JPH0959232A - リン酸アミノ酸多価金属複合塩及びその製造方法 - Google Patents

リン酸アミノ酸多価金属複合塩及びその製造方法

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JPH0959232A
JPH0959232A JP7343165A JP34316595A JPH0959232A JP H0959232 A JPH0959232 A JP H0959232A JP 7343165 A JP7343165 A JP 7343165A JP 34316595 A JP34316595 A JP 34316595A JP H0959232 A JPH0959232 A JP H0959232A
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salt
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Toru Ikeda
徹 池田
Toshihide Yugawa
利秀 湯川
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】安全性、経済性有し、塩基性アミノ酸を含有す
る組成物であって反すう動物の第1胃内で溶解せず、第
4胃より下部の消化器官では塩基性アミノ酸を溶出し効
率よく消化吸収され、粉末か顆粒の組成物を創出する。 【解決手段】一般式1の新規リン酸アミノ酸多価金属複
合塩。リン酸としては正リン酸の他、縮合リン酸および
強リン酸が挙げられるが、正リン酸の塩が溶解性状の面
で優れ好ましい。 RMgPOO (1) (Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネシウム
以外の価数mの多価金属、mは2または3、aは0.0
5〜1.0、bは0.85〜1.43、cは0.02〜
0.6、dは0〜0.3で、a+b×2+c×m+d=
3、nは0〜20である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反すう動物用飼料添加組
成物に関する。さらに詳しくは反すう動物の第1胃(ル
ーメン)中では安定で、第4胃より下部の消化器官で塩
基性アミノ酸を放出することが可能な粉末もしくは顆粒
状の反すう動物用飼料添加組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】牛や羊などの反すう動物ではアミノ酸、
ビタミン等の生物学的活性物質を直接経口投与すると、
第1胃中の微生物によって大部分が分解され、有効利用
されない。従って、これら生物学的活性物質を、第1胃
中では微生物の分解から保護し、第4胃より下部の消化
器官で消化、吸収させるような反すう動物用のルーメン
バイパス製剤は反すう動物用の飼料、栄養剤、動物薬等
の分野で重要である。
【0003】生物学的活性物質を含有する反すう動物用
飼料添加物としては、油脂等の疎水性物質や塩基性高分
子物質等の保護物質からなるマトリックス中に生物学的
活性物質を分散し粒状化する方法、あるいは生物学的活
性物質を含有する核を油脂等の疎水性物質や塩基性高分
子物質等の酸感受性物質等で被覆する方法が以前より提
案されている。
【0004】保護物質に生物学的活性物質を分散する方
法としては、例えば特開昭60−168351では生物
学的活性物質と、炭酸カルシウム20重量%以上、かつ
炭素数14個以上の脂肪族モノカルボン酸、硬化した油
脂等を10重量%以上含有し造粒する方法を提案してい
る。また、特公昭59−10780では生物学的活性物
質30〜50重量を、炭素数14〜22個を有する脂肪
族モノカルボン酸またはリシノール酸の塩10〜35重
量%及び残部を炭素数14〜22個を有する脂肪族モノ
カルボン酸、リシノール酸、硬化した油脂等からなる保
護物質中に分散する方法を提案している。
【0005】生物学的活性物質を疎水性の保護物質で被
覆する方法としては、例えば特開昭63−317053
では炭素数12〜24個を有する脂肪族モノカルボン
酸、硬化した油脂とレシチン及びグリセリン脂肪酸エス
テルからなる保護剤で生物学的活性物質を被覆する方法
を提案している。
【0006】生物学的活性物質を酸感受性の保護物質で
被覆する方法としては、例えば特開昭54−46823
ではフィルム形成性を有する塩基性高分子物質を含有す
る被覆組成物で被覆する方法、特開平4−217625
ではゼインを水性乳液あるいは水性分散液の形で噴霧被
覆する方法を提案している。
【0007】しかしながら、保護物質中に生物学的活性
物質を分散する方法では、粒子表面近傍に生物学的活性
物質が存在する為、保護性を重視するためには生物学的
活性物質の含有率をかなり下げる必要があり、水溶性の
生物学的活性物質では第1胃内の滞留時間が10数時間
〜数日間であることを考慮すると、十分に保護すること
が難しい。
【0008】また、生物学的活性物質を含有する核を酸
感受性の高分子物質や疎水性の保護物質で被覆する方法
も提案されているが、近年盛んに行われている配合飼料
製造の観点からは、他の飼料組成物との混合や造粒によ
る機械的な顆粒および/または被覆の破壊が起こり、反
すう動物の第1胃(ルーメン)中での安定性が損なわれ
ることが多く、汎用性のある飼料添加剤組成物とは言え
ない。
【0009】この様に、他の飼料組成物との混合や造粒
にも耐える飼料添加物であるためには、それ自体が粉末
または均質な顆粒であって、第1胃での生物学的活性物
質の放出を防止し、かつ第4胃より下部の消化器官で生
物学的活性物質を溶出させる性質を有しているものが望
ましい。しかしながら、塩基性アミノ酸を飼料栄養の改
善の目的で使用する場合、塩基性アミノ酸を含有する組
成物で粉末または均質な顆粒であって、中性で不溶性か
つ酸可溶性の物質はリンタングステン酸塩類の他には見
いだされていない。また、特開昭63−98357に塩
基性アミノ酸と酸性リン酸塩との塩を被覆してなる反す
う動物用飼料添加組成物が開示されており、該発明のう
ち、酸性リン酸アルカリ土類金属塩である塩基性アミノ
酸の塩は本発明のリン酸アミノ酸複合塩の類縁物質に相
当する。しかしながら該発明の酸性リン酸アルカリ土類
金属塩と塩基性アミノ酸との塩は、リン酸,アルカリ土
類金属および塩基性アミノ酸のモル比が1:0.5:1
乃至2であり、本発明のリン酸,アルカリ土類金属およ
び塩基性アミノ酸の複合塩とは異なる。該発明の酸性リ
ン酸アルカリ土類金属塩と塩基性アミノ酸との塩は水中
において経時的に分解し、アルカリ土類金属の第2リン
酸塩および塩基性アミノ酸第1リン酸塩もしくは塩基性
アミノ酸第2リン酸塩を生じる。塩基性アミノ酸のリン
酸塩が極めて高い水溶性を示すことから、該塩は塩基性
アミノ酸の溶解性という点では実質的に中性で水可溶性
である。
【0010】リン酸はアルカリ土類金属と多様な塩を形
成し、そのうちのいくつかは中性〜アルカリ性の水に不
溶で酸性の水に溶ける性質を示し、例えば第2リン酸カ
ルシウム,第3リン酸マグネシウム等はリン酸を多用す
る発酵工業設備等で、装置内にスケール物質として堆積
して装置トラブルの原因となることが知られている。リ
ン酸マグネシウムアンモニウムも同様の性質を示すが、
アンモニウムイオンを塩基性イオンとしては当価な塩基
性アミノ酸に置き換えた、リン酸1モル,アルカリ土類
金属1モルおよび塩基性アミノ酸1モルよりなる複合
塩、およびリン酸1モルに対しアルカリ土類金属1乃至
1.45モル,塩基性アミノ酸0.05モル乃至1モル
の範囲の組成よりなる第3リン酸および/または第2リ
ン酸塩の存在は本発明者の先出願(特願平6−3063
85)に関わる複合塩のほかは知られていない。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は、安全性、経済性を考慮した上で、塩基性
アミノ酸を含有する組成物であって反すう動物の第1胃
内で溶解せず、第4胃より下部の消化器官では塩基性ア
ミノ酸を溶出し効率よく消化吸収される組成物であっ
て、粉末もしくは均質な顆粒の形態の組成物を創出する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の目的
を達成するため鋭意努力した結果、塩基性アミノ酸,ア
ルカリ土類金属およびリン酸からなる複合塩が、中性も
しくはアルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水に可溶な溶
解性と粉末状の形態を有し、更には該複合塩のうち塩基
性アミノ酸,マグネシウムおよびリン酸からなる複合塩
(以下、中間原料複合塩という)を他の2価乃至3価の
多価金属で処理して得られる複合塩が中性ないし微酸性
の水に対しさらに優れた安定性すなわち低い溶解性を示
すことを見いだし、反すう動物の第1胃中での優れた不
溶性と第4胃より下部の消化器官中での溶出性を兼ね備
えることができ、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明の要旨は、塩基性アミノ酸,
マグネシウム,マグネシウム以外の多価金属およびリン
酸の下記一般式(1)
【化2】 (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオンMはマグネシ
ウム以外の価数mの多価金属で、mは2または3、aは
0.05乃至1.0、bは0.85乃至1.43、cは
0.02乃至0.6、dは0乃至0.3であり、a+b
×2+c×m+d=3で、nは0乃至20。)で示され
るリン酸アミノ酸多価金属複合塩およびこの製造方法で
あって、中性もしくはアルカリ性の水溶液に不溶でかつ
酸性水溶液に可溶なリン酸アミノ酸多価金属複合塩並び
に該複合塩またはこれを含有し均質な顆粒とすることも
できることを特徴とする反すう動物用飼料添加組成物及
びこの製造方法である。以下に本発明を詳細に説明す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、リン酸として
は、正リン酸の他、縮合リン酸および強リン酸が挙げら
れるが、正リン酸の塩が溶解性状の面で優れ好ましく用
いられる。
【0015】本発明において、塩基性アミノ酸としては
リジン、アルギニン、オルニチン等の天然塩基性アミノ
酸およびその塩基性誘導体のほか、中性アミノ酸の塩基
性誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙
げられる。具体的には、リジン、アルギニン、オルニチ
ン等の天然塩基性アミノ酸;メチオニン、トリプトファ
ン、スレオニン等のアミノ酸のアミド、エステル;およ
び塩基性アミノ酸含有ペプチド等の塩基性誘導体類が使
用される。
【0016】本発明においてマグネシウム以外の2価乃
至3価の多価金属としてはカルシウム,ストロンチウ
ム,バリウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、
鉄,コバルト,マンガン,クロムなどの遷移金属、亜
鉛,カドミウムなどその他の2価金属が挙げられるが、
生物学的に安全に受容される点で、カルシウム,アルミ
ニウム,鉄,亜鉛の塩が好ましく用いられる。
【0017】本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩は
塩基性アミノ酸,マグネシウムおよびリン酸を塩基性ア
ミノ酸が比較的高濃度でかつ中性〜アルカリ性の条件下
で水溶液中に共存させたときに結晶沈殿物として得られ
る中間原料複合塩をマグネシウム以外の2価乃至3価の
多価金属で処理して得られる複合塩である。具体的な例
としては、リン酸が正リン酸の場合に第3リン酸塩及び
/または第3リン酸塩を主成分とし第2リン酸塩を含有
する塩に相当する塩であり、リン酸1モルに対し、塩基
性アミノ酸(a)0.05乃至1モル、マグネシウム
(b)0.85乃至1.43モル、、マグネシウム以外
の2価乃至3価の多価(m)金属(c)は0.02乃至
0.6モル、酸残基(d)が0乃至0.3、a+2b+
mc+dが3であり、第2リン酸塩はモル比で第3リン
酸塩の1/2以下であり、また複合塩中に含まれる水分
は30%以下である。H2Oは0、1または2であるが
乾燥条件で0乃至20はである。
【0018】本発明のリン酸アミノ多価金属酸複合塩の
製造方法は、その溶解特性が中性もしくはアルカリ性の
水溶液に不溶で酸性の水溶液に可溶であれば、特に限定
されるものではないが、中間原料複合塩をマグネシウム
以外の2価乃至3価の多価金属塩溶液と混合した後分離
・乾燥する方法が好ましく用いられる。
【0019】中間原料複合塩の製造方法は大別すると以
下の4方法が好ましい方法として挙げられる。
【0020】第一の方法は、過剰量の塩基性アミノ酸の
塩基性水溶液中に、マグネシウムの第2リン酸塩を分散
・加熱し、得られた沈殿物を洗滌して製造する方法であ
る。具体的な例としては、イオン交換樹脂処理などによ
って調製した塩基性アミノ酸の塩基性濃厚水溶液の過剰
量に対し、リン酸水素マグネシウムを加えて加熱・撹拌
混合する方法が挙げられる。混合液中のリン酸水素マグ
ネシウムは経時的に消失してリン酸アミノ酸複合塩が沈
殿物として生成する。沈殿物を固液分離し、過剰の塩基
性アミノ酸を水で洗滌して乾燥すると、該中間原料複合
塩が得られる。
【0021】第二の方法は、過剰量の塩基性アミノ酸の
塩基性水溶液中で、マグネシウム塩の水溶液とリン酸を
1.0乃至1.45対1.0のモル比で混合して、得ら
れた沈殿物を洗滌して製造する方法である。具体的な例
としては、塩基性アミノ酸の塩基性濃厚水溶液3モル以
上を正リン酸1モルで中和して高濃度の第3リン酸塩溶
液とした後、塩化マグネシウム及び/または硫酸マグネ
シウムのマグネシウム中性塩の濃厚水溶液溶液1.0〜
1.45モルを添加・撹拌混合し、生じた沈殿物を固液
分離し、過剰の塩基性アミノ酸を水で洗滌した後、乾燥
すると該中間原料複合塩が得られる。
【0022】第三の方法は、塩基性アミノ酸の第一リン
酸塩溶液に1.0乃至1.45モル比のマグネシウムの
水酸化物および/または酸化物を添加・混合し、得られ
た沈殿物を洗滌して製造する方法である。具体的な例と
しては、塩基性アミノ酸の塩基性濃厚水溶液0.7乃至
1.4モルと正リン酸1.0モルを混合中和した塩基性
アミノ酸第一リン酸塩の濃厚水溶液に水酸化マグネシウ
ムおよび/または酸化マグネシウム1.0乃至1.45
モルを水分散液として添加・混合し、過剰の塩基性アミ
ノ酸を水で洗滌した後、乾燥すると該中間原料複合塩が
得られる。
【0023】第四の方法は、モル比で塩基性アミノ酸の
塩基性水溶液とリン酸を0.05乃至0.8対1.0の
モル比で混合中和した溶液に、1.0乃至1.45モル
比のマグネシウムの水酸化物および/または酸化物を添
加・混合した後、混合物を加熱・乾燥する方法である。
具体的な例としては、塩基性アミノ酸の塩基性濃厚水溶
液0.05乃至0.8モルと正リン酸1.0モルを混合
中和した第一リン酸塩と正リン酸の混合濃厚水溶液に水
酸化マグネシウム及び/または酸化マグネシウム1.0
乃至1.45モルを水分散液として添加・混合して得ら
れる沈殿物を乾燥すると該中間原料複合塩が得られる。
【0024】これらの4方法において共通するのは塩基
性アミノ酸の塩基性濃厚水溶液を原料として使用し、塩
基性アミノ酸が比較的高濃度な条件下でアミノ酸複合塩
を反応生成させる点である。本発明において、塩基性ア
ミノ酸の濃度は、最も高濃度が選ばれる第二の方法の場
合、反応生成系内に存在する全水分100重量部に対し
10乃至60重量部の濃度が好ましく、最も低濃度が選
ばれる第四の方法の場合、全水分100重量部に対し3
乃至20重量部の濃度が好ましい。
【0025】また、これらの4方法は適宜組み合わせて
用いることもできる。具体的な例としては、上記第一の
方法でリン酸マグネシウムアミノ酸複合塩が沈殿物とし
て生成した反応液中に、正リン酸および/またはマグネ
シウムの中性塩の濃厚水溶液の適量を添加し、撹拌混合
・加熱して反応液中に残存する過剰量の塩基性アミノ酸
と反応させる方法、上記第二の方法でリン酸マグネシウ
ムアミノ酸複合塩が沈殿物として生成した反応液中に、
水酸化マグネシウムを適量添加して反応液中に残存する
過剰量の塩基性アミノ酸およびリン酸との反応を行わせ
る方法などが挙げられる。
【0026】本発明において中間原料複合塩を処理する
際に用いられるマグネシウム以外の2価乃至3価の多価
金属塩溶液は、特に制限はないが、弱酸性ないしは塩基
性であって、マグネシウム以外の多価金属イオンを溶液
100重量部あたり0.001重量部以上溶解している
水溶液あるいは水分散液が好ましく用いられる。具体的
には塩化アルミニウム,ポリ塩化アルミニウム,硫酸ア
ルミニウム,アンモニウム明礬およびカリウム明礬など
のアルミニウム塩の水溶液、塩化カルシウム,硫酸カル
シウム,水酸化カルシウムおよび硝酸カルシウムなどの
カルシウム塩の水溶液もしくは水分散液、塩化第一鉄,
塩化第二鉄,硫酸第一鉄,硫酸第二鉄,硫酸鉄カリウム
および硫酸鉄アンモニウムなどの鉄塩の水溶液、塩化亜
鉛,塩化亜鉛アンモニウムおよび水酸化亜鉛などの亜鉛
塩の水溶液もしくは水分散液が例示される。これらのマ
グネシウム以外の多価金属塩溶液は単独で使用すること
もできるが、2種以上を混合し、混合塩溶液もしくは複
塩溶液としても用いることができる。
【0027】本発明において中間原料複合塩を処理する
ために用いられるマグネシウム以外の2価乃至3価の多
価金属塩の必要量は中間原料複合塩との接触時間、マグ
ネシウム以外の2価乃至3価の多価金属塩の濃度、接触
時の中間原料複合塩の分散濃度によりそれぞれ異なる
が、用いたマグネシウム以外の2価乃至3価の多価金属
イオンの大半が目的とする複合塩に移行することから、
中間原料複合塩中のリン酸1モルに対しモル比で0.0
2〜0.6の割合で用いることが望ましい。
【0028】本発明において中間原料複合塩をマグネシ
ウム以外の2価乃至3価の多価金属で処理するには、中
間原料複合塩を予め調製した後、マグネシウム以外の2
価乃至3価の多価金属塩溶液と混合・接触せしめた後、
分離・乾燥する方法が好ましく用いられる。この際、中
間原料複合塩は予め乾燥して粉末として用いることもで
きるが、未乾燥のものをマグネシウム以外の2価乃至3
価の多価金属塩溶液中に分散せしめた後、溶液を分離・
乾燥する方法、あるいは未乾燥の中間原料複合塩に例え
ば水酸化カルシウムを粉末または水分散液として添加混
合した後そのまま乾燥する方法も用いられる。
【0029】本発明において中間原料複合塩をマグネシ
ウム以外の2価乃至3価の多価金属で処理する効果は、
中間原料複合塩が有する中性もしくはアルカリ性の水に
不溶でかつ酸性の水に可溶な溶解特性をさらに強化し、
緩衝能を有する中性水溶液に対しても不溶性を発揮させ
ることにある。すなわち、中間原料複合塩をマグネシウ
ム以外の2価乃至3価の多価金属で処理することによ
り、中間原料複合塩の表面にリン酸およびマグネシウム
以外の2価乃至3価の多価金属の塩からなるより不溶性
の表層を形成せしめ、その結果として、中性の緩衝水溶
液に対して不溶でかつ酸性の緩衝水溶液に可溶な複合塩
を形成するのである。
【0030】本発明のリン酸アミノ酸多価金属複合塩
は、中性もしくはアルカリ性の水に不溶でかつ酸性の水
に溶解する性質を顕著に有するため、中性のルーメン内
で安定であり、かつ酸性の第4胃で完全に溶解して塩基
性アミノ酸を放出し、小腸で吸収される。すなわち、該
複合塩はその有効成分である塩基性アミノ酸が第1胃中
では微生物の分解から極めて効果的に保護され、第4胃
より下部の消化器官で消化、吸収されるような粉末状の
反すう動物用飼料添加組成物として利用できる。
【0031】一方、該複合塩は結晶粉末を単独で使用す
るのみならず、適当な粒径の顆粒に成形して、反すう動
物用飼料添加組成物として使用することもできる。
【0032】本発明においてリン酸アミノ酸複合塩の顆
粒は均質な顆粒構造のものが選ばれる。本発明において
顆粒とは、約1〜2ミリの顆粒破片を形成した場合にも
顆粒破片間の組成に変動のないものをいう。すなわち、
反すう咀嚼によって顆粒が破壊される限界の粒径が約1
〜2ミリの範囲にあることから、約1〜2ミリの顆粒破
片の組成が均一であれば反すう咀嚼後の顆粒の組成も一
定であり、顆粒を他の飼料成分と混合あるいは造粒する
場合にも塩基性アミノ酸成分の溶出性に大きな変化を生
じない。
【0033】顆粒化する方法は上記の均質性が得られる
方法であれば、一般に使用されている方法が特に制限な
く利用できる。具体的な例としては、適当なバインダー
と混合した後、押し出し造粒法、転動造粒法、圧縮造粒
法、溶融噴霧造粒法などの造粒方法で造粒する方法、ス
ラリーを噴霧乾燥する方法、粉末を適当なバインダーと
流動層造粒法あるいは撹拌造粒法で造粒する方法が好ま
しく用いられる。
【0034】バインダーとしては一般に使用されている
ものが特に制限なく利用できる。具体的な例としては、
水溶性のバインダーとして、デンプン,カルボキシメチ
ルセルロースの塩,アルギン酸塩,ヒドロキシプロピル
セルロース,デンプングリコール酸の塩などの水溶性多
糖類、カゼインナトリウム,ゼラチン,大豆タンパクな
どの水溶性タンパク質、糖蜜,乳糖,デキストリンなど
の糖類、およびポリメタクリル酸塩,ポリビニルアルコ
ール,ポリビニルピロリドンなどの合成高分子が挙げら
れ、疎水性バインダーとして、セラック樹脂,ロジン,
蜜ロウ,パラフィンワックスなどの天然ワックス類、セ
タノール,ステアリン酸等の高級脂肪酸,高級脂肪酸の
金属塩,動植物油脂,硬化動植物油脂などの油脂関連物
質類、グリセリンモノステアレートなどの非イオン界面
活性剤、およびアセチルセルロース,ポリビニルアセテ
ート,エステルガム,クマロン樹脂などの半合成樹脂・
合成高分子類が挙げられる。
【0035】顆粒を形成するリン酸アミノ酸複合塩とバ
インダーの比率はバインダーの種類によって異なるが、
リン酸アミノ酸複合塩100重量部に対して0.1〜5
0重量部が望ましい。また顆粒の粒径については、特に
制限がないが、平均粒径約5ミリ以下の顆粒が給餌のバ
ラツキが少なくなる点で望ましく、平均粒径2〜0.2
ミリの顆粒が他の飼料成分との混合操作が容易となる点
から特に好ましい。
【0036】本発明におけるリン酸アミノ酸複合塩を含
有する顆粒は比重調整,顆粒強度の増強,第4胃におけ
る溶崩性の補強,あるいは顆粒調製時の加工性向上など
の目的で、アミノ酸複合塩およびバインダーの他に、他
の添加剤を加えて調製することができる。該添加剤は均
質な顆粒を形成するために、粉末あるいはワックス状物
質から選ばれる。具体的な例としては、アルカリ土類金
属の炭酸塩,リン酸塩,水酸化物,タルク,ベントナイ
ト,クレイ,微細シリカなどの無機物質、あるいはパラ
フィンワックス,ポリエチレン粉末,パルプ粉末,セル
ロース粉末,キトサンなどの有機物質が挙げられる。
【0037】さらに、本発明におけるリン酸アミノ酸複
合塩を含有する顆粒はリン酸アミノ酸複合塩のルーメン
内での保護性と第4胃における溶出性を損なわない範囲
で、他の生物学的活性物質を均質に分散させて調製する
ことができる。生物学的活性物質としては、周知の各種
の栄養物や薬物類、例えばアミノ酸およびその誘導体、
アミノ酸のヒドロキシ同族化合物、ビタミン類、および
獣医薬類から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙
げられる。
【0038】具体的には、メチオニン、トリプトファ
ン、スレオニン等のアミノ酸類;N−アシルアミノ酸、
N−ヒドロキシメチルメチオニンのカルシウム塩等のア
ミノ酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メチルメルカプト
酪酸およびその塩等のアミノ酸のヒドロキシ同族化合
物;カロリー源としてのデンプン、脂肪酸、脂肪酸金属
塩;ビタミンA、ビタミンA酢酸塩、ビタミンAパルミ
チン酸塩、ビタミンB群、チアミン、塩酸チアミン、リ
ボフラビン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテ
ン酸カルシウム、パントテン酸コリン、塩酸ピリドキシ
ン、塩化コリン、シアノコバラミン、ビオチン、葉酸、
p−アミノ安息香酸、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタ
ミンE等のビタミン類およびそれに類する機能を有する
物質;テトラサイクリン系、アミノ配糖体系、マクロラ
イド系、ポリエーテル系の抗生物質、ネグフォン等の駆
虫剤、ピペラジン等の虫下し、エストロジェン、スチル
ベストール、ヘキセストール、チロプロティン、ゴイト
ロジェン、成長ホルモン等のホルモン類が使用される。
【0039】以下に、本発明を実施例及び比較例により
更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例
に限定されることはない。
【0040】なお、生物学的活性物質として、実施例中
のアミノ酸の含量および溶出量に関しては液体クロマト
グラフィーで分析を行った。
【0041】純水への溶出性 調製した試料1.00gを200ml三角フラスコ中に
投入し、純水100mlを注入して、室温で10分間、
超音波処理した後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、
純水への溶出性を算出した。
【0042】第1胃相当液への保護性 調製した試料約0.5gを300ml三角フラスコ中に
投入し、第1胃液に相当するMc Dougall緩衝液200m
lを注入して、39℃で24時間振とうした。振とう終
了後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、第1胃相当液
への保護性を算出した。
【0043】少量投与時の第1胃相当液への保護性 調製した試料約0.2gを300ml三角フラスコ中に
投入し、第1胃液に相当するMc Dougall緩衝液200m
lを注入して、39℃で24時間振とうした。振とう終
了後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、少量投与時の
第1胃相当液への保護性を算出した。
【0044】*Mc Dougall緩衝液:水1000ml中に
以下の試薬を溶解した緩衝液。 炭酸水素ナトリウム :7.43g リン酸2ナトリウム・12水塩:7.00g 塩化ナトリウム :0.34g 塩化カリウム :0.43g 塩化マグネシウム・6水塩 :0.10g 塩化カルシウム :0.05g
【0045】第4胃相当液への溶出性 調製した試料約0.5gを300ml三角フラスコに投
入し、第4胃液に相当する酢酸−リン酸緩衝液200m
lを注入して、39℃の温度下で1時間振とうした。振
とう終了後、塩基性アミノ酸の溶出量を分析し、第4胃
相当液への溶出性を算出した。
【0046】*酢酸−リン酸緩衝液:1000ml中に
以下の試薬を溶解し、塩酸でpH2.2に中和した緩衝
液。 リン酸2水素ナトリウム・2水塩:1.95g 酢酸ナトリウム・3水塩 :3.40g
【0047】
【実施例1】L−リジン塩基水溶液(濃度:45重量
%)1300gに、第2リン酸マグネシウム塩3水和物
174.3gを添加し、80℃で3時間加熱・撹拌した
ところ、第2リン酸マグネシウム塩3水和物の粒状結晶
が消失して、微細な結晶が大量に生じた。得られた結晶
を濾過して1000mlの水で洗滌した後、60℃で減
圧乾燥し、白色結晶粉末285gを得た。この白色粉末
1gを純水および第1胃相当液100mlに添加・撹拌
して観察したところ溶解は認められなかった。本品を中
間原料複合塩−1とした。
【0048】
【実施例2】L−リジン塩基水溶液(濃度:20重量
%)4386gとリン酸(濃度:85%)231gを混
合・中和した液に、硫酸マグネシウム7水和物493g
を水1000mlに溶解して一気に添加した。生じたゲ
ル状の沈殿物を濾過して12000mlの水で洗滌した
後、60℃で減圧乾燥し、白色粉末280gを得た。こ
の白色粉末1gを純水および第1胃相当液100mlに
添加・撹拌して観察したところ溶解は認められなかっ
た。本品を中間原料複合塩−2とした。
【0049】
【実施例3】L−リジン塩基水溶液(濃度:45重量
%)650gとリン酸(濃度:85%)461.2gを
混合・中和した液に、水酸化マグネシウム291.7g
を水1000mlによく分散した液を添加・混合したと
ころ、反応・発熱して白色固形物となった。この白色固
形物を95℃で3時間加熱した後、純水3000mlを
加えて、よく解砕し、固形分を濾過して3000mlの
水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥し、白色粉末750
gを得た。この白色粉末1gを純水および第1胃相当液
100mlに添加・撹拌して観察したところ溶解は認め
られなかった。本品を中間原料複合塩−3とした。
【0050】
【実施例4】L−リジン塩基水溶液(濃度:47重量
%)311gとリン酸(濃度:85%)461.2gを
混合・中和した液と、水酸化マグネシウム291.7g
を水700mlによく分散した液とを均一に混合したと
ころ、反応・発熱して白色固形物となった。この白色固
形物を90℃で3時間加熱した後、砕いて60℃で減圧
乾燥し、白色粉末750gを得た。この白色粉末1gを
純水および第1胃相当液100mlに添加・撹拌して観
察したところ溶解は認められなかった。本品を中間原料
複合塩−4とした。
【0051】
【実施例5】L−リジン塩基水溶液(濃度:20重量
%)4386gとリン酸(濃度:85%)231gを混
合・中和した液に、実施例1で得られた白色結晶粉末2
0gを加えた後、塩化マグネシウム6水和物407gを
水500mlに溶解して少量ずつ徐々に添加したとこ
ろ、微細な結晶が生じた。得られた結晶を濾過して3l
の水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥し、白色結晶粉末
573gを得た。この白色粉末1gを純水および第1胃
相当液100mlに添加・撹拌して観察したところ溶解
は認められなかった。本品を中間原料複合塩−5とし
た。
【0052】
【実施例6】L−リジン塩基水溶液(濃度:40重量
%)730gに、第2リン酸マグネシウム塩3水和物8
7.2gを添加し、80℃で3時間加熱・撹拌したとこ
ろ、第2リン酸マグネシウム塩3水和物の粒状結晶が消
失して、微細な結晶が生じた。この混合液にリン酸(濃
度:85%)46.1gを冷却しながら徐々に添加した
後、硫酸マグネシウム7水和物98.6gを水150m
lに溶解して一気に添加したところ混合液は粘稠な結晶
スラリーとなった。得られた結晶を濾過して1300m
lの水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥し、白色結晶粉
末198gを得た。この白色粉末1gを純水および第1
胃相当液100mlに添加・撹拌して観察したところ溶
解は認められなかった。本品を中間原料複合塩−6とし
た。
【0053】
【実施例7】L−リジン塩基水溶液(濃度:30重量
%)4873gとリン酸(濃度:85%)461gを混
合・中和した液に、塩化マグネシウム6水和物610g
を水1lに溶解して一気に添加した。生じた粘稠な混合
物と水酸化マグネシウム93.3gを水700mlによ
く分散した液とを均一に混合し一夜放置したところ、白
色の沈殿物を生じた。沈殿物を濾過して7000mlの
水で洗滌した後、60℃で減圧乾燥し、白色粉末980
gを得た。この白色粉末1gを純水および第1胃相当液
100mlに添加・撹拌して観察したところ溶解は認め
られなかった。本品を中間原料複合塩−7とした。
【0054】
【実施例8】実施例1および実施例2で得られた中間原
料複合塩−1および中間原料複合塩−2につき、それぞ
れ250gを塩化カルシウム2水塩40gとともに水2
000mlと混合し、2時間室温で撹拌した。該混合液
から固形分を濾過分離したのち乾燥して目的とする複合
塩−1を253g、および複合塩−2を241g得た。
【0055】
【実施例9】実施例3および実施例4で得られた中間原
料複合塩−3および中間原料複合塩−4につき、それぞ
れ250gを水酸化カルシウム20gとともに水200
0mlと混合し、2時間室温で撹拌した。該混合液から
固形分を濾過分離したのち乾燥して目的とする複合塩−
3を250g、および複合塩−4を248g得た。
【0056】
【実施例10】実施例5および実施例6で得られた中間
原料複合塩−5および中間原料複合塩−6につき、それ
ぞれ100gを塩化亜鉛20gとともに水1000ml
と混合し、3時間室温で撹拌した。該混合液から固形分
を濾過分離したのち乾燥して目的とする複合塩−5およ
び複合塩−6をそれぞれ103g得た。
【0057】
【実施例11】実施例7で得られた中間原料複合塩−7
を100gを水1000mlと混合し、硫酸アルミニウ
ムアンモニウム(焼明礬)30gを添加して、2時間室
温で撹拌した。該混合液から固形分を濾過分離したのち
乾燥して目的とする複合塩−7を101g得た。
【0058】
【実施例12】実施例1〜実施例7で得られた中間原料
複合塩−1〜7、および実施例8〜実施例11で得られ
た複合塩−1〜7につき、リジン含量,ICP(誘導結
合プラズマ)発光分析法によるMg含量,およびMg以
外の多価金属含量分析の結果を表−1に示す。なお、リ
ジン含量はサンプルを希塩酸に溶解して、液体クロマト
グラフィーで分析した。また、純水への溶出率,第1胃
相当液への保護性,少量投与時の第1胃相当液への保護
性および第4胃相当液への溶出性を併せて表−1に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】
【実施例13】L−アルギニン174.2gとリン酸
(濃度:85%)98.0gを水300mlに溶解した
液に、水酸化マグネシウム72.9gを水200mlに
よく分散した液を混合したところ、反応・発熱して白色
固形物となった。この白色固形物を95℃で3時間加熱
した後、純水1000mlを加えてよく解砕して、水酸
化カルシウム10gを加えて2時間撹拌し、固形分を濾
過して1000mlの水で洗滌した後、60℃で減圧乾
燥し、白色粉末245gを得た。この白色粉末1gを純
水および第1胃相当液100mlには添加・撹拌して観
察したところ溶解は認められなかった。この白色粉末
1.00gを希塩酸100mlに溶解してアルギニン濃
度を測定したところ、350mg/dlとなり、アルギ
ニン含量は35.0%となった。また、この白色粉末
1.00gを純水100mlに混合して5分間の超音波
処理を行って上清液のアルギニン濃度を測定したとこ
ろ、50mg/dlとなり、純水への溶出率は14.3
%となった。この白色粉末の第1胃相当液への保護性お
よび第4胃相当液への溶出性を評価したところ、第1胃
相当液への保護率は17%、第4胃相当液への溶出率は
100%であった。
【0061】
【実施例14】実施例8で得られた複合塩−1を200
g秤り取り、硬化大豆油150gと混合した後、加熱押
し出し機を用いて65℃で口径1ミリのダイスから押し
出し、長さ約1ミリに細断して径約1ミリの顆粒に成形
した。得られた顆粒について第1胃相当液への保護性お
よび第4胃相当液への溶出性を評価したところ、第1胃
相当液への保護率は65%、第4胃相当液への溶出率は
95%であった。
【0062】
【実施例15】実施例8で得られた複合塩−3を200
g秤り取り、メチオニン粉末15g、炭酸カルシウム4
0g、カゼインナトリウム20gおよびデンプングリコ
ール酸ナトリウム4gを混合し、水70mlを加えて混
練した後、口径2ミリのディスクペレッターを用いて押
し出し、長さ約2ミリに細断して乾燥し、径約2ミリの
顆粒に成形した。得られた顆粒をカッターで径約0.5
ミリの小片に割り、その5粒についてそれぞれ希塩酸で
加熱・抽出し、アミノ酸含量を測定したところ、各小片
の間にアミノ酸含量の差が認められなかった。得られた
顆粒について第1胃相当液への保護性および第4胃相当
液への溶出性を評価したところ、第1胃相当液への保護
率はリジンについては98%、メチオニンについては6
6%、第4胃相当液への溶出率はリジン,メチオニン共
に95%であった。また、径約0.5ミリの小片につい
て同様に第1胃相当液への保護性および第4胃相当液へ
の溶出性を評価したところ、第1胃相当液への保護率は
リジンについては96%、メチオニンについては63
%、第4胃相当液への溶出率はリジン,メチオニン共に
98%であった。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、塩基性アミノ酸,
マグネシウムおよびリン酸の複合塩をマグネシウム以外
の2価乃至3価の多価金属で処理した複合塩であって、
中性もしくはアルカリ性の水溶液に不溶でかつ酸性水溶
液に可溶な複合塩を調製することによって、反すう動物
用飼料に不足することの多いリジン等の塩基性アミノ酸
を含有し、第1胃中の保護性、第4胃での溶出性に優れ
た反すう動物用飼料添加組成物が得られた。本発明によ
る均質な顆粒は反すうや他の飼料成分との混合による顆
粒の破壊の影響を受けにくく、従来の技術に比べ、第1
胃中の保護性、第4胃での溶出性に優れた効果を有する
反すう動物用飼料添加組成物が得られた。
【0064】本発明は、生物学的活性物質が反すう動物
に有効に吸収されることを可能にした飼料添加物を提供
するものであり、産業上の意義は極めて大きい。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表される新規リン酸ア
    ミノ酸多価金属複合塩 【化1】 (但し、Rは塩基性アミノ酸水素カチオン、Mはマグネ
    シウム以外の価数mの多価金属であって、mは2または
    3であり、aは0.05乃至1.0、bは0.85乃至
    1.43、cは0.02乃至0.6、dは0乃至0.3
    で、a+b×2+c×m+d=3であり、nは0乃至2
    0。)
  2. 【請求項2】塩基性アミノ酸がリジン、アルギニンから
    選ばれる少なくとも1種類である請求項1記載のリン酸
    アミノ酸多価金属複合塩。
  3. 【請求項3】マグネシウム以外の2価乃至3価の多価金
    属が、カルシウム,アルミニウム,亜鉛,鉄から選ばれ
    る少なくとも1種類である請求項1記載のリン酸アミノ
    酸多価金属複合塩。
  4. 【請求項4】過剰量の塩基性アミノ酸の塩基性水溶液中
    に、マグネシウムの第2リン酸塩を分散後加熱して得ら
    れた沈殿物を洗滌して、正リン酸1モルに対しモル比で
    塩基性アミノ酸0.8乃至1.0、マグネシウム1.0
    乃至1.1の複合塩を得た後、該複合塩を多価金属塩溶
    液と混合した後分離して、リン酸アミノ酸多価金属複合
    塩を得ることを特徴とする請求項1記載のリン酸アミノ
    酸多価金属複合塩の製造方法。
  5. 【請求項5】過剰量の塩基性アミノ酸の塩基性水溶液中
    で、マグネシウム塩の水溶液と正リン酸をアルカリ土類
    金属1.0乃至1.45対リン酸1.0のモル比で混合
    し、得られた沈殿物を洗滌して、モル比で塩基性アミノ
    酸0.05乃至0.8,マグネシウム1.0乃至1.4
    5および正リン酸1.0の複合塩を得た後、該複合塩を
    多価金属塩溶液と混合した後分離して、リン酸アミノ酸
    多価金属複合塩を得ることを特徴とする請求項1記載の
    リン酸アミノ酸多価金属複合塩の製造方法。
  6. 【請求項6】塩基性アミノ酸の第一リン酸塩水溶液に、
    モル比で正リン酸1.0に対し水酸化マグネシウム及び
    /または酸化マグネシウム1.0乃至1.45を添加・
    混合し、得られた沈殿物を洗滌して、モル比で塩基性ア
    ミノ酸0.05乃至0.8,マグネシウム1.1乃至
    1.45および正リン酸1.0の複合塩を得た後、該複
    合塩を多価金属塩溶液と混合した後分離して、リン酸ア
    ミノ酸多価金属複合塩を得ることを特徴とする請求項1
    記載のリン酸アミノ酸多価金属複合塩の製造方法。
  7. 【請求項7】モル比で正リン酸1モルに対し、塩基性水
    溶液として塩基性アミノ酸0.05乃至0.8,水酸化
    マグネシウム及び/または酸化マグネシウム1.1乃至
    1.45の比率で混合した後、混合物を加熱・乾燥し
    て、モル比で塩基性アミノ酸0.05乃至0.8,マグ
    ネシウム1.1乃至1.45および正リン酸1.0の複
    合塩を得た後、該複合塩を多価金属塩溶液と混合した後
    分離して、リン酸アミノ酸多価金属複合塩を得ることを
    特徴とする請求項1記載のリン酸アミノ酸多価金属複合
    塩の製造方法。
  8. 【請求項8】中性もしくはアルカリ性の水に不溶でかつ
    酸性の水に可溶な請求項1記載のリン酸アミノ酸多価金
    属複合塩及び/またはこれを含む顆粒とすることもでき
    る反すう動物用飼料添加組成物。
  9. 【請求項9】請求項1記載のリン酸アミノ酸多価金属複
    合塩を主成分とする顆粒に他の生物学的活性物質を分散
    してなることを特徴とする請求項8の反すう動物用飼料
    添加組成物。
JP7343165A 1995-06-15 1995-12-28 リン酸アミノ酸多価金属複合塩及びその製造方法 Withdrawn JPH0959232A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001005244A1 (fr) * 1999-07-19 2001-01-25 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Aliments permettant de traiter ou de prevenir les maladies liees au vieillissement, methode d'alimentation d'un homoanimal klotho-mutant et aliments associes
JP2019527556A (ja) * 2016-08-02 2019-10-03 ジンプロ コーポレーション 葉酸の第一胃をバイパスする方法及び組成物

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WO2001005244A1 (fr) * 1999-07-19 2001-01-25 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Aliments permettant de traiter ou de prevenir les maladies liees au vieillissement, methode d'alimentation d'un homoanimal klotho-mutant et aliments associes
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