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類の溶出促進剤として作用する。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により、更に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0022】
(1)実施例1
L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム450g、第2リン酸カルシウム330g、炭酸カルシウム40g、牛脂極度硬化油180gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0023】
(2)実施例2
L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、乳酸カルシウム90g、牛脂極度硬化油190gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
得られた粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0024】
(3)実施例3
L−アスコルビン酸−2−リン酸カルシウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、メタリン酸カリウム90g、牛脂極度硬化油185gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0025】
(4)実施例4
L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム450g、第2リン酸カルシウム240g、炭酸カルシウム40g、乳酸カルシウム45g、メタリン酸カリウム45g、牛脂極度硬化油185gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤800gを、撹拌造粒機に投入し、品温50℃とし、溶融した牛脂極度硬化油160g、第2リン酸カルシウム・2水塩の板状晶240gを交互に添加し被覆を行った。
この粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0026】
(5)比較例1
L−アスコルビン酸300g、第2リン酸カルシウム480g、炭酸カルシウム40g、牛脂極度硬化油180gを撹拌造粒機に投入し、溶融加熱造粒を行い、20〜42メッシュの粒剤を得た。
得られた粒剤に対して各種飼料中での安定性試験を行った。
【0027】
(6)比較例2〜4
飼料中での安定性試験の対照として、L−アスコルビン酸(比較例2)、L−アスコルビン酸カルシウム(比較例3)、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム(比較例4)単独の安定性試験を行った。
【0028】
(7)モイストペレット飼料中での安定性試験の方法
▲1▼マイワシミンチと粉末配合飼料を1:1の割合で混合し、試験粒剤及び飼料がL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準)となるよう各々の飼料を添加し、良く混合しペレット化を行った。
この時の粉末配合飼料組成を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
▲2▼配合時のL−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル含量を基準に、室温放置24時間後の残存率を求めその結果を表2に示した。
▲3▼L−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルの分析は、表1に付記する高速液体クロマトグラフィーの条件により行った。
【0031】
【表2】
【0032】
(8)クランブル飼料中の安定性試験
下記表3の組成の飼料原料に試験粒剤及び飼料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により水産動物用クランブル飼料を作製した。
【0033】
【表3】
【0034】
調製後の飼料の乾燥減量(105℃、3時間の値)はいずれも、7%前後であった。
この飼料を温室に保存し、配合時の添加量を100%として100日後の飼料中残存率を下記の分析方法で求めた。結果を表4に示した。
【0035】
【表4】
【0036】
(9)EP飼料中の安定性試験
下記の表5の組成の飼料原料に試験粒剤及び試料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により二軸エクストルーダーで水産動物用EP飼料を作製した。
【0037】
【表5】
【0038】
この飼料を室温に保存し、配合時の添加量を100%として30日後の飼料中残存率を下記の分析方法で求めた。結果を表6に示した。
(APMの分析)
飼料サンプルをメノウ鉢ですり潰し、その0.3gを精秤して水10mlを加え激しく振盪した。これを遠心分離して上澄みを得、メンブランフィルター(0.45ニクロン)で濾過した後次の表6の高速液体クロマトグラフ(HPLC)法条件で分析した。
【0039】
【表6】
【0040】
(10)哺乳期仔牛用配合飼料
下記の表7の組成の飼料原料に試験粒剤及び飼料をL−アスコルビン酸として0.05%(出来上がり基準として)添加し、通常の市販飼料製造工程により配合した。
【0041】
【表7】
【0042】
この飼料を温度40℃に保存し、配合時のL−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウムを、基準に30日後の残存率を求め、その結果を表8に示した。
L−アスコルビン酸あるいはL−アスコルビン酸マグネシウムの分析は(9)の条件により高速液体クロマトグラフィーにより行った。
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】
本発明により、得られたL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤は、各種飼料中で安定であり、L−アスコルビン酸成分を動物に有効に投与でき、動物の生産効率、品質向上に寄与でき、産業上有用な技術である。
Claims (2)
- L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類と炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物を用いてL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤を造粒し、炭素数12〜22の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル、融点40℃以上の動植物性油脂あるいは硬化動植物性油脂、融点40℃以上のロウ・ワックスから選ばれた1種あるいは2種以上の混合物と炭酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛、炭酸コバルトの少なくとも一種を用いて被覆したことを特徴とする飼料中で安定に保つことのできるL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤。
- L−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する芯粒剤が、2−ヒドロキシカルボン酸、またはその塩、あるいはキレート剤を含有する請求項1記載のL−アスコルビン酸−2−リン酸類、またはその塩類を含有する飼料添加物粒剤。
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