JP3709046B2 - 内視鏡用注射具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、体腔内粘膜等に注射をするために内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して使用される内視鏡用注射具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用注射具は一般に、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されるシースの先端から注射針を突没させることができるように構成されており、従来の内視鏡用注射具のシースは、一般に、先端の注射針部に薬液等を送るための可撓性の送液チューブを、密着巻きコイルパイプ等によって形成された外套管内に通した二重管構造に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、二重管構造の内側の管、即ち送液チューブの管内の断面積は非常に小さいものになるので、注射液の通過に対する抵抗が大きくて、注射筒による注液操作に大きな力を必要とする。
【0004】
また、注射針を押し出す力が内側の細い送液チューブによって伝達されるので、針先に十分な穿刺力が伝わりにくく、送液チューブがコイルパイプ内で波打つようにたわむので、注射針を押し出すための手元側の操作ストロークが大きくて使いにくい等の不都合がある。
【0005】
そこで本発明は、注射筒による注液操作に大きな力を必要とせず、また穿刺操作も容易な内視鏡用注射具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用注射具は、可撓性チューブによって形成されたシースと、手元側からの進退操作によって軸線方向に進退自在に上記シース内に緩く挿通配置された操作ワイヤと、上記操作ワイヤの先端に連結されて、上記操作ワイヤを進退させることによって上記シースの先端から突没する注射針と、上記シース内に手元側から液体を注入するための注液部と、上記シース内から上記注射針内に液体を流入させるための通液孔とを有することを特徴とする。
【0007】
なお、上記注射針が上記シースの先端から所定長さ以上突出するのを規制するための針突出規制ストッパが形成されていてもよい。
また、上記シースには先端に口金が取り付けられていて、上記操作ワイヤを最も手元側に引いたときに上記注射針の先端が上記口金内に位置するように上記操作ワイヤの移動範囲を規制する針没入規制ストッパが設けられていてもよい。
【0008】
また、上記注射針が先端に連結された上記操作ワイヤを上記シースから手元側に抜き出せるようにしてもよく、上記注射針を上記シースの先端から突出した状態に保持するための針突出状態保持手段が設けられていてもよい。
【0009】
また、上記シースが、加熱処理が施されたフッ素樹脂製チューブによって形成されていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の実施の形態の内視鏡用注射具を示しており、図1はその先端部分の断面図、図2は手元側部分の断面図である。
【0011】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されるシース1には、例えばフッ素樹脂製の可撓性チューブ1aが用いられており、加熱処理が施されたものを用いることにより、伸縮性を小さくして、後述する注射針3の押し出し操作時の操作ストロークを小さくすることができる。可撓性チューブ1aの先端には、金属又はプラスチック製の筒状の先端口金1bが固着されていて、シース1の先端部分を形成している。
【0012】
可撓性チューブ1a内には、全長にわたって金属製の操作ワイヤ2が軸線方向に進退自在に挿通配置されている。操作ワイヤ2の外径寸法は、可撓性チューブ1aの内面との間に十分な断面積の通液路Aが確保される程度に可撓性チューブ1aの内径寸法より細くなっている。
【0013】
なお、操作ワイヤ2としては、例えばステンレス鋼線等の金属製の単線、撚り線、又は単線の周囲に撚り線を配置したものなど、各種のワイヤを用いることができる。
【0014】
図1に示されるように、操作ワイヤ2の先端には、つなぎ管4を介して注射針3が接続連結されている。図4はその部分の斜視図である。注射針3は、先端口金1bの軸線位置に穿設された貫通孔内に、スキマバメ程度の嵌合で軸線方向に進退自在に挿通されており、嵌合部の隙間から薬液等がほとんど漏れないようになっている。
【0015】
操作ワイヤ2の先端はつなぎ管4の後半部に差し込まれて、ロー付け又ははんだ付け等によってそこに固着され、注射針3の後端部は、つなぎ管4の前半部に差し込まれて、ロー付け又ははんだ付け等によってそこに固着されている。
【0016】
そして、操作ワイヤ2の先端と注射針3の後端との間の位置において、つなぎ管4に通液孔5が穿設されており、可撓性チューブ1a内の通液路Aを送られてきた液体が、通液孔5を通って注射針3内に入るようになっている。
【0017】
また、つなぎ管4は、注射針3が先端口金1bの先端から一定長さ以上突出するのを規制するためのストッパとしても作用しており、図1に示されるように、つなぎ管4の先端面が先端口金1bの後端面にぶつかると、注射針3をそれ以上前方に突出させることができない状態になる。
【0018】
図2に示されるように、可撓性チューブ1aの基端はプラスチック又は金属製の手元側本体11に接続連結されており、手元側本体11内を操作ワイヤ2が真っ直ぐに通過している。また、手元側本体11の側部には、注射筒を接続するための注射筒接続口金12が可撓性チューブ1a内に連通する状態に突設されている。
【0019】
手元側本体11の手元側端部には、締め筒13の先端部分がねじ部14において螺合接続されている。そして、締め筒13内に位置する部分では、操作ワイヤ2には腰折れ防止のために操作パイプ16が外装されており、その操作パイプ16の外周面に密着するOリング15が、締め筒13の先端面と手元側本体11との間に配置されている。
【0020】
その結果、Oリング15は注射筒接続口金12から注入された薬液等が手元側に漏れないようにシールを行う機能を有すると同時に、締め筒13を強く締め込むことにより、操作パイプ16がOリング15によって弾力的に締めつけられて操作ワイヤ2が固定され、先端の注射針3が自由に動けない状態になる。
【0021】
締め筒13の手元側に突出する操作パイプ16の基端部には手元摘み17が取り付けられていて、操作パイプ16を介して操作ワイヤ2を軸線方向に移動操作することができる。
【0022】
ただし、操作パイプ16には、締め筒13内に位置する部分にストッパ駒18が固着されており、ストッパ駒18が締め筒13の手元側端部に形成されたストッパネジ部19にぶつかると、それ以上手元側に移動できないようになっている。
【0023】
そしてその状態では、図3に略示されるように、注射針3の先端は先端口金1b内に位置するようになっており、針先で可撓性チューブ1aを傷つけることがない。
【0024】
ただし、ストッパ駒18の外周面とストッパネジ部19の内周面には互いに緩く螺合するネジ溝が形成されているので、ストッパ駒18をストッパネジ部19に螺合させた状態で手元摘み17を軸線回りに回転させることにより、ストッパ駒18をストッパネジ部19より手元側に引き出すことができ、その状態にすれば、操作ワイヤ2とその先端に連結された注射針3とをシース1内から手元側に引き出すことができる。
【0025】
このように構成された実施の形態の内視鏡用注射具は、シース1を内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱する際には、図3に示されるように、手元摘み17を手元側に引いて注射針3の先端を先端口金1b内に位置させておく。
【0026】
シース1の先端が処置具挿通チャンネルの先端出口から突出したら、手元摘み17を押し込んで、図1に示されるように注射針3を先端口金1bの先から突出させる。その際、操作ワイヤ2が注射針3を押すので、中間部分でのストロークの吸収が少なく、短いストロークで確実な操作を行うことができる。
【0027】
そして注射針3が突出した状態で、締め筒13を締め込んでOリング15を強く潰すことによって、注射針3を軸線方向に移動できない状態に固定してから、シース1を押し進めて注射針3を患部に穿刺する。
【0028】
次いで、注射筒接続口金12に取り付けた注射筒(図示せず)から薬液等を注入すれば、薬液等は可撓性チューブ1aと操作ワイヤ2との間の隙間部分によって形成された通液路Aを通って先端側に送られる。
【0029】
この通液路Aは、軸線から離れた位置の環状部分によって形成されているので、軸線位置に配置された従来の送液チューブ等の管路断面積等に比べればはるかに断面積が大きい。したがって、注射液の通過に対する抵抗が小さくて、注射筒による注液操作を楽に行うことができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図5に示されるように先端口金1bの後端面に当接するつなぎ管4の先端面部分にシール材6を装着してもよい。また、図6に示されるように、操作ワイヤ2を注射針3の後端部に直接連結して、先端口金1bに当接させるための先端ストッパ7を注射針3に固着してもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性チューブによって形成されたシース内に緩く挿通配置された操作ワイヤを手元側から進退操作させることによって、操作ワイヤの先端に連結された注射針をシースの先端から突没させるようにしたので、短いストロークで注射針を確実に進退操作することができ、また、手元側の操作力が先端の注射針部にロスなく伝達される。
【0032】
そして、シースを外装する可撓性チューブの内面と操作ワイヤの外面との間の隙間が注射液の通液路になるので、流路断面積が広くて、注射液の通過に対する抵抗が小さく、注射筒による注液操作に大きな力が要らず楽に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の先端側部分の側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の手元側部分の側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の全体側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の操作ワイヤと注射針との連結部付近の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の操作ワイヤと注射針との連結部付近の斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の操作ワイヤと注射針との連結部付近の斜視図である。
【符号の説明】
1 シース
1a 可撓性チューブ
1b 先端口金
2 操作ワイヤ
3 注射針
5 通液孔
10 手元側操作部
12 注射筒接続口金

Claims (6)

  1. 可撓性チューブによって形成されたシースと、
    手元側からの進退操作によって軸線方向に進退自在に上記シース内に緩く挿通配置された操作ワイヤと、
    上記操作ワイヤの先端に連結されて、上記操作ワイヤを進退させることによって上記シースの先端から突没する注射針と、
    上記シース内に手元側から液体を注入するための注液部と、
    上記シース内から上記注射針内に液体を流入させるための通液孔と
    を有することを特徴とする内視鏡用注射具。
  2. 上記注射針が上記シースの先端から所定長さ以上突出するのを規制するための針突出規制ストッパが形成されている請求項1記載の内視鏡用注射具。
  3. 上記シースには先端に口金が取り付けられていて、上記操作ワイヤを最も手元側に引いたときに上記注射針の先端が上記口金内に位置するように上記操作ワイヤの移動範囲を規制する針没入規制ストッパが設けられている請求項1又は2記載の内視鏡用注射具。
  4. 上記注射針が先端に連結された上記操作ワイヤを上記シースから手元側に抜き出せるようになっている請求項1、2又は3記載の内視鏡用注射具。
  5. 上記注射針を上記シースの先端から突出した状態に保持するための針突出状態保持手段が設けられている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用注射具。
  6. 上記シースが、加熱処理が施されたフッ素樹脂製チューブによって形成されている請求項1、2、3、4又は5記載の内視鏡用注射具。
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