JP3710741B2 - 回路形成基板製造用クッション材およびその製造方法 - Google Patents

回路形成基板製造用クッション材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路形成基板製造用クッション材およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化・高密度化に伴って、電子部品を搭載する回路形成基板も従来の片面基板から両面、多層基板の採用が進み、より多くの回路を基板上に集積可能な高密度回路形成基板の開発が行われている。
【0003】
高密度回路形成基板においては、従来の回路形成基板に比較して回路の設計ルールは微細なものとなり、より微細な回路を形成する加工技術や多層板においては層間の回路またはスルホールおよびビアホールの位置合わせ技術さらには微細な接続ピッチで層間を接続する層間接続技術の開発が続けられている。
【0004】
また、電気信号として用いる周波数帯域が高くなるにつれて、基板状の回路の加工精度とともに層間絶縁層の厚みコントロールも重要な要素技術となってきている。
【0005】
通常の回路形成基板の製造においてはガラス繊維やアラミド繊維を織布または不織布に加工し熱硬化性樹脂を含浸してBステージ化したプリプレグを2枚の銅箔の間に挟み込み、さらにその上下を金属板で挟み込んだ積層構成物を、熱プレス装置にて加圧加熱して一体成型する熱プレス工程の後に銅箔をエッチングにて所望のパターン形状に加工して回路形成基板を得る工法が用いられる。
【0006】
図7は従来の回路形成基板製造用クッション材における熱プレス装置の例を示す断面図である。基板材料4は上記したプリプレグを2枚の銅箔の間に挟み込んだものであり、プリプレグの厚みは約150μmであり、銅箔の厚みは約18μmである。基板材料4はステンレス板を平滑に研磨した中間金属板3に挟み込まれて配置される。以上の構成を積層構成物と呼ぶ。その上下にクッション材1が配置され積載プレート6上に積載されている。
【0007】
さらに図7中に示すように、積層構成物を積載した積載プレートは熱プレス装置の熱盤7と加圧手段8の間に挿入される。熱盤7は基板材料4を加熱するためのもので、内部に熱媒体または冷却媒体として温度コントロールされた油または蒸気または冷却水等を導入し、その温度および流量によって基板材料4を所望の温度プロファイルで加熱、冷却する。加圧手段8は基板材料4を加圧するためのもので、通常は油圧シリンダが用いられ、下側にシリンダ(図示せず)が配置され、シリンダの作用により下側の熱盤7および積載プレート6が上方に持ち上げられ、上側の固定端となっている加圧手段8に押しつけられる構造となっている。
【0008】
加熱・加圧の条件は、基板材料4に用いる材料にもよるが、通常150〜200℃をピーク温度とする加熱と、1.5〜4MPa程度の加圧が熱プレス工程で行われ、基板材料4中のプリプレグが成型および硬化し銅箔と一体化する。
【0009】
熱プレス工程が終了した基板材料4は熱プレス装置から取り出され、ドリル加工等による穴加工工程または穴内に銅めっきを施すスルホール形成工程や銅箔を所望のパターン形状にエッチングするパターン形成工程等を経て回路形成基板となる。
【0010】
また、中間金属板3やクッション材1、積載プレート6等の間接材料は、それぞれの耐用回数に達するまでは次回以降の熱プレス工程にも繰り返し使用される。
熱プレス工程における工程コントロール要素として均一な圧力で基板材料4を加圧するということが重要である。特に、近年の高周波対応回路形成基板の製造においては回路形成基板としての厚み精度が重要であり、圧力の均一性を確保することが高品質な回路形成基板を製造するために必須となっている。
【0011】
圧力の均一性を確保するためには、上下の加圧手段8や熱盤7の平行度や中間金属板3の板厚ばらつきも注意が必要であるが、クッション材1の作用が非常に重要である。クッション材1は従来よりクラフト紙等の比較的厚みのある紙やシリコンゴムまたはフッ素ゴムなどの弾力性を持つゴムシート状材料が用いられてきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年の高密度回路形成基板の製造については、その製造プロセスが非常に精度の要求される困難度の高いものとなる場合が多くなってきており、高品質な回路形成基板を低コストで製造する上での課題となっている。上記した熱プレス工程においても高精度なプロセスを再現性良く実施することが非常に重要な課題である。また、中間金属板3やクッション材1、積載プレート6等の間接材料の耐用回数は製造コストに直接影響するために、その改善が強く要望されている。従来の回路形成基板の製造において、紙をクッション材に用いた場合には耐久性の問題から熱プレス工程1回毎に取り替える必要があり、上記したような複数回の使用が出来ないという問題があった。また、ゴムシート状材料の使用においても圧力の均一性を確保するには、数十回の使用で交換の必要があった。さらに、複数回使用した場合に熱盤7、または中間金属板3、積載プレート6に密着してしまい、積層構成物の取り出し等の際にクッション材1の取り外しが困難になる場合があった。また、近年においては高耐熱用基板の開発が盛んになり、熱プレス工程の条件においても200℃以上の高温プレスが要求される。また、本発明の実施の形態でも説明するが回路形成基板の層間接続手段に導電ペースト等の加圧により電気的接続を発現するようなものを用いた場合には、加圧力を従来の回路形成基板の製造時よりも高める必要がある等の、クッション材の耐久性が特に課題となるような製造条件が必要となってきている。
【0013】
さらに、近年の携帯電子機器に使用する高密度回路形成基板等では、回路のインピーダンスを所望の値に制御したり、薄型の電子機器に使用するために板厚のばらつき許容スペックが厳しいものとなっており、上記したようなクッション材の性能すなわちクッション性、厚みばらつきによって回路形成基板の板厚がばらつくことは回路形成基板の品質としては不十分なものとなってしまう。
【0014】
本発明は前記従来の問題を解決するため、クッション材の性能を長期にわたって維持し、高品質な回路形成基板を製造する製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の回路形成基板製造用クッション材は、回路基板用熱プレスに用いるクッション材であって、補強層と弾性層とが1層以上積層された内部層と、前記内部層の片面または両面に離型性を備えた表面層と、前記内部層と前記表面層の間に熱硬化性樹脂からなる遮断層を備え、前記補強層と前記表面層は耐熱性繊維を主体とする織布または不織布であり、
前記内部層と前記表面層は前記遮断層を介して一体化されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明の回路形成基板製造用クッション材の製造方法は、耐熱性繊維を主体とする織布または不織布からなる補強層と弾性層とを1層以上積層し内部層を形成する工程と、前記内部層の片面または両面に熱硬化性樹脂を塗布し遮断層を形成する工程と、前記遮断層に耐熱性繊維を主体とする織布または不織布からなる表面層を配置し、270℃以上で加熱して前記内部層と前記表面層を前記遮断層を介して一体化する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、クッション材に必要とされるクッション性、耐久性、熱盤等との離型性等の要件を内部層、遮断層、表面層それぞれの働きにより実現され、従来のクッション材に対して耐用回数が延長でき、製造コストの低減が図れるとともに、板厚の均一性等の点からも高品質な回路形成基板製造用クッション材を提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、弾性層または弾性層と補強層の複合体からなる内部層と、内部層の両面または片面に形成された表面層と内部層と表面層の間に設けられた遮断層を備えることを特徴とする回路形成基板製造用クッション材としたものであり、内部層の弾性により熱プレス工程における均圧性を実現するとともに、表面層の作用によりクッション材がその上下に配置される熱盤、金属板等と密着して剥離しにくくなることを防止し、さらに遮断層の働きにより多数回の熱プレス工程での使用においても弾性層が表面層側もしくは、その外側にはみ出す現象を防止し、クッション材の耐用回数を大きく改善できる。
【0019】
本発明においては、前記内部層が、弾性層と補強層の複合体で形成されていることが好ましい。また、前記表面層が、前記内部層の両面に形成されていることが好ましい。また、弾性層が耐熱性合成ゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴムから選ばれる少なくとも一つのゴムを主体とすることが好ましい。耐久性に優れるとともに高温時においてもクッション性を発揮できるからである。ここで「主体」とは、50重量%以上を含むことをいう。また、弾性層がシリコーンゴムを主体としたときは、耐久性、高温時クッション性、耐薬品、溶剤性に優れる。
【0020】
また、補強層が耐熱性繊維を主体とする織布または不織布であることが好ましい。クッション材の柔軟性を保ちながら機械的強度が得られるからである。
【0021】
また、表面層が耐熱性繊維を主体とする織布または不織布であることが好ましい。クッション材の柔軟性、クッション性を保ちながら、熱盤や金属板との離型性が得られるとともに内部層との膨張係数、加圧時の変形量等の整合性がとり易く、熱プレス工程において均一な圧力分布が得られるからである。
【0022】
また、耐熱性繊維はアラミド繊維であることが好ましい。耐熱性、耐久性および離型性等に優れる補強層または表面層が得られる。
【0023】
また、織布または不織布の厚みが0.05mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。表面層の耐久性と柔軟性、非圧縮性および熱伝導性が得られるからである。
【0024】
また、織布の番手は、綿番手で10番手以上90番手以下が好ましい。表面層の厚みを制限しながら、強度と耐久性が得られるからである。
【0025】
また、遮断層が熱硬化性樹脂からなることが好ましい。耐熱性に優れるとともに遮断層の形成と内部層と表面層の接着が同時にできるからである。
【0026】
また、遮断層の厚みは2μm以上100μm以下の範囲が好ましい。遮断層の内部層のはみ出しを防止する作用と、クッション材としての柔軟性が得られるからである。
【0027】
次に本発明方法においては、内部層形成工程として2層以上の弾性層の間に補強層を積層体として積層する工程と前記積層体を一体化する一体化工程を備えたことが好ましい。内部層の耐久性が増し、クッション材の耐用回数が増加するからである。
【0028】
また、表面層を設ける前に内部層の表面を研磨することが好ましい。クッション材の仕上がり厚み精度が向上し、熱プレス工程において均圧性が得られる。
【0029】
また、表面層を設けた後に熱処理を行うことが好ましい。弾性層の耐久性が増し、クッション材の耐用回数が増加するからである。
【0030】
また、熱処理温度は270℃以上であることが好ましい。弾性中の残留した水分や化学物質等の加硫分解生成物、加硫未反応物が排出され、また原子分子結合がより強固になり、弾性層の耐久性が増す等の作用を有する。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における回路形成基板製造用クッション材の使用状態の一例における熱プレス装置を示す工程断面図である。
【0033】
図1に示すように積層構成物として3枚の中間金属板3に挟持された2枚の基板材料4が下金属板5上に配置され、さらにクッション材1を介して積載プレート6に積載されている。
【0034】
基板材料4は、約130μmの厚みのガラス繊維織布を用いたプリプレグを2枚の銅箔で挟み込んだもので、中間金属板3は約1mm厚のステンレス板であり、下金属板5は約2mm厚みのステンレス板である。積載プレート6は約5mm厚みの鋼板を図示するように凹型に折り曲げたものである。積層構成物の上下には熱盤7および加圧手段8が上下1対ずつ配置されている。
【0035】
さらに、クッション材1および上金属板2が積層構成物の上方に配置されているが、それらは上側の熱盤7に保持機構9によって保持されている。
【0036】
本実施におけるクッション材1の断面について図2に示す。内部層20として補強材13を2層持つフッ素ゴム12を用いている。フッ素ゴムとしては公知のものが使用でき、加硫剤や充填剤、その他必要に応じて各種配合剤を添加することは任意である。好ましくは、圧縮永久歪み性に優れる2元系ポリオール加硫系統のフッ素ゴムを用いる。補強材13には耐熱性フィルムや繊維等の種々の材料を使用することが出来るが、本実施の形態では繊維による織布もしくは不織布を用いた構成とした。補強材13に用いる繊維は、耐熱性繊維からなるものであれば公知のものを用いることができるが、好適な例として、芳香族ポリアミド繊維(アラミド)、芳香族ポリエステル繊維、炭素繊維、フェノール樹脂繊維、フッ素樹脂繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、金属繊維等からなる織布または不織布である。
【0037】
そして、クッション材1の表面には離型性を備えた表面層として表面織布10を配置した。クッション材の表面層として設ける表面織布は、前記の耐熱性繊維からなるものを用いることができるが、さらに表面層として熱盤からの熱伝導を妨げない必要があるので、その織布の厚さは0.5mm以下が望ましい。また、その下限は0.05mmで、それ以下では強度不足になり、プレスの繰り返しで繊維が切断されるおそれがある。より好ましい範囲は0.1〜0.2mmである。
【0038】
また、本発明の表面層として使用するのは、10番手〜90番手(綿番手)の繊維を織布とすることが望ましい。10番手未満では繊維が太く、表面織布層が厚くなってしまい、90番手を超えると強度不足から、プレスの繰り返しで繊維が切断されるおそれがある、更に好ましくは60〜80番手の繊維を使用する。
【0039】
表面織布として用いられる織布は、平織り、綾織、多重織、朱子織等、公知の織り方のものが区別なく使用できる。
【0040】
表面層としては上述の織布を用いる方法の他に、耐熱繊維を用いた不織布または耐熱性フィルム等の使用も用途に応じて好ましい例として可能であるが、離型性およびクッション性、柔軟性に最も優れる耐熱性繊維による織布を用いることが最も好ましい。
【0041】
クッション材の構成としては、フッ素ゴムによる内部層と接する表面層としての織布は、未加硫ゴムによる内部層と重ね合わせて加硫することにより両者を直接一体化することも可能であるが、本実施の形態では、内部層と表面層の間に遮断層を設ける。表面層としての織布と内部層としてのフッ素ゴムを直接一体化すると、熱プレス工程にて複数回使用するうちに繊維の網目にゴムが入り込み表面の離型性が損なわれる。また、製造時には問題がなくても、熱プレス工程時の温度は180℃以上になり、プレス中にゴムが軟化し、表面の織布の網目から下層のフッ素ゴムが、クッション材表面にはみ出してしまう場合がある。この問題は、表面織布層が薄い場合はより顕著に発生する。表面織布からはみ出たフッ素ゴムは、熱盤や中間金属板と密着してクッション材の離型性を低下させる。本発明では、表面の織布とフッ素ゴム間に遮断層を設けることにより、表面の織布の網目からのフッ素ゴムのはみ出しを防止し、またフッ素ゴムがはみ出しても遮断層によりゴムが熱盤や中間金属板と接することがなく、表面の織布の離型性を長期間保つことが可能となる。
【0042】
遮断層として用いられるものは、耐熱性を有し、表面の織布の網目を塞ぐものであれば金属または有機材料の薄膜、板等いずれでも使用できるが、熱硬化性樹脂を用いることで好ましい結果を得た。熱硬化性樹脂を用いる場合は、具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等である。
【0043】
遮断層の厚みは、クッション性を損なうものであってはならないので100μm以下、好ましくは、2〜20μmである。
【0044】
本発明の実施形態でのクッション材においては、表面の織布を設けた後、270℃以上好ましくは280℃以上で加熱処理を行う。通常、フッ素ゴムの二次加硫は260℃以上では行われないが、前記高温加熱処理により、フッ素ゴム中の残留した水分や化学物質等の加硫分解生成物、加硫未反応物が排出され、また原子分子結合がより強固になり、ゴムが安定化し、使用可能なプレス回数が増加する。
【0045】
本発明の実施形態における具体的なクッション材の製造法の一例を以下に記述する。まず、原料ゴムとしてフッ素ゴム商品名フローレルFC−2176(住友3M(株)製)に加硫剤、加硫促進剤、充填剤等を混練りして、ゴムコンパウンドを調製する。
【0046】
次に、補強層としての織布としてアラミド(芳香族ポリアミド)繊維からなる商品名コーネックス(帝人(株)製))を用意し、前記ゴムコンパウンドを織布の両面に糊引きする。同様に織布に糊引きしたものを作成し、2枚を貼り合わせ、圧力0.5MPa、温度160℃で5時間加圧加硫し内部層としてのシート状積層物を得た。冷却後、砥石を用いて内部層のフッ素ゴム表面を研磨した。このときの表面粗さは、Ra2μm、Rz10μmであった。
【0047】
次に、遮断層としてメチルエチルケトン(MEK)に溶解したフェノール樹脂を前記内部層の両面にロールコータを用いて塗布し、表面層に用いる織布として、80番手の繊維を使用した厚さ0.14mmの商品名コーネックス(帝人(株)製))を貼り合わせた後に、オーブンにて280℃で2時間加熱して、本発明に係るクッション材を得た。
【0048】
基板材料4としては図3に断面を示すような構成を用いた。プリプレグ15は、ガラス繊維織布にエポキシ樹脂ワニスを含浸し、乾燥工程によりBステージ化した約130μmの厚みのプリプレグを用い、その両面に約18μm厚みの銅箔14を2枚配置した。プリプレグ15にはドリル加工またはレーザ加工により直径約200μmの貫通穴が形成され、銅粉と熱硬化性樹脂を主体とする銅ペースト16が充填されている。
【0049】
また、上記の構成に代えて図4に示すような内層基板17をコア基板として用いる構成も採用可能である。内層基板17の表面には金属配線21が備えられている。
【0050】
上述したような構成のクッション材および基板材料および熱プレス工程を用いて、回路形成基板を製造した結果を以下に説明する。
【0051】
熱プレス工程にて図3に示すような基板材料を処理した後に、表面の銅箔14を所望のパターンにエッチング法にてパターンニングして図5に示すような両面回路形成基板を得た。プリプレグ15にはアラミド繊維不織布と高耐熱エポキシ樹脂を用いたプリプレグを使用し、銅ペーストによる両面間の接続を得るために、200℃の温度と5MPaの圧力で1時間保持する熱プレス条件を採用した。図5に断面図を示す両面回路形成基板において、図中に三組示している表及び裏面の銅箔パターンを銅ペースト16にて接続したチェーンパターンの各回路ブロックの抵抗値として、矢印で示した電気抵抗測定ランド間の電気抵抗を測定して評価結果とした。図5には4カ所の層間接続部が各ブロックに図示されているが、実際に作成した回路形成基板では500カ所の直列接続を1ブロックとし、1枚の回路形成基板には50ブロックの上記回路ブロックを配置した。
【0052】
種々のクッション材1を用いて多数回の熱プレス工程を実施し、上記両面回路形成基板を製作して、2枚の両面回路形成基板の計100ブロックの電気抵抗を測定評価した結果を平均値と最大最小値のプロットとして図6に示す。
【0053】
まず、クラフト紙をクッション材として用いた場合では、2回目の熱プレス以降で回路ブロックの抵抗値が不安定となったので、図示していない。
【0054】
図2のクッション材構成から遮断層11を省略したものを用いた実験結果は図6中Cで示される。遮断層11が無いために、10回前後の熱プレス工程使用において、クッション材1表面の織布の隙間にフッ素ゴム12がはみ出して熱プレス工程における加圧力に面内でのばらつきを生じて、各回路ブロックの抵抗値もばらつきを示し、100回を越えると大きく抵抗値は変化し、使用できない状態となった。さらに、はみ出したフッ素ゴム12によってクッション材1は上下の熱盤または上下金属板に密着してしまい、熱プレス工程後の積層構成物の解体作業が困難なものとなった。
【0055】
次に、図2の構成のクッション材1を用いた実験を図6中Bで示すが、約100回までは問題なく使用でき耐用回数延長の効果が得られた。しかし、200回以降はフッ素ゴム12の耐久性が限界に達し、熱プレス工程での加圧力にむらが生じて、抵抗値のばらつきを生じてしまった。
【0056】
次に、図2の構成のクッション材1を熱プレス工程で使用する前に280℃で2時間熱処理したクッション材1を用いた実験では、図6中Aで示すように約800回の耐用回数が得られた。
【0057】
以上に説明したように、本発明の形態の効果として比較的条件の厳しい熱プレス工程においてもクッション材の耐用回数を延長することが出来るとともに、層間接続抵抗値の安定化等の効果を確認できた。なお、上記した結果で導電性ペーストによる層間接続抵抗が安定している結果から、基板材料の圧縮についても均一な結果が得られていると推測できるが、完成した回路形成基板の板厚測定結果においても、表裏の銅箔を含んで約150μmで面内のばらつきが約5μmと十分に安定した測定値が得られた。
【0058】
本発明の形態で説明した、クッション材の内部層に用いる補強材としては、織布と不織布を混成した材料、たとえば2枚のガラス繊維の間にガラス繊維不織布を挟み込んだような材料を補強材として用いることも可能である。
【0059】
また、本発明の実施の形態で熱硬化性樹脂と記述した部分の熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ系樹脂、エポキシ・メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂、シアン酸エステル系樹脂、ナフタレン系樹脂、ユリア系樹脂、アミノ系樹脂、アルキド系樹脂、ケイ素系樹脂、フラン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、シアネートエステル系樹脂等の単独、または2種以上混合した熱硬化性樹脂組成物または熱可塑樹脂で変性された熱硬化性樹脂組成物を用いることができ、必要に応じて難燃剤や無機充填剤の添加も可能である。
【0060】
また、銅箔の代わりに支持体に仮止めされた金属箔等からなる回路を用いることもできる。
【0061】
また、層間接続手段として導電性ペーストを用いて説明したが、導電性ペーストとしては銅粉等の導電性粒子を硬化剤を含む熱硬化性樹脂に混練したものの他に、導電性粒子と熱プレス時に基板材料中に排出されてしまうような適当な粘度の高分子材料、または溶剤等を混練したもの等多種の組成が利用可能である。
【0062】
さらに、導電性ペースト以外にめっき等により形成したポスト状の導電性突起や、ペースト化していない比較的大きな粒径の導電性粒子を単独で層間接続手段として用いることも可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の回路形成基板製造用クッション材においては、弾性層または弾性層と補強層の複合体からなる内部層と、内部層の両面または片面に形成された表面層と内部層と表面層の間に設けられた遮断層からなる構成としたものである。
【0064】
この本発明によれば、クッション材に必要とされるクッション性、耐久性、熱盤等との離型性等の要件を内部層、遮断層、表面層それぞれの働きにより実現され、従来のクッション材に対して耐用回数が延長でき、製造コストの低減が図れるとともに、板厚の均一性等の点からも高品質な回路形成基板製造用クッション材を提供できるものである。
【0065】
特に、層間接続手段として導電性ペースト等の圧縮により電気的接続を発現する構成を採用した場合や、回路形成基板の厚み精度を要求される場合等においては、熱プレス工程中の加圧力の均一化により、格別の効果を発揮するものである。
【0066】
また、クッション材の耐用回数が延長されることにより回路形成基板の製造コストの低減に対しても、大きな効果が得られる。
【0067】
以上の結果として、導電性ペースト等の層間接続手段を用いた層間の電気的接続の信頼性が向上する、または板厚の安定性が大幅に向上する等の効果が得られ、高品質の高密度回路形成基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回路形成基板製造用クッション材を使用した熱プレス装置を示す断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態の回路形成基板製造用クッション材を示す断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態における基板材料を示す断面図
【図4】本発明の第1の実施の形態における基板材料を示す断面図
【図5】本発明の第1の実施の形態における回路形成基板を示す断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態における回路形成基板の各回路ブロックの抵抗値と熱プレス回数の関係を示すグラフ
【図7】従来例における熱プレス装置を示す断面図
【符号の説明】
1 クッション材
2 上金属板
3 中間金属板
4 基板材料
5 下金属板
6 積載プレート
7 熱盤
8 加圧手段
9 保持機構
10 表面織布
11 遮断層
12 フッ素ゴム
13 補強材
14 銅箔
15 プリプレグ
16 銅ペースト
17 内層基板
20 内部層
21 金属配線

Claims (8)

  1. 回路基板用熱プレスに用いるクッション材であって、
    補強層と弾性層とが1層以上積層された内部層と、
    前記内部層の片面または両面に離型性を備えた表面層と、
    前記内部層と前記表面層の間に熱硬化性樹脂からなる遮断層を備え
    前記補強層と前記表面層は耐熱性繊維を主体とする織布または不織布であり、
    前記内部層と前記表面層は前記遮断層を介して一体化されている
    ことを特徴とする回路形成基板製造用クッション材。
  2. 前記弾性層が耐熱性合成ゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴムから選ばれる少なくとも一つのゴムを主体とする請求項1に記載の回路形成基板の製造用クッション材。
    造用クッション材。
  3. 前記耐熱性繊維がアラミド繊維である請求項に記載の回路形成基板製造用クッション材。
  4. 前記織布または不織布の厚みが0.05mm以上0.5mm以下の範囲である請求項に記載の回路形成基板製造用クッション材。
  5. 前記織布を構成する糸の番手が綿番手で10番手以上90番手以下の範囲である請求項に記載の回路形成基板製造用クッション材。
  6. 前記遮断層の厚みが2μm以上100μm以下の範囲である請求項1に記載の回路形成基板製造用クッション材。
  7. 回路基板用熱プレスに用いるクッション材の製造方法であって、
    耐熱性繊維を主体とする織布または不織布からなる補強層と弾性層とを1層以上積層し内部層を形成する工程と、
    前記内部層の片面または両面に熱硬化性樹脂を塗布し遮断層を形成する工程と、
    前記遮断層に耐熱性繊維を主体とする織布または不織布からなる表面層を配置し、270℃以上で加熱して前記内部層と前記表面層を前記遮断層を介して一体化する工程を含むことを特徴とする回路形成基板製造用クッション材の製造方法。
  8. 前記表面層を設ける前に内部層の表面を研磨する請求項に記載の回路形成基板製造用クッション材の製造方法。
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