JP3710852B2 - カバーの防滴合わせ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯用無線機等の各種携帯用機器に係り、特に優れた防滴性を有するカバーの防滴合わせ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、携帯無線、携帯電話等の所謂、ハンディターミナルが広く利用されている。このようなハンディターミナルは屋外で使用することが多く、雨等から機器を保護するため防滴構造となっている。
【0003】
図5(a)は従来のハンディターミナルの防滴構造を説明する図である。先ず、同図(a)において、1はハンディターミナルの筐体の外縁を示し、外縁1の先端はL字形の断面形状であり、この部分に断面が□形状の弾性体(例えば、ゴム)2を貼着し、外縁1に沿って弾性体2を取り付けている。また、3は上記筐体の一部又は全体をカバーする蓋体(カバー)の外縁先端部を示し、上記筐体の外縁1に当接する部分は突形状である。すなわち、従来のハンディターミナルの防滴構造は、上面が平らな弾性体2に対し、先端が突形状のカバーを接合押圧し弾性体2をカバーの先端部3で押しつぶし外部からの水の侵入を防ぐ構造である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のカバーの防滴合わせ構造ではカバーの先端部3で弾性体2を押しつぶして水の侵入を防ぐ為、確実に水の侵入を防ぐためには正確にカバーの先端部3の突形状を成形する必要がある。
【0005】
しかしながら、カバーは通常ABS等の樹脂で形成されており、突形状を正確に成形することは困難である。この為、図5(b)に示すようにカバーの先端部3の突形状が充分形成できず、雨水等の侵入の原因となる。また、カバーの“そり”や“ねじれ”の為、カバーの先端部3と弾性体2が充分圧接できず、上述と同様雨水等の侵入の原因となっている。
【0006】
また、上記筐体にカバーを取り付けた後、ネジでカバーを固定するが、従来のカバーの防滴合わせ構造では上述のように防滴機能が不充分である為、多くのネジを使用する必要があった。
【0007】
本発明の課題は、ハンディターミナルにおいて少ないネジの使用でも雨水等の侵入を確実に防止できるカバーの防滴合わせ構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成する為、筐体に対し、該筐体をカバーするカバーの防滴合わせ構造において、前記筐体の外縁の先端に沿って設けられ、前記外縁に沿って延びる溝部を有する弾性体と、前記カバーの外縁の先端に沿って設けられ、前記弾性体の前記溝部と複数箇所で当接する凸部とを備え、前記溝部はコの字状の断面形状を有し、前記凸部は、その根本部分の幅が前記溝部の幅よりも広く、かつ、高さが前記溝部の深さよりも高い、楔状の断面形状を有し、前記楔状の凸部の両斜面と前記コの字状の溝部の両肩部とが当接することによる2つの圧接点と、前記楔状の凸部の先端と前記コの字状の溝部の底面とが当接することによる1つの圧接点とからなる3箇所の圧接点を有するカバーの防滴合わせ構造を提供するものである。また、上記筐体はカバーであっても同様に構成できる。
【0011】
記のように構成することで、筐体の外縁の先端に沿って設けられた弾性体の「コの字状の溝部」カバーの外縁の先端に沿って設けられた「楔状の凸部」とが少なくても3箇所で当接し、たとえ3箇所の当接部の中の1箇所が充分当接しなくても、他の2箇所が水の侵入を阻止し、ハンディターミナルの内部回路及び内部機構を確実に保護することができる。
【0012】
さらに、前記弾性体の内側に、例えば該弾性体よりも高い壁部を形成した構成としてもよく、この壁部は前記弾性体と一体または別体で形成する構成としてもよい。
【0013】
このように構成することで、たとえ筐体とカバーの接合部に水が溜まった場合でもハンディターミナルへの水の侵入を防止できる。得に、メンテナンス等のためカバーを開けた時、筐体の内壁が高い構成となり、ハンディターミナルへの水の侵入を確実に防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明を適用した実施形態について図面を用いて以下に説明する。
図1は、一実施形態のカバーの防滴合わせ構造の構成図である。同図において、4は携帯無線機等のハンディターミナルの筐体の一部であり、筐体の外縁の先端部の断面形状である。したがって、同図に示す断面形状の先端部4がハンディターミナルの、例えば全周に亘って形成されている。また、筐体及びその先端部はABSで形成されている。
【0020】
また、先端部4には弾性体としてエラストマ(ゴム)5が形成されている。このエラストマ5の形成は二重成形処理によって形成する。この二重成形処理は、例えば第1の成形工程でエラストマ5が形成される前の先端部4を有する筐体を形成し、第2の成形工程でエラストマ5を注入し、筐体に熱着する。このようにして形成されたエラストマ5は断面形状が“コ”の字状の溝6を有する。
【0021】
一方、7はカバーの外縁の先端部の断面形状を示し、カバーの先端部7には先端の尖った先尖部8が形成されている。この先尖部8は、カバーをハンディターミナルに設置すると、上記筐体の溝6に嵌入する構造である。また、この先尖部8を含めて先端部7(カバー)はABSで形成されている。
【0022】
ここで、上記構成の筐体にカバーを取り付けると、同図(a)の断面構成となる。すなわち、カバーの先端部7の先尖部8が筐体の外縁に沿って設けられたエラストマ5の溝6に係合し、同図(a)に示すように先尖部8とエラストマ5は3箇所で圧接する。すなわち、エラストマ5の両端部5a、5bと先尖部8の側面が圧接し(小さな○印で示す圧接点a,b)、エラストマ5の溝6の底面5cと先尖部8の先端が圧接し(小さな○印で示す圧接点c)、それぞれの圧接点a〜cでエラストマ5が潰された状態に変形する。
【0023】
したがって、ハンディターミナルの筐体とカバーの接合部には3箇所の圧接点a〜c形成され、外部から侵入する雨水等の水滴10は3箇所の圧接点a〜cによって完全に遮断される。例えば、圧接点aを浸透して水が隙間11に侵入しても、次の圧接点bによって水の侵入を阻止できる。
【0024】
また、長期の使用によってカバー等に“そり”や“変形”を生じ、または先尖部8の先端の尖った形状が充分形成できない為、同図(b)に示すように圧接点cが充分形成できない場合でも、圧接点a、bは形成されており、雨水等の水滴10は2箇所の圧接点a、bによって完全に遮断できる。さらに、たとえ圧接点aを浸透して水が隙間12に侵入しても、圧接点bによってハンディターミナルへの水の侵入を阻止できる。
【0025】
以上のように上記実施形態によれば、ハンディターミナルへの水の侵入を完全に防止でき、従ってカバーのネジ止めの箇所も少なくすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0026】
図2は本発明の第2の実施形態のカバーの防滴合わせ構造の断面図である。この実施形態は、前述の実施形態で説明した図4(a)の構成と基本的に同じであるが、前述のエラストマ5の内側(具体的にはエラストマ5の右側)に、エラストマ5よりも高い壁13を形成した点が前述の実施形態と異なる。尚、本実施形態の説明上、対応する部材には同一番号を記して説明する。
【0027】
本実施形態においても、前述の実施形態と同様、カバーの先尖部8をエラストマ5の溝6に係合すると、先尖部8とエラストマ5は3箇所で圧接し、圧接点a〜cを形成し、外部から侵入する雨水等の水滴10を3箇所で圧接点a〜cによって完全に遮断する。
【0028】
また、上述のように構成することで、たとえ同図に示す隙間11、12に水が溜まった場合でもハンディターミナルへの水の侵入を防止できる。すなわち、メンテナンス等のためカバーを開けた時でも壁13(内壁)が高く形成されているので、隙間11、12に溜まった水は外部に流れ落ち、ハンディターミナル内に侵入することがなく、ハンディターミナルへの水の侵入を確実に防止できる。
【0029】
尚、この壁13はABSで構成してもよく、またはエラストマで構成してもよい。エラストマで構成する場合には、上記エラストマ5と同時に一体形成する。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0030】
図3(a)は本発明の第3の実施形態のカバーの防滴合わせ構造の断面図である。同図(a)において、14は携帯無線機等のハンディターミナルの筐体の一部であり、筐体の外縁の先端部の断面形状である。同図に示す断面形状の先端部14がハンディターミナルの全周に亘って形成されている。
【0031】
また、先端部14には弾性体としてエラストマ15が設けられ、このエラストマ15の配設は二重成形処理に形成されている。また、このエラストマ15にはその側面に平面部15′が形成されている。尚、先端部14はABSで構成されている。
【0032】
一方、カバーの先端部17には平面部17′が形成され、この平面部17′はエラストマ15に形成された平面部15′と圧接する構成である。尚、この先端部17もABSで構成されている。
【0033】
ここで、上記構成の筐体にカバーを取り付けると、同図(a)の断面構成となる。すなわち、カバーの先端部17の平面部17′が筐体の外縁に沿って設けられたエラストマ15に形成された平面部15′に圧接し、圧接面dにおいて先端部17とエラストマ15は密接する。この為、外部から侵入する雨水等の水滴10は圧接面dによって完全に遮断され、ハンディターミナルへの水の侵入を阻止する。
【0034】
尚、長期の使用によってカバー等に“そり”や“変形”が生じても、筐体とカバーの圧接面dは広く、ハンディターミナルへの水の侵入を完全に防止できる。
また、本実施形態においても、ハンディターミナルへの水の侵入を完全に防止できるので、カバーのネジ止めの箇所を少なくすることができる。
【0035】
また、同図(b)に示すように、筐体の内側に所定の高さの壁18を形成する構成としてもよく、このように構成することで、同図(b)に示す隙間19に万一水が侵入した場合でもハンディターミナルへの水の侵入を防止できる。すなわち、カバーを開けた時でも筐体の内側に壁18が形成されているので、隙間19に溜まった水は外部に流れ落ち、ハンディターミナル内に侵入することがない。
【0036】
さらに、図4に示すようにエラストマ15の側面の長手方向に沿って溝20を設けることにより、たとえ水が圧接面に侵入してもこの溝に侵入した水が溜まり、ハンディターミナル側に水が侵入することを阻止することができる。尚、上記溝20は1本に限らず、2本、3本、・・・設けてもよく、更に確実にハンディターミナルへの水の侵入を防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、筐体の外縁の先端に沿って設けられた弾性体とカバーの外縁の先端に沿って設けられた先端部とが複数の箇所で当接するので、ハンディターミナルへの水の侵入を確実に防止できる。
【0038】
また、筐体の内壁を高く構成することで、カバーを開いた場合でもハンディターミナルへの水の侵入を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のカバーの防滴合わせ構造の構成図である。
【図2】第2の実施形態のカバーの防滴合わせ構造の断面図である。
【図3】第3の実施形態のカバーの防滴合わせ構造の断面図である。
【図4】エラストマに溝を設けたカバーの防滴合わせ構造の断面図である。
【図5】従来のハンディターミナルの防滴構造を説明する図である。
【符号の説明】
4、5、14 先端部
5、15 エラストマ
5a、5b 両端部
5c 底面
6 溝
8 先尖部
10 水滴
11、12 隙間
15′、17′ 平面部
13、18 壁
20 溝

Claims (4)

  1. 筐体に対し、該筐体をカバーするカバーの防滴合わせ構造において、
    前記筐体の外縁の先端に沿って設けられ、前記外縁に沿って延びる溝部を有する弾性体と、
    前記カバーの外縁の先端に沿って設けられ、前記弾性体の前記溝部と複数箇所で当接する凸部とを備え、
    前記溝部はコの字状の断面形状を有し、
    前記凸部は、その根本部分の幅が前記溝部の幅よりも広く、かつ、高さが前記溝部の深さよりも高い、楔状の断面形状を有し、
    前記楔状の凸部の両斜面と前記コの字状の溝部の両肩部とが当接することによる2つの圧接点と、前記楔状の凸部の先端と前記コの字状の溝部の底面とが当接することによる1つの圧接点とからなる3箇所の圧接点を有することを特徴とするカバーの防滴合わせ構造。
  2. 第1のカバーと第2のカバーを係合するカバーの防滴合わせ構造において、
    前記第1のカバーの外縁の先端に沿って設けられ、前記外縁に沿って延びる溝部を有する弾性体と、
    前記第2のカバーの外縁の先端に沿って設けられ、前記弾性体の前記溝部と複数箇所で当接する凸部とを備え、
    前記溝部はコの字状の断面形状を有し、
    前記凸部は、その根本部分の幅が前記溝部の幅よりも広く、かつ、高さが前記溝部の深さよりも高い、楔状の断面形状を有し、
    前記楔状の凸部の両斜面と前記コの字状の溝部の両肩部とが当接することによる2つの圧接点と、前記楔状の凸部の先端と前記コの字状の溝部の底面とが当接することによる1つの圧接点とからなる3箇所の圧接点を有することを特徴とするカバーの防滴合わせ構造。
  3. 前記弾性体の内側には、該弾性体よりも高い壁部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のカバーの防滴合わせ構造。
  4. 前記壁部は、前記弾性体と一体で形成されていることを特徴とする請求項3記載のカバーの防滴合わせ構造。
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