JP3711467B2 - ローラーチェーン及びそのブシュ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はローラーチェーン及び該ローラチェーンに使用されるブシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は一般的なローラーチェーンを示しているが、同図に示すように外プレート(イ)、内プレート(ロ)、ピン(ハ)、ブシュ(ニ)、ローラ(ホ)にて構成され、両内プレート(ロ)、(ロ)は穴にブシュ(ニ)が圧入されて連結し、ブシュ(ニ)にはローラ(ホ)
が回転自在に嵌っている。そして上記ブシュ(ニ)の穴にはピン(ハ)が挿入されて、内プレート(ロ)から突出した両先端には外プレート(イ)、(イ)が嵌っている。
【0003】
ところで、ローラーチェーンは両スプロケットに巻き掛けられて動力の伝達が行われることになるが、該ローラーチェーンがスプロケットに巻き付く際、及びスプロケットから離れる際には内リンクと外リンクは互いに屈曲する。この内外リンク間の屈曲はブシュとピンとの回転(屈曲)によって行われ、その結果ブシュ内面及びピン外周面が磨耗してローラーチェーンの伸びが発生する。
【0004】
従来、ローラーチェーンの伸びを抑える為に色々な表面処理が施されてきている。すなわち接触摺動面の磨耗を防止することにより伸びを抑制することが出来る。しかし、一方においてはピンとブシュ内週面が片当たりすることなく均等に接触するならば、該接触面の磨耗は少なくなり、ローラーチェーンの伸びを抑えることが出来る。
【0005】
従来においては、図6に示すようにブシュ内周面の両サイドをテーパー面とすることでピンとの接触を均一化したものが知られている。すなわちブシュは内プレートの穴に圧入されて内リンクを構成することに成るが、圧入によってブシュ両端は収縮されて太鼓型となる。したがって内周面の両サイドにテーパー面を形成しておくならば、収縮することでストレートな内周面となる。収縮に基づく変形を前以て予知したブシュ内面形状としている。
【0006】
しかし、現実的には如何なる角度のテーパー面が適しているかが分からず、大きすぎたり、逆に小さすぎる場合も発生する。それにブシュ先端が圧入により収縮する場合、変形領域は単にテーパー面に限定されるものではなく、正確にはブシュ全体に及ぶ訳で、従来のテーパー面では不充分である。しかし、圧入に伴う収縮を考慮したブシュの内面形状を加工することは現実的ではなく、また不可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のテーパーブシュには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であって、より均一な接触が実現されて磨耗が少ないブシュ並びに伸びの小さなローラーチェーンを提供する。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明のブシュは従来のテーパーブシュではなく、段付きブシュを構成する。すなわち、内周面両端部の内径を大きくし、内プレートの穴に圧入した場合には段付き部分だけが収縮するようにする。すなわち、段付き内周面とすることでブシュ先端部強度は弱くなり、この部分だけが収縮して他の厚肉領域へ変形が及ばないように、又は従来のテーパーブシュに比較して変形が小さくなる。ここで段の大きさは特に限定しないことにするが、内プレート穴への圧入に伴う収縮によって先端がピンと片当たりするようではいけない。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
【実施例】
ローラーチェーンとしての基本的な構造は前記図5に示したものと同じである。本発明はこのローラーチェーンが伸びないようにしたものであり、その為の手段としてブシュ内面とピンとの片当たりを防止している。図1は本発明のブシュ断面を示している実施例である。このブシュ穴1は内径dであるが、両サイドには内径Dを大きくした穴が形成され、その結果段付き穴と成っている。
【0010】
このような段付き穴を成形する方法は色々あるが、一般的には段付きポンチを圧入して成形される。図2はこの段付きブシュの加工工程を示している具体例であるが、(a)は円柱状材料2で、これは所定太さの線材を一定長さに切断し、上下端面を圧縮して歪な円柱形状を正したものである。(b)はこの材料2をダイス穴にセットして上下端面に凹部3,4を成形した場合である。ここで、1工程で所定深さの凹部3,4を成形することなく、ポンチを押圧してより浅い凹部を前以て成形してから(b)工程の加工をすることも出来る。
【0011】
このように線材を切断した材料は順次成形されることになるが、金型に固定されている複数ダイスと、それぞれのポンチを用いて成形される。ところで、ダイスの穴にセットした状態で上下からポンチを押し込むことで凹部3,4が成形されるが、両凹部間には底5が残り、この底5は次の工程で打ち抜かれる。
【0012】
(c)は底5が打ち抜かれた場合であり、底5の打ち抜きと同時に片方に段を加工する。他方の内周面には次の(d)工程にて同じような段が加工されて本発明のブシュが出来上がる。図3は前記図2に示した工程(c)、(d)の具体例を表している。(b)工程では凹部3,4を成形するが底5が残されている為、この状態でダイスにセットし、下から突出するポンチ6によって該底5が打ち抜かれる。そしてポンチ6には段部7を有している為に、この段部7が筒体の穴1の下端部に嵌る込むならば、内周面には段差が成形される。
【0013】
同図(d)は反対側にも同じく段差を成形した場合であるが、筒体の向きを変えて別のポンチ8を穴に押し込むならば、ポンチが有している段部7によって段差が加工される。そしてこのポンチ8は先端に球体9を有し、段差を成形した際に発生する穴内週面のひずみはポンチ8が抜かれる際にバーニシング加工がなされる。
【0014】
ところで本発明のブシュを内プレートの穴に圧入するならば、図4に断面を示すように該ブシュの先端は収縮する。ブシュ先端10は段差を有した穴と成っている為にその肉厚は小さく、したがって圧入に際して先端部だけが収縮し易く、他の厚肉部領域の変形は極めて少ない。段差を形成した先端部以外の領域A〜Bは殆ど変形することなくストレートとなり、ピンが嵌るならば全面にて接触することが出来る。
【0015】
同図では薄肉となった先端部がたわみ変形した状態となっているが、撓むことなく先端部全体が収縮変形することも出来る。すなわち薄肉とすることで他の領域に比較して変形し易く、内プレート穴に先端部全体が収縮して嵌り得る。以上述べたように、本発明のブシュは両端内周面に内径を大きくした段付き穴を形成したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0016】
【発明の効果】
本発明のブシュは段付き穴を有している為に、内プレートの穴に圧入した場合に薄肉となっている先端部だけが収縮変形し易くすることが出来、他の厚肉部分の変形は極めて少ない。そして先端部が収縮変形しても穴内周面まで達する変形量が少なく、ブシュ穴にピンが挿入されても変形した先端部と接することはない。したがって、ピンは変形の少ないブシュ内周面とほぼ均等に接することが出来、すなわち片当たり現象は発生しにくく、その結果ブシュ内周面の磨耗は小さくなってローラーチェーンの伸びを抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブシュ断面図。
【図2】本発明のブシュの加工工程。
【図3】ブシュ両端に段差を付ける加工例。
【図4】本発明のブシュを内プレートの穴に圧入した断面拡大図。
【図5】一般的なローラーチェーン。
【図6】両端にテーパーを設けているブシュ断面図。
【符号の説明】
1 穴
2 材料
3 凹部
4 凹部
5 底
6 ポンチ
7 段部
8 ポンチ
9 球体
10 先端

Claims (2)

  1. 2本のピン両端に外プレートを圧入した外リンクとローラを回転自在に嵌めた2本のブシュ両端に内プレートを圧入した内リンクを互いに連結して成るローラーチェーンにおいて、上記内リンクを構成するブシュ両端内周面の内径を大きくするように段差を設けた段付きブシュとし、これを内プレートの穴に圧入した場合に両端の薄肉部が収縮変形して他の厚肉部の変形を抑え、挿入したピンと内プレートの穴に圧入される薄肉部のブシュ両端内周面は非接触状態になると共に厚肉部内周面とがほぼ均一接触状態になることで、片当りすることがないようにしたことを特徴とするローラーチェーン。
  2. ローラーチェーンの内リンクを構成するブシュにおいて、該ブシュ両端内周面の内径を大きくして段差を形成し、これを内プレートの穴に圧入した場合に両端の薄肉部が収縮変形して他の厚肉部の変形を抑え、挿入したピンと内プレートの穴に圧入される薄肉部のブシュ両端内周面は非接触状態になると共に厚肉部内周面とがほぼ均一接触状態になるようにしたことを特徴とするローラーチェーンのブシュ。
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