JP3711227B2 - コンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法及び割りつけ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法および割りつけ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
注文建築の工期短縮と品質の均質化のために、柱や床材等の構造材は工場でプレカットして現場に輸送される。建物の受注があると、プレカット工場ではストックヤードに保管された原材料となる木材の引き当てを行う。不足している原材料はプレカット工程開始に間に合うように仕入れの手配をする。即ち、受注した建物の構造材のプレカットに必要な木材を確保して、指定された納入日までにそのプレカットを終了するように、工程管理表上で工程日程を割りつける。なお、工程管理表は、工程を時系列的に並べて管理するためのものである。
【0003】
このような工程日程の割りつけにあたっては、納入日から逆算してプレカット開始日を選択する。従って、納入日が遅いものの工程日程はできるだけ遅い日に割りつけられ、不足している原材料の購入手配日も繰り延べられて、在庫の適正化が図られる。また、工程日程は、工程管理表を見ながら、プレカットラインの標準的な稼働状態で工程負荷が100パーセントになるように順次割りつける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、原材料の引き当てを行って、工程日程の割りつけを終了した場合でも、その後の事情により受注が確定せず、納入日が大幅に繰り下げられたり受注がキャンセルになることも少なくない。その場合には、割りつけた工程日程を工程管理表から除外する。しかしながら、受注品の種類に応じて各工程にかかる時間は様々である。ある受注品の工程日程を除外して、その代わりに別の新たな受注品の工程日程をそのまま入れようとすると、工程にかかる時間の差分だけ他の受注品の工程日程が繰り下げられて、他の受注品の納期遅れが生じるという問題も生じる。
【0005】
また、工程日程の除外によって生じた空き時間を埋める新たな適当な工程日程が見つからないと、工程に空きが生じてプレカットラインの稼働率が低下する。常に受注確定を待って工程日程の割りつけをすれば、稼働率の低下は防止できる。しかしながら、それでは、納入日までの期間的な余裕がなくなり、工程日程の割りつけに無理が生じてしまうという問題があった。
【0006】
こうした工程日程の割りつけ処理をコンピュータにより自動化して、工程日程割りつけの最適化をすることが考えられる。ところが、このためには、自動的にプレカットラインの稼働率を一定レベル以上に維持する制御が必要になる。さらに、工程の割り込みや繰り下げによる納期遅れの発生を防止する所定の制御が必要になる。このような処理の手順が複雑になったり必要以上に演算処理に負荷がかかっては、コンピュータシステムの操作が煩雑になり、管理者にも大きな負担になる。
本発明では、こうした課題を解決した、コンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の手段により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
記憶装置に、受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶させ、ディスプレイに、工程負荷の設定変更ウインドウを表示し、現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理とをさせて、前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつけて、工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成させることを特徴とする、コンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0008】
〈構成2〉
構成1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、前記各期間に含まれる各工程日程の間に新たな工程日程を割り込ませる場合には、その期間の工程負荷を設定値以下に保持しながら、前記新たな工程日程より納入日の遅い受注品を生産するための工程日程を、前記時間軸上で、現在から将来に向かって順にシフトさせる処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0009】
〈構成3〉
構成1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、上記各期間に含まれるいずれかの工程日程を削除する場合には、その期間に割りつけられた別の工程日程をシフトさせない処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0010】
〈構成4〉
構成1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、時間の経過に伴って、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになったとき、当該第1の期間に属するようになった部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が設定値p1を越えている場合には、前記ディスプレイに警告表示をする処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0011】
〈構成5〉
構成1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、時間の経過に伴って、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになったとき、当該第1の期間に属するようになった部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が設定値p1を越えている場合には、優先度の高い工程日程を選択して、これらが第1の期間に属するように工程日程を決定する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0012】
〈構成6〉
構成1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、前記第2の期間のうち、前記第1の期間に近い部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率を、p2よりもp1に近い値になるように工程日程を決定する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。
【0013】
〈構成7〉
受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶する記憶装置と、工程負荷の設定変更ウインドウを表示するディスプレイと、現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理とを実行する工程負荷設定手段と、前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつけて、工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成する手段を備えたことを特徴とする、コンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。
【0014】
〈構成8〉
構成7に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置において、前記工程負荷設定手段は、前記第1の期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率p1の初期値をほぼ100パーセントに設定することを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。
【0015】
〈構成9〉
構成7に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置において、前記工程負荷設定手段は、前記各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の初期値を全てほぼ100パーセントに設定することを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。
【0016】
〈構成10〉
記憶装置に、受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶させ、ディスプレイに、工程負荷の設定変更ウインドウを表示し、現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理と、前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつける処理と、工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成させる処理とを、コンピュータに実行させる、コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1は、本発明のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法を説明するためもので、(a)は工程負荷の上限と日程の関係を示すグラフ、(b)は工程負荷設定ウインドウの説明図である。
この発明では、受注品を生産するための工程日程を工程管理表上に順次割りつける処理を、コンピュータによって自動的に行う。一般には、工程負荷の上限が常に100パーセントになるように工程日程を割りつける。即ち日程どおりに処理をすれば、工程が最も効率よく稼働するように日程を組む。しかしながら、その場合には、工程日程の移動や取り消しがあると、工程日程に穴が空いてしまう。
【0018】
本発明では、比較的日程の変更が多く、ある程度納期が迫らないと確定しないような性質の工程管理を効率よく行う。まず、現在に近い期間は受注がほぼ確定し、工程日程が変更になる率が低いので、工程負荷の上限を最適値に近くなるように設定する。一方、現在から遠い期間の工程日程は、納期の変更や受注キャンセル等による工程日程の減少を見込んで、最適値よりも工程負荷上限を十分大きく設定する。こうして、時間の経過とともに工程負荷が最適値に近付くように制御する。これにより、工程日程の割り込みや削除に対する工程管理表の更新の自動処理が容易になる。
【0019】
図1(a)のグラフの横軸は時間を日数を単位で表示し、縦軸は工程負荷をパーセントを単位にして表示している。時間軸には、今日現在から遡って3種類の期間を設定している。即ち,現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間(3日間)、第2の期間(1週間)、第3の期間(2週間)を設定している。そして、第1の期間の工程負荷上限が標準的な稼働状態で最適値に近いp1(例えば100)パーセントになるように設定して、前記受注品を生産するための工程日程を割りつける。第2の期間の工程負荷上限はp2(例えば200)パーセント、第3の期間の工程負荷上限はp3(例えば300)パーセントに設定する。
【0020】
即ち、後で説明するように、時間の経過とともに、変更やキャンセルが生じて、次第に、工程負荷が標準的な稼働状態で最適値に近いp1(例えば100)パーセントに近づいていく。それ以前は過負荷の状態にして、工程日程を組み易くする。後でさらに具体的に説明をするが、こうして、コンピュータを用いて画一的に、かつ、管理者に分かりやすい手順で工程管理表が自動生成される。
【0021】
一方、実際の工程管理には様々な例外処理がある。従って、上記の各期間の長さや工程負荷の最大値を常に一定に固定しておくと、不都合が生じる。管理者が、設定した条件を適宜変更することができれば、処理の軌道修正や最適化ができる。図1(b)に示す設定変更ウインドウ1は、工程管理用のコンピュータのディスプレイに表示されて、p1〜pnの工程負荷上限を、工程の進行状況を見ながら管理者が変更できるようにするためのものである。ウインドウ1には、日程入力部2と工程負荷入力部3が設けられている。このウインドウでは、今日から数えて何日間は、最大負荷率(工程負荷の上限)が何パーセントかを入力するようにしてある。
【0022】
この場合に、不適切な設定値の変更を防止するために、条件を満たす範囲で、各期間の工程負荷上限の設定値の入力を許容する制御が行われる。図の一番左側の期間が第1の期間で、その右側に向かって順に第2の期間、第3の期間を入力する。この期間については特に制限を設けないで差し支えない。一方、最大負荷率については、第1の期間は100パーセント以下、第2の期間は100〜200パーセント、第3の期間は200〜300パーセント以外の数値を入れるとエラー表示がされて再入力が要求される。このようなマンマシンインタフェースにより、コンピュータによる工程管理を円滑にできる。
【0023】
なお、標準的な稼働状態で最適値の工程負荷上限は約100パーセントである。故に、第1の期間の工程負荷上限p1の初期値をほぼ100パーセントに設定しておけば、管理者による設定の手間を省くことができる。また、管理者が意識しないでも、最適値の設定ができ、設定誤りを防止できる。さらに、各期間の工程負荷上限の初期値を全てほぼ100パーセントに設定しておくとよい。利用されるシステムによって、取り消しや変更の率が異なるから、システム毎に、第2の期間や第3の期間の工程負荷の上限を最適値に調整できるようにしておくとよい。
【0024】
以下、図2を用いて本発明が利用される具体的なシステムの説明をし、図3で工程日程割りつけの対象となる生産日程データの内容を説明し、図4で工程日程の具体的な割りつけ方法を説明し、図5で工程日程の変更方法を説明する。最後に上記設定変更ウインドウの制御動作と、本発明の利用方法を説明する。
【0025】
図2は、本発明の方法の実施に適するシステムのブロック図である。
この図のシステムは、木造建築用の木材のプレカット工場における生産管理を行うためのものである。このシステムには、受注管理システム11、生産日程管理システム12、出荷管理システム13、発注仕入れ管理システム14、在庫管理システム15、CADシステム16が含まれている。これらのシステムは、1台のコンピュータにより管理されてもよいし、それぞれ別々のコンピュータにより分散管理されていてもよい。この図では、本発明の説明に必要な生産日程管理システム12を管理するコンピュータ10のみを図示している。
【0026】
例えば、1棟の建物の受注があると、受注管理システム11からCADシステム16に対して受注情報が通知される。CADシステム16は、その受注情報に基づいて建築に必要な設計図面を生成し、必要な材料情報を在庫管理システム15に通知する。在庫管理システム15では、材料の在庫を確認して、不足材料情報を発注仕入れ管理システム14に通知する。発注仕入れ管理システム14は、必要な材料の発注と仕入れ管理を実行する。
【0027】
一方、受注管理システム11とCADシステム16から受注情報と設計情報を受け入れた生産日程管理システム12は、必要な木材のプレカット工程の工程日程割りつけ処理を実行する。生産日程管理システム12を管理するコンピュータは、記憶装置17とプリンタ18を備える。記憶装置17には,生産日程データ21と、工程日程割りつけ手段22と、工程負荷設定手段23とが記憶されている。
【0028】
工程日程割りつけ手段22は、後で説明するような工程日程を自動的に割りつけるコンピュータプログラムから成る。また、工程負荷設定手段23は、図1(b)を用いて説明したウインドウとこのウインドウを制御するコンピュータプログラムである。なお、図1(b)を用いて説明したウインドウは、例えば、図2のコンピュータ10の本体ディスプレイに表示される。また、プリンタ18は、工程日程割りつけ手段22により割りつけられて確定した工程日程を、プレカット工場の各工程に通知するために、作業指示書24を印刷するために設けられている。
【0029】
図3は、具体的な生産日程データの内容説明図で、(a)は生産日程ウインドウ、(b)は生産日程ウインドウの作業日部分をクリックしたときに表示される具体的な工程日程の内容を示すウインドウである。
図3の(a)に示すように、新たな受注があると受注番号が採番される。そして、その受注した建物の材料のプレカットに必要な工程が工程名の部分にリストアップされる。工程名の例として、図には柱材加工工程を示した。工程日程はこうした工程名ごとに割りつけられる。例えば、新築家屋の受注があった場合には、その家屋設計のためのCADデータが生成されて、そのCADデータから、家屋の建築に必要な柱の本数やサイズ等のデータが抽出される。さらに、柱のプレカット工程における標準加工時間が算出される。こうして、柱材加工の作業時間が求められる。
【0030】
柱のプレカットライン用に設けられた図示しない工程管理表にその工程日程を割りつける。柱材加工工程は、建て方日(以下納入日という)以前の所定の日に終了しなければならない。これを考慮して、作業日が決定される。そして、作業時間を考慮して、開始予定時刻と終了予定時刻とが決定される。このような工程日程の割りつけは次のようにして実行する。
【0031】
図4の(a)は、本発明による方法の実施のための工程管理用タイムチャートの概念図、(b)は工程管理表のウインドウを示す説明図である。
図の(a)は、木材加工工程管理用のタイムチャートで、横軸は時間軸である。[1]の第1の期間の時間軸は3日分の長さがあり、それぞれ1日分の長さの時間軸を3つつないで表している。第1の期間は今日から数えて3日分の期間である。図中の矢印は、この期間に割りつけられた工程日程である。矢印の長さは作業時間に対応する。この例では、工程負荷がほぼ100パーセントになっている。
【0032】
[2]の第2の期間の1日分の時間軸は、[1]の1日分の時間軸の2倍の長さになっている。これらは今日から数えて4日目、5日目・・・10日目の分である。この期間の工程負荷は最大200パーセントである。[3]の第3の期間の1日分の時間軸は、[1]の1日分の時間軸の3倍の長さになっている。これらは今日から数えて11日目以降分である。この期間の工程負荷は最大300パーセントである。これらの時間軸上のどこかに新たな受注品を生産するための工程日程を割りつける。この図のように時間軸を設定しておけば、各工程にかかる作業時間に比例した長さの矢印が配置できる場所を探して割りつけると、上記の工程負荷の上限を越えないように工程日程の割り付けが出来る。
【0033】
例えば、納期の短い工程日程は、いきなり第1の期間に割りつけられるものもある。納期が十分にある工程日程は、第3の期間かあるいは、それ以降のその他の期間に割りつけられるものもある。第1の期間から第3の期間まではこうして工程負荷の上限を設定しておくが、それ以外の期間は、工程負荷を設定しておかない。たとえ納期が短い受注があっても、第1の期間に割りつけが出来ない場合には、第2の期間に割りつけをする。第2の期間に割りつけが出来ない場合には、第3の期間に割りつけをする。
【0034】
上記のような手順により、コンピュータにより、工程管理表が生成される。図4(b)はその内容を示す。図の工程管理表のウインドウ33では、柱材加工工程の毎日の工程日程を時間帯ごとに表示している。時間帯A、B、C、Dは、1日を等分したものである。これらの時間帯に、それぞれ各工程日程「××××」が割りつけられている。各工程日程は実際にはまちまちな作業時間でよいが、説明の便宜上全ての工程日程がいずれも一定の長さの時間帯に順に割りつけられているものとする。ここで、もし、管理者がある工程日程の変更を指示したい場合には、図のカーソル34で該当する工程日程をクリックし、空いている時間帯にドラッグするとよい。即ち、このウインドウ33を用いて、既に割りつけられた工程日程を管理者が自由に移動させたり削除したりできる。
【0035】
図5は、工程日程変更処理の説明図である。
上記のように工程日程の変更があった場合に、コンピュータが自動的に工程日程の最適化を行う手順が必要になる。図は、様々なケースでの工程日程の変更方法を示す。変更の対象は第1〜第3のいずれの期間でもよい。まず、いずれかの期間に新たな工程日程N1を割り込ませる場合を考える。この工程日程N1の長さは作業時間に対応する。例えば図の(a)に示すように時間軸上にその長さの空きがあれば、そのまま工程日程N1を割り込ませる。これらの操作は、図4(b)を用いて説明した通り、ドラッグアンドドロップ処理により実行される。
【0036】
また、工程日程N2を移動させる場合でも、図の(a)に示すように時間軸上にその長さの空きがあれば、そのまま工程日程N2を割り込ませる。一方、図の(b)に示すように、時間軸上に空きがなくても、工程日程N3を割り込ませることができる。そのときは、その期間の工程負荷を設定値以下に保持しながら、新たな工程日程より納入日の遅い受注品を生産するための工程日程N4、N5、N6を、図の(b)に示すように、時間軸上で、現在から将来に向かって順に矢印のようにシフトさせる。即ち、工程負荷が設定値以下になるようにしながら、各工程日程を順送りするという規則を決めておく。
【0037】
次に、いずれかの工程日程が取り消しになることがある。その場合、図の(c)に示すように、取り消し対象の工程日程N7を削除する。そのとき、その期間に割りつけられた別の工程日程N8、N9、N10をいずれの方向にもシフトさせないようにする。これにより、工程日程の削除によって他の工程日程に与える影響を少なくできる。また、例えば図の(d)に示すように、新たに別の工程日程N11を割り込ませたときに、工程日程の各部に空きがあれば、工程日程N12だけ後ろにシフトすれば済み、全ての工程日程を後ろにシフトしなくて良いという効果がある。
【0038】
上記の(b)、(c)、(d)で説明したような処理は第2の期間や第3の期間で有効である。しかしながら、第1の期間については、こうしたコンピュータによる自動的な工程日程のシフトを禁止して、管理者が周辺の工程日程への影響を考慮しながら処理することが好ましい。既に図2で説明したような作業指示書24が発行されていて、現場が混乱するおそれがあるからである。
【0039】
また、時間の経過に伴って、第3の期間に属していた工程日程が第2の期間に属するようになり、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになる。第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになったとき、第1の期間に属するようになった部分の工程日程の工程負荷が、設定値p1(例えば100)パーセントを越えていることもある。この場合には、警告表示をして、管理者の調整を促す。適切な作業支指示書を発行することができないからである。
【0040】
例えば、この警告表示を、図2に示したコンピュータ10のディスプレイに表示する。またあるいは、合成音声による警告等を発するとよい。また、例えば各工程日程に優先度を示す情報が付加されていれば、優先度の高い工程日程を選択して、これらが第1の期間に属するように工程日程を決定するとよい。優先度の情報は予め適当な基準を決めて、数値で表しておけば、単純な数値比較で、工程日程の順送りができる。なお、このような優先度の情報は、図2に示した受注管理システム等のデータベース中に記録されていればよい。
【0041】
さらに、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになる以前にある程度の調整をしておくこともできる。即ち、第2の期間のうち、第1の期間に近い部分の工程日程の工程負荷を、p2よりもp1に近い値になるように工程日程を決定する。工程を日単位で管理している場合には、第2の期間の最終日やその前日等が第1の期間に近い日である。これにより、工程負荷をp2からp1に切り換える処理が容易になる。
【0042】
例えば、工程日程のキャンセルや移動があった時点で、 第2の期間以降の工程日程を検索して、各期間の工程負荷の分布が最適になるように各工程日程のシフトが行われる。例えば、第2の期間の中でも第1の期間に近い部分よりも 第3の期間に近い部分の負荷が大きくなるようにされる。
【0043】
図6は、図1の(b)で説明した工程負荷の設定変更ウインドウを制御するプログラムの具体的な動作フローチャートである。
図において、まず、各期間の工程負荷用の変数を定義する。第1の期間の工程負荷はp1、第2の期間の工程負荷はp2、第3の期間の工程負荷はp3に設定する。そして、表示された設定変更ウインドウ1に入力された各工程負荷の値を読み取って正否の判定をする。ステップS1では、p1が100以下かどうかを判定する。10以下なら設定を許容するが、100を越える場合には、ステップS5で警告音を発し、ステップS6でそのデータの入力拒絶処理を行う。ステップS3では、p2がp1以上かどうかを判定する。p1以上なら設定を許容するが、p1に満たない場合には、ステップS5で警告音を発し、ステップS6でそのデータの入力拒絶処理を行う。ステップS4では、p3がp2以上かどうかを判定する。p2以上なら設定を許容するが、p2に満たない場合には、ステップS5で警告音を発し、ステップS6でそのデータの入力拒絶処理を行う。以上のようにして、管理者による入力エラーを防止し、適正な工程負荷の設定を促す。
【0044】
本発明は、上記の実施例に限定されない、上記の例では第1〜第3の3つの期間を設けた。しかしながら、この期間をいくつもうけても構わない。n個の期間を設定し、前記第1の期間の工程負荷上限が標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定して受注品を生産するための工程日程を割りつけるとともに、残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントとしたとき、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすように設定して、受注品を生産するための工程日程を割りつければよい。
【0045】
なお、コンピュータにより生成された工程管理表は、受注品を生産するための工程日程を順次割りつけることができるような時間管理のできるデータが含まれていれば足り、その形式は自由である。工程日程というのは、例えば、受注品を生産するための加工時間やその他の処理時日のことである。ここでいう生産には、設計、製造、梱包等のあらゆる工程が含まれる。工程管理表中の現在から将来に向かう時間軸上で、第1の期間が最も現在に近く、第nの期間が最も現在から遠い。このnは2以上の任意の数値でよい。即ち、この期間は2以上の任意の数だけ設けることができる。また、第nの期間以降にその他の期間を設けてよい。その他の期間には工程負荷上限を設定しなくてよい。十分に納期的に余裕があり、変更の自由度が大きいからである。
【0046】
また、図2に示した工程日程割りつけ手段22や工程負荷設定手段23は、それぞれ別々のプログラムモジュールにより構成してもよいし、一体化したプログラムモジュールにより構成してもよい。また、これらの機能ブロックの全部または一部を論理回路によるハードウエアで構成しても構わない。また、各プログラムモジュールは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで動作させてもよいし、独立のプログラムとして動作させてもよい。
【0047】
この発明は、上記の処理を実行するコンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより実施できる。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、インストールして利用することができる。また、ネットワークを通じてコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【0048】
【発明の効果】
製品毎に各工程にかかる時間が統一されていない多品種受注生産のラインにおける工程管理では、工程の割り込みや削除による調整が非常に複雑になる。また、受注確定前に工程日程をほぼ決定しておかないと円滑な管理ができない業種では、変更の自由度の高い工程管理が必要になる。本発明は、複数の期間を定めてその工程負荷の上限を設定し、工程日程の割付手順を画一化したので、汎用性の高い、操作性のよいシステムの実現が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法を説明するためもので、(a)は工程負荷の上限と日程の関係を示すグラフ、(b)は工程負荷設定ウインドウの説明図である。
【図2】本発明の方法の実施に適するシステムのブロック図である。
【図3】具体的な生産日程データの内容説明図で、(a)は生産日程ウインドウ、(b)は生産日程ウインドウの作業日部分をクリックしたときに表示される具体的な工程日程の内容を示すウインドウである。
【図4】(a)は、本発明による方法の実施のための工程管理用タイムチャートの概念図、(b)は工程管理表のウインドウを示す説明図である。
【図5】工程日程変更処理の説明図である。
【図6】図1の(b)で説明した工程負荷の設定変更ウインドウを制御するプログラムの具体的な動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 設定変更ウインドウ
2 日程入力部
3 工程負荷入力部
Claims (10)
- 記憶装置に、受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶させ、
ディスプレイに、工程負荷の設定変更ウインドウを表示し、
現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、
前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、
残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、
前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、
p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、
p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理とをさせて、
前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつけて、工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成させることを特徴とする、
コンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 請求項1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、
前記各期間に含まれる各工程日程の間に新たな工程日程を割り込ませる場合には、その期間の工程負荷を設定値以下に保持しながら、前記新たな工程日程より納入日の遅い受注品を生産するための工程日程を、前記時間軸上で、現在から将来に向かって順にシフトさせる処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 請求項1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、
前記各期間に含まれるいずれかの工程日程を削除する場合には、その期間に割りつけられた別の工程日程をシフトさせない処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 請求項1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、
時間の経過に伴って、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになったとき、当該第1の期間に属するようになった部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が設定値p1を越えている場合には、前記ディスプレイに警告表示をする処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 請求項1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、
時間の経過に伴って、第2の期間に属していた工程日程が第1の期間に属するようになったとき、当該第1の期間に属するようになった部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が設定値p1を越えている場合には、優先度の高い工程日程を選択して、これらが第1の期間に属するように工程日程を決定する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 請求項1に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法において、
前記第2の期間のうち、前記第1の期間に近い部分の工程日程の工程負荷の上限に相当する最大負荷率を、p2よりもp1に近い値になるように工程日程を決定する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ方法。 - 受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶する記憶装置と、
工程負荷の設定変更ウインドウを表示するディスプレイと、
現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理とを実行する工程負荷設定手段と、
前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつけて、工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成する手段を備えたことを特徴とする、
コンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。 - 請求項7に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置において、
前記工程負荷設定手段は、前記第1の期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率p1の初期値をほぼ100パーセントに設定することを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。 - 請求項7に記載のコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置において、
前記工程負荷設定手段は、前記各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の初期値を全てほぼ100パーセントに設定することを特徴とするコンピュータによる工程日程の自動割りつけ装置。 - 記憶装置に、受注品を生産するためのn個の各工程の加工所要時間と処理時日を含むn個の工程日程データを記憶させ、
ディスプレイに、工程負荷の設定変更ウインドウを表示し、
現在から将来に向かう時間軸上に、順に、第1の期間、第2の期間、第3の期間...第nの期間というようにn個の期間を設定する処理と、
前記第1の期間の工程負荷の上限に相当する最大負荷率が、標準的な稼働状態で最適値に近いp1パーセントになるように設定する処理と、
残りの第2の期間、第3の期間...第nの期間の各工程負荷上限に相当する最大負荷率をそれぞれ、p2、p3..pnパーセントと設定する処理と、
前記設定変更ウィンドウに入力された各期間の工程負荷上限に相当する最大負荷率の値を読み取る処理と、
p1<p2<p3<..<pnという条件を満たすときは、入力された各工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の設定を許容する処理と、
p1<p2<p3<..<pnという条件を満たさないときは、工程負荷上限に相当する最大負荷率の値の入力を拒絶して再入力を要求する処理と、
前記時間軸上の各期間に、前記工程日程データに含まれた加工所要時間に対応する長さを有する工程日程を順次割りつける処理と、
工程日程を時間帯ごとに表示した、工程管理表のウインドウを生成させる処理とを、
コンピュータに実行させる、コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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