JPH10120638A - リン酸リジンマグネシウム複合塩の集合結晶およびその製造方法 - Google Patents

リン酸リジンマグネシウム複合塩の集合結晶およびその製造方法

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JPH10120638A
JPH10120638A JP9222124A JP22212497A JPH10120638A JP H10120638 A JPH10120638 A JP H10120638A JP 9222124 A JP9222124 A JP 9222124A JP 22212497 A JP22212497 A JP 22212497A JP H10120638 A JPH10120638 A JP H10120638A
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slurry
magnesium
magnesium phosphate
crystal
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JP9222124A
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Toru Ikeda
徹 池田
Toyohito Tsuchiya
豊人 土屋
Kenichi Mori
健一 森
Toshihide Yugawa
利秀 湯川
Tadashi Takemoto
正 竹本
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラリー性が良好で工業的な製造が可能な
リン酸リジンマグネシウム塩の製造方法を見いだす。 【解決手段】 目的物であるリン酸リジンマグネシウ
ム複合塩を含むスラリーに、スラリーの温度を50℃以
上かつpHをアルカリ性で且つ一定に保ちながら、リジ
ン、リン酸及び水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシ
ウムを同時に添加、混合することで、従来の製造方法で
は得られなかった球形の集合結晶が生成する。この形状
及び大きさの整った集合結晶が形成されるために、スラ
リー性状が格段に向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反すう動物用飼料添
加組成物および水産動物用飼料添加組成物に関する。さ
らに詳しくは反すう動物の第1胃(ルーメン)中では安
定で、第4胃より下部の消化器官でリジンを放出するこ
とが可能な粉末もしくは顆粒状の反すう動物用飼料添加
組成物、および淡水または海水中では安定で水産動物の
の消化器官でリジンを放出することが可能な粉末もしく
は均質な顆粒状の水産動物用飼料添加組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】牛や羊などの反すう動物ではアミノ酸、
ビタミン等の生物学的活性物質を直接経口投与すると、
第1胃中の微生物によって大部分が分解され、有効利用
されない。従って、これら生物学的活性物質を、第1胃
中では微生物の分解から保護し、第4胃より下部の消化
器官で消化、吸収させるような反すう動物用のルーメン
バイパス製剤は反すう動物用の飼料、栄養剤、動物薬等
の分野で重要である。
【0003】一方、水産動物の養殖飼育において用いら
れる配合飼料にアミノ酸,ビタミン等の生物学的活性物
質を添加し、水産養殖動物に投与する場合に、それらの
生物学的活性物質が水溶性を有するために大部分が水中
に溶出・逸散し、有効利用され難いのが現状である。従
って、これら生物学的活性物質を水中での溶出から保護
し、水産動物の消化器官で消化、吸収させるような水産
動物飼育用の飼料添加組成物は水産動物用の飼料、栄養
剤、動物薬等の分野で重要である。
【0004】生物学的活性物質を含有する反すう動物用
飼料添加物としては、油脂等の疎水性物質や塩基性高分
子物質等の保護物質からなるマトリックス中に生物学的
活性物質を分散し粒状化する方法、あるいは生物学的活
性物質を含有する核を油脂等の疎水性物質や塩基性高分
子物質等の酸感受性物質等で被覆する方法が以前より提
案されている。
【0005】しかしながら、保護物質中に生物学的活性
物質を分散する方法では、粒子表面近傍に生物学的活性
物質が存在する為、保護性を重視するためには生物学的
活性物質の含有率をかなり下げる必要があり、水溶性の
生物学的活性物質では第1胃内の滞留時間が10数時間
〜数日間であることを考慮すると、十分に保護すること
が難しい。
【0006】また、生物学的活性物質を含有する核を酸
感受性の高分子物質や疎水性の保護物質で被覆する方法
も提案されているが、近年盛んに行われている反すう動
物用配合飼料製造の観点からは、他の飼料組成物との混
合や造粒による機械的な顆粒および/または被覆の破壊
が起こり、反すう動物の第1胃(ルーメン)中での安定
性が損なわれることが多く、汎用性のある飼料添加剤組
成物とは言えない。
【0007】この様に、他の飼料組成物との混合や造粒
にも耐える飼料添加物であるためには、それ自体が粉末
または均質な顆粒であって、第1胃での生物学的活性物
質の放出を防止し、かつ第4胃より下部の消化器官で生
物学的活性物質を溶出させる性質を有しているものが望
ましい。
【0008】一方、生物学的活性物質を含有する水産動
物飼育用飼料添加物としては、生物学的活性物質を含有
する核を油脂等の疎水性物質等で被覆する方法が以前よ
り提案されている。生物学的活性物質を疎水性の保護物
質で被覆する方法としては、例えば特開平4−1730
60では常温で固体の動植物脂あるいはワックスなどの
油脂で水溶性アミノ酸及び/または水溶性アミノ酸誘導
体を被覆してなる水産飼料原料およびその製造方法を提
案している。
【0009】しかしながら、生物学的活性物質を含有す
る核を疎水性の保護物質で被覆する方法では、近年盛ん
に行われている配合飼料製造の観点からは、他の飼料組
成物との混合や造粒による機械的な顆粒および/または
被覆の破壊が起こり、水中での保護性が損なわれること
が多く、汎用性のある飼料添加剤組成物とは言えない。
また、被覆粒子を単独で投与する場合では、水産養殖動
物の嗜好性が十分でなく、必要量を摂食し得ない等の問
題がある。
【0010】この様に、他の水産動物用飼料組成物との
混合や造粒にも耐える飼料添加物であるためには、それ
自体が粉末または均質な顆粒であって、水中での生物学
的活性物質の放出を防止し、かつ水産動物の消化器官で
生物学的活性物質を溶出させる性質を有しているものが
望ましい。しかしながら、リジンを飼料栄養の改善の目
的で使用する場合、リジンを含有する組成物で粉末また
は均質な顆粒であって中性の水に不溶性かつ消化器官の
酸に可溶性の物質はリンタングステン酸塩類の他には見
いだされていない。
【0011】そのような性質を有するものとして、発明
者等は、リジンとマグネシウム及びリン酸から構成され
る、下記一般式(1)に示されるリン酸リジンマグネシ
ウム複合塩(以下、マグネシウム塩という)を見いだし
た。
【化2】RaMgbHcPO4(H2O)n (1) (但し、Rはリジン水素カチオンで、aは0.15〜
1.0、bは1.0〜1.42、cは0〜0.3でa+2
×b+C=3であり、nは0〜10である。)
【0012】この物質の製造方法は大別すると、以下の
4方法が挙げられる。第1の方法は過剰量のリジンの塩
基性水溶液中にマグネシウムの第2リン酸塩を分散・加
熱する方法。第2の方法は過剰量のリジンの塩基性水溶
液中でマグネシウム中性塩とリン酸とをモル比1.0〜
1.45対1.0で混合する方法。第3の方法はリジン
の第1リン酸塩溶液に1.0〜1.45モル比の水酸化
マグネシウムまたは酸化マグネシウムを添加・混合する
方法。第4の方法はリジンの塩基性水溶液とリン酸とを
0.05〜0.8対1.0のモル比で混合中和した溶液
に1.0〜1.45のモル比の水酸化マグネシウムまた
は酸化マグネシウムを添加・混合する方法。これらの方
法で得られたマグネシウム塩を含むスラリーを、適当な
固液分離方法に供し、過剰のリジンを洗滌除去すること
で目的とするマグネシウム塩を単離することができる。
【0013】ところが、実際にこれらの方法により製造
を試みると、いずれの方法も反応の進行に伴い、反応液
が固化あるいはゲル化する、または極微細な結晶が生成
する状況になり、結果として撹拌および/または固液分
離が非常に困難になってしまう。
【0014】このような固化あるいはゲル化した反応物
から目的とするマグネシウム塩を取り上げるためには大
量の水を添加し希釈することで撹拌を可能にする、ある
いは固化した塊を大量の水中で解砕するなどの方法をと
ることで固液分離を可能にする等の方法が用いられる。
しかし、これらの方法は小スケールでの製造は容易であ
るが、工業的規模での製造には特殊な機器の使用が必要
となり必ずしも適当な方法とは言えない。
【0015】また、極微細な結晶が発生した場合も、固
液分離に要する時間が非常に長くなるため、工業的に大
スケールで製造するには、大型の分離機器を用いるか、
多数の分離機器を用いるなど分離設備に費用がかさみ、
経済的ではない。さらに、このようにスラリー性状が悪
くなった反応液からの固液分離では、分離結晶が母液分
を包含しやすくなり、結晶純度を低下させてしまう。
【0016】以上述べたように、マグネシウム塩製造の
前述の4方法は小スケールでの製造には適するが、工業
的スケールでの生産には多くの改善を必要としている。
【0017】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は、スラリー性が良好で工業的な製造が容易
なマグネシウム塩の製造方法を見いだすことにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の目的
を達成するため鋭意努力した結果、マグネシウム塩を含
むスラリーに、スラリーをアルカリ性に保ちながら、リ
ジン,水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムおよ
びリン酸を同時に添加、混合することにより、固化しな
い反応液が得られることを見いだした。さらには、マグ
ネシウム塩を含むスラリーの温度を50℃以上かつpH
を一定に保つように添加することで、このスラリーの流
動性がより向上し、固液分離しやすくなることを見いだ
した。また、このようにして得られたマグネシウム塩が
前述の4方法により製造された場合の不ぞろいな形状、
大きさの集合晶と異なり、比較的粒径のそろった球形の
集合晶であり、この整った形状こそがスラリー性状の改
善に寄与したとみなされ、本発明を完成するに至った。
【0019】即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)
【化3】RaMgbHcPO4(H2O)n (1) (但し、Rはリジン水素カチオンで、aは0.15〜
1.0、bは1.0〜1.42、cは0〜0.3でa+2
×b+C=3であり、nは0〜10である。)で示される
マグネシウム塩の球形の集合結晶及びその製造方法であ
る。以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明におけるマグネシウム塩は
大別すると以下の2つのタイプの結晶成分、該結晶成分
の混合物、もしくは第3リン酸マグネシウムおよび/ま
たは第2リン酸マグネシウム結晶と該結晶成分の混合物
よりなる集合結晶である。
【0021】すなわち、第1のタイプの結晶成分は上記
一般式(1)において、aは1、bは1、cは0でa+2×
b+C=3であり、nは2であるリン酸リジンマグネシウ
ム複合塩である。第1のタイプの結晶成分は銅Kα線を
用いた粉末X線回折スペクトルにおいて主なピークとし
てそれぞれ2θで約3.7゜,約7.4゜,約18.5
゜,約18.8゜,約20.7゜,約22.2゜,約2
9.7゜,および約32.3゜にピークを示す結晶成分
である。
【0022】第2のタイプの結晶成分は上記一般式
(1)において、aは0.21乃至0.25、bは1.3
25乃至1.395、cは0乃至0.1でa+2×b+C=
3であり、nは0乃至5であるリン酸リジンマグネシウ
ム複合塩である。第2のタイプの結晶成分は銅Kα線を
用いた粉末X線回折スペクトルにおいて主なピークとし
てそれぞれ約6.0゜乃至約6.5゜,約7.4゜乃至
約7.7゜,約15.6゜,約28.2゜,および約3
2.5゜にピークを示す。
【0023】本発明によればこれら2つのタイプの結晶
成分はそれぞれ単独の結晶成分よりなる集合結晶として
得ることもできるが、これら2つのタイプの結晶成分よ
りなる集合結晶の混合物として得ることもできる。ま
た、リジン成分を含まない第3リン酸マグネシウムおよ
び/または第2リン酸マグネシウムとこれら2つのタイ
プの結晶成分との混合物のとして集合結晶を得ることも
可能である。
【0024】本発明における球形の集合結晶を、電子顕
微鏡により拡大観察してみると、その構成結晶として、
鱗片状結晶または板状結晶からなりたっていることがわ
かる。そして、それらの結晶が放射状に集合したもの、
もしくは円柱状に集合したものが撹拌による機械的な研
摩作用により球形に整形されたものと考えられる。な
お、ここでいう球形とは真球とは限らず、長軸/短軸の
比が1〜2程度のものを球形という。本発明による集合
結晶の模式図を図1に示した。
【0025】集合晶の大きさは製造条件によっても異な
るが、通常は径5〜100μmのものが得られ、同一条
件下では同程度の粒径の集合結晶が得られ易い。一方、
前述の4方法により得られた結晶は、不ぞろいな形状を
しており、大きさも同一スラリー中で1μm未満のもの
から300μmを越えるものまで大小差が激しい。
【0026】本発明の球形の集合結晶を、それまでの不
ぞろいな形状の集合結晶と比較してみると、反応液の撹
拌が容易であること及び反応液の固液分離性に優れ、分
離結晶の洗浄効率が高い等の優位な点がある。これらの
ことから、製造設備が低コストで済み、製造における操
作が容易であり、また分離して得られたマグネシウム塩
の結晶純度も高くなる。
【0027】本発明のマグネシウム塩結晶を製造するに
は、該結晶を含むスラリーにリジン、リン酸成分、マグ
ネシウム成分を50℃以上の温度かつアルカリ性条件下
で同時に添加することで製造できる。
【0028】リン酸成分としては、正リン酸の他、その
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど
の金属塩も使用することができ、マグネシウム成分とし
ては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムの他、塩
化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびリン酸のマグ
ネシウム塩などのマグネシウム含有塩を使用することが
できる。しかし、正リン酸、水酸化マグネシウム、酸化
マグネシウムおよびリン酸のマグネシウム塩以外の原料
を用いた場合、塩化ナトリウム、硫酸カリウムなどの塩
が副生してくること、また、場合によっては、pHを制
御するために、別途塩酸などの酸成分を添加するとマグ
ネシウム塩生成に必要な溶解リン酸濃度が低下し本発明
のマグネシウム塩生成には適さない。従って、正リン酸
と水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムの組み合
わせもしくは酸性リン酸マグネシウムと正リン酸および
/または水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムの
組み合わせを使用することが望ましい。
【0029】本発明のマグネシウム塩生成反応において
第一に重要なことは、反応液スラリーのpHをアルカリ
性に保つことである。その範囲としてはpH6以上、望
ましくは7乃至11、さらに望ましくは、7.5乃至1
0の範囲内に保つようにする。これは生成するマグネシ
ウム塩が中性〜アルカリ性領域では安定であるものの、
酸性領域では溶解もしくは分解するためである。従っ
て、アルカリ性領域で上記範囲内に制御すれば、必ずし
も原料の3成分を同時に添加する必要はなく、少量ずつ
順次添加することも可能である。しかし、以下のことに
より、同時に添加する方がよい。
【0030】すなわち、アルカリ性に保ったスラリーの
pH変動を小さくするほど、より撹拌性のよいスラリー
が得られるからである。pHの変動幅としては1以下、
望ましくは0.6以下、さらに望ましくは0.1以下で
制御するとよい。
【0031】本発明のマグネシウム塩生成反応において
第二に重要なことは、反応液スラリーの溶解リジン濃度
を一定の範囲に保つことである。その範囲としては2重
量%以上望ましくは3重量%乃至40重量%の範囲に保
つようにするとよい。
【0032】また反応液スラリーをアルカリ性に保つ目
的で、反応液スラリー中のリジン塩基を過剰にする方法
も好ましく用いられる。リジン塩基は水溶性が高く過剰
量のリジンの存在は反応液スラリーの緩衝能を維持し、
原料添加量の変動による反応液スラリーのpH変動を減
少せしめることができるからである。
【0033】本発明のマグネシウム塩生成反応において
反応液スラリーの溶解リジン濃度及び溶解リン酸濃度に
応じて生成するマグネシウム塩の組成が変わる。即ち、
反応液スラリーのリジン濃度を17重量%以上好ましく
20重量%以上かつリン酸濃度を1重量%以上かつpH
を8.5乃至9.5設定した場合は前記第1のタイプの
結晶成分を主体とする集合結晶が得られるのに対し、反
応液スラリー溶解リジン濃度を2重量%乃至15重量
%、かつリン酸濃度を0.2重量%以上かつスラリーの
pHを7.9乃至8.5とやや低めに設定した場合は前
記第2のタイプの結晶成分を主体とする集合結晶が得ら
れる。またこれらの溶解リジン濃度範囲の中間でマグネ
シウム塩生成反応を行った場合は2つのタイプの結晶成
分よりなる集合結晶の混合ぶつを得ることができ、溶解
ルジン濃度が2重量%未満の場合はリジンを含有しない
無機結晶のみが得られる。
【0034】このように、pHを制御するためには、原
料3成分を個別に添加することもできるが、アルカリ成
分と酸成分の2つにして添加する方法が反応制御の点で
好ましく用いられる。具体的には、アルカリ性であるリ
ジンと水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムのよ
うなマグネシウム成分とを予め混合しておき、これと酸
性であるリン酸との2つを添加する方法が例示される。
またはアルカリ性であるリジンと酸性のリン酸水素マグ
ネシウムとを土井時に添加する方法も例示される。
【0035】原料の使用量はリン酸1モルに対しマグネ
シウム成分を0.95乃至1.43モル用いる。またリ
ジンは過剰に用いることが好ましいが、リン酸1モルに
対し通常0.25モル以上用いられる。
【0036】本発明のマグネシウム塩生成反応において
第三に重要なことは、反応させる際の温度であり、50
゜C以上、望ましくは55乃至80゜Cの範囲で行うと
よい。すなわち、50℃未満の低温でマグネシウム塩生
成反応を行うと反応液スラリーが粘稠になったり生成結
晶の固液分離性が悪くなる傾向がみられるのに対し、5
0℃以上の高温下では生成したマグネシウム塩結晶は沈
降性がよく、固液分離性に優れ、スラリー粘度も安定す
る傾向を示す。また、温度の変化に伴いpHも変化する
ので、極力温度変動を少なくして反応させるとよい。そ
の変動幅としては、±3゜C以内で反応させるのが望ま
しい。
【0037】原料を添加する速度は、あまり急速に添加
すると、反応熱の発生による温度上昇によりpHを制御
することが出来なくなるので、ゆっくり添加した方がよ
い。反応を槽型流通反応器で連続的に反応を行う際に
は、完全混合されているとみなした場合、反応スラリー
の平均滞留時間を30分間以上になるように原料の添加
速度を調節することが必要である。望ましくは1時間以
上にすることである。また、回分式の反応器で反応させ
る場合も、同様の滞留時間を確保するのが望ましい。定
性的には反応初期には、スラリー量は少ないため、原料
の添加速度を遅くする必要があるが、原料が添加される
に従いスラリー量が増加してくるので添加速度を速くし
ても構わない。
【0038】本発明のマグネシウム塩生成反応は、一例
を挙げると水溶液状のリジン塩基およびリン酸と固体状
の水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムの3成分
が反応し、固体状のマグネシウム塩が生成する不均一反
応であるから、十分混合されることが必要である。混合
方法としては、撹拌羽根による撹拌の他、気体吹き込み
による方法、ポンプなどを用いて反応スラリーを循環さ
せる方法などが挙げられる。
【0039】反応により生成したマグネシウム塩を含む
スラリーは、濾過,遠心分離,静止沈降あるいは遠心沈
降などの固液分離操作および母液洗滌操作により、マグ
ネシウム塩結晶を単離することができる。
【0040】このようにして得られたマグネシウム塩
は、そのままの形態で、または顆粒化した形態で飼料添
加物として用いられる他、より反すう動物の第1胃中で
の安定性を高めた複合塩組成物の中間原料としても用い
ることができる。そのような複合塩組成物として、本発
明のマグネシウム塩をカルシウム,鉄,亜鉛およびアル
ミニウム等の多価金属塩水溶液で処理した組成物、縮合
リン酸及びポリリン酸の共存下でマグネシウム塩をカル
シウム,鉄,亜鉛およびアルミニウム等の多価金属塩水
溶液で処理した組成物などが例示できる。
【0041】これらの物質を製造する際も、原料のマグ
ネシウム塩の集合結晶としての特質が引き継がれ、本発
明の球形の形状をしたマグネシウム塩を使用したほう
が、従来の4方法により製造したマグネシウム塩よりも
反応のスラリー性状が良好となる。これは、原料マグネ
シウム塩の表層部のみがカルシウムなどの多価金属塩と
の反応に関与し、元のマグネシウム塩の形状を保った物
質が得られるからである。
【0042】本発明によるマグネシウム塩は中性乃至ア
ルカリ性の水に不溶で酸に溶けることから反すう動物用
飼料添加組成物や水産動物用飼料添加組成物として利用
できる。すなわち、本発明によるマグネシウム塩は中性
のルーメン液や海水中では結晶自体が安定で、かつ反す
う動物の第4胃や水産動物の消化器官内では酸性の消化
液により溶解しリジンを消化液中に溶出する性質を有し
ている。しかもそのような性質が結晶粉末の形態で発揮
されることから、他の飼料組成物との混合や造粒による
機械的な破壊に対しても悪影響を受けることがなく、汎
用性の高い飼料添加組成物として利用できる。
【0043】本発明によるマグネシウム塩は顆粒状に成
形して反すう動物用飼料添加組成物や水産動物用飼料添
加組成物として利用できる。マグネシウム塩は中性乃至
アルカリ性の水に不溶で酸に溶けることから、顆粒成形
に際し特に制限はなく、一般に広く用いられる成型方法
およびバインダーなどの副原料が使用できる。また、顆
粒として中性乃至アルカリ性の水に不溶で酸に溶ける性
質を発揮できる範囲内であれば、他の生物学的活性物
質、例えば他の必須アミノ酸,ビタミン,糖,タンパク
等の栄養物質、ホルモン、駆虫剤、その他の動物薬など
を顆粒に含有せしめることは何ら差し支えない。
【0044】以下に、本発明を実施例及び比較例により
更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例
に限定されることはない。
【0045】なお、実施例中のリジンの含量に関しては
液体クロマトグラフィーで分析を行った。リン及びマグ
ネシウム含量はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法
によった。付着母液由来のリジンは、次の方法により求
めた。すなわち、調製した試料100マグネシウムに純
水50mlを加えて、室温で30秒間攪拌した後濾過
し、濾液中のリジン量を分析し、付着母液由来のリジン
とした。スラリー性状の指標としての平均濾過比抵抗
は、定圧濾過試験装置(濾過面積:100cm2、濾過
圧:−400mmHg)で求めた。
【0046】
【実施例1】L−リジン塩基水溶液(濃度:50重量
%)1550gと水酸化マグネシウム860gとを水3
200mlに分散させ、37%リン酸2990gとを混
合し、80℃で3時間加熱撹拌したところ、粘稠なスラ
リーが得られた。このスラリーに水20Lを加え、12
0L容器内で撹拌しておき、これに50%L−リジン塩
基水溶液17.9Kgと水酸化マグネシウム9.84K
gを水36.8Lに分散させた液および37%リン酸3
4Kgを90分間かけて連続的かつ同時に添加した。そ
の間反応液の温度は69〜72℃に保ち、pHは8.2
〜8.5の範囲であった。また、反応スラリーの流動性
は良好で、撹拌に支障はなかった。本スラリーの平均濾
過比抵抗はα=1.6×1010m/Kgであった。この
スラリー53Kgを振り切り分離し、結晶は36Lの水
で洗浄した。湿結晶の得量は27.3Kgであり、80
℃の気流で乾燥し12.4Kgの乾燥結晶を得た。乾燥
結晶は球形の形状をしており、乾燥結晶中のリジン含量
は20%であり、乾燥結晶中の3.4%は付着母液由来
のリジンであった。また、リン、マグネシウム含量はそ
れぞれ16.7%、18.9%であった。本結晶の電子
顕微鏡写真の模式図を図1a及び図1bに示した。
【0047】
【比較例1】L−リジン塩基水溶液(濃度:50重量
%)155gと水酸化マグネシウム86gとを水320
mlに分散させ、37%リン酸299gとを混合し、8
0℃で3時間加熱撹拌し、粘稠なスラリーを得た。この
スラリーに水2000mlを加え、20L容器内で撹拌
しておき、これに50%L−リジン塩基水溶液1790
gと水酸化マグネシウム984gを水3680mlに分
散させた液および37%リン酸3400gを90分間か
けて連続的かつ同時に添加した。その間反応液の温度は
25〜30℃に保ち、pHは8.5〜8.7の範囲であ
った。また、反応スラリーは原料液の添加に伴い次第に
粘稠となり、攪拌を継続するため途中でみず5000m
lを加えた。反応終了後のスラリーの平均濾過比抵抗は
α=6.8×1011m/Kgであった。このスラリーを
振り切り分離し、結晶は10000mlの水で洗浄し
た。湿結晶の得量は7.34Kgであり、80℃の気流
で乾燥し2.98Kgの乾燥結晶を得た。乾燥結晶中の
リジン含量は21%であり、乾燥結晶中の4.6%は付
着母液由来のリジンであった。また、リン、マグネシウ
ム含量はそれぞれ16.7%、18.8%であった。
【0048】
【実施例2】実施例1で得られたスラリー19.5Kg
を30L容器に張り込み、55℃に加熱撹拌した。これ
に50%リジン塩基水溶液50.48Kgおよび水酸化
マグネシウム27.72Kgを水155.5Lに分散さ
せた液と85%リン酸42.22Kgを15時間かけて
連続的かつ同時に添加した。その間スラリー温度は55
℃を保ち、スラリーのpHは8.3±0.1に保持させ
るよう、リジン/水酸化マグネシウム分散液とリン酸と
の添加速度を調整した。また、添加量と同量のスラリー
を容器から引き抜くことで容器内の液量を一定に保つよ
うにした。この操作を15時間行い、265.8Kgの
スラリーを引き抜いた。このスラリーの平均濾過比抵抗
はα=2.9×109m/Kgであった。このスラリー
3.46Kgを振り切り分離し、結晶は2.5Lの水で
洗浄した。得られた湿結晶1.94Kgを80℃の気流
で乾燥し、0.97Kgの乾燥結晶を得た。乾燥結晶は
球形の形状をしており、乾燥結晶中のリジン含量は1
5.3%であり、乾燥結晶中の0.77%は付着母液由
来のリジンであった。また、リン、マグネシウム含量は
それぞれ18.1%、19.1%であった。
【0049】
【比較例2】45重量%L−リジン塩基水溶液650g
と85%リン酸461.2gを混合した液に、水酸化マ
グネシウム291.7gを水1.0Lに分散した液を添
加・混合したところ、添加5分後には反応・発熱して白
色固形物となった。この白色固形物を95℃で3時間加
熱した後、水3.0Lを加えて、よく解砕し、固形分を
濾過して3.0Lの水で洗滌し、湿結晶2000gを得
た。これを60℃で減圧乾燥し、白色粉末750gを得
た。本結晶は不ぞろいな形状であり、乾燥結晶中のリジ
ン含量は19.5%であったが、乾燥結晶中の9.5%
は付着母液由来のものであった。また、リン及びマグネ
シウム含量はそれぞれ16.5%、16.2%であっ
た。乾燥結晶の光学顕微鏡写真を図2に示した。
【0050】
【実施例3】実施例2で得られたスラリー48gを30
0mlフラスコに張り込み、60℃に加熱撹拌した。ス
ラリー温度を60℃に保ちつつ50%リジン塩基水溶液
41.5g、酸化マグネシウム15.8gを水85ml
に分散させた液を2〜3分間おきに2〜3mlずつ加え
た。その間、37%リン酸を添加することでpHを8.
3±0.5に保った。この操作に2時間を要したが、そ
の間反応スラリーの撹拌は特に問題なく行われた。得ら
れたスラリーを吸引濾過分離し、結晶は490mlの水
で洗浄した。得られた湿結晶111gを減圧下65゜C
で1晩乾燥し、54.1gの乾燥結晶を得た。本結晶は
球形の形状をしており、乾燥結晶中のリジン含量は1
5.4%であり、乾燥結晶中の1%は付着母液由来のリ
ジンであった。
【0051】
【実施例4】L−リジン塩基水溶液(濃度:25重量
%)3000gに、第2リン酸マグネシウム塩3水和物
174.3gを添加し、80℃で3時間加熱・撹拌した
ところ、第2リン酸マグネシウム塩3水和物の粒状結晶
が消失して、微細な結晶が大量に生じた。得られた反応
液を60℃に保ち、L−リジン塩基水溶液(濃度:45
重量%)1300gおよび第2リン酸マグネシウム塩3
水和物522.9gをそれぞれ15時間かけて少量ずつ
添加・攪拌した。この間の反応液のpHは一定で9.5
を示した。添加終了後30分間攪拌を続けた後、反応液
を静置すると白色結晶が大量に器底に沈降した。再び攪
拌して得られたスラリーの平均濾過比抵抗を測定したと
ころα=3.4×109m/Kgであった。このスラリ
ーを振り切り分離し、結晶は3.5Lの水で洗浄した。
得られた湿結晶1.98Kgを80℃の気流で乾燥し
1.14Kgの乾燥結晶を得た。乾燥結晶は球形の形状
をしており、乾燥結晶中のリジン含量は51.1%であ
り、リン、マグネシウム含量はそれぞれ10.8%、
8.5%であった。
【0052】
【実施例5】実施例4で得られた乾燥結晶100gをL
−リジン塩基水溶液(濃度:25重量%)3000gに
加え液温を60℃に保ち、L−リジン塩基水溶液(濃
度:45重量%)1200gを各200gづつ2時間ご
とに間欠的に添加しつつ、85%リン酸461gを水5
00gに溶解した液を96.1g/時間、および水酸化
マグネシウム233.4gを水1000mlに分散した
スラリーを123.3g/時間の速度で連続的に添加・
攪拌した。この間の反応液のpHは一定で9.5を示し
た。添加終了後、得られたスラリーの平均濾過比抵抗を
測定したところα=2.4×109m/Kgであった。
このスラリーを振り切り分離し、結晶は3.4Lの水で
洗浄した。得られた湿結晶1.99Kgを80℃の気流
で乾燥し1.24Kgの乾燥結晶を得た。乾燥結晶は球
形の形状をしており、乾燥結晶中のリジン含量は51.
1%であり、リン、マグネシウム含量はそれぞれ10.
8%、8.5%であった。乾燥結晶のにおいをかいだと
ころほとんど無臭であった。
【0053】
【比較例3】L−リジン塩基水溶液(濃度:45重量
%)1000gと85%リン酸230.6gを水120
0mlに加えて溶解し、水酸化マグネシウム116.7
gを水500mlに分散したスラリーを加えて攪拌した
ところ、混合物は次第に粘稠なスラリーとなった。攪拌
を続けられるように水で順次希釈を続けたところ、水3
000mlの添加を要した。この間のスラリー温度は3
0℃以下に保った。得られたスラリーの平均濾過比抵抗
はα=9.2×1011m/Kgであった。得られたスラ
リーを減圧濾過し、水3500mlで洗滌した後、湿結
晶1500gを得、これを60℃で減圧乾燥して570
gの乾燥結晶を得た。乾燥結晶は微細な結晶であり、リ
ジン含量は47.6%、リン、マグネシウム含量はそれ
ぞれ10.8%、8.5%であった。乾燥結晶のにおい
をかいだところリジン塩基特有のアミン臭が顕著に感じ
られた。
【0054】
【実施例6】実施例2および実施例5で得られた乾燥結
晶につきそれぞれ銅Kα線を用いた粉末X線回折スペク
トルを測定した。得られたスペクトル図をそれぞれ図3
および図4に示した。
【0055】
【実施例7】実施例1で得られたマグネシウム塩の湿結
晶26.95Kgを水46.5Lに加え40℃で撹拌し
た(スラリー濃度:16.7%)。これに、水酸化カル
シウム1.4Kgを投入し、2時間撹拌した。この操作
の間、スラリーの固化、ゲル化は起こらず、撹拌は問題
なく行われた。スラリーの平均濾過比抵抗はα=7.6
×1010m/Kgであった。得られたスラリーを振り切
り分離し、結晶は63Lの水で洗浄した。得られた湿結
晶28.7Kgを80℃の気流で乾燥し、9.64Kg
の乾燥結晶を得た。本結晶は原料のマグネシウム塩と同
様の球形の形状をしており、リジン含量は12.6%で
あり、付着母液由来のリジンは乾燥結晶中0.06%未
満(リジンの検出限界未満)であった。
【0056】
【比較例3】比較例1で得られた乾燥結晶90gを水4
50mlに加え40℃で撹拌したが(スラリー濃度:1
6.7%)、スラリー性状が悪く撹拌が困難なため、水
を200ml追加した(スラリー濃度:12.2%)。
これに水酸化カルシウム10gを加え、2時間撹拌した
が、次第にスラリー性状は悪くなった。得られたスラリ
ーを吸引濾過分離し、結晶は450mlの水で洗浄し
た。得られた湿結晶285gを65℃で1晩減圧乾燥
し、86.4gの乾燥結晶を得た。本結晶は原料のマグ
ネシウム塩と同様の不ふぞろいな形状をしており、リジ
ン含量は8.3%であり、乾燥結晶中の付着母液由来の
リジンは0.3%であった。
【0057】
【実施例8】実施例2で得られたマグネシウム塩のスラ
リー22.15Kgを55℃で撹拌しておき、これにピ
ロリン酸0.9Kgを水8.4Lに溶解させた水溶液と
水酸化カルシウム1.22Kgを水8.1Lに分散させ
たスラリーを2時間かけて同時に添加し、その間、反応
スラリーのpHは9.3に保つようにした。反応中にス
ラリーの固化、ゲル化は起こらず、撹拌は問題はなく行
われた。得られたスラリーを振り切り分離し40Lの水
で洗浄した。このスラリーの平均濾過比抵抗はα=1.
8×1010m/Kgであった。湿結晶を90℃の気流で
乾燥し6.86Kgの乾燥結晶を得た。本結晶は原料の
マグネシウム塩と同様の球形の形状をしており、リジン
含量は11.0%であり、乾燥結晶中の付着母液由来の
リジンは0.2%であった。
【0058】
【実施例9】実施例1乃至実施例5、実施例7および実
施例8で得られたマグネシウム塩のルーメン液,海水お
よび第4胃液に対する溶解性試験の結果を表1に示す。
ルーメン液はモデルルーメン液として下記のMc Dougall
緩衝液を用い、海水は市販の海水魚用の調合塩組成物
(人工海水)を所定濃度に溶解したものを用い、第4胃
液はモデル第4胃液として下記の酢酸−リン酸緩衝液を
用いた。それぞれの試験液200mlを300mlの三
角フラスコに入れ、試料をそれぞれ500マグネシウム
投入し、モデルルーメン液は39℃,24時間、人工海
水は25℃,2時間、モデル第4胃液は39℃,1時間
振とうした。振とう終了後、リジンの溶出量を分析し、
それぞれの液への保護性・溶出性を算出した。但し、保
護性は溶出性の値を1より減じた数値で表した。 *Mc Dougall緩衝液:水1000ml中に以下の試薬を
溶解した緩衝液。 炭酸水素ナトリウム :7.43g リン酸2ナトリウム・12水塩:7.00g 塩化ナトリウム :0.34g 塩化カリウム :0.43g 塩化マグネシウム・6水塩 :0.10g 塩化カルシウム :0.05g *酢酸−リン酸緩衝液:1000ml中に以下の試薬を
溶解し、塩酸でpH2.2に中和した緩衝液。 リン酸2水素ナトリウム・2水塩:1.95g 酢酸ナトリウム・3水塩 :3.40g
【0059】
【表1】
【0060】
【実施例10】実施例2で得られた乾燥結晶300g、
メチオニン粉末20g、炭酸カルシウム50g、カゼイ
ンナトリウム30gおよびデンプングリコール酸ナトリ
ウム5gを混合し、水100mlを加えて混練した後、
口径2ミリのディスクペレッターを用いて押し出し、長
さ約2ミリに細断して乾燥し、径約2ミリの顆粒に成形
した。得られた顆粒を径約0.5ミリの小片に割り、そ
の5片についてそれぞれ希塩酸で加熱・抽出し、アミノ
酸含量を測定したところ、各小片の間にアミノ酸含量の
差が認められなかった。得られた顆粒について第1胃相
当液への保護性および第4胃相当液への溶出性を評価し
たところ、第1胃相当液への保護率はリジンについては
97%、メチオニンについては64%、第4胃相当液へ
の溶出率はリジン,メチオニン共に95%であった。ま
た、径約0.5ミリの小片について同様に第1胃相当液
への保護性および第4胃相当液への溶出性を評価したと
ころ、第1胃相当液への保護率はリジンについては95
%、メチオニンについては62%、第4胃相当液への溶
出率はリジン,メチオニン共に98%であった。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、飼料添加組成物と
して、また飼料添加組成物の中間原料としてリジン,マ
グネシウムおよびリン酸からなるリン酸リジンマグネシ
ウム複合塩の球形の集合結晶は、製造する際の反応スラ
リー性状が格段に向上することで、撹拌、固液分離など
の製造に関わる操作性が改善されるとともに、製造設備
に関わるコストも軽減され、工業化を可能にした点で産
業上の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規リン酸リジンマグネシウム複合塩
集合結晶の模式図であ、aは全体図、bは部分図であ
る。
【図2】比較例1で得たリン酸リジンマグネシウム複合
塩結晶の光学顕微鏡写真である。
【図3】実施例2で得た本発明の新規リン酸リジンマグ
ネシウム複合塩集合結晶の粉末X線回折図である。
【図4】実施例5で得た本発明の新規リン酸リジンマグ
ネシウム複合塩集合結晶の粉末X線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 227/44 C07C 227/44 (72)発明者 湯川 利秀 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 竹本 正 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるリン酸リジ
    ンマグネシウム複合塩の球形の集合結晶 【化1】RaMgbHcPO4(H2O)n (1) (但し、Rはリジン水素カチオンで、aは0.15〜
    1.0、bは1.0〜1.42、cは0〜0.3でa+2
    ×b+C=3であり、nは0〜10である。)
  2. 【請求項2】 上記一般式(1)においてaが1、bが
    1、cが0、nが2であることを特徴とする請求項1記
    載のリン酸リジンマグネシウム複合塩の球形の集合結晶
  3. 【請求項3】 上記一般式(1)においてaが0.21
    乃至0.25、bが1.325乃至1.395、cが0
    乃至0.1、nが0乃至5であることを特徴とする請求
    項1記載のリン酸リジンマグネシウム複合塩の球形の集
    合結晶
  4. 【請求項4】 上記一般式(1)で表されるリン酸リジ
    ンマグネシウム複合塩を含むスラリーに、スラリーのp
    Hをアルカリ性領域に保ちかつスラリーの温度を50℃
    以上に保ちながら、リジン、リン酸成分及びマグネシウ
    ム成分を同時に添加、混合することを特徴とする請求項
    1乃至請求項3記載のリン酸リジンマグネシウム複合塩
    の球形の集合結晶の製造方法
  5. 【請求項5】 リジン、リン酸成分及びマグネシウム成
    分とを添加、混合する間、スラリーのpHを7〜11の
    範囲内で振れ幅1以内の一定のpHに保つことを特徴と
    する請求項4記載の方法
  6. 【請求項6】 上記一般式(1)においてaが1、bが
    1、cが0、nが2であるリン酸リジンマグネシウム複
    合塩を含むスラリーに、スラリーの溶解リジン濃度を1
    7%重量以上に保ちつつスラリーのpHを8.5乃至
    9.5に保ちかつスラリーの温度を50℃以上に保ちな
    がら、リジン、リン酸成分及びマグネシウム成分を同時
    に添加、混合することを特徴とする請求項2記載のリン
    酸リジンマグネシウム複合塩の球形の集合結晶の製造方
  7. 【請求項7】 上記一般式(1)においてaが0.21
    乃至0.25、bが1.325乃至1.395、cが0
    乃至0.1、nが0乃至5であるリン酸リジンマグネシ
    ウム複合塩を含むスラリーに、スラリーの溶解リジン濃
    度を2重量%乃至15重量%に保ちつつスラリーのpH
    を7.8乃至8.8に保ちかつスラリーの温度を50℃
    以上に保ちながら、リジン、リン酸成分及びマグネシウ
    ム成分を同時に添加、混合することを特徴とする請求項
    3記載のリン酸リジンマグネシウム複合塩の球形の集合
    結晶の製造方法
  8. 【請求項8】 中性もしくはアルカリ性の水に不溶でか
    つ酸性の水に可溶な請求項1乃至請求項3記載のリン酸
    リジンマグネシウム複合塩及び/またはこれを含む顆粒
    とすることもできる反すう動物用飼料添加組成物
  9. 【請求項9】 中性もしくはアルカリ性の水に不溶でか
    つ酸性の水に可溶な請求項1乃至請求項3記載のリン酸
    リジンマグネシウム複合塩及び/またはこれを含む顆粒
    とすることもできる水産動物用飼料添加組成物
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