JP3711430B2 - テープ印刷装置およびテープ用印刷画像の作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷すべき画像をテープの幅方向に変形し、これをテープに印刷するテープ印刷装置およびテープ用印刷画像の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テープ印刷装置では、入力したキャラクタなどの画像に対し、各種の装飾、例えば「斜体」、「強調」または「中抜き」などの装飾を施すことができ、装飾した画像を印刷媒体であるテープに印刷することにより、表現力豊かでバラエティに富むラベルの作成を可能にしている。印刷されるキャラクタ画像は、ドットマトリックスからなり、画像部分が陽ドットで、空白部分が陰ドットで構成されている。したがって、キャラクタ画像に対し、例えば「斜体」の装飾(以下、「斜体装飾」という)が設定された場合には、陽ドットをテープの長手方向に所定量移動させて、キャラクタ画像をテープの長手方向に変形し、この画像をテープに印刷している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、テープ印刷装置における画像の装飾、特に斜体装飾など画像の外形を変形させるような装飾については、画像をテープの長手方向にのみ変形させている。すなわち、従来のテープ印刷装置では、キャラクタ列が直線状に並ぶことが前提であり、曲線状に並ぶなどのバラエティに富んだ印刷は不可能であった。
【0004】
本発明は、テープ幅内であれば、画像をテープ幅方向に変形可能であることに着目してなされたものであり、画像をテープ幅方向に変形可能として、より一層バラエティに富むラベルを作成することができるテープ印刷装置およびテープ用印刷画像の作成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るテープ印刷装置は、ユーザに切断位置を知らせるカットマークを含む基準画像を特定の変形パターンに基づいてテープの幅方向に変形させ、これを当該テープに印刷するテープ印刷装置であって、変形パターンの変形データを記憶した変形パターン記憶手段と、基準画像に対応する基準画像データを、テープの印刷領域に対応したドットマトリックスに展開するデータ展開手段と、ドットマトリックスに展開した基準画像データのテープ幅方向に対応した各ドット列であって、移動させるドットが存在する各ドット列に対し、その各ドットを変形データに基づきドット列のドットの並び方向に移動させる移動量をドット列毎に算出し、各ドット列の各ドットを、並び方向に移動量分移動させると共に、カットマークを有するドット列に対し、その各ドットを並び方向に移動させないことにより、印刷画像を作成する印刷画像作成手段とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るテープ用印刷画像の作成方法は、ユーザに切断位置を知らせるカットマークを含む基準画像に対応する基準画像データを、テープの印刷領域に対応したドットマトリックスに展開し、当該ドットマトリックスに展開した基準画像データのテープ幅方向に対応した各ドット列であって、移動させるドットが存在する各ドット列に対し、その各ドットを特定の変形パターンデータに基づきドット列のドットの並び方向に移動させる移動量をドット列毎に算出し、各ドット列の各ドットを、並び方向に移動量分移動させると共に、カットマークを有するドット列に対し、その各ドットを並び方向に移動させないことにより、印刷画像を作成することを特徴とする。
【0007】
以上の構成によれば、基準画像のデータ(基準画像データ)を所定のドットマトリックスに展開し、この基準画像データにおけるテープ幅に対応した各ドット列の各ドットを、特定の変形パターンに基づき、ドットの並び方向に移動させるので、基準画像をテープ幅方向に変形させた印刷画像(テープ用印刷画像)を作成することができる。なお、特定の変形パターンのデータには、ドットを移動させる量の他、その量を算出する計算式も含まれる。
【0008】
請求項1のテープ印刷装置において、印刷画像作成手段は、基準画像を縮小する画像補正手段を備えており、画像補正手段は、印刷画像がテープの印刷領域からはみ出す場合に、印刷画像が印刷領域内に納まるように、基準画像を縮小することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、印刷画像がテープの印刷領域からはみ出す場合に、画像補正手段により、基準画像を所定の大きさに縮小するので、テープ(テープ幅方向)の印刷領域からはみ出さない印刷画像を作成することができ、印刷画像の見栄えを損なうことがない。なお、基準画像の縮小には、その全体を縮小する他、テープ幅方向に対応する方向にのみ縮小してもよい。
【0010】
また、請求項1のテープ印刷装置において、印刷画像作成手段は、ドットマトリックスの各ドット列の両端同士を仮想的に連結した状態でドットを移動させるドット移動手段を備えており、ドット移動手段は、印刷画像がテープの印刷領域からはみ出す場合に、そのはみ出した部位を構成するドットを循環移動させることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、所定のドットマトリックスにおける各ドット列の両端同士を仮想的に連結した状態でドットを移動させ、しかも印刷画像が印刷領域からはみ出す場合に、そのはみ出した部位を構成するドットを循環移動させるので、はみ出した部位が、テープ幅方向のはみ出した側と反対側に形成(印刷)された印刷画像を作成することができる。したがって、例えばキャラクタ画像などが部分的にテープの印刷領域からはみ出しても、そのはみ出した部位も印刷画像として所定の位置に印刷されるので、そのキャラクタ画像がいかなるキャラクタであるかを認識することができる。
【0012】
本発明に係る他のテープ印刷装置は、請求項2に記載の画像補正手段による画像補正機能と、請求項3に記載のドット移動手段によるドット移動機能とを有するテープ印刷装置であって、画像補正機能およびドット移動機能のいずれかを選択可能な機能選択手段を有することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、所定の画像補正機能およびドット移動機能のうち、ユーザが自由にいずれかを選択することができるので、自由度の高い印刷画像を作成することができる。
【0014】
また、請求項1、2または3のテープ印刷装置において、変形パターン記憶手段は、複数の変形パターンの変形データを記憶しており、複数の変形パターンのうち任意に1の変形パターンを選択する変形パターン選択手段を、更に有することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、複数の変形パターンにうち、ユーザが任意に1の変形パターンを選択することができるので、自由度が高く、ユーザ好みの印刷画像を容易に作成することができる。
【0016】
請求項5のテープ印刷装置において、複数の変形パターンには、基準画像全体をテープ幅方向に振幅した波状に変形させるものが含まれていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、印刷画像全体を波状にすることにより、その形状に適した内容を効果的に表現した印刷画像を作成することができる。例えば、五線譜とともに曲名などを有する画像を波状とすることにより、メロディが流れるような印象を与える印刷画像を作成することができる。
【0018】
また、請求項5のテープ印刷装置において、複数の変形パターンには、基準画像全体をテープ幅方向に振幅した鋸歯状に変形させるものが含まれていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、印刷画像全体を鋸歯状にすることにより、その形状に適した内容を効果的に表現した印刷画像を作成することができる。例えば、恐怖感を与えるような言葉を有する画像を鋸歯状とすることにより、おどろおどろしい印象を与える印刷画像を作成することができる。
【0020】
請求項1〜7のテープ印刷装置において、変形データには、テープの幅方向の長さに応じた、各ドット列の各ドットの最大移動量のデータが含まれることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、各ドット列の各ドットの最大移動量を、テープの幅方向の長さに応じて、すなわちテープ幅の異なるテープの種別ごとに規定しておくことができ、テープの種別に適した印刷画像を作成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について具体的に説明する。このテープ印刷装置は、キー入力した所望のキャラクタなどを、熱転写式でテープに印刷し、このテープの印刷部分を切断してラベルを作成するものである。
【0023】
図1に示すように、テープ印刷装置1は、上下2分割の装置ケース2によりその外殻が形成され、前半部から後半部右側にかけて逆L字状に電子装置部3を、後半部左側に機械装置部4を配設して構成されている。図2に示すように、機械装置部4には、装置本体にテープカートリッジ5を装着するためのポケット6が形成され、ポケット6には窓付きの開閉蓋7が設けられている。この開閉蓋7の左側部に形成された下向きコ字状の開口7aと、ポケット6の左側部に形成された上向きコ字状の開口6aとにより、印刷したテープTをテープ印刷装置1の外部に排出する排出口10が形成されるようになっている。
【0024】
電子装置部3には、上面に操作部11が形成され、後述する制御部200が内蔵されている(図4参照)。操作部11には、制御部200の周辺制御回路(P−CON)250に接続されたキーボード8と、後述する駆動回路部270のディスプレイドライバ271を介してP−CON250に接続されたディスプレイ9とが配設されている。
【0025】
キーボード8は、テープ印刷装置1に文字、記号または簡易な図形などのキャラクタを入力するための多数のキャラクタキーと、入力したキャラクタに対する編集や印刷などを指令するための各種の機能キーとを備えている。なお、この機能キーには、ディスプレイ9上のカーソルを移動させるカーソルキーや、複数の選択肢の中から所望のものを確定するための選択キーなどが含まれている。一方、ディスプレイ9は、長方形形状の表示画面91を備えており、この表示画面91には入力されたキャラクタの画像が表示される他、その画像の編集時や印刷時における各種の操作モードや選択肢などが表示される。
【0026】
次に、テープカートリッジ5のテープTに印刷を行う印刷部12について説明する。テープカートリッジ5は、装置本体に対し着脱自在に構成されており、テープTの消耗に際しケースごと交換できるようになっている。また、テープカートリッジ5は、テープTの幅や色などが異なるものが各種用意されている。
【0027】
図3は、上ケースを取り外した状態のテープカートリッジ5の平面図である。このテープカートリッジ5のケースは、上ケース5a(図2参照)および下ケース5bにより構成されている。このケースの内部は、テープTを収容するテープ収容部21と、インクリボンRを収容するインクリボン収容部22とで2分割されており、インクリボン収容部22には、テープカートリッジ5の装着時に、後述する印刷ヘッド46を備えたヘッドユニット45が挿入される方形のヘッド開口23が形成されている。
【0028】
インクリボン収容部22には、インクリボンRを巻回したリボン巻出しリール24と、使用後のインクリボンRを巻き取るリボン巻取りリール25とが、それぞれ回転自在に収容されている。リボン巻出しリール24から繰り出されたインクリボンRは、第1ガイドピン26および第2ガイドピン27に案内されて、後述するプラテンローラ39に臨み、さらにヘッド開口23を構成する周壁23aに沿ってUターンして、リボン巻取りリール25に巻き取られる。
【0029】
テープ収容部21は、ほぼ円形に形成されており、その中心部であって下ケース5bには、テープTを巻回したテープリール31を回転自在に支持する円筒状のリール支持部32が突出形成されている。一方、テープリール31は円筒状に形成されており、その内側であってテープリール31の幅方向の中心部には、貫通孔33を備えたリブ34が形成されている。また、このリブ34における貫通孔33の縁部には、多数の突起35が連続して環状に形成されている。
【0030】
このように形成されたテープリール31は、上記リール支持部32に遊挿されており、またリール支持部32内には、上方からコイルばね36が嵌挿されている。このコイルばね36は、その一端(上端)が上ケース5aの内面に当接する一方、他端部(下端部)36aがリール支持部32を横切るように折曲げられている。また、下端部36aの先端は、リール支持部32の上端から下方に向けて形成された切欠きを介し、リブ34の突起35にまで達するようになっている。これにより、テープカートリッジ5を装置本体に装着していない場合には、コイルばね36の下端部36aの先端が突起35,35間にはまり込むようになっている。したがって、装置本体に装着されていないテープカートリッジ5では、コイルばね36の下端部36aが突起35に係合し、テープリール31を不動としているため、テーププリール31が勝手に回転して、テープTがテープ収容部21内でたるんでしまうことを防止できるようになっている。
【0031】
また、テープ収容部21とインクリボン収容部22との境界端部には、ケース側壁37に開口するようにしてスリット状のテープ排出口38が形成されており、テープTはテープ排出口38を介して、テープ収容部21からケース外部に繰り出される。また、テープ収容部21の下流部には、テープ排出口38の近傍に位置するプラテンローラ39が回転自在に収容されており、この部分でテープTとインクリボンRとを重ね、これに印刷ヘッド46を押し当てて印刷が行われるようになっている。また、プラテンローラ39を挟んでテープ排出口38と対向する位置には、テープTをプラテンローラ39に導く湾曲ガイド部40が形成され、湾曲ガイド部40は、テープ排出口38から排出されてゆくテープTが、プラテンローラ39に周接するように、これを導いている。
【0032】
一方、図2に示すように、テープカートリッジ5が装着されるポケット6には、上記下ケース5bのリール支持部32内に下側から挿入することにより、テープカートリッジ5の装着を容易ならしめる位置決めピン41が突出形成されている。テープカートリッジ5をポケット6に装着すると、位置決めピン41は、その先端で上記コイルばね36の下端部36aを上方に押し上げ、下端部36aとリブ34の突起35との係合が解除される。これにより、テープリール31が回転自在となり、テープTが円滑に繰り出されるようになる。
【0033】
また、ポケット6には、プラテンローラ39に係合しこれを回転させるプラテン駆動軸42、およびリボン巻取りリール25に係合しこれを回転させる巻取り駆動軸43が立設されている。これらのプラテン駆動軸42および巻取り駆動軸43は、図外の減速歯車列を介し、DCモータ44(図4参照)で作動されるようになっている。そして、印刷時にプラテン駆動軸42および巻取り駆動軸43が所定量回転し、テープTおよびインクリボンRを所定量送り出すようになっている。
【0034】
図2に示すように、ヘッドユニット45には、サーマルヘッドからなる印刷ヘッド46が収容されている。この印刷ヘッド46は、収容位置と、テープTおよびインクリボンRをプラテンローラ39に押し当てる印刷位置との間で移動自在に構成されている。すなわち、印刷ヘッド46は、通常、収容位置に保持されており、印刷が指令されると、印刷位置に移動し、P−CON250およびヘッドドライバ272を介して印刷ヘッド46に伝達された印刷データに基づき、テープTに所定の印刷を行うようになっている。
【0035】
次に、テープTの印刷部分を切断する切断部13について説明する。切断部13は、排出口10のポケット6側に設けられ、テープTを切断するテープカッタ131と、このテープカッタ131を切断動作させるカッタモータ132とを備えている。印刷の完了後、印刷されたテープTは、所定量送り出されて停止する。そして、停止の直後、カッタモータ132が駆動して、テープカッタ131によりテープTの印刷部分が自動的に切断される(自動切断)。また、テープ印刷装置1では、自動切断を解除しておき、手動でもテープTを切断できるようになっている。この場合には、印刷が完了し、テープTが所定量送り出された後、テープ印刷装置1の後部左隅に設けられたカットボタン133を押下することにより、テープカッタ131を切断動作させて、テープTを切断する(手動切断)。
【0036】
次に、図4を参照して、テープ印刷装置1における制御系の基本的な構成について説明する。同図に示すように、テープ印刷装置1の制御は、キーボード8からの入力信号に基づき、制御部200が駆動回路部270を介して、ディスプレイ9、印刷部12および切断部13を制御している。制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240およびP−CON250を備え、互いにバス260により接続されている。
【0037】
ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶した制御プログラム領域221の他、各種の制御データを記憶した制御データ領域222などを備えている。また、CG−ROM230は、テープ印刷装置1に用意されている文字、記号、図形等のキャラクタのフォントデータを記憶しており、キャラクタを特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
【0038】
RAM240は、制御処理のための作業領域として使用され、各種レジスタ群241や、ユーザがキーボード8から入力したテキストデータを記憶するテキストデータ領域242、表示画面91の表示画像データを記憶する表示画像データ領域243、テープTに印刷される画像(印刷画像)を作成するための領域である印刷バッファ244および印刷バッファ244における後述のドット列ごとのデータを一時的に保持するための領域である1ラインバッファ245などを備えている。また、RAM240は、テープ印刷装置1の電源がオフにされても、記憶したデータを保持しておくように、図外のバックアップ回路によって電源の供給を受けるようになっている。
【0039】
P−CON250には、CPU210の機能を補うとともに周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。このP−CON250は、キーボード8や図外の各種センサと接続され、キーボード8からの各種指令や入力データおよび各種検出信号などをそのままあるいは加工し、バス260を介してCPU210やRAM240に出力するとともに、CPU210などからバス260を介して出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動回路部270に出力している。
【0040】
また、駆動回路部270は、ディスプレイドライバ271、ヘッドドライバ272およびモータドライバ273により構成されている。ディスプレイドライバ271は、制御部200から出力される制御信号に従って、表示画面91を制御する。同様に、ヘッドドライバ272は、制御部200の指示に従って、印刷ヘッド46を駆動する。また、モータドライバ273は、制御部200の指示に従って、印刷部12のDCモータ44を駆動して、プラテン駆動軸42および巻取り駆動軸43を制御するとともに、切断部13のカッタモータを駆動して、テープカッタを制御している。
【0041】
このように構成された制御系において、制御部200のCPU210は、ROM220内の制御プログラムに従って、P−CON250を介してキーボード8などからの各種指令や各種データなどを入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介して駆動回路部270に制御信号を出力している。これにより、印刷制御や表示画面91の表示制御を行うとともに、印刷ヘッド46を制御して、所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
【0042】
このテープ印刷装置1の場合、本発明のテープ印刷装置およびテープ用印刷画像の作成方法は、主に、操作部11および制御部200により実現されており、図5〜図18を参照して、以下にラベルを作成するまでの操作手順を示しつつ、その特徴となる動作を説明する。
【0043】
まず、電源をオンにすると、テープ印刷装置1は、操作状態(操作モード)がキーの入力可能な状態(入力モード)で起動する。この入力モードにおいて、キーボード8を適宜操作して、印刷すべき所望のキャラクタ(以下、1キャラクタの場合も含め、「キャラクタ列」という)を入力する。このテープ印刷装置1では、入力したキャラクタ列の画像(キャラクタ列画像)をそのままテープTに印刷する他、キャラクタ列の一部または全部のキャラクタに対し、例えば、「斜体」、「強調」または「中抜き」などの装飾を施して、キャラクタ列画像を印刷することができるようになっている。キャラクタ列を装飾する場合には、モード変更を行う所定の機能キーを押下して、操作モードを入力モードから装飾モードに遷移させる。その後、カーソルキーを適宜操作し、所望の装飾が表示されたところで、選択キーを押下して装飾を確定する。
【0044】
更に、テープ印刷装置1では、テープTに印刷されるキャラクタ列画像の周囲を囲む各種の外枠を設定できるようになっている。外枠を設定する場合には、上記の装飾と同様に、外枠を設定するための所定の機能キーを適宜操作して、操作モードを入力モードから外枠設定モードに遷移させ、所望の外枠が表示されたところで、選択キーを押下して外枠を確定する。
【0045】
そして、キャラクタ列の入力が完了した後、あるいはキャラクタ列の装飾や外枠などを設定する場合には、その設定が完了した後、印刷キーを押下して印刷を行う。このテープ印刷装置1には、印刷キーとして、2種類のキーが設けられている。すなわち、キャラクタ列画像を、そのままの状態(装飾などが設定されている場合には、装飾した状態)でテープTに印刷するための通常印刷キーと、キャラクタ列画像を、テープTの幅方向に振幅した波状あるいは鋸歯状に変形させて印刷するための特殊印刷キーとが設けられている。なお、以下の説明においては、通常印刷キーを押下して行う印刷を「通常印刷」、特殊印刷キーを押下して行う印刷を「特殊印刷」と称呼する。
【0046】
ここで、実際にキャラクタ列を入力し、そのキャラクタ列画像を、テープTに印刷する場合について、特に特殊印刷を行う場合を中心に具体的に説明する。
【0047】
テープ印刷装置1に、例えば「なみなみ印刷 なみとギザ」なるキャラクタ列を入力したとする。このようなキャラクタ列を入力し、キャラクタ列の装飾や外枠を設定することなく、通常印刷キーを押下して印刷(通常印刷)を行うと、図5(a)に示すように、テープTに上記キャラクタ列画像が印刷される。一方、上記と同様のキャラクタ列を入力した後、装飾や外枠を設定することなく、特殊印刷キーを押下して印刷(特殊印刷)すると、上記のキャラクタ列画像が、例えば図5(b)、(c)に示すような波状や、同図(d)、(e)に示すような鋸歯状などで印刷される。なお、以下の説明では、キャラクタ列画像を波状で印刷する場合を「なみなみ印刷」、鋸歯状で印刷する場合を「ぎざぎざ印刷」と称呼し、また適宜、それぞれの印刷を「なみ2印刷」および「ぎざ2印刷」と略称する。
【0048】
図6および図7は、特殊印刷におけるキーボード操作およびその操作による表示画面を示す。なお、これらの図において、G1、G2など、「G〜」は表示画面91における表示を示し、S1、S2など、「S〜」はキーボード8の操作を示す。図6に示すように、上記キャラクタ列を入力した後(G1)、特殊印刷キーを押下すると(S1)、操作モードが入力モードから特殊印刷モードに遷移して、表示画面91には、その上半部に表題の「特殊印刷」が表示され、下半部に「なみ2」が白黒反転して表示される(G2)。なお、この「なみ2」は、「なみ2印刷」を略称表示した選択肢であり、これを選択することにより、キャラクタ列画像がなみ2印刷で印刷される。
【0049】
また、G2の表示において、カーソルキーを押下すると(S2)、表示画面はG3に切り替わり、「なみ2」の表示の代わりに「ぎざ2」が白黒反転して表示される。なお、この「ぎざ2」も、上記「なみ2」と同様に、「ぎざ2印刷」を略称表示した選択肢であり、これを選択することにより、キャラクタ列画像がぎざ2印刷で印刷される。
【0050】
これらのG2またはG3の表示では、カーソルキーを押下する度に、表示画面がG2からG3へ、G3からG2へと交互に切り替わるようになっている。なお、図6および図7においては、「↓↑」の表示により、画面が交互に切り替え可能であることを示す。
【0051】
ここでは、G2の表示画面において、選択キーを押下し、「なみ2」を選択したとする(S3)。そうすると、操作モードが「なみ2選択モード」に遷移して、表示画面がG4に切り替わる。なみ2印刷では、印刷画像を、大きな波状(図5(b)参照)、または小さな波状(図5(c)参照)の2種類で印刷できるようになっており、カーソルキーを押下することにより(S4)、大きな波状で印刷する「大なみ」(G4)、または小さな波状で印刷する「小なみ」(G5)のいずれかを選択できるようになっている。ここでは、「大なみ」を選択したとする(S5)。なお、上記S3において、「なみ2」の代わりに「ぎざ2」を選択している場合には、G4およびG5の表示画面において、「大なみ」および「小なみ」の代わりに、大きな鋸歯状(図5(d)参照)で印刷する「大ぎざ」および小さな鋸歯状(図5(e)参照)で印刷する「小ぎざ」がそれぞれ表示される。
【0052】
このように、テープ印刷装置1では、キャラクタ列画像を、「大なみ」、「小なみ」、「大ぎざ」および「小ぎざ」の4種類(変形パターン)から、ユーザが所望のものを選択して印刷できるようになっている。したがって、本発明における変形パターン選択手段は、キーボード8、ディスプレイ9および上記の各種変形パターンを表示画面91に表示させ、かつ、所望のものを選択させるプログラム等により構成されている。
【0053】
上記なみ2選択モードにおいて、所望の変形パターン(上記の場合「大なみ」)を選択すると(S5)、操作モードは、図7に示すように、各キャラクタ画像の文字サイズの補正を設定可能とする「サイズ補正設定モード」に遷移し、G6の表示画面が表示される。このサイズ補正設定モードにおけるサイズ補正は、キャラクタ列画像をなみ2印刷やぎざ2印刷した場合に、キャラクタ列画像の一部が、テープTにおける印刷可能な領域(印刷領域)からはみ出すとき(図5(b)〜(e)参照)には、特殊印刷を行う前の各キャラクタ画像を縮小して、特殊印刷したキャラクタ列画像がテープTの印刷領域からはみ出さないようにするための機能である。したがって、サイズ補正が設定された場合には、キャラクタ列画像が印刷領域からはみ出すことなく、テープTに印刷される(図8参照)。このサイズ補正設定モードでは、カーソルキーを押下することにより(S6)、その設定を行う「on」(G6)、および設定を行わない「off」(G7)のいずれかを選択できるようになっている。ここでは、「off」を選択したとする(S7)。
【0054】
上記のように、サイズ補正設定モードにおいて、「off」を選択すると(S7)、操作モードは、「回転設定モード」に遷移し、G8の表示画面が表示される。この回転設定モードにおける回転の機能は、キャラクタ列画像を「なみ2印刷」や「ぎざ2印刷」で印刷した場合に、テープTの印刷領域からはみ出した部位を、はみ出した側と反対側に印刷可能とするための機能である。つまり、テープTにおいて、はみ出した部位がそのはみ出した側と反対側に回り込んだ状態で印刷される(図9(a)、(b)参照)。この回転設定モードでは、カーソルキーを押下することにより(S8)、その設定を行う「on」(G8)、および設定を行わない「off」(G9)のいずれかを選択できるようになっている。
【0055】
なお、上記のサイズ補正設定モードにおいて、「on」を選択すると、操作モードは回転設定モードに遷移せず、後述の「印刷実行モード」に遷移し、G10の表示画面が表示される。つまり、サイズ補正を設定すると、キャラクタ列画像がテープTの印刷領域からはみ出して印刷されることがないため、テープTに印刷されたキャラクタ列画像は、回転設定の有無に影響されることがない。このため、サイズ補正を設定した場合には、操作モードが直接「印刷実行モード」に遷移するようになっている。このように、サイズ補正と回転は、択一的に設定可能となっている。
【0056】
そして、G8またはG9の表示画面において、「on」または「off」を選択すると(S9)、操作モードが回転設定モードから「印刷実行モード」に遷移し、G10の表示画面が表示される。この印刷実行モードは、最終的に印刷を実行するか否かを確認するためのモードであり、カーソルキーを押下することにより(S10)、印刷を行う「実行」(G10)、または印刷を行わない「取消」(G11)が選択可能となる。そして、「実行」を選択すると(S11)、上記キャラクタ列画像は、上記の各種設定に基づいて、テープTに印刷される。
【0057】
次に、図10〜図18を参照して、「なみ2印刷」および「ぎざ2印刷」による印刷画像の作成について詳述する。これらの印刷による印刷画像は、基準となる画像、すなわち通常印刷される場合と同一の画像(基準画像)のデータ(基準画像データ)が、ドットマトリックスに展開された状態で、RAM240の印刷バッファ244に格納され、基準画像を構成する各ドットを、選択された変形パターンに基づいて移動(シフト)させることにより作成される。
【0058】
印刷バッファ244は、テープTの印刷領域に対応する領域を有しており、CPU210が基準画像に対応するデータをCG−ROM230などから読み出し、そのデータをドットマトリックスに展開して、印刷バッファ244に格納している。したがって、本発明におけるデータ展開手段は、CPU210、印刷バッファ244、CG−ROM230およびデータをドットマトリックスに展開して印刷バッファ244に格納するプログラムなどにより構成されている。
【0059】
図10(a)は、上記で入力したキャラクタ列の基準画像を、印刷バッファ244に格納した状態を示すイメージ図であり、同図(b)はキャラクタ画像「な」の部分の拡大イメージ図である。この図に示すような基準画像において、テープ幅方向(図10の上下方向)に対応する各ドット列のドットを、ドットの並び方向にそれぞれ所定量シフトさせることにより、「なみ2印刷」または「ぎざ2印刷」による印刷画像を作成している。なお、以下の説明において、各ドット列のドットの移動量を「シフト量」という。
【0060】
ここで、シフト量の算出方法について説明する。まず、「なみ2印刷」において、テープ幅方向に対応する印刷バッファ244のドット数(以下、「幅ドット数」)をW、テープTの長手方向に対応する印刷バッファ244の先端(図10(a)の左端)のドット列から1、2、3、…と順に割り振った番号(以下、「ライン番号」という)をlnとすると、「大なみ」および「小なみ」のシフト量Sは、例えば下記数1および数2に示すような計算式でそれぞれ算出することができる。
【0061】
【数1】
【0062】
【数2】
【0063】
上記数1および数2の計算式において、幅ドット数Wを64ドットとした場合のシフト量Sを下記表1および表2にそれぞれ示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
上記表1および表2に示す具体的なライン番号lnは、シフト量Sが0、最大値および最小値となる場合と、それらのライン番号lnの前後を示すものである。また、シフト量Sは、上記数1および数2の算出結果の小数点第1位を四捨五入して得られた値である。このシフト量Sが正数である場合には、図10(b)に示す各ドット列のドットが上方向にシフトし、一方シフト量Sが負数である場合には、各ドット列のドットが下方向にシフトする。
【0067】
上記数1および数2並びに上記表1および表2に示すように、シフト量Sをsin関数を含む計算式で算出しているため、シフト量Sはsin関数に従って増減する。したがって、このシフト量に基づいて、各ドット列のドットをシフトさせることにより、なみ2印刷による印刷画像は、基準画像をテープ幅方向にsinカーブで波状に変形させたものとなる。なお、上記数1および数2におけるsin関数を計算する場合に、予め各ドット列ごとにシフト量を規定したデータテーブルを用意しておき、そのデータテーブルを参照してシフト量Sを算出してもよい。この場合には、シフト量の算出処理を高速に行うことができる。
【0068】
また、「ぎざ2印刷」における「大ぎざ」および「小ぎざ」のシフト量Sは、例えば下記数3および数4に示すような計算式でそれぞれ算出することができる。
【0069】
【数3】
【0070】
なお、上記「mod」の記号は、その後に続くカッコ内の除算の余りを示し、「int」の記号は、その後に続くカッコ内の除算の商を示す。下記数4も同様である。
【0071】
【数4】
【0072】
上記数3および数4の計算式において、幅ドット数Wを64ドットとした場合のシフト量Sを下記表3および表4にそれぞれ示す。なお、下記表3および表4に示す具体的なライン番号lnは、シフト量Sが0および最大値となる場合と、それらのライン番号lnの前後を示すものである。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
上記数3および数4並びに上記表3および表4に示すように、「ぎざ2印刷」におけるシフト量Sを算出する計算式は、大きく分けて、シフト量Sが右肩上がりとなる第1式(▲1▼×▲2▼:表3、4参照)と、右肩下がりとなる第2式(▲3▼×▲4▼:表3、4参照)とからなる。また、第1式の▲2▼式および第2式の▲4▼式は、ライン番号lnに応じて、0または1の値となる。つまり、▲2▼式および▲4▼式が0または1の値となることにより、第1式および第2式の値を交互にシフト量Sに反映させるようになっている。したがって、第1式および第2式を組み合わせてシフト量Sを算出することにより、基準画像を鋸歯状に変形させた印刷画像を得ることが可能となる。なお、上記数1、数2、数3および数4の計算式は、シフト量算出プログラムとして、予めROM220(変形パターン記憶手段)に記憶されている。
【0076】
次に、図11および図12を参照して、印刷画像を作成するための制御部200における内部処理およびその内部処理に基づく印刷処理について説明する。上記S11において、特殊印刷の「実行」が選択されると、まず、サイズ補正が設定されているか否かが判断される(S21)。サイズ補正が設定されている場合には(S21:Yes)、全ドット列のドットが、上記変形パターンに基づいてシフトしても、テープTの印刷領域からはみ出ないように、基準画像を縮小する(S22)。
【0077】
具体的には、基準画像のテープ幅方向に対応する最大のドット数(基準画像の上端のドットから下端のドットまでの数)が、印刷バッファ244の幅ドット数Wからシフト量Sの最大値を減じた値より小さくなるように、基準画像を縮小する。なお、「なみ2印刷」では、シフト量Sが負数となる場合もあるため、上方向にシフトするドットのシフト量と下方向にシフトするドットのシフト量とを加算した値が、上記シフト量の最大値となる。したがって、例えば上記「大なみ」が選択されている場合には、シフト量の最大値は、上記表1より42(=21+21)ドットとなる。
【0078】
この基準画像の縮小では、テープ幅方向に対応する各ドット列のドットを適宜間引きするなどして縮小する他、本例のように、基準画像がキャラクタ列画像のみから構成されている場合などでは、基準画像の文字サイズを当初の文字サイズより小さいものに変更することにより、縮小してもよい。
【0079】
その後、印刷バッファ244に基準画像データを格納して、通常印刷される場合と同様の印刷データを作成する(S23)。
【0080】
次いで、ライン番号lnの計数を行うためのライン番号カウンタと、印刷バッファ244における所定のドット列のアドレスを指定し、そのドット列に対するデータの読み出しおよび書き込みを行うための印刷データR/Wポインタを初期化する(S24)。具体的には、ライン番号カウンタとして、何らかの変数を定義しておき、その変数に0を代入する。一方、印刷データR/Wポインタとして、何らかの変数を定義しておき、その変数が印刷バッファ244における先頭のドット列(ライン番号ln=1のドット列)のアドレスを指定するようにする。
【0081】
次いで、図12に示すように、現在の印刷データR/Wポインタが指定するアドレスのドット列が、「なみ2印刷」または「ぎざ2印刷」の対象エリアであるか否かが判断される(S25)。すなわち、印刷バッファ244には、実際に印刷される印刷画像と作成されるラベルの先端および後端との余白長も考慮して印刷データが格納されており、印刷データR/Wポインタが指定するアドレスのドット列が余白長の部分のものであるか否かがライン番号を利用して判断される。このような余白長の部分のドット列には、シフトさせるドットが存在しないため、そのドット列を上記対象エリア外とし(S25:No)、そのドット列についてシフト量の計算等を行わないようにしている。
【0082】
また、テープ印刷装置1では、ユーザが余白長を自由に設定できるようになっているが、印刷ヘッド46とテープカッタ131との距離的な問題から、テープ先端側の余白長を極めて短く設定しても(例えば約1mm)、その余白長でテープTを自動切断することができない。このため、図13に示すように、ユーザに切断位置を知らせるための1対のカットマークM,MがテープTの幅方向の上部および下部に印刷されるようになっている。これらのカットマークM,Mを結ぶ直線でテープTをハサミなどで切断することにより、テープTの先端側の余白長を、ユーザが設定した長さにすることができる。
【0083】
これらのカットマークM,Mは、印刷バッファ244の同一ドット列に数ドットからなる陽ドットのデータが格納されることにより、テープTに印刷される。このようなカットマークMの部分のドットについては、シフトさせてしまうと、テープTからはみ出るおそれもあり、そのような場合にはカットマークとしての用をなさないこととなるため、これらのカットマークM,Mを有するドット列も上記対象エリア外として、そのドット列のドットをシフトさせないようにしている(S25:No)。
【0084】
上記対象エリアとして判断されると(S25:Yes)、上記数1〜数4に基づき、ライン番号lnを利用して、シフト量Sが算出される(S26)。そして、印刷データR/Wポインタで指定された位置(アドレス)のドット列において、算出されたシフト量Sの分だけ、シフト方向と反対方向にずらした位置から、データを読み込み、これを1ドット列と同容量を有する1ラインバッファ245に格納する(S27)。
【0085】
そして、上記回転設定において、回転が設定されていない場合には(S28:No)、1ラインバッファ245に格納されたデータを、印刷バッファ245のうち、上記印刷データR/Wポインタで指定されているアドレスに書き込む(S30)。図14に、シフト量が2ドットである場合における上記の一連の処理(S27,S28,S30)を模式的に示す。同図に示すように、シフト量が2ドットである場合には、印刷バッファ244における印刷データR/Wポインタで指定されたドット列の上から3番目以降のデータを、1ラインバッファ245の先頭から格納する。そして、1ラインバッファ245のデータを、印刷バッファ244のうち、印刷データR/Wポインタで指定されたアドレスに、その先頭から書き込む(S30)。なお、1ラインバッファ245における下から2番目以降には、データがなにもないことを示す値(例えば、NULL値など)が格納される。
【0086】
一方、上記回転設定において、回転が設定されている場合には(S28:Yes)、印刷バッファ244の各ドット列の両端同士が仮想的に連結した状態で、ドットが循環移動する。具体的には、印刷データR/Wポインタで指定されたアドレスのドット列において、算出されたシフト量の分だけ、シフト方向と反対方向ずらした位置から、データを読み込み、これを1ラインバッファ245に格納するとともに、シフトによりはみ出した分のデータを、1ラインバッファ245の端部に格納する(S29)。そして、1ラインバッファ245に格納されたデータを、印刷バッファ244のうち、上記印刷データR/Wポインタで指定されているアドレスに書き込む(S30)。図15に、上記図14と同様、シフト量が2ドットである場合における上記の一連の処理(S27,S28,S29,S30)を模式的に示す。上記の回転が設定されていない場合と異なり、1ラインバッファ245のNULL値が格納される位置に、はみ出した2ドットのデータが格納される。そして、上記と同様に、1ラインバッファ245のデータを、印刷データR/Wポインタで指定されたアドレスに書き込む(S30)。
【0087】
そして、1ラインバッファ245から印刷バッファ244に書き込まれたドット列のデータ、すなわち1ドット列(1ライン)分のデータを、印刷ヘッド46を介して、テープTに印刷する(S31)。その後、ライン番号カウンタを1増加(インクリメント)するとともに、印刷データR/Wポインタが次アドレスを指定するように、それぞれ更新する(S32)。
【0088】
このようにして、S25〜S32までの処理を繰り返すことにより、印刷画像を作成するとともに、1ドット列ごとにテープTに印刷する。なお、図16(a)に通常印刷による各ドット列のシフトを、同図(b)に、上記数式には従わないが、なみ2印刷による各ドット列のシフトを模式的に示す。同様に、図17に、ぎざ2印刷による各ドット列のドットのシフトを模式的に示す。これらの図に示すように、シフト量Sに基づいて各ドット列のドットをシフトさせ、それらをテープTに印刷してゆく。そして、印刷画像の終端まで印刷し終えると(S33:Yes)、内部処理が終了するとともに、「なみ2印刷」または「ぎざ2印刷」により、基準画像が波状または鋸歯状に変形した印刷画像を有するラベルが作成される(図5(b)〜(e)、図8、図9参照)。
【0089】
なお、詳細な説明は省略するが、シフト量Sの計算式を適宜変更することにより、例えば図18に示すように、各ドット列のドットを、連続した右肩上がりでシフトさせることもできる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、基準画像のドット列の各ドットを、所望の変形パターンに基づいて、ドットの並び方向にシフトさせることにより、テープ幅方向に変形した印刷画像を作成することができ、従来に比べより一層バラエティに富むラベルを作成することができる。
【0091】
また、サイズ補正を設定して印刷画像を作成することにより、印刷画像がテープTの印刷領域からはみ出すことがなく、見栄えの良いラベルを作成することができる。また、回転を設定して印刷画像を作成することにより、例えばキャラクタ列画像などが部分的にテープTの印刷領域からはみ出しても、そのはみ出した部位も印刷画像として所定の位置に印刷されるため、そのキャラクタ列画像がいかなるキャラクタ列であるかを認識することができる。加えて、回転を設定して作成したラベルを、図19に示すように、テープ幅方向に複数枚(図19の場合3枚)隣接させて張り付けるようにすれば、はみ出した部位を隣接したラベルにおける印刷画像の欠損部分に符合させることができ、印刷画像がテープ幅方向に亘って連なるようなラベルを得ることができる。
【0092】
また、例えば、五線譜の外枠とともに、曲名などを有する画像を、通常印刷で作成すると、図20(a)に示すようなラベルとなるが、同一の画像を「なみ2印刷」で印刷することにより、メロディが流れるような印象を与えるラベルを作成することができる(同図(b)参照)。さらに、恐怖感を与えるような言葉、例えば「ドラキュラ」なるキャラクタ列の画像を、「ぎざ2印刷」で印刷することにより、おどろおどろしい印象を与えるラベルを作成することができる(図21(a)参照)。同様に、「感電注意」なるキャラクタ列の画像を、「ぎざ2印刷」で印刷することにより、電気によるしびれの印象を与えるラベルを作成することができる(図21(b)参照)。
【0093】
なお、本実施形態におけるシフト量の計算式として、上記数1〜数4を使用したが、シフト量の計算式はこれらに限定されるものではなく、各ドット列のドットをテープ幅方向に対応する方向にシフトさせるものであれば、いかなる計算式であってもよい。また、各ドットの最大移動量を、テープ幅に応じて予め規定しておいてもよい。この場合には、テープ幅の異なるテープの種別ごとに、適切な印刷画像を作成することができる。さらに、本実施形態における印刷処理では、印刷バッファの各ドット列ごとに印刷およびシフト処理を行っているが、全てのドット列についてシフト処理を行った後、印刷バッファ内のデータを一括して印刷するようにしてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、印刷画像としてキャラクタ列の画像を作成する場合について説明したが、本発明はキャラクタ列の画像のみならず、図形や絵図など各種の画像の印刷画像を作成する場合にも適用することができる。
【0095】
また、本実施形態では、テープ幅に対応する各ドット列のドットを、ドットの並び方向にシフトさせたが、そのドット列に直交する方向のドット列、すなわちテープの長手方向に対応する各ドット列のドットを、そのドットの並び方向にシフトさせるようにしてもよい。この場合には、基準画像をテープの長手方向に変形させた印刷画像を得ることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像をテープ幅方向に変形可能として、従来に比べより一層バラエティに富むラベルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】テープ印刷装置のポケット回りを示す斜視図である。
【図3】テープカートリッジの内部構造を示す平面図である。
【図4】テープ印刷装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】通常印刷および特殊印刷でテープに印刷された画像を示す図である。
【図6】特殊印刷におけるキーボード操作およびその操作による表示画面を説明する説明図である。
【図7】図6に続く説明図である。
【図8】サイズ補正を設定して、「なみ2印刷」および「ぎざ2印刷」した画像を示す図である。
【図9】回転を設定して、「なみ2印刷」および「ぎざ2印刷」した画像を示す図である。
【図10】印刷バッファに格納されたキャラクタ列画像を示すイメージ図およびその一部拡大図である。
【図11】特殊印刷における内部処理および印刷処理を示すフローチャート図である。
【図12】図11に続くフローチャート図である。
【図13】カットマークが印刷されたテープを示す平面図である。
【図14】印刷バッファにおけるデータの読み込みおよび書き込みの一連の処理を説明する説明図である。
【図15】回転を設定した場合の印刷バッファにおけるデータの読み込みおよび書き込みの一連の処理を説明する説明図である。
【図16】(a)は通常印刷、(b)はなみ2印刷による各ドット列のドットのシフトを説明する説明図である。
【図17】ぎざ2印刷による各ドット列のドットのシフトを説明する説明図である。
【図18】連続した右肩上がりとなるような各ドット列のドットのシフトを説明する説明図である。
【図19】回転設定して作成したラベルをテープ幅方向に複数枚連続して張り付けた場合を示す平面図である。
【図20】通常印刷およびなみ2印刷して作成されたラベルの一例を示す平面図である。
【図21】ぎざ2印刷して作成されたラベルの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 テープ印刷装置
2 装置ケース
3 電子装置部
4 機械装置部
5 テープカートリッジ
6 ポケット
8 キーボード
9 ディスプレイ
39 プラテンローラ
46 印刷ヘッド
200 制御部
210 CPU
220 ROM
240 RAM
244 印刷バッファ
245 1ラインバッファ
T テープ
R インクリボン
Claims (9)
- ユーザに切断位置を知らせるカットマークを含む基準画像を特定の変形パターンに基づいてテープの幅方向に変形させ、これを当該テープに印刷するテープ印刷装置であって、
前記変形パターンの変形データを記憶した変形パターン記憶手段と、
前記基準画像に対応する基準画像データを、前記テープの印刷領域に対応したドットマトリックスに展開するデータ展開手段と、
前記ドットマトリックスに展開した前記基準画像データのテープ幅方向に対応した各ドット列であって、移動させるドットが存在する前記各ドット列に対し、その各ドットを前記変形データに基づき前記ドット列のドットの並び方向に移動させる移動量を前記ドット列毎に算出し、前記各ドット列の各ドットを、前記並び方向に前記移動量分移動させると共に、前記カットマークを有する前記ドット列に対し、その各ドットを前記並び方向に移動させないことにより、印刷画像を作成する印刷画像作成手段と
を有することを特徴とするテープ印刷装置。 - 前記印刷画像作成手段は、前記基準画像を縮小する画像補正手段を備えており、
当該画像補正手段は、前記印刷画像が前記テープの印刷領域からはみ出す場合に、前記印刷画像が前記印刷領域内に納まるように、前記基準画像を縮小することを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。 - 前記印刷画像作成手段は、前記ドットマトリックスの各ドット列の両端同士を仮想的に連結した状態で前記ドットを移動させるドット移動手段を備えており、
当該ドット移動手段は、前記印刷画像が前記テープの印刷領域からはみ出す場合に、そのはみ出した部位を構成するドットを循環移動させることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。 - 請求項2に記載の画像補正手段による画像補正機能と、
請求項3に記載のドット移動手段によるドット移動機能と
を有するテープ印刷装置であって、
前記画像補正機能および前記ドット移動機能のいずれかを選択可能な機能選択手段を有することを特徴とするテープ印刷装置。 - 前記変形パターン記憶手段は、複数の変形パターンの変形データを記憶しており、
当該複数の変形パターンのうち任意に1の変形パターンを選択する変形パターン選択手段を、
更に有することを特徴とする請求項1、2または3に記載のテープ印刷装置。 - 前記複数の変形パターンには、前記基準画像全体をテープ幅方向に振幅した波状に変形させるものが含まれていることを特徴とする請求項5に記載のテープ印刷装置。
- 前記複数の変形パターンには、前記基準画像全体をテープ幅方向に振幅した鋸歯状に変形させるものが含まれていることを特徴とする請求項5に記載のテープ印刷装置。
- 前記変形データには、前記テープの幅方向の長さに応じた、前記各ドット列の各ドットの最大移動量のデータが含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のテープ印刷装置。
- ユーザに切断位置を知らせるカットマークを含む基準画像に対応する基準画像データを、テープの印刷領域に対応したドットマトリックスに展開し、当該ドットマトリックスに展開した前記基準画像データのテープ幅方向に対応した各ドット列であって、移動させるドットが存在する前記各ドット列に対し、その各ドットを特定の変形パターンデータに基づき前記ドット列のドットの並び方向に移動させる移動量を前記ドット列毎に算出し、前記各ドット列の各ドットを、前記並び方向に前記移動量分移動させると共に、前記カットマークを有する前記ドット列に対し、その各ドットを前記並び方向に移動させないことにより、印刷画像を作成することを特徴とするテープ用印刷画像の作成方法。
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