JP3709494B2 - シリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶棒を引上げて育成する装置に設けられた熱遮蔽部材関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシリコン単結晶引上げ装置として、チャンバ内にシリコン融液が貯留された石英るつぼが収容され、シリコン単結晶棒の外周面と石英るつぼの内周面との間にシリコン単結晶棒を包囲するように熱遮蔽部材が挿入された引上げ装置(特公昭57−40119号)が開示されている。この装置における熱遮蔽部材は引上げられるシリコン単結晶棒の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液表面から間隔をあけて上方に位置しヒータからの輻射熱を遮る筒部を有する。
この装置ではシリコン単結晶棒をシリコン融液から引上げると、シリコン融液の液面が次第に低下して石英るつぼの内周壁が露出し、この露出した石英るつぼの内周壁からの輻射熱がシリコン単結晶棒の外周面に向う。熱遮蔽部材はこの輻射熱を遮ることにより、輻射熱がシリコン単結晶棒の外周面に達することを防止して、引上げ中のシリコン単結晶棒の凝固を促進し、シリコン単結晶棒を速やかに冷却するようになっている。
【0003】
また、この種の熱遮蔽部材として、筒部が輻射熱の温度域における耐熱性を有する黒鉛等の母材と、この母材のシリコン単結晶棒側の面を被覆しかつ母材より輻射率が小さい石英等の被覆材とを有する多層構造に形成されたものが開示されている(特開平8−325090)。このように構成された熱遮蔽部材では、熱輻射率の大きい母材を、この母材より熱輻射率の小さい被覆材で被覆したので、シリコン単結晶棒へのるつぼ及びヒータの輻射熱の遮断効果を向上できる。この結果、シリコン単結晶棒の冷却の促進による引上げ速度を増大でき、シリコン単結晶棒の生産性を向上できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−325090号公報に示された単結晶引上げ装置における熱遮蔽部材では、シリコン融液から引上げられるシリコン単結晶棒中のシリコン融液近傍の温度分布は、シリコン単結晶棒の外周面からの放熱量が多いため、中心部で最も高く外周面に向うに従って次第に低くなり、外周部で急激に低くなる。一方、シリコン単結晶棒の大口径化が進むと、上記シリコン単結晶棒の中心部と外周部との温度差は更に大きくなることが予想される。このため、シリコン単結晶棒中に上記温度差に基づく熱的ストレスが発生する恐れがあった。
本発明の目的は、シリコン融液から引上げ中のシリコン単結晶棒の外周部の急激な温度低下を阻止することにより、シリコン単結晶棒中の熱的ストレスの発生を抑制できるシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図2に示すように、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12からシリコン単結晶棒25を引上げる装置に設けられ、シリコン単結晶棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ18からの輻射熱を遮る筒部37を有する熱遮蔽部材の改良である。
その特徴ある構成は、図1に示すように、筒部37の下部に筒内の方向に膨出する膨出部41が設けられ、膨出部41は、筒部37の下縁に接続され水平に延びてシリコン単結晶棒25の外周面近傍に達するリング状の底壁42と、シリコン単結晶棒25の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつシリコン単結晶棒25の外周面と所定の間隔をあけて底壁42の内縁に連設された筒状の縦壁44と、縦壁44の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が筒部37の内周面に当接するコーン状の上壁46とにより構成され、筒部37の下部と底壁42と縦壁44と上壁46とにより囲まれる膨出部41の内部に蓄熱部材47が充填されたところにある。
【0006】
請求項2に係る発明は、図2に示すように、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12からシリコン単結晶棒25を引上げる装置に設けられ、シリコン単結晶棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ18からの輻射熱を遮る筒部37を有する熱遮蔽部材の改良である。
その特徴ある構成は、図8及び図9に示すように、筒部37の下部に筒内の方向に膨出する膨出部41が設けられ、膨出部41は、筒部37の下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度α又はθで下方に又は上方に向うに従って直径が小さく形成され内縁がシリコン単結晶棒の外周面近傍に達するコーン状の底壁42と、シリコン単結晶棒の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつシリコン単結晶棒の外周面と所定の間隔をあけて底壁42の内縁に連設された筒状の縦壁44と、縦壁44の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が筒部37の内周面に当接するコーン状の上壁46とにより構成され、筒部37の下部と底壁42と縦壁44と上壁46とにより囲まれる膨出部41の内部に蓄熱部材47が充填されたところにある。
【0007】
請求項3に係る発明は、図2に示すように、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12からシリコン単結晶棒25を引上げる装置に設けられ、シリコン単結晶棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ18からの輻射熱を遮る筒部37を有する熱遮蔽部材の改良である。
その特徴ある構成は、図10に示すように、筒部37の下部に筒内の方向に膨出する膨出部41が設けられ、膨出部41は、筒部37の下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度αで下方に向うに従って直径が小さく形成された外底壁42aと、この外底壁42aの下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度θで上方に向うに従って直径が小さく形成され内縁がシリコン単結晶棒の外周面近傍に達する内底壁42bと、シリコン単結晶棒の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつシリコン単結晶棒の外周面と所定の間隔をあけて内底壁42bの内縁に連設された筒状の縦壁44と、縦壁44の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が筒部37の内周面に当接するコーン状の上壁46とにより構成され、筒部37の下部と外底壁42aと内底壁42bと縦壁44と上壁46とにより囲まれる膨出部41の内部に蓄熱部材47が充填されたところにある。
【0008】
従来のシリコン単結晶の引上げ装置における熱遮蔽部材では、シリコン融液から引上げられるシリコン単結晶棒中のシリコン融液近傍の温度分布は、中心部で最も高く外周面に向うに従って次第に低くなり、外周部で急激に低くなる。しかし、請求項1ないし3に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、シリコン単結晶棒25からの放熱は、膨出部41を形成する縦壁44によって反射されるか、膨出部41自体が高温のヒータ18及びシリコン融液12によって温度上昇することにより抑制され、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止できる。この結果、シリコン単結晶棒25中の温度分布が中心から外周面に向って略均一になる、即ちシリコン単結晶棒25中の鉛直方向温度勾配の径方向分布が略均一になるので、シリコン単結晶棒25中の熱的ストレスの発生を抑制できる。
なお、コーン状の上壁46はシリコン単結晶棒25の外周面と筒部37の内周面との間を流下する不活性ガスをスムーズにシリコン融液12と膨出部41との間に導き、蓄熱部材47はシリコン融液12から膨出部41に達した輻射熱を蓄熱してシリコン単結晶棒25の外周部の温度低下を有効に阻止する。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、縦壁44と底壁42とが交差する部分に底壁42の下面に対して0度を越えた80度以下の角度θで上方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の内側傾斜壁43が設けられ、単結晶棒25の直径をdとし縦壁44の下縁と底壁42の下面との垂直距離をL1とするとき内側傾斜壁43が0≦L1≦d/2になるように形成されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項4に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、シリコン単結晶棒25の特に固液界面付近からの放熱が内側傾斜壁43によって反射され、シリコン単結晶棒25の特に固液界面付近における外周部の急激な温度低下を阻止できる。この請求項2に記載された内側傾斜壁43の傾斜角θが80度を越えると、シリコン融液12から引上げ中のシリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を抑制する効果が低下する。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、筒部37と底壁42とが交差する部分に底壁42の下面に対して0度を越えた80度以下の角度αで下方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の外側傾斜壁45が設けられ、単結晶棒25の直径をdとし筒部37の下縁と底壁42の下面との垂直距離をL2とするとき外側傾斜壁45が0≦L2≦d/2になるように形成されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項5に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、シリコン融液12又は石英るつぼ13からの放熱を外側傾斜壁45が受けて膨出部41自体が温度上昇することにより、シリコン単結晶棒25の固液界面付近における外周部の急激な温度低下を阻止できる。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る発明であって、単結晶棒25の直径をdとするとき縦壁44の高さHが10mm以上d/2以下であるシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項6に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、シリコン融液12から引上げ中のシリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下が、縦壁44によるシリコン単結晶棒25からの放熱の反射、及びヒータ18とシリコン融液12からの輻射熱により蓄熱部材47とともに温度上昇した縦壁44により阻止される。縦壁44の高さHが10mm未満であると放熱の反射作用が減少し、d/2を越えると膨出部41が大型化する。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る発明であって、シリコン単結晶棒25の外周面と縦壁44との間隔W1が10mm以上30mm以下であるシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項7に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、シリコン単結晶棒25からの放熱を縦壁44が有効に反射してシリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止する。シリコン単結晶棒25の外周面と縦壁44との間隔W1が10mm未満であると引上げ途中にシリコン単結晶棒25と縦壁44が接触する恐れがあり、30mmを越えると縦壁44により反射するシリコン単結晶棒25からの放熱量が減少する。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれかに係る発明であって、筒部37の下縁の外径をD1とし石英るつぼ13の内径をD2とし単結晶棒25の直径をdとするとき、1.65d<D1<D2の関係を有するシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項8に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、筒部37の下縁の外径D1が1.65dを越えることにより、放熱を反射又は温度上昇してシリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止するに十分な膨出部41を形成する。外径D1が1.65d以下であると十分な膨出部41を得ることができず、D2以上であると石英るつぼ13に接触する。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれかに係る発明であって、図4に示すように、筒部37が下方に向うに従って直径が小さく形成されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項9に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、下方に向うに従って直径が小さく形成された筒部37が、その筒部37とシリコン単結晶棒25の外周面との間を流下する不活性ガスをスムーズにシリコン融液12と膨出部41との間に導く。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9いずれかに係る発明であって、図5に示すように、筒部37が、内筒部材37aと、外筒部材37bと、内筒部材37aと外筒部材37bの間に充填された断熱材37cとを有するシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項10に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、石英るつぼ13の内周壁からシリコン単結晶棒25に向う輻射熱を有効に遮り、膨出部41を越えて引上げられたシリコン単結晶棒25の凝固を促進する。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10いずれかに係る発明であって、図3に示すように、外周縁が筒部37又は外側傾斜壁45に接続し内周縁が縦壁44又は傾斜壁43に接続する1又は2以上のリング状の伝熱部材48が膨出部41の内部を横断して設けられたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材である。
この請求項11に記載されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材では、ヒータ18により又は石英るつぼ13の内周壁からの輻射熱により加熱された筒部37又は外側傾斜壁45の熱を伝熱部材48が縦壁44又は内側傾斜壁43に伝達して縦壁44及び内側傾斜壁43の温度を上昇させる。温度上昇した縦壁44又は内側傾斜壁43はシリコン単結晶棒25からの放熱を抑制して、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止する。この結果、シリコン単結晶棒25中の温度分布が中心から外周面に向って略均一になり、シリコン単結晶棒25中の鉛直方向温度勾配の径方向分布が略均一になるので、シリコン単結晶棒25中の熱的ストレスの発生を有効に抑制できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2に示すように、シリコン単結晶の引上げ装置10のチャンバ11内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられ、この石英るつぼ13の外面は黒鉛サセプタ14により被覆される。石英るつぼ13の下面は上記黒鉛サセプタ14を介して支軸16の上端に固定され、この支軸16の下部はるつぼ駆動手段17に接続される。るつぼ駆動手段17は図示しないが石英るつぼ13を回転させる第1回転用モータと、石英るつぼ13を昇降させる昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英るつぼ13が所定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能となっている。石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13から所定の間隔をあけてヒータ18により包囲され、このヒータ18は保温筒19により包囲される。ヒータ18は石英るつぼ13に投入された高純度のシリコン多結晶体を加熱・融解してシリコン融液12にする。
【0018】
またチャンバ11の上端には円筒状のケーシング21が接続される。このケーシング21には引上げ手段22が設けられる。引上げ手段22はケーシング21の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させる第2回転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ13の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル23と、上記ヘッド内に設けられワイヤケーブル23を巻取り又は繰出す引上げ用モータ(図示せず)とを有する。ワイヤケーブル23の下端にはシリコン融液12に浸してシリコン単結晶棒25を引上げるための種結晶24が取付けられる。
更にチャンバ11にはこのチャンバ11のシリコン単結晶棒側に不活性ガスを供給しかつ上記不活性ガスをチャンバ11のるつぼ内周面側から排出するガス給排手段28が接続される。ガス給排手段28は一端がケーシング21の周壁に接続され他端が上記不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パイプ29と、一端がチャンバ11の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ30とを有する。供給パイプ29及び排出パイプ30にはこれらのパイプ29,30を流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁31,32がそれぞれ設けられる。
【0019】
一方、引上げ用モータの出力軸(図示せず)にはロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、るつぼ駆動手段17には石英るつぼ13内のシリコン融液12の重量を検出する重量センサ(図示せず)と、支軸16の昇降位置を検出するリニヤエンコーダ(図示せず)とが設けられる。ロータリエンコーダ、重量センサ及びリニヤエンコーダの各検出出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、コントローラの制御出力は引上げ手段22の引上げ用モータ及びるつぼ駆動手段の昇降用モータにそれぞれ接続される。またコントローラにはメモリ(図示せず)が設けられ、このメモリにはロータリエンコーダの検出出力に対するワイヤケーブル23の巻取り長さ、即ちシリコン単結晶棒25の引上げ長さが第1マップとして記憶され、重量センサの検出出力に対する石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面レベルが第2マップとして記憶される。コントローラは重量センサの検出出力に基づいて石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面を常に一定のレベルに保つように、るつぼ駆動手段17の昇降用モータを制御するように構成される。
【0020】
シリコン単結晶棒25の外周面と石英るつぼ13の内周面との間にはシリコン単結晶棒25の外周面を包囲する熱遮蔽部材36が設けられる。この熱遮蔽部材36は円筒状に形成されヒータ18からの輻射熱を遮る筒部37と、この筒部37の上縁に連設され外方に略水平方向に張り出すフランジ部38とを有する。上記フランジ部38を保温筒19上に載置することにより、筒部37の下縁がシリコン融液12表面から所定の距離だけ上方に位置するように熱遮蔽部材36はチャンバ11内に固定される。熱遮蔽部材36はMo(モリブデン),W(タングステン),C(カーボン)により、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛等により形成される。筒部37は同一直径の管状体であるか、又は下方に向うに従って直径が小さく形成された管状体に形成され、筒部37の下縁の外径をD1とし石英るつぼ13の内径をD2としシリコン単結晶棒25の直径をdとするとき、1.65d<D1<D2の関係を有するように形成される。
【0021】
図1に示す筒部37は同一直径の筒状体であり、筒部37の下部には筒内の方向に膨出する膨出部41が設けられる。この膨出部41は、筒部37の下縁に接続され水平に延びてシリコン単結晶棒25の外周面近傍に達するリング状の底壁42と、底壁42の内縁に連設された縦壁44と、この縦壁44の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成されたコーン状の上壁46とにより構成される。縦壁44と底壁42とが交差する部分には上方に向うに従って直径が小さく形成された内側傾斜壁43が設けられ、筒部37と底壁42とが交差する部分には下方に向うに従って直径が小さく形成された外側傾斜壁45が設けられる。内側傾斜壁43及び外側傾斜壁45はそれぞれ底壁42の下面に対して0度を越えた80度以下の角度θ,α、好ましくは5〜30度の範囲内の角度でコーン状に形成される。
【0022】
この実施の形態では、筒部37、外側傾斜壁45、底壁42及び内側傾斜壁43は一体的に形成される。なお、引上げられる単結晶棒25の直径をdとすると、縦壁44の下縁と底壁42の下面との垂直距離L1、筒部37の下縁と底壁42の下面との垂直距離L2がそれぞれ0を越えてd/2以下になり、かつシリコン単結晶棒25の外周面と縦壁44との間隔W1が10mm以上30mm以下になるように内側傾斜壁43及び外側傾斜壁45は形成される。この場合、膨出部41の幅W2は50mm以上であることが好ましく、縦壁44の内面と底壁42の内縁との水平距離W3、筒部37の外面と底壁42の外縁との水平距離W4は、それぞれ0mm以上であってW2未満の範囲内になる。なお、間隔W1の好ましい値は15〜20mmである。
【0023】
縦壁44はその高さHが10mm以上100mm以下に形成され、シリコン単結晶棒25の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びて形成される。−30度とは軸心線に対して30度の角度を持って上方に向うに従って直径が小さくなるように形成されることを表し、+30度とは軸心線に対して30度の角度を持って上方に向うに従って直径が大きくなるように形成されることを表すが、好ましくはシリコン単結晶棒25の軸心線に対して平行、即ち縦壁44は鉛直になるように形成されることが好ましい。なお、上述した垂直距離L1,L2、間隔W1及び高さHは引上げられるシリコン単結晶棒25の直径に応じて適宜決められる。コーン状の上壁46は上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が筒部37の内周面に当接するように構成される。なお、筒部37の下部と底壁42と縦壁44と上壁46とにより囲まれる膨出部41の内部にはカーボン繊維からなるフェルト材が蓄熱部材47として充填される。縦壁44と上壁46とは一体的に形成され、筒部37の下部と外側傾斜壁25と底壁42と内側傾斜壁43により囲まれた空間に蓄熱部材47を充填した後、ビス又はピン等により内側傾斜壁43及び筒部37に固定される。
【0024】
このように構成されたシリコン単結晶の引上げ装置の動作を説明する。
従来のシリコン単結晶の引上げ装置における熱遮蔽部材では、シリコン単結晶棒25をシリコン融液12から所定の引上げ速度で引上げると、このシリコン単結晶棒25中のシリコン融液12近傍の温度分布は、シリコン単結晶棒25の外周面からの放熱量が多いため、中心部で最も高く外周面に向うに従って次第に低くなり、外周部で急激に低くなる。
しかし本実施の形態のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材36では、高温のシリコン融液12からの輻射熱により膨出部41の温度が上昇するか、又はシリコン単結晶棒25からの放熱を膨出部41における内側傾斜壁43及び縦壁44が反射することにより、シリコン単結晶棒25からの急激な放熱は抑制される。この結果、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止できる。従って、シリコン単結晶棒25中の温度分布が中心から外周面に向って略均一になる、即ちシリコン単結晶棒25中の鉛直方向の温度勾配の径方向分布が略均一になるので、シリコン単結晶棒25中の熱的ストレスの発生を抑制でき、スリップ発生や有転位化が改善される。
【0025】
図3は本発明の第2の実施の形態を示す。図3において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、外周縁が筒部37又は外側傾斜壁45に接続し内周縁が縦壁44又は内側傾斜壁43に接続する2つのリング状の伝熱部材48が膨出部41の内部を横断して設けられる。伝熱部材48は蓄熱部材47を充填する際にその蓄熱部材47とともに一体的に形成された筒部37の下部と外側傾斜壁45と底壁42と内側傾斜壁43により囲まれた空間に装着される。その後、別に一体的に形成された縦壁44及び上壁46をビス又はピン等により内側傾斜壁43及び筒部37に固定することにより伝熱部材48は膨出部41の内部を横断して設けられる。このように設けられた伝熱部材48の外周縁は筒部37に、伝熱部材48の内周縁は縦壁44又は内側傾斜壁43にそれぞれ接続される。
【0026】
このように構成されたシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材36では、ヒータ18による熱又は石英るつぼ13の内周壁からの輻射熱により加熱された筒部37又は外側傾斜壁45の熱を伝熱部材48が縦壁44又は内側傾斜壁43に伝達して縦壁44及び内側傾斜壁43の温度を効果的に上昇させる。温度上昇した縦壁44又は内側傾斜壁43はシリコン単結晶棒25からの放熱を抑制して、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止する。なお、伝熱部材48は図に示す2枚に限らず、1枚又は3枚若しくは4枚であっても良い。また、各伝熱部材48の1枚あたりの厚さは、設けられる枚数により加減することが好ましいが、6〜9mmの範囲内であることが好ましい。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0027】
なお、上記実施の形態では、熱遮蔽部材の筒部37を円筒状に形成したが、図4に示すように、筒部37は下方に向うに従って直径が小さくなる中空の円錐台状に形成してもよく、図5に示すように、筒部37が、内筒部材37aと、外筒部材37bと、内筒部材37aと外筒部材37bの間に充填された断熱材37cとを有していてもよい。筒部37を下方に向うに従って直径が小さく形成すれば、その筒部37とシリコン単結晶棒25の外周面との間を流下する不活性ガスをスムーズにシリコン融液12と膨出部41との間に導くことができ、図5に示すように筒部37を2重構造として断熱材37cを充填すれば、石英るつぼ13の内周壁からシリコン単結晶棒25に向う輻射熱を有効に遮ることができる。
【0028】
また、上記実施の形態では、縦壁44と底壁42とが交差する部分に内側傾斜壁43を設け、筒部37と底壁42とが交差する部分に外側傾斜壁45を設けたが、図6に示すように、外側傾斜壁を設けることなく縦壁44と底壁42とが交差する部分に内側傾斜壁43のみを設けても良く、図7に示すように、内側傾斜壁を設けることなく筒部37と底壁42とが交差する部分に外側傾斜壁45のみを設けても良い。また、内側傾斜壁43及び外側傾斜壁45の双方とも設けることなく、筒部37の下縁に外縁が接続され内縁がシリコン単結晶棒の外周面近傍に達する底壁42自体をコーン状にすることにより、図8に示すように、底壁42を水平面に対して0度を越えた80度以下の角度αで下方に向うに従って直径を小さく形成しても、又は図9に示すように、水平面に対して0度を越えた80度以下の角度θで上方に向うに従って直径を小さく形成しても良い。
【0029】
更に、底壁はコーン形状を組合わせたものであってもよい。即ち図10に示すように、水平面に対して0度を越えた80度以下の角度αで下方に向うに従って直径が小さく形成された外底壁42aの外縁を筒部37の下縁に接続し、水平面に対して0度を越えた80度以下の角度θで上方に向うに従って直径が小さく形成され内縁がシリコン単結晶棒の外周面近傍に達する内底壁42bの外縁をこの外底壁42aの下縁に接続しても良い。このような熱遮蔽部材であっても、シリコン単結晶棒25からの放熱は、膨出部41を形成する縦壁44によって反射されるか、膨出部41自体が高温のヒータ18及びシリコン融液12によって温度上昇することにより抑制され、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止できる。
【0030】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1及び図2に示すようなシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材36の筒部37の内径及び高さをそれぞれ410mm及び420mmとし、筒部37の下部に外側傾斜壁45と底壁42と内側傾斜壁43と縦壁44と上壁46とから構成された膨出部41を設けた。縦壁44は傾斜角が0度の筒状体とし、縦壁44の内径及び高さをそれぞれ250mm及び40mmとした。内側傾斜壁43の下端内径、傾斜角θ及び垂直距離Lをそれぞれ330mm、45度及び40mmとし、外側傾斜壁45の傾斜角α及び垂直距離Lをそれぞれ45度及び40mmとした。また底壁42の下面とシリコン融液12との間隔を35mmとし、縦壁44とシリコン単結晶棒25との間隔W1を20mmとした。なお、37,45,42,43,44及び46は全てカーボンにより形成した。このように構成された引上げ装置の熱遮蔽部材を実施例1とした。
【0031】
<実施例2>
図3に示すように、外周縁が筒部37及び外側傾斜壁45にそれぞれ接続し内周縁が縦壁44及び内側傾斜壁43に接続する2つのリング状の伝熱部材48が膨出部41の内部を横断して設けられたことを除いて、熱遮蔽部材を上記実施例1と同一に構成した。この引上げ装置の熱遮蔽部材を実施例2とした。
<比較例1>
図示しないが筒部37の下部に膨出部41を設けていないことを除いて、引上げ装置を上記実施例1と同一に構成した。この引上げ装置を比較例1とした。
【0032】
<比較試験及び評価>
実施例1、実施例2及び比較例1の各引上げ装置にて直径210mmのシリコン単結晶棒を400mm引上げたときのシリコン単結晶棒中の温度分布を熱伝導解析プログラムにてシミュレーション計算し、比較を行った。シリコン融液表面から高さ30mmまでのシリコン単結晶棒各部の鉛直方向温度勾配の平均値Gと、シリコン融液表面から高さ30mmまでのシリコン単結晶棒中心の鉛直方向温度勾配の平均値Gcとを求め、シリコン単結晶棒の中心から径方向への距離に対するG/Gcの変化を求めた。この結果を図11に示す。
【0033】
図11より明らかなように、実施例1及び実施例2では比較例1よりG/Gcの値がシリコン外周面でも急上昇せずに水平に近くなった、即ち鉛直方向温度勾配の径方向分布が略均一になった。これは実施例1及び実施例2ではシリコン融液からの輻射熱により膨出部41の温度が上昇することにより、シリコン単結晶棒からの急激な放熱が膨出部41により抑制され、シリコン単結晶棒25の外周部の急激な温度低下を阻止できたためである。
また実施例2が実施例1より鉛直方向温度勾配の径方向分布が更に均一になった。これはヒータ18又は石英るつぼ13の内周壁から筒部37又は外側傾斜壁45に達した輻射熱が伝熱部材48を伝わって縦壁44又は内側傾斜壁43の温度が上昇し、シリコン単結晶棒25からの放熱が更に抑制されたためと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、筒部の下部に筒内の方向に膨出する膨出部を設け、膨出部を、筒部の下縁に接続され水平に又は傾斜して延びてシリコン単結晶棒の外周面近傍に達するリング状又はコーン状の底壁と、シリコン単結晶棒の外周面と所定の間隔をあけて底壁の内縁に連設された筒状の縦壁と、縦壁の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が筒部の内周面に当接するコーン状の上壁とにより構成し、筒部の下部と底壁と縦壁と上壁とにより囲まれる膨出部の内部に蓄熱部材を充填したので、シリコン単結晶棒からの放熱は、膨出部を形成する縦壁によって反射されるか、膨出部自体が高温のシリコン融液によって温度上昇することにより抑制され、シリコン単結晶棒の外周部の急激な温度低下を阻止できる。この結果、シリコン単結晶棒中の温度分布が中心から外周面に向って略均一になる、即ちシリコン単結晶棒中の鉛直方向の温度勾配の径方向分布が略均一になる。従って、シリコン単結晶棒中の熱ストレスの発生を抑制できるので、スリップ発生や有転位化が改善される。
【0035】
また、縦壁と底壁とが交差する部分に、上方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の内側傾斜壁を設ければ、シリコン単結晶棒の特に固液界面付近からの放熱が内側傾斜壁によって反射され、シリコン単結晶棒の特に固液界面付近における外周部の急激な温度低下を阻止でき、筒部と底壁とが交差する部分に下方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の外側傾斜壁を設ければ、シリコン融液又は石英るつぼからの放熱を外側傾斜壁が受けて膨出部自体の温度を更に上昇させることができる。
更に、シリコン単結晶棒の外周面と縦壁との間隔を10mm以上30mm以下にすれば、縦壁がシリコン単結晶棒と接触することなくシリコン単結晶棒からの放熱を有効に反射することができる。外周縁が筒部又は外側傾斜壁に接続し内周縁が縦壁又は内側傾斜壁に接続する1又は2以上のリング状の伝熱部材を膨出部の内部に横断して設ければヒータ又は石英るつぼの内周壁からの輻射熱により加熱された筒部又は外側傾斜壁の熱を伝熱部材が縦壁又は内側傾斜壁に伝達して縦壁及び内側傾斜壁の温度を効果的に上昇させてシリコン単結晶棒からの放熱を更に抑制することができる。この結果、シリコン融液から引上げ中のシリコン単結晶棒の外周部の急激な温度低下が比較的高温の膨出部により抑制されるので、シリコン単結晶棒中の熱的ストレスの発生を有効に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明シリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材を示す図2のA部拡大断面図。
【図2】そのシリコン単結晶引上げ装置の断面構成図。
【図3】本発明の別の実施形態を示す図1に対応する断面図。
【図4】筒部が下方に向って直径が小さく形成された熱遮蔽部材を示す断面図。
【図5】断熱材が充填された筒部を有する熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図6】外側傾斜壁を設けることなく内側傾斜壁を比較的大きく形成した熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図7】内側傾斜壁を設けることなく外側傾斜壁を比較的大きく形成した熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図8】内側傾斜壁及び外側傾斜壁を設けることなく底壁を下方に向うに従って直径が小さいコーン状に形成した熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図9】内側傾斜壁及び外側傾斜壁を設けることなく底壁を上方に向うに従って直径が小さいコーン状に形成した熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図10】外底壁と内底壁を有する熱遮蔽部材を示す図4に対応する断面図。
【図11】シリコン単結晶棒の中心から径方向への距離に対するG(シリコン融液表面から高さ30mmまでのシリコン単結晶棒各部の鉛直方向温度勾配の平均値)/Gc(シリコン融液表面から高さ30mmまでのシリコン単結晶棒中心の鉛直方向温度勾配の平均値)の変化を示す図。
【符号の説明】
10 シリコン単結晶引上げ装置
12 シリコン融液
13 石英るつぼ
18 ヒータ
25 シリコン単結晶棒
36 熱遮蔽部材
37 筒部
37a 内筒部材
37b 外筒部材
37c 断熱材
41 膨出部
42 底壁
42a 外底壁
42b 内底壁
43 内側傾斜壁
44 縦壁
45 外側傾斜壁
46 上壁
47 蓄熱部材
48 伝熱部材
θ 底壁の下面に対する内側傾斜壁の角度
α 底壁の下面に対する外側傾斜壁の角度
L1 縦壁の下縁と底壁の下面との垂直距離
L2 筒部の下縁と底壁の下面との垂直距離
H 縦壁の高さ
W1 シリコン単結晶棒の外周面と縦壁との間隔
d シリコン単結晶棒の直径
D1 筒部下縁の外径
D2 石英るつぼの内径
Claims (11)
- 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融液(12)からシリコン単結晶棒(25)を引上げる装置に設けられ、前記シリコン単結晶棒(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ(18)からの輻射熱を遮る筒部(37)を有する熱遮蔽部材において、
前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出する膨出部(41)が設けられ、
前記膨出部(41)は、筒部(37)の下縁に接続され水平に延びてシリコン単結晶棒(25)の外周面近傍に達するリング状の底壁(42)と、
前記シリコン単結晶棒(25)の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつ前記シリコン単結晶棒(25)の外周面と所定の間隔をあけて前記底壁(42)の内縁に連設された筒状の縦壁(44)と、
前記縦壁(44)の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が前記筒部(37)の内周面に当接するコーン状の上壁(46)とにより構成され、
前記筒部(37)の下部と前記底壁(42)と縦壁(44)と上壁とにより囲まれる前記膨出部(41)の内部に蓄熱部材(47)が充填された
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。 - 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融液(12)からシリコン単結晶棒(25)を引上げる装置に設けられ、前記シリコン単結晶棒(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ(18)からの輻射熱を遮る筒部(37)を有する熱遮蔽部材において、
前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出する膨出部(41)が設けられ、
前記膨出部(41)は、筒部(37)の下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度(α又はθ)で下方に又は上方に向うに従って直径が小さく形成され内縁がシリコン単結晶棒(25)の外周面近傍に達するコーン状の底壁(42)と、
前記シリコン単結晶棒(25)の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつ前記シリコン単結晶棒(25)の外周面と所定の間隔をあけて前記底壁(42)の内縁に連設された筒状の縦壁(44)と、
前記縦壁(44)の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が前記筒部(37)の内周面に当接するコーン状の上壁(46)とにより構成され、
前記筒部(37)の下部と前記底壁(42)と縦壁(44)と上壁とにより囲まれる前記膨出部(41)の内部に蓄熱部材(47)が充填された
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。 - 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融液(12)からシリコン単結晶棒(25)を引上げる装置に設けられ、前記シリコン単結晶棒(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置しヒータ(18)からの輻射熱を遮る筒部(37)を有する熱遮蔽部材において、
前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出する膨出部(41)が設けられ、
前記膨出部(41)は、筒部(37)の下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度(α)で下方に向うに従って直径が小さく形成された外底壁(42a)と、
前記外底壁(42a)の下縁に外縁が接続され水平面に対して0度を越えた80度以下の角度(θ)で上方に向うに従って直径が小さく形成され内縁がシリコン単結晶棒(25)の外周面近傍に達する内底壁(42b)と、
前記シリコン単結晶棒(25)の軸心線に対して平行に又は−30度以上+30度以下の角度で傾斜して延びかつ前記シリコン単結晶棒(25)の外周面と所定の間隔をあけて前記内底壁(42b)の内縁に連設された筒状の縦壁(44)と、
前記縦壁(44)の上縁に連設され上方に向うに従って直径が大きくなるように形成され上縁が前記筒部(37)の内周面に当接するコーン状の上壁(46)とにより構成され、
前記筒部(37)の下部と前記外底壁(42a)と内底壁(42b)と縦壁(44)と上壁とにより囲まれる前記膨出部(41)の内部に蓄熱部材(47)が充填された
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。 - 縦壁(44)と底壁(42)とが交差する部分に前記底壁(42)の下面に対して0度を越えた80度以下の角度(θ)で上方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の内側傾斜壁(43)が設けられ、単結晶棒(25)の直径をdとし前記縦壁(44)の下縁と前記底壁(42)の下面との垂直距離をL1とするとき前記内側傾斜壁(43)が0≦L1≦d/2になるように形成された請求項1記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 筒部(37)と底壁(42)とが交差する部分に前記底壁(42)の下面に対して0度を越えた80度以下の角度(α)で下方に向うに従って直径が小さく形成されたコーン状の外側傾斜壁(45)が設けられ、単結晶棒(25)の直径をdとし前記筒部(37)の下縁と前記底壁(42)の下面との垂直距離をL2とするとき前記外側傾斜壁(45)が0≦L2≦d/2になるように形成された請求項1又は4記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 単結晶棒(25)の直径をdとするとき縦壁(44)の高さHが10mm以上d/2以下である請求項1ないし5いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- シリコン単結晶棒(25)の外周面と縦壁との間隔(W1)が10mm以上30mm以下である請求項1ないし6いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 筒部(37)の下縁の外径をD1とし石英るつぼ(13)の内径をD2とし単結晶棒(25)の直径をdとするとき、1.65d<D1<D2の関係を有する請求項1ないし7いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 筒部(37)が下方に向うに従って直径が小さく形成された請求項1ないし8いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 筒部(37)が、内筒部材(37a)と、外筒部材(37b)と、前記内筒部材(37a)と前記外筒部材(37b)の間に充填された断熱材(37c)とを有する請求項1ないし9いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
- 外周縁が筒部(37)又は外側傾斜壁(45)に接続し内周縁が縦壁(44)又は内側傾斜壁(43)に接続する1又は2以上のリング状の伝熱部材(48)が膨出部(41)の内部を横断して設けられた請求項1ないし10いずれか記載のシリコン単結晶引上げ装置の熱遮蔽部材。
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